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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】シートストップ機構、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20240214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H31/26
G03G15/00 440
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019178680
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054580
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健史
(72)【発明者】
【氏名】池谷 岳志
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/027416(WO,A1)
【文献】特開2004-307184(JP,A)
【文献】特開2017-132603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート排出口から下方に延びる壁の下端からシート排出方向に向けて先上がりに傾斜して形成され前記シート排出口から排出されるシートを受けるシート積載面上に形成されたシートストッパーと、
前記シートストッパーを、前記シート積載面に収まる収納状態と前記シート積載面からシート排出方向の下流側の斜め上方へ向けて起立した起立状態との間で回転可能に支持する支持機構と、を備え、
前記支持機構は、前記シートストッパーを前記起立状態で支持する場合に、前記シート積載面上に積載される前記シートの枚数に応じて、前記シートストッパーを前記シート積載面に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位可能に支持し、
前記支持機構は、
前記シート積載面における前記シート排出方向の下流側の端部に設けられ、前記シートストッパーが装着される装着凹部と、
前記装着凹部に設けられ、前記収納状態の前記シートストッパーにおける前記シート排出方向の下流側の端部を基端部として、前記シートストッパーを回転可能に支持する回転支持部と、
前記装着凹部における前記回転支持部に対し前記シート排出方向の上流側に設けられ、前記シートストッパーが前記起立状態であるときに前記シートストッパーの前記基端部と接触し、前記基端部との間の摩擦力により、複数枚の前記シートの荷重が前記シートストッパーにおける前記基端部に対し反対側の末端部に加わることによって前記基端部に前記摩擦力を超える力が作用するまで前記シートストッパーを前記シート積載面に対して第1鋭角を成す状態に保持する摩擦付与部と、
前記装着凹部における前記回転支持部に対し前記シート排出方向の下流側に設けられ、前記基端部に前記摩擦力を超える力が作用することにより、前記基端部が前記摩擦付与部に対して摺動するとともに前記シートストッパーが前記シート積載面に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転したときに、前記シートストッパーの一部に当接することにより前記シートストッパーの回転を規制し、前記シートストッパーを前記シート積載面に対して前記第1鋭角よりも小さい第2鋭角を成す状態に保持する規制部と、を備える、シートストップ機構。
【請求項2】
シート搬送路に沿ってシートを搬送し、前記シート搬送路のシート排出口から前記シートを排出するシート搬送装置と、
前記シート搬送路に沿って搬送される前記シートに画像を形成するプリント装置と、
前記シート排出口から排出される前記シートを受ける排出トレイと、
前記排出トレイに設けられた請求項1に記載のシートストップ機構と、を備える画像形成装置。
【請求項3】
前記プリント装置および前記シート搬送装置を内包する下ユニットと、
原稿から画像を読み取る画像読取装置を有し、前記下ユニットの上方において前記下ユニットに連結された上ユニットと、を備え、
前記排出トレイは、前記下ユニットの上面に形成され、前記上ユニットの下面に対向している、請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出トレイに設けられるシートストップ機構およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シート排出口から排出されるシートを受ける排出トレイに設けられたシートストッパーを備える場合がある。前記シートストッパーは、前記シートが前記排出トレイから滑り落ちることを防ぐ。
【0003】
例えば、前記シートストッパーが、前記排出トレイに形成されたトレイ凹部に収まる収納状態と前記トレイ凹部からシート排出方向の下流側の斜め上方へ向けて起立した起立状態との間で回転可能に支持されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記の場合、前記シートストッパーは、所定の基準サイズよりも大きな大サイズシートが用いられる場合に、前記収納状態から前記起立状態へ移行される。そして、前記大サイズシートの先端寄りの部分が、前記起立状態の前記シートストッパーに乗り上げる。これにより、前記シートストッパーは、前記大サイズシートが前記排出トレイから滑り落ちることを防ぐ。
【0005】
また、前記画像形成装置が、シートに画像を形成するプリント装置を収容する下ユニットと、画像読取装置および操作装置を有する上ユニットとを備える場合がある。前記上ユニットは、前記下ユニットの上方において前記下ユニットに連結されている。この場合、前記画像形成装置は、前記排出トレイが前記下ユニットの上面に形成された、いわゆる胴内排出構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-109247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記画像形成装置が前記胴内排出構造を有する場合、前記排出トレイは、前記上ユニットの下面に対向している。そのため、前記排出トレイの上面に沿う平面に対する前記シートストッパーの傾斜角度が大きいほど、前記排出トレイと前記上ユニットとの間における前記シートの積載が可能な空間が狭まる。
【0008】
一方、前記排出トレイの上面に沿う平面に対する前記シートストッパーの傾斜角度が小さ過ぎると、前記シートが前記排出トレイから滑り落ちるおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、胴内排出タイプの排出トレイにおけるシートの積載空間が狭まることを回避しつつ前記シートが前記排出トレイから滑り落ちることを防止できるシートストップ機構およびそれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係るシートストップ機構は、シートストッパーと、支持機構と、を備える。前記シートストッパーは、シート排出口から下方に延びる壁の下端からシート排出方向に向けて先上がりに傾斜して形成され前記シート排出口から排出されるシートを受けるシート積載面上に形成されている。前記支持機構は、前記シートストッパーを、前記シート積載面に収まる収納状態と前記シート積載面からシート排出方向の下流側の斜め上方へ向けて起立した起立状態との間で回転可能に支持する支持機構。前記支持機構は、前記シートストッパーを前記起立状態で支持する場合に、前記シート積載面上に積載される前記シートの枚数に応じて、前記シートストッパーを前記シート積載面に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位可能に支持する。
【0011】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シート搬送装置と、プリント装置と、排出トレイと、前記排出トレイに設けられた前記シートストップ機構と、を備える。前記シート搬送装置は、シート搬送路に沿ってシートを搬送し、前記シート搬送路のシート排出口から前記シートを排出する。前記プリント装置は、前記シート搬送路に沿って搬送される前記シートに画像を形成する。前記排出トレイは、前記シート排出口から排出される前記シートを受ける。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、胴内排出タイプの排出トレイにおけるシートの積載空間が狭まることを回避しつつ前記シートが前記排出トレイから滑り落ちることを防止できるシートストップ機構およびそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係るシートストップ機構を備える画像形成装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るシートストップ機構を備える画像形成装置における下ユニット内の構成図である。
図3図3は、第1実施形態に係るシートストップ機構を備える画像形成装置における排出トレイおよびその周辺部分の断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るシートストップ機構の斜視図である(収納状態)。
図5図5は、第1実施形態に係るシートストップ機構の分解斜視図である。
図6図6は、第1実施形態に係るシートストップ機構の収納状態の断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るシートストップ機構の第1起立状態の断面図である。
図8図8は、第1実施形態に係るシートストップ機構の第2起立状態の断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係るシートストップ機構の分解斜視図である。
図10図10は、第2実施形態に係るシートストップ機構の第1起立状態の断面図である。
図11図11は、第2実施形態に係るシートストップ機構の第2起立状態の断面図である。
図12図12は、第3実施形態に係るシートストップ機構の分解斜視図である。
図13図13は、第3実施形態に係るシートストップ機構の第1起立状態の断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係るシートストップ機構の第2起立状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るシートストップ機構5は、画像形成装置10の一部を構成している。
【0016】
[画像形成装置10の構成]
図1に示されるように画像形成装置10は、下ユニット100、上ユニット200および連結部300を備える。
【0017】
上ユニット200は、下ユニット100の上方において、連結部300によって下ユニット100に連結されている。上ユニット200は、画像読取装置201および操作部202を有する。
【0018】
画像読取装置201は、原稿から画像を読み取るいわゆるスキャナーである。操作部202は、人の操作を受け付ける装置である。操作部202は、例えばタッチパネルおよび操作ボタンなどを備える。
【0019】
図2に示されるように、下ユニット100は、シート搬送装置3およびプリント装置4と、シート搬送装置3およびプリント装置4を収容する主筐体1とを備える。即ち、下ユニット100は、プリント装置4およびシート搬送装置3を内包している。
【0020】
シート搬送装置3は、シート収容部2内のシート9を主筐体1内のシート搬送路30へ送り出す。さらに、シート搬送装置3は、シート搬送路30に沿ってシート9を搬送し、シート搬送路30のシート排出口101からシート9を排出する。
【0021】
シート搬送装置3は、それぞれシート9を挟んで回転することによってシート9を搬送する複数組の搬送ローラー対31を備える。搬送ローラー対31は、シート排出口101に配置され、画像が形成されたシート9をシート排出口101から排出トレイ102上へ排出する排出ローラー対31aを含む。
【0022】
下ユニット100は、シート排出口101から排出されるシート9を受ける排出トレイ102をさらに備える。図3に示されるように、排出トレイ102の上面は、シート排出口101から排出されるシート9を受けるシート積載面102cである。排出トレイ102は、下ユニット100の上面に形成され、上ユニット200の下面に対向している(図1参照)。一般に、この排出トレイ102の構造は、胴内排出構造と称される。
【0023】
プリント装置4は、シート搬送路30に沿って搬送されるシート9に画像を形成するプリント処理を実行する。図2に示される例では、プリント装置4は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する。この場合、プリント装置4は、感光体41、帯電装置42、レーザー走査ユニット40、現像装置43、転写装置44、クリーニング装置45および定着装置46などを備える。
【0024】
帯電装置42は、回転する感光体41の表面を帯電させる。レーザー走査ユニット40は、帯電した感光体41の表面にレーザー光を走査することにより静電潜像を書き込む。
【0025】
現像装置43は、感光体41の表面にトナーを供給することにより前記静電潜像をトナー像へ現像する。なお、感光体41は、前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。
【0026】
転写装置44は、感光体41上の前記トナー像をシート9上に転写する。クリーニング装置45は、感光体41の表面に残存する前記トナーを除去する。定着装置46は、シート9上の前記トナー像を加熱および加圧することにより、前記トナー像をシート9に定着させる。
【0027】
画像形成装置10は、シート積載面102cに設けられたシートストップ機構5をさらに備える。シートストップ機構5は、シート9がシート積載面102cから滑り落ちることを防ぐシートストッパー51を備える(図3参照)。シートストッパー51は、シート積載面102cに形成されたトレイ凹部1020に設けられている。
【0028】
トレイ凹部1020は、シート積載面102cにおけるシート排出方向D1の下流側の端部に設けられ、シートストッパー51が装着される部分である。トレイ凹部1020は、装着凹部の一例である。
【0029】
以下の説明において、シート9がシート排出口101から排出される方向のことをシート排出方向D1と称する。
【0030】
シート積載面102cは、シート排出口101から下方に延びる壁103の下端からシート排出方向D1に向けて先上がりに傾斜して形成されている。換言すれば、シート積載面102cは、シート排出方向D1における上流側の第1端部102aから下流側の第2端部102bへ向かって斜め上方へ傾斜して形成されている。第1端部102aは、シート排出口101の下方に位置している。
【0031】
シートストップ機構5において、シートストッパー51は、収納状態と起立状態との間で回転可能に支持されている。前記収納状態は、シート積載面102cのトレイ凹部1020に収まる状態である。前記起立状態は、トレイ凹部1020からシート排出方向D1の下流側の斜め上方へ向けて起立した状態である。図3は、前記起立状態のシートストッパー51を示す。
【0032】
シートストッパー51は、所定の基準サイズよりも大きな大サイズシート9aが用いられる場合に、前記収納状態から前記起立状態へ移行される(図3参照)。図3に示されるように、大サイズシート9aの先端寄りの部分が、前記起立状態のシートストッパー51に乗り上げる。これにより、シートストッパー51は、大サイズシート9aがシート積載面102cからシート排出方向D1の下流側へ滑り落ちることを防ぐ。
【0033】
なお、前記基準サイズのシート9が用いられる場合、シートストッパー51は前記収納状態に保持される(図4,6参照)。これにより、シートストッパー51は、排出トレイ102からのシート9の取り出しの邪魔にならない。
【0034】
以下の説明において、シート積載面102cにおけるトレイ凹部1020の周辺部に沿う平面のことを基準平面F1と称する(図3参照)。
【0035】
ところで、画像形成装置10が前記胴内排出構造を有する場合、シート積載面102cは、上ユニット200の下面に対向している。そのため、基準平面F1に対するシートストッパー51の傾斜角度が大きいほど、シート積載面102cと上ユニット200との間におけるシート9の積載が可能な空間が狭まる。
【0036】
一方、基準平面F1に対するシートストッパー51の傾斜角度が小さ過ぎると、大サイズシート9aがシート積載面102cから滑り落ちるおそれがある。
【0037】
シートストップ機構5は、前記胴内排出タイプの排出トレイ102における大サイズシート9aの積載空間が狭まることを回避しつつ大サイズシート9aがシート積載面102cから滑り落ちることを防止できる構造を備える。以下、シートストップ機構5の構造について説明する。
【0038】
[シートストップ機構5の構造]
図5~8に示されるように、シートストップ機構5は、シートストッパー51および支持機構52を備える。支持機構52は、シートストッパー51を、前記収納状態と前記起立状態との間で回転可能に支持する。
【0039】
図5などに示されるように、支持機構52は、回転支持部521、2つのリブ522および規制部523を備える。シートストッパー51は、シート排出方向D1に直交する幅方向の両端に形成された一対の被支持部513を有する。本実施形態において、一対の被支持部513は凸部である。
【0040】
一対の被支持部513は、シートストッパー51における基端部511と基端部511に対し反対側の末端部512との間における基端部511寄りの部分である。
【0041】
回転支持部521は、トレイ凹部1020におけるシート排出方向D1の下流側の位置に設けられている。回転支持部521は、シートストッパー51の一対の被支持部513を回転可能に支持する。即ち、回転支持部521は、前記収納状態のシートストッパー51におけるシート排出方向D1の下流側の端部を基端部511として、シートストッパー51を回転可能に支持する。本実施形態において、回転支持部521は、一対の被支持部513が回転可能に嵌め入れられた一対の凹部である。
【0042】
シートストッパー51は、ユーザーによって操作されることにより、前記収納状態および前記起立状態の一方から他方へ回転する。なお、被支持部513が凹部であり、回転支持部521が凸部であることも考えられる。
【0043】
2つのリブ522は、トレイ凹部1020内に起立して形成されている。2つのリブ522は、シートストッパー51が前記収納状態であるときに、シートストッパー51によって覆われる(図6参照)。
【0044】
図7,8に示されるように、2つのリブ522は、シートストッパー51が前記起立状態であるときにシートストッパー51の基端部511と接触する摩擦付与部5221を有する。
【0045】
図7に示されるように、摩擦付与部5221は、基端部511との間の摩擦力により、シートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持する。
【0046】
複数枚の大サイズシート9aの荷重F1がシートストッパー51の末端部512に加わった場合、梃子の原理により、シートストッパー51の基端部511に、被支持部513を中心とする円弧に沿う力が作用する。
【0047】
摩擦付与部5221は、複数枚の大サイズシート9aの荷重F1がシートストッパー51の末端部512に加わることによって基端部511に前記摩擦力を超える力が作用するまで、シートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持する。
【0048】
但し、複数枚の大サイズシート9aの荷重F1がシートストッパー51の末端部512に加わることによって基端部511に前記摩擦力を超える力が作用すると、基端部511が摩擦付与部5221に対して摺動するとともに、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転する。
【0049】
規制部523は、トレイ凹部1020における回転支持部521に対しシート排出方向D1の下流側に設けられている。
【0050】
規制部523は、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転したときに、シートストッパー51の一部に当接することによりシートストッパー51の回転を規制する。これにより、規制部523は、シートストッパー51を基準平面F1に対して第2鋭角θ2を成す状態に保持する(図8参照)。第2鋭角θ2は、第1鋭角θ1よりも小さい。
【0051】
以上に示されるように、支持機構52は、シートストッパー51を前記起立状態で支持する場合に、シート積載面102c上に積載される大サイズシート9aの枚数の増大に応じて、シートストッパー51を基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位可能に支持する。
【0052】
シートストップ機構5が採用されることにより、シート積載面102c上における大サイズシート9aの積載量が多くなると、シートストッパー51が、基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位するこれにより、シート積載面102cと上ユニット200との間における大サイズシート9aの積載が可能な空間が確保される。
【0053】
また、シート積載面102c上における大サイズシート9aの積載量が多い状態においては、シート排出口101とシート積載面102c上に積載した大サイズシート9aの上面との高低差が小さい。この場合、シート排出口101から排出される大サイズシート9aは、比較的速やかにシート積載面102c上の大サイズシート9aに接触することにより早く減速する。
【0054】
従って、シートストッパー51が基準平面F1に対して第2鋭角θ2を成す状態になっても、大サイズシート9aはシート積載面102cから滑り落ちない。
【0055】
また、シートストッパー51の傾斜角度が大きい場合、シート積載面102c上に積載された大サイズシート9aの重量が増えたときに、大サイズシート9aが、シートストッパー51から局所的に強い力を受けることによりダメージを受けるおそれがある。
【0056】
しかしながら、シートストップ機構5が採用されることにより、大サイズシート9aの積載量が増えたときに、シートストッパー51が大サイズシート9aに与えるダメージが緩和される。
【0057】
なお、支持機構52において、シート積載面102c上の大サイズシート9aが除去された場合、ユーザーが、シートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に戻す操作を行う必要がある。
【0058】
[第2実施形態]
次に、図9~11を参照しつつ、第2実施形態に係るシートストップ機構5Aについて説明する。シートストップ機構5Aは、画像形成装置10においてシートストップ機構5の代わりに採用される。
【0059】
図9~11において、図1~8に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0060】
以下、シートストップ機構5Aにおけるシートストップ機構5と異なる点について説明する。シートストップ機構5Aは、シートストップ機構5の支持機構52が支持機構52Aに置き換えられた構成を備える。
【0061】
支持機構52Aは、回転支持部521、弾性支持片522Aおよび規制部523を備える。支持機構52Aの回転支持部521および規制部523は、支持機構52の回転支持部521および規制部523と同じである。
【0062】
弾性支持片522Aは、シート積載面102cのトレイ凹部1020における回転支持部521に対しシート排出方向D1の上流側に設けられている。弾性支持片522Aは、シートストッパー51が前記収納状態であるときに、シートストッパー51によって覆われる(不図示)。
【0063】
弾性支持片522Aは、合成樹脂の部材の一部であり、トレイ凹部1020と一体に成形されている。弾性支持片522Aは、トレイ凹部1020から延び出て湾曲した板状である。
【0064】
弾性支持片522Aは、接触変位部5223および弾性付勢部5224を有する。接触変位部5223は、弾性支持片522Aにおける先端寄りの部分である。弾性付勢部5224は、弾性支持片522Aにおける湾曲した部分である。
【0065】
接触変位部5223に力が加わることにより、弾性付勢部5224が弾性変形し、接触変位部5223が所定の退避方向D2へ変位する(図10、11参照)。退避方向D2は、シートストッパー51の被支持部513から離れる方向である。
【0066】
接触変位部5223は、シートストッパー51が前記起立状態であるときに、シートストッパー51の基端部511と接触する。これにより、接触変位部5223は、シートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持する。
【0067】
以下の説明において、接触変位部5223がシートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持するときの接触変位部5223の位置を基準位置と称する。図10は、接触変位部5223が前記基準位置に位置する状態を示す。
【0068】
弾性付勢部5224は、シートストッパー51の基端部511に接触する接触変位部5223に対して弾性力を付与している。
【0069】
即ち、弾性支持片522Aは、シートストッパー51が前記起立状態であるときにシートストッパー51の基端部511と接触し、シートストッパー51をシート積載面102cに対して第1鋭角θ1を成す状態に保持する前記基準位置から所定の退避方向D2へ弾性変形可能である。なお、弾性支持片522Aは、弾性支持部の一例である。
【0070】
弾性付勢部5224は、接触変位部5223に前記弾性力を付与することにより、接触変位部5223が基端部511から退避方向D2へ所定の上限圧力を超える押圧力を受けるまで接触変位部5223を前記基準位置に保持する。
【0071】
但し、複数枚の大サイズシート9aの荷重F1がシートストッパー51の末端部512に加わることによって基端部511から接触変位部5223へ前記上限圧力を超える力が作用すると、弾性付勢部5224が弾性変形する。これにより、接触変位部5223が前記基準位置から退避方向D2へ変位するとともに、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転する。
【0072】
規制部523は、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転したときに、シートストッパー51の一部に当接することによりシートストッパー51を基準平面F1に対して第2鋭角θ2を成す状態に保持する(図11参照)。第2鋭角θ2は、第1鋭角θ1よりも小さい。
【0073】
以上に示されるように、支持機構52Aは、シートストッパー51を前記起立状態で支持する場合に、シート積載面102c上に積載される大サイズシート9aの枚数の増大に応じて、シートストッパー51を基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位可能に支持する。
【0074】
即ち、支持機構52Aは、支持機構52と同様の機能を異なる構成によって実現する機構である。シートストップ機構5Aが採用される場合もシートストップ機構5が採用される場合と同様の効果が得られる。
【0075】
また、接触変位部5223および弾性付勢部5224が、弾性変形可能な一体の部材で構成されている。そのため、支持機構52Aは、支持機構52と同様にごく簡易な構成によって実現可能である。
【0076】
支持機構52Aにおいて、シート積載面102c上の大サイズシート9aが除去された場合、弾性付勢部5224が、自動的に元の形状に復帰する。これにより、接触変位部5223が、自動的にシートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に戻す。
【0077】
[第3実施形態]
次に、図12~14を参照しつつ、第3実施形態に係るシートストップ機構5Bについて説明する。シートストップ機構5Bは、画像形成装置10においてシートストップ機構5の代わりに採用される。
【0078】
図12~14において、図1~8に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0079】
以下、シートストップ機構5Bにおけるシートストップ機構5と異なる点について説明する。シートストップ機構5Bは、シートストップ機構5の支持機構52が支持機構52Bに置き換えられた構成を備える。
【0080】
支持機構52Bは、回転支持部521、弾性可動機構522Bおよび規制部523を備える。支持機構52Bの回転支持部521および規制部523は、支持機構52の回転支持部521および規制部523と同じである。
【0081】
弾性可動機構522Bは、シート積載面102cのトレイ凹部1020に設けられている。弾性可動機構522Bは、シートストッパー51が前記収納状態であるときに、シートストッパー51によって覆われる(不図示)。弾性可動機構522Bは、可動部材5225およびバネ5226を有する。
【0082】
可動部材5225は、トレイ凹部1020によってシートストッパー51の基端部511に向かう方向およびその反対方向へスライド移動可能に支持されている。バネ5226は、可動部材5225をシートストッパー51の基端部511へ向けて弾性付勢する。
【0083】
可動部材5225に力が加わることにより、バネ5226が弾性変形し、可動部材5225が所定の退避方向D2へ変位する(図13、14参照)。退避方向D2は、シートストッパー51の被支持部513から離れる方向である。
【0084】
可動部材5225は、シートストッパー51が前記起立状態であるときに、シートストッパー51の基端部511と接触する。これにより、可動部材5225は、シートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持する。
【0085】
以下の説明において、可動部材5225がシートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に保持するときの可動部材5225の位置を基準位置と称する。図13は、可動部材5225が前記基準位置に位置する状態を示す。
【0086】
バネ5226は、シートストッパー51の基端部511に接触する可動部材5225に対して弾性力を付与している。
【0087】
バネ5226は、可動部材5225に前記弾性力を付与することにより、可動部材5225が基端部511から退避方向D2へ所定の上限圧力を超える押圧力を受けるまで可動部材5225を前記基準位置に保持する。
【0088】
但し、複数枚の大サイズシート9aの荷重F1がシートストッパー51の末端部512に加わることによって基端部511から可動部材5225へ前記上限圧力を超える力が作用すると、バネ5226が弾性変形する。これにより、可動部材5225が前記基準位置から退避方向D2へ変位するとともに、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転する。
【0089】
規制部523は、シートストッパー51が基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ回転したときに、シートストッパー51の一部に当接することによりシートストッパー51を基準平面F1に対して第2鋭角θ2を成す状態に保持する(図14参照)。第2鋭角θ2は、第1鋭角θ1よりも小さい。
【0090】
なお、可動部材5225は、シートストッパー51の基端部511と接触する接触変位部の一例である。また、バネ5226は、前記弾性力によって可動部材5225を前記基準位置に保持する弾性付勢部の一例である。
【0091】
以上に示されるように、支持機構52Bは、シートストッパー51を前記起立状態で支持する場合に、シート積載面102c上に積載される大サイズシート9aの枚数の増大に応じて、シートストッパー51を基準平面F1に対して成す鋭角が小さくなる方向へ変位可能に支持する。
【0092】
支持機構52Bにおいて、シート積載面102c上の大サイズシート9aが除去された場合、バネ5226が、自動的に元の形状に復帰する。これにより、可動部材5225が、自動的にシートストッパー51を基準平面F1に対して第1鋭角θ1を成す状態に戻す。
【0093】
即ち、支持機構52Bは、支持機構52Aと同様の機能を異なる構成によって実現する機構である。シートストップ機構5Bが採用される場合もシートストップ機構5Aが採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0094】
1 :主筐体
2 :シート収容部
3 :シート搬送装置
4 :プリント装置
5 :シートストップ機構
5A :シートストップ機構
5B :シートストップ機構
9 :シート
9a :大サイズシート
10 :画像形成装置
30 :シート搬送路
31 :搬送ローラー対
31a :排出ローラー対
40 :レーザー走査ユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
45 :クリーニング装置
46 :定着装置
51 :シートストッパー
52 :支持機構
52A :支持機構
52B :支持機構
100 :下ユニット
101 :シート排出口
102 :排出トレイ
102a :第1端部
102b :第2端部
102c :シート積載面
200 :上ユニット
201 :画像読取装置
202 :操作部
300 :連結部
511 :基端部
512 :末端部
513 :被支持部
521 :回転支持部
522 :リブ
522A :弾性支持片(弾性支持部)
522B :弾性可動機構
523 :規制部
1020 :トレイ凹部
5221 :摩擦付与部
5223 :接触変位部
5224 :弾性付勢部
5225 :可動部材(接触変位部)
5226 :バネ(弾性付勢部)
D1 :シート排出方向
D2 :退避方向
F1 :基準平面
θ1 :第1鋭角
θ2 :第2鋭角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14