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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】配合剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053052
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020563421の分割
【原出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2023098903
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】62/670,266
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ジョン・マクローリン
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・ラロウ
(72)【発明者】
【氏名】マリアノ・マンパワー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529995(JP,A)
【文献】特表2013-534831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257974(US,A1)
【文献】国際公開第2013/157203(WO,A1)
【文献】特表2013-544161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の選択された複数の薬剤成分を送達するための配合剤送達装置であって、
前記複数の薬剤成分の各々は薬剤バイアルに収容され、
前記装置は、複数のモジュールと、ベーストレイとを備え、
前記複数のモジュールの各々は、
薬剤バイアルを収容するように形成される内部空間を包括的に定義する本体及び蓋と、
前記本体に規定される複数の位置固定特徴部と
を有し、
前記ベーストレイは、直立壁によって囲まれる複数の穴を規定する骨格を有し、
前記複数の穴の各々は、前記複数のモジュールの一つを挿入式で受けるように形成され、
トレイ位置固定特徴部は、前記直立壁の内側部分に規定され、
前記位置固定特徴部と前記トレイ位置固定特徴部とは、モジュールを前記ベーストレイに沿って所定の順番で配置するためにモジュールを予定されている穴に挿入することを可能とし、モジュールを当該モジュールに予定されていない穴に挿入することを制限するように構成される、
配合剤送達装置。
【請求項2】
前記位置固定特徴部は、1以上の畝又は溝を含む、
請求項1に記載の配合剤送達装置。
【請求項3】
前記トレイ位置固定特徴部は、1以上の畝又は溝を含む、
請求項2に記載の配合剤送達装置。
【請求項4】
複数の前記位置固定特徴部は異なる、
請求項1に記載の配合剤送達装置。
【請求項5】
複数の前記トレイ位置固定特徴部は異なる、
請求項1に記載の配合剤送達装置。
【請求項6】
前記位置固定特徴部は、各モジュールの蓋の外表面に形成され、
前記モジュールは、前記蓋に導かれて予定されている穴に挿入可能である、
請求項1に記載の配合剤送達装置。
【請求項7】
各穴は、各直立壁によって囲まれる少なくとも一つの直立した注入口を含む、
請求項6に記載の配合剤送達装置。
【請求項8】
前記蓋は、開口を含み、
前記開口は、各モジュールが予定されている穴に挿入されると前記少なくとも一つの注入口が前記開口を通ることを許容するように形成される、
請求項7に記載の配合剤送達装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの注入口は、前記少なくとも一つの注入口が各穴内で凹むように、各直立壁より低い高さを有する、
請求項7に記載の配合剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特に、静脈内注入及び直接患者投与のための、液状の薬剤の調合及び準備である。より詳細には、本発明は、2以上の薬剤の組み合わせの準備及び調合のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈内注入による薬剤の投与において、薬剤を、薬局環境で調合することはよく行われている。このような薬剤は、典型的には、ガラスバイアル内に無菌で提供され、また、固体又は水溶液として提供される。固体で提供される場合、薬剤は、注入バッグへの転送の前に、無菌の水性希釈剤で調製されなければならない。当業者は、このような薬剤の処方は、典型的に、例えば、緩衝剤、pH調整剤、張度調整剤、安定剤等のいくつかの賦形剤を含むことを理解する。典型的には、静脈内注入用の液状の薬剤は、注入のための患者への転送の前に、薬局環境において注入バッグ内で調合される。薬剤の無菌性を維持する必要があることから、調合の間、調合手続きは、典型的には、無菌のドラフトチャンバ 内で実行される。典型的には、薬剤師又は調剤技師(実務者)は、個々の患者の処方箋にしたがって、薬剤を準備する。
【0003】
ドラフトチャンバ内に物質がないことを確認した後、実務者は、処方箋毎に要求される薬剤のバイアルを、薬局の在庫から取得し、それらが同一であること及び用量の確認をする。確認プロセスは、バーコードスキャナまたはその他の識別技術によって援助される。実務者は、また、注入バッグ自体、注射器、針、転送セット、手袋、使い捨て容器等を含む、注入用の薬剤を安全に準備するために要求されるその他の必要な機器の全てを、在庫から取り出す。必要な機器の全てが組み立てられると、実務者は、希釈剤を追加して固体の薬剤を調製すること、個々のバイアルから薬剤を点滴静注バッグに転送口を通じて順番通りに取り出すこと等の含む、薬剤の準備の手順に従う。典型的には、この手順は、手作業で実行され、多数の針の使用を含む。針が刺さって実務者が怪我をする危険性は、薬剤の調合の実施に必要とされる針毎に増加する。例えば、化学療法用の細胞毒物等の高い効能又は毒性を持つ薬剤の場合、実務者にとって、これらに触れてしまう無視できない危険性がある。
【0004】
危険な薬剤との接触を含む、手作業に付随する危険性のいくつか、及び投薬過誤の危険性を排除するために、薬剤の準備及び調合に含まれる多くのステップを自動化する調剤装置が当業者に知られている。典型的には、このような装置は、正確な液体の薬剤の調製のために非常に高精度な吐出機構を実装する複雑な電気機械的なシステムである。それらのコスト、サイズ及び複雑さは別として、当該技術で説明されるこのような装置の多くは、液状の薬剤を在庫貯蔵庫から取り出し、容器内の薬剤の少量だけを使用する。無菌性を維持する必要があることから、使用されなかった薬剤溶液は、典型的には、廃棄され、無駄になる。いくつかの薬剤、特に、生物製剤は非常に高価であるから、この無駄は、重大な好ましくないコストである。無駄になる薬剤が細胞毒物である場合、それらの廃棄により、重大な環境及び安全上の問題が起こる。
【0005】
医薬の近年の進歩により、特に、がん治療において、治療上の優れた効果が2以上の薬剤の相乗的な組み合わせにより達成できることが実証されている。例えば、近年の臨床研究により、抗PD-1チェックポイント阻害薬とCTLA-4チェックポイント阻害薬の組み合わせは、いくつかの腫瘍型において有益な相乗効果を有し、各薬剤単独の個別投与により達成されるよりもより良い臨床転帰をもたらすということが実証されている。典型的には、そのようなチェックポイント阻害薬は、生物工学的に、モノクローナル抗体又はその免疫グロブリン型のフラグメントから得られる。いくつかの状況において、それらのような生物学的薬剤を細胞毒性薬剤等の従来の化学療法薬剤と組み合わせることは、有益であり得る。
【0006】
出願人は、ここでの譲受人の2018年5月11日に出願されたUS仮特許出願62/670,266に記載され、その全体が本明細書に参考として組み込まれる組み合わせの原理が、静脈内注入のための薬剤の準備及び調合において遭遇する課題のいくつかに対処可能であり、薬局での手続きの簡素化、医療過誤の危険性の低減、封じ込め及び極めて強力又は毒性の強い薬剤からの実務者の保護、針が刺さって怪我をする危険性の低減、薬剤の無駄の低減又は除去、複雑で高価な薬局の調合装置の必要性の回避等の、これらに限定されないいくつかの利点を提供できる、ということを認識している。実施の形態におけるこれらの利点の結果として、本発明は、更に、専門家ではない実務者による薬局から離れた場所での、例えば、適切に訓練された技師又は看護師による患者の家での静脈内注入及び患者への直接投与のための薬剤の準備及び調合を可能とする。この可能性は、ここで記述されるシステムに本来備わっている携帯性により高められる。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、薬剤モジュールが提供される。薬剤モジュールは、共通のベーストレイに、挿入され、機械的にロックされる。共通のベーストレイは、全ての挿入されたモジュールを流体的に接続し、全てのモジュールの内容物を送達する。
【0008】
各モジュールは、薬剤が充填されたバイアルを収容するためのチャンバを規定し、実施の形態において、間隔を設けるためのアダプタが、異なるサイズのバイアルの収容を可能にするために設けられてもよい。モジュールは、更に、殺菌のためにバイアルの隔壁に触れるために、ヒンジで連結されたキャップを備える。ヒンジで連結されたキャップ内には、注入口及び排出口を有して突出するスパイクを備える流動的なバイアルスパイクプレートが保持され、軸方向の移動のみが可能であり、モジュールのベーストレイへの挿入によってスパイクがバイアルの隔壁を破壊できるようになっている。
【0009】
ベーストレイは、モジュールのヒンジで結合されたキャップの形状を受け入れるように設計された事前に取り決められた穴をいくつか備える。各穴内には、モジュールのバイアルスパイクプレートの入力口及び出力口に通じる2つの逆止弁付きの流体的な接続ポートがある。バイアルスパイクプレートをベーストレイの弁に対して十分に押圧することによって、流体的な接続が、バイアルスパイクプレートを通じてベーストレイの弁間で形成される。内部では、無菌の配管が、ベーストレイの全ての穴に特定のモジュールが装着された場合にのみ完成する流体回路を形成するために隣の穴の単一の逆止弁に流体的に接続するために使用される。ベーストレイは、内部の流体回路の一端を仕切るエアフィルタ及び/又は放出口を含み得る。ベーストレイの流体回路は、薬剤製品を、モジュールから、ベーストレイからの無菌の主出力線路外に流し得る。主出力線路中の一方通行の逆止弁は、薬剤製品のベーストレイへの逆流を防止し得る。
【0010】
ベーストレイの穴の内壁とモジュールのヒンジで結合されるキャップの外面との両方に存在する協働する機械的位置固定特徴部は、モジュールがベーストレイの予定された穴にだけ挿入されることを確実にし得るポカヨケ機構を形成する。実施の形態において、ベーストレイ内のモジュールの配置は、電子的な手段によって、制御及び監視されてもよい。
【0011】
ベーストレイからの主出力線路は、液体薬剤を容器にポンプより輸送するために注入バッグ又はその他の容器の無菌ポートを突き破るために使用されるか、患者への薬剤の直接投与のために使用され得る無菌の中空の針で終了してよい。更に、ポンプは、完全に接続された場合に、バイアル内の液体薬剤が、それぞれのバイアルからバッグ、容器、又は患者に、ひとまとまりの出力として吸い上げられるように、設けられてもよい。
【0012】
ポンプは、ベーストレイと一体であってもよく、又、ベーストレイの外部にあってもよい。ポンプは、無菌であり、流路の要素を形成してよいし、又、蠕動ポンプ等の非接触型であってもよい。当業者は、上記した方法における液体薬剤のポンプによる輸送の使用に適切ないくつかのポンプ技術を熟知しているであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】主題発明にしたがって形成されるモジュールを示す。
図2】主題発明にしたがって形成されるモジュールを示す。
図3】主題発明にしたがって形成されるモジュールを示す。
図4】主題発明にしたがって形成されるモジュールを示す。
図5】主題発明にしたがって形成されるモジュールを示す。
図6】主題発明で利用可能なスパイクプレートを示す。
図7】主題発明で利用可能なスパイクプレートを示す。
図8図1の8-8線における断面図である。
図9図8と同様の図であり、薬剤バイアルの隔壁を貫通しているスパイクプレートを示す。
図10】主題発明で利用可能なベーストレイを示す。
図11】主題発明で利用可能なベーストレイを示す。
図12】主題発明で利用可能なベーストレイを示す。
図13】主題発明で利用可能なベーストレイを示す。
図14図13の14-14線における断面図である。
図15図13の15-15線における断面図である。
図16図13の16-16線における断面図である。
図17】ベーストレイの穴へのモジュールの挿入を示す。
図18】ベーストレイの穴へのモジュールの挿入を示す。
図19】ベーストレイの穴へのモジュールの挿入を示す。
図20】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図21】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図22】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図23】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図24】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図25】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図26】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図27】モジュールとトレイの別の組み立て品を示す。
図28】A及びBは、一致及び非一致の位置固定特徴部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図を参照すると、主題発明にしたがって形成されるモジュール12及びベーストレイ14が示され、配合剤送達装置10を形成するためにモジュール12はベーストレイ14に取り付けられると直列に接続される。在庫に必要な構成要素の数を最小にするために、モジュール12は同じように形成されていることが好ましい。モジュール12は、使用において間違いがないことを確認するために、任意の収容される薬剤に対応するように調製可能な特徴部を備えて形成されてよい。
【0015】
図1図5に示すように、モジュール12の各々は、全体的に箱状であり、内部空間20を包括的に囲む本体16及び蓋18を有する。蓋18は、内部空間20を利用するために選択的に開かれるようにヒンジ構造で本体16に取り付けられてよい。内部空間20は、薬剤バイアル又は容器22を収容するように、形状及び寸法が設定されている。種々のサイズの薬剤バイアル22を収容するために、アダプタ又はスペーサが、種々のサイズの薬剤バイアルを収容するために内部空間20に配置されるように提供されてよい。内部空間20は、最も大きいサイズの薬剤バイアルをアダプタやスペーサを用いることなく収容するように構成されてよい。ベーストレイ14の流体的な接続において特定のモジュールの配置を制御するために、蓋18の外面24は、ベーストレイ14の任意の穴32の内面30に形成される対応するトレイ位置固定特徴部28と結合するように形成される、突出する位置固定特徴部26を有してよい。位置固定特徴部26は畝及び/又は溝であってよく、トレイ位置固定特徴部28は、同じパターンの位置固定特徴部26を有するモジュール12のトレイ位置固定特徴部28への挿入のみを可能にするパターン(サイズ及び配置)を有する畝及び溝を有する。図28A及び図28Bに概略的に示すように、位置固定特徴部26,28の可能な配置が示される。当業者であれば認識できるように、図28Bに示すような非一致の位置固定特徴部26,28は穴32へのモジュール12の挿入を防止する。対照的に、図28Aに示すような一致する位置固定特徴部26,28は、穴32へのモジュール12の挿入を可能にする。
【0016】
図8及び図9に示すように、モジュール12の各々は、ヒンジで取り付けられた蓋18内に保持されるバイアルスパイクプレート34を備える。蓋18が閉じられると、バイアルスパイクプレート34は、モジュール12内で垂直にスライド可能であり、スパイク36が内部空間20に延び、収容された薬剤バイアル22の隔壁38を貫通して薬剤バイアル22の内部空間40に到達するように配置される(図9)。バイアルスパイク36は、隔壁38の貫通が容易になるように、尖っていてもよい。スパイク36は、隔壁24を完全に貫通して薬剤バイアル22の内部空間40に到達するために、十分な長さを有するように提供されなければならない。スパイク36は、好ましくは、第1内部ルーメン42a及び第2内部ルーメン42b等の、先端開口43から延びる複数の内部ルーメン42を含む。この構成では、スパイク36が隔壁38を貫通することによって、内部ルーメン42の全てが薬剤バイアル22の内部空間40とつながる。内部ルーメン42は、スパイク36を通じて先端44からスパイクプレート34に延び、スパイク36近傍の2つの流体ポート46(46a,46b)で終了する。流体ポート46は、蓋18の開口50を通じてベーストレイ14の注入口48(48a,48b)と通じるように形成される。この構成では、液体は、例えば、一方の注入口48aから、第1内部ルーメン42aを通り、内部空間40に入り、第2内部ルーメン42bを通り、第2の注入口48bを通るような一方向の流れで、内部空間40に流出入する。これによって、液体の薬剤バイアル22への導入及び液体の薬剤バイアル22からの除去の両方が可能となる。ポート46と注入口48との間の接合部分を封止するために、シールが設けられてよい。
【0017】
注入口48を通じた汚染物質の侵入を制限するために、逆止弁52、好ましくは、一方通行の逆止弁が、通常は注入口48を閉じて封止するように設けられてよい。ポート46は、ポート46と注入口48との間が開いた状態でつながることが可能となるように、注入口48に挿入されることによって逆止弁52を押して開くように形成されてよい。当業者であれば分かるように、任意の形状の一方通行の逆止弁が利用されてよく、限定されないが、通常は閉位置に位置するように構成される、スプリング付きの逆止弁ボールを含んでよい。通路54は、配管の形であってもよく、ポート46への液体の送達及びポート46からの液体の受け取りのために、注入口48の各々と通じる。
【0018】
図13図16に示すように、ベーストレイ14は、各々、モジュールの一つを収容するように形成される穴32の骨格で構成される。複数の穴32が、複数の薬剤バイアル32が併用投与におけるそれらの内容物の混合に利用できるように、設けられることが好ましい。一対の注入口48が穴48のそれぞれに配置され、特に、ベース53から上方に突出する。直立壁56は、ベース53のそれぞれの境界を決め、特に、穴32を囲う。トレイ位置固定特徴部28を含む内面30は、壁56の内部に規定されてもよい。壁56は、必要であれば位置固定特徴部26,28が特定の場所の利用を制限している状態で、モジュール12の穴32への挿入を可能とする面積を規定する必要がある。この態様において、モジュール12、対応する薬剤バイアル22を含む、の特別な配置が指図されてもよい。これにより、どの薬剤成分(例えば、薬剤バイアル)が使用されるかを指示することにより、成分を特定の順番で配置する高いレベルでも、配合剤の準備が可能となる。これにより、エンドユーザに、成分の不適切な混入及び/又は不適切な順番に対するフェールセーフチェックを提供する。
【0019】
穴32間の流体の流れが可能となるように、通路54が、モジュール12が穴32に結合されたベーストレイ14を通る連続的な流路を規定するように、注入口48の間に直列に配列される。特に、図12を参照すると、通路54は、穴32の注入口48bに接続され、隣の穴32の注入口48aに延び、それによって、最初に言及した穴32にとっては排出口として、二番目に言及した穴32にとっては注入口として作用する。ベーストレイ14の端の穴32は、必要に応じて、共通排出口58及び放出口60を備えてもよい。
【0020】
放出口60は、ベーストレイ14に埋め込まれる無菌微粒子フィルタで終了してもよい。フィルタは、ベーストレイ14からの殺菌された主出力線路の外へのモジュール12からの薬剤製品の排出の間に失われた流体の体積を置換するために、微生物及びその他の汚染物質の混入を制限しながら大気のベーストレイの流路への侵入を許容するように構成されてもよい。放出口60は、流路の全長に対して放出口を設けるために、共通排出口58から離れた端に配置されてもよい。一方通行の逆止弁は、薬剤成分がベーストレイ14に逆流することを防止するために、共通排出口58に設けられてよい。薬剤バイアル22が固い構造(例えば、ポリマ又はガラス構造)である場合、放出口60は必須であり得る。薬剤バイアル22が折りたたみ可能(例えば、柔軟性を有するバッグ構造)である場合、放出口を設けることは必須ではなくてよい。
【0021】
図8図9及び図17図19に示されるように、モジュール12が正しい穴32が取り付けられると、注入口48が開口50を通してモジュール12内のバイアルスパイクプレート34に接触し得る。図8に最もよく示されているように、バイアルスパイクプレート34は、初期状態において、開口50の近傍に、バイアルスパイクプレート34及び蓋18に形成される協働する保持要素、例えば、傾倒可能な戻り止め51a及び保持畝又は溝51bによって、解放可能に保持される、初期状態において、ポート46は、開口50と軸方向に整列して、開口50を通して接触可能である。図17図19に示すように、モジュール12が穴32内に挿入されると、注入口48がポート46に結合して、ポート46が逆止弁52を開き、注入口48とポート46との間に封止された流体流路を形成する。モジュール12を更に挿入すると、蓋12が、注入口48により固定的に保持されるバイアルスパイクプレート34に対して移動する。この相対移動によって、協働する保持要素の保持力が打ち負かされて、本体16がスパイクプレート34に向かって移動し、十分に移動すればスパイク36が隔壁38を貫通する。モジュール12は、スパイク36との接続を確実にし、モジュール12の再使用性を制限するために、穴32内にロックされることができる。蓋18を通じたバイアルスパイクプレート34の移動は、溝又はその他の構造によってガイドされてよい。全てのモジュール12が取り付けられると、主線路から、全ての薬剤バイアル22を通り、放出口60で終了する流体回路が完成して、全てのモジュールの薬剤バイアルの内容物の排出が可能となる。
【0022】
液体は、共通排出口58を通じて排出管62に送達されるように薬剤バイアル22から引き出されてよい。これによって、異なる液体薬剤をモジュール12の薬剤バイアル22に収容することができて、装置10によって液体薬剤を組み合わせることができる。当業者であれば分かるように、組立体の流体抵抗及び/又は組立体で使用される負圧の強さにより制限される可能性があるが、どんな量のモジュール12も利用可能である。
【0023】
負圧源(例えば、ポンプ)は、モジュール12を通じて液体薬剤を引き出すために必要とされる。負圧は、放出された液体薬剤を、例えば、IVバッグ、薬剤容器等の目標の配達場所に、又は、直接的に患者に運ぶための共通排出口58及び/又は排出管62に(直接又は間接的に)つながる外部ポンプ100(例えば、注射器)又は内部ポンプ102によって提供され得る。図10に示すように、ベーストレイ10は、任意にハウジング10を備えて設けられてよく、排出管62は少なくとも一部がハウジング10に配置される。内部ポンプ102は、内部ポンプ102の動作及び/又は制御に利用されるモータ、電源、コントローラ等と一緒にハウジング102に設けられてよい。当該技術で知られるカニューレ106は、注入その他の接触の必要に応じて、排出管62に設けられてよい。全ての薬剤バイアル22の内容物を完全に引き出すために、十分な負圧が生成される必要がある。逆止弁は、逆流を制限するために、共通排出口58及び/又は排出管62に沿って設けられてよい。外部ポンプ100及び/又は内部ポンプ102は、例えば、排出管62にそこを流れる流体との接触なしに作用し得る蠕動ポンプ等の非接触ポンプであってもよい。
【0024】
1以上の薬剤バイアル22は、希釈剤の導入により調製され得る凍結乾燥された薬剤を収容してよい。希釈剤は、希釈剤が凍結乾燥された薬剤を有する薬剤バイアルに引き込まれ、調整された薬剤がそこから引き出されるように、凍結乾燥された薬剤より上流に配置されてよい。様々な薬剤が薬剤バイアルに含まれてよい。同様に、希釈剤又はその他の添加剤が、送達される配合剤の効能を向上するために含まれてもよい。
【0025】
一実施の形態において、例えば、癌、自己免疫異常、炎症性疾患、心血管疾患又は線維症等の幅広い疾患及び症状のいずれかを患う患者の利益のために、薬剤送達装置10は、2以上の薬剤を送達できる。
【0026】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、免疫チェックポイント阻害薬である。ある実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、プログラム死1(「PD-1」)経路阻害薬、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(「CTLA-4」)アンタゴニスト、リンパ球活性化遺伝子3(「LAG3」)アンタゴニスト、CD80アンタゴニスト、CD86アンタゴニスト、T細胞免疫グロブリン-ムチンドメイン(「Tim-3」)アンタゴニスト、IgとITIMドメインを持つT細胞免疫受容体(「TIGIT」)アンタゴニスト、CD20アンタゴニスト、CD96アンタゴニスト、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(「IDO1」)アンタゴニスト、インターフェロン遺伝子刺激因子(「STING」)アンタゴニスト、反復優位型糖タンパク質A(GARP)アンタゴニスト、CD40アンタゴニスト、アデノシンA2A受容体(「A2aR」)アンタゴニスト、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)(CD66a)アンタゴニスト、癌胎児性抗原(CEA)アンタゴニスト、CD47アンタゴニスト、受容体関連免疫グロブリンドメインタンパク質(「PVRIG」)アンタゴニスト、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(「TDO])アンタゴニスト、Vドメイン免疫グロブリンT細胞活性化抑制因子(「VISTA」)アンタゴニスト、又は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(「KIR」)アンタゴニストである。
【0027】
一実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、抗PD-1抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマム(pembrolizumab)(キイトルーダ;MK-3475)、ピディリズマブ(pidilizumab)(CT-011)、ニボルマブ(nivolumab)(オプジーボ;BMS-936558)、PDR001、MEDI0680(AMP-514)、TSR-042、REGN2810、JS001、AMP-224(GSK-2661380)、PF-06801591、BGB-A317、BI754091、又はSHR-1210である。
【0028】
一実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、抗PD-L1抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(atezolizumab)(テセントリク;RG7446;MPDL3280A;RO5541267)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI4736)、BMS-936559、アベルマブ(avelumab)(バベンチオ)、LY3300054、CX-072(Proclaim-CX-072)、FAZ053、KN035、又は、MDX-1105である。
【0029】
一実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、小分子薬剤である。ある実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、CA-170である。他の実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、細胞ベースの治療である。一実施の形態において、細胞ベースの治療は、MiHA付加PD-L1/L2発現抑制樹状細胞ワクチンである。その他の実施の形態において、細胞ベースの治療は、多能性Tリンパ球を発現する抗プログラム細胞死タンパク質1抗体、自己PD-1標的化キメラスイッチ受容体修飾Tリンパ球、又は、PD-1ノックアウト自己Tリンパ球である。
【0030】
一実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、抗PD-L2抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。別の実施の形態において、抗PD-L2抗体は、rHIgM12B7である。
【0031】
一実施の形態において、PD-1経路阻害薬は、可溶性PD-1ポリペプチドである。ある実施の形態において、可溶性PD-1ポリペプチドは、融合ポリペプチドである。いくつかの実施の形態において、可溶性PD-1ポリペプチドは、PD-1細胞外ドメインのリガンド結合フラグメントを含む。他の実施の形態において、可溶性PD-1ポリペプチドは、PD-1細胞外ドメインのリガンド結合フラグメントを含む。 他の実施の形態において、可溶性PD-1ポリペプチドは、Fcドメインを更に含む。
【0032】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CTLA-4アンタゴニストである。ある実施の形態において、CTLA-4アンタゴニストは、抗CTLA-4抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(ipilimumab)(ヤーボイ)、トレメリムマブ(tremelimumab)(チシリムマブ(ticilimumab);CP-675,206)、AGEN-1884、又は、ATOR-1015である。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)等のCTLA-4アンタゴニスト、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマム(キイトルーダ)等のPD-1経路阻害薬を含む。
【0033】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、LAG3アンタゴニストである。ある実施の形態において、LAG3アンタゴニストは、抗LAG3抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗LAG3抗体は、リラトリマブ(relatlimab)(BMS-986016)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、IMP731(H5L7BW)、BAP050、IMP-701(LAG-5250)、IMP321、TSR-033、LAG525、BI754111、又は、FS-118である。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、例えばリラトリマブ又はMK-4280等のLAG3アンタゴニスト、及び、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマム(キイトルーダ)等のPD-1経路阻害薬を含む。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、例えばリラトリマブ又はMK-4280等のLAG3アンタゴニスト、及び、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)等のCTLA-4アンタゴニストを含む。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、例えばリラトリマブ又はMK-4280等のLAG3アンタゴニスト、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)等のCTLA-4アンタゴニスト、及び、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマム(キイトルーダ)等のPD-1経路阻害薬を含む。
【0034】
一実施の形態において、CTLA-4アンタゴニストは、可溶性CTLA-4ポリペプチドである。一実施の形態において、可溶性CTLA-4ポリペプチドは、アバタセプト(abatacept)(オレンシア(ORENCIA))、ベラタセプト(belatacept)(ニューロジクス(NULOJIX))、RG2077、又は、RG-1046である。その他の実施の形態において、CTLA-4アンタゴニストは、細胞ベースの治療である。いくつかの実施の形態において、CTLA-4アンタゴニストは、抗CTLA4 mAb RNA/GITRLRNAトランスフェクト自己樹状細胞ワクチン、又は、抗CTLA-4 mAb RNAトランスフェクト自己樹状細胞ワクチンである。
【0035】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、KIRアンタゴニストである。ある実施の形態において、KIRアンタゴニストは、抗KIR抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗KIR抗体は、リリルマブ(lirilumab)(1-7F9、BMS-986015、IPH2101)、又は、IPH4102である。
【0036】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、TIGITアンタゴニストである。一実施の形態において、TIGITアンタゴニストは、抗TIGIT抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗TIGIT抗体は、BMS-986207、AB154、COM902(CGEN-15137)、又は、OMP-313M32である。
【0037】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、Tim-3アンタゴニストである。ある実施の形態において、Tim-3アンタゴニストは、抗Tim-3抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗Tim-3抗体は、TSR-022、又は、LY3321367である。
【0038】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬はIDO1アンタゴニストである。別の実施の形態において、IDO1アンタゴニストは、インドキシモド(indoximod)(NLG8189;1-メチル-D-トリプトファン)、エパカドスタット(epacadostat)(INCB-024360,INCB-24360)、KHK2455、PE-06840003、ナボキシモド(navoximod)(RG6078、GDC-0919、NLG919)、BMS-986205(F001287)、又は、ピロリジン-2,5-ジオン誘導体である。
【0039】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、STINGアンタゴニストである。ある実施の形態において、STINGアンタゴニストは、2’又は3’-モノ-フルオロ置換環状-ジ-ヌクレオチド、2’3’-ジ-フルオロ置換混合結合2’,5’-3’,5’環状-ジ-ヌクレオチド、2’-フルオロ置換,ビス-3’,5’環状-ジ-ヌクレオチド、2’,2”-ジF-Rp,Rp,ビス-3’,5’環状-ジ-ヌクレオチド、又は、フッ素化環状-ジ-ヌクレオチドである。
【0040】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CD20アンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD20アンタゴニストは、抗CD20抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD20抗体は、リツキシマブ(rituximab)(リツキサン(RITUXAN);IDEC-102;IDEC-C2B8)、ABP798、オファツムマブ(ofatumumab)、又は、オビヌツズマブ(obinutuzumab)である。
【0041】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CD80アンタゴニストである。ある実施の形態において、CD80アンタゴニストは、抗CD80抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD80抗体は、ガリキシマブ(galiximab)、又は、AV1142742である。
【0042】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、GARPアンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、GARPアンタゴニストは、抗GARP抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗GARP抗体は、ARGX-115である。
【0043】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CD40アンタゴニストである。ある実施の形態において、CD40アンタゴニストは、その抗原結合フラグメントのための抗CD40抗体である。いくつかの実施の形態において、抗CD40抗体は、BMS3h-56、ルカツムマブ(lucatumumab)(HCD122及びCHIR-12.12)、CHIR-5.9、又は、ダセツズマブ(dacetuzumab)(huS2C6、PRO64553、RG3636、SGN14、SGN-40)である。別の実施の形態において、CD40アンタゴニストは、可溶性CD40リガンド(CD40-L)である。一実施の形態において、可溶性CD40リガンドは、融合ポリペプチドである。一実施の形態において、可溶性CD40リガンドは、CD40-L/FC2、又は、単量体のCD40-Lである。
【0044】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、A2aRアンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、A2aRアンタゴニストは、小分子である。ある実施の形態において、A2aRアンタゴニストは、CPI-444、PBF-509、イストラデフィリン(istradefylline)(KW-6002)、プレラデナント(preladenant)(SCH420814)、トザデナント(tozadenant)(SYN115)、ビパデナント(vipadenant)(BIIB014)、HTL-1071、ST1535、SCH412348、SCH442416、SCH58261、ZM241385、又は、AZD4635である。
【0045】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CEACAM1アンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、CEACAM1アンタゴニストは、抗CEACAM1抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CEACAM1抗体は、CM-24(MK-6018)である。
【0046】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CEAアンタゴニストである。一実施の形態において、CEAアンタゴニストは、抗CEA抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗CEA抗体は、セルグツズマブ・アムナロイキン(cergutuzumab amunaleukin)(RG7813,RO-6895882)、又は、RG7802(RO6958688)である。
【0047】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、CD47アンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD47アンタゴニストは、抗CD47抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗CD47抗体は、HuF9-G4、CC-90002、TTI-621、ALX148、NI-1701、NI-1801、SRF231、又は、Effi-DEMである。
【0048】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、PVRIGアンタゴニストである。ある実施の形態において、PVRIGアンタゴニストは、抗PVRIG抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗PVRIG抗体は、COM701(CGEN-15029)である。
【0049】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、TDOアンタゴニストである。一実施の形態において、TDOアンタゴニストは、4-(インドール-3-イル)-ピラゾール誘導体、3-インドール置換誘導体、又は、3-(インドール-3-イル)-ピリジン誘導体である。別の実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、デュアルIDO及びTDOアンタゴニストである。一実施の形態において、デュアルIDO及びTDOアンタゴニストは、小分子である。
【0050】
一実施の形態において、免疫チェックポイント阻害薬は、VISTAアンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、VISTAアンタゴニストは、CA-170、又は、JNJ-61610588である。
【0051】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子である。
【0052】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD28アゴニスト、4-1BBアゴニスト、OX40アゴニスト、CD27アゴニスト、CD80アゴニスト、CD86アゴニスト、CD40アゴニスト、ICOSアゴニスト、CD70アゴニスト、又は、GITRアゴニストである。
【0053】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、OX40アゴニストである。ある実施の形態において、OX40アゴニストは、抗OX40抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗OX40抗体は、タボリキシズマブ(tavolixizumab)(MEDI-0562)、ポガリズマブ(pogalizumab)(MOXR0916,RG7888)、GSK3174998、ATOR-1015、MEDI-6383、MEDI-6469、BMS986178、PF-04518600、又は、RG7888(MOXR0916)である。別の実施の形態において、OX40アゴニストは、細胞ベースの治療である。ある実施の形態において、OX40アゴニストは、GINAKIT細胞(iC9-GD2-CD28-OX40発現Tリンパ球)である。
【0054】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD40アゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD40アゴニストは、抗CD40抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD40抗体は、ADC-1013(JNJ-64457107)、RG7876(RO-7009789)、HuCD40-M2、APX005M(EPI-0050)、又は、Chi Lob 7/4である。別の実施の形態において、CD40アゴニストは、可溶性CD40リガンド(CD40-L)である。一実施の形態において、可溶性CD40リガンドは、融合ポリペプチドである。ある実施の形態において、可溶性CD40リガンドは、三量体CD40-L(AVREND(登録商標))である。
【0055】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、GITRアゴニストである。ある実施の形態において、GITRアゴニストは、抗GITR抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗GITR抗体は、BMS-986156、TRX518、GWN323、INCAGN01876、又は、MEDI1873である。一実施の形態において、GITRアゴニストは、可溶性GITRリガンド(GITRL)である。いくつかの実施の形態において、可溶性GITRリガンドは、融合ポリペプチドである。別の実施の形態において、GITRアゴニストは、細胞ベースの治療である。一実施の形態において、細胞ベースの治療は、抗CTLA4 mAb RNA/GITRL RNAトランスフェクト自己樹状細胞ワクチン、又は、GITRL RNAトランスフェクト自己樹状細胞ワクチンである。
【0056】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、4-1BBアゴニストである。いくつかの実施の形態において、4-1BBアゴニストは、抗4-1BB抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗4-1BB抗体は、ウレルマブ(urelumab)、又は、PF-05082566である。
【0057】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD80アゴニスト又はCD86アゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD80アゴニスト又はCD86アゴニストは、可溶性CD80又はCD86リガンド(CTLA-4)である。ある実施の形態において、可溶性CD80又はCD86リガンドは、融合ポリペプチドである。一実施の形態において、CD80又はCD86リガンドは、CTLA4-Ig(CTLA4-IgG4m、RG2077、又は、RG1046)、又は、アバタセプト(オレンシア、BMS-188667)である。その他の実施の形態において、CD80アゴニスト又はCD86アゴニストは、細胞ベースの治療である。一実施の形態において、細胞ベースの治療は、MGN1601(同種腎細胞癌ワクチン)である。
【0058】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD28アゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD28アゴニストは、抗CD28抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗CD28抗体は、TGN1412である。
【0059】
一実施の形態において、CD28アゴニストは、細胞ベースの治療である。ある実施の形態において、細胞ベースの治療は、JCAR015(抗CD19-CD28-ゼータ修飾CAR CD3+ Tリンパ球)、CD28CAR/CD137CAR発現Tリンパ球、同種CD4+ 記憶 Th1様T細胞/微粒子結合抗CD3/抗CD28、抗CD19/CD28/CD3ゼータ CAR ガンマレトロウイルスベクタ-形質導入自己Tリンパ球KTE-C19、抗CEA IgCD28TCR形質導入自己Tリンパ球、抗EGFRvIII CAR形質導入同種Tリンパ球、自己CD123CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRt発現Tリンパ球、自己CD171特異的CAR-CD28ゼータ-4-1-BB-EGFRt発現Tリンパ球、自己CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRt発現Tcm富化T細胞、自己PD-1標的化キメラスイッチ受容体修飾Tリンパ球(CD28とのキメラ)、CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRt発現Tcm富化Tリンパ球、CD19CAR-CD28-CD3ゼータ-EGFRt発現Tn/mem富化Tリンパ球、CD19CAR-CD28ゼータ-4-1BB発現同種Tリンパ球、CD19CAR-CD3ゼータ-4-1BB-CD28発現自己Tリンパ球、CD28CAR/CD137CAR発現Tリンパ球、CD3/CD28共刺激ワクチン刺激自己Tリンパ球、又は、iC9-GD2-CD28-OX40発現Tリンパ球である。
【0060】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD27アゴニストである。ある実施の形態において、CD27アゴニストは、抗CD27抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD27抗体は、バルリルマブ(CDX-1127)である。
【0061】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、CD70アゴニストである。いくつかの実施の形態において、CD70アゴニストは、抗CD70抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD70抗体は、ARGX-110である。
【0062】
一実施の形態において、免疫チェックポイント増強因子又は刺激因子は、ICOSアゴニストである。ある実施の形態において、ICOSアゴニストは、抗ICOS抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗ICOS抗体は、BMS986226、MEDI-570、GSK3359609、又は、JTX-2011である。その他の実施の形態において、ICOSアゴニストは、可溶性ICOSリガンドである。いくつかの実施の形態において、可溶性ICOSリガンドは、融合ポリペプチドである。一実施の形態において、可溶性ICOSリガンドは、AMG750である。
【0063】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、抗CD73抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。ある実施の形態において、抗CD73抗体は、MEDI9447である。
【0064】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、TLR9アゴニストである。一実施の形態において、TLR9アゴニストは、アガトリモドナトリウムである。
【0065】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、サイトカインである。ある実施の形態において、サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、又は、腫瘍壊死因子ファミリのメンバである。いくつかの実施の形態において、サイトカインは、IL-2、IL-15、又は、インターフェロン-ガンマである。
【0066】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、TGF-βアンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、TGF-βアンタゴニストは、フレソリムマブ(fresolimumab)(GC-1008)、NIS793、IMC-TR1(LY3022859)、ISTH0036、トラベデルセン(AP12009)、組み換えトランスフォーミング増殖因子-ベータ-2、自己HPV-16/18 E6/E7特異的TGF-ベータ抵抗性Tリンパ球、又は、TGF-ベータ抵抗性LMP特異的細胞毒性Tリンパ球である。
【0067】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、iNOSアンタゴニストである。いくつかの実施の形態において、iNOSアンタゴニストは、N-アセチル-システイン(NAC)、アミノグアニジン、L-ニトロアルギニンメチルエステル、又は、S,S-1,4-フェニレン-ビス(1,2-エタンジル)ビス-イソチオ尿素)である。
【0068】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、SHP-1アンタゴニストである。
【0069】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、コロニー刺激因子1受容体(「CSF1R」)アンタゴニストである。ある実施の形態において、CSF1Rアンタゴニストは、抗CSF1R抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。いくつかの実施の形態において、抗CSF1R抗体は、エマクツヅマブ(emactuzumab)である。
【0070】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、TNFファミリのメンバのアゴニストである。いくつかの実施の形態において、TNFファミリのメンバのアゴニストは、ATOR1016、ABBV-621、又は、アダリムマブ(adalimumab)である。
【0071】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、アルデスロイキン(aldesleukin)、ベンペガルデスロイキン(bempegaldesleukin)、トシリズマブ(tocilizumab)、又は、MEDI5083である。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、ベンペガルデスロイキン、及び、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマム(キイトルーダ)等のPD-1経路阻害薬を含む。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、ベンペガルデスロイキン、及び、例えばリラトリマブ又はMK-4280等のLAG3アンタゴニストを含む。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、ベンペガルデスロイキン、例えばニボルマブ(オプジーボ)又はペムブロリズマム(キイトルーダ)等のPD-1経路阻害薬、及び、例えばリラトリマブ又はMK-4280等のLAG3アンタゴニストを含む。一実施の形態において、薬剤送達装置10は、ベンペガルデスロイキン、及び、例えばイピリムマブ(ヤーボイ)等のCTLA-4アンタゴニストを含む。
【0072】
一実施の形態において、薬剤送達装置10の1以上の薬剤は、CD160(NK1)アゴニストである。ある実施の形態において、CD160(NK1)アゴニストは、抗CD160抗体、又は、その抗原結合フラグメントである。一実施の形態において、抗CD160抗体は、BY55である。
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