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特許7434638画像形成装置、表示方法、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像形成装置、表示方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240213BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240213BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240213BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240213BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/42 F
G03G21/00 388
G06F3/12 310
G06F3/12 335
G06Q10/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023062022
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2018239882の分割
【原出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2023090729
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】川口 大輔
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-138532(JP,A)
【文献】特開2017-047537(JP,A)
【文献】特開2001-201932(JP,A)
【文献】特開2014-091298(JP,A)
【文献】特開2008-083275(JP,A)
【文献】特開2019-132957(JP,A)
【文献】特表2005-503937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109825(US,A1)
【文献】米国特許第06295423(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
G06F 3/12
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが収容されたトナー容器が着脱可能であり、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得手段と、
前記画像形成装置に装着されたトナー容器の交換が予想される日までの残日数を、前記取得手段により取得された前記消費データに基づき決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記残日数を表示する表示手段と、を有し、
前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定手段により決定される前記残日数表示ないことを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数未満ならば、残日数として予め決まった日数表示ることを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置には、各々に異なる色のトナーを収容する複数のトナー容器が装着され、
前記決定手段は、複数の異なる色に対応する消費データに基づき、前記複数のトナー容器毎に前記残日数を決定することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー容器の配送を要求する配送要求を、前記決定手段により決定された前記残日数に基づき出力する出力手段をさらに有することを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記決定手段により決定された前記残日数が閾値以下になった場合に、前記配送要求を出力することを特徴とする、
請求項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数以上になるまで、前記残日数を前記消費データに基づき決定しないことを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナーが収容されたトナー容器が着脱可能な画像形成装置であって、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する前記画像形成装置の、前記トナー容器の交換が予想される日までの残日数を表示する表示方法であって、
前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得ステップと、
前記残日数を前記消費データに基づき決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された前記残日数を表示する表示ステップと、を有し、
前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定ステップにより決定される前記残日数は表示されないことを特徴とする、
表示方法。
【請求項8】
前記表示ステップは、画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数未満ならば、残日数として予め決まった日数を表示することを特徴とする、
請求項記載の表示方法。
【請求項9】
前記画像形成装置には、各々に異なる色のトナーを収容する複数のトナー容器が装着され、
前記決定ステップは、複数の異なる色に対応する消費データに基づき、前記複数のトナー容器毎に前記残日数を決定することを特徴とする、
請求項記載の表示方法。
【請求項10】
トナー容器の配送を要求する配送要求を、前記決定ステップにより決定された前記残日数に基づき出力する出力ステップをさらに有することを特徴とする、
請求項記載の表示方法。
【請求項11】
前記出力ステップは、前記決定ステップにより決定された前記残日数が閾値以下になった場合に、前記配送要求を出力することを特徴とする、
請求項10記載の表示方法。
【請求項12】
前記決定ステップは、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数以上になるまで、前記残日数を前記消費データに基づき決定しないことを特徴とする、
請求項記載の表示方法。
【請求項13】
トナーが収容されたトナー容器が着脱可能な画像形成装置であって、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する前記画像形成装置を制御する情報処理装置であって、
前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得手段と、
前記画像形成装置に装着されたトナー容器の交換が予想される日までの残日数を、前記取得手段により取得された前記消費データに基づき決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記残日数を表示する表示手段と、を有し、
前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定手段により決定される前記残日数表示ないことを特徴とする、
情報処理装置。
【請求項14】
前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数未満ならば、残日数として予め決まった日数表示ることを特徴とする、
請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記画像形成装置には、各々に異なる色のトナーを収容する複数のトナー容器が装着され、
前記決定手段は、複数の異なる色に対応する消費データに基づき、前記複数のトナー容器毎に前記残日数を決定することを特徴とする、
請求項13記載の情報処理装置。
【請求項16】
トナー容器の配送を要求する配送要求を、前記決定手段により決定された前記残日数に基づき出力する出力手段をさらに有することを特徴とする、
請求項13記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記出力手段は、前記決定手段により決定された前記残日数が閾値以下になった場合に、前記配送要求を出力することを特徴とする、
請求項16記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記決定手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が前記所定枚数以上になるまで、前記残日数を前記消費データに基づき決定しないことを特徴とする、
請求項13記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の装置における消耗品の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、紙等の記録材に画像を形成して出力する。このような画像形成装置には、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、インクジェット方式のプリンタ、或いはこれらの装置に画像読取機能を付加した複合機がある。画像形成装置は、トナー、インク、紙等を用い、画像形成にかかわる部品(感光体等)により画像を形成する。トナー、インク、紙等は、画像形成により消費される消耗品である。感光体等は、画像形成時にトナーやインクによる汚染や摺擦部の摩耗が進行することで、本来の性能を発揮できなくなる消耗品である。感光体等の消耗品には、部品寿命が設けられる。画像形成装置は、消耗品が消費され尽くしたり、部品が部品寿命に到達することで正常な画像形成に影響がでる。
【0003】
画像形成装置を安定して稼働させるために、以下のようなことが行われている。即ち、画像形成装置は、消耗品が消費され尽くしたり、部品の部品寿命に到達する前に、ユーザに対して交換用の消耗品の準備を通知する。ユーザは、この通知に応じて消耗品を調達し、消耗品の補充や交換(以下、単に「交換」という。)が必要になったタイミングで速やかに消耗品を交換する。特許文献1は、消耗品の調達に関する消耗品管理システムの技術を開示する。このシステムは、消耗品の予測残量と消耗品の配送に要する日数とから決定する基準残量(閾値)を、消耗品の実際の残量が下回ったときに消耗品の配送依頼を行う画象形成装置を備える。予測残量は、ユーザの過去の消耗品の使用履歴に基づいて算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-37596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの過去の消耗品の使用履歴に基づいて将来の需要予測(予測残量)を算出する場合、使用履歴から得られた数理モデルに需要予測を当てはめることが一般的である。しかし、画像形成装置が設置された初期は、2つの要因から需要予測に生じる誤差が大きくなる。1つ目の要因は、設置初期にユーザの通常使用とは異なる使い方である。ユーザの通常使用とは異なる使い方は、例えば、設置準備作業に伴うテスト出力や、設置直後のユーザにとって目新しく好奇心を喚起することによる使用機会の増加である。2つ目の要因は、数理モデルに当てはめる過去の使用履歴(履歴データ)の数が少ないために、新たな履歴データが得られたときのデータに含まれる誤差の影響が大きいことである。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑み、適切な残日数の表示を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナーが収容されたトナー容器が着脱可能であり、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する画像形成装置であって、前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得手段と、前記画像形成装置に装着されたトナー容器の交換が予想される日までの残日数を、前記取得手段により取得された前記消費データに基づき決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記残日数を表示する表示手段と、を有し、前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定手段により決定される前記残日数表示ないことを特徴とする。
本発明の表示方法は、トナーが収容されたトナー容器が着脱可能な画像形成装置であって、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する前記画像形成装置の、前記トナー容器の交換が予想される日までの残日数を表示する表示方法であって、前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得ステップと、前記残日数を前記消費データに基づき決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された前記残日数を表示する表示ステップと、を有し、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定ステップにより決定される前記残日数は表示されないことを特徴とする。
本発明の情報処理装置は、トナーが収容されたトナー容器が着脱可能な画像形成装置であって、前記トナー容器内のトナーを用いてシートに画像を形成する前記画像形成装置を制御する情報処理装置であって、前記画像形成装置が画像を形成することで消費されるトナーの消費量に関する消費データを取得する取得手段と、前記画像形成装置に装着されたトナー容器の交換が予想される日までの残日数を、前記取得手段により取得された前記消費データに基づき決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記残日数を表示する表示手段と、を有し、前記表示手段は、前記画像形成装置が画像を形成したシートの枚数が所定枚数未満ならば、前記決定手段により決定される前記残日数を表示しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適切に残日数を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の構成図。
図2】トナーの補給動作の説明図。
図3】コントローラの説明図。
図4】使用量検知部の動作を表すフローチャート。
図5】予測部の動作を表すフローチャート。
図6】判定部の動作を表すフローチャート。
図7】配送要求信号に応じた画面の例示図。
図8】コントローラの変形例の説明図。
図9】予測部の動作を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(画像形成装置の構成)
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成図である。本実施形態の画像形成装置には、電子写真方式、オフセット印刷方式、インクジェット方式等の種々の方式が適用可能である。ここでは、電子写真方式を用いた画像形成装置101について説明する。
【0013】
画像形成装置101は、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応する複数の画像形成部110Y、110M、110C、110Kが、中間転写ベルト1に沿って配置される中間転写タンデム方式である。符号末尾の、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアン、Kはブラックを表す。なお、以下の説明において、色別に説明する必要が無い場合は、符号末尾のY、M、C、Kを省略する。画像形成部110Yはイエローのトナー像を形成し、画像形成部110Mはマゼンタのトナー像を形成し、画像形成部110Cはシアンのトナー像を形成し、画像形成部110Kはブラックのトナー像を形成する。各色のトナー像は、画像形成部110Y、110M、110C、110Kから中間転写ベルト1に重畳するように転写される。中間転写ベルト1は、紙搬送部150により搬送される記録材Sにトナー像を転写することで、記録材Sに画像を形成する。記録材Sに転写されたトナー像は定着器158により記録材Sに定着される。
【0014】
紙搬送部150による記録材Sの搬送処理について説明する。記録材Sは、記録材収納部151に収納されており、リフトアップ部152上に積載される。記録材Sは、給紙ローラ153により記録材収納部151から給紙搬送パス154へ給紙される。給紙動作は、画像形成部110Y、110M、110C、110Kの画像形成のタイミングに応じて開始される。記録材Sは、給紙搬送パス154をレジストローラ155まで搬送される。レジストローラ155は、搬送方向に対する記録材Sの斜行補正を行い、搬送を再開するタイミングを調整して記録材Sを二次転写部へ搬送する。二次転写部は、対向して配置された2つの転写部材である二次転写内駆動ローラ2及び二次転写外駆動ローラ156により構成される転写ニップ部である。二次転写部は、所定の加圧力と静電的負荷バイアスが付与されることで、中間転写ベルト1から記録材Sへトナー像の転写を行う。
【0015】
記録材Sが二次転写部まで搬送されるタイミングにあわせて、トナー像を二次転写部まで搬送する画像形成プロセスについて説明する。画像形成部110Y、110M、110C、110Kは、形成するトナー像の色が異なるのみであり、同様の構成により同様の動作を行う。以下に、画像形成部110Yの構成及び動作について説明し、他の画像形成部110M、110C、110Kの説明については省略する。
【0016】
トナー像形成部としての画像形成部Yは、像担持体である感光体111、帯電器112、現像器114、一次転写ローラ115、及び感光体クリーナ116を備える。画像形成部Yの近傍には、レーザ及びポリゴンミラー補正系レンズを含むスキャナユニット117が設けられる。感光体111は、ドラム形状であり、矢印m方向に回転する。帯電器112は、感光体111の表面を一様に帯電する。スキャナユニット117は、形成する画像を表す画像ピクセル情報(画像を構成する各画素の位置等の情報)に応じて変調したレーザ光を、感光体111の帯電された表面(露光部113)に照射する。これにより感光体111の表面に画像ピクセル情報に応じた静電潜像が形成される。現像器114は、感光体111上に形成された静電潜像を、静電帯電したイエローのトナー(現像剤)により現像する。これにより感光体111上にイエロートナー像が形成される。同様に、画像形成部Mの感光体にはマゼンタのトナー像が形成され、画像形成部Cの感光体にはシアンのトナー像が形成され、画像形成部Kの感光体にはブラックのトナー像が形成される。
【0017】
一次転写ローラ115は、所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが付与されることで、中間転写ベルト1上に感光体111からイエローのトナー像を転写する。転写後に感光体111上に残った転写残トナーは、感光体クリーナ116により回収される。感光体111は、転写残トナーの回収により次の画像形成に備える。同様に、画像形成部Mの感光体に形成されたマゼンタのトナー像、画像形成部Cの感光体に形成されたシアンのトナー像、及び画像形成部Kの感光体に形成されたブラックのトナー像が、順次、イエローのトナー像に重畳して中間転写ベルト1に転写される。
【0018】
以上のように、各色の画像形成プロセスが、画像形成部110Y、110M、110C、110Kにより並列に行われる。各画像形成部110Y、110M、110C、110Kで行われる画像形成プロセスは、各色のトナー像が中間転写ベルト1に順次重畳して転写されるタイミングで行われる。その結果、最終的にフルカラーのトナー像が中間転写ベルト1上に形成される。フルカラーのトナー像は、中間転写ベルト1により二次転写部へ搬送される。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4色のトナー像を形成する構成について説明したが、色数はこれに限定されない。また、画像形成部110の並びも図1に示す構成に限定されない。
【0019】
中間転写ベルト1は、中間転写ベルトユニット102に含まれる。中間転写ベルトユニット102は、中間転写ベルト1を張架する二次転写内駆動ローラ2、テンションローラ3、及び二次転写前ローラ4を備える。二次転写内駆動ローラ2は、駆動部材と二次転写内部材とを兼ねる。テンションローラ3は、中間転写ベルト1に所定の張力を付与する。二次転写前ローラ4は、張架部材である。中間転写ベルト1は、二次転写内駆動ローラ2により矢印V方向に搬送駆動されるベルト部材である。中間転写ベルト1は、搬送駆動されることで各画像形成部110から転写されたトナー像を二次転写部へ搬送する。
【0020】
矢印Vが示す中間転写ベルト1の搬送方向に対して、二次転写前ローラ4は二次転写内駆動ローラ2の上流側に配置され、テンションローラ3は二次転写内駆動ローラ2の下流側に配置される。テンションローラ3と二次転写前ローラ4との間には、各画像形成部110の一次転写ローラ115が配設される。テンションローラ3及び二次転写前ローラ4は、駆動力が付与されず、中間転写ベルト1の搬送に従動して回転する。
【0021】
テンションローラ3は、矢印T方向(テンションローラ3と二次転写前ローラ4との間に張架された中間転写ベルト1の方向)に移動可能であり、不図示の付勢部により中間転写ベルト1に張力を与える方向に付勢される。二次転写内駆動ローラ2は、中間転写ベルト1にテンションローラ3による張力が与えられた状態で摩擦力により中間転写ベルト1を搬送可能であるように、外周面が導電性EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)により形成される。二次転写内駆動ローラ2の外周面の初期摩擦抵抗μは1.0~1.5程度に設定されている。なお、二次転写内駆動ローラ2の材質や外周面の初期摩擦抵抗は、上述の構成に限定されるものではない。テンションローラ3の中間転写ベルト1を挟んで対向する位置には、中間転写ベルト1に残ったトナーを除去する中間転写クリーナ50が、テンションローラ3に対して固定的に取り付けられる。
【0022】
中間転写ベルト1は、本実施形態では、ポリイミドで形成された、周長792[mm]、幅346[mm]、厚さ60[μm]のエンドレスベルトである。なお、中間転写ベルト1の材料は、これに限定されるものではなく、例えば、ポリカーボネート、PVDF、ETFE、PTFE等により形成されたエンドレスベルトを用いることができる。また、中間転写ベルト1を張架するローラの数は図1の構成に限定されるものではない。
【0023】
以上のようにして二次転写部に記録材S及びトナー像が搬送されてくる。二次転写部は、中間転写ベルト1に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に二次転写する。トナー像が転写された記録材Sは、二次転写部から定着前搬送部157を介して定着器158へ搬送される。
【0024】
定着器158は様々な構成及び方式があるが、本実施形態では、対向して配置される定着ローラ159と加圧ローラ160とを備える。定着器158は、定着ローラ159と加圧ローラ160とで形成される定着ニップ内で所定の加圧力と熱量を記録材Sに付与することで、記録材S上にトナー像を溶融固着させる。定着ローラ159は、内部に熱源となるヒータを備える。加圧ローラ160は定着ローラ159に向かって付勢されている。
【0025】
画像定着された記録材Sは、フラッパ163により、定着器158から、排紙反転ローラ161或いは両面搬送パス164へ搬送される。記録材Sを排紙トレイ162へ排出する場合、フラッパ163は、記録材Sを排紙反転ローラ161側へ搬送する。両面への画像形成(両面印刷)を行う場合、フラッパ163は、記録材Sを一旦排紙反転ローラ161側へ搬送する。その後、排紙反転ローラ161は、スイッチバック動作を行うことで記録材Sの先後端を入れ替える。その間にフラッパ163は、切り替わって先後端が入れ替わった記録材Sを両面搬送パス164へ導く。
【0026】
その後、給紙ローラ153より搬送されてくる後続ジョブの記録材とのタイミングを合わせて、記録材Sは、再給紙パス165から給紙搬送パス154に合流し、裏面(2面目)への画像形成が行われる。同様に二次転写部へと送られる。裏面(2面目)への画像形成プロセスは、先述の表面(1面目)の場合と同様である。
【0027】
(トナーボトルから現像器へのトナー補給)
図2は、トナーボトルから現像器114への消耗品であるトナーの補給動作の説明図である。画像形成プロセスでは、現像器114がトナーにより静電潜像を現像する。現像器114は、内部にトナーを収容しており、現像動作によりトナーを消費する。そのために、画像形成プロセスが行われるたびに、現像器114内のトナーが減少する。そのために現像器114は、トナーボトル140からトナーが補給される必要がある。
【0028】
現像器114は、収容するトナーの量を検知する現像トナー量検知センサ131を備える。また、現像器114は、ホッパ132を介してトナーボトル140に内部が連通する。現像トナー量検知センサ131により検知された現像器114内のトナー量が一定量を下回った場合、現像器114はホッパ132からトナーが補給される。ホッパ132は、内部に補給スクリュー133を備える。補給スクリュー133の回転量が制御されることで、ホッパ132から現像器114へ供給されるトナーの量が一定量に保たれる。
【0029】
ホッパ132内に収容されるトナー量が所定量以下になると、補給スクリュー133の回転量によらず、ホッパ132から現像器114へ正確な量のトナー補給ができなくなる。ホッパ132は、収容するトナーの量を検知するホッパトナー量検知センサ134を備える。ホッパトナー量検知センサ134により検知されたホッパ132内のトナー量が一定量を下回った場合、ホッパ132はトナーボトル140からトナーが補給される。
【0030】
なお、現像トナー量検知センサ131及びホッパトナー量検知センサ134は、例えば透磁率を測定するインダクタンスセンサや、圧電振動子を用いた粉体レベルセンサを用いることができるが、これらに限られるものではない。
【0031】
トナーボトル140は、画像形成装置101に設けられる不図示の装着部に着脱可能に構成される。トナーボトル140の補給口は、装着部に装着されることで補給口シャッタが開放される。トナーボトル140は内部に螺旋状のトナー搬送部が形成される。トナーボトル140は、ホッパ132へのトナー補給が指示された場合に、回転することでトナー搬送部によりトナーを補給口方向へ搬送する。そして、トナーボトル140内のトナーが補給口からホッパ132に補給される。
【0032】
このように、現像器114で消費されるトナーは、トナーボトル140から供給される。そのために、画像形成プロセスが行われることでトナーボトル140内のトナーが少なくなる。トナーが少なくなったトナーボトル140は新しいトナーボトルに交換される。これにより画像形成装置101は、画像形成プロセスを継続して実行することが可能である。
【0033】
(消耗品の配送管理)
図3は、画像形成装置101により画像形成時に使用される消耗品の配送管理を行うためのコントローラの説明図である。コントローラ300は、画像形成装置101内部に設けられる。ここでは、消耗品がトナーである場合について説明するが、消耗品は、画像形成に用いられて消費したり、部品寿命が設定される部品である。例えば消耗品には、トナーの他に、記録材S、感光体111、中間転写ベルト1等がある。
【0034】
コントローラ300は、スキャナユニット117、メモリ304、操作パネル171、に接続される。また、コントローラ300は、公衆回線等のネットワークを介して保守サーバ307と通信可能に接続される。メモリ304は、トナーボトル140に設けられており、トナーボトル140の内部に収容されるトナーの残量(トナー残量)を格納する。トナーボトル140が未使用の場合、メモリ304には、生産時に充填されたトナーの量がトナー残量の初期値として格納される。なお、トナーの量の代わりに、例えば、トナーボトルの重量、トナーボトルの回転回数、トナーボトルによる補給動作の実行回数であってもよい。メモリ304に格納されるトナー残量は、コントローラ300によって書き換え可能に管理されている。操作パネル171は、キーボタン、タッチパネル等の入力装置と、ディスプレイ等の出力装置とを組み合わせたユーザインタフェースである。操作パネル171は、画像形成装置101に設けられており、指示等をコントローラ300へ送信し、コントローラ300の制御によりディスプレイに画像表示を行う。保守サーバ307は、画像形成装置101とネットワークを介して接続される外部のサーバ装置であり、コントローラ300からの信号に応じた表示を行うディスプレイを備える。保守サーバ307は、画像形成装置101の販売元が運営する保守サービス機関に設置される。
【0035】
コントローラ300は、画像コントローラ301、使用量検知部302、補給コントローラ303、予測部305、判定部306、通信部308、スキャナコントローラ309、及び表示コントローラ310として機能する。コントローラ300の各機能は、CPU(Central Processing Unit)が所定のコンピュータプログラムを実行することで実現されてもよく、また、ハードウェアにより実行されてもよい。
【0036】
画像コントローラ301は、画像ピクセル情報をスキャナコントローラ309及び使用量検知部302に対して送信する。スキャナコントローラ309は、画像コントローラ301から取得する画像ピクセル情報に応じたレーザ発光指令を生成して、スキャナユニット117へ送信する。スキャナユニット117は、レーザ発光指令により発光タイミングが制御される。また、画像コントローラ301は画像形成装置101が出力した画像形成済みの記録材Sの枚数を計数するカウンタを有している。画像コントローラ301は、画像形成済みの記録材Sの累積出力枚数NPAGEを予測部305に通知する。なお累積出力枚数NPAGEは、画像形成装置101の生産時点で「0」に設定されている。本実施形態では、累積出力枚数NPAGEはA4サイズ紙への換算枚数である。例えばA3用紙に画像が形成された場合、累積出力枚数NPAGEは2増加する。
【0037】
補給コントローラ303は、現像トナー量検知センサ131による現像器114内のトナー量の検知結果やホッパトナー量検知センサ134によるホッパ132内のトナー量の検知結果を取得する。補給コントローラ303は、これらの検知結果に基づいて、補給スクリュー133やトナーボトル140の動作タイミングを決定する。補給コントローラ303は、決定した動作タイミングに応じて補給スクリュー133やトナーボトル140を駆動するためのモータを回転駆動させることで、補給スクリュー133やトナーボトル140によるトナー補給を実現する。なお、補給コントローラ303は、トナーボトル140を回転動作させた回数を「トナー補給回数」として計数し、計数結果である「トナー補給回数」を使用量検知部302に送信する。
【0038】
使用量検知部302、予測部305、判定部306、及び表示コントローラ310の動作について、図4図6のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図4は、使用量検知部302の動作を表すフローチャートである。使用量検知部302は、図4の処理を、定期的(例えば1秒毎)、或いは不定期的(例えば1つの画像、1ページ等の印刷単位の画像形成毎)に実行する。
【0040】
使用量検知部302は、メモリ304に格納されているトナーボトル140のトナー残量WT-1を取得する(S100)。トナー残量WT-1は、前回(現時刻を「T」としたときの時刻「T-1」)、使用量検知部302が行った処理により検知されてメモリ304に格納されたトナー残量である。トナーボトル140が新たに装着されて最初に使用量検知部302が図4の処理を行う場合には、トナー残量WT-1は、初期値であるトナーボトル140の生産時に充填されたトナーの量である。
【0041】
使用量検知部302は、画像コントローラ301から画像ピクセル情報Pを取得し、補給コントローラ303からトナー補給回数Nを取得する(S101)。画像ピクセル情報Pは、これまでに画像形成及び出力を行った画素数の累計値を表す。トナー補給回数Nは、これまでにトナーボトル140を回転動作させた回数の累計値を表す。
【0042】
使用量検知部302は、画像ピクセル情報Pが表す画素数から、前回の処理時に取得した画像ピクセル情報PT-1が表す画素数を減算した結果であるΔPを算出する。また、使用量検知部302は、トナー補給回数Nから、前回の処理時に取得したトナー補給回数NT-1を減算した結果であるΔNを算出する(S102)。
【0043】
使用量検知部302は、算出したΔP、ΔN、1画素当たりのトナー使用量の代表値、及びトナー補給回数1回当たりのトナー使用量の代表値により、現時刻Tにおいて使用されると推定されるトナー使用量の推定量(推定使用量Q)を算出する(S103)。推定使用量Qは、例えば以下の式により算出される。推定使用量Qの単位はミリグラムである。
Q=(0.015×ΔP+180×ΔN)/2
【0044】
この式では、1画素当たりのトナー使用量の代表値=0.015[mg]、トナー補給回数1回当たりのトナー使用量の代表値=180[mg]である。この式は、出力画像に基づいた推定トナー使用量とトナーボトル140からのトナー供給量に基づいた推定トナー使用量との平均を用いて、現時刻Tにおいて使用されると推定されるトナーの推定使用量Qを求めるための計算式である。
【0045】
使用量検知部302は、トナー使用量の累積値(累積トナー使用量)を算出する(S104)。使用量検知部302は、前回(時刻(T-1))の処理で算出した累積トナー使用量UT-1に今回算出した推定使用量Qを加算して、現時刻Tにおける累積トナー使用量UTを算出する。即ち、使用量検知部302は、UT=UT-1+Qの演算を行う。なお、T=1,2,…、U0=0である。
【0046】
使用量検知部302は、S100の処理でメモリ304から取得したトナー残量WT-1から推定使用量Qを減算した結果(WT-1-Q)を、現時刻Tにおけるトナー残量WTとして算出する(S105)。使用量検知部302は、メモリ304に格納されているトナー残量WT-1を、算出したトナー残量WTに更新する(S106)。
【0047】
使用量検知部302は、コントローラ300が有するタイマ等により現在の日付を取得し、現在の日付が前回処理を行った日付の翌日以降であるか否かを判断する(S107)。現在の日付が前回処理を行った日付の翌日以降ではない場合(S107:N)、使用量検知部302は処理を終了する。現在の日付が前回処理を行った日付の翌日以降である場合(S107:Y)、使用量検知部302は、累積トナー使用量UTを「現時刻Tを含む当日1日で使用したトナー使用量」(1日当たりのトナー使用量)として、予測部305へ通知する。また、使用量検知部302は、トナー残量WTを予測部305へ通知する(S108)。通知後に使用量検知部302は、累積トナー使用量UTを0に初期化する(S109)。つまり使用量検知部302は、1日当たりのトナー使用量を、1日1回、予測部305へ通知する。以上により使用量検知部302の処理が終了する。
【0048】
図5は、予測部305の動作を表すフローチャートである。予測部305は、使用量検知部302から累積トナー使用量UTが通知されるタイミングで図5の処理を実行する。
【0049】
予測部305は、画像コントローラ301から取得する累積出力枚数NPAGEと所定の枚数閾値とを比較する(S501)。本実施形態では枚数閾値を500枚とする。累積出力枚数NPAGEが枚数閾値より小さい場合(S501:N)、予測部305は、演算条件が満たされていないと判断して処理を終了する。累積枚数NPAGEが枚数閾値以上である場合(S501:Y)、予測部305は、使用量検知部302から累積トナー使用量UTを取得する(S502)。予測部305は、取得した累積トナー使用量UTを用いて以下の式により累積トナー使用量UTの平均値UAVE(1日当たりのトナー使用量の累積平均)を算出する(S503)。
【0050】
【数1】
【0051】
「i」は、使用量検知部302から「1日当たりのトナー使用量」を取得した回数である。「Un」は、n回目の通知時の1日当たりのトナー使用量を表す。すなわち、取得回数iはユーザの過去の使用履歴の取得日数に相当する。なお、「1日当たりのトナー使用量」を用いた累積トナー使用量の平均値UAVEの算出が一度も行われない間は、平均値UAVE=0とする。
【0052】
予測部305は、累積トナー使用量の平均値UAVEと使用量検知部302から取得したトナー残量WTとに基づいて、現在、画像形成装置101に残っているトナーの残り使用可能期間として残日数Dを算出する(S504)。残日数Dは、D=WT/UAVEの式により算出される。なお、平均値UAVE=0の場合、残日数Dは充分に大きな値、例えば9999日に設定される。予測部305は、算出した残日数D及び所得回数iを判定部306に通知する(S505)。以上により予測部305の処理が終了する。
【0053】
図6は、判定部306の動作を表すフローチャートである。判定部306は、予測部305から出力された取得回数iを取得する(S1001)。判定部306は、取得した取得回数iが所定の日数閾値以上(例えば14日以上)であるか否かを判断する(S1002)。取得回数iが日数閾値よりも小さい場合(S1002:N)、判定部306は処理を終了する。
【0054】
取得回数iが日数閾値以上である場合(S1002:Y)、判定部306は予測部305から出力された残日数Dを取得する(S1003)。判定部306は、取得した残日数Dが所定の配送閾値以上(例えば10日以上)であるか否かを判断する(S1004)。残日数Dが配送閾値以上である場合(S1004:N)、判定部306は処理を終了する。残日数Dが配送閾値より小さい場合(S1004:Y)、判定部306は、トナーボトル140がまもなく使い切られて空になると判断する。この場合、判定部306は、交換用のトナーボトルの準備要求の一例である「配送要求」を促すための配送要求信号を生成する。判定部306は、生成した配送要求信号を表示コントローラ310へ送信するとともに、通信部308を介して外部の保守サーバ307へ送信する(S1005)。なお、表示コントローラ310は、画像形成装置101が設置された日から所定日数が経過するまで、操作パネル171のディスプレイに残日数を表示させない。
【0055】
表示コントローラ310は、操作パネル171が備えるディスプレイの表示制御を行う。表示コントローラ310は、判定部306から取得する配送要求信号に応じた画面をディスプレイに表示させる。図7は、操作パネル171に表示される配送要求信号に応じた画面の例示図である。操作パネル171の表示画面600には、画像形成装置101が有するトナー(トナーY、トナーM、トナーC、トナーK)のそれぞれについて、残日数D及びトナーボトルの配送の要/不要の一覧表が表示されている。「トナーの配送の要/不要」は、表示コントローラ310が配送要求信号を受けているトナーボトルについては「要」、受けていない場合には「不要」となる。
【0056】
保守サーバ307は、通信部308を介して判定部306から取得する配送要求信号に応じて、所定のディスプレイに画像の表示を行う。表示内容は、例えば、図7に示した画面と同様であり、トナー毎の「トナーの配送の要/不要」を含む。保守サーバ307がこのような画面を表示することで、保守サーバ307のオペレータは、表示内容を確認して、トナーボトルの交換或いは常備のための配送手配の要否(配送の個数を含む)を確認することができる。これにより、適切なタイミングで交換用のトナーボトルを画像形成装置101の設置場所に対して配送することが可能である。
【0057】
以上の説明において画像形成装置101は、予測部305が行う累積出力枚数NPAGEと所定の枚数閾値との比較結果を第1演算停止条件とする(図5のS501の処理)。また画像形成装置101は、判定部306が行う取得回数iと日数閾値との比較結果を第2演算停止条件とする(図6のS1002の処理)。
【0058】
第1演算停止条件は、画像形成装置101が設置されてから画像形成が行われた記録材Sが所定枚数出力されるまでの期間、ユーザの使用履歴を将来の需要予測に用いないようにするための条件である。第1演算停止条件が満たされる場合(S501:N)、予測部305は処理を行わない。従って、画像形成装置101の設置初期に通常とは異なる量の画像形成が行われる場合であっても、このときの状態が以後の需要予測に与える誤差を抑制することができる。
【0059】
第2演算停止条件は、ユーザの使用履歴のデータ取得を開始した後、所定数のデータが取得されるまで残日数を更新せず、配送要求信号を生成しないための条件である。第2演算停止条件が満たされる場合(S1002:N)、判定部306は処理を行わない。第2演算停止条件により、画像形成装置101は、新たに得られた1点の使用履歴のデータが長期的な将来の需要に比較して誤差を多く含んでも、該誤差が配送要求信号の判定に及ぼす影響を抑制することができる。
【0060】
(変形例)
変形例においても消耗品がトナー(トナーボトル)である場合について説明する。図8は、画像形成装置101により画像形成時に使用される消耗品の配送管理を行うためのコントローラの変形例の説明図である。このコントローラ400は、構成自体は図3のコントローラ300と同じであるが、予測部312の動作が図3のコントローラ300の予測部305とは異なる。予測部312は、リセット操作パネル311が接続される。また、予測部312は、画像コントローラ301から画像ピクセル情報を取得する。他の構成及び動作は、上述した通りである。
【0061】
リセット操作パネル311は、ユーザにより操作されることで予測部312に対してリセット信号を送信する。リセット操作パネル311は、操作パネル171に一体に構成されていてもよく、別体として設けられていてもよい。
【0062】
図9は、予測部312の動作を表すフローチャートである。予測部312は、使用量検知部302から累積トナー使用量UTが通知されるタイミングで図9の処理を実行する。
【0063】
予測部312は、リセット操作パネル311からリセット信号を受信しているか否かを判断する(S601)。リセット信号を受信する場合(S601:Y)、予測部312は、画像ピクセル情報Pの累積値である累積ピクセルRを0にリセットする(S602)。累積ピクセルRは、画像形成装置101が生産された時点の初期値が0に設定されている。予測部312は、累積トナー使用量の平均値UAVE及び取得回数iを0にリセットする(S603)。即ち、予測部312は、以降で最初に使用量検知部302から取得する累積トナー使用量UTを1回目に取得したデータ(i=1)として取り扱う。
【0064】
リセット信号を受信しない場合(S601:N)、或いは累積ピクセルR、平均値UAVE、及び取得回数iをリセットした後に、予測部312は、画像コントローラ301から画像ピクセル情報Pを取得する(S604)。予測部312は、前回の処理時点からの画像ピクセル情報Pの増加分ΔPを算出し(S605)、前回の処理終了時点の累積ピクセルRに増加分ΔPを加算することで、累積ピクセルRを更新する(S606)。予測部312は、更新した累積ピクセルPが所定のピクセル閾値以上であるか否かを判断する(S607)。累積ピクセルPがピクセル閾値以上ではない場合(S606:N)、予測部312は処理を終了する。累積ピクセルPがピクセル閾値以上である場合(S606:Y)、予測部312は、S608~S611の処理を実行する。S608~S611の処理は、図5のS502~S505の処理と同様の処理であるので説明を省略する。
【0065】
リセット操作パネル311は、例えば画像形成装置101の設置場所が移動して長期的な将来の需要に変化が見込まれる際に操作される。コントローラ400は、リセット信号が入力されることで、それまでの使用履歴がリセットされるために、使用履歴によらず設置場所が移動した後の将来の需要を予測することが可能となる。
【0066】
以上の説明において使用した各種の数値は一例であり、上記の数値に限るものではない。また以上の説明では使用量検知部302が画像ピクセル情報P及びトナー補給回数Nからトナー使用量Qを推定しているが、トナー使用量の検知は他の方法で行われてもよい。例えば使用量検知部302は、トナーボトル140に収容されるトナーの体積や重量を検知するセンサの検知結果からトナー使用量Qを推定してもよい。また、画像形成装置101に限らず、消耗品を用いて動作する装置であれば、本発明を適用可能である。
【0067】
このように画像形成装置101は、第1演算停止条件及び第2演算停止条件の少なくとも一方が満たされる間、消耗品の配送要求信号を出力するための処理を行わない。つまり画像形成装置101は、使用開始から所定の条件が成立する間、消耗品の配送要求を行わない。そのために、予備の消耗品の配送要求が適切なタイミングで行われることになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9