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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G15/08 322B
G03G15/08 322A
G03G15/08 322C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019170966
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021047340
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菅野 誠
(72)【発明者】
【氏名】福野 良
(72)【発明者】
【氏名】濱地 智廉
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-292511(JP,A)
【文献】特開2003-186293(JP,A)
【文献】特開2009-192707(JP,A)
【文献】特開2001-166593(JP,A)
【文献】特開2010-072430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0170888(US,A1)
【文献】国際公開第2020/185243(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容室と、
正転により前記現像剤を保持する現像剤保持体に前記現像剤を供給しながら搬送する供給搬送手段と、
前記供給搬送手段の回転軸より上部で前記供給搬送手段の搬送方向下流側で余剰現像剤を排出する排出部より搬送方向上流側で前記現像剤収容室内の前記現像剤の量を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される前記現像剤の量が予め定められた閾値を超えた場合、前記供給搬送手段を逆転動作させた後、通常時よりも速い回転速度で正転動作させる制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記現像剤の透磁率を測定することで前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記現像剤収容室内に配置されるピエゾ素子を有し、前記ピエゾ素子上の前記現像剤の有無に基づいて前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記供給搬送手段の鉛直上方で互いに対向して配置された電極間に電圧を印加して測定される電流値の変化に基づいて前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記供給搬送手段の鉛直上方で前記現像剤の液面に接触して変位するアクチュエータを有し、前記現像剤の液面が前記アクチュエータに接触した場合、前記現像剤収容室外に配置された発光部から出射した光を前記発光部と対向する位置に設けられた受光部で受光することで前記現像剤の液面を検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転スリーブの内側に磁気ロールを有する現像ローラと、該現像ローラ下方を現像剤掻き取り板にて現像剤付着室と現像剤補給室に分画し、かつ両室間で現像剤を撹拌スクリューによって循環させる現像剤収納箱を備えた現像器とを、感光体ベルト下方に並列配置してなるカラー画像形成装置において、磁気ロール表面の現像剤補給室側対向面に非磁力領域を形成するとともに、該現像剤補給室の始端部に現像剤排出口を設け、かつ現像剤排出時に、攪拌スクリューを逆転できるよう構成したことカラー画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
静電潜像を形成する像担持体と、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を収容する現像容器と、二成分現像剤を担持搬送して静電潜像をトナー像とする現像剤担持体と、現像容器に設けられ現像容器に収容された二成分現像剤を搬送して循環させる現像剤搬送手段と、現像容器に設けられ現像容器に収容された二成分現像剤を排出する排出口と、を備える現像装置と、出力する画像のトナー消費量に関する情報を検出する検出手段と、トナー消費量に関する情報に基づいて現像容器に現像剤を補給する補給手段と、を有する画像形成装置において、検出手段により検出した1枚又は複数枚分のトナー消費量が所定の閾値を超えるときに、超えないときと比べて現像剤搬送手段の搬送速度が速くなるように制御する制御手段を有する画像形成装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-37774号公報
【文献】特開2012-163628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像剤排出機構を有する現像装置において予測検知による現像剤量の安定化動作を行う場合に比べて、画像形成の生産性を低下させることなく、現像装置の現像剤量を安定化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の画像形成装置は、
現像剤を収容する現像剤収容室と、
正転により前記現像剤を保持する現像剤保持体に前記現像剤を供給しながら搬送する供給搬送手段と、
前記供給搬送手段の回転軸より上部で前記供給搬送手段の搬送方向下流側で余剰現像剤を排出する排出部より搬送方向上流側で前記現像剤収容室内の前記現像剤の量を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される前記現像剤の量が予め定められた閾値を超えた場合、前記供給搬送手段を逆転動作させた後、通常時よりも速い回転速度で正転動作させる制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記検知手段は、前記現像剤の透磁率を測定することで前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記検知手段は、前記現像剤収容室内に配置されるピエゾ素子を有し、前記ピエゾ素子上の前記現像剤の有無に基づいて前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記検知手段は、前記供給搬送手段の鉛直上方で互いに対向して配置された電極間に電圧を印加して測定される電流値の変化に基づいて前記現像剤の液面高さを検知する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記検知手段は、前記供給搬送手段の鉛直上方で前記現像剤の液面に接触して変位するアクチュエータを有し、前記現像剤の液面が前記アクチュエータに接触した場合、前記現像剤収容室外に配置された発光部から出射した光を前記発光部と対向する位置に設けられた受光部で受光することで前記現像剤の液面を検知する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、予測検知による現像剤量の安定化動作を行う場合に比べて、画像形成の生産性を低下させることなく、現像剤排出機構を有する現像装置の現像剤量を安定化させることができる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、現像剤の液面を確実に検知して、必要時に現像剤量の安定化動作を行うことができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、現像剤の液面を確実に検知して、必要時に現像剤量の安定化動作を行うことができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、検知部材を設けることなく、安価に現像剤量を検知して、必要時に現像剤量の安定化動作を行うことができる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、検知手段の現像剤による汚れを防止し、現像剤の液面を確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画像形成装置の概略構成の一例を示す断面模式図である。
図2】感光体ユニット及び現像装置を示す縦断面模式図である。
図3】現像装置内における現像剤の搬送を説明する図2のA-B-C線に沿って水平方向に展開した断面模式図である。
図4】画像形成部の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】現像装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図6】変形例1に係る現像剤量センサが取り付けられた現像装置の断面模式図である。
図7】変形例1に係る現像剤量センサの現像剤量の検知を説明する現像装置の断面模式図である。
図8】変形例2に係る現像剤量センサが取り付けられた現像装置の断面模式図である。
図9】変形例2に係る現像剤量センサの現像剤量の検知を説明する現像装置の断面模式図である。
図10】変形例3に係る現像剤量センサが取り付けられた現像装置の断面模式図である。
図11】変形例3に係る現像剤量センサのアクチュエータを示す斜視図である。
図12】変形例3に係る現像剤量センサの現像剤量の検知を説明する現像装置の断面模式図である。
図13】現像装置内おける現像剤の循環状態を説明するための断面模式図である。
図14】比較例の画像形成装置における現像剤の量を制御する動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0022】
「第1実施形態」
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
(1.1)画像形成装置の全体構成
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成の一例を示す断面模式図である。
画像形成装置1は、画像形成部10と、画像形成部10の下方に装着された給紙装置20と、画像形成部10の一端に設けられ、印刷された用紙が排紙される排紙部30と、操作表示部40と、上位機器から送信された印刷情報から画像情報を生成する画像処理部50と、を備えて構成されている。
【0023】
画像形成部10は、システム制御装置11、露光装置12、感光体ユニット13、現像装置14、転写装置15、用紙搬送装置16a、16b、16c、定着装置17を備えて構成され、給紙装置20から送り込まれた記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0024】
給紙装置20は、画像形成部10に対する記録媒体の供給を行う。すなわち、種類(例えば、材質や厚さ、用紙サイズ、紙目)の異なる記録媒体を収容する複数の用紙積載部21、22を備えており、これら複数の用紙積載部21、22のいずれか一つから繰り出した記録媒体を画像形成部10に対して供給するように構成されている。
【0025】
排紙部30は、画像形成部10にて画像出力が行われ定着装置17で画像が定着された用紙Pの排出を行う。そのために、排紙部30は、定着後の用紙Pを搬送する搬送路30aと排出される排紙収容部T1を備えている。また、用紙Pの両面に画像出力を行う場合に、用紙Pの表裏を反転して、用紙搬送装置16bへ送り出す用紙反転部18を備えている。尚、排紙部30は、画像形成部10から出力される用紙束に対して、裁断やステープル(針綴じ)等の後処理を行う機能を有したものであってもよい。
【0026】
操作表示部40は、各種の設定や指示の入力及び情報表示に用いられるものである。すなわち、いわゆるユーザインタフェースに相当するもので、具体的には液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成されている。
【0027】
(1.2)画像形成部の構成及び動作
このような構成の画像形成装置1では、画像形成のタイミングに合わせて用紙積載部21、22のうち、印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙積載部21、22から繰り出された記録媒体が画像形成部10へ送り込まれる。
【0028】
感光体ユニット13は、露光装置12の下方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する潜像保持体としての感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の回転方向に沿って、帯電器32、露光装置12、現像装置14、一次転写ローラ52、クリーニング装置33が配置されている。
【0029】
現像装置14は、感光体ドラム31に対向して配置された現像剤保持体としての現像ローラ42が配設され、それぞれの現像装置14は、現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれの現像ローラ42で感光体ドラム31上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0030】
現像装置14の上方には、トナーを収容する交換可能なトナーカートリッジTCと、それぞれのトナーカートリッジTCから現像装置14にトナー及びキャリアを供給するトナー供給装置(不図示)が配置されている。
【0031】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電器32により帯電され、露光装置12から出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0032】
転写装置15は、各感光体ユニット13の感光体ドラム131にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト151、各感光体ユニット13にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト151に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ152、中間転写ベルト151上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ローラ153を備えて構成されている。
【0033】
各感光体ユニット13の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、システム制御装置11により制御される電源装置等(不図示)から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0034】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って、バックアップローラ65に中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ53が圧接配置された二次転写部TRに搬送される。
重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて給紙装置20から用紙Pが二次転写部TRに供給される。そして、中間転写ベルト51を介して二次転写ローラ53と対向するバックアップローラ65には、システム制御装置11により制御される電源装置(不図示)から予め定められた二次転写電圧が印加され、用紙Pに中間転写ベルト151上の多重トナー像が一括転写される。
【0035】
感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニング装置33により除去され、廃トナー収容部(不図示)に回収される。感光体ドラム31の表面は、帯電器32により再帯電される。
【0036】
定着装置17は一方向へ回転する無端状の定着ベルト17aと、定着ベルト17aの周面に接し、一方向へ回転する加圧ローラ17bとを有し、定着ベルト17aと加圧ローラ17bの圧接領域によってニップ部(定着領域)が形成される。
転写装置15においてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で用紙搬送装置16aを経由して定着装置17に搬送される。定着装置17に搬送された用紙Pは、一対の定着ベルト17aと加圧ローラ17bにより、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0037】
定着の終了した用紙Pは、排紙収容部T1上に積載される。尚、用紙Pの両面に画像出力を行う場合には、用紙搬送装置16cで用紙Pの表裏が反転され、用紙搬送装置16bを介して再び画像形成部10における二次転写部TRへ送り込まれる。そして、トナー像の転写および転写像の定着が行われた後に、排紙部30に送り込まれることになる。排紙部30へ送り込まれた用紙Pは、必要に応じて裁断やステープル(針綴じ)等の後処理が施される。
【0038】
(2)要部構成
図2は感光体ユニット13及び現像装置14を示す断面模式図、図3は現像装置14内における現像剤の搬送を説明する図2のA-B-C線に沿って水平方向に展開した断面模式図である。
以下、図面を参照しながら現像装置14の構成と動作について説明する。
【0039】
(2.1)現像装置の全体構成
現像装置14は、トナーとキャリアを含む現像剤を収容する現像ハウジング41、感光体ドラム31と対向して配置されている現像ローラ42、現像剤を撹拌しながら搬送する撹拌オーガ43、現像ローラ42に現像剤を供給する供給搬送手段の一例としての供給オーガ44を備えている。
【0040】
現像ローラ42は内部に磁石を有しており、表面に現像剤を磁力で吸着して回転することで、現像ハウジング41から感光体ドラム31に対向する現像位置まで現像剤を送り出す。現像位置では感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像の現像が行われ、現像後の現像剤は現像ローラ42の回転によって現像ハウジング41に戻る。
【0041】
(2.2)現像剤の循環
図3は、現像装置14内における現像剤の搬送(移動)を説明するために、図2におけるA-B-C線に沿って水平方向に展開した断面模式図としている。
現像ハウジング41内には、撹拌オーガ43及び供給オーガ44の間に仕切壁41aが立設されて、現像ハウジング41は2つの現像剤収容部41A、41Bに仕切られ、仕切壁41aの長手方向両端部には、それぞれ開口45、46が形成されている。
【0042】
撹拌オーガ43及び供給オーガ44は、回転軸43a、44aの周りに螺旋羽根43b、
44bが形成され、駆動源(不図示)から回転力を受けて現像剤収容部41A、41B内の内壁に沿って回転することで、現像剤を現像剤収容部41A、41B内で所定方向に搬送する。
具体的には、撹拌オーガ43は現像剤収容部41A内の現像剤を攪拌しながら矢印(Y)方向に搬送し、供給オーガ44は現像剤収容部41B内の現像剤を攪拌しながら矢印(-Y)方向に搬送する。矢印(Y)方向に搬送された現像剤は、開口45から現像剤収容部41Bに移動し、矢印(-Y)方向に搬送された現像剤は、開口46から現像剤収容部41Aに移動する。
これにより現像ハウジング41内の現像剤は、2本の撹拌オーガ43及び供給オーガ44によって撹拌されながら循環移動する。このような現像剤の撹拌によって現像剤中のトナーが帯電する。
【0043】
現像ハウジング41の一端側(-Y方向:装置の前面側)の上面部分には、トナーカートリッジTCから供給されてきたトナー及びキャリアを受け入れる受入口47(図3においては機能を説明するために模式的に示している)が設けられている。受入口47で現像装置14に受け入れられたトナーは、撹拌オーガ43によって搬送されることで現像ハウジング41の現像剤収容部41Aに移動して現像剤と混合される。
【0044】
トナーカートリッジTCから受入口47を介して補給されたトナーは、撹拌オーガ43によってキャリアとともに撹拌されながら、前面側(OUT側:-Y方向 以降OUT側と記載)から奥側(IN側:Y方向 以降IN側と記載)へ搬送され、奥側(IN側:Y方向)で供給オーガ44へ移動される。そして、供給オーガ44から供給されたトナーが現像ローラ42に供給される。
【0045】
現像装置14には、現像ハウジング41内を循環する現像剤のキャリアに対するトナーの比率(TC)を測定するトナー濃度センサSR1が配置されている。画像形成装置1は、トナー濃度センサSR1による測定値に基づいてシステム制御装置11がトナーカートリッジTCからのトナー補給を指示することで現像剤のTC値が所定値に保たれる。
【0046】
本実施の形態では、IN側からOUT側に向かって現像剤が現像ローラ42に供給されるため、OUT側に現像剤が到達するころにはトナー供給量が減少してしまうため、トナー供給量を適正に制御するために、トナー濃度センサSR1は撹拌オーガ43のIN側に設けている。
【0047】
また、現像ハウジング41の一端側(-Y方向:装置の前面側)の側面部分には、排出口48が設けられている。現像ハウジング41と排出口48との間には、他の箇所の螺旋羽根44bとは螺旋の向きが逆転した逆螺旋羽根44cが設けられているために、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bを矢印(-Y)方向に搬送されてきた現像剤の大部分は、逆螺旋羽根44cで開口46に導かれて現像剤収容部41Aへと移動するが、一部の現像剤はこの逆螺旋羽根44cを乗り越えて排出口48(図3においては機能を説明するために模式的に示している)から余剰現像剤として現像装置14外に排出される。
【0048】
このように循環移動する現像剤の一部を排出口48からの排出を安定して行うために、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bの排出口48の現像剤搬送方向における上流側には現像剤の量を検知する検知手段の一例としての現像剤量センサSR2が設けられている。図2に示すように、現像剤量センサSR2は、現像剤収容部41B内を供給オーガ44で搬送される現像剤の嵩を検知できるように、供給オーガ44の回転軸44dよりも鉛直方向における上部(Z方向 図中Z1参照)に設けられている。
【0049】
(2.3)現像剤量の制御
図4は画像形成部10の機能構成を示す機能ブロック図、図5は現像装置14の動作の流れを示すフローチャート、図13は現像装置14内おける現像剤の循環状態を説明するための断面模式図、図14は比較例の画像形成装置100における現像剤の量を制御する動作の流れを示すフローチャートである。
【0050】
図13に示すように、現像装置14の現像剤収容部41A内においては、現像剤(網点で示す)は撹拌オーガ43によってトナーカートリッジTCから補給されるトナー及びキャリアと撹拌されて混合され所定の液面を保ってOUT側からIN側に向かって搬送される。現像装置14の現像剤収容部41B内においては、開口45から上昇するように流入する現像剤が供給オーガ44によって撹拌されながら所定の液面を保ってIN側からOUT側へ搬送される。
【0051】
係る状態で、画像形成に伴って、現像剤中のトナーは消費される一方キャリアは消費されないために、現像ハウジング41内で長期間撹拌され、キャリア表面にはトナーの外添剤やトナーが付着していわゆる現像剤劣化が発生することがある。その結果、キャリアのトナーに対する帯電付与力が低下してトナー帯電量が適正値に維持できなくなる虞があった。
そして、現像ハウジング41内で余剰となる現像剤が排出口48から現像装置14外に排出される構成において、現像剤劣化が発生すると現像剤の流動性が低下して、排出口48からの現像剤の排出が充分になされず、現像ハウジング内の現像剤量が大きく変動するという問題が発生する虞があった。
【0052】
比較例に係る画像形成装置100においては、図14のフローチャートに示す動作の流れによって、劣化した現像剤の排出不良を抑制している。
現像ハウジング41内で現像剤量を検知する現像剤量センサSR2を備えていない比較例の画像形成装置100は、印刷枚数をカウントし(S201)、印刷枚数P0が予め定められた印刷枚数としての閾値Pthを超えた場合(S202:Yes)、印刷ジョブの総画像ピクセルを画像処理部50を介して計測して印刷ジョブの画像密度ACを算出する(S203)。
画像密度ACが予め定められた閾値ACthよりも高い場合(S204:Yes)、供給オーガ44を所定時間逆回転させ(S205)、その後、供給オーガ44を所定時間、通常よりも速い回転数で正回転させる(S206)。
【0053】
これにより、劣化した現像剤の排出不良を抑制することが期待されるが、印刷枚数P0と画像密度ACに基づいて、現像ハウジング41内の現像剤量によらず、予測で供給オーガ44を一旦逆転した後正転させる制御であるために、現像剤量の変動を精度よく抑制することができないという問題があった。また、予測で供給オーガ44を所定時間逆転、正転させるために、画像形成装置100の画像形成の生産性が低下するという問題もあった。
【0054】
本実施形態に係る画像形成装置1は、供給オーガ44の回転軸44dより上部で供給オーガ44による現像剤の搬送方向下流側で余剰現像剤を排出する排出口48より搬送方向上流側で現像ハウジング41内の現像剤の量を検知する現像剤量センサSR2を備え、図4の機能ブロック図に示すように、制御手段の一例としてのシステム制御装置11が現像剤量センサSR2の検知結果に基づき供給オーガ44の回転方向及び回転速度の少なくとも一方を制御する。
【0055】
本実施形態において、現像剤量センサSR2としては、透磁率センサを用いることができる。透磁率センサは、現像ハウジング41内におけるトナーとキャリアからなる二成分現像剤の透磁率を検出する。そして、透磁率センサの出力値を基にし、現像剤の液面を検知することが出来る。
【0056】
図5のフローチャートに示すように、画像形成装置1は、現像剤量センサSR2の出力値Aを取得し(S101)、出力値Aが予め定められた閾値Athよりも大きいか否か判断する(S102)。出力値Aが閾値Athよりも大きい場合(S102:Yes)、供給オーガ44を所定回転数N1だけ逆回転させ(S103)、引き続き供給オーガ44を通常時よりも速い回転速度で所定回転数N2だけ正回転させる(S104)。
【0057】
そして、現像剤量センサSR2の出力値Aが閾値Athよりも大きいか否か判断し(S105)、出力値Aが閾値Athよりも小さい場合(S105:No)、供給オーガ44を所定回転数N1だけ逆回転させ(S106)、引き続き供給オーガ44を通常時よりも速い回転速度で所定回転数N2だけ正回転させて(S107)、その後通常時の回転速度で正回転させる。
これにより、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面を確実に検知して現像剤の量を安定化させることができる。また、現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面を検知して、液面が所定の高さより高い場合にのみ、供給オーガ44の回転制御(逆回転及び高速正回転)を行うことで、画像形成の生産性低下を抑制することができる。
【0058】
「変形例1」
図6は変形例1に係る現像剤量センサSR2Aが取り付けられた現像装置14の断面模式図、図7は現像剤量センサSR2Aの現像剤量の検知を説明する現像装置14の断面模式図である。図6に示すように、現像剤量センサSR2Aは、ピエゾ素子を有するセンサとすることもできる。
【0059】
図7(a)に示すように、現像剤が現像剤量センサSR2Aのピエゾ素子上に有るとき、システム制御装置11は、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bに内に収納されている現像剤の量が予め定めた所定値以上であると判断し、供給オーガ44を所定回転数N1だけ逆回転させ(S103)、引き続き供給オーガ44を通常時よりも速い回転速度で所定回転数N2だけ正回転させる(S104)。
【0060】
一方、図7(b)に示すように、現像剤が現像剤量センサSR2Aのピエゾ素子上に無いとき、システム制御装置11は、現像ハウジング41の現像剤収容部41B内に収納されている現像剤の量が予め定めた所定値未満であると判断し、供給オーガ44の回転制御(逆回転及び高速正回転)は行わない。このように、ピエゾ素子により現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面を確実に検知して現像剤の量を安定化させることができる。
【0061】
「変形例2」
図8は変形例2に係る現像剤量センサSR2Bが取り付けられた現像装置14の断面模式図、図9は現像剤量センサSR2Bの現像剤量の検知を説明する現像装置14の断面模式図である。
図8に示すように、現像剤量センサSR2Bは、現像ハウジング41の現像剤収容部41B内の供給オーガ44の鉛直上方で互いに対向して配置された電極P1、P2で構成されてもよい。システム制御装置11は、電極P1、P2間に電圧を印加して測定される電流値の変化に基づいて現像剤の液面高さを検知する。
【0062】
図9(a)に示すように、現像剤が現像剤量センサSR2Bの電極P1、P2間に有るとき、システム制御装置11は、現像ハウジング41の現像剤収容部41B内に収納されている現像剤の量が予め定めた所定値以上であると判断し、供給オーガ44を所定回転数N1だけ逆回転させ(S103)、引き続き供給オーガ44を通常時よりも速い回転速度で所定回転数N2だけ正回転させる(S104)。
【0063】
一方、図9(b)に示すように、現像剤が現像剤量センサSR2Bの電極P1、P2間に無いとき、システム制御装置11は、現像ハウジング41の現像剤収容部41B内に収納されている現像剤の量が予め定めた所定値未満であると判断し、供給オーガ44の回転制御(逆回転及び高速正回転)は行わない。このように、供給オーガ44の鉛直上方で互いに対向して配置された電極P1、P2に電圧を印加して流れる電流を測定することにより、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面を確実に検知して現像剤の量を安定化させることができる。
【0064】
「変形例3」
図10は変形例3に係る現像剤量センサSR2Cが取り付けられた現像装置14の断面模式図、図11は変形例3に係る現像剤量センサSR2Cのアクチュエータを示す斜視図、図12は現像剤量センサSR2Cの現像剤量の検知を説明する現像装置14の断面模式図である。
【0065】
変形例3に係る現像剤量センサSR2Cは、供給オーガ44の鉛直上方で現像剤の液面に接触して変位するアクチュエータ49を有し、現像剤の液面がアクチュエータ49に接触した場合、現像ハウジング41外に配置された発光部L1から出射した光を発光部L1と対向する位置に設けられた受光部L2で受光することで現像剤の液面を検知する。
【0066】
アクチュエータ49は、図9に示すように、現像剤の液面と接触する接触部49aと、アーム部49bと、発光部L1から出射する光を遮る検知部49cと、回転支点49dからなり、回転支点49dで現像ハウジング41の壁面に回転可能に支持される。
【0067】
このように構成される現像剤量センサSR2Cは、図10(a)に示すように、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面が低い場合は、接触部49aは現像剤に接触せず、検知部49cは発光部L1から出射した光を遮らない。
一方、図10(b)に示すように、現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面が高くなり現像剤が接触部49aに接触すると、アクチュエータ49は回転支点49dを回転中心として回転して、検知部49cが発光部L1から出射した光を遮る。
【0068】
その結果、システム制御装置11は、現像ハウジング41の現像剤収容部41B内に収納されている現像剤の量が予め定めた所定値以上であると判断し、供給オーガ44を所定回転数N1だけ逆回転させ(S103)、引き続き供給オーガ44を通常時よりも速い回転速度で所定回転数N2だけ正回転させる(S104)。このように、アクチュエータ49により現像ハウジング41の現像剤収容部41Bにおける現像剤の液面を確実に検知して現像剤の量を安定化させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・画像形成装置
10・・・画像形成部
11・・・システム制御装置
12・・・露光装置
13・・・感光体ユニット
14・・・現像装置
41・・・現像ハウジング
42・・・現像ローラ
43・・・撹拌オーガ
44・・・供給オーガ
45、46・・・開口
47・・・受入口
48・・・排出口
49・・・アクチュエータ
15・・・転写装置
17・・・定着装置
20・・・給紙装置
30・・・排紙部
40・・・操作表示部
50・・・画像処理部
SR1・・・トナー濃度センサ
SR2、SR2A、SR2B、SR2C・・・現像剤量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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