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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】プリント回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240214BHJP
   H05K 3/28 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/28 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018077500
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019087722
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2017-0148634
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、キー-スー
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン-フーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヒュン-キ
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-266196(JP,A)
【文献】特開2007-226158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/18
H05K3/28
H05K3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に埋め込まれて形成され、前記第1絶縁層の上面において上面が露出し、側面が前記第1絶縁層によってカバーされる回路パターンと、
前記第1絶縁層の一面に積層され、前記回路パターンを露出させる、貫通されたキャビティ領域が形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成され、前記キャビティ領域が形成された第3絶縁層と、
一方側が前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在され、他方側が前記キャビティ領域の底面から突出し、前記キャビティ領域の境界に沿って形成される絶縁体パターンと、
を含み、
前記絶縁体パターンはフレーム状に前記第1絶縁層上に形成され、フレーム状の前記絶縁体パターンの内側から、前記キャビティ領域の底となる前記第1絶縁層の前記一面、および、埋め込まれた前記回路パターンが露出し、
前記第2絶縁層および前記第3絶縁層の前記キャビティ領域側の側面は傾いて形成されており、これにより、前記キャビティ領域は、前記第1絶縁層に近くなるほど狭くなる構造を有する、
プリント回路基板。
【請求項2】
前記絶縁体パターンで取り囲まれた領域に、前記第1絶縁層の一部及び前記回路パターンが露出する請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記絶縁体パターンは、
前記第2絶縁層とは異なる材質で形成された請求項1または2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記絶縁体パターンは、
前記第2絶縁層よりも耐磨耗性または靭性(toughness)の高い材質で形成された請求項3に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記絶縁体パターンは、感光性樹脂で形成された請求項3に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記第2絶縁層及び前記第3絶縁層を貫通して形成され、前記回路パターンに接続する導電性ポストさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記絶縁体パターンは、前記回路パターンの少なくとも一部を覆う請求項1からのいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
第1絶縁層の一面に回路パターンを形成する段階と、
前記第1絶縁層上に、キャビティ領域の境界を設定し、前記境界に沿って絶縁体パターンを形成する段階と、
前記キャビティ領域を覆う保護層を形成する段階と、
前記第1絶縁層の一面に第2絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁体パターンに沿って前記第2絶縁層を除去し、前記キャビティ領域を形成する段階と、
前記保護層を除去して前記回路パターンを露出させる段階と、
を含むプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁体パターンを形成する段階では、
前記絶縁体パターンが前記キャビティ領域の境界上に配置される請求項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁体パターンを形成する段階は、
前記キャビティ領域の境界上に、感光性樹脂を選択的に塗布して硬化する段階を含む請求項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記キャビティ領域を形成する段階は、
サンドブラスト(Sand blast)加工により前記第2絶縁層を選択的に除去する段階を含む請求項8から10のいずれか一項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記サンドブラスト加工段階は、
前記第2絶縁層において加工しない領域を選択的にカバーする加工防止層を形成する段階をさらに含む請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板(printed circuit board)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話を始めとしてIT分野の電子機器が軽薄短小化されることにより、これに対する技術的要求に応えるために、IC、能動素子または受動素子等の電子部品を基板内に挿入する技術が要求されており、最近様々な方式により基板内に部品を内蔵する技術が開発されている。
【0003】
基板内に様々な部品を挿入するために、様々なキャビティ構造を形成している。これにより、様々な加工技術が要求されている。また、加工による回路の損傷を防止するための技術も要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7886433号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電子素子が挿入されるキャビティ構造の形成過程においての回路に損傷を与えずにキャビティ構造を精密に加工できるプリント回路基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例に係るプリント回路基板は、第1絶縁層と、第1絶縁層に形成され、第1絶縁層の一面に露出した回路パターンと、第1絶縁層の一面に積層され、回路パターンを露出させる、貫通されたキャビティ領域が形成されている第2絶縁層と、一方側が第1絶縁層と第2絶縁層との間に介在され、他方側がキャビティ領域の底面から突出し、キャビティ領域の境界に沿って形成される絶縁体パターンと、を含む。
【0007】
また本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法は、第1絶縁層の一面に回路パターンを形成する段階と、第1絶縁層上にキャビティ領域の境界を設定し、境界に沿って絶縁体パターンを形成する段階と、キャビティ領域を覆う保護層を形成する段階と、第1絶縁層の一面に第2絶縁層を形成する段階と、絶縁体パターンに沿って第2絶縁層を除去してキャビティ領域を形成する段階と、保護層を除去して回路パターンを露出させる段階と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例に係るプリント回路基板を説明するための図である。
図2】本発明の一実施例に係るプリント回路基板のキャビティ領域を拡大した図である。
図3】本発明の一実施例に係るプリント回路基板のキャビティ領域を拡大した図である。
図4】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図5】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図7】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図8】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図9】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図10】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図11】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図12】本発明の他の実施例に係るプリント回路基板を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るプリント回路基板、電子素子パッケージ及びその製造方法の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0010】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0011】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素が物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、該他の構成に、構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0012】
<プリント回路基板及び電子素子パッケージ>
図1は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板を説明するための図であり、図2及び図3は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板のキャビティ領域を拡大した図である。
【0013】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例に係るプリント回路基板は、第1絶縁層10と、回路パターン15と、第2絶縁層20と、絶縁体パターン40と、を含む。
【0014】
第1絶縁層10は、内部または外層に形成される回路パターン15を電気的に絶縁する。 第1絶縁層10は、樹脂材であることができる。第1絶縁層10は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂を含むことができ、プリプレグ(PPG)やビルドアップフィルム(build-up film)で形成することができる。
【0015】
回路パターン15は、第1絶縁層10に形成され、電気的信号を伝達できる銅等の金属で形成される。回路パターン15は、第1絶縁層10の一面、他面または内部にも形成されることができる。例えば、回路パターン15は、第1絶縁層10を貫通して第1絶縁層10の一面と他面とを接続するビアと、第1絶縁層10の一面または他面に形成され、ビアに接続するパッドと、を含むことができる。
【0016】
図1及び図2を参照すると、本実施例において第1絶縁層10の一面には、第1絶縁層10の内部に埋め込まれた構造の回路パターン16が形成される。例えば、埋め込まれた回路パターン16は、微細な回路が基板に埋め込まれるエンベデッドトレース基板(embedded trace substrate)の回路構造を有することができる。埋め込まれた回路パターン16の上面は、第1絶縁層10の一面と略同じ面をなすことになるので、第1絶縁層10の一面を介して、埋め込まれた回路パターン16の上面が露出する構造となり得る。エンベデッドトレース構造の微細な回路パターン16は、キャビティ領域Cに挿入する電子素子の微細なパッドにも対応可能である。
【0017】
第2絶縁層20は、第1絶縁層10の一面に積層されて回路パターン15を電気的に絶縁することになり、キャビティ領域Cを形成できるように一部が貫通された構造を有する。
【0018】
第2絶縁層20は、第1絶縁層10と類似の材質により、プリプレグ(PPG)やビルドアップフィルム(build-up film)等の形態に形成してもよく、第1絶縁層10とは異なる材質または異なる方法により形成してもよい。
【0019】
第2絶縁層20には、埋め込まれた回路パターン16を露出する貫通ホール22が形成される。貫通ホール22により形成されたキャビティ領域Cには電子素子が挿入され、挿入された電子素子は、埋め込まれた回路パターン16と接続することができる。
【0020】
図1及び図2を参照すると、第1絶縁層10の一面に、貫通ホール22が形成されている第2絶縁層20を積層し、第1絶縁層10の一面が底となり、第2絶縁層20の貫通ホール22の壁面が側壁となるキャビティ領域Cを形成することができる。
【0021】
また、第2絶縁層20上に第3絶縁層30を形成し、第2絶縁層20及び第3絶縁層30を連続して貫通する貫通ホール22、32を形成して、キャビティ領域Cを深く形成することもできる。
【0022】
このとき、第2絶縁層20及び第3絶縁層30を貫通して回路パターン15と接続する導電性ポスト35をさらに含むことができる。例えば、銅材質のポスト35が回路パターン15のパッド17に結合することができる。導電性ポスト35を用いると、POP(package on the package)構造のパッケージにおいて他の基板と容易に電気的に接続することができる。
【0023】
一方、キャビティ領域Cは、第1絶縁層10で近くなるほど狭くなる形状を有することができる。レーザーまたはドリリングにより第2絶縁層20または第3絶縁層30に貫通ホール22、32を形成する場合は、図2に示すように、キャビティ領域Cの境界Bが略直角に近い構造に形成される。すなわち、キャビティ領域Cの内壁は、垂直の壁状に形成されることができる。
【0024】
これに対して、サンドブラスト加工により第2絶縁層20または第3絶縁層30に貫通ホール22′、32′を形成する場合は、図3に示すように、キャビティ領域Cの境界Bが傾いて形成される。すなわち、キャビティ領域Cの内壁が下方に行くほど狭くなる構造に形成され得る。
【0025】
また、図1を参照すると、第1絶縁層10の他面または第3絶縁層30の一面は、プリント回路基板の外層となり、ここにソルダーレジスト層50、60をさらに形成することができる。ソルダーレジスト層50、60のオープニングを介して導電性ポスト35または回路パターン15の一部が露出し、外部と電気的に接続することができる。
【0026】
絶縁体パターン40は、一方側が第1絶縁層10と第2絶縁層20との間に介在され、他方側がキャビティ領域Cの内部に延長してキャビティ領域Cの底面から突出する構造を有する。絶縁体パターン40は、第1絶縁層10の一面上に形成され、キャビティ領域Cの内部に延長するので、キャビティ領域Cの底面から突出する形状を有する。
【0027】
図2及び図3を参照すると、絶縁体パターン40の一方側端部は、第1絶縁層10と第2絶縁層20との間に位置し、他方側端部はキャビティ領域Cの底面の上に位置することができる。 絶縁体パターン40は、キャビティ領域Cの境界Bに沿って第1絶縁層10の一面上に形成されることができる。具体的に、キャビティ領域Cの境界B(キャビティの内壁である貫通ホール22、32の壁面を延長した仮想の面)と第1絶縁層10の一面とが交わる位置に絶縁体パターン40を配置することができる。キャビティ領域Cの境界Bに沿って形成された絶縁体パターン40は、閉ルーフ構造を有し、内側から第1絶縁層10の一部及び回路パターン15が露出することができる。例えば、キャビティ領域Cが六面体状に形成される場合、絶縁体パターン40が四角フレーム状に第1絶縁層10上に形成され、四角フレームの内側から、キャビティ領域Cの底となる第1絶縁層10の一面及び埋め込まれた回路パターン16が露出することになる。
【0028】
一方、図12を参照すると、絶縁体パターン40′は、回路パターン15の少なくとも一部を覆う形態に形成されることもできる。例えば、絶縁体パターン40′の一部が、埋め込まれた回路パターン16の上面と接触する構造を有することができる。
【0029】
このとき、絶縁体パターン40を第1絶縁層10の一面に選択的に容易に形成できるように、絶縁体パターン40は、感光性樹脂で形成されることができる。例えば、第1絶縁層10の一面にキャビティ領域Cの境界Bに沿って感光性樹脂を選択的に塗布し、硬化して絶縁体パターン40を容易に形成することができる。
【0030】
また、絶縁体パターン40は、第2絶縁層20とは異なる材質で形成することができる。例えば、絶縁体パターン40は、貫通ホール22、32が形成される第2絶縁層20または第3絶縁層30よりも耐磨耗性または靱性(toughness)の高い材質で形成することができる。これにより、第2絶縁層20または第3絶縁層30にサンドブラスト工程により貫通ホール22、32を形成するとき、絶縁体パターン40が加工においてのストッパの役割をすることができる。サンドブラスト及びストッパ機能に関する具体的な内容は、後述する。
【0031】
<プリント回路基板の製造方法>
図4から図11は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【0032】
本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法は、第1絶縁層10に回路パターン15を形成する段階と、絶縁体パターン40を形成する段階と、保護層45を形成する段階と、第2絶縁層20を形成する段階と、キャビティ領域Cを形成する段階と、保護層45を除去する段階と、を含む。
【0033】
第1絶縁層10に回路パターン15を形成する段階では、第1絶縁層10の一面に回路パターン15を形成する。回路パターン15は、第1絶縁層10の他面または内部にも形成されることができる。回路パターン15は、埋め込まれた回路パターン16を含み、埋め込まれた回路パターン16は、微細な回路が基板に埋め込まれるエンベデッドトレース基板の回路構造を有することができる。エンベデッドトレース構造の微細な回路は、電子素子の微細なパッドにも対応可能である。
【0034】
図4を参照すると、離型層を有するキャリア基板5の両面に第1絶縁層10及び回路パターン15を形成することができる。例えば、メッキにより金属層を形成し、選択的エッチングによりパターニング工程を行うことができる。また、キャリア基板5の離型層上に導電性の金属物質を塗布した後にパターニング工程等を行って回路パターン15を形成することができる。 パターニング工程には、テンティング法(Tenting)、MSAP法(Modified Semi-Additive Process)、またはSAP法(Semi-Additive Process)等を用いることができる。
【0035】
キャリア基板5に回路パターン15を形成した後には、キャリア基板5に第1絶縁層10を圧着して積層することにより、第1絶縁層10に回路パターン15を埋め込むことができる。このとき、第1絶縁層10は、半硬化状態のプリプレグ(Prepreg)であってもよい。または、絶縁性樹脂をキャリア基板5に塗布して、回路パターン15が埋め込まれた第1絶縁層10を形成することができる。
【0036】
一方、キャリア基板5に積層された第1絶縁層10の内部または他面にも回路パターン15を追加に形成することができる。このとき、キャリア基板5に位置した回路パターン15は、第1絶縁層10により覆われて、埋め込まれた構造を有することができる。
【0037】
図5を参照すると、キャリア基板5から回路パターン15の形成された第1絶縁層10を分離すると、回路パターン15が第1絶縁層10の一面に露出する、埋め込まれた回路パターン16を有することができる。キャリア基板5において、第1絶縁層10の一面にシード層が形成された場合は、エッチングによりシード層を除去することで、第1絶縁層10の一面に埋め込まれた回路パターン16を露出することができる。
【0038】
絶縁体パターン40を形成する段階では、第1絶縁層10上にキャビティ領域Cの境界Bを設定し、境界Bに沿って絶縁体パターン40を形成する。このとき、絶縁体パターン40は、第2絶縁層20とは異なる材質で形成することができる。例えば、絶縁体パターン40は、以後に積層される第2絶縁層20または第3絶縁層30よりも耐磨耗性または靭性の高い材質で形成することができる。これにより、第2絶縁層20または第3絶縁層30にサンドブラスト工程により貫通ホール22、32を形成するとき、絶縁体パターン40が加工においてのストッパの役割をすることができる。
【0039】
図6を参照すると、絶縁体パターン40は、第1絶縁層10の一面において、キャビティ領域Cの境界B上に形成することができる。具体的に、キャビティ領域Cの境界B(キャビティ内壁が形成される仮想の面)が設定され、境界Bと第1絶縁層10の一面とが交わる位置に絶縁体パターン40が配置されることができる。キャビティ領域Cの境界Bに沿って形成された絶縁体パターン40は、閉ルーフ構造を有し、内側から第1絶縁層10の一部及び回路パターン15が露出することができる。例えば、キャビティ領域Cが六面体状に形成される場合、四角フレーム状の絶縁体パターン40が第1絶縁層10上に形成され、四角フレームの内側からキャビティ領域Cの底となる第1絶縁層10の一面及び回路パターン15が露出することになる。
【0040】
このとき、絶縁体パターン40を第1絶縁層10の一面に選択的に容易に形成するために、絶縁体パターン40は感光性樹脂で形成されることができる。例えば、第1絶縁層10の一面にキャビティ領域Cの境界Bに沿って感光性樹脂を選択的に塗布し、硬化して絶縁体パターン40を容易に形成することができる。
【0041】
保護層45を形成する段階では、以後のキャビティ領域Cを加工する工程においてキャビティ領域Cの底を保護する臨時の保護層45を形成する。例えば、保護層45は、キャビティ領域Cの底を覆い、埋め込まれた回路パターン16を保護することができる。保護層45は、回路パターン15と異種の物質で形成することができる。
【0042】
図7を参照すると、第1絶縁層10の一面に、キャビティ領域Cの底を覆う絶縁物質の保護層45を付着することができる。このとき、保護層45は、キャビティ領域Cの境界Bに形成された絶縁体パターン40とオーバーラップされ、キャビティ領域Cの底を隙間なく覆うことが好ましい。保護層45は、後述するキャビティ領域Cの加工工程において、埋め込まれている回路パターン16の損傷を効果的に防止することができる。特に、エンベデッドトレース構造の微細な回路パターン16は、その厚さや幅が非常に小さいため、加工時の小さい誤差でも大きな損傷を受けることになる。よって、保護層45によりキャビティ領域Cの回路パターン15をカバーすると、プリント回路基板の製造時の信頼性や効率性を向上できる。
【0043】
第2絶縁層20を形成する段階では、第2絶縁層20を第1絶縁層10の一面に形成する。 第2絶縁層20は、第1絶縁層10と類似の材質により、プリプレグ(PPG)やビルドアップフィルム(build-up film)等の形態に形成してもよく、第1絶縁層10とは異なる材質または異なる方法により形成してもよい。
【0044】
図8を参照すると、第1絶縁層10の一面に、絶縁体パターン40及び保護層45を埋め込む第2絶縁層20を積層することができる。そして、第2絶縁層20上には第3絶縁層30をさらに積層することができる。このとき、第2絶縁層20及び第3絶縁層30を貫通して回路パターン15と接続する導電性ポスト35をさらに形成してもよい。例えば、銅材質のポスト35が回路パターン15のパッドと結合することができる。
【0045】
キャビティ領域Cを形成する段階では、絶縁体パターン40に沿って第2絶縁層20を除去してキャビティ領域Cを形成する。つまり、設定されたキャビティ領域Cの境界Bに沿って第2絶縁層20を除去する。
【0046】
具体的に、第2絶縁層20に貫通ホール22を形成することで、電子素子等が内部に挿入され配置され得る凹状の溝構造のキャビティ領域Cを形成する。第2絶縁層20に第3絶縁層30が形成された場合は、第2絶縁層20及び第3絶縁層30を連続して貫通する貫通ホール22、32を形成することができる。貫通ホール22、32を介して保護層45が露出することにより、後述する保護層45の除去段階の後に、露出した埋め込まれている回路パターン16と電子素子とを電気的に接続することができる。
【0047】
このとき、キャビティ領域Cの加工は、第2絶縁層20を選択的に除去するサンドブラスト加工により実施できる。
【0048】
図9を参照すると、キャビティ領域Cを加工するとき、絶縁体パターン40は加工の深さを制限するストッパの役割をすることができる。例えば、キャビティ領域Cの加工がサンドブラスト工程により実施され、サンドブラスト加工でのストッパの役割をする絶縁体パターン40は、第2絶縁層20または第3絶縁層30よりも耐磨耗性または靭性の高い材質で形成されることができる。
【0049】
サンドブラスト加工は、ノズルから研磨材を噴射して素材の表面を整えたり切削したりする加工方法である。過去には砂を研削材として噴射したためサンドブラストと名付けたが、現在は、アルミナ(酸化アルミニウム)または炭化ケイ素等のセラミック粉末、ガラスビーズ、プラスチックパウダー等の様々な粒子を研削材として用いることができる。サンドブラストの種類には、研磨材と水とを混合した後にノズルを介して噴射して加工する湿式サンドブラスト(Wet blast)と、エアを用いて研磨材のみをノズルを介して噴射して加工する乾式サンドブラスト(Air blast)がある。
【0050】
本実施例では、第3絶縁層30の加工しない領域を選択的にカバーする加工防止層70を形成し、サンドブラスト加工により第2絶縁層20及び第3絶縁層30を加工して絶縁体パターン40及び保護層45の上部を露出させる。このとき、絶縁体パターン40は、耐磨耗性が高いか靭性が高い材質から形成されるので、第2絶縁層20及び第3絶縁層30に比べてサンドブラスト加工による摩耗または切削が少ない。これにより、キャビティ領域Cの中心部分から保護層45が露出するまでサンドブラスト加工が充分に行われても、キャビティ領域Cの境界B部分が損傷することを防止することができる。
【0051】
保護層45を除去する段階では、保護層45を除去し、埋め込まれた回路パターン16を露出させる。保護層45は、その材質に応じて、化学的または物理的方法のうち容易な方法により除去することができる。
【0052】
図10を参照すると、絶縁物質で形成された保護層45を第1絶縁層10から取り外して除去することができる。
【0053】
図11を参照すると、第1絶縁層10の他面または第3絶縁層30の一面は、プリント回路基板の外層となり、ここにソルダーレジスト層50、60をさらに形成することができる。 ソルダーレジスト層50、60のオープニングを介して導電性ポスト35または回路パターン15の一部が露出し、外部と電気的に接続することができる。
【0054】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0055】
C キャビティ領域
10 第1絶縁層
15 回路パターン
16 埋め込まれた回路パターン
20 第2絶縁層
22、32 貫通ホール
30 第3絶縁層
40 絶縁体パターン
45 保護層
50、60 ソルダーレジスト層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12