(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】熱管理装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240214BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20240214BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20240214BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20240214BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/32 613E
B60H1/22 671
F25B39/04 Y
F25B43/00 M
F25B1/00 399Y
(21)【出願番号】P 2019136355
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三枝 弘
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 淳
(72)【発明者】
【氏名】多田 和弘
【審査官】佐藤 正浩
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60H 1/32
F25B 39/04
F25B 43/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吸入して圧縮して吐出するコンプレッサ(10)と、
前記コンプレッサから吐出される前記冷媒から放熱させる第1放熱器(12)と、
前記第1放熱器を通過した前記冷媒から空気流に放熱させる第2放熱器(16A)と、
前記第1放熱器を通過した前記冷媒を減圧する第1減圧弁(20a)および第2減圧弁(20b)と、
前記第1減圧弁を通過した前記冷媒を蒸発させる蒸発器(20)と、
前記第2減圧弁を通過した前記冷媒を熱媒体から吸熱させることにより蒸発させるチラー(24)と、
前記第1放熱器を通過した前記冷媒を前記第2放熱器を迂回して前記第1減圧弁および前記第2減圧弁に流すバイパス冷媒通路(18)と、
前記第1放熱器の冷媒出口および前記第2放熱器の冷媒入口の間を開けて、かつ前記バイパス冷媒通路を閉じた第1状態と、前記第1放熱器の前記冷媒出口および前記第2放熱器の前記冷媒入口の間を閉じて、かつ前記バイパス冷媒通路を開けた第2状態とのうちいずれか一方の状態に設定する切換弁(14)と、
前記熱媒体と前記空気流との間で熱交換させるラジエータ(16B)と、
前記チラーおよび前記ラジエータの間で前記熱媒体を循環させるための熱媒体回路(53)と、
前記第2放熱器および前記ラジエータを接続するための接続部(135c)と、を備え、
前記切換弁が前記第1状態に設定した第1モードでは、前記第2放熱器内の前記冷媒が前記接続部および前記ラジエータを介して前記空気流に放熱し、
前記切換弁が前記第2状態に設定した状態で前記熱媒体回路内の前記熱媒体が循環している第2モードでは、前記ラジエータ内の前記熱媒体が前記接続部および前記第2放熱器を介して前記空気流から吸熱する熱管理装置。
【請求項2】
前記熱媒体に放熱する発熱体(48、46)と、
前記熱媒体回路を第1熱媒体回路としたとき、前記発熱体および前記ラジエータの間で前記熱媒体を循環させるための第2熱媒体回路(52)と、を備え、
前記第1モードでは、前記第2熱媒体回路で前記熱媒体が循環している状態で、前記ラジエータが前記空気流に放熱する請求項1に記載の熱管理装置。
【請求項3】
前記発熱体を第1発熱体としたとき、前記熱媒体に放熱する第2発熱体(42)と、
前記第2発熱体および前記チラーの間で前記熱媒体を循環させるための第3熱媒体回路(50)と、を備える請求項2に記載の熱管理装置。
【請求項4】
前記ラジエータは、室外に配置されており、
前記切換弁が前記第1状態に設定して前記第2発熱体が前記熱媒体に放熱する状態で前記第3熱媒体回路内で前記熱媒体が循環している第3モードでは、前記第2発熱体から前記熱媒体に与えられ
た熱が前記チラーを介して前記冷媒に移動され、
前記第2放熱器内の前記冷媒が前記接続部を通して前記ラジエータに放熱して前記ラジエータに付着した霜を融かす請求項3に記載の熱管理装置。
【請求項5】
前記第2放熱器は、前記ラジエータに対して前記空気流の上流側に配置されている請求項3に記載の熱管理装置。
【請求項6】
前記第2放熱器は、
前記冷媒から前記熱媒体に放熱させて前記冷媒を凝縮させる凝縮部(100)と、
前記凝縮部を通過した前記冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して前記液相冷媒を排出する気液分離部(120)と、
前記気液分離部から排出される前記液相冷媒を過冷却する過冷却部(110)と、
を備える請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱管理装置。
【請求項7】
前記第2モードでは、前記第1放熱器が前記冷媒から放熱させ、
前記第1モードでは、前記第2放熱器が前記冷媒から前記空気流に放熱させる請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプシステムにおいて、コンプレッサ、室内コンデンサ、第1膨張弁、第2膨張弁、室外器、室内蒸発器、および切換弁を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
暖房時には、コンプレッサから吐出される冷媒を室内コンデンサ→第1膨張弁→室外器→コンプレッサの順に流す。冷房時では、コンプレッサから吐出される冷媒を室外器→第2膨張弁→室内蒸発器→コンプレッサの順に流す。切換弁は、暖房モード時の冷媒回路と冷房モード時の冷媒回路とを切り替える。
【0004】
このようなヒートポンプシステムでは、暖房時には、室外器は、冷媒が外気から吸熱して冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。冷房時には、室外器は、冷媒から外気に放熱して冷媒を凝縮させる放熱器として機能する。
【0005】
室外器は、冷媒から外気に放熱して冷媒を凝縮させる凝縮部と、凝縮部を通過した気液二相冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して気相冷媒を貯めつつ液相冷媒を排出する気液分離部とを備える。
【0006】
室外器は、気液分離部から排出される液相冷媒から外気に放熱して液相冷媒を過冷却させる過冷却部を備える。このことにより、冷凍サイクルにおいて適度な過冷却度を設定することにより、冷房時の熱交換効率を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者の検討によれば、上記ヒートポンプシステムにおいて、冷房時の熱交換効率を向上するためには、凝縮部の冷媒流路の断面積よりも、過冷却部の冷媒流路の断面積を小さくすることが望ましい。
【0009】
しかし、暖房時には、過冷却部における断面積が小さい冷媒流路を、乾き度が100パーセントに近い気液二相冷媒が流れる。このため、過冷却部を冷媒が通過する際に生じる圧力損失が著しく大きくなる虞がある。したがって、暖房時に室外器を蒸発器として機能させる場合には、過冷却部において外気および冷媒の間の熱交換効率が低下する。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、熱交換効率を向上するようにした熱管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷媒を吸入して圧縮して吐出するコンプレッサ(10)と、
コンプレッサから吐出される冷媒から放熱させる第1放熱器(12)と、
第1放熱器を通過した冷媒から空気流に放熱させる第2放熱器(16A)と、
第1放熱器を通過した冷媒を減圧する第1減圧弁(20a)および第2減圧弁(20b)と、
第1減圧弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器(20)と、
第2減圧弁を通過した冷媒を熱媒体から吸熱させることにより蒸発させるチラー(24)と、
第1放熱器を通過した冷媒を第2放熱器を迂回して第1減圧弁および第2減圧弁に流すバイパス冷媒通路(18)と、
第1放熱器の冷媒出口および第2放熱器の冷媒入口の間を開けて、かつバイパス冷媒通路を閉じた第1状態と、第1放熱器の冷媒出口および第2放熱器の冷媒入口の間を閉じて、かつバイパス冷媒通路を開けた第2状態とのうちいずれか一方の状態に設定する切換弁(14)と、
熱媒体と空気流との間で熱交換させるラジエータ(16B)と、
チラーおよびラジエータの間で熱媒体を循環させるための熱媒体回路(53)と、
第2放熱器およびラジエータを接続するための接続部(135c)と、を備え、
切換弁が第1状態に設定した第1モードでは、第2放熱器内の冷媒が接続部およびラジエータを介して空気流に放熱し、
切換弁が第2状態に設定した状態で熱媒体回路内の熱媒体が循環している第2モードでは、ラジエータ内の熱媒体が接続部および第2放熱器を介して空気流から吸熱する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、第1モードでは、第2放熱器内の冷媒が接続部およびラジエータを介して空気に放熱する。このため、冷媒が第2放熱器およびラジエータから空気に放熱することができる。したがって、ラジエータおよび第2放熱器のうち第2放熱器だけで、冷媒が空気に放熱する場合に比べて、冷媒および空気流の間の熱交換効率を向上することができる。
【0013】
第2モードでは、ラジエータは、熱媒体が接続部および第2放熱器を介して空気から吸熱する。このため、熱媒体がラジエータおよび第2放熱器を介して空気から吸熱することができる。したがって、ラジエータおよび第2放熱器のうちラジエータだけで、熱媒体が空気流から吸熱する場合に比べて、熱媒体および空気流の間の熱交換効率を向上することができる。
【0014】
以上により、熱交換効率を向上するようにした熱管理装置を提供することができる。
【0015】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態における車載用熱管理装置の冷凍サイクルおよび冷却水回路の全体構成を示す図である。
【
図2】
図1中バッテリユニットにおいる二次電池、冷却器、および電気ヒータの配置関係を示すための部分拡大図である。
【
図3】
図1中の室外器の空気/冷媒熱交換器のうち熱交換コアおよび各タンクの配置関係、および冷媒の流れ方向を示す図である。
【
図4】
図1中の室外器の空気/冷却水熱交換器のうち熱交換コアおよび各タンクの配置関係、および冷媒の流れ方向を示す図である。
【
図5】
図1中の空気/冷却水熱交換器および空気/冷媒熱交換器を構成する複数の冷媒チューブ、および複数の熱交換フィンを示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の冷房モードにおける冷凍サイクルの冷媒流れ、および冷却水回路の冷却水の流れを示す図である。
【
図7】第1実施形態の暖房モードにおける冷凍サイクルの冷媒流れ、および冷却水回路の冷却水の流れを示す図である。
【
図8】第1実施形態のヒータモードにおける冷凍サイクルの冷媒流れ、および冷却水回路の冷却水の流れを示す図である。
【
図9】第1実施形態の除霜モードにおける冷凍サイクルの冷媒流れ、および冷却水回路の冷却水の流れを示す図である。
【
図10】第2実施形態における車載用熱管理装置の冷凍サイクルおよび冷却水回路の全体構成を示す図である。
【
図11】第3実施形態における車載用熱管理装置の冷凍サイクルおよび冷却水回路の全体構成を示す図である。
【
図12】第4実施形態における車載用熱管理装置の冷凍サイクルおよび冷却水回路の全体構成を示す図である。
【
図13】第5実施形態における車載用熱管理装置の冷凍サイクルおよび冷却水回路の全体構成を示す図であり、除霜モードにおける冷凍サイクルの冷媒流れ、および冷却水回路の冷却水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態の相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本第1実施形態の車載用熱管理装置1の構成を示す。本実施形態の車載用熱管理装置1は、
図1に示すように、コンプレッサ10、室内コンデンサ12、三方弁14、室外器16、バイパス冷媒通路18、膨張弁20a、20b、エバポレータ20、チラー24、アキュムレータ26、および圧力調整弁28を備える。
【0019】
本実施形態の車載用熱管理装置1は、ポンプ36a、36b、開閉弁38a、38b、38c、38d、三方弁40、電気ヒータ42、バッテリユニット44、モータジェネレータ46、およびインバータ48を備える。
【0020】
コンプレッサ10は、冷媒を吸入して圧縮して吐出する。本実施形態のコンプレッサ10は、圧縮機構と、この圧縮機構を駆動する電動機とを備える電動コンプレッサである。
【0021】
室内コンデンサ12は、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒と空気流との間の熱交換によって高圧冷媒から空気流に放熱する第1放熱器である。室内コンデンサ12は、室内空調ケーシング2内に配置されている。
【0022】
室内空調ケーシング2は、室内コンデンサ12、エバポレータ20、エアミックスドア5、送風機4等とともに、車室内を空調する室内空調装置を構成する。なお、
図1等には、送風機4として、軸流ファンが図示されているが、実際には、例えば、遠心ファンが用いられる。
【0023】
室内空調ケーシング2は、車室内の車両進行方向前側のインストルメントパネルの内側に配置されている。送風機4は、室内空調ケーシング2内にて車室内に向けて空気流を発生させる。
【0024】
エアミックスドア5は、室内空調ケーシング2のうちエバポレータ20から送風される冷風のうち室内コンデンサ12を通過する空気量とバイパス通路3を通過する空気量との比率を調整する。
【0025】
エアミックスドア5として、フィルムドア、スライドドア、板ドア、ロータリドア等の各種のドアを用いることができる。
図1等には、エアミックスドア5としてのフィルムドアが図示されている。
【0026】
バイパス通路3は、室内空調ケーシング2のうちエバポレータ20からの冷風を室内コンデンサ12をバイパスして車室内に向けて流すバイパス通路である。
【0027】
三方弁14は、膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口、および空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口のうちいずれか一方の冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを接続し、他方の冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口との間を閉じる弁体を備える。
【0028】
ここで、他方の冷媒入口とは、膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口、および室外器16の空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口のうち一方の冷媒入口以外の残りの冷媒入口のことである。
【0029】
本実施形態の三方弁14は、後述するように第1状態と第2状態のうちいずれか一方に設定する切換弁である。第1状態は、室内コンデンサ12の冷媒出口と空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口との間が開けられ、かつバイパス通路3を開けた状態である。
【0030】
第2状態は、室内コンデンサ12の冷媒出口と空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口との間を閉じ、かつバイパス通路3を閉じた状態である。三方弁14の弁体は、電動アクチュエータによって駆動される。電動アクチュエータは、電子制御装置32によって制御される。なお、
図1において、電子制御装置32をECUと記す。
【0031】
三方弁14は、室内コンデンサ12の冷媒出口に接続されている冷媒入口と、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口に接続されている第1冷媒出口と、膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口に接続されている第2冷媒出口とを備える。
【0032】
室外器16は、車両においてエンジンルーム内に配置されている第1放熱器である。エンジンルームは、車室よりも車両進行方向前側に配置されて、電動機やエンジン等の走行駆動源等を収納する収納室である。
このことにより、室外器16は、車両のうち車室外(すなわち、室外)に配置されていることになる。
【0033】
具体的には、室外器16は、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを備える。空気/冷媒熱交換器16Aは、室内コンデンサ12から三方弁14を通して流入される冷媒と送風機16Cにより送風される空気流との間の熱交換によって冷媒から空気流に放熱する第2放熱器である。
【0034】
空気/冷却水熱交換器16Bは、後述するように、冷却水と送風機16Cにより送風される空気流との間で熱交換するラジエータである。冷却水は、後述するように熱を移動させるために用いられる熱媒体である。空気/冷却水熱交換器16Bは、冷却水が入る、或いは冷却水を排出する冷却水出入口160、161を備える。
【0035】
本実施形態では、後述するように、空気/冷却水熱交換器16Bに流れる冷却水の流れ方向が空調モードによって変わる。空気/冷却水熱交換器16Bは、空気/冷媒熱交換器16Aに対して車両進行方向前側に配置されている。
【0036】
空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bは、互いに熱的に接続されている。空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bの具体的な構造の説明は後述する。
【0037】
送風機16Cは、エンジンルーム内において、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bに対して車両進行方向後側に配置されている。送風機16Cは、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通過する空気流(すなわち、外気流)を発生せるための電動ファンである。
【0038】
空気/冷却水熱交換器16Bは、空気/冷媒熱交換器16Aに対して空気流れ方向上流側に配置されている。送風機16Cは、電子制御装置32によって制御される。バイパス冷媒通路18は、三方弁14の第2冷媒出口と膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口との間に接続されている。第2冷媒出口は、上述したように、三方弁14において、膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口に接続されている冷媒出口である。
【0039】
バイパス冷媒通路18は、室内コンデンサ12から三方弁14を通して流れる冷媒を室外器16の空気/冷媒熱交換器16Aをバイパスして膨張弁20a、20bのそれぞれの冷媒入口に流す冷媒通路である。
【0040】
膨張弁20aは、バイパス冷媒通路18および空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口の共通接続部19と、エバポレータ20の冷媒入口との間の冷媒通路の流路断面積(つまり、絞り開度)を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。
【0041】
弁体は、電動アクチュエータを介して電子制御装置32によって制御されている。膨張弁20aは、バイパス冷媒通路18、或いは空気/冷媒熱交換器16Aからエバポレータ20の冷媒入口に流れる冷媒を減圧するための第1減圧弁である。
【0042】
エバポレータ20は、室内空調ケーシング2のうち室内コンデンサ12に対して空気流れ方向の上流側に配置されている蒸発器である。エバポレータ20は、膨張弁20aを通過した冷媒と空気流との間で熱交換して空気流から吸熱して冷媒を蒸発させる熱交換器である。
【0043】
膨張弁20bは、バイパス冷媒通路18および空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口の共通接続部19と、チラー24の冷媒入口との間の冷媒通路の流路断面積(つまり、絞り開度)を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。
【0044】
弁体は、電動アクチュエータを介して電子制御装置32によって制御されている。膨張弁20bは、バイパス冷媒通路18、或いは空気/冷媒熱交換器16Aからチラー24の冷媒入口に流れる冷媒を減圧するための第2減圧弁である。
【0045】
膨張弁20a、20bは、バイパス冷媒通路18および空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口の共通接続部19とコンプレッサ10の冷媒入口との間において冷媒流れ方向に対して並列に配置されている。チラー24は、膨張弁20bを通過した冷媒と冷却水との間で熱交換して冷媒が冷却水から吸熱する水/冷媒熱交換器である。
【0046】
アキュムレータ26は、チラー24、或いはエバポレータ20を通過した気液二相冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して液相冷媒を貯めつつ気相冷媒をコンプレッサ10の冷媒入口に導くための気液分離器である。圧力調整弁28は、エバポレータ20内の冷媒温度を所定温度に近づけるために、エバポレータ20内の冷媒圧力を所定圧力に近づける役割を果たす。
【0047】
電子制御装置32は、圧力センサ30a、30bの出力信号等を用いてコンプレッサ10、膨張弁20a、20b等を制御する。圧力センサ30aは、室内コンデンサ12を通過した高圧冷媒の圧力を検出する圧力センサである。圧力センサ30bは、チラー24を通過した低圧冷媒の圧力を検出する圧力センサである。
【0048】
チラー24は、ポンプ36a、バッテリユニット44とともに、冷却水回路50、53等を構成する。ポンプ36aは、冷却水回路50内の冷却水を循環させる第2ポンプである。
【0049】
冷却水回路50は、ポンプ36aからの冷却水をチラー24→バッテリユニット44、電気ヒータ42→ポンプ36aの順に循環させるための冷却水回路である。
【0050】
すなわち、冷却水回路50は、チラー24および電気ヒータ42の間で冷却水を循環させるための第3熱媒体回路である。ポンプ36aは、電子制御装置32によって制御される電動ポンプである。
【0051】
バッテリユニット44は、
図2に示すように、二次電池44aおよび熱交換器44bを備える。二次電池44aは、モータジェネレータ46へ電力供給するための直流電力を蓄える。二次電池44aは、冷却水から熱を受ける受熱部としても機能する。なお、
図1等において、バッテリユニット44を「Batt」と記す。
【0052】
熱交換器44bは、二次電池44aと冷却水との間で熱交換する熱交換器である。熱交換器44bには、冷却水が入る、或いは冷却水を排出する冷却水出入口70、71が設けられている。なお、熱交換器44bに流れる方向は、後述するように、作動によって変わる。
【0053】
電気ヒータ42は、熱交換器44bに配置されている。電気ヒータ42は、熱交換器44bを流れる冷却水を加熱する第2発熱体である。電気ヒータ42は、電子制御装置32によって制御される。なお、
図1等において、電気ヒータ42を「EHTR」と記す。
【0054】
開閉弁38bは、チラー24の冷却水出口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口71との間を開閉する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。弁体は、電動アクチュエータを介して電子制御装置32によって制御される。
【0055】
開閉弁38dは、ポンプ36aの冷却水入口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70との間を開閉する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。
【0056】
ポンプ36bは、バッテリユニット44、モータジェネレータ46、およびインバータ48とともに冷却水回路51を構成する第1ポンプである。
【0057】
ポンプ36bは、冷却水回路51内の冷却水を循環させる。冷却水回路51は、ポンプ36bからの冷却水をバッテリユニット44の熱交換器44b→インバータ48の冷却器48a→モータジェネレータ46の冷却器46a→ポンプ36bの順に循環させるための第2熱媒体回路である。
【0058】
インバータ48は、インバータ48を構成する複数の半導体素子から冷却水に放熱させる熱交換器としての冷却器48aを備える第1発熱体である。なお、
図1等において、インバータ48を「INV」と記す。
【0059】
モータジェネレータ46は、車両の駆動輪を駆動する走行用電動機と冷却器46aとを備える第1発熱体である。走行用電動機は、車両の駆動輪の回転によって発電する発電機としても機能する。冷却器46aは、走行用電動機から冷却水に放熱させる熱交換器である。ポンプ36bは、電子制御装置32によって制御される。
【0060】
チラー24は、ポンプ36a、および空気/冷却水熱交換器16Bとともに冷却水回路53を構成する。ポンプ36aは、冷却水回路53内の冷却水を循環させる。冷却水回路53は、ポンプ36aからの冷却水をチラー24→開閉弁38a→空気/冷却水熱交換器16B→開閉弁38c→ポンプ36aの順に循環させるための第1熱媒体回路である。
【0061】
三方弁40は、空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160およびバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70のうち一方とポンプ36bの冷却水出口との間を開ける。
【0062】
三方弁40は、空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160およびバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70のうち一方以外他方とポンプ36bの冷却水出口との間を閉じる。三方弁40は、電子制御装置32によって制御される。
【0063】
開閉弁38aは、チラー24の冷却水出口および空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口161の間を開閉する弁体と、この弁体を駆動するための電動アクチュエータとを備える。
【0064】
開閉弁38cは、ポンプ36aの冷却水入口および空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160の間を開閉する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。開閉弁38a、38cは、電子制御装置32によって制御される。
【0065】
このように構成される冷却水回路50、51、52には、冷却水温度センサ50a、50b、50cが設けられている。
【0066】
冷却水温度センサ50aは、チラー24から流れ出る冷却水温度を検出する温度センサである。冷却水温度センサ50bは、インバータ48の冷却器48aに流入する冷却水温度を検出する温度センサである。
【0067】
冷却水温度センサ50cは、バッテリユニット44の熱交換器44bから流れ出る冷却水温度を検出する温度センサである。冷却水温度センサ50a、50b、50cの検出信号は、電子制御装置32が開閉弁38a、38b、38c、38d等を制御する際に用いられる。
【0068】
次に、本実施形態の空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bの具体的な構造について
図3、
図4、
図5を参照して説明する。
【0069】
図3、
図4、
図5は、説明の便宜上、XYZ座標が設定されている例を示している。XYZ座標におけるX方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれ互いに直交する方向である。
【0070】
空気/冷媒熱交換器16Aは、
図3に示すように、凝縮部100、過冷却部110、および気液分離部120を備える。凝縮部100は、タンク101a、101b、101c、101d、熱交換パス部102a、102b、102cを備える。
【0071】
タンク101a、101bは、熱交換パス部102a、102b、102cに対してX方向一方側に配置されている。タンク101c、101dは、熱交換パス部102a、102b、102cに対してX方向他方側に配置されている。
【0072】
熱交換パス部102aは、X方向に延びる複数の冷媒チューブ130aを備える。熱交換パス部102bは、X方向に延びる複数の冷媒チューブ130aを備える。熱交換パス部102cは、X方向に延びる複数の冷媒チューブ130aを備える。
【0073】
熱交換パス部102a、102b、102cにおける複数の冷媒チューブ130aは、Z方向に並べられている。熱交換パス部102aは、熱交換パス部102bに対してZ方向一方側に配置されている。熱交換パス部102bは、熱交換パス部102cに対してZ方向一方側に配置されている。
【0074】
タンク101aは、冷媒を熱交換パス部102aの複数の冷媒チューブ130aに分配する。タンク101cは、熱交換パス部102aの複数の冷媒チューブ130aを通過した冷媒を回収して熱交換パス部102bの複数の冷媒チューブ130aに分配する。
【0075】
タンク101bは、熱交換パス部102bの複数の冷媒チューブ130aを通過した冷媒を回収して熱交換パス部102cの複数の冷媒チューブ130aに分配する。タンク101dは、熱交換パス部102cの複数の冷媒チューブ130aを通過した冷媒を回収して気液分離部120に導く。
【0076】
気液分離部120は、タンク101dからの冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を貯めつつ液相冷媒を過冷却部110のタンク111bに導く役割を果たす。過冷却部110は、凝縮部100に対してZ方向他方側に配置されている。過冷却部110は、タンク111a、111bおよび熱交換パス部111cを備える。
【0077】
タンク111aは、タンク101bに対してZ方向他方側に配置されている。タンク111bは、タンク101dに対してZ方向他方側に配置されている。タンク111bは、気液分離部120からの液相冷媒を熱交換パス部111cの複数の冷媒チューブ130aに分配する。
【0078】
タンク111aは、熱交換パス部111cの複数の冷媒チューブ130aを通過した液相冷媒を回収して膨張弁20a、20bに導くための役割を果たす。本実施形態の過冷却部110の複数の冷媒チューブ130aの流路断面積は、凝縮部100の複数の冷媒チューブ130aの流路断面積よりも小さくなっている。
【0079】
本実施形態の熱交換パス部102a、102b、102c、111cは、それぞれ、複数の熱交換フィン135aとともに、熱交換コア140を構成する。
【0080】
空気/冷却水熱交換器16Bは、
図4に示すように、タンク120a、120b、および熱交換コア120cを備える。
【0081】
熱交換コア120cは、X方向に延びる複数の冷却水チューブ130b、および複数の熱交換フィン135bを備える。複数の冷却水チューブ130bは、Z方向に並べられている。
【0082】
タンク120aは、熱交換コア120cに対してX方向一方側に配置されている。タンク120aは、熱交換コア120cの複数の冷却水チューブ130bに冷却水を分配する。タンク120bは、熱交換コア120cに対してX方向一方側に配置されている。タンク120bは、熱交換コア120cの複数の冷却水チューブ130bを通過した冷却水を回収する。
【0083】
図5は、本実施形態の冷媒チューブ130a、冷却水チューブ130b、および熱交換フィン135a、135bの配置関係を示している。
【0084】
複数の冷媒チューブ130aのうち隣り合う2つの冷媒チューブ130aの間には、熱交換フィン135aが配置されている。複数の冷却水チューブ130bのうち隣り合う2つの冷却水チューブ130bの間には、熱交換フィン135bが配置されている。
【0085】
複数の冷媒チューブ130aは、それぞれ、複数の冷却水チューブ130bのうち対応する1つの冷却水チューブ130bに対してY方向一方側に配置されている。熱交換フィン135aは、それぞれ、複数の熱交換フィン135bのうち対応する1つの熱交換フィン135bに対してY方向一方側に配置されている。
【0086】
本実施形態の熱交換フィン135aは、それぞれ、複数の熱交換フィン135bのうち対応する1つの熱交換フィン135bに接続部135cを介して接続されている。すなわち、熱交換フィン135aと熱交換フィン135bとが接続部135cによって接続されている。
【0087】
ここで、熱交換フィン135a、135b、冷却水チューブ130b、複数の接続部135c、および複数の冷媒チューブ130aは、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。
【0088】
次に、本実施形態の車載用熱管理装置1において各空調モードの作動について別々に
図6~
図9を参照して説明する。各空調モードとしては、冷房モード、暖房モード、ヒータモード、および除霜モードが用いられる。
【0089】
(冷房モード)
まず、冷房モード(すなわち、第1モード)では、電子制御装置32は、開閉弁38a、38cをそれぞれ閉弁して、開閉弁38b、38dをそれぞれ開弁する。
【0090】
これに加えて、電子制御装置32は、膨張弁20aを制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口とエバポレータ20の冷媒入口の間の冷媒通路の流路断面積を調整する。電子制御装置32は、膨張弁20bを制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口とチラー24の冷媒入口の間の冷媒通路の流路断面積を調整する。
【0091】
電子制御装置32は、三方弁14を制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒出口と室内コンデンサ12の冷媒出口との間を開けて、バイパス冷媒通路18を閉じる。電子制御装置32は、送風機16Cを制御して空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通過する空気流を発生させる。
【0092】
さらに、電子制御装置32は、コンプレッサ10を制御してコンプレッサ10による冷媒の圧縮を開始する。これに伴い、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒は、室内コンデンサ12を通過する。
【0093】
この場合、エアミックスドア5が室内コンデンサ12の空気入口を閉じて、バイパス通路3を開けた状態にする。このため、エバポレータ20からの冷風は、バイパス通路3を通過して車室内に吹き出される。
【0094】
室内コンデンサ12を通過した高圧冷媒は、三方弁14を通して空気/冷媒熱交換器16Aに流れる。この際に、空気/冷媒熱交換器16Aでは、高圧冷媒が送風機16Cによって送風される空気流に放熱する。
【0095】
空気/冷媒熱交換器16Aを通過した高圧冷媒の一部は、膨張弁20aによって減圧される。この膨張弁20aによって減圧された冷媒は、エバポレータ20に流れる。このエバポレータ20では、送風機4から送風される空気流から冷媒が吸入して蒸発する。
【0096】
この蒸発した冷媒は、その圧力が圧力調整弁28によって調整される。この圧力が調整された冷媒は、アキュムレータ26に流れる。
【0097】
一方、空気/冷媒熱交換器16Aを通過した高圧冷媒のうち膨張弁20aに流れる冷媒以外の残りの冷媒は、膨張弁20bに流れる。この流れた冷媒は、膨張弁20bによって減圧される。
【0098】
この膨張弁20bによって減圧された冷媒は、チラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸入して蒸発する。この蒸発した冷媒は、アキュムレータ26に流れる。このアキュムレータ26に流れる冷媒は、液相冷媒と気相冷媒とに分離されて液相冷媒がコンプレッサ10の冷媒入口に流入される。
【0099】
このように冷媒がコンプレッサ10→室内コンデンサ12→三方弁14→空気/冷媒熱交換器16A→膨張弁20a→エバポレータ20→圧力調整弁28→アキュムレータ26→コンプレッサ10の順に流れる。
【0100】
これに加えて、空気/冷媒熱交換器16Aからの冷媒が膨張弁20b→チラー24→アキュムレータ26の順に流れる。
【0101】
また、冷却水回路50では、ポンプ36aから流れる冷却水がチラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸熱する。この吸熱された冷却水が開閉弁38bを通過してからバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口71に流れる。
【0102】
電子制御装置32は、電気ヒータ42を停止する。この場合、熱交換器44bでは、冷却水が二次電池44aから放出される熱を受ける。この二次電池44aから放熱された冷却水は、開閉弁38dを通してポンプ36aに流入される。
【0103】
このため、ポンプ36a→チラー24→開閉弁38b→熱交換器44b→開閉弁38d→ポンプ36aの順に冷却水が流れる。すなわち、チラー24および熱交換器44bの間で冷却水が循環される。このため、チラー24において、二次電池44aから発生した熱が冷媒に放出されることになる。
【0104】
電子制御装置32は、三方弁40を制御して、ポンプ36bの冷却水出口と空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160との間を開けて、ポンプ36bの冷却水出口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70との間を閉じる。
【0105】
このため、冷却水回路52では、ポンプ36bから流れる冷却水が三方弁40を通して空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160に流れる。この空気/冷却水熱交換器16Bでは、冷却水が複数の冷却水チューブ130bを流通する際に、複数の冷却水チューブ130b内の冷却水が熱交換フィン135bを通して送風機16Cによって送風される空気流に放熱する。
【0106】
この放熱した冷却水は、空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口161からインバータ48の冷却器48aに流れる。インバータ48の冷却器48aでは、冷却水は、複数の半導体素子から熱を受ける。
【0107】
冷却器48aを通過した冷却水は、モータジェネレータ46の冷却器46aに流れる。この冷却器46aでは、冷却水は、走行用電動機から熱を受ける。この冷却器46aを通過した冷却水は、ポンプ36bに流れる。
【0108】
このようにポンプ36bからの冷却水が空気/冷却水熱交換器16B→冷却器48a→冷却器46a→ポンプ36bの順に流れることにより、インバータ48やモータジェネレータ46で発生した熱を空気/冷却水熱交換器16Bから空気流に放出することになる。
【0109】
一方、空気/冷媒熱交換器16Aでは、高圧冷媒が複数の冷媒チューブ130a内を流通する際に、複数の冷媒チューブ130a内の高圧冷媒が複数の熱交換フィン135aを通して空気流に放熱する。
【0110】
例えば、夏期のクールダウン時等において、空気/冷媒熱交換器16Aにて高圧冷媒から空気流に放熱すべき熱量(つまり、冷房負荷)が大きく、空気/冷却水熱交換器16Bにて冷却水から放熱すべき熱量(つまり、冷却負荷)が小さい場合には、次の通りになる。
【0111】
すなわち、空気/冷媒熱交換器16Aでは、高圧冷媒からの熱が冷媒チューブ130aから複数の熱交換フィン135aを通して空気流に放出される。
【0112】
これに加えて、高圧冷媒からの熱が空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒チューブ130aから複数の熱交換フィン135a、接続部135cおよび空気/冷却水熱交換器16Bの熱交換フィン135bを通して空気流に放出される。
【0113】
以上により、高圧冷媒が、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱することになる。ここで、上述の如く、チラー24において、二次電池44aから発生した熱が冷媒に放出される。このため、二次電池44aから発生した熱が、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放出されることになる。
【0114】
(暖房モード)
まず、暖房モード(すなわち、第2モード)では、電子制御装置32は、
図7に示すように、開閉弁38a、38cをそれぞれ開弁する。これに加えて、電子制御装置32は、膨張弁20a、20bの絞り開度をそれぞれ制御する。
【0115】
電子制御装置32は、三方弁14を制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを閉じて、バイパス冷媒通路18を開ける。電子制御装置32は、送風機16Cを制御して空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通過する空気流を発生させる。
【0116】
さらに、電子制御装置32は、コンプレッサ10を制御してコンプレッサ10による冷媒の圧縮を開始する。これに伴い、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒は、室内コンデンサ12を通過する。
【0117】
この場合、エアミックスドア5が室内コンデンサ12の空気入口を開けて、バイパス通路3を閉じた状態にする。このため、エバポレータ20からの冷風は、室内コンデンサ12に流れる。
【0118】
このため、室内コンデンサ12では、高圧冷媒が空気流に放熱することになる。このことにより、室内コンデンサ12から温風が車室内に向けて送風されることなる。
【0119】
一方、室内コンデンサ12を通過した冷媒が三方弁14、バイパス冷媒通路18を通して膨張弁20a、20bに流れる。つまり、室内コンデンサ12を通過した冷媒が空気/冷媒熱交換器16Aに流れない。
【0120】
室内コンデンサ12から三方弁14、バイパス冷媒通路18を通して膨張弁20aに流れる冷媒は、膨張弁20aによって減圧される。この膨張弁20aによって減圧された冷媒は、エバポレータ20に流れる。このエバポレータ20では、送風機4から送風される空気流から冷媒が吸入して蒸発する。
【0121】
この蒸発した冷媒は、その圧力が圧力調整弁28によって調整される。この圧力が調整された冷媒は、アキュムレータ26に流れる。
【0122】
一方、三方弁14、バイパス冷媒通路18を通過した高圧冷媒のうち膨張弁20aに流れる冷媒以外の残りの冷媒は、膨張弁20bに流れる。この流れた冷媒は、膨張弁20bによって減圧される。
【0123】
この膨張弁20bによって減圧された冷媒は、チラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸熱して蒸発する。この蒸発した冷媒は、アキュムレータ26に流れる。このアキュムレータ26に流れる冷媒は、液相冷媒と気相冷媒とに分離されて液相冷媒がコンプレッサ10の冷媒入口に流入される。
【0124】
このように冷媒がコンプレッサ10→室内コンデンサ12→三方弁14→空気/冷媒熱交換器16A→膨張弁20a→エバポレータ20→圧力調整弁28→アキュムレータ26→コンプレッサ10の順に流れる。これに加えて、空気/冷媒熱交換器16Aからの冷媒が膨張弁20b→チラー24→アキュムレータ26の順に流れる。
【0125】
電子制御装置32は、三方弁40を制御して、ポンプ36bの冷却水出口と空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160との間を閉じて、ポンプ36bの冷却水出口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70との間を開ける。
【0126】
冷却水回路51では、ポンプ36bから流れる冷却水が三方弁40→バッテリユニット44の熱交換器44b→インバータ48の冷却器48a→モータジェネレータ46の冷却器46a→ポンプ36bの順に流れる。
【0127】
インバータ48の冷却器48aでは、冷却水は、複数の半導体素子から熱を受ける。モータジェネレータ46の冷却器46aでは、冷却水は、走行用電動機から熱を受ける。このため、冷却器48aにおいて複数の半導体素子から冷却水に受けた熱や冷却器46aにおいて走行用電動機から冷却水に受けた熱が熱交換器44bを介して二次電池44aに放出されることになる。
【0128】
以上により、二次電池44aは、走行用電動機や複数の半導体素子で発生した熱によって暖められることになる。このため、極寒時において、二次電池44aの出力電圧を上昇させることができる。なお、電子制御装置32は、電気ヒータ42を停止する。
【0129】
冷却水回路53では、ポンプ36aから流れる冷却水がチラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸熱する。この吸熱された冷却水が開閉弁38aを通過してから空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口161に流れる。この空気/冷却水熱交換器16Bでは、冷却水が送風機16Cによって送風される空気流から吸熱する。
【0130】
この空気流から吸熱した冷却水は、開閉弁38cを通してポンプ36aに流入される。このため、ポンプ36a→チラー24→開閉弁38a→空気/冷却水熱交換器16B→開閉弁38c→ポンプ36aの順に冷却水が流れる。
【0131】
このことにより、空気/冷却水熱交換器16Bにおいて冷却水は、空気流から吸熱した熱をチラー24から冷媒に放熱することになる。
【0132】
この際、空気/冷却水熱交換器16Bでは、冷却水は、空気流から複数の熱交換フィン135bおよび冷却水チューブ130bを通して吸熱する。
【0133】
さらに、三方弁14が、上述の如く、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを閉じる。このため、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒チューブ130aには冷媒が流通していない。
【0134】
このため、冷却水が複数の熱交換フィン135a、接続部135c、複数の熱交換フィン135b、および冷却水チューブ130bを通して空気流から吸熱する。すなわち、冷却水は、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流から吸熱する。
【0135】
ここで、電子制御装置32は、冷却水温度センサ50b、50cの検出信号に基づいて冷却水温度が閾値以上であるか否かを判定する。電子制御装置32は、冷却水温度が閾値未満であるとき、開閉弁38b、38dを閉じる。
【0136】
一方、電子制御装置32は、冷却水温度が閾値以上であるとき、開閉弁38b、38dを開ける。これに伴い、ポンプ36bからの冷却水のうちバッテリユニット44の熱交換器44bに流れる冷却水以外の残りの冷却水は、開閉弁38d→ポンプ36a→チラー24→開閉弁38b→インバータ48の冷却器48aの順に流れる。
【0137】
以上により、モータジェネレータ46やインバータ48で発生した熱の一部は、バッテリユニット44に放熱する。モータジェネレータ46やインバータ48から発生した熱のうちバッテリユニット44に放熱した熱以外の残りの熱は、チラー24から冷媒に放熱する。
【0138】
このように、電子制御装置32は、冷却水温度が閾値以上であるか否かの判定に伴って、開閉弁38b、38dを間欠的に開ける。このため、モータジェネレータ46やインバータ48から発生した熱がチラー24を通して冷媒に移動することを間欠的に実施することになる。これにより、冷却水回路51を流れる冷却水温度が閾値以下に保持することができる。
【0139】
なお、本実施形態の暖房モードでは、開閉弁38b、38dが開弁されたとき、冷却水回路53内の冷却水の一部が点線の矢印の如く、冷却水回路51内のインバータ48の冷却器48aに流れる。
【0140】
(ヒータモード)
まず、電子制御装置32は、開閉弁38a、38cをそれぞれ閉弁する。これに加えて、電子制御装置32は、膨張弁20aによってバイパス冷媒通路18とエバポレータ20の冷媒入口の間の冷媒通路を閉じる。電子制御装置32は、膨張弁20bを制御して、バイパス冷媒通路18とチラー24との間の冷媒通路の流路断面積を調整する。
【0141】
すなわち、電子制御装置32は、膨張弁20aを閉弁して膨張弁20bを開弁する。
【0142】
電子制御装置32は、三方弁14を制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを閉じて、バイパス冷媒通路18を開ける。電子制御装置32は、送風機16Cを停止する。
【0143】
さらに、電子制御装置32は、電気ヒータ42を作動させる。電子制御装置32は、コンプレッサ10を制御してコンプレッサ10による冷媒の圧縮を開始する。これに伴い、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒は、室内コンデンサ12を通過する。
【0144】
この場合、エアミックスドア5が室内コンデンサ12の空気入口を開けて、バイパス通路3を閉じた状態にする。このため、エバポレータ20からの冷風は、室内コンデンサ12に流れる。
【0145】
このため、室内コンデンサ12では、空気流が高圧冷媒から熱を受けることになる。このことにより、室内コンデンサ12から温風が車室内に向けて送風されることなる。
【0146】
一方、室内コンデンサ12を通過した冷媒が三方弁14、バイパス冷媒通路18を通して膨張弁20bに流れる。この膨張弁20bに流れた冷媒は、膨張弁20bによって減圧される。
【0147】
この膨張弁20bによって減圧された冷媒は、チラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸熱して蒸発する。この蒸発した冷媒は、アキュムレータ26に流れる。このアキュムレータ26に流れる冷媒は、液相冷媒と気相冷媒とに分離されて液相冷媒がコンプレッサ10の冷媒入口に流入される。
【0148】
このように冷媒がコンプレッサ10→室内コンデンサ12→三方弁14→膨張弁20b→チラー24→アキュムレータ26の順に流れる。なお、室内コンデンサ12から膨張弁20bを通してエバポレータ20には冷媒が流れない。
【0149】
電子制御装置32は、三方弁40を制御して、ポンプ36bの冷却水出口と空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160との間を閉じて、ポンプ36bの冷却水出口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70との間を開ける。
【0150】
ここで、ポンプ36bから流れ出る冷却水のうち一部の冷却水が三方弁40→熱交換器44b→冷却器48a→冷却器46a→ポンプ36bの順に流れる。熱交換器44bでは、冷却水は、電気ヒータ42から加熱される。
このことにより、インバータ48やモータジェネレータ46で発生した熱や電気ヒータ42から発生される熱がバッテリユニット44の二次電池44aに放出されることになる。
【0151】
ポンプ36bから三方弁40に流れる冷却水のうち熱交換器44bに流れる冷却水以外の残りの冷却水は、ポンプ36b→三方弁40→開閉弁30d→ポンプ36a→チラー24→開閉弁38b→冷却器48aの順に流れる。
【0152】
このことにより、インバータ48、モータジェネレータ46で発生した熱のうち、バッテリユニット44に放出される熱以外の残りの熱がチラー24から冷媒に放出されることになる。
【0153】
つまり、インバータ48、モータジェネレータ46で発生した熱の一部がチラー24から冷媒に放出されることになる。
【0154】
このようにチラー24において冷却水から冷媒に放出される熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられる熱とが室内コンデンサ12から空気流に放熱されることになる。
【0155】
すなわち、冷却水から冷媒が吸熱した熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられた熱とが車室内の空気の加熱に用いられることになる。
【0156】
(除霜モード)
まず、除霜モード(すなわち、第3モード)では、電子制御装置32が、開閉弁38a、38cをそれぞれ閉弁し、かつ開閉弁38b、38dをそれぞれ開弁する。これに加えて、電子制御装置32は、膨張弁20aによってバイパス冷媒通路18とエバポレータ20の冷媒入口の間の冷媒通路を閉じる。
電子制御装置32は、膨張弁20bを制御して、バイパス冷媒通路18とチラー24との間の冷媒通路の流路断面積を調整する。すなわち、電子制御装置32は、膨張弁20aを閉弁して膨張弁20bを開弁する。
【0157】
電子制御装置32は、三方弁14を制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを開けて、バイパス冷媒通路18を閉じる。電子制御装置32は、送風機16Cを停止する。
【0158】
さらに、電子制御装置32は、コンプレッサ10を制御してコンプレッサ10による冷媒の圧縮を開始する。これに伴い、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒は、室内コンデンサ12を通過する。
【0159】
このため、室内コンデンサ12を通過した高圧冷媒が三方弁14を通して空気/冷媒熱交換器16Aに流れる。この空気/冷媒熱交換器16Aを通過した冷媒は、膨張弁20bに流れる。
【0160】
この膨張弁20bに流れた冷媒は、膨張弁20bによって減圧される。この膨張弁20bによって減圧された冷媒は、チラー24に流れる。このチラー24では、冷媒が冷却水から吸熱して蒸発する。
この蒸発した冷媒は、アキュムレータ26に流れる。このアキュムレータ26に流れる冷媒は、液相冷媒と気相冷媒とに分離されて気相冷媒がコンプレッサ10の冷媒入口に流入される。
【0161】
このように冷媒がコンプレッサ10→室内コンデンサ12→三方弁14→気/冷媒熱交換器16A→膨張弁20b→チラー24→アキュムレータ26→コンプレッサ10の順に流れる。
【0162】
ここで、冷却水回路50において、ポンプ36aから流れ出る冷却水がチラー24に流れる。このチラー24では、冷却水は冷媒から吸熱される。この吸熱された冷却水は、開閉弁38b→熱交換器44b→開閉弁38d→ポンプ36aの順に流れる。
【0163】
このため、熱交換器44bでは、冷却水は電気ヒータ42から発生される熱を受ける。したがって、電気ヒータ42から受熱した冷却水は、チラー24において冷媒に放熱する。すなわち、電気ヒータ42から冷却水に与えられた熱がチラー24を介して冷媒に移動される。
【0164】
このため、チラー24にて冷却水から冷媒が吸熱した熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられた仕事量としての熱とが空気/冷媒熱交換器16Aに伝えられる。
【0165】
このとき、空気/冷媒熱交換器16A内の高圧冷媒からの熱が、複数の冷媒チューブ130aから複数の熱交換フィン135aおよび接続部135cを通して空気/冷却水熱交換器16Bの複数の熱交換フィン135aに伝わる。このため、高圧冷媒からの熱によって、空気/冷却水熱交換器16Bの熱交換コア120cに付着した霜が融ける。
【0166】
このことにより、電気ヒータ42から冷却水に与えられた熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられた熱とが空気/冷却水熱交換器16Bの除霜に機能することになる。なお、電子制御装置32は、ポンプ36bと送風機16Cとを停止する。
【0167】
以上説明した本実施形態によれば、空気/冷媒熱交換器16Aの熱交換フィン135aと空気/冷却水熱交換器16Bの熱交換フィン135bとが接続部135cによって接続されている。
【0168】
冷房モードにおいて、空気/冷却水熱交換器16B内の冷却水が空気流に放熱する。空気/冷媒熱交換器16A内の冷媒が接続部135cおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱する。
すなわち、冷媒は、空気/冷媒熱交換器16A、および空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱することになる。このため、冷媒から空気流に放熱する放熱効率を向上することができる。
【0169】
暖房モードにおいて、空気/冷却水熱交換器16B内の冷却水が接続部135cおよび空気/冷媒熱交換器16Aを介して空気流から吸熱する。すなわち、冷却水は、空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを介して空気流から吸熱する。このため、冷却水が空気流から吸熱する吸熱効率を向上することができる。
【0170】
以上により、室外器16の熱交換効率を向上するようにした車載用熱管理装置1を提供することができる。
【0171】
上記特許文献1のヒートポンプシステムでは、冷媒を通過させる複数の冷媒チューブと、複数の冷媒チューブに冷媒を分配する分配タンクと、複数の冷媒チューブを通過した冷媒を回収する回収タンクとによって凝縮部を構成する場合には、次の不具合が生じる。
【0172】
すなわち、暖房時には、分配タンクから気液二相冷媒が複数の冷媒チューブのそれぞれに流れる。ここで、気液二相冷媒のうち液相冷媒が占める割合が極めて少ない場合には、液相冷媒が分配タンクから複数の冷媒チューブに均等に分配されることを気相冷媒が阻害する。
【0173】
このため、複数の冷媒チューブのうち液相冷媒流量の少ない冷媒チューブは、冷媒の蒸発に伴って冷媒が外気から吸熱することを十分に行うことができない。
【0174】
以上により、暖房時に室外器を蒸発器として機能させる場合には、室外器において冷媒が外気から吸熱する際の熱交換効率が低下する。
【0175】
これに対して、本実施形態では、暖房時には、コンプレッサ10からの冷媒が空気/冷媒熱交換器16Aに流れない。このため、室外器としての空気/冷媒熱交換器16Aにおいて、上述の熱交換効率が低下する問題はそもそも生じない。
【0176】
本実施形態のヒータモードでは、インバータ48、モータジェネレータ46、電気ヒータ42で発生される熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられた熱とが室内コンデンサ12から空気流に放熱されることになる。
このため、コンプレッサ10から冷媒に与えられた熱だけが室内コンデンサ12から空気流に放熱される場合に比べて、室内コンデンサ12から空気流に多くの熱を放出することができる。
【0177】
本実施形態の除霜モードでは、電気ヒータ42からの熱とコンプレッサ10から冷媒に与えられた熱とが空気/冷媒熱交換器16A内の冷媒から接続部135cを通して空気/冷却水熱交換器16Bの熱交換コア120cに与えられる。
【0178】
このため、本実施形態では、コンプレッサ10から冷媒に与えられた熱だけを熱交換コア120cに与える場合に比べて、熱交換コア120cに多くの熱量を与えることができる。したがって、熱交換コア120cに付着した霜を良好に融かすことができる。
【0179】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、車載用熱管理装置1は、ポンプ36bの冷媒出口およびポンプ36aの冷媒入口の間を開閉する開閉弁38dを備える例について説明した。
【0180】
しかし、これに代えて、車載用熱管理装置1は、ポンプ36bの冷媒出口およびポンプ36aの冷媒入口の間の冷媒流路の断面積を連続的に調整する調整弁38eを備える第2実施形態について
図10を参照して説明する。
【0181】
図10において、
図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0182】
本実施形態の車載用熱管理装置1は、
図1の開閉弁38dに代えて、調整弁38eを用いる。
【0183】
調整弁38eは、ポンプ36bの冷媒出口およびポンプ36aの冷媒入口の間の冷媒流路の断面積を連続的に調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとを備える。弁体は、電動アクチュエータを介して電子制御装置32によって制御される。
【0184】
電子制御装置32は、冷却水温度センサ50b、50cの検出信号に基づいて冷却水温度が高くなるほど、冷媒流路の断面積を大きくするように調整弁38eを制御する。
【0185】
一方、電子制御装置32は、冷却水温度センサ50b、50cの検出信号に基づいて冷却水温度が低くなるほど、冷媒流路の断面積を小さくするように調整弁38eを制御する。
【0186】
このため、暖房モードにおいて、冷却水温度が高くなるほど、ポンプ36bからポンプ36aを通してチラー24に流れる冷却水量を増やすことができる。冷却水温度が低くなるほど、ポンプ36bからポンプ36aを通してチラー24に流れる冷却水量を減らすことができる。
【0187】
以上により、冷却水温度が高くなるほど、チラー24から冷媒に放熱される熱量を増やすことができる。このため、バッテリユニット44の熱交換器44bを流れる冷却水の温度を精度良く所定範囲内に収めることができる。
【0188】
以上説明した本実施形態によれば、車載用熱管理装置1は、上記第1実施形態と同様に、冷房モードにおいて、冷媒から空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱する。暖房モードにおいて、冷却水が空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを介して空気流から吸熱する。
【0189】
以上により、上記第1実施形態と同様に、室外器16の熱交換効率を向上するようにした車載用熱管理装置1を提供することができる。
【0190】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、車載用熱管理装置1の室外器16では、空気/冷却水熱交換器16Bが空気/冷媒熱交換器16Aに対して空気流れ方向上流側に配置されている例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0191】
すなわち、本第3実施形態では、
図11に示すように、空気/冷却水熱交換器16Bが空気/冷媒熱交換器16Aに対して空気流れ方向下流側に配置されている。この場合、空気/冷却水熱交換器16Bに霜が着き難くなる。
【0192】
なお、本実施形態と上記第1実施形態とは、室外器16の構成が相違するだけで、その他の構成は同一である。
図11において、
図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0193】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、冷房モードにおいて、冷媒が空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱する。暖房モードにおいて、冷却水が空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを介して空気流から吸熱する。
【0194】
以上により、上記第1実施形態と同様に、室外器16の熱交換効率を向上するようにした車載用熱管理装置1を提供することができる。
【0195】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、車載用熱管理装置1において、室内空調ケーシング2内の加熱用熱交換器として、冷媒が空気流に放熱する室内コンデンサ12を用いた例について説明した。
【0196】
しかし、これに代えて、車載用熱管理装置1おいて、温水が空気流に放熱するヒータコア61を用いる本第4実施形態について
図12を参照して説明する。
【0197】
本実施形態の車載用熱管理装置1は、
図12に示すように、ヒータコア61を含む温水回路60を備える。
【0198】
本実施形態の車載用熱管理装置1は、
図1の室内コンデンサ12に代えて、温水回路60を備える。
【0199】
本実施形態の車載用熱管理装置1のうち温水回路60以外の他の構成は、上記第1実施形態の車載用熱管理装置1と同様である。
図12において、
図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
【0200】
そこで、本実施形態の車載用熱管理装置1のうち主に温水回路60について説明する。
【0201】
温水回路60は、ヒータコア61とともに、水/冷媒熱交換器62、およびポンプ63を備える。ヒータコア61、水/冷媒熱交換器62、およびポンプ63は、温水配管によって接続されて温水を循環させる閉回路を構成する。ヒータコア61は、室内空調ケーシング2内に配置されている。
【0202】
ポンプ63は、温水をポンプ63→ヒータコア61→水/冷媒熱交換器62→ポンプ63の順に循環させる。ヒータコア61は、温水をエバポレータ20を通過した冷風に放熱させる。
【0203】
水/冷媒熱交換器62では、ヒータコア61を通過した温水が冷媒から吸熱する。この吸熱した温水がポンプ63に吸入される。このポンプ63は、温水を水/冷媒熱交換器62に向けて流す。
【0204】
水/冷媒熱交換器62は、コンプレッサ10の冷媒出口と三方弁14の冷媒入口との間に配置されている。水/冷媒熱交換器62は、コンプレッサ10からの高圧冷媒から温水に放熱させる熱交換器である。
【0205】
このことにより、水/冷媒熱交換器62およびヒータコア61の間で温水が循環することにより、水/冷媒熱交換器62で高圧冷媒から吸熱した温水がヒータコア61から冷風に放熱することになる。
【0206】
このため、ヒータコア61は、エバポレータ20から吹き出される冷風を温水によって加熱する。これにより、ヒータコア61によって加熱された温風は、車室内に吹き出されることになる。
【0207】
以上説明した本実施形態によれば、車載用熱管理装置1において、上記第1実施形態と同様に、冷房モードにおいて、冷媒が空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを通して空気流に放熱する。暖房モードにおいて、冷却水が空気/冷媒熱交換器16Aおよび空気/冷却水熱交換器16Bを介して空気流から吸熱する。
【0208】
以上により、室内コンデンサ12に代わる温水回路60を備える本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、室外器16の熱交換効率を向上するようにした車載用熱管理装置1を提供することができる。
【0209】
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、車載用熱管理装置1が高圧冷媒を用いて空気/冷却水熱交換器16Bに着いた霜を融かす除霜モードについて説明した。
【0210】
これに加えて、冷却水が空気/冷却水熱交換器16Bに着いた霜を融かす除霜モードを実施する本第5実施形態について
図13を参照して説明する。
【0211】
本実施形態の車載用熱管理装置1は、上記第1実施形態の車載用熱管理装置1と同様の構成を備える。本実施形態の車載用熱管理装置1と、上記第1実施形態の車載用熱管理装置1とは、除霜モードの作動が相違するだけで、その他の作動は互いに同一である。そこで、本実施形態の車載用熱管理装置1における除霜モードについて説明する。
【0212】
まず、電子制御装置32は、開閉弁38a、38cをそれぞれ閉弁し、かつ開閉弁38b、38dをそれぞれ開弁する。これに加えて、電子制御装置32は、膨張弁20aによってバイパス冷媒通路18とエバポレータ20の冷媒入口の間の冷媒通路を閉じる。
電子制御装置32は、膨張弁20bを制御して、バイパス冷媒通路18とチラー24との間の冷媒通路の流路断面積を調整する。すなわち、電子制御装置32は、膨張弁20aを閉弁して膨張弁20bを開弁する。
【0213】
電子制御装置32は、三方弁14を制御して、空気/冷媒熱交換器16Aの冷媒入口と室内コンデンサ12の冷媒出口とを閉じて、バイパス冷媒通路18を開ける。電子制御装置32は、送風機16Cを停止する。電子制御装置32は、ポンプ36a、36bを作動させる。
【0214】
電子制御装置32は、三方弁40を制御して、ポンプ36bの冷却水出口と空気/冷却水熱交換器16Bの冷却水出入口160との間を開けて、ポンプ36bの冷却水出口とバッテリユニット44の熱交換器44bの冷却水出入口70との間を閉じる。
【0215】
さらに、電子制御装置32は、コンプレッサ10を制御してコンプレッサ10による冷媒の圧縮を開始する。
【0216】
これに伴い、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒が、室内コンデンサ12→三方弁14→バイパス冷媒通路18→膨張弁20b→チラー24→アキュムレータ26→コンプレッサ10の順に流れる。
【0217】
この際、ポンプ36aから流れ出る冷却水が、冷却水回路50において、チラー24→開閉弁38b→冷却器42a→開閉弁38d→ポンプ36aの順に流れる。このため、電気ヒータ42から発生される熱は、チラー24から冷媒に放熱される。この冷媒に放熱された熱は、室内コンデンサ12から室内空調ケーシング2内の空気流に与えられることになる。
【0218】
これに加えて、ポンプ36bから流れ出る冷却水は、冷却水回路52において、三方弁40→空気/冷却水熱交換器16B→冷却器48a→冷却器46a→ポンプ36bの順に流れる。
【0219】
ここで、冷却器48aでは、冷却水が複数の半導体素子から吸熱する。冷却器46aでは、冷却水が走行用電動機から吸熱する。このため、インバータ48やモータジェネレータ46から発生した熱が、冷却水によって空気/冷却水熱交換器16Bに移動されることになる。
【0220】
以上により、インバータ48やモータジェネレータ46から発生される熱が冷却水を介して空気/冷却水熱交換器16Bに与えられる。このため、冷却水からの熱によって、空気/冷却水熱交換器16Bに付着した霜を融かすことができる。
【0221】
以上説明した本実施形態によれば、冷房モードにおいて、空気/冷媒熱交換器16Aは、
冷媒から空気/冷却水熱交換器16Bを通して放熱する。暖房モードにおいて、空気/冷却水熱交換器16B内の冷却水が空気/冷媒熱交換器16Aを介して吸熱する。
【0222】
本実施形態では、除霜モードにおいて、インバータ48やモータジェネレータ46から発生される熱が冷却水を介して空気/冷却水熱交換器16Bに与えられる。このため、本実施形態では、空気/冷媒熱交換器16Aの熱交換コア120cに付着した霜が良好に融かすことができる。
【0223】
(他の実施形態)
(1)上記第1~第5実施形態では、本発明に係る熱管理装置を自動車に適用した車載用熱管理装置1について説明したが、これに代えて、本発明に係る熱管理装置を自動車以外の列車、飛行機等の移動体に適用してもよい。或いは、住宅やビル等の設置型の空調装置に本発明に係る熱管理装置を適用してもよい。
【0224】
(2)上記第1実施形態では、除霜モードとして、空気/冷媒熱交換器16Aに流れる冷媒の熱によって除霜する例について説明した。上記第5実施形態では、除霜モードとして、冷却水の熱によって除霜する例について説明した。
【0225】
これに加えて、上記第1実施形態の除霜モードと上記第5実施形態の除霜モードと組み合わせた除霜モードを実施してもよい。すなわち、冷媒の熱によって除霜を実施し、かつ冷却水の熱によって除霜を実施する除霜モードを実施してもよい。
【0226】
(3)上記第1~第5実施形態では、熱媒体としての冷却水を用いた例について説明したが、これに代えて、冷却水以外のものを熱媒体として用いてもよい。
【0227】
(4)上記第3実施形態では、空気/冷却水熱交換器16Bに対して空気流れ上流側に空気/冷媒熱交換器16Aを配置して、かつ空気/冷媒熱交換器16Aに流れる冷媒の熱によって空気/冷却水熱交換器16Bの除霜を実施する例について説明した。
【0228】
しかし、これに代えて、空気/冷却水熱交換器16Bに対して空気流れ上流側に空気/冷媒熱交換器16Aを配置して、上記第5実施形態と同様に、除霜モードとして、冷却水の熱によって除霜してもよい。
【0229】
或いは、空気/冷却水熱交換器16Bに対して空気流れ上流側に空気/冷媒熱交換器16Aを配置した状態で、上記(2)と同様に、冷媒の熱と冷却水の熱とによって除霜を実施する除霜モードを実施してもよい。
【0230】
(5)上記第1~第5実施形態では、冷房モードにおいて、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒を室内コンデンサ12に流した例について説明した。しかし、これに代えて、コンプレッサ10から吐出される高圧冷媒を室内コンデンサ12を迂回して空気/冷媒熱交換器16Aに流してもよい。
【0231】
(6)上記第1~第5実施形態では、暖房モードにおいて、エバポレータ20に冷媒を流した例について説明したが、これに代えて、暖房モードにおいて、エバポレータ20に冷媒を流すことを止めてもよい。
【0232】
(7)上記第1~第5実施形態では、モータジェネレータ46やインバータ48で発生した熱を空気/冷却水熱交換器16Bから空気流に放熱させるための冷却水回路52を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、冷却水回路52を削除してもよい。
【0233】
(8)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0234】
このように構成される上記第1~第5実施形態、および他の実施形態において、次のような特許請求の範囲を構成してもよい。
【0235】
すなわち、熱管理装置は、ラジエータおよび第2放熱器を通過する空気流を発生させる送風機(16C)を備える。第1モードでは、送風機が空気流を発生させている状態で、第2放熱器が、冷媒からラジエータを介して空気流に放熱する。
【0236】
第2モードでは、送風機が空気流を発生させている状態で、ラジエータが、熱媒体が第2放熱器を介して空気流から吸熱する。第3モードでは、送風機が空気流の発生を停止した状態で、第2放熱器が、冷媒からラジエータに放熱する。
【0237】
さらに、熱管理装置は、第1熱媒体回路のうちチラーおよびラジエータの間を開閉する開閉弁(38a、38c)を備える。
【0238】
第1モードでは、開閉弁がチラーおよびラジエータの間を閉じた状態で、第2放熱器は、冷媒からラジエータを介して空気流に放熱する。第3モードでは、開閉弁がチラーおよびラジエータの間を開けた状態で、第2放熱器は、冷媒からラジエータに放熱する。
(まとめ)
上記第1~5実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、熱管理装置は、冷媒を吸入して圧縮して吐出するコンプレッサと、コンプレッサから吐出される冷媒から放熱させる第1放熱器と、を備える。
【0239】
熱管理装置は、第1放熱器を通過した冷媒から空気流に放熱させる第2放熱器と、第1放熱器を通過した冷媒を減圧する第1減圧弁および第2減圧弁と、第1減圧弁を通過した冷媒を蒸発させる蒸発器とを備える。
【0240】
熱管理装置は、第2減圧弁を通過した冷媒を熱媒体から吸熱させることにより蒸発させるチラーと、第1放熱器を通過した冷媒を第2放熱器を迂回して第1減圧弁および第2減圧弁に流すバイパス冷媒通路とを備える。
【0241】
熱管理装置は、第1状態と第2状態とのうちいずれか一方の状態に設定する切換弁を備える。第1状態は、第1放熱器の冷媒出口および第2放熱器の冷媒入口の間を開けて、かつバイパス冷媒通路を閉じた様態である。第2状態は、第1放熱器の冷媒出口および第2放熱器の冷媒入口の間を閉じて、かつバイパス冷媒通路を開けた状態である。
【0242】
熱管理装置は、熱媒体と空気流との間で熱交換させるラジエータと、チラーおよびラジエータの間で熱媒体を循環させるための熱媒体回路と、第2放熱器およびラジエータを接続するための接続部とを備える。
【0243】
切換弁が第1状態に設定した第1モードでは、第2放熱器内の冷媒が接続部およびラジエータを介して空気流に放熱する。切換弁が第2状態に設定した状態で熱媒体回路内の熱媒体が循環している第2モードでは、ラジエータ内の熱媒体が接続部および第2放熱器を介して空気流から吸熱する。
【0244】
第2の観点によれば、熱管理装置は、熱媒体に放熱する発熱体と、熱媒体回路を第1熱媒体回路としたとき、発熱体およびラジエータの間で熱媒体を循環させるための第2熱媒体回路とを備える。
【0245】
第1モードでは、第2熱媒体回路で熱媒体が循環している状態で、ラジエータが空気流に放熱する。
【0246】
第3の観点によれば、熱管理装置は、発熱体を第1発熱体としたとき、熱媒体に放熱する第2発熱体と、第2発熱体およびチラーの間で熱媒体を循環させるための第3熱媒体回路とを備える。
【0247】
これにより、第2発熱体で発生した熱をチラーを介して冷媒を移動させることができる。
【0248】
第4の観点によれば、熱管理装置は、ラジエータは、室外に配置されている。
【0249】
切換弁が第1状態に設定して第2発熱体が熱媒体に放熱する状態で第3熱媒体回路内で熱媒体が循環している第3モードでは、第2発熱体から熱媒体に与えられた熱がチラーを介して冷媒に移動される。第2放熱器内の冷媒が接続部を通してラジエータに放熱してラジエータに付着した霜を融かす。
【0250】
これにより、第2発熱体で発生した熱をラジエータの除霜に用いることができる。
【0251】
第5の観点によれば、第2放熱器は、ラジエータに対して空気流の上流側に配置されている。これにより、ラジエータに霜が着き難くなる。
【0252】
第6の観点によれば、第2放熱器は、冷媒から熱媒体に放熱させて冷媒を凝縮させる凝縮部と、凝縮部を通過した冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離して液相冷媒を排出する気液分離部と、気液分離部から排出される液相冷媒を過冷却する過冷却部とを備える。
【0253】
第7の観点によれば、第2モードでは、第1放熱器が冷媒から放熱させ、第1モードでは、第2放熱器が冷媒から空気流に放熱させる。
【符号の説明】
【0254】
1 車載用熱管理装置
10 コンプレッサ
12 室内コンデンサ
16 室外器
16A 空気/冷媒熱交換器
16B 空気/冷却水熱交換器
24 チラー
32 電子制御装置
130a、130b 冷媒チューブ