(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】液体注入ポート
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240214BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61M39/02 102
(21)【出願番号】P 2019171797
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 偉師
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531999(JP,A)
【文献】特表2015-513932(JP,A)
【文献】特表2013-510652(JP,A)
【文献】特開2018-099255(JP,A)
【文献】特開2019-024760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
外部の読取装置によって読み取り可能に、当該液体注入ポートに関連する情報を記憶保持する情報記憶部と、
当該液体注入ポートの外殻を構成するカバー部材と、
を備え
、
前記カバー部材は、当該液体注入ポートに関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つを標示する標示部を有し、
前記標示部は、前記カバー部材において当該液体注入ポートの前記外殻となっている部分から外方に向けて水平に張り出している張出部に形成されており、
前記カバー部材は、相互に組み付けられている第1カバーと第2カバーとを含んで構成されており、
前記張出部は、前記第1カバーの一部分である第1張出部と、前記第2カバーの一部分である第2張出部と、により構成されており、
前記第1張出部と前記第2張出部とは互いに上下に重ねて配置されており、
前記第1張出部と前記第2張出部とのうち上側に位置する前記第1張出部が、前記標示部の標示内容を示す標示体を構成している液体注入ポート。
【請求項2】
当該液体注入ポートに関連する前記情報は、製品の仕様と、品番と、製造情報と、被験者の情報と、手術の情報と、のうちの少なくとも1つ以上を示す情報である請求項1に記載の液体注入ポート。
【請求項3】
前記製品の仕様には、当該液体注入ポートの耐圧性と、当該液体注入ポートの寸法と、接続されるカテーテルの太さと、接続されるカテーテルの先端形状と、のうちの少なくとも1つ以上が含まれる請求項2に記載の液体注入ポート。
【請求項4】
前記標示部と、当該液体注入ポートにおける前記標示部の周囲の部分と、でX線の透過率が互いに異なっている請求項
1から3のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項5】
前記標示部は、金属材料により構成されている請求項
4に記載の液体注入ポート。
【請求項6】
前記標示部は、非金属材料により構成されている請求項
4に記載の液体注入ポート。
【請求項7】
前記標示部には、前記文字、前記マーク又は前記図形の少なくとも1つと対応する形状のスリット、薄肉部又は厚肉部が形成されている請求項
1から
6のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項8】
前記標示部は、前記文字、前記マーク又は前記図形の少なくとも1つと対応する形状に形成されている請求項
1から
7のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【請求項9】
前記標示部には、目視可能な目視標示部が含まれている請求項
1から
8のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体注入ポートに関する。
【背景技術】
【0002】
体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートが知られている。液体注入ポートは、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部を内部に有している。体外から液体供給用の穿刺針を液溜り部に刺して、液溜り部に液体を供給すると、液体は、液体導入コネクタを介してカテーテルに導かれ、カテーテルから体内の所望の箇所に供給される。
【0003】
特許文献1には、金属により構成されていてX線で可視の識別可能な特徴を備える液体注入ポート(同文献のアクセスポート)について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
体内に留置された液体注入ポートは、長期間、体内に留置されているがため、液体注入ポートに関連する情報を液体注入ポートから直接入手することは難しく、また、X線を使用した場合でも、ごく限られた情報しか入手できないなど、液体注入ポートに関連する情報を容易に得ることに課題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、X線を使用しない場合においても液体注入ポートから情報を取得することが可能な液体注入ポートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
外部の読取装置によって読み取り可能に、当該液体注入ポートに関連する情報を記憶保持する情報記憶部と、
当該液体注入ポートの外殻を構成するカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、当該液体注入ポートに関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つを標示する標示部を有し、
前記標示部は、前記カバー部材において当該液体注入ポートの前記外殻となっている部分から外方に向けて水平に張り出している張出部に形成されており、
前記カバー部材は、相互に組み付けられている第1カバーと第2カバーとを含んで構成されており、
前記張出部は、前記第1カバーの一部分である第1張出部と、前記第2カバーの一部分である第2張出部と、により構成されており、
前記第1張出部と前記第2張出部とは互いに上下に重ねて配置されており、
前記第1張出部と前記第2張出部とのうち上側に位置する前記第1張出部が、前記標示部の標示内容を示す標示体を構成している液体注入ポートを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、X線を使用しない場合においても液体注入ポートから情報を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る液体注入ポートの側断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る液体注入ポートのブロック構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る液体注入ポートの情報記憶部に記憶保持される情報の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る液体注入ポートの動作を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る液体注入ポートの平面図である。
【
図8】第2実施形態に係る液体注入ポートの側断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る液体注入ポートの正面断面図である。
【
図10】
図10(a)は第2実施形態における標示部を説明するための図であり、
図10(b)及び
図10(c)は標示部の他の例を説明するための図である。
【
図11】第3実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
【
図12】第4実施形態に係る液体注入ポートの斜視図である。
【
図13】第4実施形態に係る液体注入ポートの断面図である。
【
図14】第5実施形態に係る液体注入ポートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図5を用いて第1実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポート100であって、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部50(
図2)と、液溜り部50と連通しておりカテーテル(不図示)と接続される液体導入コネクタ(
図2のコネクタ部36)と、外部の読取装置200(
図5)によって読み取り可能に、当該液体注入ポート100に関連する情報を記憶保持する情報記憶部88(
図3)と、を備える。
本実施形態によれば、読取装置200によって液体注入ポート100の情報記憶部88から情報を読み取ることができる。よって、X線を使用しない場合においても液体注入ポート100から情報を取得することが可能である。
【0012】
図1又は
図2に示すように、液体注入ポート100は、ハウジング部10と、液溜り部50と、コネクタ部36と、複数の剛性フレーム(上方フレーム60および下方フレーム70)と、隔膜部20と、を備えている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包されている。液溜り部50は、開口56を有しており、液体を貯留する。
コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
上方フレーム60および下方フレーム70は、ハウジング部10より高い剛性を有しており、互いに組み合わされて環状の枠体を構成している。
隔膜部20は、弾性体によって構成されている。隔膜部20は、枠体の中に押し込められており、開口56を覆っている。
【0013】
複数の剛性フレームは、上方に位置する環状の上方フレーム60と、下方に位置する環状の下方フレーム70と、を含んでいる。
ここで上方および下方とは、液体注入ポート100の天面側(
図2における上側)および底面側(
図2における下側)をいう。また、環状とは、上方または下方から視たとき、一定領域を包囲している形状(円形や方形等)、又は、一定領域を包囲している輪郭が一部欠落している形状(C形やコの字形等)をいう。
上方フレーム60は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部と、筒状部の上端部から内方に張り出している内フランジ部と、を有する。
下方フレーム70は、軸方向における寸法(上下寸法)が小さい筒状に形成されている筒状部と、筒状部の下端部から内方に張り出している内フランジ部と、を有する。
例えば、上方フレーム60の筒状部の内径と下方フレーム70の筒状部の外径とは互いに同等の寸法に設定されており、上方フレーム60の筒状部内に下方フレーム70の筒状部が嵌入している。
上方フレーム60の内フランジ部と下方フレーム70の内フランジ部とは互いに対向している。上方フレーム60の内フランジ部と下方フレーム70の内フランジ部とが隔膜部20を上下から挟み込むことによって隔膜部20に押圧力を与えている。
上方フレーム60および下方フレーム70は、高剛性の材料で形成されることが好ましい。その材料としては、一例として、チタニウムやステンレス等の金属が挙げられる。なお、上方フレーム60および下方フレーム70は、単一の材料で形成される態様に限らず、複数種の材料で形成されていてもよい。
なお、本実施形態において、隔膜部20が圧入される環状の枠体は、上方フレーム60および下方フレーム70の2つの剛性フレームにより構成され、隔膜部20の上下方向から押圧力を与えているが、この態様は一例であり、必ずしもこの態様に限られない。例えば、3つ以上の剛性フレームにより環状の枠体を構成してもよいし、複数の円弧状の剛性フレームを組み合わせて側方から押圧力を与えてもよい。
【0014】
例えば、上方フレーム60の内フランジ部の内径は、下方フレーム70の内フランジ部の内径と等しくなっている。これにより、隔膜部20に穿刺針(図示せず)を刺すときに、下方フレーム70の内フランジ部に対する穿刺針の衝突を抑制することができる。ただし、この態様は一例であって、上方フレーム60の内フランジ部の内径が、下方フレーム70の内フランジ部の内径より小さい態様であっても、同様の効果を奏する。
【0015】
隔膜部20は、液溜り部50の開口56を覆う部材であり、穿刺針(図示せず)で突き刺し可能な弾性体で形成される。また、隔膜部20には上方フレーム60および下方フレーム70により強い押圧力が与えられており、穿刺針を抜いて生じる孔が自然と塞がるようになっている。隔膜部20を形成する材料としては、例えば、シリコーン、イソプレーン、ラテックス等のゴムが挙げられる。
【0016】
隔膜部20は上方フレーム60または下方フレーム70と一体成形されていることが好ましい。これにより、強い押圧力が作用した場合にも、隔膜部20が枠体から剥離し難いようにできる。
一例として、隔膜部20は下方フレーム70と一体成形されている。より詳細には、下方フレーム70の内フランジ部には、当該内フランジ部の幅寸法よりも小径の小孔が複数設けられており、隔膜部20は、これら小孔を通じて当該内フランジ部の上方および下方で相互に繋がっており、これにより、下方フレーム70と共に一体化されている。
隔膜部20を下方フレーム70と一体成形する際に、隔膜部20の一部分である環状の凸部28や環状の凹部26が内フランジ部の下面よりも下方に形成されている。
隔膜部20は、穿刺部上面22および穿刺部下面24を有する。穿刺部下面24は、例えば、凹部26や凸部28よりも下方に突出している。
環状の凸部28は、隔膜部20の下面に隔膜部20と一材で形成されており、液溜り部50の開口56の周囲に当接している。環状の凸部28は、いわゆるOリングのように作用し、開口56から液溜り部50に貯留される液体が漏れることを抑制する。環状の凸部28は、下方フレーム70の中心軸周りの視て全方位にわたって延在し、欠落部分が存在しない閉じた環状に形成されていることが望ましい。
なお、本発明は、隔膜部20と環状の凸部28とが一体成形されている態様に限らず、凸部28の代わりに、隔膜部20とは別部材で形成されたOリングが隔膜部20の下面に設けられている態様であってもよい。
【0017】
ハウジング部10は、上方に位置する蓋部12と、下方に位置する底部14と、を含んでいる。蓋部12及び底部14は、例えば、樹脂材料により構成されている。蓋部12と底部14とが相互に組み付けられて、ハウジング部10が構成されている。
蓋部12には、外部から隔膜部20に穿刺針を刺すための開口12aが形成されている。
液溜り部50は、ハウジング部10に内包され、開口56を有しており、液体を貯留する。穿刺針が隔膜部20を介して液溜り部50に到達した状態で、穿刺針を介して液溜り部50に液体が供給される。コネクタ部36は、液溜り部50からハウジング部10の外方に連通している。
【0018】
液溜り部50は、隔膜部20に刺した穿刺針(図示せず)を介して注液された薬液等の液体を貯留する部位である。
液溜り部50は、底部14に形成された凹部により構成されている。従って、液溜り部50の底面52は樹脂材料で形成されており、その側面54も樹脂材料で形成されている。すなわち、液溜り部50を囲っている壁面(底面52及び側面54)が樹脂材料で形成されている。
なお、本発明は、この例に限らず、液溜り部50は、底部14とは別個の部材により構成されていてもよい。この場合に、液溜り部50は、樹脂材料により構成されていてもよいし、その他の材料により構成されていてもよい。また、液溜り部50は、下方フレーム70の一部分により構成されていてもよい。
例えば、底部14において、液溜り部50の開口56の周囲の部分は、上方に突出した環状の凸部となっている。また、上述のように、隔膜部20の下面において、環状の凹部26が環状の凸部28に隣接している。そして、底部14における開口56の周囲の環状の凸部は、環状の凹部26に嵌合している。これにより、環状の凸部28とともに開口56の周縁もいわゆるOリングとして機能し、開口56からの液漏れをより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、環状の凹部26が環状の凸部28よりも内径側に形成されている態様を例示するが、環状の凹部26が環状の凸部28よりも外径側に形成される態様であっても同様の効果を奏する。
【0019】
ハウジング部10は、他の構成要素を収容して保護する部位である。
ハウジング部10は、例えば樹脂材料により構成されている。上述のように、ハウジング部10は、上方に位置する蓋部12と下方に位置する底部14とを含んでいる。
図2に示すように、上方フレーム60および下方フレーム70は、蓋部12と底部14とにより上下から挟み込まれている。なお、蓋部12と底部14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力が、上方フレーム60の内フランジ部と下方フレーム70の内フランジ部とが隔膜部20に与えている押圧力よりも小さくなっている。
蓋部12と底部14とが上方フレーム60および下方フレーム70に与えている押圧力は、環状の凸部28や環状の凹部26が当接する箇所にも伝達される。このため、当該箇所における液密性が向上する。
【0020】
ハウジング部10は生体組織に接触するので生体適合性を有することが好ましい。また、液体注入ポート100は長期間にわたって皮膚下に埋設されるので、ハウジング部10は一定の強度を有しており体熱で変形しないことが好ましい。さらに、ハウジング部10は加工が容易な材料で形成されることが好ましい。
以上の条件を満たす材料として、例えば、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0021】
コネクタ部36は、液溜り部50に貯留される液体を液体注入ポート100の外方、より詳細にはコネクタ部36の先端に接続されるカテーテル(図示せず)に排出する流路として機能する部材である。
コネクタ部36の基端は、
図2に示すように、液溜り部50の側面54に設けられている連通孔58に嵌合されている。そして、コネクタ部36の内径と連通孔58の内径は略等しくなっており、液溜り部50に貯留される液体が連通孔58を介してコネクタ部36へと円滑に流動するようになっている。
コネクタ部36は液体の流路となるので、耐薬品性の材料で形成されることが好ましい。また、長尺のカテーテル(図示せず)が接続され、カテーテルに付与される負荷がコネクタ部36にも与えられるので、一定の強度(剛性)を有することが望ましい。
コネクタ部36を構成する材料としては、例えばチタニウムやステンレス等の金属や硬質の樹脂材料、セラミックス等が挙げられる。
コネクタ部36の外周面の形状は、先端から基端にかけて拡大するテーパー状の部分を含む形状になっており、テーパー状の部分の基端において、不連続に(急峻に)外径が縮小している。このため、コネクタ部36に嵌め込まれた(外嵌された)カテーテル(図示せず)がコネクタ部36から脱落することが抑制されるようになっている。
【0022】
液体注入ポート100は、更に、ロック基部34と、ロックトップ32と、を備えている。
ロック基部34は、コネクタ部36の周囲を囲むように設けられている。コネクタ部36の先端に接続されるカテーテル(図示せず)は、ロック基部34とコネクタ部36とで形成される溝に嵌め込まれる。
ロック基部34は、コネクタ部36と同程度の強度(剛性)を有することが望ましい。従って、ロック基部34を形成する材料には、例えばチタニウムやステンレス等の金属や硬質の樹脂材料、セラミックス等が挙げられる。
【0023】
ロックトップ32は、コネクタ部36およびロック基部34を内包するように設けられ、コネクタ部36およびロック基部34に取り付けられるカテーテル(図示せず)を保護する。ロックトップ32の内壁面は、カテーテルが屈曲した際にカテーテルに当接するので、適度の可撓性を有していることが好ましい。従って、ロックトップ32を形成する材料としては、例えば、シリコーン、イソプレーン、ラテックス等のゴムが挙げられる。
【0024】
図1に示すように、液体注入ポート100は、コイル81と、コイル81と電気的に接続されているIC(Integrated Circuit)チップ83と、を備えている。一例として、コイル81及びICチップ83は、ロックトップ32に内包されている。ただし、コイル81及びICチップ83は、液体注入ポート100におけるその他の部位に配置されていてもよい。
図3に示すように、ICチップ83は、制御部87と、情報記憶部88と、を備えて構成されている。情報記憶部88は、液体注入ポート100に関連する情報を記憶保持している。情報記憶部88に記憶されている情報は、外部の読取装置200(
図5)によって読み取り可能となっている。
ICチップ83から読取装置200への情報の送信は、例えば、ICチップ83の制御部87の制御下で、コイル81が送信アンテナとして機能することによって行われる。コイル81は、読取装置200から電力を受電し、ICチップ83に供給する機能も有する。
読取装置200は、情報記憶部88に記憶保持されている情報を非接触式でICチップ83から読み取る(取得する)ICリーダ(ICチップリーダ)である。このため、液体注入ポート100が体内に埋め込まれている状態で、体外から読取装置200を用いて情報記憶部88の情報を読み取ることができる。
読取装置200は、単にICチップ83から情報を読み取るだけでなく、ICチップ83の情報記憶部88に情報を新たに記憶させる(書き込む)機能を有していてもよい。すなわち、読取装置200は、ICリーダライタであってもよい。
【0025】
読取装置200は、例えば、情報記憶部88から読み取った情報を表示出力する表示部(液晶表示装置等のディスプレイ)や、音声出力するスピーカを備えていることが好ましい。ただし、読取装置200と優先接続又は無線接続されたPC(Personal Computer)等の他の機器において、情報記憶部88から読み取った情報を表示出力又は音声出力できるようになっていてもよい。
【0026】
情報記憶部88に記憶されている情報には、液体注入ポート100の製品情報の他、液体注入ポート100が適用される(又は適用されている)被験者の情報、及び、当該被験者に対して行われた手術に関する情報などが含まれる。
図4には、情報記憶部88に記憶されている情報の例が示されている。
一例として、製品(液体注入ポート100)の仕様、品番、製造情報、被験者の情報、手術の情報が記憶されている。
このうち製品の仕様に関する情報としては、例えば、耐圧性、寸法、接続されるカテーテルの太さ、接続されるカテーテルの先端形状などの情報が含まれている。
また、製造情報としては、例えば、製造メーカー、製造ロット、製造日、使用期限などの情報が含まれている。
また、被験者の情報としては、例えば、性別、年齢、氏名、入院日、既往歴、使用中の薬の種類などの情報が含まれている。
また、手術の情報としては、例えば、手術日、手術場所、手術した医師名などの情報が含まれている。
このように、液体注入ポート100に関連する情報は、製品の仕様と、品番と、製造情報と、被験者の情報と、手術の情報と、のうちの少なくとも1つ以上を示す情報である。
また、製品の仕様には、液体注入ポート100の耐圧性と、液体注入ポート100の寸法と、接続されるカテーテルの太さと、接続されるカテーテルの先端形状と、のうちの少なくとも1つ以上が含まれる。
【0027】
図5に示すように、液体注入ポート100は、被験者の皮下(皮膚510の内側)に埋め込まれた状態で留置される。この状態で、被験者の体外から読取装置200を用いてICチップ83の情報記憶部88に記憶されている情報を読み取ることができる。このため、X線を使用しない場合においても液体注入ポート100から情報を取得することができる。よって、取得した情報に基づいて、術者等が適切な判断を行ったり適切な施術を行ったりすることができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
次に、
図6から
図9を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0029】
図6から
図9のいずれかに示すように、本実施形態に係る液体注入ポート100は、当該液体注入ポート100に関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つを標示する標示部17を有する。このため、読取装置200による情報の取得と、標示部17を利用した標示内容の認識と、を併用することができる。
【0030】
ここで、標示部17が標示する内容は、情報記憶部88に記憶保持されている情報と同等であっても良いし、情報記憶部88に記憶保持されている情報よりも情報量が小さい内容であってもよい。また、標示部17が標示する内容は、情報記憶部88に記憶保持されている情報以外であってもよい。
本実施形態の場合、標示部17が標示する内容よりも情報記憶部88に記憶保持されている情報量が大きい。
標示部17が標示する文字、マーク又は図形の少なくとも1つのうち、文字は、情報を伝達する機能を有する記号であり、数字も含むものとする。マークとは、液体注入ポート100に関連する情報を表す文字の組み合わせ、文字と線図の組み合わせ、さらには文字と図形の組み合わせをいう。さらに、図形は、幾何学模様、物の形を表したもの及びそれらの組み合わせをいう。
【0031】
より詳細には、本実施形態に係る液体注入ポート100は、当該液体注入ポート100の外殻を構成するカバー部材15を備えている。そして、本実施形態の場合、カバー部材15が標示部17を有しているか、又は、カバー部材15に標示部17が設けられている。このため、液体注入ポート100が特別な構造を備えていない場合でも、液体注入ポート100が標示部17を有するようにできる。
【0032】
本実施形態の場合、カバー部材15は、相互に組み付けられている第1カバー15a及び第2カバー15bを含んで構成されている。
図8に示すように、第1カバー15aは、例えば、蓋部12と底部14の上部とを上側から覆っている。第2カバー15bは、底部14の下部を下側から覆っている。
ハウジング部10は、蓋部12、底部14及びカバー部材15を含んで構成されている。
第1カバー15a及び第2カバー15bの材料としては、例えば、軟質樹脂材が挙げられる。この軟質樹脂材としては、例えば、ポリ塩化ビニルやオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー及び酢酸ビニル、シリコーンゴム等が挙げられる。また、第1カバー15a及び第2カバー15bは、シリコンや、ヘパリン化親水性材料がコーティングされたポリウレタンによって形成することも可能である。
なお、本発明において、カバー部材15は、2つの部材(第1カバー15a、第2カバー15b)により構成されている構成に限らず、3つ以上の部材により構成されていてもよいし、1つの部材により構成されていてもよい。
また、2つの部材によりカバー部材15が構成されている場合において、カバー部材15が上下に分割されている例に限らず、水平方向に分割されている構造であってもよい。
【0033】
標示部17は、カバー部材15が有する張出部16に形成されている。張出部16は、カバー部材15において液体注入ポート100の外殻となっている部分から外方に向けて(例えば水平に)張りだしている部分である。
張出部16は、第1カバー15aの一部分である第1張出部16aと、第2カバー15bの一部分である第2張出部16bと、により構成されている。
第1張出部16aと第2張出部16bとは互いに上下に重ねて配置されている。
【0034】
標示部17は、標示体171を有する。標示体171は、標示部17の標示内容(液体注入ポートに関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つ)を示す構造部分である。
【0035】
本実施形態の場合、標示部17と、当該液体注入ポート100における標示部17の周囲の部分と、でX線の透過率が互いに異なっている。より詳細には、標示体171と、当該液体注入ポート100における標示体171の周囲の部分と、でX線の透過率が互いに異なっている。
このため、X線の照射下において、標示部17の標示内容(標示体171が示す内容)を認識することができる。
【0036】
X線が標示体171を透過する第1透過率と、X線が標示体171の周囲の部分を透過する第2透過率とのうち、第1透過率が第2透過率よりも高くてもよいし、第1透過率が第2透過率よりも低くても良い。
すなわち、標示部17においては、標示体171がその周囲よりもX線の透過率が低く、すなわちX線を標示体171で局所的に遮蔽するように構成されていてもよく、逆に、標示体171はその周囲よりもX線の透過率が高く、すなわちX線を標示体171で局所的に透過させるように構成されていてもよい。
一例として、標示体171は、周囲の部分よりもX線の透過率が低い低透過率部材を含んで構成されており、標示体171において局所的にX線を遮蔽する。
【0037】
本実施形態の場合、第1カバー15aの一部分である第1張出部16aが、低透過率部材を含み、上述の文字、マークまたは図形の少なくとも1つを示す標示体171を構成している。
低透過率部材としては、金属部材と非金属部材とが含まれる。金属部材としては、例えば、鉛、ステンレス、マグネシウム及びアルミニウム等が考えられる。また、非金属部材としては、例えば、金属の酸化物、金属の化合物及びハロゲンの少なくとも一つを含むものがある。第一実施形態では、金属の酸化物(MOx)として、例えば、酸化ビスマス(Bi2O3)が使用できる。金属塩としては、例えば、硫酸バリウム(BaSO4)が使用できる。さらに、ハロゲンとしては、例えば、臭素(Br)やヨウ素(I)が使用できる。
【0038】
このように、一例として標示部17(標示体171)は、金属材料により構成されている。ただし、標示部17(標示体171)は、非金属材料により構成されていることも好ましい。
【0039】
標示体171は、例えば、標示部17に低透過率部材を混入し、標示部17を切り欠いて形成してもよい。このほか、低透過率部材を実質的に含まない樹脂材料で張出部16(例えば第1張出部16a)を形成し、低透過率部材を含むペーストによって張出部16に標示体171を描画することによって標示部17を構成してもよい。
更に、低透過率部材で形成されるプレート、あるいは低透過率部材を含む部材で形成されたプレートを張出部16に埋め込み、このプレートを切り欠いて標示体171を形成してもよい。
【0040】
一例として、標示部17には、上述の文字、マーク又は図形の少なくとも1つと対応する形状のスリット、薄肉部又は厚肉部が形成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、標示部17は、上述の文字、マーク又は図形の少なくとも1つと対応する形状に形成されていることも好ましい。ここで、対応する形状とは、例えば、上述の文字、マーク又は図形を模した形状(つまりポジ型の形状)であってもよいし、部材から上述の文字、マーク又は図形を模した形状を抜いた形状(つまりネガ型の形状)であってもよい。
【0041】
図10(a)は、標示部17を説明するための図である。
図10(b)、
図10(c)は、標示部17の他の例を説明するための図である。
【0042】
図10(a)は、上述の低透過率部材を混合した軟質樹脂材で張出部16(例えば第1張出部16a)を構成することによって、張出部16の全体のX線透過性を低下させ、「CT」との文字を模した形状のくり抜き形状部を形成することによって、「CT」との文字を模した形状の標示体171を形成した例を示している。このようにすると、文字等は、X線画像中において黒地に白色の像となる。
【0043】
ただし、本実施形態は、
図10(a)に示した構造の標示部17を備える例に限らず、
図10(b)又は
図10(c)のように構成することができる。
【0044】
図10(b)は、張出部16をカバー部材15(例えば第1カバー15a)と同様の軟質樹脂材で構成し、張出部16よりもX線の透過性が低い部材を練り込んだペースト等を使って張出部16に描画することによって標示体172が形成されている例を示している。このようにすると、文字等は、X線画像中において白地に黒色の像となる。
【0045】
図10(c)は、張出部16をカバー部材(例えば第1カバー15a)と同様の軟質樹脂材で構成し、張出部16の一部分をくり抜くか切り欠き、くり抜き部分又は切欠部分に低透過率部材を含むプレート174を嵌め込んて標示部17を構成した例を示している。張出部16へのプレート174の嵌合は、例えば、弾性を有する張出部16に図示しない溝を設け、この溝にプレート174を嵌め込むことによっても実現できる。また、プレート174に図示しない溝を設け、この溝に張出部16に形成された図示しない凸部を圧入することによっても実現できる。
プレート174は、低透過率の金属部材であってもよいし、非金属製の低透過率部材をペースト等の他の部材と混合して形成されるものであってもよい。また、プレート174の標示体173は、「CT」の文字を模したくり抜き部分を形成することによって構成することができる。
図10(c)に示す標示部17は、プレート174の交換が可能である。このため、プレート174に形成された標示体173を任意に選択し、カバー部材15に取り付けることができる。
図10(c)では、標示体173がくり抜かれたネガ型である例を挙げているが、プレート174が軟質樹脂材で構成され、標示体173が低透過率の金属部材や非金属製の低透過率部材をペースト等の他の部材と混合して形成されたポジ型であってもよい。
【0046】
なお、標示体171、172、173は、「CT」の文字を表すものに限定されるものでなく、液体注入ポート100に関連する情報を示すものであればどのような文字や記号等であってもよい。
【0047】
上述のように、本実施形態の場合、張出部16が張り出す方向が水平方向となっている。このため、被験者の正面からX線画像を撮像する場合、張出部16が撮像機に正対する。張出部16が撮像機に正対することにより、標示体171~173は撮像機に正対した文字、マーク又は図形の少なくとも1つを標示する画像としてX線写真に写る。このことから、被験者の体内における液体注入ポート100の向き(姿勢)を体外から認識することができる。
また、張出部16が水平に張りだしているため、X線画像を撮像する場合において、標示体171~173と蓋部12や枠体(上方フレーム60、下方フレーム70)と重ならないようにできるため、標示体171の標示に内容をより明瞭に認識することができる。
【0048】
標示部17には、(X線照射下での観察によらず)目視可能な目視標示部が含まれていることも好ましい。本実施形態の場合、標示体171は、例えば「CT」との文字情報を含んでいるため、液体注入ポート100を体内に埋め込む前の状態や体外に取り出した状態において、目視で認識可能となっている。すなわち、本実施形態の場合、X線照射下での観察が可能な標示体171~173が、目視標示部を兼ねている。
なお、本発明は、この例に限らず、液体注入ポート100は、X線照射下での観察が可能な標示体171とは別に、目視標示部を有していてもよい。一例として、目視標示部は、カバー部材15の外面に付されており、液体注入ポートに関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つを表している。なお、第1実施形態のように液体注入ポート100がカバー部材15を有していない場合、目視標示部は、例えば蓋部12の外面に付されている。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に、
図11を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0050】
本実施形態の場合、カバー部材15(例えば第1カバー15a)において、蓋部12に沿って配置されている部分(張り出していない部分)に、標示部17が形成されている。標示部17は、例えば、第1カバー15aの全体に低透過率部材を混合し、これを標示体175の形状にくり抜くことによって構成されている。
また、標示部17は、
図10(b)を用いて説明した例と同様に、X線の透過率が高い部材で形成された第1カバー15aに、低透過率部材とペーストとを混合した材料で標示体175を描画したものであってもよい。
さらに、標示部17は、
図10(c)を用いて説明した例と同様に、第1カバー15aの一部分をくり抜いて低透過率部材を含むプレートを嵌め込むことによって構成されていてもよい。
【0051】
〔第4実施形態〕
次に、
図12及び
図13を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0052】
上記の第2実施形態及び第3実施形態では、カバー部材15が標示部17を有する例と、カバー部材15に標示部17が設けられている例を説明したが、本実施形態の場合、標示部17はハウジング部10に取り付けられている。
【0053】
図13に示すように、標示部17は、例えば、平盤状に形成されている平盤部と、平盤部から側方に突出しているとともに下方に湾曲している支持部17aと、支持部17aの下端に形成されている嵌入部17bと、を有する。
ハウジング部10(例えば底部14)には、例えば、上孔部23a、下孔部23b及び貫通孔23cを含む係合部が形成されている。上孔部23aは、底部14の上方に開放しており、下孔部23bは、底部14の下方に開放しており、貫通孔23cは、上孔部23aと下孔部23bとを相互に連通させている。
そして、標示部17の嵌入部17bが、上孔部23a側から貫通孔23cに嵌入されることによって、標示部17がハウジング部10に取り付けられている。
本実施形態の場合、標示部17の標示体18は、上述した標示体171~173のいずれかと同様に構成することができる。
【0054】
〔第5実施形態〕
次に、
図14を用いて第5実施形態を説明する。
本実施形態に係る液体注入ポート100は、以下に説明する点で、上記の第4実施形態に係る液体注入ポート100と相違しており、その他の点では、上記の第4実施形態に係る液体注入ポート100と同様に構成されている。
【0055】
本実施形態の場合、標示部17は、支持部17aと嵌入部17bとを有していない代わりに、当該標示部17を貫通して形成されている取付孔17cを有する。
標示部17は、紐状の部材などである連結環19を介してハウジング部10に取り付けられている。すなわち、連結環19は、取付孔17cと貫通孔23cとに通されており、標示部17とハウジング部10(例えば底部14)とを相互に連結している。
【0056】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0057】
例えば、液体注入ポート100は、当該液体注入ポート100の状態(温度、圧力、液体を注入した日時や回数の履歴等)を検知する状態検知部を含んで構成されており、状態検知部が検知した情報を外部に出力可能となっていてもよい。一例として、状態検知部が検知した情報を読取装置200によって読み取り可能となるように、当該情報が情報記憶部88に随時記憶保持されるようになっていてもよいし、状態検知部が状態を検知する度に(情報記憶部88に記憶されることなく)情報を外部に送信するようになっていてもよい。
すなわち、本発明は、液体注入ポート100が情報記憶部88を含まずに構成される態様も含む。
状態検知部は、温度センサ又は圧力センサ等により構成されている。
このように、液体注入ポート100は、一例として、体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポート100であって、体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部50と、液溜り部50と連通しておりカテーテルと接続される液体導入コネクタ(コネクタ部36)と、当該液体導入コネクタの状態を検知する状態検知部と、を備える液体注入ポート100である。
また、好ましい一例としては、液体注入ポート100は、状態検知部により検知した状態を外部に出力する外部出力部を備える。
【0058】
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0059】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
外部の読取装置によって読み取り可能に、当該液体注入ポートに関連する情報を記憶保持する情報記憶部と、
を備える液体注入ポート。
(2)当該液体注入ポートに関連する前記情報は、製品の仕様と、品番と、製造情報と、被験者の情報と、手術の情報と、のうちの少なくとも1つ以上を示す情報である(1)に記載の液体注入ポート。
(3)前記製品の仕様には、当該液体注入ポートの耐圧性と、当該液体注入ポートの寸法と、接続されるカテーテルの太さと、接続されるカテーテルの先端形状と、のうちの少なくとも1つ以上が含まれる(2)に記載の液体注入ポート。
(4)当該液体注入ポートに関連する文字、マーク又は図形の少なくとも1つを標示する標示部を有する(1)から(3)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(5)当該液体注入ポートの外殻を構成するカバー部材を備え、
前記カバー部材が前記標示部を有しているか、又は、前記カバー部材に前記標示部が設けられている(4)に記載の液体注入ポート。
(6)前記標示部と、当該液体注入ポートにおける前記標示部の周囲の部分と、でX線の透過率が互いに異なっている(4)又は(5)に記載の液体注入ポート。
(7)前記標示部は、金属材料により構成されている(6)に記載の液体注入ポート。
(8)前記標示部は、非金属材料により構成されている(6)に記載の液体注入ポート。
(9)前記標示部には、前記文字、前記マーク又は前記図形の少なくとも1つと対応する形状のスリット、薄肉部又は厚肉部が形成されている(4)から(8)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(10)前記標示部は、前記文字、前記マーク又は前記図形の少なくとも1つと対応する形状に形成されている(4)から(8)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
(11)前記標示部には、目視可能な目視標示部が含まれている(4)から(10)のいずれか一項に記載の液体注入ポート。
【0060】
更に、本実施形態は以下の技術思想を包含する。
<1>体内に埋め込まれた状態で留置される液体注入ポートであって、
体外から供給された液体を一時的に貯留する液溜り部と、
前記液溜り部と連通しており、カテーテルと接続される液体導入コネクタと、
当該液体導入コネクタの状態を検知する状態検知部と、
を備える液体注入ポート。
<2>前記状態検知部により検知した状態を外部に出力する外部出力部を備える<1>に記載の液体注入ポート。
【符号の説明】
【0061】
10 ハウジング部
12 蓋部
12a 開口
14 底部
15 カバー部材
15a 第1カバー
15b 第2カバー
16 張出部
16a 第1張出部
16b 第2張出部
17 標示部
17a 支持部
17b 嵌入部
17c 取付孔
171、172、173、175、18 標示体
174 プレート
19 連結環
20 隔膜部
22 穿刺部上面
23a 上孔部
23b 下孔部
23c 貫通孔
24 穿刺部下面
26 凹部
28 凸部
32 ロックトップ
34 ロック基部
36 コネクタ部
50 液溜り部
52 底面
54 側面
56 開口
58 連通孔
60 上方フレーム
70 下方フレーム
81 コイル
83 ICチップ
87 制御部
88 情報記憶部
200 読取装置
510 皮膚
100 液体注入ポート