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特許7434776ガイド付光センサ、衝突防止システム及び携帯情報端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ガイド付光センサ、衝突防止システム及び携帯情報端末
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240214BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20240214BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20240214BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240214BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/93
G02B6/00 B
G08B21/18
H04M1/00 R
H04M1/00 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019171278
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021047143
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 伸一
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-286767(JP,A)
【文献】実開平06-060946(JP,U)
【文献】特開2016-151519(JP,A)
【文献】特開2013-025717(JP,A)
【文献】特開2014-157445(JP,A)
【文献】特開2016-181876(JP,A)
【文献】特開2017-010385(JP,A)
【文献】特開2006-174288(JP,A)
【文献】特開2002-027292(JP,A)
【文献】特開2004-080147(JP,A)
【文献】特開2013-252431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を印加されて光線を発する発光素子と、
前記発光素子から放出された前記光線の進行方向を変化させる光ガイド部と、
前記光ガイド部から放出され物体に当たって反射した前記光線を受光して電圧を生じる受光素子と、
を備え、
前記光ガイド部は、前記光ガイド部から放出される前記光線を拡散させ、かつ、物体に当たって反射した前記光線を透過させないハーフミラー付き拡散板と、前記光ガイド部から放出され物体に当たって反射した前記光線の進行方向を変化させて、当該光線を前記受光素子に導くための集光部と、を備える
ガイド付光センサ。
【請求項2】
前記光ガイド部は、プリズムを備える、
請求項1に記載のガイド付光センサ。
【請求項3】
前記光ガイド部は、光ファイバーを備える、
請求項1に記載のガイド付光センサ。
【請求項4】
前記集光部はフレネルレンズである
請求項1から3のうちいずれか一項に記載のガイド付光センサ。
【請求項5】
請求項1からのうちいずれか一項に記載の複数の前記ガイド付光センサと、
複数の前記ガイド付光センサごとに前記光線を放出させる範囲を区切る仕切部と、
制御部と、
加速度センサと、を備え、
前記制御部は、
表示部と、
前記表示部が表示を行っているか否かを判定する判定部と、
前記加速度センサが検出した加速度の値を受け取り前記判定部から判定結果を受け取って、前記表示部が表示を行っておりかつ前記加速度が規定値より大きい場合のみ前記発光素子への電圧の印加を許可する許可部と、
一定の時間間隔ごとに前記発光素子に電圧を印加し、前記受光素子が発している電圧を検出し、前記物体との距離を特定する電圧処理部と、
前記電圧処理部が特定した前記物体との距離を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶した前記物体との距離と前記一定の時間間隔後の前記物体との距離とを比較した結果、及び前記一定の時間間隔後の前記物体との距離が一定以下であるか否かから前記物体が接近したか否か判定する演算部と、
前記演算部から前記物体が接近した判定を受け取った場合に、前記表示部に警報を表示させる警報部と、を備える、
衝突防止システム。
【請求項6】
請求項に記載の衝突防止システムを備える、
携帯情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド付光センサ、衝突防止システム及び携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の携帯情報端末の使用者が画面を見ながら歩行する「歩きスマホ」を行っている時に、携帯情報端末の使用者が他の歩行者や障害物と衝突することを防止するための装置、システムやプログラムが発明されている。
【0003】
特許文献1には、GPS(Global Positioning System)等の位置検出装置を用いて使用者のスマートフォンと周囲端末使用者との距離等を算出し、スマートフォンを介して使用者に衝突の危険性を提示する衝突防止装置等が記載されている。
【0004】
特許文献2には、LIDAR(Light Detection and Ranging)素子を用いてスマートフォンの使用者と前方に存在する物体との距離や方向を測定し、スマートフォンを介して使用者に衝突の危険性を提示する危険回避支援プログラムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-160002号公報
【文献】特開2017-183787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の衝突防止装置等は、GPS等を用いており、GPS等で認識できないスマートフォン等端末非使用者との衝突の危険性は提示できない。
【0007】
特許文献2に記載の危険回避支援プログラムは、危険回避支援プログラムを有効とするためには、スマートフォンの背面に設けられたLIDAR素子の測定対象範囲の限界により、スマートフォンの背面の下方への傾きがLIDAR素子の画角の1/2の角度を超えると、水平方向の測定が不可能となる。
【0008】
上記事情を踏まえ、本発明は、「歩きスマホ」時に、携帯情報端末使用者以外の相手も含めて前方からの衝突の危険性を検知可能であり、センサの設置面が鉛直下方を向いていても前方からの衝突の危険性を検知可能であるガイド付光センサ、衝突防止システム及び携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガイド付光センサは、電圧を印加されて光線を発する発光素子と、前記発光素子から放出された前記光線の進行方向を変化させる光ガイド部と、前記光ガイド部から放出され物体に当たって反射した前記光線を受光して電圧を生じる受光素子と、を備え、前記光ガイド部は、前記光ガイド部から放出される前記光線を拡散させ、かつ、物体に当たって反射した前記光線を透過させないハーフミラー付き拡散板と、前記光ガイド部から放出され物体に当たって反射した前記光線の進行方向を変化させて、当該光線を前記受光素子に導くための集光部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の衝突防止システムは、複数の前記ガイド付光センサと、複数の前記ガイド付光センサごとに前記光線を放出させる範囲を区切る仕切部と、制御部と、加速度センサと、を備え、前記制御部は、表示部と、前記表示部の起動と停止とを判定する判定部と、前記加速度センサから加速度の大きさに対応した信号を受け取り前記判定部から判定結果を受け取って、前記表示部が起動しかつ前記加速度が規定値より大きい場合のみ前記発光素子への電圧の印加を許可する許可部と、一定の時間間隔ごとに前記発光素子に電圧を印加し、前記受光素子が発している電圧を検出し、前記物体との距離を特定する電圧処理部と、前記電圧処理部が特定した前記物体との距離を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶した前記物体との距離と前記一定の時間間隔後の前記物体との距離とを比較した結果及び前記一定の時間間隔後の前記物体との距離が一定以下であるか否かから前記物体が接近したか否か判定する演算部と、前記演算部から前記物体が接近した判定を受け取った場合に、前記表示部に警報を表示させる警報部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯情報端末は、前記衝突防止システムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガイド付光センサ、衝突防止システム及び携帯情報端末は、「歩きスマホ」時に、携帯情報端末使用者以外の相手も含めて前方からの衝突の危険性を検知可能であり、センサの設置面が鉛直下方を向いていても前方からの衝突の危険性を検知可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係るガイド付光センサを示す断面図である。
図2】同ガイド付光センサの光線放出時を示す断面図である。
図3】同ガイド付光センサの光線入光時を示す断面図である。
図4】同ガイド付光センサを携帯情報端末に実装した場合を示す図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る衝突防止システムを示す構成図である。
図6】同衝突防止システムが衝突の危険性を検知して警報表示を行うための処理手順を示すフローチャートである。
図7】同衝突防止システムの表示部を示す図である。
図8】同衝突防止システムが衝突の危険性を検知した場合の表示部を示す図である
図9】本発明の第三実施形態に係るガイド付光センサを示す断面図である。
図10】同ガイド付光センサの光線放出時を示す断面図である。
図11】同ガイド付光センサの光線入光時を示す断面図である。
図12】本発明の第一実施形態に係るガイド付光センサの変形例の光線入光時を示す断面図である。
図13】同変形例の光線入光時を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るガイド付光センサ1の断面図である。ガイド付光センサ1は、光センサ2と、光ガイド部3と、を備えている。ガイド付光センサ1は、光線Raを放出し、物体に当たって反射した光線Raを検出して、物体との距離を特定し、物体との衝突の危険性を検知する装置である。
【0015】
ここで、光センサ2が光線Raを放出する方向を上下方向の下方向、光ガイド部3の光センサ2に近い部分から遠い部分へ向かう方向を前後方向の前方向、上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向とする。図1に示すように、矢印U方向を上下方向における上方向、矢印D方向を上下方向における下方向とする。矢印F方向を前後方向における前方向、矢印B方向を前後方向における後方向とする。矢印R方向を左右方向における右方向、矢印L方向を左右方向における左方向とする。
【0016】
光センサ2は、発光素子21と、受光素子22と、を備えている。発光素子21は、電圧を印加されて光線Raを発する素子であり、公知のLED等が用いられる。受光素子22は、光線Raを受けて電圧を生じる素子であり、公知のフォトダイオード等が用いられる。
【0017】
光ガイド部3は、光センサ2の下部に設けられ、略直方体形状を有し、光センサ2から放出された光線Raを受け光線Raの進行方向を変える。光ガイド部3は、プリズム31と、ハーフミラー付き拡散板32と、集光部33と、基材層34と、を備えている。
【0018】
プリズム31は、本実施形態ではコーナーキューブ形状を有している。プリズム31は、基材層34を土台として複数配置される。光ガイド部3の下方には前後方向に沿ってプリズム31の第一配列部31Aが形成され、光ガイド部3の上方には前後方向に沿ってプリズム31の第二配列部31Bが形成される。
【0019】
第一配列部31Aでは、複数のプリズム31は、光センサ2の付近から前方向に向かって配置される。最も前方に配置される受渡プリズム31Fは、前上方に傾きハーフミラー付き拡散板32を向いた受渡面IFを有する。それ以外のプリズム31は、上方を向いた入出光面PFと、後方にあり上下方向に対し傾いている第1反射面FFと、前方にあり上下方向に対し傾いている第2反射面SFと、を有する。プリズム31は、さらに図示しない第3反射面を有し、第1反射面FFと第2反射面SFと第3反射面とが互いに直交している。光センサ2に最も近いプリズム31は、第1反射面FFが光センサ2の真下に位置するように配置される。
【0020】
第二配列部31Bでは、複数のプリズム31は、光センサ2の付近から前方向に向かって配置される。それぞれのプリズム31は、下方を向いた入出光面PFと、後方にあり上下方向に対し傾いている第1反射面FFと、前方にあり上下方向に対し傾いている第2反射面SFと、を有する。プリズム31は、さらに図示しない第3反射面を有し、第1反射面FFと第2反射面SFと第3反射面とが互いに直交している。また、光センサ2に最も近いプリズム31は、光センサ2と第一配列部31Aにおいて光センサ2に最も近いプリズム31との間に重ならないように配置される。
【0021】
また、第一配列部31Aの隣り合う二つのプリズム31の中心と、第二配列部31Bのそれぞれのプリズム31の第1反射面FFと第2反射面SFとの間の辺と、が前後方向の同じ位置に配置される。
【0022】
ハーフミラー付き拡散板32は、円板状の形状を有しており、光ガイド部3の前方の端の上下方向の中心に配置される。ハーフミラー付き拡散板32は、拡散板32Sと、反射膜32Rと、を備える。拡散板32Sとしては、光透過性を有し表面が粗く加工されたシート材、フィルム材又は紙材等が利用できる。反射膜32Rは、拡散板32Sの後方に設けられる。ハーフミラー付き拡散板32は、反射膜32Rにより、後方から前方に進む光線Raを透過させ、前方から後方に向かう光線Raを透過させない。
【0023】
集光部33は、光ガイド部3の前方の端の上下方向の端に配置される。集光部33は、前方又は後方に向かって凸形状を有するレンズであり、好ましくは前方に向かって凸形状を有するレンズであり、本実施形態では公知のフレネルレンズである。
【0024】
基材層34は樹脂材料等の光透過性のある材料で形成され、プリズム31、ハーフミラー付き拡散板32及び集光部33を配置するための土台となる。
【0025】
次に、ガイド付光センサ1により物体との衝突の危険性を検知する方法について説明する。
【0026】
使用者は、まず、適切な方法により光センサ2の発光素子21に電圧を印加する。図2に示すように、電圧を印加された発光素子21は、光ガイド部3の第一配列部31Aの最も後方のプリズム31に向けて光線Raを放出する。
【0027】
第一配列部31Aの最も後方のプリズム31は、入出光面PFでは光線Raを直進させ、第1反射面FFで受けた光線Raを前方向に反射させ、第2反射面SFに当てる。第2反射面SFで受けた光線Raを上方向に反射させ、入出光面PFから放出する光線Raを直進させ、第二配列部31Bの最も後方のプリズム31に向けて光線Raを放出する。なお、上述した第3反射面も光線Raの反射に関わる場合があるが、以降も含めて簡単のため説明を省略する。
【0028】
第二配列部31Bの最も後方のプリズム31は、入出光面PFでは光線Raを直進させ、第1反射面FFで受けた光線Raを前方向に反射させ、第2反射面SFに当てる。第2反射面SFで受けた光線Raを下方向に反射させ、入出光面PFから放出する光線Raを直進させ、第一配列部31Aの最も後方のプリズム31に向けて光線Raを放出する。
【0029】
以降、このような再帰反射を第一配列部31Aと第二配列部31Bとで繰り返し、光線Raを光ガイド部3の前方に進ませ、第一配列部31Aの受渡プリズム31Fの受渡面IFに当てる。
【0030】
第一配列部31Aの受渡プリズム31Fは、光線Raを前上方に反射させ、ハーフミラー付き拡散板32に向けて進ませる。
【0031】
ハーフミラー付き拡散板32は、光線Raを受け、光線Raを前方の広範囲に拡散させて光ガイド部3から放出する。
【0032】
図3に示すように、集光部33には、光ガイド部3から放出されて広範囲に拡散され、物体に当たって反射した光線Raの一部が入光する。集光部33は光線Raの一部を受光して屈折させ、第一配列部31Aの受渡プリズム31Fの受渡面IFに当てる。
【0033】
第一配列部31Aの受渡プリズム31Fは、光線Raを、第二配列部31Bの最も前方のプリズム31に向けて上方に反射させる。
【0034】
第二配列部31Bの最も前方のプリズム31は、入出光面PFでは光線Raを直進させ、第2反射面SFで受けた光線Raを後方向に反射させ、第1反射面FFに当てる。第1反射面FFで受けた光線Raを下方向に反射させ、入出光面PFから放出する光線Raを直進させ、第一配列部31Aのプリズム31に向けて光線Raを放出する。
【0035】
第一配列部31Aのプリズム31は、入出光面PFでは光線Raを直進させ、第2反射面SFで受けた光線Raを後方向に反射させ、第1反射面FFに当てる。第1反射面FFで受けた光線Raを上方向に反射させ、入出光面PFから放出する光線Raを直進させ、第二配列部31Bのプリズム31に向けて光線Raを放出する。
【0036】
以降、このような再帰反射を第一配列部31Aと第二配列部31Bとで繰り返し、光線Raを光ガイド部3の後方に進ませ、第一配列部31Aの最も後方のプリズム31から受光素子22に向けて放出する。
【0037】
受光素子22は、光線Raを受光し、電圧を生じる。使用者は、適切な方法により受光素子22に生じる電圧を計測することで、前方の物体との距離を特定し、物体との衝突の危険性を検知する。
【0038】
以上のような構成をとり運用される本実施形態のガイド付光センサ1は、ガイド付光センサ1から放出される光線Raを物体に当て、反射した光線Raを受光することにより物体との衝突の危険性を検知するため、携帯情報端末使用者以外の相手も含めて前方からの衝突の危険性が検知可能である。また、光ガイド部3により、光センサ2から鉛直下方に光線Raが放出される場合でも光線Raの進行方向を変化させ前方の広範囲に放出でき前方の広範囲からの光線を受光できるため、センサの設置面が鉛直下方を向いていても前方からの衝突の危険性を検知可能である。
【0039】
例えば本実施形態のガイド付光センサ1は、図4に示すように携帯情報端末MTに取り付けて使用することができる。携帯情報端末MTの裏面BFに実装されたガイド付光センサ1は、裏面BFが鉛直下方VDを向いていても、水平方向の前方FWに対し光線Raを放出し物体に当たって反射した光線Raを受光して、水平方向の前方FWの物体との距離を特定できる。
【0040】
次に、本発明の第二実施形態について、図5から図8を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係る衝突防止システム7の構成図である。衝突防止システム7は、センサユニット4と、制御部5と、加速度センサ6と、を備えている。衝突防止システム7は、例えば、表示装置を有する携帯情報端末に実装され、携帯情報端の使用者が移動中に表示装置を目視し移動方向を目視していないと考えられる場合に、使用者と移動方向にある物体との衝突の危険性を検知し使用者に危険性を提示するシステムである。
【0041】
センサユニット4は、第一実施形態のガイド付光センサ1を複数結合したものである。センサユニット4は、複数のガイド付光センサ1の間で前方に、黒色で板状の仕切部41を備えている。仕切部41は、ガイド付光センサ1の前後方向に対して板面が一定の傾きを有している。センサユニット4は、各々のガイド付光センサ1の前方が携帯情報端末の使用者の進行方向を向くように、携帯情報端末の裏面等に固定される。仕切部41が設けられていることにより、各々のガイド付光センサ1から光線Raが放出される範囲が区切られ、光線Raは放出元のガイド付光センサ1によって受光される。
【0042】
制御部5は、表示部51と、判定部52と、許可部53と、電圧処理部54と、記憶部55と、演算部56と、警報部57と、を備えている。
【0043】
制御部5は、図示しないプロセッサと、プログラムを読み込み可能なメモリと、プログラム及びデータを記憶可能な記憶装置と、入出力装置と、を有するプログラム実行可能な処理装置であり、その他専用のハードウェアを含む。衝突防止システム7の機能は、制御部5に提供されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
【0044】
表示部51は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。表示部51は、警報部57と通信を行っており、警報部57からの要求によって警報を警報表示領域51Aに表示する。表示部51は、図示はしないが記憶部55や演算部56と通信を行っており、携帯情報端末の表示装置と兼ねられ、種々の情報を表示することが可能である。
【0045】
判定部52は、表示部51と通信を行っており、表示部51が表示を行っているか行っていないかを判定し、判定結果を許可部53に伝送する。
【0046】
許可部53は、判定部52から表示部51が表示を行っているか行っていないかの判定結果を取得し、加速度センサ6から加速度の値を取得し、表示部51が表示を行っており加速度の値が規定値を超えている状態であれば電圧処理部54及び警報部57に動作を許可する。
【0047】
電圧処理部54は、許可部53から、動作が許可された場合に、ごく短い一定時間間隔ごとにセンサユニット4の各々のガイド付光センサ1の発光素子21に所定の電圧を印加し、受光素子22に生じている電圧を計測する。
【0048】
電圧処理部54は、受光素子22に生じている電圧の計測結果から、公知のTOF(Time Of Flight)方式を用いて各々のガイド付光センサ1と物体との距離を特定し、ガイド付光センサ1と物体との距離の情報を記憶部に伝送する。
【0049】
記憶部55は、電圧処理部54から受け取ったガイド付光センサ1と物体との距離の情報を記憶する。
【0050】
演算部56は、記憶部55が記憶しているガイド付光センサ1と物体との距離の情報を参照し、ガイド付光センサ1と物体との距離が近づいており、かつガイド付光センサ1と物体との距離が一定以下であるか否かを判定し、結果を警報部57に伝送する。
【0051】
警報部57は、許可部53から動作を許可され、演算部56からガイド付光センサ1と物体との距離が近づいておりかつガイド付光センサ1と物体との距離が一定以下であるとの判断を取得した場合に、表示部51に警報を表示するよう要求する。
【0052】
加速度センサ6は、センサユニット4と相対位置を固定するように設けられ、センサユニット4と固定されている携帯情報端末の使用者の歩行を検知する。
【0053】
図6は、衝突防止システム7の動作を示すフローチャートである。ステップS1では、制御部5は、表示部51が表示を行っているか否かを判断する。表示部51が表示を行っていれば、使用者が表示部51を目視していることが考えられるので、警報表示の要否を判断するため、制御部5は下方のステップS2に進む。表示部51が表示を行っていなければ、制御部5は使用者が表示部51を目視していることはないと判断し、動作が完了する。
【0054】
ステップS2では、制御部5は、加速度センサ6が検出した加速度が規定値を超えているか否かを判断する。加速度が規定値を超えていれば、使用者が歩行していることが考えられるので、制御部5は警報表示の要否を判断するため、下方のステップS3に進む。加速度が規定値を超えていなければ、制御部5は、使用者は歩行していないと判断し、ステップS4に進む。
【0055】
ステップS4では、制御部5は、表示部51に警報表示がされている可能性がある場合で警報表示が不要な場合に表示部51の警報を停止する。制御部5は、ステップS4の処理を行うと、ステップS1に戻る。
【0056】
ステップS3では、制御部5は、各々のガイド付光センサ1の発光素子21に所定の大きさの電圧を印加する。ガイド付光センサ1と物体との距離を特定するために、光線Raを発光素子21から放出して物体に当てるための処理である。制御部5は、ステップS3の処理を行うと、ステップS5に進む。
【0057】
ステップS5では、制御部5は、ステップS3でガイド付光センサ1から放出され物体に当たって反射した光線Raを受光した受光素子22に生じている電圧を計測し、ガイド付光センサ1と物体との距離(基準の距離Db)を特定する。制御部5は、ステップS5の処理を行うと、ステップS6に進む。
【0058】
ステップS6では、制御部5は、基準の距離Dbを記憶部55に記憶する。制御部5は、ステップS5の処理を行うと、ステップS7に進む。
【0059】
ステップS7では、制御部5は、一定時間が経過したか否かを判断する。一定時間が経過していれば、ガイド付光センサ1と物体との相対位置に変化がある場合は距離が変化するので、制御部5は、双方が接近しているか否かの判定を行うため、下方のステップS8に進む。一定時間が経過していなければ、制御部5は、繰り返しステップS7を行う。
【0060】
ステップS8では、制御部5は、ステップS3と同様に各々のガイド付光センサ1の発光素子21に所定の大きさの電圧を印加する。制御部5は、ステップS8の処理を行うと、ステップS9に進む。
【0061】
ステップS9では、制御部5は、ステップS5と同様にしてガイド付光センサ1と物体との距離(比較距離Dc)を特定する。制御部5は、ステップS9の処理を行うと、ステップS10に進む。
【0062】
ステップS10では、制御部5は、比較距離Dcを記憶部55に記憶する。制御部5は、ステップS10の処理を行うと、ステップS11に進む。
【0063】
ステップS11では、制御部5は、比較距離Dcが一定値以下か否かを判断する。比較距離Dcが一定値以下であれば、使用者と物体との衝突の危険性が高いと考えられるので、制御部5は、警報表示の要否を判断するため、下方のステップS12に進む。比較距離Dcが一定値を超えていれば、制御部5は、使用者と物体との衝突の危険性は低いと判断し、ステップS4に進む。
【0064】
ステップS12では、制御部5は、比較距離Dcと基準の距離Dbとの差が負の値となっているか否かを判断する。比較距離Dcと基準の距離Dbとの差が負となっていれば、使用者と物体とが接近しているので、制御部5は、警報表示が必要と判断し、下方のステップS13に進む。比較距離Dcと基準の距離Dbとの差が負となっていなければ、使用者と物体とが接近していないので、制御部5は、警報表示は不要と判断し、ステップS4に進む。
【0065】
ステップS13では、制御部5は、表示部51に警報を表示する。制御部5は、ステップS13の処理を行うと、ステップS1に戻る。
【0066】
図7及び図8は、衝突防止システム7の動作時の表示部51の画面を示す図である。図7では、表示部51が表示を行っており、図示しない使用者が進行方向Dに向かって歩行しているため表示部51の裏面に配置された加速度センサ6が歩行を検知している。そのため、表示部51の裏面に配置されたセンサユニット4からの光線Raの放出と受光が行われており、制御部5によるガイド付光センサ1と物体Mとの距離の特定が行われている。
【0067】
図8では、物体Mが使用者の進行方向Dと逆に進行しており、ガイド付光センサ1と物体Mとが接近しているため、表示部51の警報表示領域51Aに警報が表示されている。
【0068】
以上のような構成をとり運用される本実施形態の衝突防止システム7は、センサとしてガイド付光センサ1を使用しているため、携帯情報端末使用者以外の相手も含めて前方からの衝突の危険性が検知可能であり、センサの設置面が鉛直下方を向いていても前方からの衝突の危険性を検知可能である。動作の条件として表示部51が表示を行っていることと加速度センサ6が検出する加速度が規定値を超えていることとを設けているため、「歩きスマホ」時のみ使用者に前方からの衝突の危険性を提示することが可能である。また、基準の距離Dbと比較距離Dcとの比較を行って衝突の危険性を判断していることで、物体との距離が近くても相対位置に変化がない場合を衝突の危険性の対象外として、物体が接近している場合のみを衝突の危険性の対象とすることが可能である。
【0069】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0070】
例えば、ガイド付光センサ1の光ガイド部3は、プリズム31の配列に変えて、光ファイバー、鏡又はビーズを用いて光線Raを反射させる構造としてもよい。
【0071】
図9に示すように、光ファイバーを用いたガイド付光センサ1Aは、光ガイド部3Aにコア11とクラッド12とを備えている。コア11の屈折率はクラッド12の屈折率よりも大きい。図10及び図11に示すように、光線Raは屈折率の大きいコア11の内部に放出又は受光され、クラッド12との境界面で全反射してコア11内部を進むことで、発光素子21と受光素子22とを出入りする。
【0072】
ガイド付光センサ1の構造を前後方向又は左右方向に関して対称とし、使用者が進行方向をガイド付光センサの後方向又は左右方向としても衝突の危険性を検知できる構造としてもよい。
【0073】
ガイド付光センサ1の光ガイド部3に拡散板32Sを設けず、光ガイド部3から光線Raを放出する場合に光線Raが当たる受渡プリズム31Fの受渡面IFの箇所を粗くして光線Raを拡散させてもよい。
【0074】
ガイド付光センサ1の光ガイド部3は、一つのレンズからなる集光部33に代えて、複数のレンズからなる集光部としてもよい。図12に示すように、複数のレンズをからなる集光部33Bを備えるガイド付光センサ1Bは、集光部33Bにおいて同一入射角の光線Raを同一角度に屈折させることで、より多くの光線Raを受光素子22で受光でき、光線Raを検出しやすい。
【0075】
ガイド付光センサ1の光ガイド部3は、集光部33に波長選択フィルターが設けられてもよい。図13に示すように、波長選択フィルター33Fが設けられた集光部33Cを備えるガイド付光センサ1Cは、発光素子21が放出した光線Raと異なる波長のノイズ光線Ra’を受光せず、衝突の誤検出を防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1、1A、1B、1C ガイド付光センサ
11 コア
12 クラッド
2 光センサ
21 発光素子
22 受光素子
3、3A、3B、3C 光ガイド部
31 プリズム
32 ハーフミラー付き拡散板
32R 反射膜
32S 拡散板
33、33B、33C 集光部
33F 波長選択フィルター
4 センサユニット
5 制御部
6 加速度センサ
7 衝突防止システム
Ra 光線
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図13