(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
F16K31/06 305J
(21)【出願番号】P 2019166353
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶多
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10121616(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015016608(DE,A1)
【文献】実開昭62-024180(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第19837694(DE,A1)
【文献】特開平02-021081(JP,A)
【文献】実開平04-046278(JP,U)
【文献】特開2019-091739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
H01F 7/06- 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って設けられた貫通孔を有する筒状のボビンと、
前記ボビンの外周部に巻回して設けられたコイルと、
前記貫通孔内に配置され、軸方向に沿って設けられた第1貫通孔を有する筒状のコアと、
前記貫通孔内に前記コアの軸方向一方側に配置され、軸方向に沿って設けられた第2貫通孔を有し、前記コイルに通電した状態で前記コアとの間で磁気回路を構成する筒状のヨークと、
軸方向に沿って前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との内側を貫いて配置され、軸方向に沿って移動可能な流路管であって、流体が通過する流路を有する流路管と、
前記流路管の外周部に固定され、該流路管が軸方向に沿って移動する際、前記コアの内周部と前記流路管の外周部との間の第1間隙と、該第1間隙に隣接し、前記ヨークの内周部と前記流路管の外周部との間の第2間隙とからなる空間に配置され、この空間を移動可能なプランジャと、
前記流路管の軸方向他方側に配置され、前記流路管の軸方向他方側への移動により、前記流路管の軸方向他方側の開口部が塞がれて該開口部を閉状態とし、前記流路管の軸方向一方側への移動により、前記開口部が離間して該開口部を開状態とする固定壁部と、
前記ヨークの軸方向一方側に配置され、前記磁気回路による前記流路管の移動方向と反対方向に向かって、前記流路管を付勢するバネとを備え
、
前記バネは、前記流路管の外周側で該流路管と同心状に配置されたコイルバネであり、
前記流路管は、前記コイルバネの軸方向一方側が接するバネ座として機能するフランジ部を有し、
前記ヨークは、前記コイルバネの軸方向他方側が接するバネ座として機能し、内径が縮径した縮径部を有する切換弁。
【請求項2】
前記開状態で前記フランジ部が接して、前記流路管の軸方向一方側への移動を規制する規制部を備える請求項
1に記載の切換弁。
【請求項3】
前記バネは、前記開口部を開状態とする方向に向かって前記流路管を付勢する請求項1~
2のいずれか1項に記載の切換弁。
【請求項4】
前記コアは、前記流路管の外周部との間の第1間隙が軸方向他方側に向かって漸減するテーパ状をなすテーパ部を有する請求項1~
2のいずれか1項に記載の切換弁。
【請求項5】
前記テーパ部は、前記流路管の軸方向に沿った移動により、前記プランジャとの間の軸方向に沿った距離が変化する請求項4に記載の切換弁。
【請求項6】
前記コアは、前記流路管の外周部と接する部分を有する請求項1~
2のいずれか1項に記載の切換弁。
【請求項7】
前記ボビン、前記コイルおよび前記コアを一括して収納するケースを備え、
前記ケースは、軸方向他方側から前記コアと接する壁部を有する請求項1~
2のいずれか1項に記載の切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の通過と遮断とを切り換える同軸バルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の同軸バルブは、軸方向に移動可能に配置された管状のバルブ閉鎖体と、バルブ閉鎖体が移動することにより、閉鎖体内の流体の流路を開閉させるバルブシートと、バルブ閉鎖体の外周部に固定され、バルブ閉鎖体とともに移動するプランジャと、プランジャが移動した際にプランジャを案内するコアと、バルブ閉鎖体が移動した際にバルブ閉鎖体を案内するヨークとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の同軸バルブでは、バルブ閉鎖体は、ヨークに案内されるが、コアには案内されない、すなわち、案内される箇所が不十分であるため、例えばバルブ閉鎖体を通過する流体の流量を抑えなければ、安定して移動することができない。
また、バルブ閉鎖体は、例えば案内される箇所を多くしようとすると、全長が長くなってしまい、その結果、同軸バルブの大型化につながる。同軸バルブの大型化は、同軸バルブの小型化を図りたい場合には、好ましくはない。
【0005】
本発明の目的は、流路管を通過する流体の流量を十分に確保しつつ、切換弁の小型化を図ることができる切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の切換弁の一つの態様は、軸方向に沿って設けられた貫通孔を有する筒状のボビンと、前記ボビンの外周部に巻回して設けられたコイルと、前記貫通孔内に配置され、軸方向に沿って設けられた第1貫通孔を有する筒状のコアと、前記貫通孔内に前記コアの軸方向一方側に配置され、軸方向に沿って設けられた第2貫通孔を有し、前記コイルに通電した状態で前記コアとの間で磁気回路を構成する筒状のヨークと、軸方向に沿って前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との内側を貫いて配置され、軸方向に沿って移動可能な流路管であって、流体が通過する流路を有する流路管と、前記流路管の外周部に固定され、該流路管が軸方向に沿って移動する際、前記コアの内周部と前記流路管の外周部との間の第1間隙と、該第1間隙に隣接し、前記ヨークの内周部と前記流路管の外周部との間の第2間隙とからなる空間に配置され、この空間を移動可能なプランジャと、前記流路管の軸方向他方側に配置され、前記流路管の軸方向他方側への移動により、前記流路管の軸方向他方側の開口部が塞がれて該開口部を閉状態とし、前記流路管の軸方向一方側への移動により、前記開口部が離間して該開口部を開状態とする固定壁部と、前記ヨークの軸方向一方側に配置され、前記磁気回路による前記流路管の移動方向と反対方向に向かって、前記流路管を付勢するバネとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の切換弁の一つの態様によれば、流路管を通過する流体の流量を十分に確保しつつ、切換弁の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の切換弁(開状態)の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の切換弁(閉状態)の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の切換弁を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および
図2を参照して本発明の切換弁の実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する2軸をX軸およびY軸を設定する。X軸と平行な方向を「軸方向(軸O1方向)」と言い、この軸を中心とする径方向を単に「径方向」と言い、前記軸を中心とする周方向を単に「周方向」と言うことがある。また、X軸方向負側を「軸方向一方側」または単に「一方側」と言い、X軸方向正側を「軸方向他方側」または単に「他方側」と言うことがある。本明細書中において、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
図1に示す切換弁1は、例えば自動車に搭載され、流体Qの通過と遮断とを切り換える切換弁として用いられる。切換弁1は、ボビン2と、コイル3と、コア4と、ヨーク5と、流路管6と、プランジャ7と、バネ8と、規制部10と、内側ケース13と、外側(ケース)12と、固定壁部11とを備える。以下、各部の構成について説明する。なお、流体Qとしては、液体、気体のいずれであってもよい。
【0011】
ボビン2は、貫通孔21を有する筒状の部材である。貫通孔21は、X軸方向と平行な軸O1方向に沿って貫通して設けられる。また、貫通孔21の内径は、軸O1方向に沿って一定である。ボビン2は、一方側で、径方向に突出したフランジ部23と、他方側で、径方向に突出したフランジ部24とを有する。ボビン2は、例えば、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂等の各種熱硬化性樹脂で構成される。
【0012】
ボビン2の外周部22には、導電性を有するコイル3が巻回して設けられる。そして、コイル3を通電状態とすることにより、ボビン2とコア4とヨーク5とで磁気回路20が構成されて、磁力を生じさせることができる。これにより、プランジャ7をX軸方向に沿って移動させることができる。なお、磁気回路20の磁力によるプランジャ7の移動方向は、本実施形態では、X軸方向正側である。この場合、プランジャ7のX軸方向負側へ移動は、バネ8の付勢力が担う。
【0013】
ボビン2の貫通孔21内には、円筒状のコア4と、円筒状のヨーク5とが配置される。コア4は、X軸方向正側(軸O1方向他方)に配置され、ヨーク5は、X軸方向負側(軸O1方向一方側)に配置される。また、コア4とヨーク5とを貫通して流路管6が配置される。
【0014】
コア4は、X軸方向と平行に配置され、X軸方向(軸O1方向)に沿って設けられた第1貫通孔41を有する。また、ヨーク5も、X軸方向と平行に配置され、X軸方向(軸O1方向)軸O1方向に沿って設けられた第2貫通孔51を有する。コア4およびヨーク5は、鉄等のような磁性材からなる、すなわち、磁性を有する金属材料で構成される。これにより、コイル3に通電した状態でコア4との間で、プランジャ7を流路管6ごと移動させることができる程度の大きさの磁力を、磁気回路20に生じさせることができる。
【0015】
また、切換弁1は、コア4とヨーク5とを貫通孔21内で離間させた状態で連結する連結部材14を備える。連結部材14は、円筒状であり、内側にコア4の一方部とヨーク5の他方部とが嵌め込まれる。連結部材14は、非磁性を有し、錆に対する耐性を有する、例えばオーステナイト系のステンレス鋼等の金属材料で構成される。
【0016】
コア4の内周部42と流路管6の外周部62との間の一方側には、第1間隙91が設けられる。また、ヨーク5の内周部52と流路管6の外周部62との間の他方側には、第1間隙91に隣接する第2間隙92が設けられる。第1間隙91と第2間隙92とは、つながっており、プランジャ7が移動可能なプランジャ移動空間(空間)93を構成する。
【0017】
また、コア4は、第1間隙91での内径がX軸方向正側(軸O1方向他方側)に向かって漸減するテーパ状をなすテーパ部421を有する。これにより、例えば、プランジャ7を流路管6ごと迅速かつ十分に移動させることができる程度の大きさの磁力を、磁気回路20に生じさせることができる。一方、ヨーク5は、第2間隙92での内径がX軸方向に沿って一定(以下「内径一定部54」という)である。
【0018】
流路管6は、軸O1方向に沿って、コア4の第1貫通孔41とヨーク5の第2貫通孔51との内側を貫いて配置される。流路管6は、軸O1方向に沿って往復動可能に支持される。なお、流路管6のストローク、すなわち、往路および復路での移動距離は、特に限定されないが、例えば、4mm程度とすることができる。
【0019】
流路管6は、円筒状をなし、内側で流体Qが通過する流路61を有する。これにより、流路管6では、内径の大きさの分だけ、流路61を確保することができ、よって、流体Qの大流量化が可能となる。なお、流体Qの流量は、特に限定されないが、例えば、10L/min程度とすることができる。これにより、流路管6を通過する流体Qの流量を十分に確保することができる。また、流体Qは、本実施形態ではX軸方向正側に向かって流れるが、これに限定されず、X軸方向負側に向かって流れてもよい。
【0020】
また、流路管6は、外周部62に設けられた外径一定部64と、テーパ部65と、フランジ部63とを有する。
外径一定部64は、外径がX軸方向に沿って一定となった部分である。そして、外径一定部64(外周部62)は、コア4の内径一定部422と接する。これにより、流路管6がX軸方向正側、負側のいずれかの方向に向かって移動した際、流路管6の外周部62がコア4の内径一定部422を摺動して案内される。これにより、流路管6が安定して正確に移動することができる。なお、内径一定部422は、コア4のテーパ部421の他方側に設けられ、内径がX軸方向に沿って一定となった部分である。
【0021】
テーパ部65は、外径一定部64の他方側に設けられ、外径がX軸方向正側に向かって漸減したテーパ状をなす部分である。
フランジ部63は、外径一定部64の一方側に設けられ、外径が拡径して、板状に突出した部分である。
なお、流路管6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種樹脂材料等を用いることができる。
【0022】
流路管6の外周部62には、プランジャ7が固定される。これにより、プランジャ7は、流路管6とともにX軸方向に沿って移動することができ、その際、プランジャ移動空間93内を移動する。
また、プランジャ7は、円筒状をなし、流路管6と同心状に配置される。プランジャ7は、外周部71に設けられた外径一定部72と、テーパ部73とを有する。なお、プランジャ7は、磁性を有する材料で構成される。
【0023】
外径一定部72は、外径がX軸方向に沿って一定となった部分である。そして、外径一定部72は、ヨーク5の内径一定部54と接する。これにより、流路管6がX軸方向正側、負側のいずれかの方向に向かって移動した際、プランジャ7の外径一定部72がヨーク5の内径一定部54を摺動して案内される。これにより、前述した流路管6の外周部62がコア4の内径一定部422を摺動して案内されることと相まって、流路管6がより安定して移動することができる。
【0024】
テーパ部73は、外径一定部72の他方側に設けられ、外径がX軸方向正側に向かって漸減したテーパ状をなす部分である。そして、プランジャ7のテーパ部73と、コア4のテーパ部421との間のX軸方向に沿った距離L1は、流路管6のX軸方向に沿った移動により変化する。これにより、プランジャ7は、磁気回路20で生じた磁力を徐々に受けることができ、よって、流路管6とともに円滑に移動することができる。
【0025】
以上のように、切換弁1では、流路管6は、X軸方向正側ではコア4に支持、案内され、X軸方向負側ではプランジャ7を介してヨーク5に支持、案内された状態となる。これにより、流路管6は、安定した移動が可能となる。例えば、流体Qの流量が比較的多い場合には、流路管6を比較的緩やかに移動させ、流体Qの流量が比較的少ない場合には、流路管6を比較的早く移動させる状態となる不安定な流路管6の移動を防止することができる。
【0026】
また、切換弁1では、流路管6がプランジャ7とともに、コア4とヨーク5との内側に位置する。これにより、例えば流路管6がヨーク5からX軸負側に突出して配置されている場合に比べて、切換弁1の全長を抑えることができ、よって、切換弁1の小型化を図ることができる。
【0027】
図1、
図2に示すように、流路管6のX軸方向正側(軸O1方向他方側)には、固定壁部11が固定して配置される。固定壁部11は、板部材で構成され、流路管6の他方側に開口する開口部611に臨む。そして、流路管6のX軸方向正側への移動により、流路管6の開口部611が固定壁部11で塞がれて開口部611を閉状態とすることができる(
図2参照)。閉状態では、流体Qの通過が停止する。反対に、流路管6のX軸方向負側への移動により、開口部611が固定壁部11から離間して開口部611を開状態とすることができる(
図1参照)。開状態では、流体Qの通過が可能となる、すなわち、流体Qは、流路管6の一方側に開口する開口部612から、開口部612と反対側の開口部611を経て、さらにX軸方向正側に向かって流れることができる。
【0028】
ヨーク5内のX軸方向負側(軸O1方向一方側)には、バネ8が配置される。バネ8は、磁気回路20の磁力による流路管6の移動方向と反対方向に向かって、すなわち、X軸方向負側に向かって流路管6を付勢する。本実施形態では、バネ8は、流路管6の外周側で流路管6と同心状に配置されたコイルバネ81である。
【0029】
コイルバネ81のX軸方向負側(軸O1方向一方側)の一端面811は、流路管6のフランジ部63接する。これにより、流路管6のフランジ部63は、一端面811のバネ座として機能する。
また、ヨーク5は、内径一定部54の一方側に設けられ、内径一定部54よりも内径が縮径した縮径部53を有する。縮径部53には、コイルバネ81のX軸方向正側(軸O1方向他方側)の他端面812が接する。これにより、縮径部53は、他端面812のバネ座として機能する。
【0030】
そして、フランジ部63と縮径部53との間でコイルバネ81を圧縮状態とすることができる。これにより、簡単な構成で、開口部611を開状態とする方向、すなわち、X軸方向負側に向かって、流路管6を付勢することができる。なお、開口部611を閉状態とするには、コイルバネ81の付勢力に抗して、前述したように流路管6をX軸方向正側に向かって移動させる。
【0031】
また、ヨーク5内のX軸方向負側にバネ8が配置されることにより、例えば、プランジャ7が固定された流路管6(以下「プランジャ付き流路管15」という)と、連結部材14を介して連結されたコア4とヨーク5との連結体16と、コイルバネ81とを組み立てる際、次に述べる効果を奏する。なお、組立前のプランジャ付き流路管15は、未だ、フランジ部63が形成されていない状態である。
【0032】
まず、プランジャ付き流路管15を、X軸方向負側から連結体に挿入する(第1工程)。次いで、コイルバネ81に、X軸方向正側からプランジャ付き流路管15を挿入する(第2工程)。次いで、プランジャ付き流路管15に加工を施して、フランジ部63を形成する(第3工程)。第1工程から第3工程を経ることにより、プランジャ付き流路管15と、連結体16と、コイルバネ81とを容易に組み立てることができ、切換弁1を製造する時間を短縮して、製造コストを抑えることができる。
【0033】
流路管6のX軸方向負側(軸O1方向一方側)には、規制部10がヨーク5に固定して配置される。規制部10は、リング状の板部材で構成され、中心軸が軸O1と一致する。規制部10には、流路管6の開状態でフランジ部63が接することがきるため、流路管6のX軸方向負側への移動が規制されて、流路管6がヨーク5から突出するのが防止され、よって、切換弁1の小型化に寄与する。なお、流路管6の閉状態では、フランジ部63は、規制部10から離間する。
【0034】
外側ケース12は、内側ケース13ごとボビン2、コイル3およびコア4を一括して収納する部材である。外側ケース12は、円筒状の円筒壁部122と、円筒壁部122の他方側に設けられたリング状のリング状壁部(壁部)121とを有する。
円筒壁部122は、中心軸が軸O1と一致する。そして、円筒壁部122の内側に、内側ケース13ごとボビン2、コイル3およびコア4が収納される。なお、円筒壁部122の外径は、例えば、46mm程度とするのが好ましい。また、円筒壁部122の内周部には、ヨーク5のフランジ部55が引っ掛かる。これにより、ヨーク5の位置決めがされる。フランジ部55は、ヨーク5の外径が拡径し、板状に突出した部分である。
【0035】
リング状壁部121は、X軸方向正側(軸O1方向他方側)からボビン2およびコア4と接する。これにより、外側ケース12内におけるボビン2およびコア4の位置決めがされる。
内側ケース13は、弾性を有するシール材17およびシール材18とともに、流路61の気密性を保持する。内側ケース13は、外側ケース12の円筒壁部122の内側に、円筒壁部122と同心状に配置された円筒状の部材である。内側ケース13の内周部には、軸O1側に突出した突出部131および突出部132を有する。そして、突出部131と外側ケース12のリング状壁部121との間で、シール材17を圧縮することができ、突出部132とヨーク5のフランジ部55との間で、シール材18を圧縮することができる。これにより、突出部131と外側ケース12のリング状壁部121との間と、突出部132とヨーク5のフランジ部55との間とが密閉され、よって、流路管6の外周側で流路61の気密性を保持することができる。そして、気密性が保持されることにより、流体Qの漏れを防止することができる。
【0036】
以上、本発明の切換弁を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、切換弁を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の切換弁は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…切換弁、2…ボビン、21…貫通孔、22…外周部、23…フランジ部、24…フランジ部、3…コイル、4…コア、41…第1貫通孔、42…内周部、421…テーパ部、422…内径一定部、5…ヨーク、51…第2貫通孔、52…内周部、53…縮径部、54…内径一定部、55…フランジ部、6…流路管、61…流路、611…開口部、612…開口部、62…外周部、63…フランジ部、64…外径一定部、65…テーパ部、7…プランジャ、71…外周部、72…外径一定部、73…テーパ部、8…バネ、81…コイルバネ、811…一端面、812…他端面、91…第1間隙、92…第2間隙、93…プランジャ移動空間(空間)、10…規制部、11…固定壁部、12…外側ケース(ケース)、121…リング状壁部(壁部)、122…円筒壁部、13…内側ケース、14…連結部材、15…プランジャ付き流路管、16…連結体、17…シール材、18…シール材、20…磁気回路、L1…距離、O1…軸、Q…流体