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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】音漏れ低減装置及び音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/172 20060101AFI20240213BHJP
   H04R 1/22 20060101ALI20240213BHJP
   H04R 1/00 20060101ALN20240213BHJP
【FI】
G10K11/172
H04R1/22 310
H04R1/00 317
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022566697
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021125794
(87)【国際公開番号】W WO2023065323
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】付 峻江
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-530205(JP,A)
【文献】特開2018-207253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/172
H04R 1/22
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー変換構造、振動構造、及びハウジングを含み、前記ハウジングが振動キャビティ及び少なくとも1つの共振キャビティを有し、前記エネルギー変換構造が前記振動キャビティ内に位置し、かつ前記振動構造に接続され、前記少なくとも1つの共振キャビティと前記振動キャビティとが少なくとも1つの連通孔を介して連通し、各前記共振キャビティの体積が前記振動キャビティの体積より小さい、ことを特徴とする音漏れ低減装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの共振キャビティは、複数の共振キャビティを含み、前記複数の共振キャビティは、前記振動キャビティの同じ側壁又は異なる側壁に設置され、かつ少なくとも1つの前記連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の音漏れ低減装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの共振キャビティは、第1共振キャビティ及び第2共振キャビティを含み、前記第1共振キャビティは、前記振動キャビティの第1側壁に設置され、前記第1側壁における第1連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通し、前記第1共振キャビティの第2側壁における第2連通孔を介して前記第2共振キャビティと気導可能に連通する、ことを特徴とする請求項2に記載の音漏れ低減装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの共振キャビティは、いずれも前記振動キャビティの第1側壁に設置された第1共振キャビティ及び第2共振キャビティを含み、前記第1共振キャビティは、前記第1側壁における第1連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通し、前記第2共振キャビティは、前記第1側壁における第3連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通する、ことを特徴とする請求項2に記載の音漏れ低減装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの共振キャビティは、第3共振キャビティ及び第4共振キャビティを含み、前記第3共振キャビティは、前記振動キャビティの第1側壁に設置され、前記第1側壁における第1連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通し、前記第4共振キャビティは、前記振動キャビティの第3側壁に設置され、前記第3側壁における第4連通孔を介して前記振動キャビティと気導可能に連通する、ことを特徴とする請求項2に記載の音漏れ低減装置。
【請求項6】
前記振動キャビティ及び/又は前記共振キャビティの外壁に音逃し孔を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の音漏れ低減装置。
【請求項7】
前記共振キャビティは、前記振動キャビティの内部に設置され、少なくとも1つのバッフルと前記ハウジングの内壁とで形成された空胴構造である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項8】
前記共振キャビティは、20Hz~10000Hzという範囲にある特定の周波数の音漏れを低減する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項9】
各前記共振キャビティと前記振動キャビティとの体積比は0.1以上である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項10】
各前記共振キャビティの体積は6500mm以下である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項11】
各前記連通孔の面積は0.05mm以上である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項12】
前記振動構造と前記ハウジングとの間隔の範囲は1mm~3mmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項13】
前記振動構造の振動表面積の範囲は9mm~700mmである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の音漏れ低減装置を含む、ことを特徴とする音響出力装置。
【請求項15】
前記振動構造は、振動パネル及び振動伝導部材を含み、前記振動伝導部材は、前記ハウジングの開口部を通して前記振動キャビティに伸び込んでハウジングホルダに接続され、前記エネルギー変換構造は、前記ハウジングホルダに設置される、ことを特徴とする請求項14に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響伝導の技術分野に関し、特に音漏れ低減装置及び音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨伝導を音響の主な伝搬方法の1つとするスピーカーは、音響伝達(音響伝導)振動部材が電気信号(例えば、信号処理回路からの制御信号)に基づいて機械的振動をし、かつ機械的振動に基づいて伝導音波を生成し、最終的に人体に伝達することができる。従来のスピーカーの音響伝達振動部材は、機械的振動中に、機械的振動をスピーカーのハウジング構造に伝達することによりハウジング構造の振動を引き起こす場合があり、ハウジング構造の振動により周囲の空気が振動することで音漏れが発生し、スピーカーの音響伝達性能に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願の一実施例に係る音漏れ低減装置は、エネルギー変換構造、振動構造、及びハウジングを含み、前記ハウジングが振動キャビティ及び少なくとも1つの共振キャビティを有し、前記エネルギー変換構造が前記振動キャビティ内に位置し、かつ前記振動構造に接続され、前記少なくとも1つの共振キャビティと前記振動キャビティとが少なくとも1つの連通孔を介して連通し、各前記共振キャビティの体積が前記振動キャビティの体積より小さい。
【0004】
本願の一実施例に係る音響出力装置は、本願の実施例のいずれか1つの解決手段に係る音漏れ低減装置を含む。
【0005】
例示的な実施例によって本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ符号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図6】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図7】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図11】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図12】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図13】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図14】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
図16】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図17】本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
図18】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0008】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0009】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0010】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0011】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
【0012】
音漏れ低減装置100は、エネルギー変換構造110、振動構造120及びハウジング130を含んでもよく、ハウジング130が振動キャビティ140及び少なくとも1つの共振キャビティ150を有し、エネルギー変換構造110が振動キャビティ140内に位置し、かつ振動構造120に接続され、共振キャビティ150と振動キャビティ140とが少なくとも1つの連通孔160を介して連通し、共振キャビティ150の体積が振動キャビティ140の体積より小さい。エネルギー変換構造110は、振動構造120を振動させることで、人間の耳に伝達する音声を生成させることができ、共振キャビティ150は、エネルギー変換構造110が振動キャビティ140内に生成した特定の周波数の音声を吸収することにより、音漏れ低減装置100において特定の周波数で発生した音漏れを抑制するために用いられる。
【0013】
音漏れ低減装置100は、スピーカーの音漏れを低減するための装置であってもよい。いくつかの実施例において、音漏れ低減装置100は、骨伝導を音声の主な伝搬方法の1つとするスピーカーであってもよい。例えば、振動構造120は、ユーザの顔の皮膚と大面積で接触し、かつその機械的振動を皮膚に伝達してユーザに音声を聞かせることができる。いくつかの実施例において、スピーカーは、骨伝導スピーカー、気導スピーカー又は骨伝導及び気導を組み合わせたスピーカーであってもよい。他のいくつかの実施例において、スピーカーは、他の任意の実施可能なスピーカーであってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。骨伝導スピーカーを例として、音漏れ低減装置100における共振キャビティ150は、エネルギー変換構造110が振動キャビティ内(即ち、骨伝導方式の振動キャビティ)に生成した特定の周波数の音声を吸収することにより、特定の周波数で発生した音漏れを抑制することができる。
【0014】
エネルギー変換構造110は、電気信号から機械的振動への変換を実現する部材である。いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、磁気アセンブリ及びボイスコイルの構造形態を用い、即ち、電磁作用でオーディオ電気信号をボイスコイルに入力し、ボイスコイルを磁場に置いてボイスコイルを振動するように駆動してもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、圧電セラミックの構造形態を用いて、電気信号をセラミック部材の形状の変化に変換して振動を発生させてもよい。他のいくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、他の任意の実施可能な構造形態を用いてもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0015】
いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、特定の磁気回路アセンブリ及び振動アセンブリを使用して、音声情報を含む信号から機械的振動への変換を実現してもよい。いくつかの実施例において、上記変換の過程において、複数の異なるタイプのエネルギーの共存及び変換を伴い得る。例えば、電気信号は、エネルギー変換構造110により機械的振動に直接変換して音声を生成することができる。さらに例えば、音声情報は、光信号に含まれてもよく、特定のエネルギー変換構造110により、光信号を振動信号に変換する過程が実現できる。さらに例えば、エネルギー変換構造110の動作中に共存及び変換するエネルギーは、例えば、熱エネルギー、磁場エネルギーなど、他のタイプのエネルギーを含んでもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110のエネルギー変換方式は、可動コイル式、静電式、圧電式、可動鉄片式、空気圧式、電磁式などを含んでもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110における振動アセンブリの振動体は、鏡面対称の構造、中心対称の構造又は非対称の構造であってもよい。いくつかの実施例において、上記振動体は、円環体構造であってもよく、円環体の内部に中心に向かって収束する複数のロッドが設置され、ロッドの数は2つ以上であってもよい。いくつかの実施例において、振動体をより大きく変位させることにより、振動及び音声の出力パワーを向上させ、より高い感度を実現するために、上記振動体に不連続な孔状構造が設置されてもよい。
【0016】
ハウジング130は、エネルギー変換構造110を収容し、かつ振動キャビティ140のハウジング構造を形成する。いくつかの実施例において、ハウジング130は、エネルギー変換構造110を収容するシングルキャビティ構造であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング130は、エネルギー変換構造110を収容するマルチキャビティ(即ち、形成された振動キャビティが複数である)構造であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング130の構造形状は、円柱形、角形又は他の任意の実施可能な構造形状であってもよい。他のいくつかの実施例において、ハウジング130は、他の実施可能な構造形態又は構造形状を用いてもよく、本願の実施例は、これを特に限定しない。
【0017】
振動キャビティ140は、ハウジング130及びハウジング130内のエネルギー変換構造110で形成された振動キャビティである。いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110により発生する機械的振動が振動構造120に伝達され、振動構造120がエネルギー変換構造110の駆動で同期振動するとともに、エネルギー変換構造110のハウジング130に対する振動も振動キャビティ140内に音波を生成する。
【0018】
いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、振動キャビティ内に磁場を生成することができ、磁場は、音声情報を含む信号を振動信号に変換することができる。いくつかの実施例において、上記音声情報は、特定のデータフォーマットを有するビデオファイル、オーディオファイル、又は特定の方法で音声に変換可能なデータ若しくはファイルを含んでもよい。いくつかの実施例において、上記音声情報を含む信号は、音漏れ低減装置100自体の記憶アセンブリからのものであってもよく、音漏れ低減装置100以外の情報生成、記憶又は伝達システムからのものであってもよい。いくつかの実施例において、上記音声情報を含む信号は、電気信号、光信号、磁気信号、機械信号などのうちの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、上記音声情報を含む信号は、1つの信号源又は複数の信号源からのものであり得る。いくつかの実施例において、上記複数の信号源は、相関があってもなくてもよい。
【0019】
いくつかの実施例において、音漏れ低減装置100は、複数の異なる方式で上記音声情報を含む信号を取得することができ、信号の取得は、有線であっても無線であってもよく、リアルタイムであっても遅延があってもよい。例えば、音漏れ低減装置100は、有線又は無線の方式で音声情報を含む電気信号を受信してもよく、記憶媒体(例えば、記憶アセンブリ)からデータを直接取得して、音声信号を生成してもよい。また例えば、音漏れ低減装置100は、音声収集機能を有するアセンブリを含み、環境中の音声をピックアップして音声の機械的振動を電気信号に変換し、アンプにより処理して特定の要件を満たす電気信号を取得してもよい。いくつかの実施例において、上記記憶媒体は、音声情報を含む信号を記憶してもよい。いくつかの実施例において、上記記憶媒体は、任意の実施可能な記憶形式を用いてもよく、例えば、1つ以上の記憶装置などを含んでもよい。
【0020】
振動構造120は、機械的振動を人間の耳に伝達し、具体的には、機械的振動を人体の皮膚(例えば、顔の皮膚)により伝達することを実現する部材であってもよい。いくつかの実施例において、振動構造120は、振動パネル121及び振動伝導部材122を含んでもよい。振動伝導部材122のエネルギー変換構造110から離れた一端は、ハウジング130の外部に位置し、かつ同様にハウジング130の外部に位置する振動パネル121に接続される。振動伝導部材122の他端(振動パネル121から離れた一端)は、ハウジング130を貫通して振動キャビティ140内に伸び込むことにより、振動伝導部材122の一部は、振動キャビティ140内に位置し、かつエネルギー変換構造110に接続される。エネルギー変換構造110により発生する機械的振動は、振動伝導部材122により振動パネル121に伝達することができ、振動パネル121は、人体の皮膚(例えば、顔の皮膚)と接触して、機械的振動(例えば、骨伝導音波)をユーザの耳に伝達する。
【0021】
いくつかの実施例において、振動パネル121の構造形状は、円柱形、角形又は他の任意の実施可能な構造形状であってもよい。他のいくつかの実施例において、振動パネル121は、他の実施可能な構造形態又は構造形状を用いてもよく、本願の実施例は、これを特に限定しない。
【0022】
いくつかの実施例において、振動構造120とエネルギー変換構造110との接続方式は、上述した直接的な接続に限定されず、間接的な接続であってもよい。例えば、音漏れ低減装置100は、接続部材(図示せず)をさらに含んでもよく、接続部材は、振動キャビティ140内に位置して、一端がハウジング130の内壁に接続され、他端が振動構造120(例えば、振動伝導部材122)に接続されてもよい。エネルギー変換構造110により発生する機械的振動は、ハウジング130に伝達することができ、ハウジング130の振動は、接続部材により振動構造120の振動伝導部材122に伝達することができ、さらに骨伝導音波は、振動パネル121によりユーザに伝達される。いくつかの実施例において、ハウジング130におけるハウジングの上面を封止するアセンブリを接続部材として、振動パネル121と振動伝導部材122とを接続することができ、さらなる部材を接続部材として増設する必要がなく、振動伝導効率を向上させるとともに、構造がコンパクトであるという利点を備える。
【0023】
いくつかの実施例において、ハウジング130は、一体成形されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング130は、嵌合、係止などの方式で組み立て形成されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング130は、金属材料(例えば、銅、アルミニウム、チタン、金など)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金など)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロンなど)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維など)などで製造されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング130の外部にシースが設置されてもよく、シースは、例えば、軟質シリコーンゴム、ゴムなど、一定の弾性を有する軟質材料で製造されてもよく、ユーザの快適なつけ心地を提供することができる。
【0024】
共振キャビティ150は、エネルギー変換構造110が振動キャビティ140内に生成した特定の周波数の音声を吸収することにより、音漏れ低減装置110において特定の周波数で発生した音漏れを抑制するために用いられる。
【0025】
例示的に、理解を容易にするために、共振キャビティ150を等価的にヘルムホルツ共鳴キャビティとしてもよく、振動キャビティ140内の音漏れ音波の周波数が共振キャビティ150の自己共振周波数と一致する場合に共振を発生させ、音漏れ音波が共振キャビティ150の内壁と互いに摩擦して音響エネルギーを消費し、吸音の目的を達成する。該ヘルムホルツ共鳴キャビティの中心周波数は、式(1)により算出することができる。
【0026】
【数1】
【0027】
ここで、fは、ヘルムホルツ共鳴キャビティの中心周波数を表し、rは、ヘルムホルツ共鳴キャビティの管路半径を表し、lは、ヘルムホルツ共鳴キャビティの管路長さを表し、Sは、ヘルムホルツ共鳴キャビティの管路断面積を表し、Vは、ヘルムホルツ共鳴キャビティの体積を表し、cは、空気における音声伝達速度を表す。
【0028】
いくつかの実施例において、ハウジング130の外部ハウジングに音逃し孔を設置することにより、振動キャビティ140内の音波をハウジング130から導出し、かつハウジング130の振動による音漏れ音波と干渉相殺して音漏れを低減してもよい。このような音漏れ低減方式は、ある程度で音漏れを低減するが、広い周波数範囲において、特定の周波数の音波に対する音漏れ低減効果が理想的ではない。振動キャビティ140の外部に共振キャビティ150をさらに増設し、かつ振動キャビティ140及び共振キャビティ150の構造及び設置方式を調整することにより、振動キャビティ140内の特定の周波数範囲における音波を個別対応的に吸収することができ、さらに音逃し孔から導出した音波を調整することにより、音逃し孔を設置した場合の音漏れ低減効果を改善する。いくつかの実施例において、ハウジング130の外部ハウジングに音逃し孔を設置しなくてもよく、この場合、共振キャビティ150が振動キャビティ140内の一部の音波を吸収するときに発生した振動が、ハウジング130の振動を調整することができ、同様にハウジング130の音漏れ低減効果を達成することができる。
【0029】
いくつかの実施例において、共振キャビティ150は、振動キャビティ140に加えて増設された共振空胴であってもよい。例えば、共振キャビティ150及び振動キャビティ140は、1つの側壁を共用し、側壁における1つ以上の連通孔160を介して音響的な連通を実現してもよい。いくつかの実施例において、共振キャビティ150は、振動キャビティ140から独立した共振空胴であってもよい。例えば、共振キャビティ150と振動キャビティ140はそれぞれ、独立した側壁を有し、互いに1つ以上の音導管を介して音響的な連通を実現する。いくつかの実施例において、共振キャビティ150は、1つの共振空胴又は複数の共振空胴を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動キャビティ140と共振キャビティ150との間に、又は共振キャビティ150の複数の共振空胴の間に、気導可能な連通を実現できる少なくとも1つの孔が設置される。例示的には、図1に示すように、共振キャビティ150と振動キャビティ140とを仕切りする側壁170に少なくとも1つの連通孔160(ヘルムホルツ共鳴キャビティの管路部と見なしてもよい)が設置されてもよく、少なくとも1つの連通孔160は、振動キャビティ140と共振キャビティ150との間の気導可能な連通を実現するために用いられる。別のいくつかの実施例において、共振キャビティ150は、他の任意の実施可能な共振空胴であってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0030】
いくつかの実施例において、共振キャビティ150のキャビティ壁(例えば側壁170)は、ハウジング130と同様な材料を用いてもよい。いくつかの実施例において、共振キャビティ150は、金属材料(例えば、銅、アルミニウム、チタン、金など)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金など)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロンなど)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維など)などで製造されてもよい。
【0031】
本願の実施例において、従来の振動キャビティの外部に共振キャビティを増設し、構造が具体的に設定される共振キャビティにより、振動キャビティ内の特定の周波数の音波を吸収又は相殺して、ハウジングの音漏れを低減するという効果を達成する。また、このような構造設定は、構造が簡単で、加工しやすいなどの利点を有する。
【0032】
いくつかの実施例において、共振キャビティ150は、特定の周波数の音漏れを低減し、即ち、特定の周波数範囲にある音波を吸収することができる。上記特定の周波数範囲にある音波は、20Hz~10000Hz(10kHz)の周波数範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、その周波数区間にある音漏れ低減効果を向上させるために、該特定の周波数範囲にある音波は、人間の耳が感知できる周波数区間、例えば、1kHz~3kHzなどの周波数範囲にあってもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、音漏れ低減装置100が多種の音響伝導シーンでの多種の音漏れ低減ニーズ(例えば、特定の周波数範囲における音漏れ低減など)を満たすことを実現するために、音漏れ低減装置100に対して多種の構造変換設置を行うことができる。いくつかの実施例において、少なくとも1つの共振キャビティ150は、複数の共振キャビティ150を含み、複数の共振キャビティ150が、振動キャビティ140の同じ側壁(図8に示す)又は異なる側壁(図9に示す)に設置され、かつ各共振キャビティ150と振動キャビティ140とが、少なくとも1つの連通孔160又は音導管を介して気導可能に連通してもよい。例えば、図1図7図11に示すように、共振キャビティ150の数を変更してもよく、共振キャビティ150の数は、1つであってもよく、複数であってもよく、共振キャビティ150の具体的な設置位置を変換してもよく、共振キャビティ150は、ハウジング130のいずれの側壁に設置されてもよく、異なる共振キャビティ150は、同じ側壁に設置されてもよく、異なる側壁に設置されてもよい。また例えば、連通孔160の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。いくつかの実施例において、異なる音漏れ低減ニーズに応じて、共振キャビティ150の空胴数、空胴の大きさ、空胴の具体的な設置位置、空胴同士の位置関係、及び空胴構造形状に対して、対応的に異なる設定を行ってもよく、本願の実施例は、これを特に限定しない。
【0034】
いくつかの実施例において、共振キャビティ150が目標周波数範囲内の音波を吸収できるように、式(1)及び振動キャビティ140の実際のサイズに基づいて、1つ(又は各)共振キャビティ150と振動キャビティ140との体積比が0.1以上であるようにすることで、共振キャビティ及び振動キャビティは、できる限り広い体積値の範囲においても、特定の周波数での音漏れ低減効果を達成することができる。いくつかの実施例において、各共振キャビティ150と振動キャビティ140との体積比が0.1~1であることにより、共振キャビティ及び振動キャビティは、広い体積値の範囲においても、特定の周波数での音漏れ低減効果を達成することもできる。共振キャビティが、可能な音漏れ周波数範囲をカバーして音波を吸収し、音漏れ低減効率を向上させるように、1つの共振キャビティ150と振動キャビティ140との体積比は、1/10~1/1に設定されてもよく、又は、単一の共振キャビティの体積もしくは複数の共振キャビティの総体積(例えば、第1共振キャビティ210もしくは第2共振キャビティ220、また例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)と振動キャビティ140の体積との体積比は、1/10~1/1に設定されてもよい。いくつかの実施例において、目標周波数範囲の選択に基づいて、1つの共振キャビティ150と振動キャビティ140との体積比は、1/8~2/3に設定されてもよく、又は、単一の共振キャビティの体積もしくは複数の共振キャビティの総体積(例えば、第1共振キャビティ210もしくは第2共振キャビティ220、また例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)と振動キャビティ140の体積との体積比は、1/8~2/3に設定されてもよい。いくつかの実施例において、共振キャビティの体積が適切なサイズ範囲にあることを同時に保証するために、1つの共振キャビティ150と振動キャビティ140との体積比は、1/5~1/2に設定されてもよく、又は、単一の共振キャビティの体積もしくは複数の共振キャビティの総体積(例えば、第1共振キャビティ210もしくは第2共振キャビティ220、また例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)と振動キャビティ140との体積比は、1/5~1/2に設定されてもよい。いくつかの実施例において、単一の共振キャビティもしくは複数の共振キャビティ(例えば、共振キャビティ150、第1共振キャビティ210もしくは第2共振キャビティ220、また例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の音漏れ低減周波数範囲は、式(1)に基づいて算出することができる。
【0035】
いくつかの実施例において、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの外壁に音逃し孔180を設置することにより、共振キャビティ150による音漏れ低減に加えて、振動キャビティ内の一部の音波をハウジング130の外部へ導出して、ハウジング130の振動でハウジング外の空気が駆動されることで形成された音漏れ音波と干渉することにより、音漏れの振幅をさらに減衰させ、音漏れをさらに低減することができる。ハウジングに孔をさらに設置するという利便な改善により、音漏れ低減効果をさらに最適化することができ、かつ構造の体積及び重量を増加させない。
【0036】
いくつかの実施例において、異なる音漏れ低減ニーズに応じて、連通孔160及び音逃し孔180の数、孔のサイズ及び孔同士のサイズ比、孔の設置位置及び/又は孔の構造形状(例えば、孔の構造形状が円孔又は角孔であり、また例えば、孔の構造形状が連通孔又は非連通孔であるなど)に対して、対応的に異なる設定を行ってもよい。例えば、連通孔160の直径Dと音逃し孔180の直径Dとの比率を1/2~2に設定し、連通孔160の管路長さLと音逃し孔180の管路長さLとの比率を1/2~2に設定してもよい。いくつかの実施例において、連通孔160又は音逃し孔180は、気導(即ち、空気伝導)連通孔であってもよい。いくつかの実施例において、連通孔160は、振動キャビティ140と共振キャビティ150との連通を実現する連通孔であってもよい。いくつかの実施例において、音逃し孔180は、ハウジング130のいずれか1つの外壁(振動キャビティ140又は共振キャビティ150のいずれか1つの外壁を含む)に設置された音導孔であってもよい。いくつかの実施例において、音漏れ音波を吸収する効果を保証するために、連通孔160及び/又は音逃し孔180は、遮断せずに貫通している孔であってもよい。いくつかの実施例において、音波の位相及び振幅を調整し、導出した音波を補正する効果を達成するために、連通孔160及び/又は音逃し孔180の開口部に減衰層が設置される。
【0037】
いくつかの実施例において、特定の周波数(例えば、1.5kHz)での音漏れ吸収効果を達成し、共振キャビティが目標周波数範囲内の音波を吸収できるようにするために、式(1)、振動キャビティ140及び共振キャビティの実際のサイズに基づいて、1つの連通孔160の面積又は複数の連通孔(例えば、複数の連通孔160、複数の第1連通孔231、複数の第2連通孔241、又は第1連通孔231及び第2連通孔241)の総面積は、0.05mm以上に設定されてもよく、それにより、連通孔の面積のできる限り広い範囲において、共振キャビティが、可能な音漏れ周波数範囲をカバーして音波を吸収し、音漏れ低減効率を向上させる。いくつかの実施例において、1つの共振キャビティ150の体積又は複数の共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の総体積は、6500mm以下に設定されてもよく、それにより、共振キャビティの体積のできる限り広い範囲において、共振キャビティが、可能な音漏れ周波数範囲をカバーして音波を吸収し、音漏れ低減効率を向上させる。いくつかの実施例において、1つの共振キャビティ150の体積又は複数の共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の総体積は、2100mm以下に設定されてもよく、それにより、共振キャビティの体積の広い範囲において、共振キャビティが、可能な音漏れ周波数範囲をカバーして音波を吸収し、音漏れ低減効率を向上させる。
【0038】
いくつかの実施例において、1つの連通孔160の直径又は複数の連通孔(例えば、複数の連通孔160、複数の第1連通孔231、複数の第2連通孔241、又は第1連通孔231及び第2連通孔241)の総直径は、0.1mm~10mmに設定されてもよく、1つの共振キャビティ150の体積又は複数の共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の総体積は、65mm~6500mmに設定されてもよく、それにより、共振キャビティが、広い音漏れ周波数範囲をカバーして音波を吸収して、音漏れ低減効率を向上させる。いくつかの実施例において、目標周波数範囲の選択に基づいて、少なくとも1つの連通孔160の直径又は複数の連通孔(例えば、複数の連通孔160、複数の第1連通孔231、複数の第2連通孔241、又は第1連通孔231及び第2連通孔241)の総直径は、0.2mm~5mmに設定されてもよく、1つの共振キャビティ150の体積又は複数の共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の総体積は、80mm~3000mmに設定されてもよい。いくつかの実施例において、連通孔及び共振キャビティのサイズが適切なサイズ範囲にあることを同時に保証するために、少なくとも1つの連通孔160の直径又は複数の連通孔(例えば、複数の連通孔160、複数の第1連通孔231、複数の第2連通孔241、又は第1連通孔231及び第2連通孔241)の総直径は、0.5mm~3mmに設定されてもよく、1つの共振キャビティ150の体積又は複数の共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)の総体積は、100mm~1000mmに設定されてもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、異なる音漏れ低減ニーズを満たすために、振動構造120に対して多種の変換設定、例えば、振動構造120とハウジング130との間隔の変換設定、また例えば、振動構造120の構造形状又は大きさ及び面積の変換設定などを行ってもよく、具体的な設定形態は、図14における対応する内容の説明を参照してもよく、ここでは、説明を省略する。
【0040】
以下、一部の例示的な形態により、本願の実施例に係る音漏れ低減装置をさらに説明する。
【0041】
図2図4は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。
(実施例1)
【0042】
図2に示すように、音漏れ低減装置200のハウジング130内に1つの振動キャビティ140及び1つの共振キャビティ150が設置され、振動キャビティ140と共振キャビティ150との間の側壁170に、両者の気導可能な連通を実現するために、1つの連通孔160が設置され、ハウジング130の外壁に1つの音逃し孔180がさらに設置されている。いくつかの実施例において、対応する目標周波数範囲の選択に基づいて、音逃し孔180は、ハウジング130のいずれか1つの外壁に設置され、即ち、外壁131に設置されてもよく、外壁132又は外壁133に設置されてもよい。いくつかの実施例において、対応する目標周波数範囲の選択に基づいて、音逃し孔180は、ハウジングのいずれか1つの外壁におけるいずれかの位置、例えば、外壁の中間位置又は縁部の位置にあってもよい。いくつかの実施例において、音逃し孔180が共振キャビティ150の、側壁170に対向する外壁(即ち、図2に示す外壁131)に設置されている場合、対応する目標周波数範囲の選択に基づいて、音逃し孔180と連通孔160とは、図2に示すようにずらして設置されてもよく、対向して設置されてもよい(即ち、ずらさずに設置される)。いくつかの実施例において、対応する目標周波数範囲を満たすために、連通孔160のサイズ、音逃し孔180のサイズ又は両者のサイズ比例関係に対して、様々な変換設定を行ってもよく、音逃し孔180の直径は、連通孔160の直径より大きく設定されてもよく、例えば、音逃し孔180と連通孔160との直径比を3:2に設定することにより、共振キャビティ150が連通孔160により特定の周波数の音波を吸収した上で、予期される一部の音波をハウジング130の外部に、より効果的に導出することができる。
【0043】
(実施例2)
図3に示すように、音漏れ低減装置300のハウジング130内に1つの振動キャビティ140及び1つの共振キャビティ150が設置され、振動キャビティ140と共振キャビティ150との間の側壁170に、両者の気導可能な連通を実現するために1つの連通孔160が設置され、ハウジング130の外壁に2つの音逃し孔180、181がさらに設置されている。音逃し孔180及び音逃し孔181のそれぞれの具体的な位置設定は、実施例1に係る音逃し孔180と類似し、具体的には、上記実施例1の関連説明を参照してもよく、ここでは、説明を省略する。いくつかの実施例において、対応する目標周波数範囲を満たすために、連通孔160のサイズ、音逃し孔180のサイズ、音逃し孔181のサイズ又は三者のサイズ比例関係に対して、様々な変換設定を行ってもよく、例えば、音逃し孔180のサイズ、音逃し孔181のサイズ及び実施例1における単一の音逃し孔180のサイズを設定することにより、同じ目標周波数の音波に対する吸収又は異なる目標周波数の音波に対する吸収を実現することができる。
【0044】
(実施例3)
図4に示すように、音漏れ低減装置400のハウジング130内に1つの振動キャビティ140及び1つの共振キャビティ150が設置され、振動キャビティ140と共振キャビティ150との間の側壁170に、両者の気導可能な連通を実現するために1つの連通孔160が設置され、ハウジング130の外壁に3つの音逃し孔180、181、182がさらに設置されている。音逃し孔180、音逃し孔181及び音逃し孔182のそれぞれの具体的な位置設定は、実施例1に係る音逃し孔180と類似し、具体的には、上記実施例1の関連説明を参照してもよく、ここでは、説明を省略する。いくつかの実施例において、対応する目標周波数範囲を満たすために、連通孔160のサイズ、音逃し孔180のサイズ、音逃し孔181及び音逃し孔182のサイズ又は四者のサイズ比例関係に対して、様々な変換設定を行ってもよく、例えば、音逃し孔180のサイズ、音逃し孔181のサイズ及び実施例1における単一の音逃し孔180のサイズ又は実施例2の音逃し孔180のサイズ及び音逃し孔181のサイズを設定することにより、同じ目標周波数範囲の同等設定又は異なる目標周波数範囲の個別設定を実現することができる。
【0045】
図5は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。ここで、横座標は、音漏れ周波数を表し、単位がHzであり、縦座標は、音漏れの音圧レベルを表し、単位がdBである。例示的に、測定条件としては、イヤホンコアのサンプルが宙吊り状態にあり、かつ集音マイクが耳の後にあり、測定位置が、宙吊り状態で振動構造のパネルの前方へ35mmである。なお、ここでの図5及び本願に係る全ての音漏れグラフ及びその測定条件は、例示的に説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0046】
図5に示すように、図1に示す音漏れ低減装置100について、測定された音漏れ低減曲線511から分かるように、特定の周波数範囲(例えば、2kHz~2.5kHz、5kHz~6kHz)において谷領域が形成され、該特定の周波数範囲において高い音漏れ低減効果を有することを示唆しており、図2に示す音漏れ低減装置200について、測定された音漏れ低減曲線512から分かるように、特定の周波数範囲(例えば、2.5kHz~3.5kHz)において谷領域が形成され、該特定の周波数範囲において高い音漏れ低減効果を有することを示唆しており、図3に示す音漏れ低減装置300について、測定された音漏れ低減曲線513から分かるように、特定の周波数範囲(例えば、3.5kHz~4.5kHz)において谷領域が形成され、該特定の周波数範囲において高い音漏れ低減効果を有することを示唆しており、図4に示す音漏れ低減装置400について、測定された音漏れ低減曲線514から分かるように、特定の周波数範囲(例えば、5.5kHz~6kHz)において谷領域が形成され、該特定の周波数範囲において高い音漏れ低減効果を有することを示唆している。
【0047】
これにより、図2図4に示す音漏れ低減装置はいずれも、特定の周波数範囲における音漏れ低減効果を達成し、さらに、その振動キャビティ、共振キャビティ、連通孔及び音逃し孔の対応する構造設定によって、音波の吸収を実現する特定の周波数範囲も異なる、という結論を下すことができ、また、図2図4に示す構造変換設置に基づいて、例示的に、特定の周波数帯(例えば、2kHz~6kHz)において、他の構造設定が変化せず、ハウジング130の外壁に設置された音逃し孔の数が多いほど、音漏れ低減を実現する目標周波数が高くなるという結論を下すことができる。
【0048】
他のいくつかの実施例において、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの構造パラメータ(空胴構造形状、空胴の大きさ、空胴同士の体積比、空胴の具体的な位置、空胴同士の位置関係など)、及び/又は連通孔及び/又は音逃し孔の構造パラメータ(孔の形状、孔の数、孔の大きさなど)を変更して音漏れ低減の個別設定を行うことにより、異なる構造パラメータ設定での音漏れ低減装置は、それぞれの異なる周波数範囲における音漏れ低減効果を達成するか、又は同じ周波数範囲における音漏れ低減効果を向上させることができ、例えば、側壁における1つの連通孔のサイズを増加させることにより、小さいサイズを有する2つの連通孔又はより多くの連通孔の設置を代替することができ、その逆も同様である。
【0049】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。図6に示すように、測定された音漏れ低減曲線から分かるように、音漏れ低減装置の例示的な構造61に対応する音漏れ低減曲線611は、5.5kHz~6.5kHzにおいて谷領域が形成され、この場合の共振キャビティが該周波数範囲における音波を吸収でき、対応する音漏れ低減効果を達成していることを示唆しており、音漏れ低減装置の例示的な構造62に対応する音漏れ低減曲線621は、5kHz~6kHzにおいて谷領域が形成され、この場合の共振キャビティが該周波数範囲における音波を吸収でき、対応する音漏れ低減効果を達成していることを示唆しており、音漏れ低減装置の例示的な構造63に対応する音漏れ低減曲線631は、3.7kHz~4.2kHzにおいて谷領域が形成され、この場合の共振キャビティが該周波数範囲における音波を吸収でき、対応する音漏れ低減効果を達成していることを示唆している。これにより、例示的な構造61、62、63の特定の構造パラメータを調整する(音逃し孔の設置数を増加させ、空胴の体積又は体積比を変更する)ことにより、異なる特定の周波数範囲における音漏れ低減効果を達成することができる。
【0050】
他のいくつかの実施例において、振動キャビティの体積を直接増加又は減少させることにより体積比を変更する(共振キャビティの体積を調整するか、又は振動キャビティ及び共振キャビティの体積を共に調整してもよい)以外、外壁に孔を設置するという方式により振動キャビティ及び共振キャビティに対して等価な体積設定を行うことができる。例示的に、また図6において、音漏れ低減装置の例示的な構造62は、例示的な構造63に比べて、他の構造パラメータが同じであるが、振動キャビティの体積が減少しており、例示的な構造63が3.7kHz~4.2kHzの周波数範囲において音波の吸収を実現する(それにより該周波数範囲における音漏れの低減を実現する)ことに比べて、例示的な構造62により実現される吸音周波数、即ち、5kHz~6kHzという周波数範囲の属する周波数帯は高くなり、さらに、音漏れ低減装置の例示的な構造61は、例示的な構造62に比べて、他の構造パラメータが同じであるが、音逃し孔が増設されており、例示的な構造62が5kHz~6kHzの周波数範囲における吸音を実現することに比べて、例示的な構造61により実現される吸音周波数、即ち、5.5kHz~6.5kHzという周波数範囲の属する周波数帯もさらに高くなる。これにより、特定の周波数帯(例えば、3.5kHz~6.5kHz)において、振動キャビティの体積が大きいほど、対応する音漏れ低減効果を達成する周波数範囲が高くなる。
【0051】
異なる音漏れ低減装置の構造にすることにより、多種の異なる周波数範囲における音漏れ低減ニーズを実現することができ、例えば、特定のスピーカー又はイヤホンの構造設定において、一般的に人間の耳が感知できる音声周波数範囲(例えば、5kHzより小さい)において高い音漏れ低減効果を達成することが望まれるが、実施例1に係る音漏れ低減装置200により実現される周波数範囲(例えば、2.5kHz~3.5kHz)及び実施例2に係る音漏れ低減装置300により実現される周波数範囲(例えば、3.5kHz~4.5kHz)はいずれも、人間の耳が感知できる周波数範囲に属するため、実施例1及び実施例2に係る音漏れ低減装置の構造形態(他の実施可能な同価な構造を含む)を選択することにより、高い音漏れ低減効果を達成することができる。
【0052】
図7図9は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。図10は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
【0053】
(実施例4)
図7に示すように、音漏れ低減装置700は、第1共振キャビティ210及び第2共振キャビティ220が設置されており、第1共振キャビティ210は、振動キャビティ140の第1側壁230に設置され、第1側壁230における第1連通孔231を介して振動キャビティ140と気導可能に連通し、第2側壁240における第2連通孔241を介して第2共振キャビティ220と気導可能に連通する。
【0054】
いくつかの実施例において、音漏れ低減をしたい特定の周波数範囲の属する周波数帯を取得するために、2つの共振キャビティのそれぞれの体積又は体積比、2つの共振キャビティの総体積と振動キャビティとの体積比、連通孔の数、単一の共振キャビティの直径又は総直径、単一の連通孔の管路長さ又は総管路有効長さ、及び、連通孔同士の様々なサイズパラメータの比率、などの構造パラメータについて、対応する変換設定を行うことができる。例示的に、そのうちの1つの共振キャビティの体積又は2つの共振キャビティの総体積と振動キャビティとの体積比を増加させることにより、音漏れ低減の特定の周波数範囲の属する周波数帯を実現することができる。また、他の実施例において、具体的に、任意の可能な変換設定構造を用いてもよく、ここでは、一々列挙しない。
【0055】
(実施例5)
図8に示すように、音漏れ低減装置800は、いずれも振動キャビティ140の第1側壁230に設置された第1共振キャビティ210及び第2共振キャビティ220が設置されており、第1共振キャビティ210は、第1側壁230における第1連通孔231を介して振動キャビティ140と気導可能に連通し、第2共振キャビティ220は、第1側壁230における第3連通孔232を介して振動キャビティ140と気導可能に連通する。
【0056】
いくつかの実施例において、音漏れ低減をしたい特定の周波数範囲の属する周波数帯を取得するために、2つの共振キャビティのそれぞれの体積又は体積比、2つの共振キャビティの総体積と振動キャビティとの体積比、連通孔の数、直径又は総直径、単一の連通孔の管路長さ又は総管路有効長さ、及び、連通孔同士の様々なサイズパラメータの比率、などの構造パラメータについて、対応する変換設定を行うことができる。例示的に、ある共振キャビティの体積又は2つの共振キャビティの総体積と振動キャビティとの体積比を減少させることにより、特定の周波数帯の音漏れの低減を実現することができる。また、他の実施例において、具体的に、任意の可能な変換設定構造を用いてもよく、ここでは、一々列挙しない。
【0057】
(実施例6)
図9に示すように、音漏れ低減装置900は、第3共振キャビティ310及び第4共振キャビティ320を含み、第3共振キャビティ310は、振動キャビティ140の第1側壁230に設置され、第1側壁230における第1連通孔231を介して振動キャビティ140と気導可能に連通し、第4共振キャビティ320は、振動キャビティ140の第3側壁330に設置され、第3側壁330における第4連通孔331を介して振動キャビティ140と気導可能に連通する。
【0058】
図10に示すように、音漏れ低減曲線1011は、振動キャビティのみが設置されており、共振空胴が設置されていない初期構造で測定されるものであり、音漏れ低減曲線1012は、図9に示す音漏れ低減装置で測定されるものである。測定された音漏れ低減曲線1012、1011の比較から分かるように、音漏れ低減装置900の2つの共振キャビティが振動キャビティの異なる側壁に並列設置される構造は、特定の周波数範囲(例えば、1.9kHz~2.4kHz、2.7kHz~3.2kHz、4.5kHz~5kHz)において谷領域が形成され、そのうち、特定の周波数範囲(例えば、1.9kHz~2.4kHz)の音漏れ低減谷領域は、第4共振キャビティ320の設置により生成されるものであり、特定の周波数範囲(例えば、2.7kHz~3.5kHz)の音漏れ低減谷領域は、第3共振キャビティ310の設置により生成されるものであり、特定の周波数範囲(例えば、4.5kHz~5kHz)において、振動キャビティ140と第3共振キャビティ310との間の第1側壁230における第1連通孔231の増設のため、振動キャビティ140の谷領域は、連通孔が設置される前に比べて、音漏れ低減谷領域の深さ及び特定の周波数範囲がいずれも変化し、これは、複数の特定の周波数範囲において、いずれも顕著な音漏れ低減効果を達成することを示唆している。
【0059】
他のいくつかの実施例において、図10に示す音漏れ低減効果から分かるように、振動キャビティ(例えば、振動キャビティ140)又は共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320)のそれぞれ又は総体的な構造の組み合わせ設置により、対応する音漏れ低減周波数範囲を実現することができる。例えば、ある特定の周波数範囲(例えば、1.5kHz~3kHz)に集中してその音漏れ低減効果を向上させるために、振動キャビティ及び/又は共振キャビティに対して、体積の大きさ又は連通孔のサイズの対応する構造設定を行うことにより、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの音漏れ低減谷領域を、狭い特定の周波数範囲の属する周波数帯にすることができ、即ち、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの間の音漏れ低減周波数の差値が狭い差値範囲にあり、例えば、互いの差値がいずれも0.1kHz~0.3kHz区間に分布し、また例えば、広い特定の周波数範囲(例えば、1kHz~5kHz)を取得するために、振動キャビティ及び/又は共振キャビティに対して、体積の大きさ又は連通孔のサイズの対応する構造設定を行うことにより、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの音漏れ低減谷領域を、この広い周波数範囲の属する周波数帯に相対的に分散させるか又は均一に分布させることができ、例えば、第4共振キャビティ320により生成される谷領域の属する周波数範囲が1kHz~2.5kHzの周波数帯にあり、第3共振キャビティ310により生成される谷領域の属する周波数範囲が2.5kHz~4kHzの周波数帯にあり、振動キャビティ140により生成される谷領域の属する周波数範囲が4kHz~5kHzの周波数帯にある。
【0060】
他のいくつかの実施例において、音漏れ低減の特定の周波数範囲の属する周波数帯を向上又は低下させたければ、2つの共振キャビティの異なる側壁での位置変換、2つの共振キャビティのそれぞれの体積又は体積比、2つの共振キャビティの総体積と振動キャビティとの体積比、連通孔の数、直径又は総同等直径、連通孔の管路長さ又は総管路有効長さ、及び、連通孔同士の様々なサイズパラメータの比率、などの構造パラメータについて、対応する変換設定を行うことができる。例示的に、音漏れ低減装置の振動パネル121に近接する側壁に設置された共振キャビティ(例えば、図9に示す第4共振キャビティ320)の体積を増加させることにより、音漏れ低減周波数範囲の属する周波数帯を低下させることができる。また、他のいくつかの実施例において、具体的に、任意の可能な変換設定構造を用いてもよく、ここでは、一々列挙しない。
【0061】
他のいくつかの実施例において、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの構造パラメータ(空胴の数、空胴構造形状、空胴の大きさ、振動キャビティと共振キャビティとの体積比、空胴の具体的な位置、空胴同士の位置関係など)、及び/又は連通孔及び/又は音逃し孔の構造パラメータ(孔の形状、孔の数、孔の大きさなど)を変更して音漏れ低減効果を調整してもよい。
【0062】
音漏れ低減装置のこのような異なる構造変換設定により、多種の異なる周波数範囲における音漏れ低減需要を満たすことができる実施可能なスキームを提供し、かつより細かい具体的な音漏れ低減ニーズに応じて、対応する同等又は変換構造設定を行うことができ、音漏れ低減性能を大幅に最適化し、ユーザの多様な需要を満たす。
【0063】
図11は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。図12は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。
【0064】
(実施例7)
図11に示すように、音漏れ低減装置1100は、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340が設置されており、第3共振キャビティ310は、振動キャビティ140の第1側壁230に設置され、第1側壁230における第1連通孔231を介して振動キャビティ140と気導可能に連通し、第4共振キャビティ320は、振動キャビティ140の第3側壁330に設置され、第3側壁330における第4連通孔331を介して振動キャビティ140と気導可能に連通し、第5共振キャビティ340は、振動キャビティ140の第4側壁350に設置され、第4側壁350における第5連通孔351を介して振動キャビティ140と気導可能に連通する。図12に示すように、音漏れ低減曲線1201は、振動キャビティのみが設置されており、共振空胴が設置されていない初期構造で測定されたものであり、音漏れ低減曲線1202は、図9に示す音漏れ低減装置で測定されたものである。図12に示す音漏れ測定効果によれば、測定された音漏れ低減曲線1201、1202の比較から分かるように、複数の特定の周波数範囲(例えば、1.4kHz~1.6kHz、2.3kHz~2.7kHz、3.4kHz~3.8kHz、4.3kHz~4.7kHz)において複数の谷領域が形成され、そのうち、特定の周波数範囲(例えば、1.4kHz~1.6kHz)における音漏れ低減谷領域は、第3共振キャビティ310の設置により生成されるものであり、特定の周波数範囲(例えば、2.3kHz~2.7kHz)における音漏れ低減谷領域は、第4共振キャビティ320の設置により生成されるものであり、特定の周波数範囲(例えば、3.4kHz~3.8kHz)における音漏れ低減谷領域は、第5共振キャビティ340の設置により生成されるものであり、振動キャビティ140と第3共振キャビティ310との間の第1側壁230における第1連通孔231の増設のため、振動キャビティ140の谷領域は、連通孔が設置されていない場合に比べて、音漏れ低減谷領域の深さ及び特定の周波数範囲がいずれも変化し、これは、複数の特定の周波数範囲において、いずれも顕著な音漏れ低減効果を達成することを示唆し、これは、上記実施例5に係る音漏れ低減装置900に比べて、特定の周波数帯(例えば、1kHz~5kHzの周波数範囲)において、音漏れ低減の周波数範囲は、より低い周波数帯になる傾向があり、周波数帯の分布がより全面的であり、低い周波数帯での音漏れ低減効果がより顕著であるという特徴を有する。
【0065】
他のいくつかの実施例において、図12に示す音漏れ低減効果から分かるように、振動キャビティ(例えば、振動キャビティ140)又は共振キャビティ(例えば、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320、第5共振キャビティ340)のそれぞれ又は総体的な構造の組み合わせ設置により、対応する音漏れ低減周波数範囲を実現することができる。例えば、ある特定の周波数範囲(例えば、1kHz~3kHz)に集中してその音漏れ低減効果を向上させるために、振動キャビティ及び/又は共振キャビティに対して、体積の大きさ又は連通孔のサイズの対応する構造設定を行うことにより、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの音漏れ低減谷領域を、狭い特定の周波数範囲の属する周波数帯にすることができ、即ち、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの間の音漏れ低減周波数の差値が狭い差値範囲にあり、例えば、互いの差値がいずれも0kHz~0.2kHz区間に分布し、また例えば、広い特定の周波数範囲(例えば、1kHz~6kHz)を取得するために、振動キャビティ及び/又は共振キャビティに対して、体積の大きさ又は連通孔のサイズの対応する構造設定を行うことにより、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの音漏れ低減谷領域を、この広い周波数範囲の属する周波数帯に相対的に分散させるか又は均一に分布させることができ、例えば、第3共振キャビティ310により生成される谷領域の属する周波数範囲が1kHz~2kHzの周波数帯にあり、第4共振キャビティ320により生成される谷領域の属する周波数範囲が2kHz~3.5kHzの周波数帯にあり、第5共振キャビティ340により生成される谷領域の属する周波数範囲が3.5kHz~5kHzの周波数帯にあり、振動キャビティ140により生成される谷領域の属する周波数範囲が5kHz~6kHzの周波数帯にある。
【0066】
他のいくつかの実施例において、音漏れ低減の特定の周波数範囲の属する周波数帯を向上又は低下させたければ、3つの共振キャビティの異なる側壁での位置変換、3つの共振キャビティのそれぞれの体積又は体積比、2つの共振キャビティの総体積又は同等体積と振動キャビティとの体積比、連通孔の数、直径又は総同等直径、連通孔の管路長さ又は総管路有効長さ、及び、連通孔同士の様々なサイズパラメータの比率、などの構造パラメータについて、対応する変換設定を行うことができる。例示的に、図11に示すように、第4共振キャビティ320の体積が第5共振キャビティ340の体積に比べてより大きい場合、他の構造パラメータが変化せず、振動キャビティの体積を増加させることにより、音漏れ低減周波数範囲を示す谷の属する周波数帯が低い周波数帯になる。また、他のいくつかの実施例において、具体的に、任意の可能な変換設定構造を用いてもよく、ここでは、一々列挙しない。
【0067】
他のいくつかの実施例において、振動キャビティ及び/又は共振キャビティの構造パラメータ(空胴の数、空胴構造形状、空胴の大きさ、振動キャビティと共振キャビティとの体積比、空胴の具体的な位置、空胴同士の位置関係など)、及び/又は連通孔及び/又は音逃し孔の構造パラメータ(孔の形状、孔の数、孔の大きさなど)を変更して音漏れ低減効果を調整してもよい。
【0068】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフであり、共振キャビティを有する多種の変換構造設定について示しており、具体的に、直列接続となる1つのキャビティ(図1に示す)、直並列接続となる2つのキャビティ(図9に示す)及び直並列接続となる3つのキャビティ(図11に示す)を有する例示的な構造を含む。共振キャビティがない設置構造による音漏れ低減効果に比べて、共振キャビティの、直列接続となる1つのキャビティ、直並列接続となる2つのキャビティ又は直並列接続となる3つのキャビティのいずれかの増設により形成された谷領域はいずれも、1.5kHz~5kHzの周波数範囲内に分布し、共振キャビティが設置されていない構造に比べて、音漏れ低減の音圧レベルがいずれも25dB以上に達し、多くとも30dBに達することができ、共振キャビティを有する各種の対応する構造設定はいずれも、必要に応じて、相応の音漏れ周波数範囲に対応して、多種の作業シーンでの音漏れ低減需要を満たす。
【0069】
いくつかの実施例において、本願の実施例に係る共振キャビティ(例えば、図1図4の共振キャビティ150、図7図9図11の第1共振キャビティ210、第2共振キャビティ220、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340など)は、振動キャビティ140の内部に設置され、少なくとも1つのバッフル及びハウジング130の内壁で形成された空胴構造であってもよい。いくつかの実施例において、上記共振キャビティは、1つ(又は1枚)のバッフルとハウジング130の3側の内壁とで形成された空胴構造であってもよい。いくつかの実施例において、上記共振キャビティは、2つ(又は2枚)のバッフルとハウジング130の2側の内壁とで形成された空胴構造であってもよい。いくつかの実施例において、上記共振キャビティは、1つの一体成形されたバッフルとハウジング130の1側の内壁とで形成された空胴構造であってもよく、例えば、一体成形されたバッフルは、中空直方体、中空立方体などであってもよい。いくつかの実施例において、上記共振キャビティは、開口部を有する非閉鎖空胴であってもよい。
【0070】
図14は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。いくつかの実施例において、本願の実施例に係る共振キャビティ(例えば、図1図4の共振キャビティ150、図7図9図11の第1共振キャビティ210、第2共振キャビティ220、第3共振キャビティ310、第4共振キャビティ320及び第5共振キャビティ340)は、図14に示す共振キャビティのような構造に変換してもよい。音漏れ低減装置1400において、1つ以上の共振空胴(例えば、共振空胴191、192、196)は、振動キャビティ140の内壁(又はハウジング130の内壁)に設置された複数のバッフル190の構造又はピラー構造と振動キャビティ140の内壁とで構成された(例えば、共振空胴191)非閉鎖空胴であってもよい。特定の周波数の音漏れ低減需要に応じて、バッフル190の数、高さh、共振空胴の幅sは、対応する数値範囲内の値にすることができる。いくつかの実施例において、異なる共振空胴(例えば、共振空胴191、192、196)のバッフル190の高さh及び共振空胴の幅sは同じであっても異なってもよい。いくつかの実施例において、異なる共振空胴(例えば、共振空胴191、192、196)により実現される音漏れ低減の特定の周波数は同じであっても異なってもよい。いくつかの実施例において、バッフル190は、振動キャビティ140のいずれか1つの内壁(又はハウジング130のいずれか1つの内壁)、例えば図14に示す振動キャビティ140のバッフル190が設置された内壁の以外の内壁に設置されてもよい。なお、ここでの共振キャビティの変形構造は、例示的なものに過ぎず、本願の発明の構想範囲において、さらに、対応する特定の周波数の音漏れ低減効果を達成する他の変換又は変形構造をなすことができ、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0071】
図15は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の概略構成図である。図15に示すように、振動構造120の振動パネル121とハウジング130との間は、所定の間隔dを有してもよい。いくつかの実施例において、所定の間隔dとは、振動パネル121の上面とハウジング130の側壁123の外面との間の距離を指す。所定の間隔dの大きさは、振動伝導部材122のハウジング130の外部にある高さを調整することにより調整されてもよい。振動伝導部材122の高さとは、振動伝導部材122のY軸方向、即ち、エネルギー変換構造110の振動方向における高さを指す。いくつかの実施例において、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dは、振動構造120とハウジング130との間の開口部(又は隙間)の大きさに影響を与えることができる。いくつかの実施例において、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dの大きさは、振動構造120とハウジング130との間の開口部の大きさと正相関がある。具体的には、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dは大きいほど、振動構造120とハウジング130との開口部のサイズが大きくなり、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dは小さいほど、振動構造120とハウジング130との開口部のサイズが小さくなる。
【0072】
いくつかの実施例において、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔d、振動構造120とハウジング130との間の開口部のサイズを変換設定することにより、音漏れ低減装置1500に対する付加的な音漏れ低減影響を調整することができる。具体的には、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dが大きいほど、振動構造120とハウジング130との間の孔のサイズが大きくなり、音漏れ低減装置100の音漏れ低減能力が高くなる。これに基づいて、音漏れ低減装置1500に対する付加的な音漏れ低減影響を調整することにより音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果を異なる程度で向上させるために、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔dは、相対的に広い範囲区間にしてもよい。いくつかの実施例において、音漏れ試験に合格する製品の要件に基づいて、所定の間隔dの範囲は、0.5mm~4mmにある。いくつかの実施例において、より適切な音漏れ低減効果を達成するために、所定の間隔dの範囲は、1mm~3mmにある。
【0073】
図16は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。音漏れ曲線1601は、第1所定の間隔を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示し、音漏れ曲線1602は、第2所定の間隔を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示し、音漏れ曲線1603は、第3所定の間隔を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示す。ここで、第1所定の間隔は、第2所定の間隔より小さく、第2所定の間隔は、第3所定の間隔より小さい。音漏れ曲線1601、音漏れ曲線1602及び音漏れ曲線1603を比較して分かるように、特定の周波数範囲(例えば、4kHz~6kHz)において、音漏れ曲線1601の音漏れ低減周波数範囲が最も広く、音漏れ曲線1602はその次、音漏れ曲線1603はほとんど音漏れ低減効果を向上させていない。第1間隔、第2間隔、及び第3間隔でそれぞれ設置された音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果が高から低になると理解してもよい。上記分析から分かるように、特定の周波数範囲かつ製品の要件を満たす特定の間隔範囲において、振動パネル121とハウジング130との間の所定の間隔が大きいほど、音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果が高くなる。
【0074】
図15を参照すると、いくつかの実施例において、振動パネル121の面積及び形状は、音漏れ低減装置1500の音漏れの大きさに影響を与え、音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果に影響を与えることができる。具体的には、振動パネル121の面積が大きいほど、音漏れ低減装置の音漏れ低減効果が低くなる。いくつかの実施例において、振動パネル121は、人体部位(例えば、顔部)と接触し、音声は、振動パネル121によりユーザに伝達されてもよい。振動パネル121の面積が大きいほど、振動パネル121とユーザの身体部位との接触面積が大きくなり、受信された振動音声が大きいほど、振動パネル121により発生する音漏れも大きくなる。これに基づいて、音漏れ低減装置1500の音漏れ低減性能を向上させるために、振動パネル121の面積を小さくしてもよい。いくつかの実施例において、振動パネル範囲が広く、かつ音漏れ試験に合格する製品の要件を満たすために、振動パネル121の面積は、9mm~700mmであってもよい。いくつかの実施例において、より適切な音漏れ低減効果を達成するために、振動パネル121の面積は、25mm~330mmであってもよい。
【0075】
いくつかの実施例において、振動パネル121の形状は、円形、長方形、楕円形、五角形などの規則的及び/又は不規則な形状であってもよい。なお、音漏れ低減装置1500は、振動パネル121を含まなくてもよく、振動伝導部材122は、人体部位と接触し、エネルギー変換構造110により発生する振動は、振動伝導部材122によりユーザに直接伝達されて、振動構造120とユーザとの接触面積を減少させ、さらに音漏れ低減装置1500の音漏れを低減する。
【0076】
図17は、本願のいくつかの実施例に係る音漏れ低減装置の音漏れグラフである。音漏れ曲線1701は、第1振動パネル面積を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示し、音漏れ曲線1702は、第2振動パネル面積を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示し、音漏れ曲線1703は、第3振動パネル面積を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示し、音漏れ曲線1704は、第4振動パネル面積を有する音漏れ低減装置の音漏れ曲線を示す。ここで、振動パネル面の大きい順から、第1振動パネル面積、第2振動パネル面積、第3振動パネル面積、及び第4振動パネル面積となる。音漏れ曲線1701、音漏れ曲線1702、音漏れ曲線1703及び音漏れ曲線1704を比較することにより分かるように、特定の周波数範囲(例えば、3kHz~5kHz)において、音漏れ曲線1701の音漏れ低減効果が最も低く、音漏れ曲線1702がまし、音漏れ曲線1703がさらにまし、音漏れ曲線1704の音漏れ低減効果が最も高い。音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果が高い順から、音漏れ曲線1704、音漏れ曲線1703、音漏れ曲線1702、及び音漏れ曲線1701となると理解してもよい。上記分析から分かるように、特定の周波数範囲及び製品の要件を満たす特定の振動パネル面積の大きさ範囲において、振動パネル121の面積が小さいほど、振動パネル121とユーザの身体部位との接触面積が小さくなり、音漏れ低減装置1500の音漏れ低減効果が高くなる。
【0077】
図18は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。図18に示すように、音響出力装置1800は、エネルギー変換構造110、振動構造120及びハウジング130を含んでもよい。図18に示す音響出力装置は、上記いずれか1つの音漏れ低減装置(例えば、音漏れ低減装置100、音漏れ低減装置200、音漏れ低減装置300など)を含んでもよい。音響出力装置1800における1つ以上のアセンブリは、上記音漏れ低減装置における1つ以上のアセンブリ1つ以上の部品、例えば、ハウジング130、振動キャビティ140、共振キャビティ150及び連通孔160などと同じ又は類似であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、音響出力装置1800は、スピーカーであってもよい。いくつかの実施例において、スピーカーは、骨伝導スピーカー、気導スピーカー又は骨伝導及び気導を組み合わせたスピーカーであってもよい。他のいくつかの実施例において、スピーカーは、他の任意の実施可能なスピーカーであってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0079】
いくつかの実施例において、骨伝導スピーカーを例として、音響出力装置1800は、音声信号を様々な周波数の機械的振動に変換する装置であってもよい。例えば、音響出力装置1800は、イヤホン(例えば、骨伝導イヤホンなど)、補聴器(例えば、骨伝導補聴器など)などであってもよい。音響出力装置1800のエネルギー変換構造110は、音声信号を機械的振動に変換することができ、振動構造120は、一端がエネルギー変換構造110に直接的又は間接的に接続され、かつエネルギー変換構造110の機械的振動に基づいて振動する。振動構造120の他端は、ユーザの身体部位と直接的又は間接的に接触して、機械的振動をユーザの身体部位(例えば、頭蓋骨、骨迷路など)によりユーザの聴覚中枢に伝達し、ユーザは、骨伝導音波を感じる。いくつかの実施例において、イヤホンは、ヘッドホン、耳掛け型イヤホン、ネック型ヘッドホン、カナル型イヤホン、開放型イヤホン、ワイヤレスイヤホン、耳覆い型イヤホン、首掛け型イヤホン、ネックバンド型イヤホン又はメガネ型イヤホンなどであってもよく、本願の実施例は、上記イヤホンの具体的な構造形態を特に限定しない。
【0080】
いくつかの実施例において、振動構造120は、振動パネル121及び振動伝導部材122を含んでもよい。振動パネル121は、振動構造120のエネルギー変換構造110から離れた一端に位置し、振動伝導部材122は、振動構造120のエネルギー変換構造110に近接する一端に位置し、振動パネル121は、振動伝導部材122に接続される。ハウジング130の側壁123に開口部が設置されてもよく、振動伝導部材122は、開口部を貫通することにより、振動伝導部材122の一端(振動パネル121から離れた一端)が振動キャビティ140内に伸び込み、かつハウジングホルダ410に接続される。
【0081】
いくつかの実施例において、ハウジングホルダ410は、ハウジング130の一部であってもよく、ハウジング130の内部に直接的又は間接的に接続される独立したアセンブリであってもよい。いくつかの実施例において、ハウジングホルダ410は、ハウジング130の内面に固定されてもよい。いくつかの実施例において、ハウジングホルダ410は、接着剤によりハウジング130に貼り付けられてもよく、例えば、弾性接続部材430によりハウジング130に弾性接続され、プレス加工、射出成形、係止、リベット接合、ねじ接続又は溶接によりハウジング130に固定されてもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0082】
いくつかの実施例において、ハウジングホルダ410には少なくとも1つのホルダ孔411が設置されてもよい。ホルダ孔411は、振動キャビティ140内の振動音波をハウジング130の外部へ導出して、ハウジング130の振動による音漏れ音波と干渉して、音漏れ音波の振幅を減少させることにより、音響出力装置1800の音漏れを低減することができる。いくつかの実施例において、ホルダ孔411の形状は、円形、楕円形、長方形などの規則的及び/又は不規則な形状であってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。ホルダ孔411の数は、音響出力装置1800の適用シーンに応じて適応的に調整することができ、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0083】
いくつかの実施例において、エネルギー変換構造110は、磁気回路部材111、コイル112、及び振動伝導シート113を含んでもよい。エネルギー変換構造110は、ハウジング130の内部に位置し、かつハウジングホルダ1510に設置されてもよい。振動伝導シート113の一端は、磁気回路部材111に接続され、振動伝導シート113の他端は、ハウジングホルダ410に接続され、かつハウジングホルダ410を介して振動構造120(例えば、振動伝導部材122)に接続される。いくつかの実施例において、コイル112は、ハウジングホルダ410に固定されて、かつハウジングホルダ410により振動構造120を振動させてもよい。
【0084】
いくつかの実施例において、磁気回路部材111は、磁場を形成し、コイル112は、磁場において機械的振動をしてもよい。具体的には、コイル112に信号電流を流してもよく、コイル112は、磁気回路部材111により形成された磁場に位置し、磁場におけるアンペア力による作用を受けて、駆動を受けて機械的振動を生成する。コイル112の機械的振動は、ハウジングホルダ410に伝達することができ、さらにハウジングホルダ410は、機械的振動を振動構造120に伝達する。機械的振動は、さらに、振動構造120における振動伝導部材122及び振動パネル121によりユーザに伝達される。
【0085】
いくつかの実施例において、磁気回路部材111は、1つ以上の磁気素子(図示せず)を含んでもよく、磁気素子は、例えば、環状磁気素子など、任意の実施可能な構造形態であってもよい。いくつかの実施例において、複数の磁気素子は、総磁束量を上げることができ、異なる磁気素子が相互作用して、磁束線の漏れを抑制し、磁気隙間における磁束密度を上げ、スピーカー(例えば、骨伝導スピーカー)の感度を向上させることができる。いくつかの実施例において、磁気回路部材111は、磁気伝導性素子(図示せず)を含んでもよく、磁気伝導性素子は、例えば、磁気伝導性プレート又は磁気伝導性カバーなど、任意の実施可能な構造形態としてもよい。いくつかの実施例において、磁気伝導性カバーは、磁気回路部材111により生成される磁気回路を遮断することができるため、多くの磁束線が磁気回路部材111における磁気隙間内に集中し、磁束線の漏れを抑制し、磁気隙間における磁束密度を増加させ、スピーカー(例えば、骨伝導スピーカー)の感度を向上させるという効果を達成する。
【0086】
いくつかの実施例において、音響出力装置1800のハウジング130に耳掛け部品420が設置されてもよい。耳掛け部品420は、ユーザが音響出力装置1800を装着することに役立つことができる。いくつかの実施例において、耳掛け部品は、ヘッドホンのヘッドバンドに接続される接続部材であってもよい。音響出力装置1800がネック型骨伝導装置であることを例として、耳掛け部品420の端部は、音響出力装置1800のハウジング130の側壁に接続されてもよく、ユーザが音響出力装置1800を装着したとき、耳掛け部品420の端部がユーザの耳介の近傍に位置することにより、音響出力装置1800は、ユーザの耳介の近傍に位置する。さらに、耳掛け部品420に対するハウジング130の位置及び/又は耳掛け部品420の形状構造を変更することにより、ユーザの耳介に対する音響出力装置1800の位置、距離などを調整することができる。
【0087】
いくつかの実施例において、音響出力装置1800のハウジング130と耳掛け部品420との接続方式は、固定接続であってもよい。ここで、固定接続は、接着、リベット接合、一体成形などの接続方式であってもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置1800と耳掛け部品420との接続方式は、取り外し可能な接続であってもよい。ここでの取り外し可能な接続は、スナップフィット接続、ねじ接続などの接続方式であってもよい。
【0088】
いくつかの実施例において、耳掛け部品420の構造形状は、円弧形、半円形、折れ線形などの、耳介に適合する任意の形状であってもよく、ユーザのニーズに応じて適応的に調整されてもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0089】
いくつかの実施例において、振動構造120とハウジング130との間は弾性接続され、即ち、弾性接続の方式で固定接続されてもよい。例えば、いくつかの実施例において、音響出力装置1800は、弾性接続部材430を含んでもよい。弾性接続部材430は、振動キャビティ140内に位置して、振動構造120とハウジング130とを接続してもよい。具体的には、弾性接続部材430は、一端が振動構造120の振動伝導部材122に接続されてもよく、他端がハウジング130の内壁に接続されてもよい。エネルギー変換構造110により発生する機械的振動は、振動伝導部材122に伝達された場合、振動伝導部材122は、エネルギー変換構造110による機械的振動に応答して振動し、かつ該振動信号を弾性接続部材430によりハウジング130に伝達することにより、ハウジング130が機械的振動を生成する。
【0090】
いくつかの実施例において、弾性接続部材430の形状は、円管状、角管状、異形管状、環状、平板状などであってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。いくつかの実施例において、弾性接続部材430は、弾性素子であってもよい。弾性素子の材料は、弾性変形を発生させる能力を有する材料、例えば、シリコーンゴム、金属、ゴムなどであってもよく、本願の実施例はこれを特に限定しない。本願の実施例において、弾性素子がハウジング130よりも弾性変形しやすいため、ハウジング130は、エネルギー変換構造110に対して相対的な移動が発生してもよい。
【0091】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本願の様々な部分で2つ以上言及されている「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0092】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0093】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0094】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字の±20%の変動が許容されることを意味する。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲に使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0095】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0096】
110 エネルギー変換構造
120 振動構造
121 振動パネル
122 振動伝導部材
130 ハウジング
131、132、133 外壁
140 振動キャビティ
150 共振キャビティ
160 連通孔
170、123 側壁
180、181、182 音逃し孔
210 第1共振キャビティ
220 第2共振キャビティ
230 第1側壁
231 第1連通孔
240 第2側壁
241 第2連通孔
232 第3連通孔
310 第3共振キャビティ
320 第4共振キャビティ
330 第3側壁
331 第4連通孔
340 第5共振キャビティ
350 第4側壁
351 第5連通孔
190 バッフル
191、192、196 共振空胴
1800 音響出力装置
111 磁気回路部材
112 コイル
113 振動伝導シート
410 ハウジングホルダ
411 ホルダ孔
420 耳掛け部品
430 弾性接続部材
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