(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】圃場縦口路形成装置
(51)【国際特許分類】
A01B 13/08 20060101AFI20240214BHJP
E02B 11/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A01B13/08 A
E02B11/02 Z
(21)【出願番号】P 2021062554
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社冨士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 貴行
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅文
【合議体】
【審判長】前川 慎喜
【審判官】有家 秀郎
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171760(JP,A)
【文献】特開2019-83785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B3/00-25/00
E02B11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向前方位置に予条溝を形成可能な予溝切体を設け、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該穿入跡溝及び該縦口路内に籾殻を給送可能な籾殻給送機構を設けてなり、上記予溝切体の進行方向前方位置に圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝を形成可能なすき部材を設け、該すき部材の進行方向前方位置に該掘取溝の左右の内側面となる左右一対の側条溝を圃場面に形成可能な左右一対の側溝切体を設け、上記籾殻給送機構は上記籾殻を収容可能な籾殻容器、及び、該籾殻容器からの籾殻を上記掘取溝を介して上記穿入跡溝及び上記縦口路内に落下給送可能な落下給送路をもつ給送路部材からなり、上記給送路部材の下端部から落下してくる籾殻を
上記掘取溝の底面に開口する上記穿入跡溝及び
該掘取溝の底面に開口する上記縦口路に導入案内可能な籾殻導入案内部材を設けてなることを特徴とする圃場縦口路形成装置。
【請求項2】
上記籾殻容器に上記給送路部材の落下給送路に連通する落下口部を形成し、該落下口部を開閉調節可能な開閉調節機構を設けてなることを特徴とする請求項1記載の圃場縦口路形成装置。
【請求項3】
上記籾殻容器内に籾殻を攪拌可能な攪拌部材を水平回転自在に設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の圃場縦口路形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば水田や畑の圃場土中に縦口路を形成する圃場縦口路形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圃場縦口路形成装置として、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、穿入ビームの進行方向前方位置に予条溝を形成可能な予溝切体を設け、穿入ビームの進行方向後方位置に穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、穿入跡溝及び縦口路内に籾殻を給送可能な籾殻給送機構を設けてなる構造のものが知られている。
【0003】
しかして、水田等は表層の耕耘層、その下層の耕盤層、さらに下層の芯土層からなり、この耕耘層、耕盤層及び芯土層に穿入ビームを穿入進行させ、耕盤層を破って穿入跡溝が形成され、拡張部材により圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路が形成され、籾殻給送機構により穿入跡溝及び縦口路に籾殻を給送することができ、籾殻の存在により穿入跡溝及び縦口路の開口からの地表面の泥土の進入や縦口路の内面の泥土窄口により穿入跡溝及び縦口路が閉塞されることを抑制することができ、地表面の水は穿入跡溝及び縦口路の開口から籾殻間の空隙を介して芯土層に至ることになり、圃場の排水性及び通気性を良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、上記穿入跡溝及び上記縦口路は圃場の地表面に比較的小さな断面積のままに開口形成されているから、給送路部材の下端部から落下してくる籾殻容器内の籾殻を穿入跡溝及び縦口路内に確実に導入することが困難なことがあり、このため、上記籾殻が存在することによる穿入跡溝及び縦口路の閉塞抑制効果を十分に得ることができず、上記穿入跡溝及び上記縦口路の地表面への開口が圃場表面の泥土により閉塞され、圃場の地表面から芯土層までの距離が比較的長いこともあって、圃場の排水性及び通気性を低下させることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に穿入ビームを揺振機構により進行方向に揺振動作自在に縦設し、該穿入ビームの進行方向前方位置に予条溝を形成可能な予溝切体を設け、該穿入ビームの進行方向後方位置に該穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝の側面を拡張して地表面に開口する縦口路を形成可能な拡張部材を設け、該拡張部材を拡張動作させる拡張機構を配設し、該穿入跡溝及び該縦口路内に籾殻を給送可能な籾殻給送機構を設けてなり、上記予溝切体の進行方向前方位置に圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝を形成可能なすき部材を設け、該すき部材の進行方向前方位置に該掘取溝の左右の内側面となる左右一対の側条溝を圃場面に形成可能な左右一対の側溝切体を設け、上記籾殻給送機構は上記籾殻を収容可能な籾殻容器、及び、該籾殻容器からの籾殻を上記掘取溝を介して上記穿入跡溝及び上記縦口路内に落下給送可能な落下給送路をもつ給送路部材からなり、上記給送路部材の下端部から落下してくる籾殻を上記掘取溝の底面に開口する上記穿入跡溝及び該掘取溝の底面に開口する上記縦口路に導入案内可能な籾殻導入案内部材を設けてなることを特徴とする圃場縦口路形成装置にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記籾殻容器に上記給送路部材の落下給送路に連通する落下口部を形成し、該落下口部を開閉調節可能な開閉調節機構を設けてなることを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項3記載の発明は、上記籾殻容器内に籾殻を攪拌可能な攪拌部材を水平回転自在に設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体の進行に伴い左右一対の側溝切体は圃場面に左右一対の側条溝を形成し、その進行方向後方位置のすき部材は左右一対の側条溝間の圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝を形成し、左右一対の側条溝は掘取溝の左右の内側面とされ、その進行方向後方位置の予溝切体は掘取溝の底面に予条溝を形成し、その進行方向後方位置の穿入ビームは進行方向に揺振動作しつつ予条溝に対応して圃場土中に穿入して穿入跡溝を形成し、上記穿入ビームの進行方向後方位置に配置された拡張部材は拡張機構により拡張動作し、穿入ビームにより圃場土中の上下方向に延びて形成される穿入跡溝を拡張部材により拡張して地表面に開口する縦口路を形成し、籾殻給送機構は籾殻を掘取溝の底面の穿入跡溝及び縦口路に給送することになり、したがって、左右一対の側溝切体により圃場面に左右一対の側条溝が形成され、左右一対の側条溝間の圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝を形成することになるから、掘取溝の形成抵抗を低減して掘取溝の形成作業性を向上することができ、掘取溝により圃場の排水性を高めることができ、さらに、予溝切体は掘取溝の底面に予条溝を形成し、予条溝に穿入ビームが進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝を形成することになるから、穿入跡溝の形成抵抗を低減して穿入跡溝の形成作業性を向上することができ、さらに、拡張機構により拡張部材は穿入跡溝を拡張して地表面に開口する縦溝状の縦口路を形成し、籾殻給送機構により上記掘取溝を介して掘取溝の底面に開口する穿入跡溝及び掘取溝の底面に開口する縦口路に籾殻が給送されるから、籾殻の存在により穿入跡溝及び縦口路の開口からの泥土の進入や縦口路の内面の泥土窄口により穿入跡溝及び縦口路が閉塞されることを抑制することができ、地表面の水は上記掘取溝を介して上記掘取溝の底面、掘取溝の底面に開口する穿入跡溝及び掘取溝の底面に開口する縦口路の開口から籾殻間の空隙を介して芯土層に至ることになり、圃場の排水性及び通気性を一層良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができ、かつ、上記籾殻給送機構は、上記籾殻を収容可能な籾殻容器、及び、籾殻容器からの籾殻を上記掘取溝を介して上記穿入跡溝及び上記縦口路内に落下給送可能な落下給送路をもつ給送路部材からなり、さらに、上記給送路部材の下端部から落下してくる籾殻を上記掘取溝の底面に開口する上記穿入跡溝及び上記掘取溝の底面に開口する上記縦口路に導入案内可能な籾殻導入案内部材を設けてなるので、籾殻容器内の籾殻を給送路部材の落下給送路により上記穿入跡溝及び上記縦口路内に確実に落下給送することができる。
【0010】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記籾殻容器に上記給送路部材の落下給送路に連通する落下口部を形成し、落下口部を開閉調節可能な開閉調節機構を設けているから、開閉調節機構により落下口部からの籾殻の給送、停止及び給送量の調節を行うことができ、上記穿入跡溝及び上記縦口路内への籾殻の落下給送量を調節することができ、走行機体の作業進行速度、穿入跡溝及び縦口路の大きさに対応することができる。
【0011】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記籾殻容器内に籾殻を攪拌可能な攪拌部材を水平回転自在に設けているから、籾殻容器内の籾殻を落下口部から給送路部材を介して上記穿入跡溝及び上記縦口路内へ円滑に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】本発明の実施の形態例の部分横断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態例の部分横断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態例の部分横断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態例の部分側断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態例の部分横断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態例の部分拡大平断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態例の説明平断面図である。
【
図13】本発明の実施の形態例の部分拡大平断面図である。
【
図14】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態例の説明平面図である。
【
図16】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【
図17】本発明の実施の形態例の部分後断面図である。
【
図18】本発明の実施の形態例の部分拡大斜視図である。
【
図19】本発明の実施の形態例の部分説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図19は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、
図1、
図3の如く、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結して構成している。
【0014】
この場合、上記連結機構2は、
図1、
図2、
図3の如く、上記走行機体1の後部に左右の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、吊上リンク2c・2c及び油圧アーム2d・2dからなる三点リンク機構が設けられ、この三点リンク機構により走行機体1に機枠3を連結し、三点リンク機構の油圧アーム2d・2dの上下揺動により機枠3を上下動自在に設けて構成している。
【0015】
4は穿入ビーム、5は揺振機構であって、この場合、
図1、
図2、
図7の如く、機枠3に揺動アーム6の中程部を支点軸7により揺振動作自在に枢着すると共に機枠3に主軸8を軸受8a・8aにより回転自在に横設し、揺動アーム6の進行方向後部に穿入ビーム4を取付け、主軸8とトラクタの動力取出軸1aとを自在継手9により連結し、主軸8と揺動アーム6の進行方向前部との間に偏心輪機構10を介装し、この場合、
図7、
図8、
図9、
図10、
図11の如く、偏心輪機構10として、上記主軸8の軸受8a・8a間に偏心軸部10aを形成し、偏心軸部10aの中心軸線は主軸8の回転軸線に対して偏心量εだけ偏心し、偏心軸部10aに接続部材10bの上側の軸受10cを嵌合し、接続部材10bの下側の軸受10dに揺動アーム6の基軸6aを嵌挿し、揺動アーム6をガイドロール6b・6b及びガイド片3a・3aにより上下揺動案内し、主軸8の回転により偏心輪機構10を介して揺動アーム6を支点軸7を中心として上下揺振動作させ、揺動アーム6の後端部に穿入ビーム4を上下方向に取付けて構成している。
【0016】
しかして、走行機体1の進行に伴い穿入ビーム4は揺振機構5により進行方向に揺振動作しつつ圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成することになる。
【0017】
14は拡張部材、15は拡張機構であって、この場合、
図2の如く、この拡張部材14は上記穿入ビーム4の進行方向後方位置としての縦口路形成位置Dに配設され、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成可能に設けられ、この拡張機構15にあっては、
図15の如く、拡張部材14を進行方向後方向きの非拡張位置Kから進行方向側方向き、この場合、進行方向後方向きからθ=略80°振った側方向きの拡張位置Gに間欠的に強制拡張動作させるように構成している。
【0018】
この場合、上記拡張機構15として、
図2、
図7の如く、上記機枠3の後部に軸受筒体16を縦設し、軸受筒体16に軸状体17を縦回り回動自在に縦設し、軸受筒体16の前部及び後部に穿入跡溝Sより幅狭の板状の軸受片体18・18を形成し、軸状体17の下端部に拡張部材14の上部を取付け、拡張部材14の下部を軸受片体18・18に支持ピン18aにより回転自在に軸受し、拡張部材14には羽根板状の突状体14aが上下に延びて形成され、又、この場合、
図2、
図4の如く、拡張機構15として、間欠拡張機構15aが用いられ、この場合、
図2、
図4、
図7、
図12の如く、上記機枠3に減速機構19を取付け、減速機構19の入力軸19aと主軸8とを継手8bにより連結し、減速機構19の出力軸19bに旋回アーム20を取付け、旋回アーム20に押動ロール21を植設し、軸状体17の上端部に押動ロール21により押圧可能な係合爪部材22を水平突設している。
【0019】
しかして、
図2、
図7、
図10、
図12、
図15の如く、主軸8の回転により減速機構19の出力軸19bが回転し、出力軸19bの回転により旋回アーム20が矢印方向に水平旋回し、旋回アーム20の押動ロール21は係合爪部材22を係合押動し、この押動により拡張部材14は強制的に所定角度縦回り回動し、これにより、
図7、
図15、
図18の如く、縦口路Tが拡張形成され、更なる回動により押動ロール21が係合爪部材22から離反すると、拡張部材14の羽根板状の突状体14aは穿入ビーム4の穿入跡溝Sの側面に当接して戻り復帰回動し、拡張部材14の突状体14aは間欠的に所定角度往復回動し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sの一方側面を拡張して地表面Mに開口する縦口路Tを形成することになる。
【0020】
23は予溝切体であって、
図7、
図8の如く、上記機枠3に取付片23a・23aを垂設し、取付片23a・23aに予溝切体23を車軸23bにより回転自在に取付け、外周部に複数個の刃部23cが形成され、予溝切体23により穿入ビーム4の進行方向前方位置に予条溝Fを形成するように構成している。
【0021】
24は転輪体であって、この場合、
図2、
図4の如く、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム24a・24aを高低調節機構24bにより高低調節自在に配置し、田面等の地表面Mに転輪体24・24を接地させ、機枠3の安定走行及び穿入跡溝Sの地表面Mからの形成高さの設定を図るように構成している。
【0022】
25は籾殻給送機構であって、上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に籾殻Cを給送可能に構成され、この場合、
図2、
図3、
図4の如く、上記籾殻給送機構25は上記籾殻Cを収容可能な籾殻容器26及び籾殻容器26からの籾殻Cを上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に落下給送可能な落下給送路27aをもつ給送路部材27からなり、この場合、給送路部材27は可撓性を有する合成樹脂により形成され、断面略半円弧状に折曲形成され、所謂、雨樋状に形成されている。
【0023】
この場合、
図2、
図3、
図4、
図12、
図13、
図14の如く、上記籾殻容器26は円筒容器状に形成され、上記機枠3の進行方向後部に円盤状の取付板体25aを取付け、取付板体25aに籾殻容器26を取付け、籾殻容器26の上部開口部は籾殻Cを投入可能な投入口26aとされ、籾殻容器26の底面に落下口部26bが形成され、落下口部26bの縁部に取付縁片26cが形成され、取付縁片26cに上記給送路部材27の上端部が固定接続され、かつ、上記減速機構19の出力軸19bを籾殻容器26の中心に突出配置し、出力軸19bに籾殻Cを攪拌可能な攪拌部材28を固定して上記籾殻容器26内に攪拌部材28を水平回転自在に設けて構成している。
【0024】
29は開閉調節機構であって、この場合、
図12、
図13、
図14の如く、上記取付板体25aに支点ピン29aを垂設し、支点ピン29aに開閉調節板29bの中程部を枢着して開閉調節板29bを水平旋回自在に設け、支点ピン29aに開閉調節板29bを落下口部26bに弾圧するバネ部材29cを巻装し、取付板体25aに閉位置、中間位置及び開位置の三位置に係止溝29dを有する弧状の係止板29eを固定し、開閉調節板29bの基部のハンドル29fをバネ部材29cに抗して押下旋回し、各係止溝29dに係止して落下口部26bを閉位置、中間位置及び開位置に開閉調節自在に設けて構成している。
【0025】
30は籾殻導入案内部材であって、上記給送路部材27の下端部から落下してくる籾殻Cを
掘取溝Qを介して上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する上記穿入跡溝S及び
上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する上記縦口路Tに導入案内可能に設けられ、この場合、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18の如く、上記軸受筒体16の後部に突出形成された板状の軸受片体18に取り付けられ、籾殻導入案内部材30は上記掘取溝Q内に挿通可能な板厚の板材からなり、板材からなる籾殻導入案内部材30の上部に外方に折曲した折曲部分Bを形成して上記給送路部材27の下端部から落下してくる籾殻Cを上記穿入跡溝S及び上記縦口路Tに導入案内可能な導入案内斜面30aが形成され、しかして、上記給送路部材27から落下してくる籾殻Cが衝突して籾殻Cを上記穿入跡溝S及び上記縦口路Tに導入落下案内可能な導入案内斜面30aが形成された籾殻導入案内部材30を設けて構成している。
【0026】
31はすき部材であって、この場合、
図1、
図2、
図6、
図12の如く、上記予溝切体23の進行方向前方位置に配設され、すき部材31の先端部は先細掘取部31aに形成され、後部は掘取土Nを側方に排出するようにひねった排出部31bに形成され、
図2、
図6の如く、上記機枠3に取付ブラケット3bを取付け、取付ブラケット3bにすき部材31の上端部を取付ボルト31cにより取付け、圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝Qを形成するように構成している。
【0027】
32・32は左右一対の側溝切体であって、この場合、
図1、
図2、
図5の如く、外周部に数個の刃部32aが形成され、機枠3に左右一対の支持部材3c・3cを取付け、支持部材3c・3cの下端部に車軸32bを回転自在に架設し、車軸32bに左右一対の側溝切体32・32を取り付け、上記掘取溝Qの左右の内側面Q
1・Q
1となる左右一対の側条溝R・Rを圃場面に形成するように構成している。
【0028】
この実施の形態例は上記構成であるから、
図1、
図2、
図5の如く、走行機体1の進行に伴い左右一対の側溝切体32・32は圃場面に左右一対の側条溝R・Rを形成し、
図1、
図6の如く、その進行方向後方位置のすき部材31は左右一対の側条溝R・R間の圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝Qを形成し、左右一対の側条溝R・Rは掘取溝Qの左右の内側面Q
1・Q
1とされ、
図1、
図8の如く、その進行方向後方位置の予溝切体23は掘取溝Qの底面Q
2の略中央部分に予条溝Fを形成し、
図1、
図2の如く、その進行方向後方位置の穿入ビーム4は進行方向に揺振動作しつつ予条溝Fに対応して圃場土中Wに穿入して穿入跡溝Sを形成し、
図1、
図15、
図19の如く、上記穿入ビーム4の進行方向後方位置に配置された拡張部材14は拡張機構15により拡張動作し、穿入ビーム4により圃場土中Wの上下方向に延びて形成される穿入跡溝Sを拡張部材14により拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成し、
図2、
図3、
図4の如く、籾殻給送機構25は籾殻Cを
上記掘取溝Qを介して掘取溝Qの底面Q
2
に開口する穿入跡溝S及び
掘取溝Qの底面Q
2
に開口する縦口路Tに給送することになる。
【0029】
したがって、左右一対の側溝切体32・32により圃場面に左右一対の側条溝R・Rが形成され、左右一対の側条溝R・R間の圃場土を掬い取って側方に排出して圃場面に掘取溝Qを形成することになるから、掘取溝Qの形成抵抗を低減して掘取溝Qの形成作業性を向上することができ、掘取溝Qにより圃場の排水性を高めることができ、さらに、予溝切体23は連れ回り回転しつつ進行して掘取溝Qの底面Q2に予条溝Fを形成し、予条溝Fに穿入ビーム4が進行方向に揺振動作しつつ穿入して穿入跡溝Sを形成することになるから、穿入跡溝Sの形成抵抗を低減して穿入跡溝Sの形成作業性を向上することができ、さらに、拡張機構15により拡張部材14は穿入跡溝Sを拡張して地表面Mに開口する縦溝状の縦口路Tを形成し、籾殻給送機構25により上記掘取溝Qを介して掘取溝Qの底面Q2
に開口する穿入跡溝S及び上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する縦口路Tに籾殻Cが給送されるから、籾殻Cの存在により上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する穿入跡溝S及び上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する縦口路Tの開口からの泥土の進入や縦口路Tの内面の泥土窄口により穿入跡溝S及び縦口路Tが閉塞されることを抑制することができ、地表面Mの水は上記掘取溝Qを介して上記掘取溝Qの底面Q2、上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する穿入跡溝S及び上記掘取溝Qの底面Q
2
に開口する縦口路Tの開口から籾殻C間の空隙を介して芯土層に至ることになり、圃場の排水性及び通気性を一層良好に保持することができ、水はけの良化、水管理、田面の乾田化、微生物繁殖の活性化、水稲等の根の深部への生育を良化することができる。
【0030】
この場合、上記籾殻給送機構25は、
図2、
図3、
図4の如く、上記籾殻Cを収容可能な籾殻容器26、及び、籾殻容器26からの籾殻Cを上記掘取溝Qを介して上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に落下給送可能な落下給送路27aをもつ給送路部材27からなるので、籾殻容器26内の籾殻Cを給送路部材27の落下給送路27aにより上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に確実に落下給送することができ、また、この場合、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18の如く、上記給送路部材27は断面略半円弧状に形成され、給送路部材27から落下してくる籾殻Cが衝突して籾殻Cを上記穿入跡溝S及び上記縦口路Tに導入落下案内可能な導入案内斜面30aが形成された籾殻導入案内部材30を設けているから、給送路部材27は断面略半円弧状の雨樋状に形成され、管状のものに比べ、籾殻Cの詰まり現象が抑制され、籾殻容器26内の籾殻Cを断面略半円弧状の落下給送路27aにより上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に確実に落下給送することができる。
【0031】
又、この場合、
図4、
図15、
図16、
図17の如く、上記籾殻導入案内部材30は上記掘取溝Q内に挿通可能な板厚の板材からなるので、籾殻Cを上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内に確実に導入落下案内することができる。
【0032】
又、この場合、
図1、
図12、
図13、
図14、
図15の如く、上記籾殻容器26に上記給送路部材27の落下給送路27aに連通する落下口部26bを形成し、落下口部26bを開閉調節可能な開閉調節機構29を設けているから、開閉調節機構29により落下口部26bからの籾殻Cの給送、停止及び給送量の調節を行うことができ、上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内への籾殻Cの落下給送量を調節することができ、走行機体1の作業進行速度、穿入跡溝S及び縦口路Tの大きさに対応することができ、又、この場合、
図3の如く、上記籾殻容器26内に籾殻Cを攪拌可能な攪拌部材28を水平回転自在に設けているから、籾殻容器26内の籾殻Cを落下口部26bから給送路部材27を介して上記穿入跡溝S及び上記縦口路T内へ円滑に落下させることができる。
【0033】
又、この場合、
図2、
図4の如く、上記機枠3に圃場面を転動可能な転輪体24・24を高低調節自在に設け、この場合、上記機枠3の左右両側位置に取付アーム24a・24aを高低調節機構24bにより高低調節自在に設け、取付アーム24a・24aに転輪体24・24を配置しているから、田面等の地表面Mに転輪体24・24を接地させることで機枠3の安定走行及び穿入跡溝Sの地表面Mからの形成高さの設定を図ることになる。
【0034】
尚、本発明は上記の形態例に限られるものではなく、走行機体1、連結機構2、機枠3、穿入ビーム4、揺振機構5、拡張部材14、拡張機構15、予溝切体23、籾殻給送機構25、籾殻容器26、給送路部材27、開閉調節機構29、すき部材31、側溝切体32の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0035】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0036】
W 圃場土中
S 穿入跡溝
M 地表面
T 縦口路
C 籾殻
F 予条溝
Q 掘取溝
Q1 内側面
Q
2
底面
R 側条溝
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 穿入ビーム
5 揺振機構
14 拡張部材
15 拡張機構
23 予溝切体
25 籾殻給送機構
26 籾殻容器
26b 落下口部
27 給送路部材
27a 落下給送路
28 攪拌部材
29 開閉調節機構
30 籾殻導入案内部材
31 すき部材
32 側溝切体