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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240213BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240213BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20240213BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240213BHJP
   B65G 13/00 20060101ALI20240213BHJP
   B65G 13/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643B
H01L21/304 648A
H01L21/304 651G
B65G49/06 Z
B65G49/07 B
B65G13/00 A
B65G13/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023066690
(22)【出願日】2023-04-14
(62)【分割の表示】P 2020112018の分割
【原出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2023086815
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019137160
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】亀井 健吾
(72)【発明者】
【氏名】松井 絵美
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207847(JP,A)
【文献】特開2020-066477(JP,A)
【文献】特開平06-244546(JP,A)
【文献】特開2019-175933(JP,A)
【文献】特開平11-087210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
B65G 49/06
B65G 49/07
B65G 13/00
B65G 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反りを有する基板の、凸面側を支持するとともに、前記基板を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに対向して離間するように設けられ、前記搬送ローラにより搬送される前記基板を押える押えローラと、
を備え、
対向して離間する前記搬送ローラ及び前記押えローラは一組とされ、前記基板の搬送方向に沿って複数組並んでおり、
組ごとの前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離は、前記基板の搬送方向に沿って短くなっている部分を有し、
前記搬送ローラは、前記搬送方向に直交する方向である前記基板の幅方向の両端と中央に対応してローラを有し、
前記押えローラは、前記基板の搬送方向に直交する方向に離間して対で設けられる上乗せローラを備え、
前記対で設けられる上乗せローラの離間距離は、前記短くなっている部分において前記搬送方向に沿って徐々に広くなっており、
前記基板は、前記搬送方向に直交する方向において反りを有する基板であり、
前記短くなっている部分の最上流に位置する前記上乗せローラの前記離間距離は、前記基板が前記押えローラに当接する前の反り状態における前記基板の、前記搬送方向に直交する方向の長さよりも短いことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記基板の搬送方向の最上流に位置する一組の前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離は、前記基板の反り量よりも長くなっている請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記上乗せローラは、その外周に設けられたOリングを有し、
前記組ごとの前記押えローラにおける前記Oリングの幅が、前記基板の搬送方向に沿って大きくなる部分を有する請求項1又は請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の基板搬送装置と、
前記基板搬送装置により搬送される前記基板に処理液を供給する液供給部と、
を備える基板処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の基板搬送装置と、
前記基板搬送装置により搬送される前記基板を乾燥させる乾燥部と、
を備える基板処理装置。
【請求項6】
前記乾燥部が設けられた乾燥処理室における前記基板の搬送方向の最上流に位置する一組の前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離は、前記乾燥処理室内における複数組の前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離の中で最も長いことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記乾燥部が設けられた乾燥処理室における前記基板の搬送方向の最上流に位置する一組の前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離は、前記基板搬送装置における前記基板の搬送方向の最上流に位置する一組の前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板搬送装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や半導体デバイスなどの製造工程において、ガラス基板や半導体基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられている。基板処理としては、例えば、レジスト塗布処理、レジスト剥離処理、エッチング処理、洗浄処理、乾燥処理がある。基板処理装置は、複数の搬送ローラにより基板を搬送しながら、その基板に対して処理用の流体(例えば、処理液や乾燥用の気体)をかけて基板を処理する。
【0003】
搬送対象となる基板は、通常、平らな基板であるが、中には反った基板(反りを有する基板)もある。例えば、厚さが1mm程度と薄い基板が処理対象の基板として用いられ、その基板の上面に成膜が行われると、基板は膜の応力により反ることがある。この反った基板が上面を上に又は下にして複数の搬送ローラによって反ったままの状態で搬送されると、基板の反った部分に処理用の流体が均一に供給されないため、基板に対する処理が不均一となる。このため、処理ムラ(例えば、塗布ムラや剥離ムラ、エッチングムラ、洗浄ムラ、乾燥ムラ)が発生することがあり、基板品質が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-10096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板品質を向上させることができる基板搬送装置及び基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る基板搬送装置は、
反りを有する基板の、凸面側を支持するとともに、前記基板を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに対向して離間するように設けられ、前記搬送ローラにより搬送される前記基板を押える押えローラと、
を備え、
対向して離間する前記搬送ローラ及び前記押えローラは一組とされ、前記基板の搬送方向に沿って複数組並んでおり、
組ごとの前記搬送ローラ及び前記押えローラの離間距離は、前記基板の搬送方向に沿って短くなっている部分を有し、
前記搬送ローラは、前記搬送方向に直交する方向である前記基板の幅方向の両端と中央に対応してローラを有し、
前記押えローラは、前記基板の搬送方向に直交する方向に離間して対で設けられる上乗せローラを備え、
前記対で設けられる上乗せローラの離間距離は、前記短くなっている部分において前記搬送方向に沿って徐々に広くなっており、
前記基板は、前記搬送方向に直交する方向において反りを有する基板であり、
前記短くなっている部分の最上流に位置する前記上乗せローラの前記離間距離は、前記基板が前記押えローラに当接する前の反り状態における前記基板の、前記搬送方向に直交する方向の長さよりも短い。
【0007】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、
前述の実施形態に係る基板搬送装置と、
前記基板搬送装置により搬送される前記基板に処理液を供給する液供給部と、
を備える。
【0008】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、
前述の実施形態に係る基板搬送装置と、
前記基板搬送装置により搬送される前記基板を乾燥させる乾燥部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、基板品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第1の図である。
図2】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第2の図である。
図3】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第3の図である。
図4】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第4の図である。
図5】第2の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第1の図である。
図7】第3の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第2の図である。
図8】第4の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第1の平面図である。
図9図8の矢視A-A´図(A)、矢視B-B´図(B)である。
図10】第4の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第2の平面図である。
図11図10の矢視A-A´図(A)、矢視B-B´図(B)である。
図12】第5の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第1の図である。
図13】第5の実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一部を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0012】
(基本構成)
図1及び図2に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、処理室20と、搬送部(基板搬送装置)30と、液供給部40と、乾燥部50と、制御部60とを備えている。処理対象の基板Wとしては、例えば、ガラス基板などの矩形状の薄型基板が用いられる。例えば、基板Wの厚さは0.5~1.1mm程度であり、基板Wの反り量は7~10mm程度である。反りは矩形状基板の四方にある。
【0013】
処理室20は、矯正処理室21と、洗浄処理室22と、乾燥処理室23とを有している。これらの矯正処理室21、洗浄処理室22及び乾燥処理室23は、それぞれ、基板Wが搬送される搬送路H1を内部に有する筐体であり、基板Wが搬送路H1に沿って内部を通過することが可能に形成されている。矯正処理室21、洗浄処理室22及び乾燥処理室23は、それぞれ、搬送路H1を移動する基板Wを処理するための部屋として機能する。洗浄処理室22や乾燥処理室23の個々の底面には、液を排出する排出口(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0014】
搬送部30は、複数の搬送ローラ31Aと、複数の押えローラ31Bとを有している。この搬送部30は、処理室20内、すなわち矯正処理室21、洗浄処理室22及び乾燥処理室23の全内部(以下、適宜、処理室20内という)にわたって設けられており、各押えローラ31Bにより基板Wの上面を押えつつ、各搬送ローラ31Aにより基板Wを搬送する。
【0015】
各搬送ローラ31Aは、基板Wの搬送方向A1(以下、搬送方向A1という)に沿って搬送路H1の下方に所定間隔で並べられている。各押えローラ31Bは、それぞれ、各搬送ローラ31Aに搬送路H1を挟んで離間して対向するように搬送路H1の上方に位置付けられ、前述の各搬送ローラ31Aの所定間隔と同じ所定間隔で搬送方向A1に沿って並べられている。これらの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bは、処理室20内に回転可能に設けられており、駆動源(図示せず)により互いに同期して回転するように構成されている。搬送ローラ31Aは時計回りに回転し、押えローラ31Bは反時計回りに回転する。本実施形態では、図1図2に示されるように、各搬送ローラ31Aは、搬送方向A1に沿った水平の搬送路H1を形成する。
【0016】
ここで、鉛直方向に離間して搬送路H1を挟んで対向する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bは、搬送方向A1に沿って複数組並ぶように設けられている。矯正処理室21内の組ごとのローラ間の離間距離、すなわち、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離(例えば、鉛直離間距離で、より具体的には、図1にaで示すように、後述する、組ごとのローラ31aとローラ31cとの間の鉛直離間距離)は、搬送方向A1に沿って徐々に短くなっており、矯正処理室21内の搬送路H1の途中で一定になり、そのまま洗浄処理室22及び乾燥処理室23においても一定になっている。ここで、一定の距離とは、例えば基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離である。なお、搬送方向A1の最上流(上流端)に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離は、基板Wの反り量(基板Wが載置された平面と、その平面に載置された基板Wの上面との最大鉛直離間距離)よりも長くなっている。
【0017】
各搬送ローラ31Aは、図3に示すように、それぞれ、3個のローラ31aと、1本のシャフト31bとを有している。3個のローラ31aは円形で同じ直径を有し、例えばゴムや樹脂を素材とするローラであって、1本のシャフト31bの両端と中央に個別に取り付けられており、搬送される基板Wの下面に接触して基板Wを支持するローラとしてそれぞれ機能する。シャフト31bは、基板Wの幅(搬送方向A1に水平面内で直交する方向の幅)よりも長く形成されており、処理室20内に回転可能に設けられている。シャフト31bが回転すると、そのシャフト31bに取り付けられた各ローラ31aはシャフト31bを回転軸として回転する。
【0018】
各押えローラ31Bは、図3に示すように、それぞれ、円形で同じ直径を有する2個のローラ(上乗せローラ)31cと、2本のシャフト31dとを有している。2個のローラ31cは、例えばゴムや樹脂を素材とするローラであって、各搬送ローラ31A上の基板Wの上面の両端領域(基板Wの幅方向の両端領域)を個別に上から押えることが可能に設けられている。これらのローラ31cは、それぞれ2本のシャフト31dに取り付けられており、搬送される基板Wの上面に接触して基板Wを押えるローラとしてそれぞれ機能する。2個のローラ31cは、それぞれ、搬送ローラ31Aの両端に位置する2個のローラ31aの個々の外側の端部に搬送路H1を挟んで対向して離間するように配置されている。2本のシャフト31dは、2個のローラ31cが基板Wの上面の両端領域に個別に接触するように位置付けられ、処理室20内に回転可能に設けられている。シャフト31dが回転すると、そのシャフト31dに取り付けられたローラ31cはシャフト31dを回転軸として回転する。押えローラ31Bの両端に位置する2個のローラ31cは、互いに同期して回転するように構成されている。ローラ31aとローラ31cが回転駆動される時、どちらも同じ周速で回転駆動させられるようになっている。また、搬送ローラ31Aのシャフト31bと押えローラ31Bのシャフト31dとの離間距離を変えることで、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離を上記したように変えることができる。
【0019】
図2に戻り、液供給部40は、複数の液噴射部41を有している。この液供給部40は、洗浄処理室22内に設けられており、搬送路H1を移動する基板Wに各液噴射部41から洗浄液(処理液の一例)を噴射して供給する。各液噴射部41は、搬送部30による基板Wの搬送を妨げず、搬送路H1を挟んで離間して対向するように搬送路H1の上下に7つずつ設けられている。これらの液噴射部41は、搬送路H1に向けてシャワー状に洗浄液を吐出する。なお、搬送路H1の下方に位置する各液噴射部41は、各搬送ローラ31Aを避けて搬送路H1に洗浄液を吐出するように配置されている。洗浄液が各液噴射部41により搬送路H1に向けて噴射され、その搬送路H1を移動する基板Wの上面及び下面の両面に洗浄液が供給される。液噴射部41としては、例えば、複数の貫通孔を有するシャワーパイプや複数のシャワーノズルを備えるパイプが用いられる。
【0020】
乾燥部50は、複数の気体吹出部51を有している。この乾燥部50は、乾燥処理室23内に設けられており、搬送路H1を移動する基板Wに各気体吹出部51から乾燥用の気体(例えば、空気又は窒素ガス)を吹き出して供給する。各気体吹出部51は、搬送部30による基板Wの搬送を妨げず、搬送路H1を挟んで離間して対向するように搬送路H1の上下に1つずつ設けられている。これらの気体吹出部51は、搬送路H1を通過する基板Wに向けて高圧で気体を吹き出し、基板Wに付着している洗浄液を吹き飛ばして基板Wの上面及び下面の両面を乾燥させる。
【0021】
各気体吹出部51は、図4に示すように、それぞれ、基板Wの幅よりも長いスリット状の吹出口(長尺の吹出口)51aを有している。これらの気体吹出部51は、それぞれ、長手方向が搬送方向A1に対して水平面内で傾き、吹出口51aから搬送方向A1の上流側に向けて気体を吹き出し、基板Wに付着している液体を基板Wの隅に向けて吹き飛ばすように設けられている。なお、気体吹出部51の吹出口51aと搬送中の基板Wの上面との鉛直離間距離(ギャップ)は数mm(例えば3mm)程度である。
【0022】
ここで、図4に示すように、乾燥処理室23内の各シャフト31bのうち、搬送路H1の下方の気体吹出部51と交差する位置に存在する3つのシャフト31bは、搬送路H1の下方の気体吹出部51により吹き出された気体を妨げないように気体吹出部51に対向する位置において分断されている(あるいは短く形成されていることがある)。分断されたシャフト31bの一端部は、支持部材(図示せず)により回転可能に支持されている。このような支持部材は、乾燥処理室23の底面に設けられている。なお、ローラ31aが片側のみに設けられている搬送ローラ31Aに対しては、押えローラ31Bは設けられていない。押えローラ31Bにおいて片側のみにローラ(上乗せローラ)31cを設けると、ローラ31cが設けられている側と設けられていない側とで基板Wの搬送速度に差が出てしまい、基板Wを正確に搬送方向A1に沿ってまっすぐ搬送できなくなる。これによって基板Wの先端(基板Wの下流側の端部)に割れが発生してしまうことがあるため、ローラ31aが搬送ローラ31Aの片側のみに設けられている場合には、ローラ31c、つまり押えローラ31Bを設けないようにする。
【0023】
図1に戻り、制御部60は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも図示せず)とを有している。この制御部60は、基板処理情報や各種プログラムに基づき、搬送部30や液供給部40、乾燥部50などの各部を制御する。
【0024】
(基板処理工程)
次に、前述の基板処理装置10が行う基板処理工程について説明する。
【0025】
図1及び図2に示す基板処理装置10では、搬送部30の各搬送ローラ31A及び各押えローラ31Bが同期して回転し、各搬送ローラ31A上の基板Wは搬送方向A1に搬送されて搬送路H1に沿って移動し、矯正処理室21、洗浄処理室22及び乾燥処理室23を通過する。
【0026】
矯正処理室21では、図1に示す反った基板Wが矯正処理室21内に挿入されると、回転する各搬送ローラ31Aにより搬送方向A1に搬送され、搬送路H1に沿って移動していく。組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が搬送方向A1の下流側になるほど短くなっている。このため、基板Wの移動に応じ、各搬送ローラ31A上の反った基板Wの下流側(先端側)の上面が各押えローラ31Bに順次接触していくと、基板Wは各押えローラ31Bによって徐々に押えられていく。このとき、基板Wの反り状態が、図1に示すように、基板Wの下流側の端部及び上流側(後端側)の端部が上方に向かって反っている状態である場合、基板Wの下流側の上面が各押えローラ31Bにより徐々に押えられていくと、基板Wの上流側の上面も各押えローラ31Bに近づいて当接するため、各押えローラ31Bによって押えられる(図1参照)。反った基板Wが搬送路H1に沿って移動していくと、基板Wの下流側から徐々に平らな状態に矯正され、矯正された基板Wは、その後、それぞれの離間距離が一定とされる、組ごとの搬送ローラ31Aと押えローラ31Bとにより挟持され、そのまま平らな状態で次の洗浄処理室22に搬送されていく。なお、反っていない基板Wは、矯正の必要が無く、最初から平らな状態で次の洗浄処理室22に搬送されていく。
【0027】
洗浄処理室22では、搬送路H1の途中に位置する液供給領域(処理領域)に対して、洗浄液が各液噴射部41により搬送路H1の上下から予め供給されている。この液供給状態において、基板Wが平らな状態で搬送されて液供給領域を通過すると、基板Wの上面及び下面の両面に洗浄液が供給され、基板Wの両面が洗浄液によって洗浄される。基板Wの両面から落下した洗浄液は、処理室20の底面を流れて排出口から排出される。
【0028】
乾燥処理室23では、搬送路H1の途中に位置する気体供給領域(処理領域)に対して、乾燥用の気体が各気体吹出部51により搬送路H1の上下から予め供給されている。この気体供給状態において、基板Wが平らな状態で搬送されて搬送路H1途中の気体供給領域を通過すると、基板Wの上面及び下面の両面に付着している処理液が気体の吹き付けによって基板Wの両面から吹き飛ばされ、基板Wの両面が乾燥していく。このとき、基板Wの両面に付着している液体は、気体の吹き付けによって基板Wの両面の右上の隅から左下の隅(図4参照)に向かって移動するため、基板Wの両面はそれぞれ右上の隅から左下の隅へ順次乾燥していく。基板Wの両面から吹き飛ばされた処理液は、処理室20の底面を流れて排出口から排出される。
【0029】
このような基板処理工程では、反った基板Wが矯正処理室21内で搬送路H1に沿って移動していくと、その基板Wは各押えローラ31Bにより押え込まれ、基板Wの下流側から徐々に平らな状態になっていく、つまり、基板Wは各押えローラ31Bによって平らな状態に矯正され、そのまま平らな状態で液供給領域や気体供給領域を通過する。この平らな状態の基板Wに対して洗浄処理や乾燥処理が行われる。これにより、基板Wの上面及び下面の両面に処理液や乾燥用の気体を均一に供給することが可能となるので、基板Wの両面を均一に処理することができる。したがって、基板Wに対する洗浄処理や乾燥処理の均一性を向上させ、基板Wでの洗浄ムラや乾燥ムラの発生を抑えることが可能となるので、基板品質を向上させることができる。
【0030】
なお、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が、搬送路H1の全領域で、基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離で一定になっている場合には、反った基板Wを矯正処理室21内に挿入すると、その反った基板Wを各押えローラ31Bにより無理やり押え込んで平らな状態にするため、基板Wが割れたりして損傷することがある。一方、第1の実施形態では、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が搬送方向A1の下流側になるほど短くなっている。これにより、反った基板Wは各押えローラ31Bにより徐々に(反り量が徐々に減るように)押えられていくので、反った基板Wを各押えローラ31Bにより無理やり(反り量が急激に減るように)押え込んで基板Wの反りを抑制する場合に比べ、基板Wの損傷を抑えることができる。
【0031】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離(例えば、鉛直離間距離)が搬送方向A1に沿って短くなっている。これにより、反った基板Wを損傷させずに基板Wの反りを抑えることが可能になるので、基板Wに対する処理の均一性を向上させることができる。したがって、基板Wでの処理ムラ(例えば、洗浄ムラや乾燥ムラ)の発生を抑え、基板品質を向上させることができる。
【0032】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(乾燥処理室23における搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離)について説明し、その他の説明は省略する。
【0033】
(基本構成)
図5に示すように、第2の実施形態に係る乾燥処理室23では、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離(例えば、鉛直離間距離)は、搬送方向A1に沿って徐々に短くなっており、搬送路H1の途中で基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離で一定になっている。なお、乾燥処理室23内において、搬送方向A1の最上流(上流端)に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離は、基板Wの反り量よりも長くなっている。
【0034】
ここで、乾燥処理室23の上流に位置する洗浄処理室22において、液噴射部41の液噴射や設置の邪魔にならないよう、液噴射部41が設けられる箇所の押えローラ31Bを数個所省くことがある。この場合、その数個所で基板Wが下側の搬送ローラ31Aから浮くため、洗浄処理室22の出口において基板Wの下流側の端部が浮き上がることがあり、洗浄処理室22から乾燥処理室23への連続搬送が難しくなる。この連続搬送を容易にし、平らな状態の基板Wに対する乾燥処理を実現するため、前述のように、乾燥処理室23内において、搬送方向A1の最上流に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が、基板Wの反り量よりも長くなっており、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が搬送方向A1の下流側になるほど短くなっている。
【0035】
図5に示すように、反った基板Wが乾燥処理室23内に進入すると、第1の実施形態と同様、搬送路H1に沿って移動し、その基板Wは各押えローラ31Bにより押え込まれ、下流側から徐々に平らな状態になっていき、そのまま平らな状態で気体供給領域を通過する。この平らな状態の基板Wに対して乾燥処理が行われる。これにより、基板Wの上面及び下面の両面に乾燥用の気体を均一に供給することが可能となるので、基板Wの両面を均一に乾燥させることができる。したがって、基板Wに対する乾燥処理の均一性を向上させ、基板Wでの乾燥ムラの発生を抑えることが可能になるので、基板品質を向上させることができる。また、反った基板Wは各押えローラ31Bにより徐々に(反り量が徐々に減るように)押えられていくので、反った基板Wを各押えローラ31Bにより無理やり(反り量が急激に減るように)押え込んで基板Wの反りを抑制する場合に比べ、基板Wの損傷を抑えることができる。
【0036】
なお、乾燥処理室23内における搬送方向A1の最上流に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離を、矯正処理室21における搬送方向A1の最上流に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離よりも短く設定することができる。これは、乾燥処理室23に搬入される基板Wは矯正処理室21、洗浄処理室22を通過してきており、ある程度反りが矯正されている状態となっているからである。
【0037】
また、本実施形態においては乾燥処理室23内の最上流に位置する搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離について説明したが、搬送方向A1に並ぶ隣り合う2つの搬送ローラ31A間の距離が長くなる箇所においても本実施形態を適用することができる。つまり、隣り合う2つの搬送ローラ31A間の距離が、その他の搬送ローラ31A間の距離よりも長い場合には、矯正されていた基板Wの反りが多少戻ってしまうことがある。このような箇所においても再度搬送ローラ31Aと押えローラ31Bとの離間距離を徐々に縮める構成を採用することで、反った基板Wの損傷を抑えつつ基板Wの反りを矯正することが可能になる。
【0038】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、反った基板Wを損傷させずに基板Wの反りを抑えることが可能になるので、基板Wに対する処理の均一性を向上させることができる。したがって、基板Wでの処理ムラ(例えば、洗浄ムラや乾燥ムラ)の発生を抑えることが可能となり、基板品質を向上させることができる。
【0039】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について図6を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1又は第2の実施形態との相違点(上乗せローラ31cの外径)について説明し、その他の説明は省略する。なお、基板Wの搬送方向A1に直交し、シャフト31b、31dに平行な搬送ローラ31A、押えローラ31Bの並びを列と呼ぶ。また、上記したように搬送ローラ31Aはローラ31aとシャフト31bを有し、押えローラ31Bは上乗せローラ31cとシャフト31dを有する。本実施形態では、ローラ31aの外径が搬送ローラ31Aの外径に相当し、上乗せローラ31cの外径が押えローラ31Bの外径に相当し、ローラ31aと上乗せローラ31cの離間距離が、搬送ローラ31Aと押えローラ31Bの離間距離に相当する。
【0040】
本実施形態は、組ごとの上乗せローラ31cの外径が、搬送方向A1に沿って大きくなることによって、組ごとのローラ31a及び上乗せローラ31cの離間距離が、搬送方向A1に沿って短くなる部分を有する。つまり、本実施形態は、搬送ローラ31Aのシャフト31bと押えローラ31Bのシャフト31dとの離間距離を一定としつつ、搬送方向A1に沿って、上乗せローラ31cの外径を徐々に大きくしている。これにより、本実施形態は、上乗せローラ31cとローラ31aの離間距離が徐々に小さくなる部分を有している。ここでいう外径は、円柱形の上乗せローラ31cの軸に直交する断面の直径である。
【0041】
例えば、最初に基板Wと接触する列の上乗せローラ31cの外径が最も小さく、この上乗せローラ31cから数列の上乗せローラ31cの外径が、搬送方向A1に沿って順に大きくなり、最大の外径となった上乗せローラ31c以降は、外径が一定となっている。これにより、上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離は、最小の外径の上乗せローラ31cとローラ31aとの間で最長となっている。最長となる上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離は、基板Wの反り量よりも長くすることが好ましい。
【0042】
さらに、上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離は、搬送方向A1に沿って徐々に短くなり、最大の外径の上乗せローラ31cとローラ31aとの間で最短となり、そこから一定となっている。一定となった離間距離は、基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離であることが好ましい。
【0043】
図6の例では、搬送方向A1の上流側から4列目のローラ31aから、最初に基板Wと接触する上乗せローラ31cの列が開始している。この列を含む4列の上乗せローラ31cの外径が、搬送方向A1に沿って徐々に大きくなり、4列目の上乗せローラ31cから一定の外径となっている。なお、搬送方向A1の上流側から少なくとも2列の上乗せローラ31cの外径が、徐々に大きくなっていればよいが、3列以上の上乗せローラ31cの外径が徐々に大きくなっていることが、より好ましい。また、上載せローラ31cが回転駆動される時、外径の異なる上載せローラ31cが同じ周速で回転駆動されることが好ましく、ローラ31aと同じ周速であることが、より好ましい。
【0044】
以上のような本実施形態においても、押えローラ31Bにより、反った基板Wの両端を上から押え付け、基板Wを下側から支える搬送ローラ31Aと押えローラ31Bを駆動させることで、反りを矯正して基板Wを搬送することができる。そして、押えローラ31Bの上乗せローラ31cの外径が、最初に反り基板Wと接触する列の上乗せローラ31cから数列、搬送方向A1に沿って順に大きくなっている。これにより、上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離が、搬送方向A1に沿って順に狭くなるので、急激な矯正による反り基板Wの破損リスクが低減される。
【0045】
また、シャフト31bとシャフト31dとの間隔は、必ずしも一定とする必要はないが、間隔を一定とした場合には、間隔を変える場合に比べて、シャフト31b及びシャフト31dの支持構成を簡素化できる。さらに、外径の異なる上乗せローラ31cに交換することによって、上乗せローラ31cとローラ31aの間隔の調整を容易に行うことができる。
【0046】
なお、図7に示すように、押えローラ31Bが、例えば上乗せローラ31cの外周に設けた溝にOリング31eを有する構成の場合に、組ごとの押えローラ31BにおけるOリング31eの外径が、搬送方向A1に沿って大きくなることによって、組ごとの搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離が、搬送方向A1に沿って短くなっている部分を有してもよい。この態様では、Oリング31eの外径が押えローラ31Bの外径に相当し、ローラ31aとOリング31eの離間距離が、搬送ローラ31Aと押えローラ31Bの離間距離に相当する。
【0047】
この態様は、上乗せローラ31cの外径を一定としつつ、搬送方向A1に沿って、Oリング31eの外径を徐々に大きくすることで、搬送ローラ31Aと押えローラ31Bとの離間距離が徐々に小さくなる部分を有している。ここでいう外径は、Oリング31eの軸に直交する断面における外周円の直径である。なお、Oリング31eの径方向の長さを厚さ、軸方向の長さを幅とすると、Oリング31eの厚さが、搬送方向A1に沿って徐々に大きくなっている。
【0048】
このような態様によっても、押えローラ31Bと搬送ローラ31Aとの間の離間距離が、搬送方向A1に沿って順に狭くなるので、急激な矯正による反り基板Wの破損リスクが低減される。また、上乗せローラ31cの外径を、必ずしも一定とする必要はないが、外径を一定とした場合には、外径の異なるOリング31eに交換するだけで、押えローラ31Bと搬送ローラ31Aの間隔の調整も容易に行うことができ、コストも抑えることができる。
【0049】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、図8から図11を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1乃至第3の実施形態との相違点(一対の上乗せローラ31cの距離)について説明し、その他の説明は省略する。なお、本実施形態では、一対の上乗せローラ31cの距離が、一対の押えローラ31Bの距離に相当する。
【0050】
本実施形態は、搬送方向A1に直交する方向に配置された一対の上乗せローラ31cの間の距離が、搬送方向A1に沿って長くなっている部分を有する。本実施形態は、搬送方向A1に直交する方向に対向する一対の上乗せローラ31c間の距離が、最初に反り基板Wと接触する上乗せローラ31c、つまり搬送方向A1の最上流に位置する上乗せローラ31cから、搬送方向A1に沿って順に広くなっている。
【0051】
例えば、最初に基板Wと接触する列の一対の上乗せローラ31cの間隔が最も狭く、この上乗せローラ31cから数列の上乗せローラ31cの間隔が、搬送方向A1に沿って順に広くなり、最大の広さとなった列の一対の上乗せローラ31c以降は、間隔が一定となっている。
【0052】
図8の例では、最初に基板Wと接触する列を含む4列の一対の上乗せローラ31cの間隔が、搬送方向A1に沿って徐々に大きくなり、4列目の上乗せローラ31cから一定の間隔となっている。少なくとも2列における一対の上乗せローラ31cの間隔が、徐々に大きくなっていればよいが、3列以上の一対の上乗せローラ31cの間隔が徐々に大きくなっていることが、より好ましい。また、図9(A)に示すように、最も狭い一対の上乗せローラ31cの間隔は、基板Wが反ることによって搬送方向A1に直交する方向の幅が短くなっている場合にも、基板Wの上面の両端領域に接触する間隔であることが好ましい。さらに、図9(B)に示すように、一定となった一対の上乗せローラ31cの間隔は、平坦となった基板Wの上面の両端領域に接触する間隔であることが好ましい。なお、本実施形態では、搬送ローラ31Aのシャフト31bと押えローラ31Bのシャフト31dの間隔は、第1の実施形態、第2の実施形態のように、図9(A)に示す位置から図9(B)に示す位置になるに従って狭くなっている。
【0053】
以上のような本実施形態においても、押えローラ31Bにより、反った基板Wの両端を上から押え付け、基板Wを下側から支える搬送ローラ31Aと押えローラ31Bを駆動させることで、反りを矯正して基板Wを搬送することができる。そして、一対の上乗せローラ31cの間隔が、最初に反り基板Wと接触する列の一対の上乗せローラ31cから数列、搬送方向A1に沿って順に広くなっている。これにより、反りによって幅が狭くなっている基板Wの端部を上乗せローラ31cで押さえ付けて、反りを矯正して搬送を行うことができる。
【0054】
つまり、図9(A)に示すように、搬送方向A1と直交する方向において、反りを有する基板Wの場合には、搬送方向A1と直交する方向の幅が狭くなる。すると、反りを有しない基板Wの幅に合わせて、一対の上乗せローラ31cの間隔が設定されていると(図9(B)参照)、上乗せローラ31cが基板Wの端を押えることができない可能性がある。本実施形態では、最初に反り基板Wと接触する列の一対の上乗せローラ31cの間隔が狭く、そこから数列、一対の上乗せローラ31cの間隔が順に広くなることにより、反りのある基板Wの端を押えて、反りを矯正することができる。さらに、本実施形態と、上記の第1、第2又は第3の実施形態と組み合わせることで、搬送方向A1及び搬送方向A1と直交する方向の両方向に反りを有する基板Wを矯正することができる。
【0055】
なお、図10に示すように、押えローラ31Bが、例えば上乗せローラ31cの外周に設けた溝にOリング31eを有している構成であって、組ごとの上乗せローラ31cにおけるOリング31eの幅が、搬送方向A1に沿って大きくなる部分を有していてもよい。この態様では、最初に反りを有する基板Wと接触する列の上乗せローラ31cから、数列の上乗せローラ31cのOリング31eの幅が、搬送方向A1に沿って順に大きくなっている。
【0056】
図10の例では、最初に基板Wに接触する上乗せローラ31cから3列の押えローラ31BのOリング31eの幅が小さく、4列目のOリング31eから幅が大きくなっている。少なくとも2列の上乗せローラ31cのOリング31eの幅が、徐々に大きくなっていればよい。また、図11(A)に示すように、最も狭いOリング31eの幅は、基板Wが反ることによって搬送方向A1に直交する方向の幅が短くなっている場合にも、基板Wの上面の両端領域に接触するが、基板W上に形成された回路等のパターンPに接触しない幅であることが好ましい。さらに、図11(B)に示すように、広くなったOリング31eの幅は、平坦となった基板Wの上面の両端領域に接触するが、パターンPに接触しない幅であることが好ましい。なお、本態様でも、搬送ローラ31Aのシャフト31bと押えローラ31Bのシャフト31dの間隔は、第1の実施形態、第2の実施形態のように、図11(A)に示す位置から図11(B)に示す位置になるに従って狭くなっている。
【0057】
このような態様によって、図11(A)に示すように、基板Wの反りにより、上面から見た際に、面積が狭くなっている反り基板W上のパターンP以外の非パターン形成部を、上乗せローラ31cで押さえ付けることを可能としつつ、Oリング31eと基板W上に形成されたパターンPとが接触することを防止して、搬送を行うことができる。
【0058】
<第5の実施形態>
第5の実施形態について図12図13を参照して説明する。なお、第5の実施形態では、第1乃至4の実施形態との相違点(気体吹出部51の近傍の上乗せローラ31cの態様)について説明し、その他の説明は省略する。本実施形態でも、ローラ31aの外径が搬送ローラ31Aの外径に相当し、上乗せローラ31cの外径が押えローラ31Bの外径に相当し、ローラ31aと上乗せローラ31cの離間距離が、搬送ローラ31Aと押えローラ31Bの離間距離に相当し、気体吹出部51と上乗せローラ31cとの距離が、気体吹出部51と押えローラ31Bとの距離に相当する。
【0059】
本実施形態は、図12に示すように、乾燥部50において、気体吹出部51よりも搬送方向A1の下流から、ローラ31aと上乗せローラ31cの離間距離が、搬送方向A1に沿って短くなっている部分を有する。例えば、気体吹出部51よりも搬送方向A1の下流で、気体吹出部51に最も近い列の上乗せローラ31cの外径が最も小さく、ローラ31aとの離間距離が最大となっている。最大となる離間距離は、基板Wの反り量よりも長くすることが好ましい。この最小の外径の上乗せローラ31cから数列の上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離が、搬送方向A1に沿って徐々に短くなり、その後、一定となっている。一定となった離間距離は、基板Wの厚さ以下の基板搬送可能な所定距離であることが好ましい。
【0060】
図12の例では、気体吹出部51に最も近い列の上乗せローラ31cの外径が、他の上乗せローラ31cよりも小さく、その下流の3列の上乗せローラ31cとローラ31aとの距離が、搬送方向A1に沿って徐々に小さくなり、気体吹出部51に最も近い列から4列目の上乗せローラ31cとローラ31aから、離間距離が一定となっている。少なくとも2列の上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離が徐々に小さくなっていればよい。離間距離の調整は、上記の実施形態で示したように、押えローラ31Bのシャフト31dの位置を変えてもよいし、押えローラ31Bの外径を変えてもよい。押えローラ31Bの外径を変える場合には、上乗せローラ31cの外径を変えてもよいし、Oリング31eの外径を変えてもよい。
【0061】
本実施形態では、気体吹出部51の下流の上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離が、搬送方向A1に沿って順に狭くなっているため、急激な矯正による反り基板Wの破損リスクを低減して、搬送を行うことができる。また、前述の実施形態では、気体吹出部51の近傍においては、気体吹出部51が存在することにより、上乗せローラ31cの搬送方向A1の間隔が広くなっていた(図4図5参照)。しかし、本実施形態では、気体吹出部51に最も近い位置に外径の小さな上乗せローラ31cを配置するとともに、この上乗せローラ31cによって、反り量が大きくなった基板Wの反り部分を押し付けることを可能としている。さらに、気体吹出部51と上乗せローラ31cの距離を近づけつつ、上乗せローラ31cによって基板Wの反り部分を押えることができるので、基板Wが気体吹出部51に接触して破損することを防止できる。
【0062】
なお、図13に示すように、乾燥部50において、上乗せローラ31cとローラ31aとの離間距離を一定としつつ、気体吹出部51に最も近い位置に、他の上乗せローラ31cの外径よりも小さな外径の上乗せローラ31cを配置してもよい。この場合にも、気体吹出部51と上乗せローラ31cの距離を近づけて、基板Wを押えることができるので、基板Wが気体吹出部51に接触して破損することを防止できる。
【0063】
<他の実施形態>
前述の説明においては、基板処理装置10として、基板Wを洗浄処理する洗浄処理装置や基板Wを乾燥処理する乾燥処理装置を例示したが、これに限るものではなく、液晶基板や半導体基板、フォトマスクなどの製造のため、例えば、レジスト処理装置、露光処理装置、現像処理装置、エッチング処理装置、剥離処理装置を用いるようにしてもよい。処理液としては、各種の薬液を用いることが可能である。
【0064】
また、前述の説明においては、基板Wを水平状態で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、基板Wを傾けて傾斜状態で搬送するようにしてもよく、例えば、基板Wの幅方向の一端をその他端よりも高くして基板Wを傾けて搬送するようにしてもよい。
【0065】
また、前述の説明においては、矯正処理と洗浄処理を異なる処理室で行うことを例示したが、これに限るものではなく、矯正処理と洗浄処理を同じ処理室で行うようにしてもよく、矯正処理後に洗浄処理を実行する。
【0066】
また、前述の説明においては、基板Wの反り量を測定する測定部、各押えローラ31Bを昇降させる移動機構を設け、測定部により測定した基板Wの反り量に応じて各組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離を調整するようにしてもよい。例えば、測定部により測定した基板Wの反り量が所定値よりも大きい場合には、それらの差に応じて移動機構により押えローラ31Bを上昇させ、搬送方向A1の最上流に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離を、測定した基板Wの反り量よりも大きくし、それに合わせ、反った基板Wを各押えローラ31Bにより徐々に押えるよう、他の組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離も調整する。逆に、測定部により測定した基板Wの反り量が所定値よりも小さい場合には、それらの差に応じて、搬送方向A1の最上流に位置する一組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離を、測定した基板Wの反り量に近づけ(反り量以上という条件下で)、それに合わせ、反った基板Wを各押えローラ31Bにより徐々に押えるよう、他の組の搬送ローラ31A及び押えローラ31Bの離間距離も調整する。
【0067】
また、前述の説明においては、各液噴射部41からの洗浄液は各搬送ローラ31Aを避けるように吐出されるとしたが、これに限るものではなく、搬送ローラ31Aに洗浄液が供給されてもよい。
【0068】
また、前述の説明においては、四方に反りがある基板W(四方に反りを有する基板W)を対象に説明したが、これに限るものではなく、例えば矩形のいずれか二辺、三辺に反りがあるものであっても本発明は適用可能である。
【0069】
また、押えローラ31Bにベルトを掛けまわし、ローラコンベアのようにしてもよい。このような構成を採用することにより、押えローラ31Bのみを使用する場合と比較して基板Wの反りに対して接触する面積が増えるため、より基板Wに損傷を与えることを抑えつつ基板Wの反りを矯正することが可能になる。
【0070】
搬送ローラ31Aと押えローラ31Bとの離間距離について、前述の説明においては、1列ずつ徐々に小さくなっていたが、同じ離間距離のものが2列以上並んだ組が含まれた状態で、徐々に小さくなっていくように構成してもよい。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 基板処理装置
30 搬送部(基板搬送装置)
31A 搬送ローラ
31B 押えローラ
31a ローラ
31b、31d シャフト
31c 上乗せローラ
31e Oリング
40 液供給部
50 乾燥部
60 制御部
A1 搬送方向
H1 搬送路
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13