(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20240214BHJP
H01H 1/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01H50/54 E
H01H1/04 A
(21)【出願番号】P 2019167424
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】針持 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-014364(JP,A)
【文献】国際公開第2011/115057(WO,A1)
【文献】特開平10-223112(JP,A)
【文献】特開昭57-049142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0057073(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/00 - 1/66
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
前記第1固定端子と前記第2固定端子とに対して開方向と閉方向とに移動可能な可動接触片と、
前記可動接触片に接続され、前記第1固定接点に向かい合って配置された第1可動接点と、
前記可動接触片に接続され、前記第2固定接点に向かい合って配置された第2可動接点と、
を備え、
前記第1固定接点と前記第1可動接点との少なくとも一方は、前記第2固定接点と前記第2可動接点との少なくとも一方と異なる材料特性を有し、
前記可動接触片の接点フォローは、前記可動接触片の移動方向における前記第1固定接点と前記第1可動接点との長さの和、及び/又は、前記可動接触片の移動方向における前記第2固定接点と前記第2可動接点との長さの和よりも小さい、
電磁継電器。
【請求項2】
前記第1固定接点と前記第1可動接点との少なくとも一方は、前記第2固定接点と前記第2可動接点との少なくとも一方と異なる融点を有する、
請求項
1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第1固定接点と前記第1可動接点との少なくとも一方は、前記第2固定接点と前記第2可動接点との少なくとも一方と異なる電気抵抗を有する、
請求項1
又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第1固定接点と前記第1可動接点との少なくとも一方は、前記第2固定接点と前記第2可動接点との少なくとも一方と異なる種類の導電性材料を含む、
請求項1から
3のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記第1固定接点は、第1材料製であり、
前記第2固定接点は、第1材料製と異なる種類の第2材料製である、
請求項1から
4のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第1可動接点は、第1材料製であり、
前記第2可動接点は、第1材料製と異なる種類の第2材料製である、
請求項1から
4のいずれかに記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されているように、電磁継電器には、可動接触片と、可動接点と、固定接点と、固定端子とを備えたものがある。可動接点は、可動接触片に接続されている。可動接触片は開位置と閉位置とに移動する。可動接触片が開位置で、可動接点は固定接点から開離している。可動接触片が閉位置で、可動接点は固定接点と接触する。それにより、固定端子と可動接触片とが通電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁継電器において過電流が流れると、接点が消失することがある。接点が消失すると、固定端子と可動接触片との間に隙間が生じて、固定端子と可動接触片とを安定的に通電することが困難になる。本開示の目的は、電磁継電器において、接点が消失しても安定的な通電を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る電磁継電器は、第1固定端子と、第1固定接点と、第2固定端子と、第2固定接点と、可動接触片と、第1可動接点と、第2可動接点と、を備える。第1固定接点は、第1固定端子に接続される。第2固定接点は、第2固定端子に接続される。可動接触片は、第1固定端子と第2固定端子とに対して開方向と閉方向とに移動可能である。第1可動接点は、可動接触片に接続される。第1可動接点は、第1固定接点に向かい合って配置される。第2可動接点は、可動接触片に接続される。第2可動接点は、第2固定接点に向かい合って配置される。第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方は、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方と異なる材料特性を有する。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、過電流が流れても、第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方と、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。それにより、一部の接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【0007】
第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方は、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方と異なる融点を有してもよい。この場合、融点の違いによって、第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方と、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。
【0008】
第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方は、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方と異なる電気抵抗を有してもよい。この場合、電気抵抗の違いによって、第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方と、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。
【0009】
第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方は、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方と異なる種類の導電性材料を含んでもよい。この場合、導電性材料の種類の違いによって、第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方と、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。
【0010】
第1固定接点は、第1材料製であってもよい。第2固定接点は、第1材料製と異なる種類の第2材料製であってもよい。この場合、第1固定接点が消失するタイミングと、第2固定接点が消失するタイミングとを異ならせることができる。
【0011】
第1可動接点は、第1材料製であってもよい。第2可動接点は、第1材料製と異なる種類の第2材料製であってもよい。この場合、第1可動接点が消失するタイミングと、第2可動接点が消失するタイミングとを異ならせることができる。
【0012】
電磁継電器は、可動機構と駆動装置とをさらに備えてもよい。可動機構は、可動接触片を開方向と閉方向とに移動可能に支持してもよい。駆動装置は、可動機構を移動させてもよい。駆動機構は、コイルと、固定鉄心と、可動鉄心とを含んでもよい。固定鉄心は、コイル内に配置されてもよい。可動鉄心は、固定鉄心と向かい合い、可動機構に接続されてもよい。可動鉄心が固定鉄心に接触した状態で、第1可動接点が第1固定接点に接触し、第2可動接点が第2固定接点に接触してもよい。
【0013】
可動接触片の接点フォローは、可動接触片の移動方向における第1固定接点と第1可動接点との長さの和、及び/又は、可動接触片の移動方向における第2固定接点と第2可動接点との長さの和よりも小さくてもよい。この場合、接点フォローによって、接点の接触圧を向上させることができる。また、接点フォローと接点の寸法とが上記の関係である場合には、全ての接点が同時に焼失すると、第1、第2固定端子と可動接触片との間に隙間が生じやすい。しかし、本態様に係る電磁継電器では、過電流が流れても、第1固定接点と第1可動接点との少なくとも一方と、第2固定接点と第2可動接点との少なくとも一方とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。それにより、一部の接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、電磁継電器において、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る開状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
【
図2】閉状態の電磁継電器を示す側面断面図である。
【
図3】可動接点が固定接点に接触し始めたときの接点装置の拡大図である。
【
図4】可動機構が閉位置での接点装置の拡大図である。
【
図5】変形例に係る電磁継電器を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器1について説明する。
図1は実施形態に係る電磁継電器1を示す側面断面図である。
図1に示すように、電磁継電器1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4とを備える。
【0017】
なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、
図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向が、上方と定義される。接点装置2から駆動装置4に向かう方向が、下方と定義される。
図1において、上下方向に交差する方向が、左右方向と定義される。上下方向および左右方向に交差する方向が、前後方向と定義される。前後方向は、
図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0018】
接点装置2は、ハウジング3内に配置されている。接点装置2は、可動機構10と、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と、第1固定接点14と、第2固定接点15と、第1可動接点16と、第2可動接点17とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅、或いは銅合金などの導電性を有する材料製である。第1固定接点14は、第1固定端子11に接続されている。第2固定接点15は、第2固定端子12に接続されている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に離れて配置されている。
【0019】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1接点支持部21は、可動接触片13と向かい合っている。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、ハウジング3から外方に突出している。
【0020】
第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2接点支持部23は、可動接触片13と向かい合っている。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、ハウジング3から外方に突出している。詳細には、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、ハウジング3から上方に突出している。
【0021】
可動接触片13は、例えば銅、或いは銅合金などの導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。可動接触片13は、上下方向において、第1固定端子11の第1接点支持部21と、第2固定端子12の第2接点支持部23とに向かい合って配置されている。
【0022】
可動接触片13は、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。閉方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12に近接する方向(
図1における上方)である。開方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11および第2固定端子12から開離する方向(
図1における下方)である。
【0023】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に接続されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に離れて配置されている。第1可動接点16は、上下方向において第1固定接点14に向かい合っている。第2可動接点17は、上下方向において第2固定接点15に向かい合っている。
【0024】
可動機構10は、可動接触片13を支持している。可動機構10は、可動接触片13と共に、閉方向Z1と開方向Z2とに移動可能に配置されている。可動機構10は、駆動軸19と、第1保持部材25と、第2保持部材26と、接点バネ27とを含む。駆動軸19は、上下方向に延びている。駆動軸19は、可動接触片13に接続されている。駆動軸19は、可動接触片13から下方に延びている。可動接触片13には、孔13aが設けられている。駆動軸19は孔13aに挿入されている。可動接触片13は、駆動軸19に対して、閉方向Z1と開方向Z2とに相対的に移動可能である。
【0025】
駆動軸19は、閉位置と開位置とに移動可能に設けられる。
図1は、開位置の駆動軸19を示している。
図1に示すように、駆動軸19が開位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15から開離している。
図2は、閉位置の駆動軸19を示している。
図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、可動接点16,17は、固定接点14,15と接触している。
【0026】
第1保持部材25は、駆動軸19に固定されている。接点バネ27は、可動接触片13と第1保持部材25との間に配置される。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を閉方向Z1に付勢する。第2保持部材26は、駆動軸19に固定されている。可動接触片13は、第2保持部材26と接点バネ27との間に位置している。
【0027】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動機構10を移動させる。それにより、駆動装置4は、閉方向Z1および開方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、可動鉄心31と、コイル32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0028】
可動鉄心31は、駆動軸19に接続されている。可動鉄心31は、閉方向Z1および開方向Z2に移動可能に設けられている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を閉方向Z1に移動させる電磁力を発生させる。固定鉄心33は、可動鉄心31と向かい合って配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開方向Z2に付勢している。
【0029】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。
【0030】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、駆動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧されている。そのため、駆動軸19は、
図1に示す開位置に位置している。この状態で、可動機構10を介して、可動接触片13も開方向Z2に押圧されている。従って、駆動軸19が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離している。
【0031】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、閉方向Z1に移動する。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に閉方向Z1に移動する。従って、
図2に示すように、駆動軸19は、閉位置へ移動する。その結果、駆動軸19が閉位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15にそれぞれ接触する。
【0032】
詳細には、駆動軸19が、開位置から閉位置へ移動するとき、
図3に示すように、駆動軸19が閉位置に到達する前に、第1可動接点16および第2可動接点17が、第1固定接点14および第2固定接点15にそれぞれ接触する。それにより、可動接触片13の閉方向Z1への移動が規制される。この状態で、可動鉄心31は、固定鉄心33に接触しておらず、固定鉄心33から離れている。従って、可動鉄心31は、さらに閉方向Z1へと移動可能である。そのため、
図4に示すように、駆動軸19が、さらに閉方向Z1に移動すると、駆動軸19が可動接触片13に対して閉方向Z1に移動する。それにより、第1保持部材25と可動接触片13との間の距離が小さくなり、接点バネ27が圧縮される。そのため、駆動軸19が閉位置で、接点バネ27は、可動接触片13を閉方向Z1に付勢する。
図2に示すように、駆動軸19が閉位置で、可動鉄心31は、固定鉄心33に接触する。それにより、駆動軸19の閉方向Z1への移動が規制される。
【0033】
図4において、“A1”は、接点フォローを示している。接点フォローA1は、接触開始位置と閉位置との間の距離である。接触開始位置は、第1可動接点16および第2可動接点17が、第1固定接点14および第2固定接点15に最初に接触したときの駆動軸19の位置である。
【0034】
可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第1固定接点14と第1可動接点16との長さの和A2よりも小さい。可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第2固定接点15と第2可動接点17との長さの和A3よりも小さい。
【0035】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開方向Z2に押圧される。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に開方向Z2に移動する。従って、
図1に示すように、可動機構10は、開位置へ移動する。その結果、可動機構10が開位置で、第1可動接点16および第2可動接点17は、第1固定接点14および第2固定接点15から開離する。
【0036】
本実施形態に係る電磁継電器1では、第1固定接点14と第1可動接点16とは、第1材料製である。第2固定接点15と第2可動接点17とは、第2材料製である。第1材料は、第2材料と異なる材料特性を有する。詳細には、第1材料は、第2材料と異なる導電性材料である。そのため、第1固定接点14および第1可動接点16は、第2固定接点15および第2可動接点17と異なる融点を有する。
【0037】
第1材料と第2材料とは、接点材料として公知の材料から選択されてもよい。例えば、第1材料は、銀、銀合金、銅合金、或いはタングステン合金などの導電性材料である。第2材料は、銀、銀合金、銅合金、或いはタングステン合金などの導電性材料であって、第1材料と異なる。
【0038】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、第1固定接点14および第1可動接点16は、第2固定接点15および第2可動接点17と異なる材料特性を有している。そのため、過電流が流れても、第1固定接点14および第1可動接点16と、第2固定接点15および第2可動接点17とが消失するタイミングを互いに、異ならせることができる。それにより、一部の接点が消失しても、固定端子11,12と可動接触片13との間に隙間が生じることが抑えられる。それにより、固定端子11,12と可動接触片13との間に安定的な通電を確保することができる。
【0039】
本実施形態に係る電磁継電器1では、可動接触片13の接点フォローA1は、固定接点14,15と可動接点16,17との長さの和A2,A3のそれぞれによりも短い。そのため、もし固定接点14,15と可動接点16,17とが全て消失したときには、固定端子11,12と可動接触片13との間に隙間が発生してしまう。しかし、本実施形態に係る電磁継電器では、過電流が流れても、第1固定接点14および第1可動接点16と、第2固定接点15および第2可動接点17とが消失するタイミングを異ならせることができる。それにより、固定端子11,12と可動接触片13との間に安定的な通電を確保することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
第1固定接点14および第2固定接点15は、互いに同じ材料製であってもよい。第1可動接点16および第2可動接点17は、互いに同じ材料製であってもよい。第1固定接点14および第2固定接点15は、第1可動接点16および第2可動接点17と異なる材料製であってもよい。
【0042】
上記の実施形態では、異なる材料特性は、融点である。しかし、異なる材料特性は、電気抵抗などの他の特性であってもよい。異なる材料特性は、表面処理の種類、或いは材料の違いによって実現されてもよい。或いは、異なる材料特性は、表面処理の有無によって実現されてもよい。表面処理は、例えばめっき、或いはクラッドなどであってもよい。
【0043】
上記の実施形態では、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動する。また、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が開方向Z2に移動する。しかし、接点を開閉するための駆動軸19の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が閉方向Z1に移動してもよい。駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が開方向Z2に移動してもよい。すなわち、閉方向Z1と開方向Z2とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【0044】
第1固定端子11、第2固定端子12、或いは可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、
図5に示すように、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、左右方向にハウジング3から突出してもよい。或いは、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、前後方向にハウジング3から突出してもよい。可動鉄心31、コイル32、固定鉄心33、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1固定接点14、第2固定接点15、第1可動接点16、第2可動接点17の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0045】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0046】
可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第1固定接点14と第1可動接点16との長さの和A2以上であってもよい。可動接触片13の接点フォローA1は、可動接触片13の移動方向における第2固定接点15と第2可動接点17との長さの和A3以上であってもよい。或いは、可動接触片13の接点フォローA1は、省略されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示によれば、電磁継電器において、接点が消失しても安定的な通電を確保することができる。
【符号の説明】
【0048】
4 駆動装置
12 第2固定端子
10 可動機構
11 第1固定端子
13 可動接触片
14 第1固定接点
15 第2固定接点
16 第1可動接点
17 第2可動接点
31 可動鉄心
32 コイル
33 固定鉄心