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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】振動デバイス、電子機器および移動体
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20240214BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H03H9/02 K
H03B5/32 H
H03H9/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019096738
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020191574
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳一
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152478(JP,A)
【文献】特開平11-103233(JP,A)
【文献】特開2009-060452(JP,A)
【文献】特開2009-021726(JP,A)
【文献】特開2012-235203(JP,A)
【文献】特開2013-098628(JP,A)
【文献】特開2013-143607(JP,A)
【文献】特開2014-222812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B5/30-H03B5/42
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する枠部および振動素子を含み、水晶により構成される中間基板と、
前記枠部の前記第1面に接合され、水晶またはガラスにより構成される第1基板と、
前記枠部の前記第2面に接合され、水晶またはガラスにより構成される第2基板と、
前記第1基板の前記振動素子側の第3面に配置されている薄膜サーミスタ素子と、
前記第3面に配置され、前記薄膜サーミスタ素子と電気的に接続されている薄膜サーミスタ素子用配線と、
前記第1基板の前記第3面とは反対側の第4面に配置されている第1外部端子と、
前記第1基板の前記第3面から前記第4面に貫通しており、前記薄膜サーミスタ素子用配線と前記第1外部端子とを接続している第1貫通電極と、
を備え、
前記第1基板の厚さ方向からの平面視で、前記薄膜サーミスタ素子は、前記振動素子と重なっている部分を有し、
前記薄膜サーミスタ素子用配線および前記第1貫通電極は、前記平面視で、前記第1基板と前記枠部との接合部よりも内側に配置されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記第1基板は、前記第3面に開口する凹部を有し、
前記凹部の底面に前記薄膜サーミスタ素子が配置されている請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記凹部の側面は、前記第1基板の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面であり、
前記薄膜サーミスタ素子用配線は、前記底面、前記傾斜面および前記第3面に配置されている請求項2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記第3面に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている振動素子用配線と、
前記第1基板の前記第4面に配置されている第2外部端子と、
前記第1基板の前記第3面から前記第4面に貫通しており、前記振動素子用配線と前記第2外部端子とを接続している第2貫通電極と、
を有し、
前記振動素子用配線および前記第2貫通電極は、前記第1基板と前記枠部との接合部よりも内側に配置されている請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動デバイスと、
前記振動素子を発振させる発振回路と、
前記薄膜サーミスタ素子が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと、
前記デジタル信号が入力される演算回路と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の振動デバイスと、
前記振動素子を発振させる発振回路と、
前記薄膜サーミスタ素子が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと、
前記デジタル信号が入力される演算回路と、を備えることを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス、電子機器および移動体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、上面に開口する第1凹部および下面に開口する第2凹部を備える絶縁基板と、第1凹部の底面に配置された振動素子と、第2凹部の底面に配置された回路素子と、を有する振動デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-191484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の振動デバイスでは、振動素子を配置するための第1凹部の他にも、回路素子を配置するための第2凹部が必要となり、小型化を図ることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本適用例にかかる振動デバイスは、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する枠部および振動素子を含み、水晶により構成される中間基板と、
前記枠部の前記第1面に接合され、水晶またはガラスにより構成される第1基板と、
前記枠部の前記第2面に接合され、水晶またはガラスにより構成される第2基板と、
前記第1基板に配置されている機能層を有する機能素子と、を備え、
前記第1基板の厚さ方向からの平面視で、前記機能素子は、前記振動素子と重なっている部分を有することを特徴とする。
【0006】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記機能素子は、前記第1基板の前記振動素子側の第3面に配置されていることが好ましい。
【0007】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第1基板は、前記第3面に開口する凹部を有し、
前記凹部の底面に前記機能素子が配置されていることが好ましい。
【0008】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第3面に配置され、前記機能素子と電気的に接続されている機能素子用配線を有し、
前記凹部の側面は、前記第1基板の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面であり、
前記機能素子用配線は、前記底面、前記傾斜面および前記第3面に配置されていることが好ましい。
【0009】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記機能素子は、サーミスタ素子であることが好ましい。
【0010】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第3面に配置され、前記機能素子と電気的に接続されている機能素子用配線を有し、
前記機能素子用配線は、前記枠部と接していることが好ましい。
【0011】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第3面に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている振動素子用配線を有し、
前記機能素子用配線および前記振動素子用配線は、それぞれ、前記第1基板と前記枠部との接合部よりも内側に配置されていることが好ましい。
【0012】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記機能素子は、前記第1基板の前記振動素子側の第3面と反対側の第4面に配置されていることが好ましい。
【0013】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第1基板は、前記第4面に開口する凹部を有し、
前記凹部の底面に前記機能素子が配置されていることが好ましい。
【0014】
本適用例にかかる振動デバイスでは、前記第4面に配置され、前記機能素子と電気的に接続されている機能素子用配線を有し、
前記凹部の側面は、前記第1基板の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面であり、
前記機能素子用配線は、前記底面、前記傾斜面および前記第4面に配置されていることが好ましい。
【0015】
本適用例にかかる電子機器は、上述の振動デバイスと、
前記振動素子を発振させる発振回路と、
前記機能素子が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと、
前記デジタル信号が入力される演算回路と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本適用例にかかる移動体は、上記の振動デバイスと、
前記振動素子を発振させる発振回路と、
前記機能素子が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと、
前記デジタル信号が入力される演算回路と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図2】水晶のカット角を説明するための図である。
図3図1の振動デバイスが有する中間基板を示す平面図である。
図4図1の振動デバイスが有する第1基板を示す平面図である。
図5図4中のA-A線断面図である。
図6図4中のB-B線断面図である。
図7図4中のC-C線断面図である。
図8】第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図9】第3実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図10】第4実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図11】第5実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図12】第6実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。
図13図12中のD-D線断面図である。
図14図12中のE-E線断面図である。
図15図12中のF-F線断面図である。
図16図12中のG-G線断面図である。
図17】第7実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図18】第8実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図19】第9実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図20】第10実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図21】第11実施形態に係る電子機器の回路構成を示すブロック図である。
図22】第12実施形態に係る移動体の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様の振動デバイス、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。図2は、水晶のカット
角を説明するための図である。図3は、図1の振動デバイスが有する中間基板を示す平面
図である。図4は、図1の振動デバイスが有する第1基板を示す平面図である。図5は、
図4中のA-A線断面図である。図6は、図4中のB-B線断面図である。図7は、図4
中のC-C線断面図である。なお、説明の便宜上、各図には、互いに直交する3軸をX軸
、Y’軸およびZ’軸として図示している。これらX軸、Y’軸およびZ’軸は、後述す
るように水晶の結晶軸を示す。また、Y’軸の矢印先端側すなわち正側を「上」とも言い
、基端側すなわち負側を「下」とも言う。また、第1基板2の厚さ方向すなわちY’軸に
沿った平面視を単に「平面視」とも言う。

【0020】
図1に示す振動デバイス1は、中間基板4と、中間基板4のY’軸の負方向側に位置し、第1接合部材B1を介して中間基板4のY’軸の負方向側の下面に接合された第1基板2と、中間基板4のY’軸の正方向側に位置し、第2接合部材B2を介して中間基板4のY’軸の正方向側の上面に接合された第2基板3と、第1基板2に配置された機能素子6と、を備える。
【0021】
中間基板4は、水晶で構成されている。特に、本実施形態の中間基板4は、ATカット水晶基板で構成されている。ATカットの素子基板について簡単に説明すると、中間基板4は、互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。なお、X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、電気軸、機械軸、光学軸と呼ばれる。そして、図2に示すように、中間基板4は、X-Z面をX軸回りに所定の角度θ回転させた平面に沿って切り出された「回転Yカット水晶基板」であり、θ=35°15’回転させた平面に沿って切り出した基板を「ATカット水晶基板」という。以下では、角度θに対応してX軸まわりに回転したY軸およびZ軸をY’軸およびZ’軸とする。すなわち、中間基板4は、Y’軸方向に厚みを有し、X-Z’面方向に広がりを有する。
【0022】
また、図3に示すように、中間基板4は、枠状の枠部41と、枠部41の内側に設けら
れた振動部42と、枠部41と振動部42とを連結する一対の連結部43、44と、を有
する。枠部41は、Y’軸の正側の第1面およびY’軸の負側の第2面を有する。前記第
1面は枠部41の下面46であり、前記第2面は枠部41の上面47である。また、枠部
41は、平面視での形状が矩形であり、Z’軸に延在する延在部41A、41Bと、X軸
に延在する延在部41C、41Dと、を有する。これら4つの延在部41A~41Dが振
動部42の周囲を囲っている。そして、これらのうちの1つの延在部41Aと振動部42
とが連結部43、44を介して連結されている。また、図1に示すように、振動部42は
、枠部41よりもY’軸に沿った厚さが薄く、その上面が枠部41の上面47よりもY’
軸の負側に位置し、その下面が枠部41の下面46よりもY’軸の正側に位置している。
これにより、振動部42と第1、第2基板2、3との接触を抑制することができる。

【0023】
図3に示すように、中間基板4には電極5が配置されている。電極5は、振動部42の上面に配置された第1励振電極51と、振動部42の下面に配置された第2励振電極52と、を有する。振動部42は、第1励振電極51と、第2励振電極52と、の間に配置されている。そして、振動部42および第1、第2励振電極51、52から振動素子40が構成される。このような振動素子40は、厚みすべり振動モードを有し、三次の周波数温度特性を有する。そのため、優れた温度特性を有する振動素子40となる。
【0024】
なお、振動素子40の構成としては、特に限定されず、例えば、振動部42の第1、第2励振電極51、52で挟まれた部分である振動領域がその周囲から突出したメサ型であってもよいし、凹没した逆メサ型であってもよい。また、振動部42の周囲を研削して面取りするベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。また、メサ型の場合には、下面側および上面側の一方にだけ突出している構成であってもよいし、逆メサ型の場合には、下面側および上面側の一方にだけ凹没している構成であってもよい。また、中間基板4は、ATカット水晶基板に限定されず、他のカット角、例えば、Zカット、SCカット、STカット、BTカット等の水晶基板であってもよく、振動部42の形状や電極5の構成は、水晶基板の種類によって適宜変更することができる。
【0025】
また、図3に示すように、電極5は、連結部43を介して第1励振電極51を枠部41の延在部41Aまで引き出す第1引出電極53と、連結部44を介して第2励振電極52を枠部41の延在部41Aまで引き出す第2引出電極54と、を有する。
【0026】
第1引出電極53は、第1励振電極51から連結部43を通って延在部41Aの上面まで伸びた配線531と、延在部41Aの下面に配置された接続端子532と、延在部41Aを貫通し、配線531と接続端子532とを電気的に接続する貫通電極533と、を有する。一方、第2引出電極54は、第2励振電極52から連結部44を通って延在部41Aの下面まで伸びた配線541と、延在部41Aの下面に配置され、配線541と電気的に接続された接続端子542と、を有する。
【0027】
なお、第1、第2引出電極53、54の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、Ti(チタン)、タングステン(W)等の金属材料、これら金属材料を含む合金を用いることができる。
【0028】
以上のような中間基板4のY’軸の負方向側には第1基板2が位置し、Y’軸の正方向側には第2基板3が位置している。第1基板2は、第3面である上面21と、第4面である下面22と、を有する。また、同様に、第2基板3も、上面31と、下面32と、を有する。そして、図1に示すように、下面22、上面21、下面46、上面47、下面32および上面31がY’軸の正方向である上方へ向かって、この順に、かつ、ほぼ平行に並んでいる。
【0029】
このような配置において、第1基板2の上面21と枠部41の下面46とが第1接合部材B1を介して接合され、第2基板3の下面32と枠部41の上面47とが第2接合部材B2を介して接合されている。これにより、第1基板2と第2基板3と枠部41とで、振動素子40を収納する気密な内部空間Sが形成される。内部空間Sは、減圧状態、好ましくは、より真空に近い状態となっている。これにより、振動素子40の振動特性が高まる。ただし、内部空間Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素またはAr等の不活性ガスを封入した雰囲気であってもよく、減圧状態でなく大気圧状態、または加圧状態となっていてもよい。
【0030】
これら第1基板2および第2基板3は、板状であり、水晶またはガラス材料で構成されている。特に、本実施形態では、第1、第2基板2、3は、それぞれ、水晶で構成されている。このように、第1、第2基板2、3を中間基板4と同様に水晶で構成することにより、これら基板2、3、4の熱膨張係数を等しくすることができる。そのため、これら基板2、3、4の間に互いの熱膨張係数差に起因する熱応力が実質的に生じず、振動素子40が応力を受け難くなる。そのため、振動素子40の振動特性の低下や変動をより効果的に抑制することができる。なお、第1基板2および第2基板3をガラス材料で構成する場合、ガラス材料としては、特に限定されず、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス等を用いることができる。
【0031】
特に、第1、第2基板2、3は、中間基板4と同じカット角の水晶基板から形成されている。前述したように、中間基板4は、ATカット水晶基板から形成されているため、第1、第2基板2、3もATカット水晶基板から形成されている。さらに、第1、第2基板2、3の結晶軸の向きは、中間基板4の結晶軸の向きと一致している。つまり、第1、第2基板2、3と中間基板4とで互いにX軸の向きが一致し、互いにY’軸の向きが一致し、互いにZ’軸の向きが一致している。水晶は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれで熱膨張係数が異なるため、第1、第2基板2、3と中間基板4とを同じカット角とし、互いの結晶軸の向きを揃えることにより、これら基板2、3、4の間で前述の熱応力がより生じ難くなる。そのため、振動素子40がさらに応力を受け難くなり、その振動特性の低下や変動をさらに効果的に抑制することができる。
【0032】
ただし、第1、第2基板2、3の構成は、特に限定されず、第1、第2基板2、3の少なくとも一方が中間基板4と異なるカット角の水晶基板から形成されていてもよいし、カット角は同じであるが結晶軸の方向が中間基板4と異なる方向を向いていてもよい。
【0033】
図4ないし図6に示すように、第1基板2には、振動素子40と電気的に接続された振動素子用配線7と、機能素子6と電気的に接続された機能素子用配線8と、が配置されている。また、振動素子用配線7は、第1振動素子用配線71および第2振動素子用配線72を有し、機能素子用配線8は、第1機能素子用配線81および第2機能素子用配線82を有する。
【0034】
図6に示すように、第1振動素子用配線71は、第1基板2の上面21に配置された内部配線711と、第1基板2の下面22に配置された外部端子712と、第1基板2の上面21と下面22とを貫通し、内部配線711と外部端子712とを電気的に接続する貫通電極713と、を有する。また、内部配線711は、第1基板2と枠部41の延在部41Aとの間に位置する部分711aを有し、この部分711aにおいて接続端子532と接触し、電気的に接続されている。これにより、第1振動素子用配線71と第1励振電極51とが電気的に接続される。
【0035】
図5に示すように、第2振動素子用配線72は、第1基板2の上面21に配置された内部配線721と、第1基板2の下面22に配置された外部端子722と、第1基板2の上面21と下面22とを貫通し、内部配線721と外部端子722とを電気的に接続する貫通電極723と、を有する。また、内部配線721は、第1基板2と枠部41の延在部41Aとの間に位置する部分721aを有し、この部分721aにおいて接続端子542と接触し、電気的に接続されている。これにより、第2振動素子用配線72と第2励振電極52とが電気的に接続される。
【0036】
図5に示すように、第1機能素子用配線81は、第1基板2の上面21に配置された内
部配線811と、第1基板2の下面22に配置された外部端子812と、第1基板2の上
面21と下面22とを貫通し、内部配線811と外部端子812とを電気的に接続する貫
通電極813と、を有する。また、内部配線811は、第1基板2と枠部41の延在部4
1Aとの間に位置し、延在部41Aと接触する部分811aを有し、この部分811aに
おいて枠部41と熱的に接続されている。これにより、第1機能素子用配線81を介して
中間基板4と機能素子6とが熱的に接続される。また、貫通電極813は、平面視で、延
在部41Aと重なっている。

【0037】
第2機能素子用配線82は、第1基板2の上面21に配置された内部配線821と、第1基板2の下面22に配置された外部端子822と、第1基板2の上面21と下面22とを貫通し、内部配線821と外部端子822とを電気的に接続する貫通電極823と、を有する。
【0038】
なお、第1、第2振動素子用配線71、72および第1、第2機能素子用配線81、82の構成材料としては、特に限定されず、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、Ti(チタン)、タングステン(W)等の金属材料、これら金属材料を含む合金を用いることができる。
【0039】
図7に示すように、機能素子6は、第1基板2の上面21に配置されている。また、機能素子6は、内部空間S内に位置している。本実施形態の機能素子6は、振動素子40の温度を検出する温度センサーとして機能するサーミスタ素子61である。このように、サーミスタ素子61を第1基板2の上面21に配置することにより、サーミスタ素子61を振動素子40に近接させることができ、サーミスタ素子61と振動素子40との間に温度差が生じ難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0040】
特に、サーミスタ素子61は、第1基板2の上面21に配置されている。サーミスタ素子61を第1基板2の上面21に配置することにより、サーミスタ素子61を振動素子40と同じ内部空間S内に配置することができる。また、サーミスタ素子61と振動素子40とをより接近して配置することができる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。また、サーミスタ素子61を保護することもできる。
【0041】
また、前述したように、サーミスタ素子61と電気的に接続された内部配線811が部分811aを介して枠部41と熱的に接続されている。そのため、内部配線811を介して振動素子40とサーミスタ素子61とが熱的に接続され、サーミスタ素子61と振動素子40との間に温度差がより生じ難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0042】
また、前述したように、第1基板2に形成され、サーミスタ素子61と電気的に接続さ
れた貫通電極813が、平面視で枠部41の延在部41Aと重なっている。これにより、
枠部41と貫通電極813との熱的な接続が良好となり、サーミスタ素子61と振動素子
40との間に温度差がより生じ難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素
子40の温度をより精度よく検出することができる。

【0043】
特に、内部配線811や貫通電極813と熱的に接続されている枠部41に貫通電極533が形成されているため、枠部41と振動素子40との熱的な接続が良好となる。そのため、サーミスタ素子61と振動素子40との間に温度差がより生じ難くなり、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0044】
また、第1基板2の上面21に配置された内部配線711、721、811、821が第1接合部材B1の内側、すなわち、内部空間S内に位置しているため、これらが振動デバイス1の外部の温度変化の影響を受け難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0045】
また、サーミスタ素子61は、Z軸方向からの平面視で、振動素子40と重なる部分を有する。これにより、サーミスタ素子61と振動素子40とをより接近して配置することができる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。また、振動デバイス1のX軸方向およびY軸方向への広がりを抑制でき、振動デバイス1の小型化を図ることもできる。特に、本実施形態では、サーミスタ素子61の全域が振動素子40と重なっているため、上述の効果をより顕著に発揮することができる。ただし、これに限定されず、サーミスタ素子61の一部が振動素子40と重なっていてもよいし、全域が振動素子40と重なっていなくてもよい。
【0046】
サーミスタ素子61は、薄膜サーミスタ素子であり、図7に示すように、第1基板2の上面21に配置され、内部配線811、821と電気的に接続された機能層60としてのサーミスタ薄膜611と、サーミスタ薄膜611を覆うパッシベーション膜612と、を有する。このように、サーミスタ素子61を、第1基板2の上面21に配置された機能層60としてのサーミスタ薄膜611を有する構成とすることにより、サーミスタ素子61の薄型化を図ることができる。
【0047】
また、サーミスタ薄膜611は、内部配線811、821のY’軸の正方向側の面に配置されている部分を含む。そのため、サーミスタ薄膜611と内部配線811、821との間の接触面積が広くなり、枠部41および内部配線811を介して振動素子40からサーミスタ薄膜611へ更に熱が伝わり易くなる。その結果、サーミスタ素子61と振動素子40との間に温度差がより生じ難くなる。
【0048】
なお、サーミスタ薄膜611は、例えば、Mn-Co系複合金属酸化物にニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)の少なくとも一種類を含む複合金属酸化物からなる複合金属酸化物膜であって、スピネル型結晶構造を有している。一方、パッシベーション膜612は、例えば、シリコン酸化膜(SiO)で構成されている。ただし、サーミスタ薄膜611およびパッシベーション膜612の構成材料は、特に限定されない。
【0049】
以上、振動デバイス1について説明した。このような振動デバイス1は、前述したように、振動素子40および枠部41を含み、水晶により構成される中間基板4と、枠部41の下面46(第1面)に接合され、水晶またはガラスにより構成される第1基板2と、枠部41の下面46と反対側の面である上面47(第2面)に接合され、水晶またはガラスにより構成される第2基板3と、第1基板2に配置されている機能層60としてのサーミスタ薄膜611を有する機能素子6としてのサーミスタ素子61と、を備える。そして、Z軸方向からの平面視で、サーミスタ素子61は、振動素子40と重なる部分を有する。これにより、振動デバイス1の小型化、特に低背化を図ることができる。
【0050】
また、前述したように、サーミスタ素子61は、第1基板2の振動素子側の上面21(第3面)に配置されている。これにより、振動素子40と第1基板2との間にサーミスタ素子61を配置することができ、サーミスタ素子61を保護することができる。また、サーミスタ素子61と振動素子40とをより接近して配置することができる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0051】
また、前述したように、機能素子6は、サーミスタ素子61である。これにより、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度を検出することができる。
【0052】
また、前述したように、振動デバイス1は、第1基板2の上面21に配置され、機能素子6としてのサーミスタ素子61と電気的に接続されている機能素子用配線8を有する。そして、機能素子用配線8は、枠部41と接している。そのため、機能素子用配線8を介して振動素子40とサーミスタ素子61とが熱的に接続され、サーミスタ素子61と振動素子40との間に温度差がより生じ難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0053】
また、前述したように、振動デバイス1は、第1基板2の上面21に配置され、振動素子40と電気的に接続されている振動素子用配線7を有する。そして、機能素子用配線8および振動素子用配線7の上面21に配置されている部分は、それぞれ、第1基板2と枠部41との接合部よりも内側に配置されている。これにより、機能素子用配線8および振動素子用配線7の上面21に配置されている部分を気密封止された内部空間S内に配置することができるため、振動素子40とサーミスタ素子61との間の熱的な接続が良好となる。また、振動デバイス1の外部の温度変化の影響を受け難くなる。そのため、サーミスタ素子61によって振動素子40の温度をより精度よく検出することができる。
【0054】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図8は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0055】
本実施形態に係る振動デバイス1は、第1基板2の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第2実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0056】
図8に示すように、第1基板2は、その上面21に開口する凹部23を有する。そして、この凹部23の底面231にサーミスタ素子61が配置されている。これにより、例えば、前述した第1実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。第1基板2に凹部23を形成する方法としては、水晶またはガラス材料で構成されたウェハに対し、例えばウェットエッチングを用いて凹部23を形成することができる。
【0057】
また、凹部23の側面は、第1基板2の厚さ方向すなわちZ軸方向に対して傾斜した傾斜面232であり、この傾斜面232によって底面231と上面21とが緩やかに接続されている。また、サーミスタ素子61と電気的に接続されている内部配線811、821は、それぞれ、底面231、傾斜面232および上面21に配置されている。言い換えると、内部配線811、821は、底面231から傾斜面232を通って上面21まで引き出されている。このように、凹部23の側面を傾斜面232とすることにより、当該部分を通る内部配線811、821の断線を効果的に抑制することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の振動デバイス1では、第1基板2は、上面21に開口する凹部23を有し、凹部23の底面231にサーミスタ素子61が配置されている。これにより、例えば、前述した第1実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0059】
また、前述したように、振動デバイス1は、サーミスタ素子61と電気的に接続されている機能素子用配線8を有する。また、凹部23の側面は、第1基板2の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面232である。そして、機能素子用配線8は、底面231、傾斜面232および上面21に配置されている。このように、凹部23の側面を傾斜面232とすることにより、機能素子用配線8の断線を効果的に抑制することができる。
【0060】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0061】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図9は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0062】
本実施形態に係る振動デバイス1は、サーミスタ素子61の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第3実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0063】
図9に示すように、サーミスタ素子61は、第1基板2の上面21と反対側の下面22(第4面)に配置されている。このような構成によれば、例えば、前述した第1実施形態と比べて、サーミスタ素子61の配置スペースが広くなり、サーミスタ素子61の形成が容易となる。なお、本実施形態の場合、サーミスタ素子61は、外部端子812、822と電気的に接続されている。また、第2機能素子用配線82からは、内部配線821および貫通電極823が省略されている。
【0064】
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0065】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図10は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0066】
本実施形態に係る振動デバイス1は、第1基板2の構成が異なること以外は、前述した第3実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第4実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0067】
図10に示すように、第1基板2は、その下面22に開口する凹部24を有する。そして、凹部24の底面241にサーミスタ素子61が配置されている。これにより、前述した第3実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0068】
また、凹部24の側面は、第1基板2の厚さ方向すなわちZ軸方向に対して傾斜した傾斜面242であり、この傾斜面242によって底面241と下面22とが緩やかに接続されている。また、サーミスタ素子61と電気的に接続されている外部端子812、822は、それぞれ、底面241、傾斜面242および下面22に配置されている。言い換えると、外部端子812、822は、底面241から傾斜面242を通って下面22まで引き出されている。このように、凹部24の側面を傾斜面242とすることにより、当該部分を通る外部端子812、822の断線を効果的に抑制することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態の振動デバイス1では、第1基板2は、下面22に開口する凹部24を有し、凹部24の底面241にサーミスタ素子61が配置されている。これにより、例えば、前述した第3実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0070】
また、前述したように、振動デバイス1は、下面22に配置され、サーミスタ素子61と電気的に接続されている配線としての機能素子用配線8を有する。また、凹部24の側面は、第1基板2の厚さ方向に対して傾斜する傾斜面242である。そして、機能素子用配線8は、底面241、傾斜面242および下面22に配置されている。このように、凹部24の側面を傾斜面242とすることにより、機能素子用配線8の断線を効果的に抑制することができる。
【0071】
以上のような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0072】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図11は、図
4中のC-C線断面に相当する断面図である。

【0073】
本実施形態に係る振動デバイス1は、機能素子用配線8の構成が異なること以外は、前述した第4実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第4実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0074】
図11に示すように、第1機能素子用配線81は、前述の内部配線811、外部端子812および貫通電極813に加えて、さらに、凹部24の底面241に配置され、サーミスタ素子61と電気的に接続されている外部配線814と、底面241と上面21とを貫通し、外部配線814と内部配線811とを電気的に接続する貫通電極815と、を有する。同様に、第2機能素子用配線82は、前述の内部配線821、外部端子822および貫通電極823に加えて、さらに、凹部24の底面241に配置され、サーミスタ素子61と電気的に接続されている外部配線824と、底面241と上面21とを貫通し、外部配線824と内部配線821とを電気的に接続する貫通電極825と、を有する。なお、図11では、外部端子812および貫通電極813、823は、図示されていない。
【0075】
以上のような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0076】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。図13は、図12中のD-D線断面図である。図14は、図12中のE-E線断面図である。図15は、図12中のF-F線断面図である。図16は、図12中のG-G線断面図である。
【0077】
本実施形態に係る振動デバイス1は、機能素子6の配置と、電極5、振動素子用配線7および機能素子用配線8の構成と、が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第6実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12ないし図16では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0078】
図12に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、機能素子6としてのサーミスタ素子61は、第2基板3の上面に配置されている。
【0079】
また、図13に示すように、第1引出電極53は、第1励振電極51から連結部43を通って延在部41Aの上面まで伸びた配線531と、延在部41Aの上面に配置され、配線531と電気的に接続された接続端子532と、を有する。一方、図14に示すように、第2引出電極54は、第2励振電極52から連結部44を通って延在部41Aの下面まで伸びた配線541と、延在部41Aの上面に配置された接続端子542と、延在部41Aを貫通し、配線541と接続端子542とを電気的に接続する貫通電極543と、を有する。
【0080】
また、図12図13および図15に示すように、第1振動素子用配線71は、第2基板3の下面に配置され、接続端子532と接触する内部配線711と、第2基板3の上面に配置された外部配線716と、第2基板3を貫通し、内部配線711と外部配線716とを電気的に接続する貫通電極717と、第1基板2の下面22に配置された外部端子712と、第1基板2、中間基板4および第2基板3を貫通し、外部配線716と外部端子712とを電気的に接続する貫通電極713と、を有する。また、貫通電極713は、内部空間Sの外側、すなわち、第1、第2接合部材B1、B2の外側に形成されている。
【0081】
一方、図12図14および図16に示すように、第2振動素子用配線72は、第2基板3の下面に配置され、接続端子542と接触する内部配線721と、第2基板3の上面に配置された外部配線726と、第2基板3を貫通し、内部配線721と外部配線726とを電気的に接続する貫通電極727と、第1基板2の下面22に配置された外部端子722と、第1基板2、中間基板4および第2基板3を貫通し、外部配線726と外部端子722とを電気的に接続する貫通電極723と、を有する。また、貫通電極723は、内部空間Sの外側、すなわち、第1、第2接合部材B1、B2の外側に形成されている。
【0082】
また、図12および図16に示すように、第1機能素子用配線81は、第2基板3の上面に配置され、サーミスタ素子61と電気的に接続された外部配線816と、第1基板2の下面22に配置された外部端子812と、第1基板2、中間基板4および第2基板3を貫通し、外部配線816と外部端子812とを電気的に接続する貫通電極817と、を有する。また、貫通電極817は、内部空間Sの外側、すなわち、第1、第2接合部材B1、B2の外側に形成されている。
【0083】
一方、図12および図15に示すように、第2機能素子用配線82は、第2基板3の上面に配置され、サーミスタ素子61と電気的に接続された外部配線826と、第1基板2の下面22に配置された外部端子822と、第1基板2、中間基板4および第2基板3を貫通し、外部配線826と外部端子822とを電気的に接続する貫通電極827と、を有する。また、貫通電極827は、内部空間Sの外側、すなわち、第1、第2接合部材B1、B2の外側に形成されている。
【0084】
以上のような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0085】
<第7実施形態>
図17は、第7実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【0086】
本実施形態に係る振動デバイス1は、第2基板3の構成が異なること以外は、前述した第6実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第7実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図17では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0087】
図17に示すように、第2基板3は、その上面31に開口する凹部33を有する。そして、この凹部33の底面331にサーミスタ素子61が配置されている。これにより、例えば、前述した第6実施形態と比べて振動デバイス1の低背化を図ることができる。
【0088】
また、凹部33の側面は、第2基板3の厚さ方向すなわちZ軸方向に対して傾斜した傾斜面332であり、この傾斜面332によって底面331と上面31とが緩やかに接続されている。また、サーミスタ素子61と電気的に接続されている外部配線816、826は、それぞれ、底面331、傾斜面332および上面31に配置されている。言い換えると、外部配線816、826は、底面331から傾斜面332を通って上面31まで引き出されている。このように、凹部33の側面を傾斜面332とすることにより、当該部分を通る外部配線816、826の断線を効果的に抑制することができる。
【0089】
以上のような第7実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0090】
<第8実施形態>
図18は、第8実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図18は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0091】
本実施形態に係る振動デバイス1は、機能素子6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第8実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図18では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0092】
図18に示す振動デバイス1では、機能素子6は、コンデンサ62である。コンデンサ62は、薄膜コンデンサであり、上部電極621と、下部電極622と、これら上部電極621と下部電極622との間に挟まれた機能層60としての誘電体層623と、を有する。そして、上部電極621が内部配線821と電気的に接続されており、下部電極622が内部配線811と電気的に接続されている。
【0093】
このような第8実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0094】
<第9実施形態>
図19は、第9実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図19は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0095】
本実施形態に係る振動デバイス1は、機能素子6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第9実施形態の振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図19では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0096】
図19に示す振動デバイス1では、機能素子6は、インダクタ63である。インダクタ63は、第1基板2の上面21に配置され、内部配線811、821と電気的に接続されている機能層60としての配線パターン631を有する。
【0097】
このような第9実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0098】
<第10実施形態>
図20は、第10実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。なお、図20は、図4中のC-C線断面に相当する断面図である。
【0099】
本実施形態に係る振動デバイス1は、機能素子6の構成が異なること以外は、前述した
第1実施形態の振動デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、第10実施形態の
振動デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に
関してはその説明を省略する。また、図20では、前述した実施形態と同様の構成につい
て、同一符号を付している。

【0100】
図20に示す振動デバイス1では、機能素子6は、ヒーター素子64である。ヒーター素子64は、第1基板2の上面21に配置され、内部配線811、821と電気的に接続されている機能層60としてのヒーター膜641を有する。このようなヒーター膜641は、電流を流すとジュール熱で発熱し易い材料、すなわち抵抗加熱に適した材料で構成されており、このような材料としては、例えば、タンタルアルミニウム合金薄膜が挙げられる。
【0101】
このような構成の振動デバイス1は、ヒーター制御回路と、発振回路とを備えた恒温槽型水晶発振器(OCXO)に適用することができる。具体的には、ヒーター素子64をヒーター制御回路と電気的に接続し、振動素子40を発振回路に接続することにより、小型のOCXOを提供することができる。
【0102】
このような第10実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0103】
<第11実施形態>
図21は、第11実施形態に係る電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【0104】
図21に示すように、電子機器10は、振動デバイス1と、振動デバイス1と電気的に接続された回路9と、を有する。また、回路9は、振動素子40を発振させる発振回路91と、機能素子6としてのサーミスタ素子61が出力するアナログ信号(温度情報)をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター92と、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号が入力される演算回路93と、を備える。また、演算回路93は、温度補償回路931を備え、温度補償回路931は、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号に基づいて周波数制御信号を生成し、発振回路91に出力する。発振回路91は、この周波数制御信号に基づいて温度補償周波数信号を生成して出力する。
【0105】
電子機器10は、発振器として用いられ、例えば、パーソナルコンピューター、デジタルスチールカメラ、スマートフォン、タブレット端末、時計、インクジェットプリンタ、テレビ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワークステーション、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等に内蔵することができる。
【0106】
以上のように、電子機器10は、振動デバイス1と、振動素子40を発振させる発振回路91と、機能素子6が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター92と、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号が入力される演算回路93と、を備える。これにより、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、信頼性の高い電子機器10となる。
【0107】
なお、電子機器10の構成としては特に限定されない。例えば、演算回路93は、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号に基づいて周波数制御信号を生成し、発振回路91に出力する構成となっていなくてもよい。すなわち、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号を周波数補償のために用いなくてもよい。
【0108】
<第12実施形態>
図22は、第12実施形態に係る移動体の回路構成を示すブロック図である。
【0109】
図22に示す移動体としての自動車100は、振動デバイス1と、振動デバイス1と電気的に接続された回路9と、を有する。また、回路9は、振動素子40を発振させる発振回路91と、機能素子6としてのサーミスタ素子61が出力するアナログ信号(温度情報)をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター92と、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号が入力される演算回路93と、を備える。また、演算回路93は、温度補償回路931を備え、温度補償回路931は、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号に基づいて周波数制御信号を生成し、発振回路91に出力する。発振回路91は、この周波数制御信号に基づいて温度補償周波数信号を生成して出力する。
【0110】
電子機器10は、発振器として用いられ、例えば、自動車100に内蔵されたキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)の制御に用いられる。
【0111】
以上のように、移動体としての自動車100は、振動デバイス1と、振動素子40を発振させる発振回路91と、機能素子6が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーター92と、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号が入力される演算回路93と、を備える。これにより、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、信頼性の高い自動車100となる。
【0112】
なお、自動車100の構成としては特に限定されない。例えば、演算回路93は、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号に基づいて周波数制御信号を生成し、発振回路91に出力する構成となっていなくてもよい。すなわち、A/Dコンバーター92が出力するデジタル信号を周波数補償のために用いなくてもよい。また、移動体としては、自動車100に限定されず、例えば、飛行機、船舶、AGV(無人搬送車)、二足歩行ロボット、ドローン等の無人飛行機等にも適用することができる。
【0113】
以上、本適用例にかかる振動デバイス、電子機器および移動体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本適用例はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本適用例に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本適用例は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…振動デバイス、10…電子機器、100…自動車、2…第1基板、21…上面、22…下面、23…凹部、231…底面、232…傾斜面、24…凹部、241…底面、242…傾斜面、3…第2基板、31…上面、32…下面、33…凹部、331…底面、332…傾斜面、4…中間基板、40…振動素子、41…枠部、41A、41B、41C、41D…延在部、42…振動部、43、44…連結部、46…下面、47…上面、5…電極、51…第1励振電極、52…第2励振電極、53…第1引出電極、531…配線、532…接続端子、533…貫通電極、54…第2引出電極、541…配線、542…接続端子、543…貫通電極、6…機能素子、60…機能層、61…サーミスタ素子、611…サーミスタ薄膜、612…パッシベーション膜、62…コンデンサ、621…上部電極、622…下部電極、623…誘電体層、63…インダクタ、631…配線パターン、64…ヒーター素子、641…ヒーター膜、7…振動素子用配線、71…第1振動素子用配線、711…内部配線、711a…部分、712…外部端子、713…貫通電極、716…外部配線、717…貫通電極、72…第2振動素子用配線、721…内部配線、721a…部分、722…外部端子、723…貫通電極、726…外部配線、727…貫通電極、8…機能素子用配線、81…第1機能素子用配線、811…内部配線、811a…部分、812…外部端子、813…貫通電極、814…外部配線、815…貫通電極、816…外部配線、817…貫通電極、82…第2機能素子用配線、821…内部配線、822…外部端子、823…貫通電極、824…外部配線、825…貫通電極、826…外部配線、827…貫通電極、9…回路、91…発振回路、92…A/Dコンバーター、93…演算回路、931…温度補償回路、B1…第1接合部材、B2…第2接合部材、S…内部空間、θ…角度
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