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特許7434595音声広告配信システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】音声広告配信システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240213BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240213BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20240213BHJP
   G09F 25/00 20060101ALI20240213BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20240213BHJP
   H04S 5/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G01C21/26 P
G08G1/005
G10L25/51 300
G09F25/00 Z
H04S7/00 300
H04S5/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022558610
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2020040078
(87)【国際公開番号】W WO2022091177
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】518236513
【氏名又は名称】connectome.design株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 弥来
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聡
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-311974(JP,A)
【文献】特開2016-021169(JP,A)
【文献】特開2008-046987(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066191(WO,A1)
【文献】特開平10-055150(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211748(WO,A1)
【文献】特開2013-005021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G09F 19/00 - 27/00
G10L 13/00 - 13/10
G10L 19/00 - 99/00
H04R 3/00 - 3/14
H04S 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信システムであって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定する指定手段と、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するユーザ位置取得手段と、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するユーザ方向取得手段と、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信する配信手段と、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を演算する立体音響演算手段と、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出する音声コンテンツ検出手段と、を備え、
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信する音声広告配信システム。
【請求項2】
ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信システムであって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定する指定手段と、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するユーザ位置取得手段と、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するユーザ方向取得手段と、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信する配信手段と、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を演算する立体音響演算手段と、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出する音声コンテンツ検出手段と、
検出された音声コンテンツの内容を変更する音声コンテンツ変更手段と、を備え、
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記立体音響演算手段は、
検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝える音声広告配信システム。
【請求項3】
前記立体音響演算手段は、
前記取得されたユーザ位置情報が変化する度に、前記ユーザ端末に対して前記広告位置の方向から聞こえるように、立体音響を演算する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項4】
前記配信手段は、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づいたとき、近づいた所定の条件の変化に応じて、音声広告の注目度を変更して、前記ユーザ端末に前記広告位置情報と音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項5】
前記配信手段は、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づいた後、前記ユーザ位置情報が前記広告位置情報から離れる方向に移動した場合、前記所定の条件を満たしていても前記広告位置情報と音声広告データの配信を停止する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項6】
前記配信手段は、
前記取得されたユーザ位置情報が、複数の広告位置情報の所定の条件を満たす場合、前記ユーザが近づいて行く方向を検出し、前記複数の広告位置情報のうち、前記ユーザが近づいて行く方向にある広告位置に指定された広告位置情報と音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項7】
前記配信手段は、
前記ユーザの向いている方向が、前記ユーザから見た広告位置の方向と一致した場合に、前記広告位置情報と音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項8】
前記指定手段は、
前記広告位置の指定を、カテゴリで指定可能な請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項9】
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツの間に、前記音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項10】
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツに自然に音を重ねて、前記音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項11】
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツの間奏を検出して、当該音声コンテンツに重ねて前記音声広告データを配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項12】
前記配信手段は、
検出された音声コンテンツの内容に応じて、広告位置が近い音声広告が複数あるうち、前記音声コンテンツの内容に関連性が高い音声広告データを優先的に配信する請求項1又は請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項13】
前記音声コンテンツ変更手段は、検出された音声コンテンツを変化させて、前記ユーザの注意をひく請求項2に記載の音声広告配信システム。
【請求項14】
ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信方法であって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するステップと、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、を備え、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信する音声広告配信方法。
【請求項15】
ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信方法であって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するステップと、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、
検出された音声コンテンツの内容を変更するステップと、を備え、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記演算するステップは、
検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝える音声広告配信方法。
【請求項16】
コンピュータに、ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信処理を実行させる音声広告配信プログラムであって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告方向の位置から聞こえるように立体音響を演算するステップと、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、を実行させ、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信するためのプログラム。
【請求項17】
コンピュータに、ユーザが利用するユーザ端末から、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生する音声広告配信処理を実行させる音声広告配信プログラムであって、
前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、
ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、
ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、
前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、
取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告方向の位置から聞こえるように立体音響を演算するステップと、
前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、
検出された音声コンテンツの内容を変更するステップと、を実行させ、
前記配信するステップは、
検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、
前記演算するステップは、
検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝えるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声広告配信システム、方法、プログラム及びユーザ端末に関し、更に具体的には、立体音響による音声広告配信システム、方法、プログラム及びユーザ端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音声広告を配信する技術が注目されている。例えば、Webページに対するユーザの行動に基づいて、ユーザに適した音声広告を配信する技術が提供されている(特許文献1)。他にも、ユーザが過去に接触した視覚により認識される視覚広告に関する音声広告を、所定の対象がその音声広告に係る他点と所定の位置関係にある場合に出力する技術が提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-146188号公報
【文献】特開2017-058317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、音声広告を配信する際、特に音声広告の設置位置がユーザの現在位置周辺である場合、広告内容に加え、音声広告の設置位置を伝えることが重要である。しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信することができない。
【0005】
そこで、本発明では、ユーザが利用するユーザ端末のユーザ位置を取得して、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信システムであって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定する指定手段と、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するユーザ位置取得手段と、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するユーザ方向取得手段と、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信する配信手段と、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算する立体音響演算手段と、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出する音声コンテンツ検出手段と、を備え、前記配信手段は、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記配信手段は、検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信する音声広告配信システムを提供する。
また、本発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信システムであって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定する指定手段と、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するユーザ位置取得手段と、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するユーザ方向取得手段と、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信する配信手段と、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算する立体音響演算手段と、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出する音声コンテンツ検出手段と、検出された音声コンテンツの内容を変更する音声コンテンツ変更手段と、を備え、前記配信手段は、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記立体音響演算手段は、検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝える音声広告配信システムを提供する。
【0007】
また、本発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信方法であって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するステップと、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、を備え、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信する音声広告配信方法を提供する。
また、本発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信方法であって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するステップと、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、検出された音声コンテンツの内容を変更するステップと、を備え、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記演算するステップは、検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝える音声広告配信方法を提供する。
【0008】
更に、本発明は、コンピュータに、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信処理を実行させる音声広告配信プログラムであって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告方向の位置から聞こえるように立体音響を演算するステップと、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、を実行させ、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、前記音声広告データを配信するためのプログラムを提供する。
更に、本発明は、コンピュータに、ユーザが利用するユーザ端末に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を配信する音声広告配信処理を実行させる音声広告配信プログラムであって、前記音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するステップと、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得するステップと、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得するステップと、前記取得されたユーザ位置情報が、前記指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、前記ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信するステップと、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告方向の位置から聞こえるように立体音響を演算するステップと、前記ユーザが、前記ユーザ端末で聞いている音声コンテンツを検出するステップと、検出された音声コンテンツの内容を変更するステップと、を実行させ、前記配信するステップは、検出された音声コンテンツに応じて、前記音声広告データを配信し、前記演算するステップは、検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝えるためのプログラムを提供する。
【0009】
また、本発明は、前記音声広告配信システムに利用されるユーザ端末であって、前記演算された立体音響の音声広告を再生する再生手段、を備えるユーザ端末を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定して、ユーザの位置を示すユーザ位置情報を取得して、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得して、ユーザ位置情報が、指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信し、取得されたユーザ情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告方向の位置から聞こえるように立体音響を演算することとした。このため、ユーザが利用するユーザ端末で、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の音声広告配信システムの全体構成を示す概念図である。
図2】前記実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図3】前記実施形態の音声広告配信サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】前記実施形態の音声広告配信サーバの機能構成を示すブロック図である。
図5】前記実施形態の音声広告データの一例を示す図である。
図6】前記実施形態による音声広告配信処理の一例を示すフローチャートである。
図7】前記実施形態による立体音響再生処理の一例を示す図である。
図8】前記実施形態による広告位置とユーザの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ユーザが利用するユーザ端末の位置情報を取得して、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得して、取得されたユーザ位置情報が、指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末に対して、広告位置情報と音声広告データを配信し、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するものである。配信するユーザ端末は、例えば、スマートフォン、イヤホン、骨伝導イヤホン、ネックスレススピーカー、眼鏡型スピーカー、車やバイクのモビリティ据付スピーカーなどがあるが、これに限定されない。以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0013】
<全体構成>・・・図1は、本実施形態による音声広告配信システムの全体構成を示す概念図である。図1に示すように、音声広告配信システム100は、ユーザ10のユーザ端末20と、広告依頼主70の広告依頼主端末80と、音声広告配信サーバ40により構成されている。これらは、図示しないインターネットなどのネットワークを介して、相互にデータ通信可能となっている。
【0014】
図1に示すように、まず、音声広告配信サーバ40は、広告依頼主70の広告依頼主端末80から、音声広告を配信したい位置の指定を受け付ける(ステップS1)。具体的には、音声広告を設定する位置を示す広告位置を、例えば、地図上などから指定させる。例えば、広告依頼主端末80Aがスマートフォンであれば、タッチパネル82に表示される地図上の位置を広告依頼主70が指定し、広告依頼主端末80BがノートPCであれば、ディスプレイ86上に表示される地図上の位置を、キーボード84やマウスなどの入力手段を用いて指定する。
【0015】
次に、ユーザ端末20は、ユーザ10の位置を示すユーザ位置情報を取得する(ステップS2a)。具体的には、ユーザ端末20や他端末のGPSやビーコンなどから位置情報を取得する。取得したユーザ位置情報は、音声広告配信サーバ40へ送信される(ステップS2b)。
【0016】
次に、ユーザ端末20は、ユーザ10の方向を示すユーザ方向情報を取得する(ステップS3)。具体的には、ユーザ端末20や他端末の電子コンパスなどから方向情報を取得する。ユーザ方向は、ユーザの顔面が向いている方向、を取得することが望ましい。なお、ユーザ端末20がイヤホンである場合など、端末方向とユーザ方向とがおおよそ一致する場合には、端末方向をユーザ方向情報として用いてもよい。
【0017】
そして、音声広告配信サーバ40は、取得されたユーザ位置情報が、指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末20に対して、広告位置と音声広告データを配信する(ステップS4)。所定の条件とは、例えば、指定された広告位置を中心に半径100m以内、などである。また、配信されるユーザ端末20は、スマートフォンであってもよいし、その他の端末(スマートイヤホン、骨伝導イヤホン、ネックスレススピーカー、眼鏡型スピーカー、車やバイクのモビリティ据付スピーカーなど)であってもよい。
【0018】
そして、ユーザ端末20は、取得されたユーザ位置情報と、取得されたユーザ方向情報と、広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算し、立体音響で音声広告を再生する(ステップS5)。また、ユーザ方向情報を取得するユーザ端末20は、スマートフォンであってもよいし、その他の端末(スマートイヤホン、骨伝導イヤホン、ネックレススピーカー、眼鏡型スピーカー、車やバイクのモビリティ据付スピーカーなど)であってもよい。
【0019】
<ユーザ端末の構成>・・・図2は、本実施形態のユーザ端末20の構成を示すブロック図である。ユーザ端末20は、例えば、プロセッサ22、メモリ24、ストレージ26、通信部28、再生部30、GPS32、ユーザ方向取得手段34、立体音響演算手段36を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ24に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。
【0020】
前記メモリ24は、プロセッサ22により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。ストレージ26は、例えば、取得したユーザ位置情報、ユーザ方向情報や、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。通信部28は、ネットワークを介して、広告依頼主端末80、80A、80Bや、音声広告配信サーバ40と各種データ通信を行うものである。むろん、必要に応じて、他の外部装置とデータ通信を行うようにしてもよい。
【0021】
再生部30は、例えば、スピーカーであって、音声広告配信サーバ40から配信された音声広告を通信部28で受信して、立体音響の演算がされた音声広告を再生して出力するものである。GPS32は、ユーザ端末20の位置情報を取得するものである。取得した位置情報は、ユーザ位置情報26Aとして、ストレージ26に記憶されてもよい(図7参照)。ユーザ方向取得手段34は、ユーザ端末20の方向情報を取得するものである。ユーザ方向取得手段34としては、例えば、電子コンパスが用いられるが、これに限定されない。取得したユーザ方向情報26B(図7参照)は、ストレージ26に記憶されてもよい。
【0022】
立体音響演算手段36は、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算するものである。
【0023】
また、立体音響演算手段36は、取得されたユーザ位置情報が変化する度に、ユーザ端末20に対して広告位置の方向から聞こえるように、立体音響を演算してもよい。例えば、広告位置に近づいている時は正面方向から音声広告が聞こえるように立体音響を演算するが、その後、右方向に曲がった場合には、左方向から音声広告が聞こえるように立体音響を演算するという具合である。
【0024】
更に、立体音響演算手段36は、検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝えてもよい。
【0025】
このようなユーザ端末20としては、スマートフォンが利用されるが、これに限定されるものではなく、スマートイヤホン、骨伝導イヤホン、ネックスレススピーカー、眼鏡型スピーカー、車やバイクのモビリティ据付スピーカーなどをユーザ端末20としてもよい。また、ユーザ10ごとに異なる種類のユーザ端末20を用いてもよい。
【0026】
<音声広告配信サーバのハードウェア構成>・・・図3は、本実施形態の音声広告配信サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。音声広告配信サーバ40は、例えば、プロセッサ42、メモリ44、ストレージ46、通信部56を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ44に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。
【0027】
前記メモリ44は、プロセッサ42により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、図4に示す各種手段が記憶されている。ストレージ46は、例えば、広告位置設定用データ48、音声広告データ50、設定された広告位置情報52、ユーザ端末20から取得したユーザ位置情報54や、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。通信部56は、ネットワーク介して、ユーザ端末20や、広告依頼主端末80、80A、80Bと各種データ通信を行うものである。むろん、必要に応じて、他の外部装置とデータ通信を行うようにしてもよい。
【0028】
ストレージ46に記憶される広告位置設定用データ48は、例えば、広告依頼主端末80の表示部に表示させ、広告位置を指定させるための地図である。また、広告位置の指定を、地図上の地点の指定に代えて、カテゴリで指定するためのカテゴリを表示するためのデータを含んでいてもよい。カテゴリとは、例えば、景色がきれいな場所を通ったときにカメラの音声広告を配信する場合には、「景色がきれいな場所」としてもよいし、フットサル場の横を取ったときにスポーツ製品の音声広告を配信する場合には、「フットサル場の横」としてもよい。
【0029】
図5には、ストレージ46に記憶される音声広告データ50を構成する音声広告データ50Aの一例が示されている。図5に示すように、音声広告データ50Aは、広告データ、広告依頼主、広告位置(又はカテゴリ)、配信条件の項目が設けられている。広告データ0001の音声広告は、広告依頼主が「A株式会社」、広告位置が「浅草寺(台東区浅草2-3-1)」、配信条件が「半径100m以内」である。また、広告データ0002の音声広告は、広告依頼主が「B株式会社」、カテゴリが「運動場」、配信条件が「隣接する道路を通ったとき」である。
【0030】
このような音声広告データ50Aは、音声広告配信サーバ40が、広告依頼主端末80に入力用の地図やカテゴリを提示し、広告依頼主70が、希望する地図上の特定位置やカテゴリを指定することで音声広告の広告位置の指定を受け付ける。また、広告位置の指定とともに、音声広告データの入力も受け付ける。更に、配信条件についても同時に指定を受け付け、これらを紐づけて音声広告データ50Aとして記憶してもよい。
【0031】
<音声広告配信サーバの機能構成>・・・図4は、本実施形態の音声広告配信サーバの機能構成を示すブロック図である。音声広告配信サーバ40は、指定手段60、ユーザ位置取得手段62、音声コンテンツ検出手段64、音声コンテンツ変更手段66、配信手段68を備えている。
【0032】
指定手段60は、音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定するものである。具体的には、指定手段60は、広告依頼主70の広告依頼主端末80に広告位置を指定するための地図やカテゴリを提示し、広告依頼主70が、希望する地図上の特定位置やカテゴリを指定することで音声広告の広告位置の指定を受け付ける。指定手段60は、入力された音声広告を、指定を受け付けた広告位置またはカテゴリに設定する。
【0033】
ユーザ位置取得手段62は、ユーザ10の位置を示すユーザ位置を取得するものである。ユーザ10の位置の取得は、ユーザ端末20のGPS32が取得した位置情報をネットワークを介して取得するようにしてもよいし、他の端末のGPSやビーコンから取得してもよい。取得したユーザ位置情報54は、ストレージ46に記憶してもよい。
【0034】
音声コンテンツ検出手段64は、ユーザ端末10で聞いている音声コンテンツ(例えば、音楽やラジオ等)を検出するものである。
【0035】
音声コンテンツ変更手段66は、音声コンテンツ検出手段64で検出された音声コンテンツの内容を変更するものである。音声コンテンツ変更手段66は、検出された音声コンテンツを変化させて、前記ユーザ10の注意をひく。
【0036】
配信手段68は、前記取得手段62で取得されたユーザ位置情報54が、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末20に対して広告位置情報52と音声広告データ50を配信するものである。
【0037】
また、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づいたとき、近づいた所定の条件の変化に応じて、音声広告の注目度を変更して、前記ユーザ端末20に音声広告を配信してもよい。例えば、音声広告の音量やテンポを変更するようにしてもよいし、半径100m~50m用の音声広告と、半径50m~0m用の音声広告などの切り替えを行うようにしてもよい。
【0038】
更に、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づいた後、ユーザ位置が、前記広告位置から離れる方向に移動した場合、前記所定の条件を満たしていても音声広告の配信を停止してもよい。これにより、ユーザ10が興味をもたない音声広告を必要以上に流さないようにすることができる。
【0039】
また、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、複数の広告位置の所定の条件を満たす場合、前記ユーザ10が近づいて行く方向を検出し、前記複数の広告位置のうち、ユーザ10が近づいて行く方向にある広告位置に指定された音声広告を配信するようにしてもよい。近づいて行くということは、興味があると推測されるため、ユーザ10にとって有益な(あるいは興味がある)音声広告を配信することができる。
【0040】
また、配信手段68は、ユーザ10の顔の向きが、ユーザ10から見た広告位置の方向と一致した場合に、音声広告を配信するようにしてもよい。
【0041】
更に、配信手段68は、前記音声コンテンツ検出手段64によって、前記ユーザ10がユーザ端末20で聞いている音声コンテンツ(音楽やラジオ等)を検出した場合には、検出された音声コンテンツに応じて、音声広告を配信するようにしてもよい。
【0042】
例えば、検出された音声コンテンツの間に、音声広告を配信するようにしてもよい。また、検出された音声コンテンツに自然に音を重ねて、音声広告を配信するようにしてもよい。あるいは、検出された音声コンテンツの間奏を検出して、当該音声コンテンツに重ねて音声広告を配信してもよい。また、検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、音声広告を配信してもよい。更に、検出された音声コンテンツの内容に応じて、広告位置が近い音声広告が複数あるうち、前記音声コンテンツの内容に関連性が高い音声広告を優先的に配信するようにしてもよい。
【0043】
なお、上述した各種手段は、本実施形態では、音声広告配信サーバ40に備えることとしたが、指定手段60以外の手段の全部または一部をユーザ端末20に設けるようにしてもよい。
【0044】
<広告依頼主端末の構成>・・・広告依頼主70の広告依頼主端末80は、例えば、図1に示す広告依頼主端末80Aのようにスマートフォンであってもよいし、広告依頼主端末80BのようにノートPCであってもよい。広告依頼主端末80は、広告位置を指定するための指定手段を備え、当該指定内容をネットワークを介して音声広告配信サーバ40へ送信する通信部を備えていれば、どのような構成のものであってもよい。
【0045】
<音声広告配信処理>・・・次に、音声広告配信システム100による音声広告配信処理の一例について、図6図8を参照して説明する。図6は、本実施形態の音声広告配信処理の一例を示すフローチャート、図7は、立体音響演算処理の一例を示す図、図8は、ユーザと広告位置の関係を示す図である。
【0046】
まず、音声広告配信サーバ40は、広告依頼主70の広告依頼主端末80から、音声広告を配信したい位置の指定を受け付ける(ステップS10)。具体的には、指定手段60によって、広告依頼主70の広告依頼主端末80に広告位置を指定するための地図やカテゴリを提示し、広告依頼主70が、希望する地図上の特定位置やカテゴリを指定することで音声広告の広告位置の指定を受け付ける。指定手段60は、入力された音声広告を、指定を受け付けた広告位置またはカテゴリに設定する。
【0047】
次に、音声広告配信サーバ40は、ユーザ10の位置を示すユーザ位置を取得する(ステップS12)。具体的には、ユーザ位置取得手段62が、ユーザ端末20や他端末のGPSやビーコンなどからユーザ位置情報54を取得する。
【0048】
次に、ユーザ端末20は、ユーザ10の方向を示すユーザ方向を取得する(ステップS13)。具体的には、ユーザ端末20や他端末の電子コンパスなどから方向情報を取得する。ユーザ方向情報は、ユーザの顔面が向いている方向、を取得することが望ましい。なお、ユーザ端末20がイヤホンである場合など、端末方向とユーザ方向とがおおよそ一致する場合には、端末方向をユーザ方向データとして用いてもよい。
【0049】
そして、音声広告配信サーバ40の配信手段68は、取得されたユーザ位置情報54が、指定された広告位置情報52に所定の条件を満たして近づくと(ステップS14でYes)、ユーザ端末20に対して、広告位置情報52と音声広告データ50を配信する(ステップS16)。所定の条件とは、例えば、指定された広告位置を中心に半径100m以内、などである。
【0050】
ユーザ端末20では、図7に示すように、音声広告配信サーバ40からネットワークを介して、立体音響演算手段36が、広告位置情報52と音声広告データ50を受信すると、立体音響演算手段36では、取得されたユーザ位置情報26Aと、ユーザ方向情報26Bと、広告位置情報52から、広告位置に対するユーザの相対方向を計算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算し(図6のステップS18)、再生部30により音声広告を立体音響で再生する(ステップS20)。これにより、ユーザ10が利用するユーザ端末20に対して、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生することができる。
【0051】
ここで、立体音響演算手段36は、取得されたユーザ位置が変化する度に、ユーザ端末20に対して広告位置の方向から聞こえるように、立体音響を演算して音声広告を再生させるようにしてもよい。例えば、図8に示す例では、広告位置90を中心に半径R(例えば100m)の広告配信領域92内にユーザ10がいるときに音声広告を配信するものとする。図8の地図110では、ユーザ10が歩くルート94が太線で示されている。
【0052】
まず、ユーザ10が位置P1にあるときは、音声広告を配信する所定の条件を満たしていない(半径R以内にいない)ため、ユーザ端末20に音声広告は配信されない。ユーザ10が位置P2にあるとき、音声広告を配信する所定の条件を満たす(半径R以内にいる)ため、ユーザ端末20に音声広告が配信される。このとき、ユーザ10は、広告位置90に向かって正面を向いているため、正面方向から音声広告が聞こえるように再生される。
【0053】
次に、ユーザ10が、コーナーCを曲がって位置P3にあるときは、音声広告を配信する所定の条件を満たす(半径R以内にいる)ため、ユーザ端末20に音声広告が配信される。このとき、ユーザ10は、コーナーCで左方向に曲がっているため、位置P3では、右方向から音声広告が聞こえるように再生される。そして、ユーザ10が、広告位置90から半径Rを超える位置P4にあるときは、所定の条件を満たさないため、音声広告は配信されなくなる。
【0054】
なお、本実施形態において、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づいたとき、近づいた所定の条件の変化に応じて、音声広告の注目度を変更して、前記ユーザ端末20に音声広告を配信してもよい。例えば、音声広告の音量やテンポを変更するようにしてもよいし、半径100m~50m用の音声広告と、半径50m~0m用の音声広告などの切り替えを行うようにしてもよい。
【0055】
更に、本実施形態において、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、指定された広告位置に所定の条件を満たして近づいた後、ユーザ位置が、前記広告位置から離れる方向に移動した場合、前記所定の条件を満たしていても音声広告の配信を停止してもよい。これにより、ユーザ10が興味をもたない音声広告を必要以上に流さないようにすることができる。
【0056】
また、本実施形態において、配信手段68は、取得されたユーザ位置が、複数の広告位置の所定の条件を満たす場合、前記ユーザ10が近づいて行く方向を検出し、前記複数の広告位置のうち、ユーザ10が近づいて行く方向にある広告位置に指定された音声広告を配信するようにしてもよい。近づいて行くということは、興味があると推測されるため、ユーザ10にとって有益な(あるいは興味がある)音声広告を配信することができる。
【0057】
また、本実施形態において、配信手段68は、ユーザ10の顔の向きが、ユーザ10から見た広告位置の方向と一致した場合に、音声広告を配信するようにしてもよい。
【0058】
更に、本実施形態において、音声コンテンツ検出手段64により、ユーザ端末20でユーザ10が聞いている音声コンテンツ(例えば、音楽やラジオ等)を検出した場合には、配信手段68は、検出された音声コンテンツに応じて、音声広告を配信するようにしてもよい。
【0059】
例えば、検出された音声コンテンツの間に、音声広告を配信するようにしてもよい。また、検出された音声コンテンツに自然に音を重ねて、音声広告を配信するようにしてもよい。あるいは、検出された音声コンテンツの間奏を検出して、当該音声コンテンツに重ねて音声広告を配信してもよい。また、検出された音声コンテンツが音楽の場合、当該音楽の歌詞の一部を広告に変えて、音声広告を配信してもよい。更に、検出された音声コンテンツの内容に応じて、広告位置が近い音声広告が複数あるうち、前記音声コンテンツの内容に関連性が高い音声広告を優先的に配信するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態において、音声コンテンツ変更手段66によって、前記音声コンテンツ検出手段64で検出された音声コンテンツを変化させ、前記ユーザ10の注意をひくようにしてもよい。また、前記立体音響演算手段36により、検出された音声コンテンツの立体音響の聞こえる方向を変えて、音声広告したいものの方向を伝えてもよい。このような音声コンテンツの変化は、単独で行うようにしてもよいし、上述した立体音響の音声広告の配信とあわせて行うようにしてもよい。
【0061】
なお、立体音響の演算は、端末側で演算するケースに限定されない。サーバ側がユーザ位置情報、ユーザ方向情報を受け取って、広告位置情報と、ユーザ位置情報と、ユーザ方向情報又は端末向きに基づいて立体音響の演算を行い、端末側はサーバ側で演算された立体音響データを受け取って再生してもよい。
【0062】
また、音声広告データ50は、必ずしも立体音響出力時に、サーバ側からユーザ端末に送信される必要はなく、あらかじめユーザ端末20に記憶されている音声広告データを立体音響出力演算に入力することも可能である。
【0063】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、音声広告配信システム100は、音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定して、ユーザ10の位置を示すユーザ位置情報を取得して、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向データを取得して、ユーザ位置情報が、指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末20に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信し、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算することとした。このため、ユーザ10が利用するユーザ端末20で、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生することができる。
【0064】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、音声広告配信サーバ40は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、上述した機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。更に、本実施形態では、多くの処理を音声広告配信サーバ40で実行することとしたが、広告位置の指定を受け付ける機能以外の全部または一部の機能を、ユーザ端末20で実行するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、単数又は複数のコンピュータからネットワーク経由で提供される(クラウドサービス、SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。
【0066】
更に、本発明は、方法またはプログラムの発明として提供されてもよい。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。また、本発明は、ユーザ端末の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、音声広告を設定する位置を示す広告位置情報を指定して、ユーザ10の位置を示すユーザ位置情報を取得して、ユーザの向いている方向を示すユーザ方向情報を取得して、ユーザ位置情報が、指定された広告位置情報に所定の条件を満たして近づくと、ユーザ端末20に対して前記広告位置情報と音声広告データを配信し、取得されたユーザ位置情報、ユーザ方向情報及び広告位置情報から、広告位置に対するユーザの相対方向を演算し、広告位置の方向から聞こえるように立体音響を演算することとした。このため、ユーザが利用するユーザ端末で、音声広告が設定された位置の方向から聞こえるように立体音響で音声広告を再生することができるため、音声広告配信システムの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
10:ユーザ
20:ユーザ端末
22:プロセッサ
24:メモリ
26:ストレージ
26A:ユーザ位置情報
26B:ユーザ方向情報
28:通信部
30:再生部
32:GPS
34:ユーザ方向取得手段
36:立体音響演算手段
40:音声広告配信サーバ
42:プロセッサ
44:メモリ
46:ストレージ
48:広告位置設定用データ
50、50A:音声広告データ
52:広告位置情報
54:ユーザ位置情報
56:通信部
60:指定手段
62:ユーザ位置取得手段
64:音声コンテンツ検出手段
66:音声コンテンツ変更手段
68:配信手段
70:広告依頼主
80、80A、80B:広告依頼主端末
82:タッチパネル
84:キーボード
86:ディスプレイ
90:広告位置
92:広告配信領域
94:ルート
100:音声広告配信システム
110:地図
C:コーナー
P1~P4:位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8