(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】試料処理モジュールアレイハンドリングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/04 A
(21)【出願番号】P 2022107919
(22)【出願日】2022-07-04
(62)【分割の表示】P 2019527175の分割
【原出願日】2017-11-17
【審査請求日】2022-07-04
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514273055
【氏名又は名称】セフェィド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】モート、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ブリベン、ブライアン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-526977(JP,A)
【文献】特表2015-523849(JP,A)
【文献】特開平04-127063(JP,A)
【文献】特表2015-534042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0041814(US,A1)
【文献】特表2015-518709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0238625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体試料の高スループット処理のためのハンドリングシステムであって、各生体試料は複数の診断アッセイカートリッジのうちの各診断アッセイカートリッジ内に存在し、システムは、
複数の診断アッセイモジュールが筒状体の側面に周方向に沿って配列された二次元アレイを少なくとも1段有するアレイ内に複数の診断アッセイモジュールを支持するように適合されたアレイ支持体アセンブリであって、各診断アッセイモジュールは、前記複数の診断アッセイカートリッジのうちの診断アッセイカートリッジを受け入れるように、及び各カートリッジ内の前記生体試料に対して診断アッセイを実行するように適合された診断アッセイシステムを含む、アレイ支持体アセンブリと、
前記アレイ支持体アセンブリ内に支持されている間の前記複数の診断アッセイモジュール内に前記複数の診断アッセイカートリッジをロードするように適合されたローダと、
を含み、
前記アレイ支持体アセンブリは、
アレイ支持体アセンブリを前記ローダと組み合わせて前記ローダに
対して相対的に移動させることによって前記診断アッセイカートリッジが前記アレイ内の前記診断アッセイモジュールのうちの任意のものの中にロード可能であるように、前記ローダに
対して相対的に移動可能である、
ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記筒状体は、水平方向の断面が楕円形又は多角形であり、
前記アレイは、前記二次元アレイを前記筒状体の垂直な長手方向軸に沿って複数段スタックした楕円形アレイ又は多角形アレイとして定義される三次元アレイである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記多角形は、六角形又は八角形である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記アレイ支持体アセンブリを垂直な長手方向軸の周りに回転させることにより、前記アレイ支持体アセンブリを移動させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アレイが複数の水平ローを含み、前記ローダは、前記アレイの水平ローの間を移動可能であるように実質的に垂直な軸に沿って並進可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ローダは、グラスパによって支持されたカートリッジを、前記グラスパ内の把持された位置から、前記アレイの診断アッセイモジュール内のロードされる位置まで、水平軸に沿って挿入するように適合されたグラスパを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記グラスパは、前記アレイ内の診断アッセイモジュール内にロードされたカートリッジを、ロードされた位置からアンロードし、各モジュールから離れるよう前記カートリッジを移送するようにさらに適合された、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記グラスパは、
前記複数の診断アッセイカートリッジのうちの少なくとも2つのカートリッジを同時に支持して、
前記少なくとも2つのカートリッジを連続してロードすること、
前記少なくとも2つのカートリッジをそれぞれがロードされた位置から連続してアンロードすること、
前記少なくとも2つのカートリッジのうちの1つのカートリッジを所与のモジュールからアンロードし、続いて、前記少なくとも2つのカートリッジのうちの別のカートリッジを同じモジュール内にロードすること、
前記少なくとも2つのカートリッジのうちの1つのカートリッジを所与のモジュールからアンロードし、続いて、前記少なくとも2つのカートリッジのうちの別のカートリッジを異なるモジュール内にロードすること、
のいずれかを容易にするために、いずれかを実施するようにさらに構成された、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記アレイ支持体アセンブリは、スリップリングによって分離されたフレームのスタックを含み、前記スリップリングは、各モジュールが直接の電力及び通信結合を有するように垂直な長手方向軸の周りに回転可能な回転ユニオンを通して電力及び通信データを伝送する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記アレイ支持体アセンブリは、前記アレイ内の各々のモジュールと関連付けられた1又は複数のセンサを含み、前記1又は複数のセンサは前記アレイ内の前記モジュールの位置を判定するように適合された、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
入力及び出力を有するコントローラをさらに含み、
前記コントローラは、前記診断アッセイモジュールがロードのために利用可能である前記1又は複数のセンサから受信した入力に応答して、前記複数の診断アッセイモジュールのうちの特定の診断アッセイモジュールに診断アッセイカートリッジをロードするための制御コマンドを前記ローダに出力するように構成された、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、複数の診断アッセイカートリッジを前記ローダまで運ぶロードトラックをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
1又は複数の準備された前記診断アッセイカートリッジを、後続の分析のために前記システムのロードトラック内に自動的に移送する試料準備器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記アレイ支持体アセンブリの中央カラムを通して、及び前記アレイ支持体アセンブリの各レベルを通して空気を導いて、前記アレイ支持体アセンブリ全体を好適な温度の範囲内に維持する、空気冷却システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記空気冷却システムは、前記アレイ支持体アセンブリの各レベル間のバッフルを、空気流が少なくとも部分的にレベル間で分離されるように含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記アレイは、高さが80インチ(約203cm)かつ幅が約36インチ(約91.4cm)の標準サイズの出入口を通って移送可能であるように、約34インチ(約86.4cm)以下の水平寸法と、80インチ(約203cm)以下の高さとを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
高スループット処理システムを用いて複数の生体試料を処理する方法であって、前記複数の生体試料のそれぞれは複数の診断アッセイカートリッジのうちの診断アッセイカートリッジ内に存在し、前記方法は、
前記複数の診断アッセイカートリッジを高スループット処理システム内に受け入れること、及び
前記複数の診断アッセイカートリッジのそれぞれを、複数の診断アッセイモジュールが筒状体の側面に周方向に沿って配列された二次元アレイを少なくとも1段有するアレイ内のアレイ支持体アセンブリによって支持された複数の診断アッセイモジュールのうちの各診断アッセイモジュール内に、ローダを用いてロードすること、
を含み、
各診断アッセイモジュールは、前記複数の診断アッセイカートリッジのうちの診断アッセイカートリッジを受け入れるように、及び各カートリッジ内の生体試料に対して診断アッセイを実行するように適合された診断アッセイシステムを含み、
ロードすることは、アレイ支持体アセンブリを前記ローダと組み合わせて前記ローダに対して相対的に移動させることによって、前記診断アッセイカートリッジが前記アレイ内の前記診断アッセイモジュールのうちの任意のものの中にロード可能であるように、前記アレイ支持体アセンブリを前記ローダに対して相対的に移動させることを含む、
方法。
【請求項18】
前記筒状体は、水平方向の断面が楕円形又は多角形であり、
前記アレイは、前記二次元アレイを前記筒状体の垂直な長手方向軸に沿って複数段スタックした楕円形アレイ又は多角形アレイとして定義される三次元アレイであり、
前記アレイ支持体アセンブリは、前記三次元アレイ内のモジュールを支持する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アレイが、長手方向の垂直軸にそってスタックされた複数の水平ローを有し、前記アレイ支持体アセンブリを移動させることが、前記長手方向の垂直軸の周りに前記アレイ支持体アセンブリを回転させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の診断アッセイモジュールのそれぞれをロードすることであって、各カートリッジを、前記アレイ内の所与の診断アッセイモジュールのレセプタクル内に位置付けることを含む、ロードすること、
前記アレイ支持体アセンブリ内の前記複数の診断アッセイモジュールのそれぞれの存在を検出すること、及び、
システムのコントローラを用いて、前記所与の診断アッセイモジュールから無線で受信された出力に基づいて、前記アレイ支持体アセンブリ内の前記複数の診断アッセイモジュールのうちの所与の診断アッセイモジュールの利用可能性を判定すること、
のいずれかをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
利用可能な診断アッセイモジュールを判定することは、前記アレイ内の前記複数の診断アッセイモジュールのそれぞれと無線で通信することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ロードすることは、
受け入れられた前記複数の診断アッセイカートリッジのうちの診断アッセイカートリッジを、グラスパを用いて把持すること、
前記アレイ内の利用可能な診断アッセイモジュールまで、前記グラスパを用いて支持された前記診断アッセイカートリッジを移送すること、及び
把持された診断アッセイを前記利用可能な診断アッセイモジュール内にロードすること、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記アレイ支持体アセンブリの各レベル内の温度を、システム内での試料処理のための好適な温度の範囲内に維持すること、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記温度を維持することは、モジュールの前記アレイの中央カラムを通して、及びモジュールの前記アレイの各レベルを通して空気流を導く冷却システムの1又は複数のファンを動作させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
各レベルを通した空気流は、少なくとも部分的に、前記空気流がレベル間で異なるようにバッフルによって分離される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
1又は複数の準備された前記診断アッセイカートリッジを後続の分析のためにシステムのロードトラック内に自動的に移送する試料準備器内で、1又は複数の診断アッセイカートリッジを準備すること、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本非仮出願は、2016年11月18日出願の米国仮出願第62/424,313号の優先権の利益を主張するものであり、当該仮出願の全内容は参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
本出願は一般に、2016年7月22日出願の「分子診断アッセイシステム(Molecular Diagnostic Assay System)」と題された米国特許出願第15/217,920号に関し、当該特許出願は参照によってその全体が全ての目的のために本明細書中に援用される。
【0003】
本発明は、多重化学又は生化学反応を実行するための、及び多重化学及び/又は生化学アッセイを実行するための流体装置の分野に関する。特に本発明は、多重化学及び/又は生化学反応を実行するように、並びに複数の化学及び/又は生化学化合物を検出するように構成された装置のためのハンドリングシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現代の病気診断、病原体検出、遺伝子発見、医薬品開発、及び様々な遺伝子関連の技術及び研究は、多数の生体試料を処理することにますます依存するようになっている。試料を1つずつ処理する伝統的な方法はますます不適切になっており、特に近年は、大量の試料に対して同時にアッセイを実行することに対する需要が着実に増加している。したがって、高スループットアッセイを実行する化学/生化学反応システム及び装置に対する必要性が存在する。
【0005】
従来の高スループット方法は、一般に、固形基材の表面上に取り付けられたDNA分子の2次元アレイである、DNAマイクロアレイなどのマイクロアレイの使用を含む場合がある。DNAマイクロアレイは、多重化検出装置としての有用なプラットフォームを提供し得る。例えば、前記アレイの各要素は、固有のDNA配列であって調製された流体試料内の固有の相補的DNA配列を認識又は検出するために使用される、固有のDNA配列を有する。これらのDNAマイクロアレイにより、一度に1つ又は少数の遺伝子又は分子を観察するという従来のアプローチは、経路、ネットワーク、遺伝子の大きなコレクション、及び分子のプールを観察するというアプローチに根本的に変更された。現在入手可能なそのようなDNAマイクロアレイチップは、一般に、液相における流体試料からの標的DNA又はRNA分子と、前記アレイの固形基材上に不動化されたプローブDNA(例えば、オリゴヌクレオチド、又はcDNA)分子とのハイブリダイゼーションに基づいて動作する。しかし前記アレイは、感染症又はその他の病原性状態の存在を示し得る低存在量の標的を検出するための迅速で経済的な方法を提供せず、前記標的はより一般にはリアルタイムPCRなどの高感度法を使用して検出される。リアルタイムPCRシステムはPCR産物を、それらがPCRプロセス中に蓄積するにつれて検出し、アッセイの実行における向上した速度及び効率を可能にするが、これらのシステムは一般に、試料を「バッチ」として処理する必要性によって妨げられ、したがってプロセス全体をより経済的にするのに十分なだけ収集されるまで、一部の試料の処理の遅延がもたらされ、しかしこれは増加したターンアラウンド時間という結果になる。そのような遅延及び費用増加は、より低い効率と医療費の全体的増加とをもたらす。
【0006】
試料調製は、大量の診断アッセイが実行され得る速度を妨げる別の一般的な問題である。多くのそのようなシステムでは、流体試料の別個の処理が、リアルタイムPCR診断アッセイ装置内への導入の前に必要とされるが、近年では、単一の分析装置又はシステム内でリアルタイムPCR分析と連係した自動試料調製を提供するという進歩が存在している。1つのそのような装置は、例えば、米国特許第8,048,386号明細書、米国特許第6,374,684号明細書、米国特許出願第13/843,739号明細書、及び米国特許出願第15/217,920号明細書に記載されている、セフェィド(Cepheid)によって開発されたGeneXpert装置であり、当該特許文献はそれぞれが参照によって本明細書中に援用される。
【0007】
現在のセフェィド(Cepheid)システムは、個々のモジュールとして、又はグループ化されたモジュールの小型システムとして、又は大規模システムとしてエンドユーザに提供されている。現在利用可能な小型システムは、少数のモジュール、例えば、2個、4個、8個、又は16個のモジュールを含み、大規模システムは48個~80個のモジュールを提供し得る。前記小型システムは小規模動作に非常に適しているが、実験室又は検査施設などの大規模動作の高スループット要求に備えることはできない。
【0008】
セフェィド(Cepheid)のInfinity 48及び80システムを含む市販の大型システムは、診断アッセイ検査のより高いスループットを提供するが、そのようなシステムは非常に大きく、一般に、そのようなシステムの配送を可能にする大型のドアを通してアクセス可能な、大きな部屋を必要とする。これらのタイプの部屋は、一般に、病院又は実験室のクリーン環境(clean setting)において見出され、多くの場合、前記システムが配送及び設置されることを可能にするために特に構築されるか又は修正されなければならない。これは多大な資本費用を前記システムのかなり高い費用に加えて必要とする場合があり、これにより高スループット分析システムの設置は、一部の診断検査センター及び実験室にとって手が届かないものとなる可能性がある。そのようなシステムはまた非常に大きく、そして、そのような施設における床面積は既存の機器又は人員を移動させることなしに得るのは困難且つ高価な場合があるため、一部の施設は小型システム又は複数のより小さなシステムに依存しており、これらのシステムは多くの場合、前記施設の高スループット要求を満たすことができない。これらの問題により、バックログが、又は分析結果の過大な待ち時間がもたらされる可能性がある。例えば、そのような施設では、関連する診断アッセイには数時間しか要さない場合があるにもかかわらず、試料が最初に収集されてから、要求された診断検査を患者又は医師に報告するまでに、1日~3日(又はそれ以上)を要する場合がある。「バッチ」処理を使用するシステムでは、同様の遅延の問題に遭遇する。そのような遅延は、特に、生命を脅かす病気の診断を試みる場合、又は病原体若しくは病気の大発生にさらされた個人のスクリーニングを行う場合、問題となり、それらの場合、不必要な遅延又は隔離は命に関わる可能性があり且つ医療費を全体的に増加させる、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、大量の試料の処理をより効率的且つ好都合に可能にする高スループットハンドリングシステムに対する必要性が存在している。アクセス、空間、及び費用が特に懸念される既存の検査施設内に組み込まれるのに適した、そのような高スループットハンドリングシステムに対するさらなる必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、大量の生体試料を処理するための高スループットハンドリングシステム、装置、及び方法に関し、特に、本明細書中に記載する様々な実施形態において詳述する、診断アッセイを実行するためのシステムに関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、複数の生体試料の高スループット処理のためのハンドリングシステムであって、各試料が複数の診断アッセイカートリッジのうちの各カートリッジ内に存在する、ハンドリングシステムを提供する。前記システムは、少なくとも2次元を有するアレイ、一般には円筒状アレイ内に、複数の診断アッセイモジュールを支持するように適合された、アレイ支持体アセンブリを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記アレイは円筒状以外の形状を有し、例えば、前記アレイは楕円形、六角形、八角形、又は本発明と共に使用するのに好適なその他の幾何学的構成であってもよい。各診断アッセイモジュールは、診断アッセイカートリッジを受け入れるように、及び前記カートリッジ内の生体試料に対して診断アッセイを実行するように適合された診断アッセイシステムを含む。前記システムは、複数の診断アッセイカートリッジのそれぞれを前記アレイ内の診断アッセイモジュール内にロードするように適合されたローダをさらに含んでもよい。前記アレイ支持体アセンブリは、前記ローダを前記アレイに相対的に移動させることによって前記カートリッジが前記アレイ内の前記モジュールのうちの任意のものの中にロード可能であるように、前記ローダに相対的に移動可能である。いくつかの実施形態では、前記アレイは、その長手方向軸に沿って回転する円筒状アレイであり、ローダ機構は前記円筒状アレイに隣接したエレベータ内で垂直に並進する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、高スループット処理システムを用いて複数の生体試料を処理する方法を提供する。そのような方法は、複数の診断アッセイカートリッジを高スループット処理システム内に受け入れること、及び前記複数の診断アッセイカートリッジのそれぞれを、少なくとも2次元を有するアレイを画定するアレイ支持体内の複数の診断アッセイモジュールのうちの各診断アッセイモジュール内に、ローダを用いてロードすること、を含んでもよい。各モジュールは、前記複数の診断アッセイカートリッジのうちの診断アッセイカートリッジを受け入れるように、及び各カートリッジ内の生体試料に対して診断アッセイを実行するように適合された診断アッセイシステムを含む。ロードすることは、前記アレイを前記ローダと組み合わせて移動させることによって前記診断アッセイカートリッジが前記アレイ内の前記診断アッセイモジュールのうちの任意のものの中にロード可能であるように、前記アレイ支持体を前記ローダに相対的に移動させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記アレイは外部シェルによって囲まれた円筒状アレイであり、前記方法は、開いた中央カラムを通して上向きに空気を強制することと、前記外部シェル内の前記アレイのロー間の1又は複数のバッフルを用いて前記アレイの各ローを通して冷却空気を導くこととによって、前記アレイの微小環境を冷却することをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、大量の試料ストリームの処理及び診断アッセイを実行するための高スループットハンドリングシステムの概要を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステム内の診断アッセイモジュール及び診断アッセイカートリッジ(1又は複数)を示す概略図を示す。
【
図1C】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステムの分解図を示す。
【
図1D】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステムのアレイの円形レベル内に挿入可能な診断アッセイモジュールアセンブリを示す。
【
図1E】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステムのアレイの円形レベルの回転を容易にする支持体アセンブリ及び回転アクチュエータを示す。
【
図1F】いくつかの実施形態による、
図1Eの支持体アセンブリの分解図を示す。
【
図1G】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステムのエレベータアセンブリの分解図を示す。
【
図1H】いくつかの実施形態による、
図1Aの高スループットハンドリングシステムのベース及びロードトラックの分解図を示す。
【
図2A】いくつかの実施形態による、診断アッセイモジュールのアレイを有する高スループットハンドリングシステム内での処理のためのキュー内に診断アッセイカートリッジを配置している実験室技術者を示す。
【
図2B】いくつかの実施形態による、診断アッセイモジュールのアレイを有する高スループットハンドリングシステム内での処理のためのキュー内に診断アッセイカートリッジを配置している実験室技術者を示す。
【
図2C】いくつかの実施形態による、一対の診断アッセイカートリッジであって、アレイの診断アッセイモジュール内への前記カートリッジのうちの1つの配置を容易にするためにシステムのエレベータ内で持ち上げられている、グラスパ内に保持された一対の診断アッセイカートリッジを示す。
【
図2D】いくつかの実施形態による、使用済みカートリッジを廃棄するためにエレベータ内で下降されている、グラスパ内に保持された一対の診断アッセイカートリッジを示す。
【
図2E】いくつかの実施形態による、ロードトラック内のキュー内に診断アッセイカートリッジを配置している、及び使用済みカートリッジで満たされた廃棄物レセプタクルをシステムのベースから取り外している技術者を示す。
【
図3A】いくつかの実施形態による、カウンタトップが取り外されたアレイアセンブリの、標準サイズの出入口を通した移送を可能にする、アレイアセンブリ及びベースの相対寸法を示す上面図を示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、カウンタトップが取り外されたアレイアセンブリの、標準サイズの出入口を通した移送を可能にする、アレイアセンブリ及びベースの相対寸法を示す側面図を示す。
【
図3C】いくつかの実施形態による、カウンタトップが取り外されたアレイアセンブリの、標準サイズの出入口を通した移送を可能にする、アレイアセンブリ及びベースの相対寸法を示す側面図を示す。
【
図3D】いくつかの実施形態による、カウンタが取り外されたアレイアセンブリの上から見下ろした図を示す。
【
図3E】いくつかの実施形態による、診断アッセイカートリッジを準備して準備された診断アッセイカートリッジをロードトラック上に自動的にロードするカートリッジ準備器を有する、高スループットハンドリングシステムの上から見下ろした図を示す。
【
図3F】いくつかの実施形態による、診断アッセイカートリッジを準備して準備された診断アッセイカートリッジをロードトラック上に自動的にロードするカートリッジ準備器を有する、高スループットハンドリングシステムの側面図を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、システムのベースから取り外し可能なアレイアセンブリを支持する、高さ調節可能な移送カートを有する高スループットハンドリングシステムを示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、アレイの診断アッセイモジュールへのロード及び/又はアンロードを容易にするための、エレベータと、一対の診断アッセイカートリッジを把持するためのローダとの詳細図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、アレイの診断アッセイモジュールへのロード及び/又はアンロードを容易にするための、エレベータと、一対の診断アッセイカートリッジを把持するためのローダとの詳細図を示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、所望により存在する蓋及びダイバータを含む、使用済みカートリッジを収集するために高スループットハンドリングシステムと共に使用するように適合された専用の廃棄物レセプタクルを示す。
【
図8A】いくつかの実施形態による、診断アッセイモジュールのアレイを通した熱伝達を動作中に制御するための統合冷却システムを示す高スループットハンドリングシステムの断面図を示す。
【
図8B】いくつかの実施形態による、ベース内に統合された取り入れファンを有する冷却システムを有する高スループットハンドリングシステムの断面図を示す。
【
図8C】いくつかの実施形態による、ベースの空気取り入れ口に接続された外部空気冷却器を有する高スループットハンドリングシステムを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、アレイの各レベルのモジュール構成を示す、高スループットハンドリングシステムの断面図を示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、診断アッセイモジュールアレイを有する超高スループットハンドリングシステムを示す。
【
図11】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムを使用して試料処理を実行する方法を示す。
【
図12】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムを使用して試料処理を実行する方法を示す。
【
図13】市販システムと比較した、本発明の実施形態によるシステムについてのスループット時間の比較を示す。
【
図14A】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムにおいて利用されるモジュールアレイ及びロードトラックの代替の実施形態を示す。
【
図14B】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムにおいて利用されるモジュールアレイ及びロードトラックの代替の実施形態を示す。
【
図14C】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムにおいて利用されるモジュールアレイ及びロードトラックの代替の実施形態を示す。
【
図14D】いくつかの実施形態による、高スループットハンドリングシステムにおいて利用されるモジュールアレイ及びロードトラックの代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、一般に、本明細書中に記載する様々な実施形態において詳述する、生体試料の分析/検査において高スループット性能を提供するためのシステム、装置、及び方法に関する。前記システムは、ローダに相対的に移動可能な診断アッセイモジュールのアレイを利用して、モジュールのアレイ内の診断アッセイカートリッジ内に受け入れられた大量の生体流体試料の同時処理を可能にする。いくつかの実施形態では、前記診断アッセイモジュールはそれぞれが、その中に配置された診断アッセイカートリッジ内の流体試料の試料調製と診断アッセイとを実行可能である。一般に、診断アッセイモジュールは、各モジュール内の処理が互いに別個に実行されるように独立に動作可能であってもよい。いくつかの実施形態ではモジュールは同一であるが、前記アレイは、様々なタイプのモジュールを含むこともまた可能であることが理解される。そのような構成は、個々のモジュールの取り外し/交換及び点検が、他のモジュール又は機構に悪影響を及ぼすことも、他のモジュール又は機構の取り外しを必要とすることもなしに必要に応じて可能なため、有利である。
【0015】
これら及びその他の態様は、以下の図に示されテキストで説明される様々な実施形態を参照することによってさらに理解することができる。
【0016】
図1Aは、診断アッセイモジュール30のアレイを支持するアレイ支持体アセンブリ130を有する高スループットハンディングシステム100を示す。この実施形態では、各モジュールは、その中に挿入され受け入れられた診断アッセイカートリッジ10内で流体試料を処理するための、同じ機能及び能力を有して構成されている。この実施形態では、システム100全体で100個の独立したモジュールを含むように、アレイは4つの円形ローを有する円筒状アレイであって、各ローが25個の診断アッセイモジュール30を支持する、円筒状アレイである。より多くの若しくはより少ないローを有する、又はローごとにより多くの若しくはより少ないモジュールを有する、その他の様々な構成が利用されてもよい。システム100は、アレイのモジュール30へのカートリッジ10のロード及びアンロードを容易にする2つのエレベータ120を含む。各エレベータは、診断アッセイカートリッジを解放可能に保持し、利用可能なモジュール30のうちの任意のものの中にカートリッジを位置付けるように適合された、及び/又は、処理後に廃棄されるようにモジュール30のうちの任意のものから使用済みのカートリッジ10を取り外すように適合された、ローダ20を含む。この実施形態は2つのそのようなエレベータを含むが、より多くの又はより少ないエレベータが利用されてもよい。有利には、アレイ全体の100個のカートリッジが、単一のエレベータによって約10分以内にロードされることが可能であり、2つのエレベータの使用によって7分未満でロードされることが可能である。上述の構成は、従来の処理システムと比較して大幅に向上したスループット及び処理速度を可能にする。各円筒状ローは、アレイの長手方向軸に沿って回転可能であり、エレベータは、アレイのローの間を、一般には垂直に並進することによって移動する。いくつかの実施形態では、各円筒状ローは、各診断アッセイモジュールの診断アッセイカートリッジレセプタクルベイが、カートリッジのロード及び/又はアンロードを容易にするのに十分な時間にわたって、少なくとも1秒以上、一般には数秒(例えば3秒~5秒)、いくつかの実施形態では約10秒以上、エレベータに隣接して位置付けられるように、段階的に回転する。そのような構成は、エレベータとアレイとの組み合わされた動きによって、モジュールのうちの任意のものへの容易なアクセスを可能にし、それにより診断アッセイカートリッジは、そのようなカートリッジを受け入れるためのレセプタクルの平面状矩形アレイを有するシステムよりかなり高速にモジュール30にロード及びアンロードされることが可能になる。いくつかの実施形態では、アレイのローは互いに別個に旋回し、例えば、隣接するローが反対方向に移動してもよく、またいくつかの実施形態では、各ローが同じ方向に移動してもよく、又は円筒状アレイ全体が固定されて単一のユニットとして旋回してもよい。いくつかの実施形態では、アレイの全てのローが回転するわけではない。例えば、アレイの1つのローは静止して保持され、アレイの残りのローは(一緒に又は反対方向に)回転してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、アレイのモジュールは独立に動作可能であり、システムのベース160内に収容されていてもよい中央電源及び通信プラットフォームと電気的に及び通信可能に結合されている。ベース160は、1又は複数の廃棄物レセプタクルであってその中に使用済み診断アッセイカートリッジが処理後に自動的に排出される、1又は複数の廃棄物レセプタクルを収容する、2つのドアを含む。廃棄物容量インジケータ162(例えばLED)は、レセプタクルが満杯であることをユーザに示す。インジケータ162は、診断アッセイカートリッジの計数又はレセプタクルの重量に基づいた、レセプタクルが満杯であることの判定に応じて点灯されてもよい。いくつかの実施形態では、廃棄物容量インジケータ162は、廃棄物レセプタクルが充填されるにつれての様々な状態を示してもよく、例えば、部分的に空/ほぼ満杯/完全に充填、に対応して、緑/黄色/赤、を示してもよい。いくつかの実施形態では、インジケータ162はベースの内部の中央柱上に配置されており、ドアのハンドルは、ユーザがハンドルを通してインジケータLEDを見ることを可能にするために半透明である。ベース160はまた、人員の接近を検出する近接センサ163であって、分析のためにロードされるカートリッジを受け入れるためのロードトラックの回転を開始する、近接センサ163を含んでもよい。ベース160は、システム構成要素の協調制御及びシステムの自動化を促進するための、様々な制御、電力、及び通信特徴又はハブをさらに収容してもよい。
図1Hに示すように、ベースは、コントローラ180、自動化コンピュータ181、電力分配器182、及び通信ハブ183(例えばイーサネットハブ)を含んでもよい。コントローラ、自動化コンピュータ、及び通信ハブは、ハードワイヤード通信及び/又は無線通信を含んでもよいということが理解される。さらに、そのような特徴は、集中化されていてもよく、又は複数のユニット間に分割されていてもよい。例えば、コントローラ180は、システム全体の様々な制御側面を開始し、アレイのモジュールのそれぞれと関連付けられた個々のコントローラと通信してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、各診断アッセイモジュール30は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイなどの核酸増幅検査(NAAT)における核酸標的の検出のために構成された診断アッセイカートリッジであってカートリッジから延在する反応容器又は反応チューブを有する、診断アッセイカートリッジを受け入れるように構成される。そのようなカートリッジ内の生体流体試料の調製は一般に、特定のプロトコルに従った化学的、電気的、機械的、熱的、光学的、又は音響学的処理工程を含んでもよい一連の処理工程を含む。そのような工程は、細胞捕獲、細胞溶解、精製、分析物の結合、及び/又は不要物質の結合などの様々な試料調製機能を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、診断アッセイカートリッジは、試料調製工程の実行に適した1又は複数のチャンバを含んでもよい。本発明と共に使用するのに好適な診断アッセイカートリッジは、2000年8月25日出願の「流体制御処理システム(Fluid Control and Processing System)」と題された米国特許第6,374,684号明細書、及び2002年2月25日出願の「流体の処理および制御(Fluid Processing and Control)」と題された米国特許第8,048,386号明細書において示され記載されており、当該特許の全内容は全ての目的のためにそれらの全体が参照によって本明細書中に援用される。本明細書中に記載するモジュールのアレイは、2016年7月22日出願の「分子診断アッセイシステム(Molecular Diagnostic Assay System)」と題された米国特許出願第15/217,920号明細書において詳述されているものによるモジュールを含んでもよい。しかし、本明細書中に記載するシステムは、当業者に知られている様々なその他のタイプのモジュール及びカートリッジもまた含んでもよいということが理解される。
【0019】
本発明と共に使用するのに好適な非限定的な例示的核酸増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写媒介増幅(TMA)、及び核酸配列ベースの増幅(NASBA)、及び等温増幅が含まれる。本発明と共に使用するのに好適な追加の核酸検査は当業者に周知である。流体試料の分析は、一般に、特定のプロトコルに従った光学的検出、電気的検出、又は化学的検出のうちの任意のものを含んでもよい一連の工程を含む。
【0020】
図1Bは、アレイ支持体アセンブリ130によって支持されたモジュールのアレイ内の診断アッセイモジュール30と共に使用するように適合されたそのような診断アッセイカートリッジ10を示す。モジュール30をシステム100内のアレイとは別個に使用する場合、ユーザはカートリッジ10をドア31の背後の受け入れベイ内に直接挿入する。モジュール30は、ベイが空でありモジュール30が試料処理を実行する準備ができている場合に、又は試料処理が完了したとき使用済みカートリッジの取り外しを容易にするために、ドア31を開くように構成されていてもよい。システム100では、診断アレイカートリッジは、各カートリッジ10をエレベータ120まで移送するために円筒状アレイの周りを旋回するロードトラック110内のキュー内に位置付けられる。ローダ20は次に、処理される各カートリッジを拾い上げ、ローダは、カートリッジがロードされるモジュールの適切なローまでエレベータに沿って垂直に並進する。システム100の基本要素は
図1Cに示す分解図において見ることができ、この図は、4レベルのアレイ支持体アセンブリ130であって各レベルがその中に搭載された複数の診断モジュール30を有する、アレイ支持体アセンブリ130と、清浄な温度制御された環境が維持されることを可能にするためにアレイを包み込む透明シェル135と、2つのエレベータ120と、カウンタ114と、カートリッジロードトラック110を有するベース160とを示している。エレベータ120は、
図1Eに示す分解図を参照することによってさらに理解することができる。いくつかの実施形態では、ロードトラック110は円筒状であるが、ロードトラック110は、トラックが連続的であり且つ再循環するようにトラックがそれ自体に戻って接続される(connects back on itself)限り、任意の幾何学的形状であってもよいということが理解される。
【0021】
図1Dは、個々の回転可能レベルのアレイ支持体130であってその中で複数の診断アッセイモジュール30を支持する、アレイ支持体130を示す。各診断アッセイモジュール30はキャリア141内に含まれ、キャリア141は、各モジュール30のロードベイへのアクセスを可能にする前部開口を有するキャリアカバー142を有する。キャリア141は、アレイ支持体130内の対応する支持体にしっかりと取り付けられ、これは
図1Eと、
図1Fに示すアレイ支持体の分解図とを参照することによってさらに理解することができる。支持体はスリップリングを含み、スリップリングは、その中央における固定スリップリング部分131であって回転ユニオンを通して電力及びデータを運ぶ、固定スリップリング部分131と、上部フレーム136とインタフェースする回転ハブ137とを含み、上部フレーム136は、複数のモジュールキャリア141とインタフェースするための工学設計されたカットアウトであって、その中に複数のモジュールキャリア141をしっかりと取り付けてレベル内にモジュールを支持するための、工学設計されたカットアウトを含む。底部の近くに配置される回路基板139(例えばPCB)は、モジュールがその中に搭載された場合にモジュールのそれぞれと電気的にインタフェースする。上部フレーム136はリングギア132と結合され、リングギア132は、本明細書中で説明するように各レベルが増分的に回転されることを可能にするために、駆動機構133を介してモータ134によって回転可能に制御される。モータ134は、サーバモータ、ステッパモータ、又は任意の好適なモータであってもよい。駆動機構133は、駆動ベルト、ケーブル、スクリュー、ギア、又は任意の好適な駆動機構であってもよい。アレイのレベルの動きは、コントローラ138によって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ138は、電力制御及びモータ運動制御を含んでもよい。関連する構成要素としては、電力変圧器、発電配電器(power production distributer)、及び様々な配電構成要素が含まれてもよい。バッフル52は支持体の底部とインタフェースし、各レベルを通した制御された空気流を促進する。いくつかの実施形態では、レベル間での空気流の段階的脱層形成(graduated destratification)を提供して、必要に応じてより多くの空気流を提供するために、各レベルの底部に沿ったバッフルは各レベル間で異なる。
【0022】
システム100は、本明細書中に記載するシステムの様々な構成要素の間の動きを協調させるコントローラを含んでもよい。例えば、中央コントローラが、どのモジュール30が空であるかを識別できるように、且つ識別されたモジュール30に到達するようエレベータを適切なローまで導くことができるように、各モジュール30はコントローラに直接又は無線で通信してもよい。いくつかの実施形態では、各モジュールは、その中に挿入された診断アッセイカートリッジ10と近距離無線通信(NFC)によって通信し、それにより生体流体試料を含むカートリッジのIDと適切なアッセイプロトコルとがモジュール30によって取得される。同様に、モジュール30は、試料処理が完了してカートリッジが取り外される準備ができた場合に通信し、それによりコントローラはローダに、使用済みカートリッジを取り外すために適切な位置までエレベータに沿って並進するためのコマンドを送信する。エレベータはコマンドによって特定の垂直位置まで移動するが、アレイ支持体のローは、規則的な間隔(一般に、モジュール内への診断アッセイカートリッジのロード/アンロードを、又はモジュールからの使用済みカートリッジの取り外しを可能にするための、少なくとも1秒以上)で、規則的な増分(一般に、アレイの診断モジュールの次の隣接するカラムをエレベータまで移動させるのに十分な回転)において移動する。いくつかの実施形態では、アレイ支持体は、1又は複数の隣接するカラムをスキップする、より大きな増分において回転するように制御され、それによりロードされるモジュールのより均一な分散が助長され得る。多数のモジュール(一般に、4ロー×25モジュール/ロー)を考慮して、カートリッジのロード/アンロード時間は短く、ロードのための空のベイを有するモジュール、又はアンロードのための使用済みカートリッジを有するモジュールは、エレベータのうちの1つに迅速に到達する。実際に、100個のモジュールのアレイ全体が約10分以内にロードされ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、診断アッセイモジュールは、診断構成要素を含んでもよい通信サブシステムを有する。プロセッサが、通信サブシステム及び診断構成要素と通信可能に結合されていてもよい。プロセッサは、診断アッセイモジュールが、通信サブシステムを使用して、モバイル装置からのコマンドを無線で受信することを引き起こすように構成されていてもよい。プロセッサはまた、通信サブシステムを使用して、モバイル装置にモジュールコマンド応答を無線で送信するように構成されていてもよい。プロセッサはまた、診断モジュールを使用して検査を実施するように構成されていてもよい。プロセッサはまた、通信サブシステムを使用して、検査の結果を示す暗号化された診断情報(例えば医療情報)をリモートサーバに無線で送信するように構成されていてもよい。
【0024】
図2A~
図2Eは、アレイの診断アッセイモジュール30内での処理のために高スループットハンドリングシステム100内に診断アッセイカートリッジ10をロードしている、及びシステム100から使用済みカートリッジを除去している技術者のプロセスを示す。
【0025】
図2Aにおいて、技術者は、処理される個々のカートリッジ10をシステム100のロードトラック110のリセス内に配置し、ロードトラックはエレベータ120に向けて増分的に回転する。ローダ20は垂直エレベータ120に沿って下降され、検査されるカートリッジ10aを把持する。いくつかの実施形態では、エレベータは、カートリッジが拾い上げられる準備ができた場合を感知するセンサを含み、それにより中央コントローラは、カートリッジ10aをロードトラック110から把持して保持するようローダ20を導くことが可能になる。アレイのロー130a、130b、130c、130dのうちの任意のロー内のいずれかのモジュール30が空である場合、コントローラはローダ20に、空のモジュール30を有する任意のローまでエレベータに沿って並進するよう命令する。ローダ20は次に、診断アッセイカートリッジ10aを各モジュール内にロードする。この実施形態では、ローダが一対のカートリッジを同時に保持できるように、ローダは反転又は回転するよう構成されている。そのような構成では、ローダはカートリッジ10aのロード後に反転して他方のカートリッジをロードでき、又はカートリッジ10aのロードの前に使用済みカートリッジ10bを取り外すために使用され得るため、速度及び効率がさらに向上する。使用済みカートリッジ10bを廃棄するために、ローダ20は下降し、使用済みカートリッジ10bを、ベース160内に格納された廃棄物レセプタクル内に収集されるように、廃棄物シュート116上で解放する。取り外すべき使用済みカートリッジがない場合、デュアルサイドローダ20は、ロードされる2つのカートリッジ10aを空のモジュール30内への順次的なロードのために拾い上げるために使用されてもよく、且つ/又は、デュアルサイドローダは、2つのモジュール30から2つの使用済みカートリッジを処分のために拾い上げるために使用されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、コントローラはローダに、最も近い空のモジュールまで並進するよう命令するが、他の実施形態では、コントローラはローダに、アレイの各モジュール内により均一にカートリッジを分散するために、モジュールまで並進するよう命令する。いくつかの実施形態では、コントローラはローダに、特定のアッセイのためのカートリッジのみを拾い上げるよう命令する。いくつかの実施形態では、特定のタイプのアッセイは全てアレイの特定のロー上にロードされる。いくつかの実施形態では、コントローラは複数の要因に従ってローダに命令し、複数の要因は様々な異なる目的又は目的の組み合わせに従って組み合わせられていてもよく、又は重み付けされていてもよい。そのような目的としては、限定されないが、近接、温度、負荷バランス、熱バランス、レベル間での若しくは各レベル内での分散、アッセイの時間長、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、システムは、カートリッジのロードのための、好ましいモジュール、特定のアレイの好ましいレベル、又は好ましいアレイを、1又は複数の目的又は要因であって本明細書中に記載されているもののうちの任意のものを含むがそれらに限定されない、1又は複数の目的又は要因に基づいて決定してもよい。
【0027】
図2Bは、処理される診断アッセイカートリッジ10aをロードトラック110上にロードしている技術者の別の図を示す。加えて、一対の非常停止ボタン114eがカウンタトップ114上に配置されている。1又は複数の非常停止特徴がシステムの様々な他の部分上に代替として又は加えて含まれていてもよい、ということが理解される。図からわかるように、ロードトラック110は、カートリッジを受け入れるように適合されたリセス111を含んでもよい。本明細書中の任意の実施形態において、ロードトラックは連続的及び/又は再循環的であってもよい。ロードトラックは、主キャスティング113の回転リング112内に嵌合する複数構成要素として規定されてもよく、これらは
図1Hに示すベースの分解図において見ることができる。いくつかの実施形態では、複数のカートリッジを受け入れるように構成された任意のタイプの再循環トラックが利用されてもよい。そのようなトラックとしては、図示されているような非直線トラック、又は再循環表面を有する直線トラック(例えばコンベアベルト)が含まれてもよい。そのようなトラックはカートリッジ受け入れ表面を含んでもよく、カートリッジ受け入れ表面は、カートリッジを受け入れるのに好適な、及び所望によりカートリッジを特定の向きにおいて維持するのに好適な、リセス、突起、結合特徴、フック、マグネット、又は任意の特徴を含んでもよい。あるいは、トラックは複数のカートリッジを任意の向きにおいて受け入れてもよく、向きは続いて、隣接する特徴(例えば、グリッパ、方向付け特徴、インタフェース表面、又は任意の好適な機構)によって調節される。いくつかの実施形態では、ロードトラックは、1又は複数のカートリッジを支持するようにそれぞれが構成された独立に移動可能なカートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システムは、カウンタ上に位置する少なくとも1つの非常停止ボタンを含み、非常停止ボタンは、ロードトラック及びエレベータへの電力を遮断するものである。
図1Hに示す実施形態では、ロードトラックはリセス111を含み、各リセスは各カートリッジを受け入れるように寸法決定されている。リセス111は、ローダ20による診断アッセイカートリッジの把持を容易にするための適切な位置及び向きにおいてカートリッジを受け入れるように特に輪郭形成されている。いくつかの実施形態では、これは、カートリッジを適切な位置及び向きにおいて拘束するインタフェース特徴(例えば、穴/ペグ)又は突起若しくは隆起の使用によって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、トラックは連続成形構造体である。いくつかの実施形態では、カートリッジのホルダは接続されておらず個々に分離されており、各ホルダは単一のカートリッジのみを含む。いくつかの実施形態では、ホルダは、カートリッジのサブセット(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれ以上のカートリッジ)を保持するための小さなグループに分けられている。いくつかの実施形態では、カートリッジホルダは、カートリッジを用いて充填するために、システムから離れるようにトラックから取り外されてもよく、充填されたラックは次に、アレイ上にロードするためにトラック上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、特定のカートリッジをアレイ内にロードするために再循環トラックから選択するように構成されており、同時に、他のカートリッジがアレイ内への後続のロードのために、ローダによる1回又は複数回の通過にわたって再循環することを可能にするように構成されている。そのような選択は、1又は複数の要因に基づいてロードを優先順位付けするための、カートリッジから得られたデータに基づいて決定されてもよく、前記1又は複数の要因としては、限定されないが、ラッシュステータス(rush status)、試料ID、試料のタイプ、アッセイのタイプ、及びアッセイの長さが含まれる。
【0028】
図2Cは、カートリッジ10a、10bを把持しているローダ20の別の図を示す。図からわかるように、ローダ20は、アレイ130の任意のローまでエレベータ120に沿って並進されてもよく、
図2Dに示すように、下降して廃棄物シュート116内にカートリッジ10bを解放することによってカートリッジを廃棄してもよい。
図2Eは、ロードトラック110内にカートリッジ10をロードしている技術者であって、ベースドア161を開くことによって廃棄物レセプタクル60を取り外すプロセスにある技術者を示しており、廃棄物レセプタクル60は、使用済みカートリッジを収集するためにベース160内の廃棄物シュート116の下に位置付けられていたものである。レセプタクル60は清掃のために容易に取り外し可能である。いくつかの実施形態では、ベース160は、正しいフラップが開かれて所定の位置にスナップ留めされていない場合に廃棄物レセプタクル60の挿入を防止するように設計された、廃棄物レセプタクルエクスクルーダ164を含む。
【0029】
上述の円筒状アレイ構成の特に有利な一側面は、アレイ支持体アセンブリ130が、標準サイズの出入口を通してアレイを移送するのに好適な寸法を有するように画定されてもよいということである。これによりシステム100は、実質的に任意の好適な位置にセットアップされることが可能になり、多くの従来の大規模分析システムにおけるように大型の入口を必要とすることはなくなる。加えて、円筒状アレイ構成は、実質的に低減された設置面積を可能にし、これによりシステムは、多くの従来のシステムにおけるように法外な量の床面積を必要とすることはなくなるため、様々な位置で使用されることが可能になる。いくつかの実施形態では、システム100(カウンタなし)は、約34インチ(約86.4cm)以下の幅、及び約74インチ(約188cm)以下の高さを有する。これらの寸法は、システムが一般には高さ80インチ(約203cm)×幅36インチ(約91.4cm)である標準的な出入口を通して容易に移送されることを、車輪付き移送カートなどによって床から1インチ(約2.54cm)~2インチ(約5.08cm)持ち上げられている場合でさえ依然として可能にしながら、アレイアセンブリの容量を実質的に最大化するものである。ベース160の寸法は、標準的な出入口を通した移送のための好適な制限内に十分収まるものである。ベース160とアレイ130との間に位置する円形カウンタ114は、例えば、全幅を低減させて標準的な出入口の通過を可能にするために、必要に応じて取り外されて垂直に移送されてもよい。いくつかの実施形態では、輸送中に機器を支持するために使用される内部クレート及びパッケージングが、機器を実験室又は病院セッティングにおけるその最終目的地まで移動させるための移送カートとして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、移送カートとしても使用される内部クレート及びパッケージングは木で構成されている。例示的なサイズ寸法は、以下の
図3A~
図3Dを参照することによってさらに理解することができる。
【0030】
図3A~
図3Cは、アレイアセンブリの相対寸法を示す上面図及び側面図を示す。
図3Aに見られるように、カウンタが取り付けられたシステム100は最小幅wを有する。この例示的実施形態では、wは約45.5インチ(約116cm)である。
図3Bに見ることができるように、最大幅Wはカウンタ114に沿って見出される。この実施形態では、Wは約51インチ(約130cm)である。
図3Cに見ることができるように、システム100は全高hを有する。この実施形態では、hは約74インチ(約188cm)である。前述のように、カウンタは、標準的なサイズの出入口を通したシステム100の輸送及び移送を容易にするために取り外すことが可能である。
図3Dに見ることができるように、この実施形態では、カウンタが取り外されたシステム100は低減された幅w’を有する。この実施形態では、w’は約34インチ(約86.4cm)であり、これによりシステム100は標準的なサイズの出入口を容易に通り抜けることが可能になる。特定の寸法の利点について本明細書中に記載したが、本明細書中に記載した任意の概念による様々なその他の寸法を有する同様のシステム又は構成要素を他の実施形態が含んでもよいということが理解される。有利には、カウンタ114及びロードトラックは、複数の方向から接近している1又は複数の人員によってカートリッジがロードされ得るように、全ての側(例えば、360度)からシステムがアクセスされ得るようなものである。他の実施形態では、カウンタ114及びロードトラックは、アクセスが360度未満(例えば、270度、180度、又はそれ未満)からのものであるように構成されていてもよいということが理解される。
図3A及び
図3Dに示すように、カウンタトップ114及びシステム100は、1つの平坦な側を有する略円形形状を有して構成されていてもよい。これによりシステムは、必要に応じて壁に接触して配置されることが可能になる。しかしシステム及びカウンタトップは、円形、多角形(例えば、正方形、六角形など)、又は任意の所望の規則形状又は不規則形状を含む、平坦な側を有するか又は有さない任意の形状において構成されていてもよいということが理解される。
【0031】
いくつかの実施形態では、システムは自動カートリッジ準備器をさらに含んでもよく、自動カートリッジ準備器は、検査される生体試料をカートリッジに追加すること、カートリッジ蓋を閉じること、及びカートリッジをアレイ上にロードするために準備することなどのプロセスを含んでもよい1又は複数の分析前工程を実行するように構成されていてもよい。カートリッジ準備器の使用により、アレイ内に固定されたモジュールに対する摩損がさらに低減され得、分析前カートリッジ処理のために一般に使用される技術者時間も同様に低減され得る。カートリッジ準備器は、分析前処理の実行後にシステムのロードトラック内に診断アッセイカートリッジを位置付けるようにさらに構成されていてもよい。
図3Eは、ロードトラック110に隣接して位置付けられたカートリッジ準備器115をシステム100が含む例示的実施形態を示す。
図3Fに見ることができるように、カートリッジ準備器115は、準備済みカートリッジ10をロードトラック110内に位置付けるためのカートリッジローダを含んでもよい。カートリッジ準備器115の試料ローダは、アレイエレベータにおいて説明したものと同様の機構、又は当業者に知られている任意の好適な機構を含んでもよいということが理解される。
【0032】
いくつかの実施形態では、システム100は、システム100の移送及び所望の位置における組み立てを容易にするための移送カート170を含んでもよい。
図4に示すように、移送カート170は、クランク172、複数のクランク、又はその他のそのようなユーザ制御機構によって制御されるリフタ171を含んでもよく、これは、システム100が地面から持ち上げられて部屋に運び込まれることを可能にする、油圧式、電気式、空気圧式の制御又は持ち上げ機構を含んでもよい。移送カート170により、システム100を移動させるためのより安定したやり方が提供され、これはシステムの小さな設置面積及び相対的高さを考慮すると好ましい場合がある。このアプローチは、アレイアセンブリ130がそのかなりの重量及び寸法にもかかわらず、実質的に組み立てられたユニットとしてその目的地に配送及び移送されることを可能にするため、有利である。システムがその最終目的地に配送されたら、次に、取り外し可能カウンタがシステムに搭載されてもよい。一般に、ベースとアレイアセンブリとは互いにしっかりと固定して取り付けられている。いくつかの実施形態では、輸送又は移送を容易にするために、アレイアセンブリはベースから取り外されることが可能であり、且つ現場で組み立てられることが可能である。いくつかの実施形態では、いかなる移送カートもなしにシステムが移動又は移送されることを可能にするために、ベースは車輪を含んでもよい。
【0033】
図5~
図6は、エレベータ120内のカートリッジローダ20の詳細図を示す。
図5に示すように、エレベータ120は、垂直キャリッジ122の垂直運動を案内するトラック121を含み、垂直キャリッジ122は中央コントローラによって電力供給及び制御され、制御は、センサに応答して、及び/又はモジュール30との通信に基づく空のモジュール30又は使用済みカートリッジの判定に応答して行われる。この実施形態では、図示されているように、ローダ20は2つのグラスパ22を含み、各グラスパ22は、各カートリッジ10の自動化フランジの下で前面に沿って外縁を把持するための、相隔たった一対の輪郭形成されたジョー(contoured jaws)をそれぞれが有する。2つのグラスパ22は、水平キャリッジ23に回転可能に又は枢動可能に結合された中央部材又はシャフト21から延在し、水平キャリッジ23は、垂直キャリッジ122からアレイ130に向けて延在する一対のロッド123に沿って並進する。把持ジョーの動きと組み合わせた水平キャリッジの動きにより、ローダが、ロードされる各診断アッセイカートリッジを拾い上げること、及びカートリッジ10を各モジュール30のレセプタクルベイ内に配置することが可能になる。トラック121に向けた水平キャリッジ23の動きにより、
図6に示すように、ローダ20が、廃棄されるべき任意の使用済みカートリッジを廃棄物シュート116の上に位置合わせすることも可能になる。これらの構成要素は、
図1Gにおける分解図を参照することによってさらに理解することができる。
【0034】
エレベータ120は、ロードトラック内の接近している診断アッセイカートリッジの近接を検出し、カートリッジからのデータをロードの前に取得するための、1又は複数のセンサをさらに含んでもよい。例えば、
図6に示すように、エレベータ120内への入口内に配置された近接センサ125が、接近しているカートリッジを検出し、カートリッジを拾い上げるようエレベータに信号を送る。加えて、データセンサ(例えば、NFCセンサ)が、診断アッセイカートリッジのIDと、カートリッジのための診断アッセイプロトコルとを検出し、これらはいくつかの実施形態では、アレイ上のどこにカートリッジがロードされるべきかを判定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、所与のカートリッジを識別するためにNFCセンサが使用される。いくつかの実施形態では、診断アッセイカートリッジを検出するために使用されるセンサは、光学的認識技術(バーコード、
QRコード(登録商標))、RFIDタグ、及び赤外線(IR)検出を採用していてもよい。追加のセンサ検出方法は当業者に周知である。
【0035】
図7は、上述のシステムと共に使用するように適合された例示的廃棄物レセプタクル60を示す。廃棄物レセプタクル60は、狭くなった部分が廃棄物シュート116の下に延在するよう、ベース60内にぴったり収まるように特に成形されている。いくつかの実施形態では、廃棄物レセプタクル60は、例えば正方形、円形、楕円形などの様々なその他の形状において形成されていてもよい主レセプタクル本体61を含む。廃棄物レセプタクル60は一般に、硬質ポリマーから形成されており、再利用に好適なように、又は使い捨てであるように形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、廃棄物レセプタクル60は、上向きに折り曲げられて主部分63bに当たるように適合された端フラップ63aを含む蓋63をさらに含む。端フラップ63aは、各端フラップを上向きに折り曲げられた位置において保持するように64b上の対応する結合特徴とインタフェースする結合特徴64aをさらに含んでもよく、これにより、使用済みカートリッジが廃棄物レセプタクル内に導かれるための十分な開口が、廃棄物レセプタクル60の上に蓋が留まっていながら可能になる。いくつかの実施形態では、廃棄物レセプタクルは、正しいフラップが開かれていない場合に廃棄物レセプタクルがベース160内に挿入されるのを防止するエクスクルーダを含んでもよい。一部の診断アッセイは、生体有害物質(例えば、感染性廃棄物、又は有害化学物質)を含む場合がある生体流体試料に対して実行され、したがって使用済みカートリッジとの接触は回避されるか又は最小限にされるべきであるため、そのような蓋は特に有用である。
【0036】
廃棄物レセプタクル60は、十分に充填された後、ベース160から取り外されてもよく、端フラップ63aが下向きに折り曲げられて、蓋全体が廃棄物レセプタクルの外縁開口に対して固定及び/又はシールされてもよく、それにより、シールされたレセプタクル内の内容が、廃棄物レセプタクルを空にする必要も内容を移送する必要もなしに廃棄され得る。いくつかの実施形態では、廃棄物レセプタクルはダイバータ62を含んでもよく、ダイバータ62は、任意の廃棄されたカートリッジを廃棄物レセプタクル内に導くための傾斜部分62a、62bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の開口を通して入れられた使用済みカートリッジが、反対端上の第2の開口を通して入れられた使用済みカートリッジとは別個に保持されることがダイバータによって可能になるように、廃棄物レセプタクルはディバイダを含んでもよく又は1若しくは複数の使い捨てバッグを使用してもよい。ダイバータ62は、使用済みカートリッジからのいかなる漏れ又は残留物も抑止防止するための、1又は複数の側に沿ったリップ又はリッジ62cをさらに含んでもよい。
【0037】
アッセイの実行においては、ハードウェア機能、アッセイ完全性を維持し、検査効率を向上するために、周囲温度を好適な範囲内に維持することが望ましく且つしばしば必要である。いくつかの実施形態では、モジュールのための周囲動作温度範囲は約10℃~約40℃である。試料処理及び診断アッセイを多数のモジュール(例えば100個以上)に対して同時に実行する場合、かなりの量の熱が発生する可能性がある。さらに、多くのそのような診断アッセイでは、流体試料中の標的分析物を増幅するために熱サイクリングが利用され、これは生成される熱の総量にさらに寄与する可能性がある。熱は上に向かうため、これにより最上ローのアレイ130と最下ローのアレイ130との間に実質的な温度差がもたらされ得る。したがって、アレイ130の各モジュールのための好適な周囲温度を維持するために、システム100は統合冷却システムを含んでもよい。
【0038】
図8Aは、アレイアセンブリ130の構造内に組み込まれた内部冷却システム150の設計を明らかにする、システム100の断面図を示し、これは
図9においてさらに詳細に示されている。アレイアセンブリ130は4つのレベルから構成されており、各レベルは主円形フレーム130a、130b、130c、130dを有する。各フレームは、モジュール30を各フレームに取り付けて固定するための特徴を含む。各レベルは、空気流に関して各レベルが他の各レベルから隔離又はバッフルされるようにさらに設計されている。前記フレームは、開いた中央カラムであってそれを通してフレームの長手方向垂直軸が延在する、開いた中央カラムを画定してもよく、開いた中央カラムは、フレームに取り付けられたモジュール30のそれぞれに隣接して開口を有する。冷却システム150は、この開いた中央カラムとモジュールに隣接する開口とを利用して、空気がアレイ支持体アセンブリ130を通るよう強制する。アレイ支持体アセンブリ130は外部の円筒状の透明外部シェル135で囲まれており、透明外部シェル135は、モジュール30を埃及びデブリから保護し、微小環境が確立されることを可能にし、アレイ支持体アセンブリの周りで正圧が維持されることを可能にする。いくつかの実施形態では、エレベータ120のそれぞれが外部シェル内に包み込まれていてもよく、外部シェルは、各エレベータの内側が円筒状シェル135の内部に対して開いているように、外部円筒状シェル135とマージされていてもよい。いくつかの実施形態では、エレベータは各レベルにおける空気流に対して開かれており、アレイアセンブリ内から熱空気を除去するための「煙突」として働く。
【0039】
1又は複数の冷却ファンが、冷空気をアレイアセンブリの底部から吸い込み、開いた中央カラムを通し、モジュール30のそれぞれを通して外向きに出した後、空気は外部シェル135の内側に沿って上向きに、及びエレベータカラムの中に、及びアレイアセンブリ135の頂部を通して外向きに移動する。いくつかの実施形態では、周囲環境と比較した正圧がアレイアセンブリ内で維持される。いくつかの実施形態では、開いた中央カラムを通した空気流量は毎秒約250立方フィート(毎秒約7.08立方メートル)である。空気流路は
図8Aにおいて破線矢印によって示されている。
図8Bに見ることができるように、単一のファン50aが開いた中央カラムの下に位置付けられており、1又は複数の補助ファン50bが、下位レベルを通した追加の空気流を提供するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、カラム内の第1の空気出口穴は第1のバッフル52の上にあるため、第1レベル130aは開いた中央カラムから空気を全く受け取らず、したがって第1レベル130aを通して空気を導くために補助ファン50bが使用されてもよい。いくつかの実施形態ではカラム内の第1の出口空気穴は第1のバッフル52の下にあり、したがって第1レベル130aは開いたカラムから空気を受け取ることが可能である(図示せず)。システム100は、制御された温度における空気供給をカラム冷却ファン50a及び補助ファン50bに送り込む冷空気取り入れ口50cを含んでもよい(図示せず)。冷空気取り入れ口50cは、取り入れファン50d、50eなどの1又は複数のファンと、空気フィルタ50fとを含んでもよい。いくつかの実施形態、例えば、50個~200個のモジュールを有するシステムでは、この構成により、空気取り入れ口が約70°F(約21℃)未満である限り、最適な温度範囲がアレイの微小環境内で維持されることが可能になる。したがって、約70°F(約21℃)の周囲温度を有する部屋において、部屋が一定した温度の空気供給を維持するための十分な温度制御(例えば空気調整)を有すると仮定すると、周囲の部屋(ambient room)に対して開かれた空気取り入れ口が、アレイのための好適な温度制御された環境を維持するために十分であり得る。
図8Cに示すものなどの他の実施形態では、周囲温度に関係なく十分な冷空気供給を確実にするために、外部冷空気供給源50gが冷空気取り入れ口50cに接続されていてもよい。そのような構成は、高温環境又は制御されていない環境において特に有用であり得る。
【0040】
加熱空気はアレイアセンブリの最上部分において蓄積する傾向があるため、冷却システム150はさらに、アセンブリを通して空気流56を導き制御するように適合されたバッフル51、52、53、54、55をローレベルの間に含んでもよい。最下のバッフル51は外部シェルの内側まで延在し、したがって空気流は開いた中央カラムを通して、及び第1のローのモジュールを通して導かれる。バッフル52、53、54は第1レベルの上の4つのローのそれぞれを分離し、したがって開いた中央を通して供給された冷空気は開いた中央カラムを介して各ローに直接供給される。いくつかの実施形態では、バッフル52、53、54はより小さく、外部シェル135まで完全には延在せず、より下のローを通過した加熱空気の流れが外部シェル135の内側に沿って一番上の開口に向けて上向きに移動することを可能にする。バッフル51~55のうちの任意ものは、バッフルを通した空気流の通過を容易にするために、1又は複数の穴を必要に応じて含んでもよい。いくつかの実施形態では、バッフルは、レベル層別化及びレベル間の空気管理のために構成されていてもよい。一番上のバッフル55は、開いた中央カラムを塞ぎ、しかし外部シェルの内側を通した空気流を可能にして、システム100の頂部に沿った1又は複数の開口からシステムを出るように空気流を導く。頂部ベント151は、縁の周りで空気が出ることを可能にしてもよく、エレベータ120上の頂部ベント152は、各エレベータが、アレイのレベルのそれぞれから加熱空気を吸い込む煙突として働くことを可能にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、システムは、アレイアセンブリの環境を、アレイのモジュール内での試料の処理に好適な温度範囲内に維持するように構成された温度コントローラを含む。いくつかの実施形態では、温度コントローラは、診断アッセイモジュール内でPCRを実行するのに好適なように、周囲環境の温度を約10℃~約40℃に維持するように構成される。好ましくは、温度コントローラは、40℃未満に温度を維持する。いくつかの実施形態では、好適な温度の範囲は、華氏約65度(摂氏約18度)~華氏約95度(摂氏約35度)である。いくつかの実施形態では、温度コントローラは、目標温度から、予め規定されたデルタ(例えば2度)以内に温度を維持する。いくつかの実施形態では、温度コントローラは、目標温度から1℃以内に温度を維持する。これにより分析の効率及び一貫性、並びに分析時間の予測可能性が向上する。いくつかの実施形態では、温度コントローラは、空気取り入れ口に空気を供給する外部空気冷却器の温度を調節するように構成される。いくつかの実施形態では、温度コントローラは、特にシステムが能力上限に近付くにつれて冷却を促進するために、必要に応じてファン速度を調節すること(例えば、空気流の速度を上げる/レベル間で空気流を調節する)によって、システムを通した空気流を調節するように構成される。いくつかの実施形態では、システムを通した空気流は、温度が最適なレベルを超過しているレベルに、より多くの空気が導かれるように、レベル間で調節されてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、開いた中央カラムからアレイの様々なローのそれぞれに空気を導くことが可能なダイバータをさらに含む。例えば、ダイバータは、アレイの4つのローのそれぞれが、開いた中央カラムからの空気流の約25%をそれぞれ受け取るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ダイバータは、開いた中央カラム内の空気流の全てがアレイ内の特定のローに向けられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アレイの各ローは、開いた中央カラム内の空気流のうち実質的に何も受け取らないこと(0%)から、開いた中央カラムからの空気流のうちの実質的に全てを受け取ること(100%)までのいずれか、又は中間のいずれかとなってもよい。いくつかの実施形態では、特定のレベルに割り当てられる空気流のパーセンテージは、上向き方向における各レベルと共に増加する。これにより、蓄積される熱の量に比例してレベルが冷却されることが可能になる。例えば、例示的な4レベル構成において、最も低いレベルは空気流の0%~10%を受け取ってもよく、次に高いレベルは10%~20%を受け取ってもよく、次に高いレベルでは20%~50%が受け取られ、最も高いレベルは40%~80%を受け取る。レベル間での空気流の様々なその他の割り当てが実現されてもよいということが理解される。向上した温度制御を促進するために、温度コントローラは、アレイ内の1又は複数の位置に配置された1又は複数の温度センサ(例えば熱電対)と通信可能に結合されていてもよい。
【0042】
図9は、アレイアセンブリを画定する4つの円形フレームを示す断面図を示す。円形フレームのそれぞれは、アセンブリ内に回転可能に結合されており、且つコントローラによって制御されるドライバ又は駆動機構と動作可能に結合されており、コントローラの制御は、アレイの各ローが増分的に回転するよう各フレームが回転可能に駆動され得るように行われる。一般に、この構造体は、隣接するフレームが反対方向において増分的に回転するように構成及び制御される(例えば、130aが時計回りに回転し、130bが反時計回りに回転し、130cが時計回りに回転し、130dが反時計回りに回転するか、又はその逆)。しかし、様々なその他の構成及び運動方式が本発明の範囲内にあることが理解される。中央カラムを通して延在する電力及び通信ケーブルであって、回転ユニオンを通した電力及びデータの通過を可能にするスリップリングを通して各回転フレームの間で延在する、電力及び通信ケーブルを通して、電力及び通信が各フレーム内のモジュール30のそれぞれに供給される。いくつかの実施形態では、スリップリングは、中央カラムからアレイアセンブリのレベルのそれぞれの中への空気の通過をさらに容易にする穴を含む。したがって、アレイ130のモジュール30は、アレイの差分回転運動の間、中央コントロールの共通電源及び通信ユニットに電気的に及び通信可能に結合されたままとなる。
【0043】
図10は、単一のシステム内に統合された2つの、本明細書中に記載したものと実質的に同様のシステム100’を含む、超高スループットハンドリングシステム200を示す実施形態を示す。システムは、先に説明した実施形態と同じ又は同様の構造によって、2つの円柱状アレイの間に延在する修正されたカウンタトップ114などの軽微な修正を伴って画定されてもよい。いくつかの実施形態では、2つのアレイは、両方のアレイの周りを循環する楕円形の形状であってもよい単一のロードトラックを共有する。そのような構成により、極めて大量の診断アッセイカートリッジのストリームを処理するための、速度及び効率におけるいっそうさらなる向上が提供される。
【0044】
図11及び
図12は、本発明による高スループットシステムに診断アッセイカートリッジをロード及びアンロードする方法を示す。
図11は、高スループットハンドリングシステムの円形アレイ内の利用可能な診断アッセイモジュール内に診断アッセイカートリッジを自動的にロードする方法を示す。
図12は、処理が完了した後で、円形アレイ内の診断アッセイモジュールから使用済み診断アッセイカートリッジをアンロードし廃棄する方法を示す。
【0045】
図11に示すように、そのような方法は、診断アッセイモジュールのアレイを有する高スループットハンドリングシステムのロードトラック内の、分析される診断アッセイカートリッジを感知する工程を含んでもよい。感知することは、カートリッジの近接を検出すること、及び/又はカートリッジから情報(例えば、ID、アッセイタイプなど)を読み取ることを含んでもよい。次に、システムはアレイ内へのカートリッジのロードを促進してもよい。一般に、ロードすることは、カートリッジをローダを用いて把持し、利用可能なモジュール内にロードすることを含む。方法は、アレイ内の空の診断アッセイモジュールであって試料処理を実行するために利用可能な診断アッセイモジュールを、モジュールとの通信に基づいて識別することをさらに含んでもよい。所望により、方法は、好ましい診断モジュールであってその中に試料をロードするための好ましい診断モジュールを、複数の利用可能なモジュールから判定することを含んでもよい。好ましいモジュールの判定は、近接、温度、負荷バランス、熱バランス、レベル間での若しくは各レベル内での分散、アッセイの時間長、又はこれらの任意の組み合わせ、又は任意の所望の要因、のうちの任意のものに基づいてもよい。ローダは次に、アレイ内の識別されたモジュールにローダが隣接するまで、カートリッジをアレイに移動し、識別された又は好ましいモジュールの空のベイ内にカートリッジをロードする。
【0046】
図12に示すように、そのような方法は、高スループットハンドリングシステムのアレイ内の試料処理が完了した診断アッセイモジュールから通信を受信する工程を含んでもよい。次に、方法は、アレイ内のモジュールの位置を識別し、その後、ローダ/アンローダを、識別されたモジュールに隣接するまでアレイに相対的に移動することを伴ってもよい。これは、各カラムがローダのすぐ横に移動された場合に、識別されたモジュールをローダがインタセプトできるように、アレイが適切な位置に移動されるまで待機することを含んでもよい。次に、使用済みカートリッジがモジュールから取り外され、識別されたモジュールから離れるように移動され、廃棄物レセプタクル内に解放又は廃棄される。
【0047】
図13は、従来の高スループットシステム(Cepheid Infinity-80、Roche Cobas 4800、BD Viper XTR、Hologic Panther、及びAbbott M2000)と比較した、
図1Aの100モジュールシステム(Omega 100)及び
図10の200モジュールシステム(Omega 200)上の試料のスループットを示す。Omegaシステムのためのスループットデータは、Omega 100及びOmega 200システムのシミュレーションモデルに基づいて、且つ前述の市販システムのそれぞれからの利用可能なデータを利用してモデル化された。市販システムのデータは、ジャン(Jang)らによる研究(性感染症(Sexuall Transmitted Disease)(2016年6月)Vol43(6)、377~381ページ)から得られた。このデータは以下の表1にも示されている。図からわかるように、Omegaシステムを用いて多数の試料を処理するために必要な時間は、示されている他の市販システムのいずれよりもかなり短く、例えば、Omega 200システムにおける192個の試料の分析は、他の市販システムによって必要とされる時間の半分未満で実行可能である。
【表1】
【0048】
図14A~
図14Dは、本発明の態様による高スループット処理システムの代替の実施形態を示す。
図14Aは、モジュール301の円形アレイと、ロードトラック310とを含むシステム300を示す。他の実施形態と同様に、ロードトラック310は、診断アッセイカートリッジをローダまで移送する再循環トラックであり、しかしトラック310は、トラック内で循環する移動可能カートリッジキャリア311(例えば、キャリッジ又は「ボート」)を含む。いくつかの実施形態では、各カートリッジ支持体がロードトラック内で独立に移動可能であってもよく、且つ必要に応じて取り外し及び交換されてもよい。各キャリア311は、キャリア内でカートリッジを解放可能に支持するための、輪郭形成されたリセス又はその他の好適な特徴などの支持特徴を含んでもよい。
図14Bは、モジュール401の六角形アレイと、同様に成形されたロードトラック410とを含むシステム400を示す。ロードトラック410は、カートリッジを六角形アレイ内にロードするためのローダまで移送する、システム300において説明したものと同様のカートリッジキャリア411を含む。
図14Cは、モジュール501の円形アレイと、アレイの各側上の一対のローダまでカートリッジを直接移送する一対の直線ロードトラック510とを含むシステム500を示す。そのような直線トラックは、本明細書中に記載したロードトラックの、又は当業者に知られている任意の好適な移送機構の、任意の特徴を含んでもよい。
図14Dは、モジュールの2つの円形アレイと、モジュールアレイのいずれかまでカートリッジを移送するダンベル形状のロードトラック610とを含むシステム600を示す。図からわかるように、ロードトラック610は、モジュールアレイのいずれかと関連付けられたローダのうちの任意のものまでカートリッジを移送してもよい。そのようなアプローチにより、カートリッジがロードトラック610上に配置されているかどうかに関係なく、カートリッジが複数のアレイ間で分散されることが可能になる。あるいは、カートリッジは、所望に応じて特定のアレイに割り当てられてもよい。この実施形態では、ロードトラック610は、システム300において上述したものなどのキャリア611を利用する。ロードトラックは、本明細書中に記載した任意のロードトラック特徴を含んでもよく、又は任意の好適な代替の移送機構を使用してもよい、ということが理解される。モジュールアレイ及びロードトラックの特定の形状について説明したが、本明細書中に記載した原理に従った様々なその他の形状及び配置が利用されてもよいということが理解される。
【0049】
前述の明細書において、本発明についてその特定の実施形態を参照して説明したが、当業者は本発明がそれに限定されないことを認識するであろう。上述の発明の様々な特徴、実施形態、及び態様は個別に又は共同で使用されてもよい。さらに、本発明は、本明細書中に記載したものを超える任意の数の環境及び用途において、本明細書のより広範な精神及び範囲から逸脱することなく利用されてもよい。本明細書及び図面は、したがって、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。本明細書中で使用される用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は、オープンエンドな技術用語として読まれることを特に意図するものであることが認識される。