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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】乗用車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 13/08 20060101AFI20240214BHJP
   B62K 13/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B62K13/08
B62K13/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019177343
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054168
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】梅原 英之
(72)【発明者】
【氏名】石田 俊彦
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101870321(CN,A)
【文献】特開2005-193740(JP,A)
【文献】特開2012-162103(JP,A)
【文献】特開2017-039401(JP,A)
【文献】特開2016-202483(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01378431(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K13/00-13/08
B62B 3/02
B62J 7/00
B62K 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を支持する本体部と、
前記本体部に立設し、人が搭乗する乗車状態と人が搭乗しない台車状態とに切り替わり、どちらか一方の状態を選択可能なシートステイと、
前記シートステイの上側に固定されるシートと、
前記シートステイに前記本体部に対して移動可能に設けられ、前記乗車状態及び前記台車状態の双方において荷物を保持するフレームと、
前記シートステイに対して走行方向に間隔をあけて前記本体部に立設するステアリングステイと、
前記ステアリングステイに設けられるハンドルと、を有し、
前記台車状態は、前記乗車状態に比べて、前記フレームが前記ハンドルに近い領域に存在し、
前記シートステイは、
リンク機構により前記乗車状態と前記台車状態とに切り替わり、
前記乗車状態と前記台車状態とが切り替わる間に、鉛直方向における前記シートステイの最高到達点を通過する乗用車両。
【請求項2】
前記シートステイに設けられ、前記本体部に連結する固定部は、前記ハンドルに向かって延設される請求項に記載の乗用車両。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記走行方向に垂直で、前記車輪の中心を通る鉛直面上又は略鉛直面上に存在する請求項1又は請求項2に記載の乗用車両。
【請求項4】
前記荷物が持ち上げられたことを検知するセンサーと、
前記フレームを昇降するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を有し、
前記荷物を前記乗用車両の外側に移動する際に、前記フレームが自動で下降する請求項1~いずれか1項に記載の乗用車両。
【請求項5】
前記フレームは、前記荷物の水平方向の移動を可能にする開口部を有する請求項1~いずれか1項に記載の乗用車両。
【請求項6】
車輪を支持する本体部と、
前記本体部に立設し、人が搭乗する乗車状態と人が搭乗しない台車状態とに切り替わるシートステイと、
前記シートステイの上側に固定されるシートと、
前記シートステイに設けられ、前記乗車状態及び前記台車状態において荷物を保持するフレームと、
前記シートステイに対して走行方向に間隔をあけて前記本体部に立設するステアリングステイと、
前記ステアリングステイに設けられるハンドルと、
前記フレームに保持されていた前記荷物が持ち上げられたことを検知するセンサーと、
前記フレームを昇降するモータと、
前記モータを制御する制御部と、を有し、
前記台車状態は、前記乗車状態に比べて、前記フレームが前記ハンドルに近い領域に存在する一方で、
前記荷物を乗用車両の外側に移動する際に、前記フレームが自動で下降する乗用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用車両として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この乗用車両は、人が搭乗して走行する乗車状態だけでなく、人が着座するシートをラックに取り換えることで、ラックに荷物を積載して走行する台車状態に切り替えることができる。また、ラックをハンドルに近い位置に設置することで、ハンドルを操作しながら、ラックに荷物を積載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-225718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、荷物を積載する場合にはシートを取り外す必要があるため、荷物を積載した状態で、人が搭乗して走行することができない。このため、例えば、乗用車両に搭乗して外出し、外出先でラックに荷物を積載した場合には、乗用車両に搭乗して帰宅することができない。
【0005】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗車状態と台車状態とを切り替えることができ、乗車状態において荷物を積載することができる乗用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する第1の乗用車両は、車輪を支持する本体部と、本体部に立設し、人が搭乗する乗車状態と人が搭乗しない台車状態とに切り替わり、どちらか一方の状態を選択可能なシートステイと、シートステイの上側に固定されるシートと、シートステイに本体部に対して移動可能に設けられ、乗車状態及び台車状態の双方において荷物を保持するフレームと、シートステイに対して走行方向に間隔をあけて本体部に立設するステアリングステイと、ステアリングステイに設けられるハンドルとを有し、台車状態は、乗車状態に比べて、フレームがハンドルに近い領域に存在し、シートステイは、リンク機構により乗車状態と台車状態とに切り替わり、乗車状態と台車状態とが切り替わる間に、鉛直方向におけるシートステイの最高到達点を通過する
また、上記の課題を解決する第2の乗用車両は、車輪を支持する本体部と、本体部に立設し、人が搭乗する乗車状態と人が搭乗しない台車状態とに切り替わり、どちらか一方の状態を選択可能なシートステイと、シートステイの上側に固定されるシートと、シートステイに本体部に対して移動可能に設けられ、乗車状態及び台車状態の双方において荷物を保持するフレームと、シートステイに対して走行方向に間隔をあけて本体部に立設するステアリングステイと、ステアリングステイに設けられるハンドルと、フレームに保持されていた荷物が持ち上げられたことを検知するセンサーと、フレームを昇降するモータと、モータを制御する制御部と、を有し、台車状態は、乗車状態に比べて、フレームがハンドルに近い領域に存在する一方で、荷物を乗用車両の外側に移動する際に、フレームが自動で下降する。
【0007】
上記構成によれば、シートステイにより乗車状態と台車状態とを切り替えられる。また、乗車状態において、フレームにより、人が乗車した状態で荷物を積載できる。台車状態において、荷物を保持するフレームがハンドルの近くに設置されるため、ハンドルを操作しながら荷物を積載できる。
【0008】
上記乗用車両において、シートステイは、リンク機構により乗車状態と台車状態とに切り替わり、乗車状態と台車状態とが切り替わる間に、鉛直方向におけるシートステイの最高到達点を通過することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、乗車状態と台車状態とを切り替える際に、シートステイの最高到達点までは重力に逆らって動かす必要がある。すなわち、それぞれの状態を保持する方向(Z軸の矢印と逆方向)に重力が加わるため、乗車状態及び台車状態をより強固に保持できる。
【0010】
上記乗用車両において、シートステイに設けられ、本体部に連結する固定部は、ハンドルに向かって延設されることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、台車状態において、荷物を保持するフレームがよりハンドルの近くに設置されるため、ハンドルを操作しながら荷物を積載できる。
【0012】
上記乗用車両において、ハンドルは、走行方向に垂直で、車輪の中心を通る鉛直面上又は略鉛直面上に存在することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、乗車状態においてシートに座ったままハンドルに手が届き、台車状態において歩行者の足が乗用車両に当たらない位置でハンドルを操作できる。これにより、ハンドルの位置を変更することなく、シートステイの状態を切り替えるだけで、乗車状態と台車状態を切り替えることができる。
【0014】
上記乗用車両において、荷物が持ち上げられたことを検知するセンサーと、フレームを昇降するモータと、モータを制御する制御部とを有し、荷物を乗用車両の外側に移動する際に、フレームが自動で下降することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、積載された荷物を乗用車両の外側に移動する際に、フレームを超える位置まで荷物を持ち上げる必要があるが、フレームが自動で下降することで、持ち上げる距離を短くできる。
【0016】
上記乗用車両において、フレームは、荷物の水平方向の移動を可能にする開口部を有することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、積載された荷物を乗用車両の外側に移動する際に、フレームを超える位置まで荷物を持ち上げる必要がない。
(付記項1)
上記乗用車両において、シートステイに設けられ乗車状態と台車状態とに切り替わる可動部が、シートステイに設けられ、本体部に連結する固定部に沿って、直線的に摺動することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、乗車状態と台車状態との間の移動量を小さくでき、小さい運動量で状態を切り替えられる。
(付記項2)
上記乗用車両において、乗車状態と台車状態とが切り替わる途中で、可動部を保持する機構を設けることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、身長に合わせたシートの高さや、荷物を降ろす際に移動先に合わせた高さに調整することができる。
(付記項3)
上記乗用車両において、荷物の底部を支える荷物支えを有することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、荷物支えにより荷物を支持し、フレームにより水平方向(XY平面と平行な方向)の移動を制限するため、荷物を安定した状態で積載できる。
(付記項4)
上記乗用車両において、フレームに設けられるスイッチに連動して、荷物支えが収納された状態と荷物を支えられる状態が切り替わることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、荷物を積載すると、スイッチが押され荷物支えが荷物を支えられる状態になる。荷物を外すと、スイッチが元に戻り、荷物支えが収納された状態になる。これにより、荷物を積載する際に両手がふさがっていても、荷物を支えられる状態に荷物支えを切り替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態にかかる乗用車両の構成の一例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態にかかる荷物を保持した乗用車両の乗車状態の構成の一例を示す側面図である。
図3】第1実施形態にかかる荷物を保持した乗用車両の台車状態の構成の一例を示す側面図である。
図4】第1実施形態にかかる荷物を保持した乗用車両の乗車状態と台車状態との間で切り替わる途中の構成の一例を示す側面図である。
図5】第1実施形態にかかるシートステイの構成の一例を示す斜視図である。
図6】第1実施形態にかかる荷物を保持した乗用車両のフレームが下降した状態の構成の一例を示す側面図である。
図7】第2実施形態にかかる乗用車両の制御部等の一例を示すブロック図である。
図8】第2実施形態にかかる乗用車両の荷重センサーが荷重の変化を検知した場合に制御部が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】別実施形態にかかる乗用車両の構成の一例を示す斜視図である。
図10】別実施形態にかかる荷物を積載する場合の乗用車両の構成の一例を示す斜視図である。
図11】別実施形態にかかるシートステイの構成の一例を示す斜視図である。
図12】別実施形態にかかるスイッチを押した場合のシートステイの構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態にかかる乗用車両1の構成の一例を示す斜視図である。図2は第1実施形態にかかる荷物Bを保持した乗用車両1の乗車状態の構成の一例を示す側面図である。図3は第1実施形態にかかる荷物Bを保持した乗用車両1の台車状態の構成の一例を示す側面図である。図4は第1実施形態にかかる荷物Bを保持した乗用車両1の乗車状態と台車状態との間で切り替わる途中の構成の一例を示す側面図である。図5は第1実施形態にかかるシートステイ6の構成の一例を示す斜視図である。図中、X軸は乗用車両1の車幅方向に対応し、Y軸は乗用車両1の走行方向に対応し、Z軸は乗用車両1の高さ方向に対応する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態にかかる乗用車両1は、本体部2、第1車輪(車輪)3、第2車輪4、ステアリングステイ5及びシートステイ6を有する。
【0025】
本体部2は、第1車輪3及び第2車輪4を支持する。本体部2には走行方向に間隔をあけてステアリングステイ5及びシートステイ6が立設される。
【0026】
第1車輪3は、2つの車輪を有し、図示しない一対の電動モータにより個別に回転駆動される。乗用車両1は、両電動モータが2つの第1車輪3と共に互いに同一の回転速度で回駆動されることで走行方向にそって直進可能である。例えば、乗用車両1は、両電動モータが互いに同一の回転速度で正転することで、第1車輪3が第2車輪4に対して先行する走行方向(以下、順走行方向D1ともいう)に直進する。反対に、乗用車両1は、両電動モータが互いに同一の回転速度で逆転することで、第1車輪3が第2車輪4に追従する走行方向(以下、逆走行方向D2ともいう)に直進する。また、乗用車両1は、両電動モータが2つの第1車輪3とともに互いに異なる回転速度で回転駆動されることで走行方向に対して旋回可能である。なお、第2車輪4のみ又は第1車輪3及び第2車輪4のいずれもが電動モータにより回転駆動されてもよい。また、電動モータを有さず、人力により走行してもよい。
【0027】
ステアリングステイ5は、第1車輪3の間に上向きに起立し、その上側には上方及び車幅方向(X軸と平行な方向)両側に広がるループ状のハンドル51が設けられる。ハンドル51は、走行方向に垂直で、第1車輪3の中心を通る鉛直面P上に存在する。なお、鉛直面P上には、略鉛直面P上も含まれ、乗車状態においてシート64に座ったままハンドル51に手が届き、台車状態において歩行者の足が乗用車両1に当たらない位置でハンドル51を操作できる位置まで許容される。
【0028】
シートステイ6は、走行方向における第2車輪4の位置よりも僅かにステアリングステイ5に近づく方向、即ち順走行方向D1にずれた位置で起立する。
【0029】
シートステイ6は、固定部61、可動部62、支持部63、シート64、フレーム65、第1荷物支え66、第2荷物支え67、第1リンク68及び第2リンク69を有する。
【0030】
固定部61は、本体部2に連結し、ハンドル51に向かって延設される。
【0031】
可動部62は、支持部63、シート64、フレーム65、第1荷物支え66及び第2荷物支え67と一体的に、固定部61に対して相対的に可動する。可動部62及びフレーム65は、図2に示す第2車輪4に近い領域に存在する乗車状態と、図3に示すハンドル51に近い領域に存在する台車状態とに切り替わる。乗車状態と台車状態とを切り替える際の推力として、例えば、人力、電力等がある。
【0032】
可動部62は、乗車状態及び台車状態を保持する機構を有する。その機構として、例えば、スナッチロック、プランジャー等がある。なお、乗車状態と台車状態とが切り替わる途中で、可動部62を保持する機構を設けてもよい。これにより、身長に合わせたシート64の高さや、荷物Bを降ろす際に移動先に合わせた高さに調整することができる。
【0033】
支持部63は、可動部62から上方に延設される。支持部63は、シート64及びフレーム65と可動部62とを接続し、可動部62と一体的に乗車状態と台車状態とに切り替わる。
【0034】
シート64は、車幅方向に延びており、支持部63に固定される。シート64は積載する荷物Bの側面のうち1方向を規制する。シート64は、クッション(弾性変形する素材)であることが好ましい。ただし、シート64は、樹脂や金属などの剛体であってもよい。
【0035】
フレーム65は、U字形上に形成され、支持部63に固定される。フレーム65は、積載する荷物Bの側面のうち3方向を規制する。図5に示すように、フレーム65の一辺は、蝶番71により開口部72が車幅方向に開口する。なお、開口する方向は車幅方向に限られず、Y軸と平行な方向や、Z軸と平行な方向に開口してもよい。荷物Bの側面を規制するフレーム65の一辺が開口することで、水平方向にも荷物Bを移動できる。
【0036】
第1荷物支え66は、可動部62の上部に水平方向に延設され、積載する荷物Bの底部を支持する。第2荷物支え67は、可動部62の中央に形成され、積載する荷物Bの底部の中央を支持する。図5に示すように、第2荷物支え67は可動部62の内部に収納できるように形成されてもよい。なお、第1荷物支え66及び第2荷物支え67がない場合には、荷物Bをフレーム65にひっかけることで、荷物Bを積載してもよい。
【0037】
第1リンク68及び第2リンク69は一端を固定部61に、他端を可動部62に回動可能に支持される。第1リンク68及び第2リンク69により構成されるリンク機構により、可動部62は固定部61に対して平行を保ったまま乗車状態と台車状態とに切り替わる。これにより、荷物Bは地面に対して水平を保ったまま、乗車状態と台車状態とが切り替わる。また、乗車状態と台車状態とが切り替わる間に、鉛直方向におけるシートステイ6の最高到達点を通過する。なお、第1リンク68及び第2リンク69は乗車状態と台車状態とを切り替える機構の一例であり、可動部62が固定部61に沿って直線的に摺動する機構等を用いてもよい。
【0038】
乗車状態において、操縦者は本体部2に搭乗し、シート64に座った状態でハンドル51を操作し、順走行方向D1に走行する。
【0039】
台車状態において、操縦者は第2車輪4の反対側からステアリングステイ5の前に立ち、ハンドル51を操作し、逆走行方向D2に走行する。
【0040】
以上に記述したように、本実施形態によれば少なくとも以下の効果を得られる。
・乗車状態と台車状態とを切り替えられる。乗車状態において、人が乗車した状態で荷物Bを積載できる。台車状態において、荷物Bを保持するフレーム65がハンドル51の近くに設置されるため、ハンドル51を操作しながら荷物Bを積載できる。詳細には、フレーム65にカゴ等を積載することや、カゴ等に収容物を積載(収容)することができる。
・固定部61をハンドル51に向かって延設させることで、台車状態において、荷物Bを保持するフレーム65がよりハンドル51の近くに設置されるため、ハンドル51を操作しながら荷物Bを積載できる。
・ハンドル51が第1車輪3の中心を通る垂線P上又は略垂線P上に存在することで、乗車状態においてシート64に座ったままハンドル51に手が届き、台車状態において歩行者の足が乗用車両1に当たらない位置でハンドル51を操作できる。ハンドル51の位置を変更することなく、シートステイ6の状態を切り替えるだけで、乗車状態と台車状態を切り替えることができる。
・リンク機構を用いることで、乗車状態と台車状態とを切り替える際に、シートステイ6の最高到達点までは重力に逆らって動かす必要がある。すなわち、それぞれの状態を保持する方向に重力が加わるため、乗車状態及び台車状態をより強固に保持できる。具体的には、乗車状態または台車状態に移行する際かつ最高到達点以降は、シートステイ6にかかる重力が移行を完了する方向に作用する。また、乗車状態または台車状態を保持する際にもシートステイ6にかかる重力が保持する方向に作用する。従って乗車状態または台車状態を保持するためのロック機構を小型化、簡素化できる。
・フレーム65が水平方向に開口することで、荷物を水平方向にも移動でき、積載された荷物Bを乗用車両1の外側に移動する際に、フレーム65を超える位置まで荷物Bを持ち上げる必要がない。
・可動部62が固定部61に沿って直線的に摺動する機構を用いることで、乗車状態と台車状態との間の移動量を小さくでき、小さい運動量で状態を変更できる。
・乗車状態と台車状態とが切り替わる途中で、可動部62を保持する機構を設けることで、身長に合わせたシート64の高さや、荷物Bを降ろす際に移動先に合わせた高さに調整することができる。
・荷物Bの底部を支える第1荷物支え66及び第2荷物支え67を有することで、第1荷物支え66及び第2荷物支え67により荷物Bを支持し、フレーム65により水平方向の移動を制限するため、荷物Bを安定した状態で積載できる。
【0041】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態にかかる荷物Bを保持した乗用車両1のフレーム65が下降した状態の構成の一例を示す側面図である。図7は第2実施形態にかかる乗用車両1の制御部84等の一例を示すブロック図である。図8は第2実施形態にかかる乗用車両1の荷重センサー81が荷重の変化を検知した場合に制御部84が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0042】
第2実施形態について、第1実施形態と異なる構成のみ説明する。第2実施形態は、可動部62又はフレーム65が自動で昇降する点が異なる。
【0043】
本実施形態にかかる乗用車両1は、荷重センサー81、第1モータ82、第2モータ83及び制御部84を有する。
【0044】
荷重センサー81は、第2荷物支え67に設けられる。荷重センサー81は、乗用車両1の荷物Bが持ち上げられたかを判断するために、荷重を検出し、制御部84に信号を出力する。なお、荷重センサー81はセンサーの一例であり、近接センサー等を用いてもよい。なお、荷重センサー81等のセンサーは、フレーム65又は第1荷物支え66等に設けてもよい。
【0045】
第1モータ82及び第2モータ83は、固定部61と支持部63にそれぞれ設けられ、図示しないスライダーに沿って可動部62とフレーム65をそれぞれ昇降する。なお、第1モータ82及び第2モータ83は、可動部62又はフレーム65に設けられてもよい。なお、スライダーではなく、リンク機構等により昇降してもよい。
【0046】
制御部84は、CPU85(Central Processing Unit)を有する。制御部84は、荷重センサー81からの出力信号をCPU85により処理し、第1モータ82又は第2モータ83に通電させるための信号を出力する。CPU85に替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。
【0047】
図8に示すフローチャートを参照して、荷重センサー81が荷重の変化を検知した場合に制御部84が実行する処理について説明する。
【0048】
図8に示すように、荷物Bの持ち上げ動作をする(ステップS1)。荷重が所定値以下となったことを荷重センサー81が検知する(ステップS2)。例えば、所定値は0からカゴの荷重までの間で設定する。制御部84は、第1モータ82又は第2モータ83に通電を行い、可動部62又はフレーム65が下降を開始する(ステップS3)。所定の位置まで下降したことをセンサー等で検知する(ステップS4)。制御部84は、第1モータ82又は第2モータ83への通電を止め、可動部62又はフレーム65が停止する(ステップ5)。その後、荷物Bをフレーム65の外側に移動する。図示しないボタンを押すことで、可動部62又はフレーム65は下降する前の位置に戻る。
【0049】
上記のように制御を行うことで、積載された荷物Bを乗用車両1の外側に移動する際に、フレーム65を超える位置まで荷物Bを持ち上げる必要があるが、可動部62又はフレーム65が自動で下降することで、持ち上げる距離を短くできる。なお、可動部62又はフレーム652が同時に下降してもよい。
【0050】
(別実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0051】
例えば、図9に示すように、シート64は荷物Bを積載する空間まで延設され、荷物Bを積載する際には、図10に示すように折りたためてもよい。荷物Bを積載しない場合には、人とシート64との接触面積を増やし快適性を向上できる。荷物Bを積載する場合には、シート64に座らずに起立することで、人が乗車した状態で荷物Bを積載できる。
【0052】
また、図11図12に示すように、フレーム65に設けられるスイッチ86に連動して、第2荷物支え67が収納された状態と荷物Bを支えられる状態が切り替えられてもよい。
【0053】
荷物Bを積載すると、スイッチ86が押され荷物支えが荷物Bを支えられる状態になる。荷物Bを外すと、スイッチ86が元に戻り、第2荷物支え67が収納された状態になる。これにより、荷物Bを積載する際に両手がふさがっていても、第2荷物支え67を荷物Bを支えられる状態に切り替えられる。
【0054】
また、フレーム65に代えてチャイルドシート等を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:乗用車両
2:本体部
3:第1車輪(車輪)
4:第2車輪
5:ステアリングステイ
6:シートステイ
51:ハンドル
61:固定部
62:可動部
63:支持部
64:シート
65:フレーム
66:第1荷物支え
67:第2荷物支え
68:第1リンク
69:第2リンク
71:蝶番
72:開口部
81:荷重センサー(センサー)
82:第1モータ
83:第2モータ(モータ)
84:制御部
85:CPU
86:スイッチ
B:荷物
D1:順走行方向
D2:逆走行方向
P:鉛直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12