(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】噴射ノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 1/00 20060101AFI20240213BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B05B1/00 Z
B05B1/14 Z
(21)【出願番号】P 2023190989
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2023-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522054651
【氏名又は名称】相澤 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 勝
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-122262(JP,A)
【文献】特開2008-194611(JP,A)
【文献】特開2013-158681(JP,A)
【文献】特開2013-103190(JP,A)
【文献】特開2009-160520(JP,A)
【文献】特開昭58-3685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B08B 3/00-3/14、9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が圧力流体の供給源に接続された管体状のホースと、
前記ホースの他端に接続された管状のノズル本体と、
前記ノズル本体に着脱可能に装着された先端部が半球状のキャップと、
を備えた噴射ノズルであって、
前記ノズル本体は、
前記ホースから導入された圧力流体を軸線と直交する方向に放射状に案内する二つ以上の連通孔と、
前記ノズル本体の外周面側に前記連通孔を挟むように軸線方向に離間して装着された一対以上のOリングと、
を備え、
前記キャップは、
前記ノズル本体に装着したときに管状の胴体部の内壁面が前記一対以上のOリングと圧接して前記連通孔と連通する導入路を形成するとともに、当該導入路と連通しかつ前記連通孔よりも一つ以上少ない噴射孔を備える、
ことを特徴とする噴射ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の噴射ノズルにおいて、
前記キャップは、
前記一対以上のOリングのうち先端側に位置するものよりも先端側に形成された漏孔を備える、
ことを特徴とする噴射ノズル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の噴射ノズルにおいて、
前記二つ以上の連通孔の各穴径は同一であり、
前記噴射孔は、複数存在する場合にその各穴径は同一であり、
前記噴射孔は、その総孔径の開口面積が前記二つ以上の連通孔の総孔径の開口面積よりも小さい、
ことを特徴とする噴射ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射ノズルに係わり、特に、ノズル軸線方向と直行する方向に圧力流体を噴射する噴射ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄液等を高圧水流(圧力流体)として噴射する洗浄ノズルがクリーニング業界から各種提案されている。
【0003】
また、このような洗浄ノズルは、洗浄対象等によって様々な形状等のものが提案されているが、その殆どは洗浄ノズルの先端部分の軸線方向に沿うように洗浄液等の圧力流体を噴射するものである。
【0004】
その一方で、供給元側から供給された洗浄液を管体状のノズル本体の軸線方向と交差する斜め後方に向けて折り返すように噴射する洗浄ノズルも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した洗浄ノズルにあっては、ノズル本体に対してロックナット、ノズルリング、中間リング、ノズルヘッド、という複数の部品を用いる必要があり、部品コストが高騰するうえ、メンテナンスも面倒であるという問題が生じていた。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構成でありながら、ノズル軸線方向と直行する方向に圧力流体を噴射することができる噴射ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、一端側が圧力流体の供給源に接続された管体状のホースと、前記ホースの他端に接続された管状のノズル本体と、前記ノズル本体に着脱可能に装着された先端部が半球状のキャップと、を備えた噴射ノズルであって、前記ノズル本体は、前記ホースから導入された圧力流体を軸線と直交する方向に放射状に案内する二つ以上の連通孔と、前記ノズル本体の外周面側に前記連通孔を挟むように軸線方向に離間して装着された一対以上のOリングと、を備え、前記キャップは、前記ノズル本体に装着したときに管状の胴体部の内壁面が前記一対以上のOリングと圧接して前記連通孔と連通する導入路を形成するとともに、当該導入路と連通しかつ前記連通孔よりも一つ以上少ない噴射孔と、を備える、ものである。
【0009】
本発明の構成によれば、管体状のホースに接続されて圧力流体を軸線と直行する方向に放射状に噴射する噴射ノズルをノズル本体とキャップとの2部品で構成するとともに、Oリングによって水密性を維持する簡素な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、ノズル軸線方向と直行する方向に圧力流体を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る噴射ノズルを示し、噴射ノズルの正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る噴射ノズルを示し、(A)は噴射ノズルの縦断面図、(B)は噴射ノズルの横断面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態に係る噴射ノズルについて、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2において、噴射ノズル1は、一端側が圧力流体の供給源(図示せず)に接続された管体状のホース2と、ホース2の他端に接続された管状のノズル本体10と、ノズル本体10に着脱可能に装着された先端部が半球状のキャップ20と、を備える。
【0014】
ホース2は、その一端側が、例えば、家庭用の水道用蛇口を圧力流体の供給源(図示せず)として、ゴムホース並びにジョイント部材等(共に図示せず)を介して接続されたもの、或いは、洗浄液を貯留したタンク等を供給源(図示せず)として、この供給源にホースやポンプ等(共に図示せず)を介して接続されたものなど、その使用例は特に限定されるものではない。
【0015】
また、ホース2は、本実施の形態においては、内径が1cm程度の銅管を用いており、必要に応じて使用者が手作業にて適宜角度に屈曲・復帰させることができるように、ある程度の形状維持と塑性変形を許容する自由度を有するものを用いるのが好ましい。
【0016】
ノズル本体10には、例えば、成形又は加工が容易で腐食し難い金属(又はメンテナンスが容易な金属)を用いるのが好ましい。
【0017】
ノズル本体10は、軸線J方向に略均等幅だけ離間する3つの凹溝11,12,13が形成されている。
【0018】
凹溝11,13に挟まれる凹溝12には、ノズル本体10の内部供給路14と連通するとともに、ホース2から導入された圧力流体を軸線Jと直交する方向に放射状に案内する二つ以上の連通孔15(本実施の形態では4等分位置)が形成されている。
【0019】
また、凹溝11,13には、ゴム又は樹脂等の弾性を有しかつシール性の高い一対のOリング16,17が装着されている。これにより、Oリング16,17は、キャップ20の挿入・離脱・回転時に不測に脱落等がしないようになっている。なお、凹溝11,12並びにOリング16,17の数は、例えば、噴射ノズル1の用途や圧力流体の圧力等によって各一つ以上で任意である。
【0020】
ノズル本体10は、供給源側に位置して環状に突出する鍔部18が一体に形成されている。なお、ノズル本体10は、この鍔部18よりも先端側において、3つの凹溝11,12,13を除く外径が、キャップ20の内径よりも若干(例えば、0.5mm以下)小径とされている。
【0021】
キャップ20は、合成樹脂等から形成されており、円筒状の胴体部21と、この胴体部21と連続する略半球状の先端部22と、を備える。
【0022】
胴体部21の内側には、キャップ20をノズル本体10に装着した際にキャップ20の内壁面にOリング16,17が圧接することによって凹溝12を中心とする環状の導入路23が形成される。
【0023】
胴体部21の下端に位置する開口縁部内壁面側には、キャップ20をノズル本体10に装着(挿入)する際に、Oリング16,17に加わる挿入方向への荷重を軽減して不測に凹溝12,13から脱落してしまうことを抑制するテーパ面25が設けられている。
【0024】
胴体部21には、キャップ20をノズル本体10に装着した際に、導入路23と連通しかつ連通孔15よりも一つ以上少ない噴射孔24(ここでは一つ)24が設けられている。
【0025】
先端部22は、一対以上のOリング16,17のうち先端側に位置するOリング17よりも先端側(ここでは半球状の頂点付近)に漏孔26が設けられている。
【0026】
なお、二つ以上の連通孔15の各穴径は同一としているとともに、一つの噴射孔24は、その開口面積が二つ以上の連通孔15の総孔径の開口面積よりも小さくなっている。
【0027】
上記の構成において、ノズル本体10はホース2の他端側に固定され、キャップ20はノズル本体10に着脱可能に装着されるとともに、軸線J周りに回転可能とされている。
【0028】
そして、所望の噴射位置(例えば、空調装置の内部等)にキャップ20を挿入し、圧力流体を供給源から供給することで噴射孔24から圧力流体を噴射させることができる。
【0029】
この際、例えば、経年劣化や不測な状況において、例えば、Oリング16から圧力流体がキャップ20の供給源側に漏れた場合、その流体はテーパ面25から外部へと漏れ出す。同様に、Oリング17から圧力流体がキャップ20の先端側に漏れた場合、その流体は漏孔26から外部へと漏れ出す。
【0030】
これにより、使用者は、Oリング16,17の経年劣化等に起因する不具合を容易に確認することができる。
【0031】
このように、本実施の形態の噴射ノズル1は、一端側が圧力流体の供給源に接続された管体状のホース2と、ホース2の他端に接続された管状のノズル本体10と、ノズル本体10に着脱可能に装着された先端部22が半球状のキャップ20と、を備えた噴射ノズル1であって、ノズル本体10は、ホース2から導入された圧力流体を軸線Jと直交する方向に放射状に案内する二つ以上の連通孔15と、ノズル本体10の外周面側に連通孔15を挟むように軸線J方向に離間して装着された一対以上のOリング16,17と、を備え、キャップ20は、ノズル本体10に装着したときに管状の胴体部21の内壁面が一対以上のOリング16,17と圧接して連通孔15と連通する導入路23を形成するとともに、当該導入路23と連通しかつ連通孔15よりも一つ以上少ない噴射孔24と、を備えることにより、簡素な構成でありながら、ノズル軸線方向と直行する方向に圧力流体を噴射することができる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0033】
上記実施の形態では、4つの連通孔15に対して1つの噴射孔24を設けた場合で説明したが、例えば、噴射孔24を胴体部21に複数設けても良い。この場合、噴射孔24の各穴径は同一としてもよいし異ならせてもよいが、少なくともその総孔径の開口面積は、二つ以上の連通孔15の総孔径の開口面積よりも小さくする必要がある。
【0034】
同様に、連通孔15と噴射孔24とは、これらの各総開口面積の大小関係を維持したうえで、その数の比を3;1や4;1となるようにしてそれぞれ等分点に配置してもよい。
【0035】
さらに、噴射孔24の形状は、断面略真円としても良いし楕円としてもよい。また、例えば、噴射孔24の内壁面は、螺旋状とする、外側に向けて開口面積を狭くする、など、利用目的等(例えば、ミスト状とする等)に応じて任意である。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。したがって、これらの変更や修正、組み合わせなどの後の技術も、当然に本発明の技術的思想の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0037】
1 噴射ノズル
2 ホース
10 ノズル本体
11 凹溝
12 凹溝
14 内部供給路
15 連通孔
16 Oリング
17 Oリング
18 鍔部
20 キャップ
21 胴体部
22 先端部
23 導入路
24 噴射孔
25 テーパ面
26 漏孔
J 軸線
【要約】
【課題】簡素な構成でありながら、ノズル軸線方向と直行する方向に圧力流体を噴射することができる噴射ノズルを提供する。
【解決手段】一端側が圧力流体の供給源に接続された管体状のホース2の他端に接続された管状のノズル本体10と、ノズル本体10に着脱可能に装着された先端部22が半球状のキャップ20と、を備え、ノズル本体10は、ホース2から導入された圧力流体を軸線Jと直交する方向に放射状に案内する二つ以上の連通孔15と、ノズル本体10の外周面側に連通孔15を挟むように軸線J方向に離間して装着された一対以上のOリング16,17と、を備え、キャップ20は、ノズル本体10に装着したときに管状の胴体部21の内壁面が一対以上のOリング16,17と圧接して連通孔15と連通する導入路23を形成するとともに、当該導入路23と連通しかつ連通孔15よりも一つ以上少ない噴射孔24と、を備える。
【選択図】
図2