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  • 特許-検出装置及び検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240214BHJP
   G01J 3/32 20060101ALI20240214BHJP
   G03B 42/00 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
H04N23/50
G01J3/32
G03B42/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019135010
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021019317
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】野間 拓耶
(72)【発明者】
【氏名】石河 範明
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/046939(WO,A1)
【文献】特開平05-248955(JP,A)
【文献】特開平10-136237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0021602(US,A1)
【文献】特開平01-101959(JP,A)
【文献】特開2014-223115(JP,A)
【文献】特開2007-316486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G01J 3/32
G03B 42/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の各位置から発せられる光を前記物体の各位置に応じて異なるタイミングで反射する可動反射部と、
前記可動反射部によって反射された前記光に含まれる一部の波長の光を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記一部の波長の光を検出する検出部と、
前記抽出部によって抽出される前記一部の波長の光の波長を切り替える制御部と、
を備える検出装置。
【請求項2】
請求項に記載の検出装置において、
前記可動反射部は、前記制御部によって切り替えられた異なる複数の前記波長ごとに、前記物体の各位置から発せられる前記光を反射する、検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出装置において、
前記可動反射部は、光源から照射された光を反射して、前記物体の各位置に前記光を前記物体の各位置に応じて異なるタイミングで照射する、検出装置。
【請求項4】
請求項に記載の検出装置において、
前記光源から前記物体に向かう光を反射し、前記物体から前記抽出部に向かう光を透過する光分離部をさらに備える検出装置。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の検出装置において、
前記検出部によって検出された前記一部の波長の光に基づいて、前記物体の画像を生成する信号処理部をさらに備える検出装置。
【請求項6】
物体の各位置から発せられる光を前記物体の各位置に応じて異なるタイミングで可動反射部によって反射することと、
前記可動反射部によって反射された前記光に含まれる一部の波長の光を抽出部によって抽出することと、
前記抽出部によって抽出された前記一部の波長の光を検出部によって検出することと、
前記抽出部によって抽出される前記一部の波長の光の波長を制御部によって切り替えることと、
を含む検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び検出方法に関し、特に、物体の特定波長における画像の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物体の特定波長における画像、特に、物体のマルチスペクトル画像を取得するための様々な検出装置が開発されている。特許文献1には、この検出装置の一例について記載されている。この検出装置は、チューナブルフィルタ及びラインセンサを備えている。チューナブルフィルタは、物体から発せられる光に含まれる一部の波長の光を透過する。ラインセンサは、チューナブルフィルタを透過した光を検出する。
【0003】
特許文献2には、赤外線撮像装置の一例が記載されている。この赤外線撮像装置は、可動反射部及びポイントセンサを備えている。可動反射部は、物体の各位置からの赤外線を物体の各位置に応じて異なるタイミングで反射する。ポイントセンサは、可動反射部によって反射された赤外線を検出する。ポイントセンサによって検出された赤外線に基づいて、物体の赤外線画像が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-138652号公報
【文献】特開昭61-219017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、物体の特定波長における画像(例えば、物体の複数波長におけるマルチスペクトル画像)を取得するための新規な方法を検討した。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新規な方法によって物体の特定波長における画像を取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る検出装置は、可動反射部、抽出部及び検出部を備えている。可動反射部は、物体の各位置から発せられる光を物体の各位置に応じて異なるタイミングで反射する。抽出部は、可動反射部によって反射された光に含まれる一部の波長の光を抽出する。検出部は、抽出部によって抽出された光を検出する。
【0008】
本発明に係る検出方法では、物体の各位置から発せられる光を物体の各位置に応じて異なるタイミングで可動反射部によって反射する。さらに、可動反射部によって反射された光に含まれる一部の波長の光を抽出部によって抽出する。さらに、抽出部によって抽出された光を検出部によって検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な方法によって物体の特定波長における画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る検出装置を説明するための図である。
図2】実施形態2に係る検出装置を説明するための図である。
図3】可動反射部の向き(回転角度)を特定する方法の一例を説明するための図である。
図4】可動反射部の向き(回転角度)を特定する方法の他の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る検出装置を説明するための図である。
【0013】
図1を用いて、検出装置の概要を説明する。検出装置は、可動反射部200、抽出部300及び検出部400を備えている。可動反射部200は、物体Oの各位置から発せられる光を物体Oの各位置に応じて異なるタイミングで反射する。抽出部300は、可動反射部200によって反射された光に含まれる一部の波長の光を抽出する。検出部400は、抽出部300によって抽出された光を検出する。
【0014】
本実施形態によれば、新規な方法によって、物体Oの特定波長における画像が取得される。具体的には、本実施形態においては、物体Oの各位置から発せられる光を可動反射部200によって反射することで、物体Oの特定波長における一次元又は二次元の画像が取得される。言い換えると、検出部400が一次元又は二次元の画像を検出するための高価なセンサ(例えば、ラインセンサ)でなくても、物体Oの特定波長における一次元又は二次元の画像が取得される。本実施形態によれば、検出部400は、例えば、安価な単一フォトダイオード、すなわち、ポイントセンサにすることができる。
【0015】
図1を用いて、検出装置の詳細を説明する。
【0016】
検出装置は、光源100、可動反射部200、抽出部300、検出部400、電流電圧変換回路500、信号処理部600、レンズ910、スリット920及びバンドパスフィルタ(BPF)930を備えている。本実施形態において、検出装置とは、光源100を備える検出装置を意味してもよいし、又は光源100を備えない検出装置を意味してもよい。例えば、検出装置の工場出荷時において検出装置が光源100を備えず検出装置の使用場所において光源100が設けられる場合であっても、工場出荷時における検出装置は、本実施形態の技術的範囲に含まれる。
【0017】
光源100は、物体Oに向けて光を照射する。光源100は、例えば、ハロゲンランプである。本実施形態において、光源100から照射される光は、近赤外線以上の波長の光である。ただし、この光は、近赤外線以上の波長以外の光、例えば、赤外線、可視光又は紫外線であってもよい。また、光源100から照射される光は、パルス光であってもよいし、又は連続光であってもよい。光源100は、物体Oの少なくとも一部分(照射領域)に光を照射し、可動反射部200は、物体Oの照射領域の各部分から発せられる光を反射する。
【0018】
光源100は、物体Oに向けて照射する光を走査するための走査部(例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、ポリゴンミラー又はガルバノミラー)を有していてもよい。光源100は、物体Oの各位置に光を照射し、可動反射部200は、光源100の走査部と同期して動き、光源100から照射された光によって物体Oの各位置から発せられる光を反射する。
【0019】
光源100から発せられた光は、物体Oに照射される。この際、光源100から発せられた光は、レンズ910を透過して物体Oに照射されてもよい。この光は、物体Oによって反射され、又は散乱される。物体Oからの反射光又は散乱光は、レンズ910を透過して、可動反射部200に入射する。レンズ910は、例えば、fθレンズである。
【0020】
一例において、可動反射部200は、物体Oのうちの一次元に並んだ各位置から発せられる光を各位置に応じて異なるタイミングで反射する。この例において、可動反射部200は、単一の回転軸に関して回転可能にしてもよく、例えば、1軸MEMSミラー又はポリゴンミラーにしてもよい。この例においては、物体Oを搬送部(例えば、搬送ローラ)によって一方向(例えば、図1の左右方向)に移動させ、この一方向に交わる方向(例えば、図1の紙面に垂直な方向)に並んだ各位置から発せられる光を可動反射部200によって反射して、物体Oの二次元の画像を取得してもよい。
【0021】
他の例において、可動反射部200は、物体Oのうちの二次元に並んだ各位置から発せられる光を各位置に応じて異なるタイミングで反射する。この例において、可動反射部200は、異なる方向を向いた複数の回転軸に関して回転可能にしてもよく、例えば、2軸MEMSミラーにしてもよい。或いは、それぞれが互いに異なる方向に回転可能な複数の可動反射部200(例えば、互いに異なる方向に回転可能な、2つの1軸MEMSミラー又は2つのガルバノミラー)を用いてもよい。この例においては、物体Oを移動させることなく、物体Oの二次元の画像を取得することができる。
【0022】
MEMSミラー、ポリゴンミラー又はガルバノミラーを可動反射部200として用いるとき、可動反射部200を安価に実現することができる。さらに、MEMSミラーを可動反射部200として用いるとき、検出装置を小型化することができる。
【0023】
可動反射部200によって反射された光は、スリット920及びBPF930を順に通過して、抽出部300に入射する。
【0024】
抽出部300は、例えば、波長可変フィルタであり、具体的には、例えば、ファブリペロー干渉計である。抽出部300によって抽出可能な光の波長は、制御部310によって制御されている。可動反射部200は、制御部310によって切り替えられた異なる複数の波長ごとに、物体Oの各位置から発せられる光を反射する。このようにして、検出装置は、物体Oのマルチスペクトル画像を取得することができる。すなわち、検出装置は、分光装置として機能することができる。
【0025】
検出装置によって取得される画像は、物体Oのマルチスペクトル画像に限定されず、物体Oの特定波長(例えば、単一波長)における画像であってもよい。例えば、物体Oの画像について抽出すべき所望の波長が予め決定されているとき、制御部310は、抽出部300によって抽出可能な光の波長を切り替えることなく、抽出部300によって抽出可能な光をこの所望の波長に固定してもよい。或いは、検出装置は、抽出部300及び制御部310を備えていなくてもよく、BPF930によって上記所望の波長の光を抽出してもよい。言い換えると、BPF930が抽出部300として機能してもよい。
【0026】
検出部400は、例えば、単一フォトダイオード、すなわち、ポイントセンサである。検出部400が近赤外線以上の波長の光を検出するとき、検出部400は、例えば、InGaAsフォトダイオードである。本実施形態においては、可動反射部200のため、検出部400がラインセンサでなくても、物体Oの一次元又は二次元の画像が得られる。すなわち、近赤外線以上の波長の光の画像を得るときであっても、高価なInGaAsフォトダイオードアレイ(ラインセンサ)を用いる必要がない。
【0027】
電流電圧変換回路500は、アンプ510及び帰還抵抗520を有している。検出部400に光が照射されると、検出部400に電流が流れる。検出部400に流れた電流は、電流電圧変換回路500によって電圧に変換される。電流電圧変換回路500の増幅率は、帰還抵抗520によって決定される。
【0028】
信号処理部600は、電流電圧変換回路500から出力された電圧をアナログ-デジタル変換し、検出部400によって検出された光に基づいて、物体Oの画像を生成する。信号処理部600は、検出部400によって検出された光が物体Oのどの位置から発せられたかを特定して、物体Oの画像を生成することができる。検出部400によって検出された光が物体Oのどの位置から発せられたかは、例えば、可動反射部200の向き(回転角度)に基づいて特定することができる。可動反射部200の向き(回転角度)は、例えば、可動反射部200自体の測定(例えば、可動電極と検出電極との間の静電容量の変化又は可動電極を支持する梁に設けられた圧電素子の抵抗の変化の測定)から特定してもよいし、又は図3若しくは図4を用いて後述する方法によって特定してもよい。
【0029】
(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る検出装置を説明するための図である。実施形態2に係る検出装置は、以下の点を除いて、実施形態1に係る検出装置と同様である。
【0030】
可動反射部200は、光源100から照射された光を反射して、物体Oの各位置にこの光を物体Oの各位置に応じて異なるタイミングで照射する。さらに、可動反射部200は、光源100から照射された光によって物体Oの各位置から発せられる光を反射する。したがって、物体Oを可動反射部200によって一次元又は二次元に走査することができる。
【0031】
検出装置は、光分離部700を備えている。光分離部700は、例えば、ハーフミラーである。光分離部700は、光源100から物体Oに向かう光を反射し、物体Oから抽出部300に向かう光を透過する。具体的には、光分離部700は、可動反射部200と抽出部300との間の光路上に位置している。光源100から照射された光は、光分離部700によって可動反射部200に向けて反射される。物体Oから発せられて可動反射部200によって反射された光は、光分離部700を透過して抽出部300に入射する。このような構成においては、同軸落射照明によって物体Oに光を照射することができる。したがって、物体Oが例えば金属等の鏡面であったとしても、正反射による影響を抑えて十分な量の光を物体Oから検出することができる。
【0032】
図3は、可動反射部200の向き(回転角度)を特定する方法の一例を説明するための図である。
【0033】
図3では、光源100から照射された光が可動反射部200によって物体O及びその周辺に向けて反射され、検出素子810(例えば、フォトダイオード)が物体Oの周辺に設けられている。図3の左側図内の破線は、可動反射部200によって反射された光の照射位置を示している。図3の右側図は、可動反射部200の回転角度θの推移を示すグラフである。可動反射部200は、周期Tで振動しており、可動反射部200によって反射された光は、可動反射部200の回転角度θ1において検出素子810によって検出される。
【0034】
信号処理部600は、可動反射部200の振動周期T又は振動周波数1/Tと、可動反射部200によって反射された光の検出素子810の検出タイミングと、を用いて、可動反射部200の向き(回転角度)を特定することができる。可動反射部200の振動周期Tが既知で一定のとき、検出素子810の検出タイミングの間隔Δt1は、可動反射部200の振動の振幅に応じて変動する。すなわち、可動反射部200の振動周期Tが既知で一定のとき、間隔Δt1を用いて、可動反射部200の回転の振幅を推定することができる。これによって、可動反射部200の向き(回転角度)を特定することができる。
【0035】
図4は、可動反射部200の向き(回転角度)を特定する方法の他の一例を説明するための図である。図4に示す例は、以下の点を除いて、図3に示す例と同様である。
【0036】
図4では、検出素子810(図3)に代えて発光素子820(例えば、発光ダイオード)が物体Oの周辺に設けられている。可動反射部200は、図4の左側図内の破線の各位置から発せられる光を反射する。図4の右側図は、可動反射部200の回転角度θの推移を示すグラフである。可動反射部200は、周期Tで振動しており、発光素子820から発せられた光は、可動反射部200の回転角度θ2において可動反射部200に入射する。
【0037】
信号処理部600は、可動反射部200の振動周期T又は振動周波数1/Tと、発光素子820から発せられた光の可動反射部200の受信タイミングと、を用いて、可動反射部200の向き(回転角度)を特定することができる。可動反射部200の振動周期Tが既知で一定のとき、可動反射部200の受信タイミングの間隔Δt2は、可動反射部200の振動の振幅に応じて変動する。すなわち、可動反射部200の振動周期Tが既知で一定のとき、間隔Δt2を用いて、可動反射部200の回転の振幅を推定することができる。これによって、可動反射部200の向き(回転角度)を特定することができる。
【0038】
発光素子820から発せられて可動反射部200によって受信された光は、検出部400によって検出してもよいし、又はビームスプリッタを用いて、検出部400とは異なる検出部によって検出してもよい。
【0039】
図4に示す例においては、光源100から照射された光を可動反射部200によって走査しない場合であっても、可動反射部200の向き(回転角度)を特定することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 光源
200 可動反射部
300 抽出部
310 制御部
400 検出部
500 電流電圧変換回路
510 アンプ
520 帰還抵抗
600 信号処理部
700 光分離部
810 検出素子
820 発光素子
910 レンズ
920 スリット
930 バンドパスフィルタ(BPF)
O 物体
図1
図2
図3
図4