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特許7434699測量支援システム、測量情報表示方法、及び測量情報表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】測量支援システム、測量情報表示方法、及び測量情報表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/00 104Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020042622
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021143929
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 基広
(72)【発明者】
【氏名】西 義弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮介
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156139(JP,A)
【文献】特開2009-097297(JP,A)
【文献】特開平10-009856(JP,A)
【文献】特開2017-037016(JP,A)
【文献】特開平10-332362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知である位置座標上に設置された測量装置と、被測量装置と、携帯表示端末とを備えた測量支援システムであって、
前記測量装置と離れて設置される前記被測量装置の位置情報である3次元座標を測量する前記測量装置の測量部と、
前記被測量装置の前記位置情報を前記携帯表示端末へ送信する前記測量装置の測量通信部と、
前記位置情報を受信する前記携帯表示端末の通信部と、
前記携帯表示端末の記憶部と、
前記携帯表示端末の端末記憶部に記憶されている路線の平面図と、前記平面図に含まれる前記路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図、を含む設計情報を取得する前記携帯表示端末の設計情報取得部と、
前記携帯表示端末の片手での保持により視認することができる画面部と、
前記画面部に、前記設計情報に含まれる前記平面図と、前記平面図に含まれる任意の点における横断面図を同時に表示する前記携帯表示端末の設計情報表示部と、
前記通信部が受信した前記位置情報に基づき、前記被測量装置の前記平面図及び前記横断面図を表示する前記画面上の位置を算出し、前記画面部に表示される前記平面図上に前記被測量装置の水平方向の位置を重ねて表示し、かつ横断面図上に前記被測量装置の鉛直方向の高さ、及び前記路線の中心線を基準とした左右方向の位置を重ねて表示する前記携帯表示端末の位置情報表示部、を備える測量支援システム。
【請求項2】
前記設計情報は前記路線に含まれる複数の構成点データをさらに含み、
前記位置情報表示部は、前記横断面図上の各構成点の位置と、前記被測量装置の位置情報に基づき、任意の構成点と前記被測量装置の位置との、前記横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、前記画面部に表示する、請求項1に記載の測量支援システム。
【請求項3】
前記設計情報は前記路線に含まれる複数の構成点データをさらに含み、
前記位置情報表示部は、前記横断面図上の各構成点の位置と、前記被測量装置の位置情報に基づき、任意の2つの構成点を結んだ直線と、前記被測量装置の位置との、前記横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、前記画面部に表示する、請求項1に記載の測量支援システム。
【請求項4】
前記位置情報表示部は、前記被測量装置の位置情報に基づき、前記平面図上において前記被測量装置の位置から路線に垂線を下し、前記垂線と前記路線の交点の座標を特定し、前記路線におけるその交点の累加距離と、各横断面図の累加距離とを比較し、前記複数の各横断面図データの中から、前記累加距離が最も近い横断面図データを選択し、前記被測量装置と近い横断面図として表示し、前記横断面図上に前記被測量装置の位置を表示する、請求項1から3のいずれか一項に記載の測量支援システム。
【請求項5】
前記位置情報表示部は、地面に設置された前記被測量装置の位置情報に基づき、前記横断面図上に、前記被測量装置の鉛直方向の位置に対応する水平線を、地面の仮の現況線として表示する、請求項1から4のいずれか一項に記載の測量支援システム。
【請求項6】
前記位置情報表示部は、前記設計情報に含まれる法面に基づき、前記地面の仮の現況線と交わる法面の仮想延長線を前記横断面図上に表示する、請求項5に記載の測量支援システム。
【請求項7】
前記携帯表示端末は、入力部を備え、
前記入力部の指示に応じて前記画面部に同時に表示された平面図と横断面図の相対位置を変更可能である請求項1から6のいずれか一項に記載の測量支援システム。
【請求項8】
測量情報表示方法であって、
既知である位置座標上に設置された測量装置の測量部が、前記測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、
前記測量装置の測量通信部が、前記被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、
前記携帯表示端末の設計情報取得部が、前記携帯表示端末の端末記憶部に記憶されている路線の平面図と、前記平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、
前記携帯表示端末の設計情報表示部が、前記携帯表示端末の片手での保持により視認することができる画面部に、前記設計情報に含まれる前記路線の平面図と、前記平面図に含まれる任意の点における横断面図と、を同時に表示する設計情報表示ステップと、
前記携帯表示端末の位置情報同時表示部が、前記通信部が受信した位置情報に基づき、前記被測量装置の前記平面図及び前記横断面図を表示する前記画面上の位置を算出し、前記画面部に表示される前記路線の平面図上に前記被測量装置の水平方向の位置を重ねて表示し、かつ同時に横断面図上に前記被測量装置の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を重ねて表示する位置情報表示ステップ、を備える測量情報表示方法。
【請求項9】
測量情報表示プログラムであって、
既知である位置座標上に設置された測量装置の測量部が、前記測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、
前記測量装置の測量通信部が、前記被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、
前記携帯表示端末の設計情報取得部が、前記携帯表示端末の端末記憶部に記憶されている路線の平面図と、前記平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、
前記携帯表示端末の設計情報表示部が、前記携帯表示端末の片手での保持により視認することができる画面部に、前記設計情報に含まれる前記路線の平面図と、前記平面図に含まれる任意の点における横断面図と、を同時に表示する設計情報表示ステップと、
前記携帯表示端末の位置情報同時表示部が、前記通信部が受信した位置情報に基づき、前記被測量装置の前記平面図及び前記横断面図を表示する前記画面上の位置を算出し、前記画面部に表示される前記路線の平面図上に前記被測量装置の水平方向の位置を重ねて表示し、かつ同時に横断面図上に前記被測量装置の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を重ねて表示する位置情報表示ステップ、をコンピュータに実施させるための測量情報表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量支援システム、測量情報表示方法、及び測量情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線等の工事においては、施工計画図が作成され、切土、盛土の土量を考慮しつつ施工計画が立てられる。また、施工計画を作成するにあたり、施工計画の基準とするために工事箇所の現状が測量される。路線測量においては、縦断測量、横断測量が行われる。縦断測量は路線の中心線に沿って行う水準測量であり、横断測量は中心線(路線方向)に直交する方向の水準測量である。
【0003】
従来、丁張設置などの作業現場において携帯して、平面線形データ、縦断面線形データ、横断面線形データ、設計データを画面部により確認することができる丁張設定装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4210167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す丁張設定装置では、あくまで予め記憶された設計データを現場で柔軟に修正して示すのみで、現場の状況や、設計データと照らし合わせて測量状況を三次元的に同時に確認できるものではなかった。
【0006】
以上により、本発明の目的は、現場の状況や、設計データと照らし合わせて測量状況を三次元的に同時に確認できる測量支援システム、測量情報表示方法、及び測量情報表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る測量支援システムでは、測量装置と、被測量装置と、携帯表示端末とを備えた測量支援システムであって、測量装置と離れて設置される被測量装置の位置情報である3次元座標を測量する測量装置の測量部と、被測量装置の位置情報を携帯表示端末へ送信する測量装置の測量通信部と、位置情報を受信する携帯表示端末の通信部と、路線の平面図と、平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する携帯表示端末の設計情報取得部と、携帯表示端末の画面部と、画面部に、設計情報に含まれる路線の平面図と、平面図に含まれる任意の点における横断面図を同時に表示する携帯表示端末の設計情報表示部と、通信部が受信した位置情報に基づき、画面部に表示される路線の平面図上に被測量装置の水平方向の位置を表示し、かつ横断面図上に被測量装置の鉛直方向の高さ及び路線の中心線を基準とした左右方向の位置を表示する携帯表示端末の位置情報表示部、を備える。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、測量情報表示方法であって、設置された測量装置の測量部が、測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、測量装置の測量通信部が、被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、携帯表示端末の設計情報取得部が、路線の平面図と、平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、携帯表示端末の設計情報表示部が、携帯表示端末の画面部に、設計情報に含まれる路線の平面図と、平面図に含まれる任意の点における横断面図と、を同時に表示する設計情報表示ステップと、携帯表示端末の位置情報同時表示部が、通信部が受信した位置情報に基づき、画面部に表示される路線の平面図上に被測量装置の水平方向の位置を表示し、かつ同時に横断面図上に被測量装置の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を表示する位置情報表示ステップ、を備える。
【0009】
また、上記した目的を達成するために、測量情報表示プログラムであって、設置された測量装置の測量部が、測量装置と離れて位置する被測量装置の位置情報として3次元座標を測量する測量ステップと、測量装置の測量通信部が、被測量装置の位置情報を携帯表示端末の通信部へ送信する位置情報送信ステップと、携帯表示端末の設計情報取得部が、路線の平面図と、平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する設計情報取得ステップと、携帯表示端末の設計情報表示部が、携帯表示端末の画面部に、設計情報に含まれる路線の平面図と、平面図に含まれる任意の構成点における横断面図と、を同時に表示する設計情報表示ステップと、携帯表示端末の位置情報同時表示部が、通信部が受信した位置情報に基づき、画面部に表示される路線の平面図上に被測量装置の水平方向の位置を表示し、かつ同時に横断面図上に被測量装置の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を表示する位置情報表示ステップ、をコンピュータに実施させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平面図と横断面図の2つの図面を表示することで、現場の作業者が、位置や、測量データと照らし合わせて設計データを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の測量支援システムの構成図である。
図2】測量の様子を示す模式図である。
図3】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート図である。
図4】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
図5】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
図6】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート図である。
図7】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
図8】本実施形態の処理の流れを示すフローチャート図である。
図9】本実施形態にかかる携帯表示端末に表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1には本発明の一実施形態に係る測量支援システムの構成図を、図2には測量支援システムを用いた測量の様子を表す模式図を示している。
【0013】
図1、2に示すように本実施形態の測量支援システム1は、測量装置200、携帯表示端末100、被測量装置300を有している。
【0014】
測量装置200の一実施例は、例えば、既知である位置座標上に設けられているトータルステーション(TS)等光波方式による測量機器である。「TS等光波方式」とは、TSに加え、自動追尾機能を有するTSと同等の測定ができるものでかつ望遠鏡を搭載しない光波方式を用いる測定機器等を含むものである。測量装置200は、ターゲットである被測量装置300を自動追尾して、ターゲットが設けられた所定位置を測量することが可能である。被測量装置300は、測量装置200より放射された光を再び測量装置200へ反射する光学素子を備えたものであり、光学素子はいわゆる再帰反射プリズムである。また、被測量装置300は、再帰反射プリズムを備えた既知の長さの測量用ポールであってよい。
【0015】
測量装置200は、三脚に支持された水平方向に回転駆動可能な水平回転駆動部と、水平回転駆動部上にて鉛直方向に回転可能な鉛直回転駆動部を介して望遠鏡部が設けられている。図示しないが、測量装置200には、測角部212として、水平方向の回転角を検出する水平角検出部と、には鉛直方向の回転角を検出する鉛直角検出部が設けられている。これら水平角検出部及び鉛直角検出部により、望遠鏡部で視準している方向の鉛直角及び水平角を測角可能である。
【0016】
さらに、望遠鏡部には、測距部211として被測量装置300までの斜距離を測定する構成として、例えば光波距離計が設けられている。便宜上、これら測角部212と測距部211をあわせて測量部210と呼ぶ。また、図示しないが、被測量装置300を追尾するための追尾光を照射及び受光可能な追尾部が設けられている。
【0017】
また、測量装置200は、測量制御部240、追尾制御部250、測量記憶部220、測量通信部230を有している。
【0018】
測量制御部240は、測量装置200による測量を制御する機能を有している。具体的には、自動又は手動で被測量装置300を視準し、上述した測角部212(水平角検出部、鉛直角検出部)、測距部211により、測量装置200と被測量装置300との水平角、鉛直角、斜距離を検出する。ここで、被測量装置300の一例である再帰反射プリズムは棒状のポールに取り付けられ、プリズムからポールの末端までの距離は既知であることから、測量制御部240は測角部212、測距部211により検出された水平角、鉛直角、斜距離を補正して、ポールの末端位置(上端位置、又は下端位置)を測量結果として算出する。
【0019】
追尾制御部250は、追尾部により追尾光を照射し、被測量装置300により反射された追尾光を受光し続けるよう水平回転駆動部及び鉛直回転駆動部の駆動を制御することで被測量装置300を追尾する。
【0020】
測量記憶部220は、予め上述の測量制御や追尾制御等の各種プログラムや、切土、盛土を行う土地のデータ(標高等)や設計データ等が記憶されている。
【0021】
測量通信部230は、携帯表示端末100等の外部機器と通信可能な部分であり、例えば無線通信手段である。
【0022】
また、測量装置200の他の実施例はGNSS測量装置である。この場合、被測量装置300としてGNSS受信装置を用いて測量を行う。
【0023】
携帯表示端末100は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例として、PDA(Personal Digital Assistant)等)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、等を含む。汎用の端末にアプリケーションソフトウェアをインストールすることで本実施形態にかかる携帯表示端末として用いることができる。これらの携帯表示端末100は、画面部150を備え、作業現場に携帯して容易に持ち運びできる。また、ハンズフリー又は片手での保持により画面部150を視認することができる。また、電池等の内部電源を備え、外部電源を必要とすることなく一定時間動作することができる。
【0024】
携帯表示端末100は、端末通信部130、端末記憶部120、端末処理部110、入力部140、画面部150を有している。
【0025】
端末処理部110は、図示しないが端末記憶部120に記憶されるプログラムに含まれるコードまたは命令によって実現する機能、および/または、方法を実行する。端末処理部110は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、図示しないが、端末記憶部120から読み出したプログラムを一時的に記憶し、端末処理部110に対して作業領域を提供する主記憶部を備えてもよい。
【0026】
端末通信部130は、測量装置200の測量通信部230と通信可能であり、測量装置200により被測量装置300を測量した測量結果又は測量制御部240によって算出された位置情報(ポール先端までの水平角、鉛直角、斜距離)等を受信可能である。測量結果に基づく位置情報の演算は、測量装置200側で行ってもよく、携帯表示端末100側で行ってもよい。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0027】
入力部140は、ユーザすなわち作業者からの入力を受け付けて、その入力に係る情報を端末処理部110に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。例えば、ボタン等によるハードウェア入力手段に加え、タッチパネル等の表示部上に表示されたソフトウェア入力手段、リモートコントローラ、マイク等の音声入力手段を含む。
【0028】
画面部150は、画面を表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。例えば、液晶やOLED等の平面ディスプレイ、曲面ディスプレイ、折畳可能なフォルダブル端末に設けられた折畳画面、ヘッドマウントディスプレイ、又は小型プロジェクタを用いた物質への投影により表示可能な装置を含む。
【0029】
端末記憶部120は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。その他、端末通信部130にて受信した測量結果を記憶可能である。例えば、端末記憶部120には、切土又は盛土を行う土地のデータ(標高等)や設計データ等が記憶されている。記憶部15は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0030】
端末記憶部120に記憶された情報と、アプリケーションソフトウェアのプログラムによって実現される機能について説明する。
【0031】
設計情報は、路線等の工事において必要な路線の設計図を含む情報である。設計図には、路線の線系図データ等が含まれている。線系図データには、縦断面図データ、横断面図データ、平面図データ、及び各図における構成点データ、任意の点のデータ等が含まれている。縦断面図データは、例えば道路中心線に沿った縦断面図をあらわすデータである。横断面図データは、例えば道路中心線に対して直角な方向の断面図をあらわすデータである。平面図データは、例えば道路を真上から見下ろした状態の平面図をあらわすデータである。構成点データは例えば現場において目印となる杭を打つ点を示すデータである。任意の点のデータは、路線上の任意の点であり、例えば任意の構成点から所定の距離追加した点である。道路中心線に沿って配置される杭を中心杭という。特に、路線の開始地点の中心杭をBP、終了地点の中心杭をEPという。道路の幅方向の境界位置を示す杭を幅杭という。なお、中心杭と幅杭の間に補助的な構成点を設けられることもある。
【0032】
設計情報取得部123は、端末記憶部120、又は携帯表示端末100の外部の記憶装置等から、路線の平面図と、平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する機能を有する。
【0033】
設計情報表示部121は、画面部150に、設計情報に含まれる路線の平面図と、平面図に含まれる任意の点における横断面図を同時に表示する機能を有する。
【0034】
位置情報表示部122は、端末通信部130が受信した位置情報、又は測量結果に基づき算出された位置情報に基づき、画面部150に表示される路線の平面図上に被測量装置300の水平方向の位置を表示し、かつ同時に横断面図上に被測量装置300の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を表示する機能を有する。
【0035】
また、位置情報表示部122は、横断面図上の各構成点の位置と、被測量装置300の位置情報に基づき、任意の構成点と被測量装置300の位置との、横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、画面部150に表示する機能を有する。
【0036】
また、位置情報表示部122は、横断面図上の各構成点の位置と、被測量装置300の位置情報に基づき、任意の2つの構成点を結んだ直線と、被測量装置300の位置との、横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、画面部150に表示する機能を有する。
【0037】
また、位置情報表示部122は、被測量装置300の位置情報に基づき、被測量装置300と近い横断面図を表示する機能を有する。
【0038】
また、位置情報表示部122は、被測量装置300の位置情報に基づき、横断面図上に、被測量装置300の鉛直方向の位置に対応する水平線を、地面の仮の現況線として表示する機能を有する。
【0039】
また、位置情報表示部122は、設計情報に基づき、地面の仮の現況線と交わる法面の仮想延長線を横断面図上に表示する機能を有する。
【0040】
また、位置情報表示部122は、入力部の指示に応じて画面部に同時に表示された平面図と横断面図の相対位置を変更可能である機能を有する。
【0041】
図3に本実施形態の第1の表示方法を示すフローチャートを示す。第1の表示方法は、例えば路線の測量における、横断観測、路線観測といった作業を支援することができる表示方法である。
【0042】
まず、ステップS101では、設計情報取得部123は、ユーザが入力部140を用いて行った指示に応じて、選択された道路の、例えば路線の平面図と、横断面図の2つの図面のデータを取得する。
【0043】
ステップS102において、設計情報表示部121は、設計情報取得部123が取得した、平面図データに基づく平面図を、画面部150に表示する。
【0044】
ステップS103において、設計情報表示部121は、設計情報取得部123が取得した、横断面図データに基づく横断面図を、画面部150に表示する。
【0045】
ステップS104において、位置情報取得部124は、端末通信部130が取得した被測量装置300の位置情報、又は端末通信部130が取得した測量結果に基づき端末処理部110により算出した位置情報を取得する。
【0046】
ステップS105において、位置情報表示部122は、位置情報取得部124が取得した被測量装置300の位置情報に基づき、設計された画面上の位置を算出し、画面部150に表示された平面図、横断面図のそれぞれの図上に重ねて表示する。
【0047】
図4は、携帯表示端末100の画面部150に表示された平面図、横断面図、および被測量装置300の位置を示すマーキングを含む画面の一例である。
【0048】
この図において、画面の中央に表示されているのが、平面図をあらわす平面図画像G1である。平面図画像G1は、いわゆる地図表示のように、東西南北を示す方位表示DC、縮尺を示す縮尺表示SCとともに表示されている。また、画面部105には、各測量作業を補助するための機能アイコンFI1、FI2…、が表示されている。
【0049】
平面図画像G1上には、設計された路線のデータが示されており、この図においては路線の中心線が曲線で示されている。また、中心線上の構成点として構成点CP1(No.1)、構成点CP2(No.2)、構成点CP3(No.3)が示されている。
【0050】
平面図画像G1上には、被測量装置300の平面図上の位置を示すマーキングM1が示されている。
【0051】
また、画面部150には、平面図画像G1と並んで、横断面図画像G2が表示されている。横断面図画像G2は、設計線DLによって設計された横断面図を示しており、G2の中心には横断面図の中心線CLが示されている。
【0052】
平面図画像G1上には、同時に表示される横断面図画像G2がいずれの位置に対応する横断面図であるか示すためのマーキングSMが重ねて表示されている。
【0053】
そして、横断面図画像G2上には、この図上における被測量装置300の位置を示すマーキングM2が重ねて表示されている。
【0054】
また、画面部150には、マーキングM1、M2との各設計点との差異をあらわす測量情報表示SID1、SID2…、が表示されており、例えばマーキングM2と横断面図上の中心線CLとの距離(センター離れ、左右離れともいう)や、マーキングM2と設計線DLの高さ方向の距離(鉛直距離)、マーキングM2とこの断面図の路線の縦方向の距離(前後離れ)等が算出されて表示されている。
【0055】
また、位置情報表示部122のさらなる機能として、この横断面図画像G2の表示には、用途により以下の機能を付加することもできる。図5は、図4に示した画面例に加えて、横断面図画像G2上にさらなる表示機能を付加したものの画面の一例である。
【0056】
この図において、横断面図画像G2上には、画面内に存在するいずれかの構成点を選択し、その構成点を中心にして横断面図画像G2を表示する、構成点選択表示SDが示されている。例えば、画面部150および入力部140がタッチパネルディスプレイである場合に、ユーザは指などでこの画面に表示された構成点選択表示SDをタップすることで、中心に据える構成点を左右に選択し、その構成点を左右の中心に据えた横断面図画像G2を表示することができる。
【0057】
さらに、画面部150には、マーキングM2と、中心に据えた構成点との差異をあらわす測量情報表示SID1、SID2…、が表示されており、例えばマーキングM2と横断面図上の選択された構成点との左右距離(水平距離)や、マーキングM2と選択された構成点との高さ方向の距離(鉛直距離)、マーキングM2とこの構成点の路線の縦方向の距離(断面距離)等が算出されて表示されている。
【0058】
また、測量情報表示SID1、SID2…、は、横断面図上の選択された任意の2つの構成点を結んだ直線と、、被測量装置の位置との左右距離(水平距離)、高さ方向の距離(鉛直距離)、路線の縦方向の距離(断面距離)等を算出して表示することもできる。
【0059】
そのほか、横断面図画像G2は、入力部の指示に応じて前記画面部に同時に表示された平面図と横断面図の相対位置を変更可能であり、具体的には、タッチパネル操作により枠の中で自由に位置を変えることができる。また、横断面図画像G2の表示/非表示を切り替えることができる。
【0060】
図5に本実施形態の第2の表示方法を示すフローチャートを示す。なお、このフローチャートにおいては、図3に示した第1の表示方法と異なる部分のみを示す。第2の表示方法は、例えば路線の測量における、丁張設置といった作業を支援することができる表示方法である。
【0061】
まず、ステップS201が開始される以前に、画面部150に平面図画像G1と横断面図画像G2が描画され、その上に被測量装置300の位置を示すマーキングM1、M2が重ねて表示されている。
【0062】
ステップS201において、位置情報取得部124は、被測量装置300の位置情報を取得する。
【0063】
ステップS202において、位置情報表示部122は、位置情報取得部124が取得した被測量装置300の位置情報に基づき、横断面図画像G2上に、仮の地面の現況線VGLを描画する。仮の地面の現況線VGLは、例えば被測量装置300の高さ位置に基づき、その高さに位置する水平線として描画することができる。
【0064】
ステップS203において、位置情報表示部122は、設計された法面の線SLの傾きに基づき、仮にこの法面を延長した場合の仮想の延長線ESLを横断面図画像G2上に描画する。設計情報により、この法面の法肩、法尻の3次元座標、及び斜面の傾きは既知であるので、例えばそれらの情報に基づき、仮想の延長線ESLを描画することができる。
【0065】
図7は、第2の表示方法にかかる携帯表示端末100の画面部150に表示された平面図、横断面図、および被測量装置300の位置を示すマーキングを含む画面の一例である。
【0066】
この図において、横断面図画像G2上に、設計された線形図データが描画されており、被測量装置300の位置がマーキングM2として表示されている。マーキングM2の高さの位置には、地面の仮の現況線VGLが水平線のように描画されている。また、設計された線形図データのうち、法面の斜面の線をあらわす斜線SLが描画されていて、その斜線を上空方向に延長した場合の仮想の延長線ESLが描画されている。
【0067】
このように、横断面図画像G2上に、仮想の地面の現況線VGLと、法面の仮想の延長線ESLを描画することで、この交点が示される。この交点は、丁張を設置する目安となるので、マーキングM2の位置を見ながら移動し、交点に杭を打つことで丁張を設置することが容易になる。
【0068】
図8に本実施形態の第3の表示方法を示すフローチャートを示す。なお、このフローチャートにおいては、図3に示した第1の表示方法と異なる部分のみを示す。第3の表示方法は、例えば路線の測量における、路線設置、管理断面出来形観測といった作業を支援することができる表示方法である。
【0069】
まず、ステップS201が開始される以前に、画面部150に平面図画像G1と横断面図画像G2が描画され、その上に被測量装置300の位置を示すマーキングM1、M2が重ねて表示されている。
【0070】
ステップS301において、位置情報取得部124は、被測量装置300の位置情報を取得する。
【0071】
ステップS302において、位置情報表示部122は、設計情報に含まれる線形図データと構成点のデータに応じて、どの順で構成点の測量を行うかの誘導経路を設定する。
【0072】
ステップS303において、設定された誘導経路と、被測量装置300の位置情報に応じて、平面図上で被測量装置300の位置と近い構成点を含む横断面図画像G2を表示し、横断面図画像G2上に被測量装置300の位置を自動的に切り替えて表示する。より具体的には、例えば、平面図上において被測量装置300の位置から路線に垂線を下し、その垂線と路線の交点の座標を特定する。そして、路線におけるその交点の累加距離と、各横断面図の累加距離とを比較し、複数の各横断面図データの中から、累加距離が最も近い横断面データを選択し、その横断面図を表示する。または、平面図上において被測量装置300の位置から路線に垂線を下し、その垂線と路線の交点の座標を含む横断面図データを、前後の横断面図データに基づいて計算により作成し、その横断面図を表示する。
【0073】
図9は、第3の表示方法にかかる携帯表示端末100の画面部150に表示された平面図、横断面図、および被測量装置300の位置を示すマーキングを含む画面の一例である。
【0074】
この図において、平面図画像G1上に、被測量装置300の位置を示すマーキングM1とともに、次に測量を行うターゲットとして、平面図画像G1上におけるマーキングM1と近い構成点NP1が表示され、このNP1を含む横断面図が選択されている。選択された横断面図は、横断面図画像G2として表示され、この横断面図画像G2上に、NP1に対応する構成点NP2が示されている。なお、このような自動断面切替機能は、各種機能アイコンを操作し、On/Offを切り替えることにより、機能の使用を選択することができる。Offとして機能の使用を中止している場合は、ユーザは入力部140を用いて、任意の横断面図を指定して画面部150に表示することができる
【0075】
このように、本実施形態に係る測量支援システムでは、測量装置200と、被測量装置300と、携帯表示端末100とを備え、測量装置200と離れて設置される被測量装置300の位置情報である3次元座標を測量する測量装置200の測量部210と、被測量装置300の位置情報を携帯表示端末100へ送信する測量装置200の測量通信部230と、位置情報を受信する携帯表示端末100の端末通信部130と、路線の平面図と、平面図に含まれる路線の中心線上にある任意の点を含む横断面図を含む設計情報を取得する携帯表示端末100の設計情報取得部123と、携帯表示端末100の画面部150と、画面部150に、設計情報に含まれる路線の平面図と、同時に平面図に含まれる任意の点における横断面図を表示する携帯表示端末100の設計情報表示部121と、通信部が受信した位置情報に基づき、画面部150に表示される路線の平面図上に被測量装置の水平方向の位置を表示し、かつ同時に横断面図上に被測量装置300の鉛直方向の高さ及び中心線を基準とした左右方向の位置を表示する携帯表示端末100の位置情報表示部122により、作業者が、測量を行いながら、現場の状況や、設計データと照らし合わせて測量状況を三次元的に同時に確認できる。
【0076】
また、位置情報表示部122は、横断面図上の各構成点の位置と、被測量装置300の位置情報に基づき、任意の構成点と被測量装置300の位置との、横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、画面部150に表示することにより、作業者が、測量を行いながら、現在の測量位置と設計された位置との差を認識することができる。
【0077】
また、位置情報表示部は、横断面図上の各構成点の位置と、被測量装置の位置情報に基づき、任意の2つの構成点を結んだ直線と、被測量装置の位置との、横断面図上の水平距離及び鉛直距離を算出し、画面部に表示することにより、作業者が、測量を行いながら、現在の測量位置と設計された位置との差を認識することができる。
【0078】
また、位置情報表示部は、被測量装置の位置情報に基づき、被測量装置と近い横断面図を表示することにより、作業者が移動しながら路線を選択するわずらわしさがなく、より円滑に測量作業を行うことができる。
【0079】
また、位置情報表示部は、被測量装置の位置情報に基づき、横断面図上に、被測量装置の鉛直方向の位置に対応する水平線を、地面の仮の現況線として表示することにより、作業者は、現況の路線の設計の差異を現場で感得することができる。
【0080】
また、位置情報表示部は、設計情報に基づき、地面の仮の現況線と交わる法面の仮想延長線を横断面図上に表示することにより、作業者は、仮の現況線と法面の延長線の交点を認識しながら移動して、丁張を設置することが容易になる。
【0081】
また、携帯表示端末は、入力部を備え、入力部の指示に応じて画面部に同時に表示された平面図と横断面図の相対位置を変更可能であることにより、作業者は2つの図を見やすい位置に変更して測量作業を行うことができる。
【0082】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 測量支援システム
2 ユーザ
100 携帯表示端末
110 端末処理部
120 端末記憶部
121 設計情報表示部
122 位置情報表示部
123 設計情報取得部
124 位置情報取得部
130 端末通信部
140 入力部
150 画面部
200 測量装置
210 測量部
211 測距部
212 測角部
220 測量記憶部
230 測量通信部
240 測量制御部
250 追尾制御部
300 被測量装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9