(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/40 20160101AFI20240214BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240214BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20240214BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02K11/40
H02K11/33
H02K11/215
H02K1/18 Z
(21)【出願番号】P 2019141620
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 満厚
(72)【発明者】
【氏名】福原 翔
(72)【発明者】
【氏名】竹本 心路
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-021280(JP,U)
【文献】特開2000-307271(JP,A)
【文献】特開2013-252054(JP,A)
【文献】特開2011-182612(JP,A)
【文献】特開2012-077703(JP,A)
【文献】特開2012-100421(JP,A)
【文献】実開平04-118748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/40
H02K 11/33
H02K 11/215
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記ステータを保持するブラケットと、
上面に第1配線パターンが形成され、下面に第2配線パターンが形成された回路基板と、
導電性を有し、前記ステータに前記回路基板を固定する第1固定部材と、を有し、
前記ステータは、導電性を有するステータコアを有し、
前記第1固定部材は、
前記回路基板を保持する基板保持部と、
前記ステータコアの一部に固定されるステータ固定部と、を有し、
前記基板保持部が前記第1配線パターンおよび前記第2配線パターンと接触し、
前記ステータ固定部は、前記ステータコアに圧入により固定されていて、該ステータ固定部の先端は、前記中心軸方向における前記ステータコアの上端と下端との間に位置して
おり、
前記ステータコアは、
前記ブラケットに固定されるコアバック部と、
前記コアバック部から径方向外方に延びて放射状に配列される複数のティース部と、を有し、
前記ティース部の少なくとも一部を囲むように設けられ、巻線が巻き付けられてコイルが形成されたインシュレータを更に備え、
前記インシュレータは、前記ティース部の径方向外端に設けられ軸方向に延びるインシュレータ凸部を有し、
前記インシュレータ凸部は、前記回路基板を保持する保持部として設けられており、
前記ロータおよび前記ステータの軸方向下方を覆うフレームを更に備え、
前記回路基板は、前記インシュレータ凸部と前記フレームとによって、上下方向に挟んで保持される、モータ。
【請求項2】
前記インシュレータ凸部の先端は、前記回路基板の表面と接触している、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記回路基板には、前記基板保持部の少なくとも一部が上下に貫通する基板貫通孔が形成され、
前記基板保持部は、外径が前記基板貫通孔の内径よりも大きく軸方向に延びる大径部と、
前記大径部の下面から軸方向下方に延びる脚部と、を有し、
前記大径部の下面が前記第1配線パターンと接触し、
前記脚部が前記基板貫通孔に挿入されるとともに、前記第2配線パターンと接触する請求項1又は請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記脚部は、
外径が前記大径部よりも小さく前記下面と接続する小径部と、
前記小径部の下方に配置されて径方向外方に拡がるかしめ部を有し、
前記かしめ部が前記第2配線パターンと接触する請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記脚部は、
外径が前記大径部よりも小さく前記下面と接続する小径部と、
導電性を有し、前記小径部の下端部に連結される第2固定部材とを有し、
前記第2固定部材は、前記第2配線パターンと接触する請求項3に記載のモータ。
【請求項6】
前記基板貫通孔の内側面には、前記回路基板の前記第1配線パターンおよび前記第2配線パターンと導通する導通部が形成され、
前記脚部の外側面が前記導通部と接触する請求項3から請求項5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記回路基板は、周方向に沿って配置され、
前記回路基板の周方向両端部が、それぞれ、前記第1固定部材を介して前記ステータコアに固定される請求項1から請求項6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータコアは、
前記ブラケットに固定されるコアバック部と、
前記コアバック部から径方向外方に延びて放射状に配列される複数のティース部と、を有し、
前記ステータ固定部は、前記コアバック部の前記ティース部の径方向内端よりも径方向内方に固定される請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記コアバック部は、
前記ティース部と接続する環状の第1環状部と、
前記第1環状部よりも径方向内方に前記第1環状部と同心で配置され、前記ブラケットに固定される環状の第2環状部と、
径方向に延びて前記第1環状部と前記第2環状部とを接続する複数の支持リブと、をさらに有し、
前記ステータ固定部は、前記支持リブに固定される請求項8に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキャプスタンモータでは、ベアリングホルダと鉄板とでステータコア、支持台および回路基板を軸方向に挟み、それぞれの部材に形成されたスルーホールにスクリューを挿入し、スクリューを鉄板にねじ込んで固定する構成となっている。(例えば、特開平8-180513号公報参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造では、スクリューと回路基板とが接触しない場合があり、ステータコアと回路基板とが安定して導通しない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で回路基板をステータコアに対して強固に固定できるとともに、回路基板の両面とステータコアとを安定して導通させることができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、上下に延びる中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、前記ステータを保持するブラケットと、上面に第1配線パターンが形成され、下面に第2配線パターンが形成された回路基板と、導電性を有し、前記ステータに前記回路基板を固定する第1固定部材と、を有し、前記ステータは、導電性を有するステータコアを有し、前記第1固定部材は、前記回路基板を保持する基板保持部と、前記ステータコアの一部に固定されるステータ固定部と、を有し、前記基板保持部が前記第1配線パターンおよび前記第2配線パターンと接触する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータによれば、簡単な構成で基板をステータコアに対して強固に固定できるとともに、基板とステータコアとを安定して導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明にかかるモータの縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータのロータおよびステータの軸方向下方から見た図である。
【
図3】
図3は、モータのロータおよびステータを拡大した縦断面図である。
【
図4】
図4は、回路基板の固定部分を拡大した拡大断面図である。
【
図5】
図5は、ロータの軸方向下方から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第1変形例のモータにおける回路基板の固定部分を拡大した拡大断面図である。
【
図7】
図7は、第2変形例のモータにおける回路基板の固定部分を拡大した拡大断面図である。
【
図8】
図8は、第3変形例のモータのロータおよびステータを拡大した拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第4変形例のスペーサの平面図である。
【
図10】
図10は、第5変形例のモータのロータおよびステータの軸方向下方から見た図である。
【
図11】
図11は、モータのロータおよびステータを拡大した縦断面図である。
【
図12】
図12は、ロータの軸方向下方から見た分解斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明にかかるモータを用いたシーリングファンの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、上下に延びるシャフトの中心軸Cxと平行な方向を「軸方向」とする。また、中心軸Cxに対して直交する方向を「径方向」とする。さらに、中心軸Cxを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とする。また、
図1に示すモータ100を基準として、モータ100の上下を定義する。なお、上述した方向の呼称は説明のために用いているものであり、モータ100の使用状態における位置関係及び方向を限定するものではない。
【0010】
<1. モータ100について>
図1は、本発明にかかるモータ100の縦断面図である。
図2は、
図1に示すモータ100のロータ1およびステータ2の軸方向下方から見た図である。
図3は、モータ100のロータ1およびステータ2を拡大した縦断面図である。なお、
図2では、ブラケット4およびフレーム5の図示を省略している。
【0011】
図1から
図3に示すとおり、モータ100は、ロータ1と、ステータ2と、シャフト3と、ブラケット4と、フレーム5と、軸受部6と、回路基板7と、第1固定部材8とを有する。ステータ2は、ブラケット4に保持されている。すなわち、ブラケット4はステータ2を保持する。ロータ1は、中心軸Cxに沿って延びるとともに、ブラケット4に固定されたシャフト3に軸受部6を介して回転可能に支持される。ロータ1の内側面は、ステータ2の外側面と径方向に対向する。つまり、モータ100は、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。以下に、モータ100の各部の詳細について、図面を参照して説明する。
【0012】
<2.ブラケット4およびフレーム5>
図1に示すとおり、ブラケット4およびフレーム5は、モータ100の軸方向下方に配置されて、ロータ1およびステータ2の軸方向下方を覆う。ブラケット4は、モータ100の軸方向下端部に配置される。ブラケット4の中心は中心軸Cxと一致する。ブラケット4は、シャフト保持部41と、ステータ保持部42と、フレーム保持部43とを有する。
【0013】
シャフト保持部41は、ブラケット4の径方向中央部に配置される。シャフト保持部41は貫通孔でありシャフト3が挿入される。シャフト3は、シャフト保持部41に挿入されて固定される。シャフト3を固定する方法は、例えば、圧入があるができるがこれに限定されない。例えば、溶接、溶着、接着等であってもよい。また、ブラケット4が樹脂の成型体の場合、インサートモールドによる一体成型であってもよい。
【0014】
シャフト3は、シャフト保持部41を貫通してもよい。具体的には、シャフト3の軸方向下方の端部が、シャフト保持部41の軸方向端部よりも、軸方向下方に位置してもよい。また、シャフト保持部41の一部(
図2においては、軸方向下端部)にシャフト3が挿入されない部分が設けられてもよい。シャフト保持部41の下部には、平板状のシャフト蓋部44が設けられる。シャフト蓋部44は、シャフト3と接触する場合、シャフト3の軸方向の位置決めが可能である。またシャフト蓋部44を取り付けることで、シャフト保持部41への異物の混入が抑制でき、シャフト3が外部に露出することを防止できる。なお、本実施形態のブラケット4では、シャフト保持部41よりも内径が大きい凹部にシャフト蓋部44を取り付ける構成を有するが、この構成に限定されない。例えば、シャフト蓋部44の少なくとも一部がシャフト保持部41の内部に配置される構成であってもよい。
【0015】
ステータ保持部42は、ブラケット4の径方向外縁部から軸方向上方に突出する筒状である。ステータ保持部42の径方向の内側面は、シャフト3の外側面と隙間をあけて対向する。なお、シャフト3とステータ保持部42の間の径方向の隙間には、ロータ1の後述するロータハブ11の一部が配置される。そして、ロータハブ11はシャフト3に軸受部6を介して回転可能に支持される。ロータハブ11および軸受部6の詳細については、後述する。
【0016】
フレーム保持部43は、ブラケット4の外側面に設けられる。フレーム5は、フレーム保持部43に接触してブラケット4に固定される。ここで、フレーム5について説明する。フレーム5は、フレーム平板部50と、フレーム筒部51と、フレーム凸部52とを有する。
【0017】
フレーム平板部50は、中心軸Cxと直交する方向に拡がる板状である。フレーム平板部50は、円環状であり、径方向中央にフレーム筒部51を有する。
【0018】
フレーム筒部51は、軸方向上方に延びる筒状である。フレーム筒部51の内側面は、軸方向に貫通する貫通孔を構成する。フレーム筒部51の内側面が、フレーム保持部43と接触する。これにより、フレーム5がブラケット4に固定される。なお、フレーム保持部43とフレーム筒部51との固定方法として圧入を挙げることができるが、これに限定されない。例えば、溶接、接着等の方法で固定されてもよい。
【0019】
フレーム凸部52は、フレーム平板部50の径方向外縁から軸方向上方に延びる筒状である。フレーム凸部52を有することで、フレーム5の剛性を高めることができる。また、フレーム凸部52で回路基板7の周囲を囲むことができ、回路基板7を保護することもできる。具体的には、モータ100の外部から回路基板7に異物が混入することを抑制できる。
【0020】
<3. ステータ2>
次にステータ2について説明する。ステータ2は、ロータ1と径方向に対向する。ステータ2は、駆動電流に応じて磁束を発生させる。
図2および
図3に示すとおり、ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23と、を有する。
【0021】
ステータコア21は磁性体である。ステータコア21は、例えば、電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。すなわち、ステータ2は、導電性を有するステータコア21を有してロータ1と径方向に対向する。そして、ステータコア21は、コアバック部211と、複数のティース部212と、を有する。ステータコア21は、中心軸Cxに沿って延びる筒状のコアバック部211と、複数のティース部212とを有する。
図2に示すように、コアバック部211は、第1環状部213と、第2環状部214と、支持リブ215と、を有する。
【0022】
第1環状部213は環状であり、中心が中心軸Cxと一致する。第2環状部214は、第1環状部213の径方向内方に隙間を開けて配置される。第2環状部214も第1環状部213と同様、中心が中心軸Cxと一致する。すなわち、第2環状部214は、第1環状部213よりも径方向内方に配置されて第1環状部213と同心である。複数の支持リブ215は、第1環状部213と第2環状部214とを径方向に接続する。すなわち、複数の支持リブ215は、径方向に延びて第1環状部213と第2環状部214とを径方向に接続する。
【0023】
貫通孔216は、中心軸Cxに直交する平面において、第2環状部214の中央に形成される。貫通孔216にブラケット4のステータ保持部42が挿入される。ステータ保持部42の外側面が、第2環状部214の内側面と接触する。すなわち、第2環状部214は、ブラケット4に固定される環状である。これにより、コアバック部211はブラケット4に固定される。
【0024】
なお、第2環状部214とステータ保持部42ととは、例えば、圧入により固定される。しかしながら、第2環状部214とステータ保持部42との固定は、圧入に限定されず、例えば、接着、溶接等、第2環状部214とステータ保持部42とを強固に固定できる方法を広く採用できる。ステータ2の中心は、中心軸Cxと一致する。
【0025】
ティース部212は、第1環状部213の外側面から径方向外側に延びる。すなわち、複数のティース部212は、コアバック部211から径方向外方に延びて放射状に配列される。また、第1環状部213は、ティース部212と接続する環状である。
【0026】
コアバック部211が第1環状部213と第2環状部214とを有するため、第2環状部214をステータ保持部42に固定するときに第2環状部214に作用する応力が第1環状部213に作用しにくい。これにより、コアバック部211の固定時の応力により、ティース部212が移動したり、ティース部212が変形したりすることを抑制できる。
【0027】
ステータコア21の支持リブ215には、軸方向に延びる固定部材挿入部217が形成される(
図3参照)。固定部材挿入部217は、ステータコア21の下面から軸方向上方に延びる。なお、固定部材挿入部217は、軸方向の上端が閉じた凹形状の穴部であってもよいし、軸方向に貫通する貫通孔であってもよい。固定部材挿入部217には、第1固定部材8の後述するステータ固定部81が挿入される。すなわち、ステータ固定部81は、コアバック部211のティース部212の径方向内端よりも径方向内方に固定される。また、ステータ固定部81は、支持リブ215に固定される。
【0028】
図2に示すとおり、回路基板7は、アーチ状に形成される。具体的には、円環状の平板を周方向に所定の中心角度範囲で切断した形状であり、軸方向に見て外周面が円弧形状を有する。回路基板7は周方向の両端部の2か所で、第1固定部材8を介してステータコア21に固定される。また、回路基板7の周方向両端部が、それぞれ、第1固定部材8を介してステータコア21に固定される。つまり、2個の固定部材挿入部217が、コアバック部211の異なる支持リブ215にそれぞれ配置される。また、固定部材挿入部217は、回路基板7をステータコア21の取り付け位置に配置したときに回路基板7の基板貫通孔73と軸方向に重なる位置に設けられる(
図3参照)。回路基板7の周方向両端部を固定する構成とすることで、第1固定部材8の間隔を広くすることができ、回路基板7を安定して固定できる。
【0029】
インシュレータ22は、ステータコア21のコアバック部211の一部と、ティース部212の少なくとも一部を囲む。インシュレータ22は、例えば、絶縁性を有する樹脂で形成される。インシュレータ22は、ティース部212の径方向外端に設けられ軸方向に延びるインシュレータ凸部221を有する。インシュレータ凸部221は、コイル23の導線を巻き付けるときのガイドである。なお、径方向内側にも、インシュレータ凸部221と同様軸方向に突出する壁部が設けられる。また、インシュレータ凸部221は、回路基板7を保持する保持部としての役割も果たす。
【0030】
コイル23は、インシュレータ22に囲まれたティース部212に導線を巻き付けて形成される。コイル23とティース部212とはインシュレータ22によって絶縁される。コイル23は、導線に電流を供給することで励磁される。モータ100では、コイル23とマグネット14との引力および斥力を利用して、ロータ1を回転する。
【0031】
<4. 回路基板7および第1固定部材8>
回路基板7は、モータ100の軸方向下方に配置される。つまり、回路基板7は、ロータ1およびステータ2の軸方向下面と軸方向に対向する位置に配置される。回路基板7には、コイル23に電力(電流)を供給する回路が実装される。電力を供給する回路としては、例えば、インバータ回路、制御回路等を挙げることができる。また、電源回路が実装されていてもよい。
図2に示すとおり、軸方向に見たとき、回路基板7は、周方向に延びるアーチ状である。すなわち、回路基板7は、周方向に沿って配置される。しかしながら、これに限定されず、長方形等の形状であってもよい。周方向に延びる形状の回路基板を広く採用することができる。また、回路基板7は、中央部に貫通孔を有し、ブラケット4の径方向外方を囲んで配置される円環状であってもよい。
【0032】
図4に示すとおり、回路基板7は、第1配線パターン71と、第2配線パターン72と、基板貫通孔73とを有する。第1配線パターン71は、回路基板7の軸方向上面、つまり、ロータ1およびステータ2の軸方向下面と軸方向に対向する面に形成される。第2配線パターン72は、回路基板7の軸方向下面、つまり、ロータ1およびステータ2と対向する面と反対側の面に形成される。すなわち、回路基板7は、上面に第1配線パターン71が形成され、下面に第2配線パターン72が形成される。本実施形態において、図示される第1配線パターン71および第2配線パターン72は、同電位である。
【0033】
基板貫通孔73は、回路基板7を軸方向に貫通する。本実施形態において、基板貫通孔73は、回路基板7の内部に形成されて、周方向が閉じた孔形状である。しかしながらこれに限定されず、回路基板7の辺縁部に形成されて、外周部分の一部に開口が形成された形状、例えば、切り欠き状であってもよい。基板貫通孔73には、第1固定部材8の後述する基板保持部82の少なくとも一部が上下に貫通する。すなわち、回路基板7には、基板保持部82の少なくとも一部が上下に貫通する基板貫通孔73が形成される。
【0034】
そして、
図1に示すとおり、回路基板7の上面には、位置検知素子74が実装される。位置検知素子74は、例えば、ホール素子であり、回転するロータ1の後述するマグネット14の磁力の変動を検知して、ロータ1の回転位置を検知する。位置検知素子74は、マグネット14の軸方向下方に配置される。なお、ロータ1に別途、位置検知用の部材を配置し、位置検知素子74で位置検知用の部材の位置を検知してもよい。すなわち、回路基板7には、ロータ1の位置を検知する位置検知素子74が実装される。
【0035】
回路基板7は、第1固定部材8を介してステータコア21に固定される。次に、第1固定部材8の詳細について、新たな図面を参照して説明する。
図4は、回路基板7の固定部分を拡大した拡大断面図である。第1固定部材8は、例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等、導電性を有する材料で形成される。すなわち、導電性を有する第1固定部材8が、ステータ2に回路基板7を固定する。
図3、
図4に示すとおり、第1固定部材8は、ステータ固定部81と、基板保持部82とを有する。
【0036】
基板保持部82は、大径部821と、脚部820とを有する。大径部821は、軸方向に延びる円柱状である。大径部821の外径は、基板貫通孔73の内径よりも大きい。すなわち、基板保持部82は、外径が基板貫通孔73の内径よりも大きく軸方向に延びる大径部821を有する。
【0037】
脚部820は、大径部821の下面824から軸方向下方に延びる。脚部820は、小径部822と、かしめ部823とを有する。小径部822は、円筒状である。小径部822の外径は、大径部821の外径よりも小さい。小径部822は、大径部821の下面824から軸方向下方に延びる。
【0038】
脚部820は、回路基板7の上面側から基板貫通孔73に挿入される。脚部820の下端部の回路基板7の下面から突出した部分を、径方向外方に折り曲げて(かしめて)、かしめ部823が形成される。このとき、かしめ部823は、第2配線パターンと接触する。すなわち、脚部820は基板貫通孔73に挿入されるとともに、第2配線パターン72と接触する。より具体的に述べると、脚部820は、外径が大径部821よりも小さく下面824と接続する小径部822と、小径部822の下方に配置されて径方向外方に拡がるかしめ部823と、を有する。かしめ部823が第2配線パターン72と接触する。
【0039】
なお、本実施形態において、かしめ部823は、かしめ処理を施した後の形状を示しているが、これに限定されない。かしめ処理を施す前の状態、も含めてかしめ部823と称してもよい。また、かしめ処理を容易に行うため、かしめ部823を小径部822より薄肉化するまたは小径部822とかしめ部823との境界部分に溝部を形成する等の加工を施してもよい。
【0040】
大径部821の下面824の小径部822よりも径方向外側は環状である。なお、大径部821の形状は、軸方向の投影面の外縁が小径部822の投影面の外縁よりも径方向外側にあれば、円柱状に限定されない。例えば、多角形状の断面を有する柱状または筒状であってもよい。第1固定部材8をステータコア21に取り付けたとき、下面824は、インシュレータ凸部221の下面とステータコア21に対して同一の平面上に配置される。
【0041】
ステータ固定部81は、基板保持部82の大径部821の上面825から軸方向上方に延びる円柱状である。ステータ固定部81の外径は、大径部821の外径よりも小さい。このため、大径部821の上面825のステータ固定部81よりも径方向外側は環状になる。ステータ固定部81は、ステータコア21の固定部材挿入部217に圧入される。すなわち、ステータ固定部81は、ステータコア21の一部に固定される。
【0042】
このとき、上面825は、ステータコア21の下面と接触する。なお、ステータ固定部81の固定部材挿入部217への固定は、圧入に限定されない。例えば、ねじ込み等であってもよい。ステータ固定部81を固定部材挿入部217に挿入して、上面825がステータコア21の下面に接触した状態で第1固定部材8を強固に固定可能な方法を広く採用することができる。
【0043】
<4.1 回路基板7のステータコア21への固定>
次に、回路基板7のステータコア21への固定について説明する。2個の第1固定部材8のステータ固定部81が2か所の固定部材挿入部217のそれぞれに圧入される。このとき、大径部821の上面825がステータコア21の下面に接触し、第1固定部材8がステータコア21に固定される。これにより、ステータコア21と第1固定部材8とが電気的に接続される。つまり、ステータコア21と第1固定部材8とは、同電位になる。
【0044】
固定部材挿入部217は、支持リブ215に設けられる。つまり、ステータ固定部81がステータコア21のティース部212よりも径方向内方に固定される。これにより、回路基板7をステータコア21と軸方向に重ねた位置に配置して、回路基板7とステータコア21とを固定する。これにより、モータ100が径方向に大型化することを抑制できる。
【0045】
さらに、固定部材挿入部217が支持リブ215に設けられていることで、第1固定部材8を圧入するときの力がティース部212に作用しにくい。そのため、ティース部212の変形、位置の変動等を抑制でき、モータ100の回転精度の低下を抑制できる。また、支持リブ215に固定部材挿入部217を設けることで、ステータコア21内で形成される磁気回路の乱れが抑制される。これにより、磁力を効果的に利用することができ、トルクの増大、省電力化が可能となる。
【0046】
その後、回路基板7の基板貫通孔73に脚部820を挿入する。このとき、大径部821の下面824が第1配線パターン71と接触する。これにより、導電性を有する第1固定部材8にて、第1配線パターン71とステータコア21とが電気的に接続される、つまり、第1配線パターン71とステータコア21とが同電位になる。このとき、回路基板7の上面は、インシュレータ凸部221とも接触する。つまり、回路基板7は、大径部821およびインシュレータ凸部221にて、軸方向に保持される。
【0047】
そして、小径部822の下端部に配置されたかしめ部823を径方向外側に折り曲げることで、かしめ処理を施す。これにより、回路基板7が大径部821及びかしめ部823により挟まれ、基板保持部82は回路基板7に保持される。かしめ部823は、回路基板7の下面の第2配線パターン72と接触する。なお、かしめ部823は小径部822と一体である。そのため、小径部822は、かしめ部823を介して第2配線パターン72と電気的に接続される。
【0048】
これにより、回路基板7はステータコア21に対して基板保持部82を介して保持される。また、導電性を有する第1固定部材8にて、第2配線パターン72とステータコア21とが電気的に接続される。つまり、第2配線パターン72とステータコア21とが同電位になる。すなわち、基板保持部82が第1配線パターン71および第2配線パターン72と接触する。
【0049】
回路基板7は、金属等で形成され、例えば、インシュレータ22に比べて剛性が高いステータコア21に第1固定部材8を介して保持される。これにより、回路基板7をステータに対して位置精度よく、また、強固に固定することができる。また、回路基板7と接続されるコイル23の導線に不要な応力が作用しにくく、コイル23への電力供給を正確に行うことが可能である。
【0050】
さらに、第1固定部材8を介して、回路基板7をステータコア21に固定することで、回路基板7とステータコア21とを電気的に導通させることが可能である。これにより、ステータコア21と回路基板7とを同電位として、ステータコア21と回路基板7との間で放電が発生しにくくなる。そのため、回路基板7に実装された電子部品を保護することができる。例えば、ステータコア21がブラケット4等を介して接地される場合、回路基板7は、第1固定部材8を用いて接地される。これにより、回路基板7に接地線を接続しなくてもよく、配線を簡略化できる。
【0051】
さらに説明すると、小径部822を基板貫通孔73に挿入し、大径部821の下面824を回路基板7の第1配線パターン71と接触させる。また、小径部822を回路基板7の第2配線パターン72とかしめ部823を介して接触させることで、ステータコア21は、回路基板7の両面の第1配線パターン71および第2配線パターン72と電気的に接続される。つまり、第1固定部材8を介して回路基板7をステータコア21に保持させることで、回路基板7を位置精度よく保持するとともに、回路基板7の両面に形成された第1配線パターン71および第2配線パターン72をステータコア21に簡単に電気的に接続できる。また、かしめといった簡単な処理で回路基板7を保持するとともに、第1固定部材8を介して、回路基板7とステータ2とを導通させることが可能である。
【0052】
そして、剛性が高いステータコア21に強固に固定された回路基板7に位置検知素子74が実装される。これにより、位置検知素子74とロータ1との相対位置が変化しにくい。そのため、回転するロータ1の位置を正確に検知することが可能である。
【0053】
なお、回路基板7は、ステータコア21の軸方向下面に保持されるが、これに限定されない。例えば、軸方向上面に保持されてもよい。この場合も、第1固定部材8を介して保持される。また、上面、下面以外の部分に保持されてもよい。
【0054】
<5. ロータ1>
図5は、ロータ1の軸方向下方から見た分解斜視図である。ロータ1は、ロータハブ11と、ロータホルダ12と、ロータコア13と、マグネット14と、スペーサ15とを有する。ロータ1は、軸受部6を介してシャフト3に回転可能に支持される。ロータ1は、上下に延びる中心軸Cxを中心として回転可能である。
【0055】
<5.1 ロータホルダ12>
図1、
図3、
図5等に示すとおり、ロータホルダ12は、ホルダ蓋部121と、ホルダ筒部122と、を有する。ホルダ蓋部121は、中心軸Cxと直交する方向に拡がる円環状である。ホルダ筒部122は、ホルダ蓋部121の径方向外縁から軸方向下方に延びる筒状である。
【0056】
ホルダ蓋部121の中央には、ハブ貫通孔120が形成される。ハブ貫通孔120は、ロータハブ11のホルダ固定部111が圧入されて固定される。なお、ホルダ固定部111のハブ貫通孔120への固定は、圧入に限定されず、接着、溶着等による固定であってもよい。また、ねじ等の固定具を用いて固定してもよい。ロータハブ11とロータホルダ12とを強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
【0057】
ホルダ蓋部121は、ホルダ第1面123と、ホルダ第2面124と、連結面125とを有する。ホルダ第1面123は、ホルダ蓋部121の軸方向下面の一部であり、ホルダ筒部122の内側面から径方向内方に拡がる環状に形成される。ホルダ第1面123は、中心軸Cxと直交する平面である。ホルダ第2面124は、ホルダ蓋部121の軸方向下面の一部であり、ホルダ第1面123よりも径方向内方に配置された環状に形成される。また、ホルダ第2面124は、ホルダ第1面123よりも軸方向上方に配置される。そして、連結面125は、ホルダ第1面123の径方向内端とホルダ第2面124の径方向外端とを連結する。連結面125は、中心軸Cxを含む面で切断した縦断面形状が曲線状になる形状である。しかしながら、これに限定されず、ホルダ第1面123の径方向内端とホルダ第2面124の径方向外端とを連結する形状を広く採用する。
【0058】
本実施形態のモータ100では、ホルダ蓋部121のホルダ第2面124を軸方向上方に押し出して形成される。これにより、ホルダ蓋部121とホルダ筒部122との連結面分の外面に形成された、内側に凹む凹部を有する。しかしながらこれに限定されず、ホルダ第1面123、ホルダ第2面124および連結面125を有する構成を広く採用できる。
【0059】
ロータホルダ12のホルダ第1面123とホルダ第2面124とを連結面125で連結した部分は、補強部としての役割も果たす。つまり、ホルダ第1面123、ホルダ第2面124、連結面125を有することで、ロータホルダ12の剛性を高めることが可能である。
【0060】
<5.2 ロータハブ11>
ロータハブ11は、ホルダ固定部111と、軸受保持部112とを有する。ホルダ固定部111は、ロータハブ11の本体部から軸方向下方に延びる円筒状である。ホルダ固定部111は、外側面がハブ貫通孔120に圧入される。これにより、ロータハブ11がロータホルダ12に固定される。ホルダ固定部111は、以上の構成に限定されず、例えば、本体部の外側面に形成されてもよいし、軸方向上方に延びる筒状であってもよい。
【0061】
軸受保持部112は、ロータハブ11の本体部より軸方向下方に延びる筒状である。軸受保持部112の内側面には、軸受部6が保持される。さらには、軸受保持部112は、軸受部6を介して、シャフト3に回転可能に支持される。これにより、ロータ1は、軸受部6を介してブラケット4に固定されたシャフト3に回転可能に支持される。なお、モータ100では、ロータ1がシャフト3に軸受部6を介して回転可能に支持されているが、これに限定されない。例えば、ロータ1がシャフト3に固定され、シャフト3がブラケット4等の固定部に回転可能に支持される構成であってもよい。
【0062】
<5.3 軸受部6>
ここで、軸受部6について説明する。軸受部6は、玉軸受である。軸受部6は、外輪61と、内輪62と、複数のボール63とを有する。外輪61は、軸受保持部112の内側面に固定される。なお、固定方法としては、圧入を挙げることができるがこれに限定されない。例えば、接着等の固定方法であってもよい。内輪62は、シャフト3の外側面に固定される。内輪62のシャフト3への固定も、外輪61の固定と同様、圧入を挙げることができるが、これに限定されない。複数のボール63は、外輪61と内輪62との径方向の隙間に周方向に並べて配置される。
【0063】
軸受部6を軸方向に離れた位置に少なくとも2個設けることで、ロータ1のシャフト3に対する振れ等を抑制できる。これにより、ロータ1の回転精度を高めることが可能である。なお、本実施形態において、軸受部6は、玉軸受であるが、これに限定されない。例えば、軸受として流体動圧軸受を採用してもよい。流体動圧軸受を採用する場合、軸方向に離れた部分に少なくとも2個の動圧発生溝を形成する。動圧発生溝が形成されている部分が軸受部である。
【0064】
<5.4 ロータコア13、マグネット14およびスペーサ15>
ロータコア13は中心軸Cxを環状に囲んでおり、電磁鋼板などで構成された複数のロータ片を軸方向に積層して構成される。ロータコア13は、複数のロータ片を軸方向に重ねるとともに、かしめ等の固定方法を利用して固定する。これにより、ロータコア13は、中心軸Cxに沿って延びる筒状に形成される。なお、ロータ片の固定は、かしめに限定されず、接着、溶接等の固定方法を採用してもよい。また、ロータコア13は、積層体に限定されず、鉄粉等の磁性粉体を焼結等によって固めて形成した成型体であってもよい。
【0065】
図2等に示すように、ロータコア13は、ロータコア筒状部131と、複数のロータコア溝部132とを有する。ロータコア筒状部131は、中心軸Cxを中心とする環状である。ロータコア筒状部131の外側面は、円筒状であり、ホルダ筒部122の内部に固定される。つまり、ロータコア13はホルダ筒部122の内部に固定される。ロータコア13のホルダ筒部122の固定は、例えば、圧入にて行われる。なお、圧入に限定されず、接着、溶接等にて固定してもよい。また、ねじ等の固定具を用いて固定してもよい。
【0066】
ロータコア溝部132は、ロータコア筒状部131の内側面から径方向外方に凹む凹部である。ロータコア溝部132は、ロータコア13の軸方向の上端から下端に延びる。ロータコア溝部132の個数は、マグネット14と同数である。複数のロータコア溝部132は、隣り合うロータコア溝部132と間隔をあけて周方向に配置される。複数のロータコア溝部132は、周方向に等間隔で配置される。
【0067】
ロータ1は、本実施形態において、20個のマグネット14を有する。
図5等に示すとおり、マグネット14は、直方体形状である。なお、本実施形態にかかるロータ1において、複数のマグネット14を有するが、これに限定されない。例えば、磁性材料を筒状に形成した後に、内側面に磁極を交互に形成したマグネットを採用してもよい。マグネット14は、ロータコア溝部132に収容されて保持される。マグネット14のロータコア溝部132への保持は、接着にて行われるが、これに限定されない。例えば、溶接、溶着等であってもよいし、ねじ等の固定具を用いて固定してもよい。すなわち、ロータ1は、1または複数のマグネットを保持する。
【0068】
マグネット14は、ロータコア13の内側面よりも径方向内方に突出して配置される。マグネット14の内側面は、ステータ2と径方向に対向する。マグネット14の内側面は、異なる磁極(N極、S極)が交互に並んで配置される。なお、マグネットが筒状で形成される場合、ロータコア13は、マグネットの外側面を保持する構成を有する。また、筒状のマグネットとロータコア13との固定をより確実にするため、マグネットおよびロータコアの一方に凸部を形成し、他方に凸部が挿入される凹部を形成してもよい。
【0069】
図3、
図5に示すとおり、少なくともマグネット14の軸方向上面のマグネット上面140は、スペーサ15と接触する。次に、スペーサ15について説明する。
図1、
図5に示すとおり、スペーサ15は、中心軸Cxを囲む円環状である。スペーサ15は、スペーサ第1面151と、スペーサ第2面152と、スペーサ内側面153と、スペーサ外側面154と、を有する。
【0070】
スペーサ15は円環状である。つまり、スペーサ外側面154は、中心軸Cxを中心とする円筒面である。そのため、スペーサ外側面154は、周方向全周にわたって、ロータコア上面130およびマグネット上面140を略均等に支持することが可能である。また、スペーサ外側面154とホルダ筒部122の内側面とも周方向全周にわたって均一または略均一に接触する。これにより、スペーサ15がホルダ筒部122内で移動しにくく、ロータコア13およびマグネット14の取り付けが容易である。
【0071】
スペーサ第1面151は、スペーサ15の軸方向上面である。スペーサ第1面151は、ホルダ第1面123と接触する。スペーサ第2面152は、スペーサ15の軸方向下面である。スペーサ第2面152は、マグネット14の軸方向の上面であるマグネット上面140と接触する。これにより、複数のマグネット14は、マグネット上面140がスペーサ15と接触することで、軸方向に位置決めされる。
【0072】
このように構成することで、複数の各マグネット14の軸方向の位置を精度よく、かつ、容易に決めることが可能である。これにより、複数のマグネット14の磁力を効率よく利用することができる。このため、モータ100の大きさを変えることなく、トルクを向上することが可能である。また、同一トルクのモータ100に比べて、消費電力を抑えることが可能である。
【0073】
スペーサ内側面153は、スペーサ15の径方向内端に配置される面である。つまり、スペーサ内側面153は、スペーサ15の径方向内端である。スペーサ外側面154は、円筒面である。スペーサ外側面154は、ホルダ筒部122の内側面と接触する。なお、スペーサ外側面154とホルダ筒部122の内側面とは、スペーサ15の移動が制限される程度に接触していればよい。つまり、スペーサ外側面154とホルダ筒部122の内側面とは、摩擦力でスペーサ15が移動しない程度に接触する。
【0074】
なお、
図1、
図3に示すとおり、ロータコア13の軸方向上面であるロータコア上面130もスペーサ第2面152と接触してもよい。
【0075】
スペーサ第1面151がホルダ第1面123と接触し、スペーサ第2面152がロータコア上面130およびマグネット上面140と接触することで、ロータコア13およびマグネット14をロータホルダ12に対して、軸方向に位置決めされる。
【0076】
図3に示すとおり、ホルダ蓋部121の連結面125はスペーサ内側面153よりも径方向内方に配置される。これにより、スペーサ第1面151の全体がホルダ第1面123と接触する。これにより、スペーサ15が広い領域でホルダ第1面123と接触するため、ロータコア13およびマグネット14がロータホルダ12に対して精度良く固定される。なお、精度よく固定されるとは、ロータコア13およびマグネット14の中心が、ロータホルダ12の中心と一致した状態でなおかつ中心が移動しない状態で固定されることを示す。
【0077】
ロータコア13の軸方向上面であるロータコア上面130およびマグネット14の軸方向上面のマグネット上面140は、スペーサ15と接触して、軸方向に位置決めされる。
【0078】
ロータコア13の軸方向下面であるロータコア下面133およびマグネット14の軸方向下面であるマグネット下面141は、いずれも、ホルダ筒部122の軸方向下端よりも軸方向上方に位置する。
【0079】
このように構成することで、ロータコア13およびマグネット14が、ホルダ筒部122の軸方向下端から下方に飛び出さないため、モータ100の軸方向高さを低く抑えることができる。また、軸方向においてロータホルダ12の内部に、ロータコア13およびマグネット14が収まるため、マグネット14の磁力が外部に抜けにくくなり、磁力を効率よく利用することができる。これにより、モータの大きさを変えることなく、トルクを向上することが可能である。
【0080】
スペーサ15は、非磁性体で形成されていてもよい。スペーサ15が非磁性体で形成されることで、マグネット14のマグネット上面140からホルダ蓋部121への磁束漏れが抑制される。そのため、マグネット14の磁力の利用効率を高めることができる。これにより、モータ100のトルクの向上または消費電力の低減ができる。
【0081】
スペーサ15が非磁性体で形成されていてもよい。スペーサ15が非磁性体で形成されることで、マグネット14のマグネット上面140からホルダ蓋部121への磁束漏れが抑制される。そのため、マグネット14の磁力の利用効率を高めることができる。これにより、モータ100の消費電力を低減できる。
【0082】
次に、ロータコア13およびマグネット14のホルダ筒部122に取り付ける手順について説明する。
図5に示すとおり、ロータコア13のロータコア溝部132にマグネット14を取り付ける。このとき、マグネット14の軸方向下端部をロータコア13から飛び出した状態とする。
【0083】
この状態で、ロータホルダ12内部にスペーサ15を挿入する。スペーサ15のスペーサ外側面154とロータホルダ12の内側面とが接触し、スペーサ15は摩擦力によってロータホルダ12の内部に保持される。
【0084】
マグネット14の一部をロータコア溝部132に取り付けた状態で、ロータコア13をホルダ筒部122の軸方向下端の開口から挿入可能な位置に配置する。そして、例えば、板状の治具(不図示)をマグネット14の軸方向下面に接触させ、治具を軸方向上方に移動させる。これにより、マグネット14はロータコア溝部132の内部を軸方向に移動する。複数のマグネット14は、同時に治具に押される。そのため、複数のマグネット14の軸方向の位置が精度良く調整される。
【0085】
そして、マグネット14がロータコア13のロータコア溝部132に押し込まれると、治具は、マグネットの軸方向下面およびロータコア13の軸方向下面の両方と接触する。治具を軸方向上方にさらに移動させることで、ロータコア溝部132にマグネット14が配置されたロータコア13は、ホルダ筒部122に圧入される。そして、ロータコア上面130およびマグネット上面140がスペーサ第2面152と接触した時点で治具による圧入を終了する。ロータコア13およびマグネット14は、スペーサ15と接触することで、軸方向の位置決めがされる。そのため、板状の治具でロータコア13およびマグネット14を押す場合であっても、ロータコア13およびマグネット14の軸方向の位置を正確に決めることが可能である。
【0086】
マグネット14は、ロータコア溝部132に接着にて固定される。マグネット14を取り付ける前に、ロータコア溝部132の内面またはマグネット14のロータコア溝部132と接触する部分に接着剤を塗布していてもよい。また、ロータコア溝部132をホルダ筒部122に圧入した後に、ロータコア13とマグネット14とを接着してもよい。なおロータコア13をホルダ筒部122に圧入するときに、ロータコア13は径方向内側に力を受ける。このとき、ロータコア溝部132に取り付けられたマグネット14は、周方向に押圧されてロータコア13に保持される。ロータコア13の押圧による力をマグネット14の保持力の一部として利用してもよい。
【0087】
また、ロータコア13およびマグネット14の固定方法は、一例であり、この方法に限定されるものではない。
【0088】
本実施形態において、スペーサ15のスペーサ第2面152には、ロータコア上面130およびマグネット上面140が接触する。スペーサ第2面152にロータコア13およびマグネット14を接触させる場合、ロータコア13およびマグネット14のロータホルダ12に対する軸方向の位置精度を高めることが容易である。
【0089】
<6. 変形例等>
以下、本発明にかかるモータの変形例について、図面を参照して説明する。
【0090】
<6.1 第1変形例>
図6は、第1変形例のモータ100Aにおける回路基板7Aの固定部分を拡大した拡大断面図である。回路基板7Aは、基板貫通孔73Aに導通部731を有する。これ以外の点について、回路基板7Aは、回路基板7と同じ構成を有する。そのため、モータ100Aにおいて、モータ100と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0091】
図6に示すとおり、導通部731は、導電性を有する膜状である。導通部731は、基板貫通孔73Aの内側面に密着している。そして、導通部731は、第1配線パターン71および第2配線パターン72と電気的接続する。さらに詳しく説明すると、導通部731は、第1配線パターン71および第2配線パターン72と同様の導電膜であり、第1配線パターン71と第2配線パターン72とを導通させる。すなわち、基板貫通孔73Aの内側面には、回路基板7Aの第1配線パターン71と第2配線パターン72とを導通する導通部731が形成される。
【0092】
そして、基板貫通孔73Aに小径部822を挿入したとき、脚部820の外側面が導通部731と接触する。第1固定部材8と導通部731とが電気的に接続される。これにより、第1固定部材8と第1配線パターン71および第2配線パターン72との電気的な接続の信頼性を向上することが可能である。
【0093】
<6.2 第2変形例>
図7は、第2変形例のモータ100Bにおける回路基板7の固定部分を拡大した拡大断面図である。モータ100Bにおいて、回路基板7は、第1固定部材8Bの脚部820Bが異なる。これ以外の点において、モータ100Bは、モータ100と同じ構成である。そのため、モータ100Bにおいて、モータ100と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0094】
第1固定部材8Bの脚部820Bは、小径部822Bおよび第2固定部材83を有する。小径部822Bは、円柱状である。小径部822Bの外径は、大径部821よりも小さい。小径部822Bは、下面824と接続する。小径部822Bの自由端は変形しにくい形状を有する。そして、小径部822Bは、回路基板7の基板貫通孔73に挿入される。そして、脚部820Bの下端部は第2固定部材83を連結して形成される。
【0095】
第2固定部材83は、例えば、プッシュナットである。そして、第2固定部材83を小径部822Bの基板貫通孔73から下方に貫通した下端部に固定する。第2固定部材83は、治具を用いて、小径部822Bの先端から押し込むことで、小径部822Bに固定される。これにより、小径部822Bの基板貫通孔73からの抜けとめがなされる。このとき、第2固定部材83を第2配線パターン72と接触する。つまり、脚部820Bは、導電性を有し、小径部822Bの下端部に連結される第2固定部材83を有する。すなわち、第2固定部材83は、第2配線パターン72と接触する。これにより、小径部822Bは、第2固定部材83を介して第2配線パターン72と間接的に接続される。第2固定部材83を用いることで、小径部822Bを簡単に回路基板7に固定できる。
【0096】
なお、本変形例において、第2固定部材83としてプッシュナットを挙げているが、これに限定されない。例えば、溶接、はんだ付け等を用いてもよい。また、小径部822Bに雄ねじを形成し、雄ねじにねじ込まれるナットを採用することもできる。第2固定部材83は、第1固定部材8Bと回路基板7とを強固に固定できるとともに、第1固定部材8Bを第1配線パターン71および第2配線パターン72に強固に固定できる構成を広く採用できる。
【0097】
<6.3 第3変形例>
図8は、第3変形例のモータ100Cにおけるロータ1Cを拡大した拡大断面図である。モータ100Cは、ロータ1Cのスペーサ15Cの構成がロータ1と異なる以外、モータ100と同じ構成である。そのため、モータ100Cにおいて、モータ100と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0098】
図8に示すように、ロータコア13の径方向内端およびマグネット14の径方向内端は、軸方向において、スペーサ15Cのスペーサ第2面152Cと重なる。これにより、ロータコア13のロータコア上面130の全体およびマグネット14のマグネット上面140の全体はスペーサ第2面152Cと接触する。これにより、ロータコア13およびマグネット14をロータホルダ12に安定して配置できる。これにより、ロータ1の回転を安定させることが可能である。
【0099】
<6.4 第4変形例>
図9は、第4変形例のモータに用いられるスペーサ16の平面図である。
図9に示すように、スペーサ16の径方向外縁は、複数の曲面部155と、複数の平面部156とを周方向に配列した形状である。これ以外の箇所は、スペーサ15と同じ構成を有する。そのため、スペーサ16のスペーサ15と実質上同じ部分には同じ符号を付し、同じ部分の詳細な説明を省略する。
【0100】
曲面部155は、中心軸を中心とする円柱面の一部である。平面部156は、曲面部155の外側面を周方向に平面状に切り取って形成した平面部である。平面部156は、軸方向に見たとき、弦を構成する。
【0101】
上述のとおり、スペーサ16は、ロータホルダ12の内部に収容される。このとき、曲面部155は、ホルダ筒部122の内側面と接触する。これにより、ホルダ筒部122の内側面と曲面部155との間に摩擦力が発生する。一方で、平面部156とホルダ筒部122の内側面とは、接触せず、摩擦力は発生しない。つまり、曲面部155の大きさを調整することで、スペーサ16の曲面部155の大きさを調整することで、スペーサ16とホルダ筒部122との摩擦力を調整できる。摩擦力が調整可能であることで、スペーサ16のロータホルダ12の内部への収容を容易にするとともに、軸方向の移動を制限することができる。これにより、作業性を高めることが可能である。
【0102】
<6.5 第5変形例>
図10は、第5変形例のモータ100Dのロータ1Dおよびステータ2の軸方向下方から見た図である。
図11は、モータ100Dのロータ1Dおよびステータ2を拡大した縦断面図である。
図12は、ロータ1Dの軸方向下方から見た分解斜視図である。モータ100Dは、ロータホルダ12Dのホルダ筒部122Dおよびスペーサ15Dの構成が異なるとともにロータコアを省略している。モータ100Dのこれ以外の部分は、モータ100と同じ構成を有する。そのため、モータ100Dのモータ100と実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0103】
図10および
図11に示すとおり、モータ100Dは、ロータホルダ12Dのホルダ筒部122Dに複数のマグネット14が取り付けられる。そして、スペーサ15Dは、スペーサ第2面152から軸方向下方に延びる複数のスペーサ突起部157を有する。
【0104】
ホルダ筒部122Dは、内筒部126と、外筒部127とを有する。内筒部126は、ホルダ蓋部121の外縁と連結する。外筒部127は、内筒部126の外側面と接触する内側面を有する。本変形例において、外筒部127は、内筒部126の軸方向下端を外側に折り曲げて外側面に接触させて形成される。なお、折り曲げ方向は径方向外側であるが、径方向内側であってもよい。
【0105】
ホルダ筒部122Dの内側面にマグネット14が直接取り付けられる。つまり、モータ100Dでは、ホルダ筒部122Dの一部が、ロータコアとしての役割を果たす。
【0106】
モータ100Dにおいて、スペーサ15Dのスペーサ第1面151をホルダ第1面123に接触させて配置する。このとき、スペーサ15Dのスペーサ突起部157は、内筒部126の内側面に接触して配置される。スペーサ突起部157は、マグネット14と同数設けられており、周方向に等間隔に配置される。そして、マグネット14は、スペーサ突起部157と周方向に接触して配置される。つまり、スペーサ突起部157は、マグネット14の周方向の位置決めを行う。
【0107】
そして、外筒部127の上端はマグネット14のマグネット上面140よりも上方に配置される。また、外筒部127の下端はマグネット14のマグネット下面141よりも下方に配置される。外筒部127をこのように構成することで、マグネット14からの磁力が径方向外側に逃げにくい。
【0108】
また、ロータコアを省く構成とすることで、モータ100Dは、モータ100に比べて構成部材を減らすことができる。これにより、モータ100Dの製造が容易になる。また、モータ100Dを軽量化することも可能であり、モータ100Dの動作に要する電力を減らすことが可能である。
【0109】
<7. シーリングファンAについて>
図13は、本発明にかかるモータ100を用いたシーリングファンAの一例を示す斜視図である。
図13にシーリングファンAでは、モータ100を用いているが、変形例のモータ100A~100Dを用いてもよい。
【0110】
シーリングファンAは、モータ100と、支柱200と、羽根300とを有する。支柱200は、上下に延びる中心軸Cxに沿って配置される。支柱200は、例えば、金属によって構成される筒状の部材である。支柱200の内部には、回路基板7に接続されるリード線(不図示)が配置される。なお、支柱200はセラミック等、金属以外の素材で構成されてもよい。
【0111】
支柱200は、居室の天井(不図示)に固定される。支柱200の軸方向下端部にモータ100が取り付けられる。なお、シーリングファンAでは、
図1に示すモータ100を上下反転させて支柱200に取り付けられる。つまり、支柱200の軸方向下端部には、ブラケット4が固定される。
【0112】
そして、羽根300は、ロータホルダ12のホルダ蓋部121に取り付けられる。羽根300は、周方向に進むにつれて軸方向に延びる形状を有する。そして、モータ100が回転することで、羽根300は周方向に回転する。羽根300が回転することで、支柱200の中心軸に沿う方向の気流が発生する。
【0113】
また、本発明にかかるモータは、送風装置だけでなく、回転体を回転させる動力源として広く採用することが可能である。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のモータは、例えば、サーキュレータ等の送風装置を駆動する駆動装置として用いることができる。また、本発明のモータは、送風装置以外にも、回転力を外部に供給する動力源として用いることが可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 モータ
100A モータ
100B モータ
100C モータ
100D モータ
200 支柱
300 羽根
1 ロータ
11 ロータハブ
111 ホルダ固定部
112 軸受保持部
12 ロータホルダ
120 ハブ貫通孔
121 ホルダ蓋部
122 ホルダ筒部
123 ホルダ第1面
124 ホルダ第2面
125 連結面
126 内筒部
127 外筒部
13 ロータコア
130 ロータコア上面
131 ロータコア筒状部
132 ロータコア溝部
133 ロータコア下面
14 マグネット
140 マグネット上面
141 マグネット下面
15 スペーサ
151 スペーサ第1面
152 スペーサ第2面
153 スペーサ内側面
154 スペーサ外側面
155 曲面部
156 平面部
157 スペーサ突起部
1C ロータ
15C スペーサ
152C スペーサ第2面
1D ロータ
12D ロータホルダ
122D ホルダ筒部
15D スペーサ
16 スペーサ
2 ステータ
21 ステータコア
211 コアバック部
212 ティース部
213 第1環状部
214 第2環状部
215 支持リブ
216 貫通孔
217 固定部材挿入部
22 インシュレータ
221 インシュレータ凸部
23 コイル
3 シャフト
4 ブラケット
41 シャフト保持部
42 ステータ保持部
43 フレーム保持部
44 シャフト蓋部
5 フレーム
50 フレーム平板部
51 ブラケット筒部
52 フレーム凸部
6 軸受部
61 外輪
62 内輪
63 ボール
7 回路基板
71 第1配線パターン
72 第2配線パターン
73 基板貫通孔
74 位置検知素子
8 第1固定部材
81 ステータ固定部
82 基板保持部
820 脚部
821 大径部
822 小径部
823 かしめ部
824 下面
825 上面
8B 第1固定部材
820B 脚部
822B 小径部
83 第2固定部材
731 導通部
A シーリングファン
Cx 中心軸