(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B60C11/03 100C
B60C11/03 C
(21)【出願番号】P 2019187991
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 博毅
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011981(JP,A)
【文献】特開2005-319890(JP,A)
【文献】特開2014-065436(JP,A)
【文献】特開2001-225616(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161296(WO,A1)
【文献】特開2019-051862(JP,A)
【文献】特開2013-173394(JP,A)
【文献】特開2015-131603(JP,A)
【文献】特開2009-101785(JP,A)
【文献】特開2016-20111(JP,A)
【文献】特開2014-231271(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104773036(CN,A)
【文献】特開2018-176957(JP,A)
【文献】特開2015-48048(JP,A)
【文献】特開2015-160605(JP,A)
【文献】特許第4145346(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる2本の周方向溝と、前記2本の周方向溝に区分された3つの陸部で構成され、
前記3つの陸部は、タイヤ赤道上に配されたクラウン陸部と、トレッド接地端を含む2つのショルダー陸部とを含み、
前記ショルダー陸部の少なくとも一方は、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びる複数の主傾斜溝及び複数の副傾斜溝を含み、
前記主傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端と、前記トレッド接地端のタイヤ軸方向外側に配されたタイヤ軸方向の外端とを有し、
前記副傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端及び外端を有し、
前記周方向溝は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも長く、かつ前記第1傾斜部とは逆向き傾斜する第2傾斜部とを含む、
タイヤ。
【請求項2】
タイヤ周方向で隣り合う前記主傾斜溝の間には、溝として1本の前記副傾斜溝のみが設けられている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅は、前記クラウン陸部のタイヤ軸方向の幅の1.3~1.9倍である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記主傾斜溝は、前記第1傾斜部と同じ向きに傾斜している、
請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記周方向溝の溝中心線のジグザグ振幅は、前記周方向溝の溝幅よりも小さい、請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
前記副傾斜溝の前記内端は、前記主傾斜溝の前記内端よりもタイヤ軸方向外側に位置している、請求項1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項7】
前記主傾斜溝は、前記内端側の急傾斜部と、前記外端側の緩傾斜部とを含み、
前記緩傾斜部のタイヤ軸方向に対する角度は、前記急傾斜部のタイヤ軸方向に対する角度よりも小さい、請求項1ないし6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
タイヤ子午線断面において、
前記2つのショルダー陸部は、それぞれ、一方の前記トレッド接地端から他方の前記トレッド接地端まで延びる円弧状の仮想トレッドプロファイルの一部を構成し、
前記クラウン陸部は、前記仮想トレッドプロファイルよりもタイヤ半径方向外側に突出した第1部分を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項9】
前記クラウン陸部は、前記仮想トレッドプロファイルよりもタイヤ半径方向内側に凹んだ第2部分を含む、請求項8に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記第1部分の突出量は、前記第2部分の凹み量よりも大きい、請求項9に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスを含み、
前記カーカスは、タイヤ周方向に対して72~84°の角度で配された複数のカーカスコードを含む、請求項1ないし10のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項12】
前記トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記ビード部に配されたビード補強コード層とを含み、
前記カーカスは、前記ビードコアで折り返された折返し部を含み、
前記ビード補強コード層のタイヤ半径方向の外端は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置している、請求項1ないし11のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項13】
前記ビード補強コード層のタイヤ半径方向の内端は、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に位置している、請求項12に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記ビード補強コード層は、複数のスチールコードを含む、請求項12又は13に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記トレッド部には、内部にトレッド補強コード層が設けられ、
前記トレッド補強コード層は、2枚のバンドプライからなるバンド層を含み、
前記バンドプライは、タイヤ周方向に対して5°以下の角度で巻回されたバンドコードを含む、請求項1ないし14のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、溝の配置を改善することにより、ウェット性能を確保しながら操縦安定性を向上させたタイヤが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の高性能化に伴い、より優れた操縦安定性がタイヤに要求されている。一方、溝の配置によっては、操縦安定性の向上に伴い、ウェット性能が損なわれる場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ウェット性能を維持しつつ優れた操縦安定性を発揮し得るタイヤを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる2本の周方向溝と、前記2本の周方向溝に区分された3つの陸部で構成され、前記3つの陸部は、タイヤ赤道上に配されたクラウン陸部と、トレッド接地端を含む2つのショルダー陸部とを含み、前記ショルダー陸部の少なくとも一方は、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びる複数の主傾斜溝及び複数の副傾斜溝を含み、前記主傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端と、前記トレッド接地端のタイヤ軸方向外側に配されたタイヤ軸方向の外端とを有し、前記副傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端及び外端を有する。
【0007】
本発明のタイヤにおいて、前記周方向溝の溝中心線のジグザグ振幅は、前記周方向溝の溝幅よりも小さいのが望ましい。
【0008】
本発明のタイヤにおいて、前記周方向溝は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも長く、かつ前記第1傾斜部とは逆向き傾斜する第2傾斜部とを含むのが望ましい。
【0009】
本発明のタイヤにおいて、前記周方向溝は、第1傾斜部と、前記第1傾斜部よりも長く、かつ前記第1傾斜部とは逆向き傾斜する第2傾斜部とを含み、前記主傾斜溝は、前記第1傾斜部と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。
【0010】
本発明のタイヤにおいて、前記副傾斜溝の前記内端は、前記主傾斜溝の前記内端よりもタイヤ軸方向外側に位置しているのが望ましい。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、タイヤ周方向で隣り合う前記主傾斜溝の間には、溝として1本の前記副傾斜溝のみが設けられているのが望ましい。
【0012】
本発明のタイヤにおいて、前記主傾斜溝は、前記内端側の急傾斜部と、前記外端側の緩傾斜部とを含み、前記緩傾斜部のタイヤ軸方向に対する角度は、前記急傾斜部のタイヤ軸方向に対する角度よりも小さいのが望ましい。
【0013】
本発明のタイヤにおいて、前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅は、前記クラウン陸部のタイヤ軸方向の幅の1.3~1.9倍であるのが望ましい。
【0014】
本発明のタイヤのタイヤ子午線断面において、前記2つのショルダー陸部は、それぞれ、一方の前記トレッド接地端から他方の前記トレッド接地端まで延びる円弧状の仮想トレッドプロファイルの一部を構成し、前記クラウン陸部は、前記仮想トレッドプロファイルよりもタイヤ半径方向外側に突出した第1部分を含むのが望ましい。
【0015】
本発明のタイヤにおいて、前記クラウン陸部は、前記仮想トレッドプロファイルよりもタイヤ半径方向内側に凹んだ第2部分を含むのが望ましい。
【0016】
本発明のタイヤにおいて、前記第1部分の突出量は、前記第2部分の凹み量よりも大きいのが望ましい。
【0017】
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスを含み、前記カーカスは、タイヤ周方向に対して72~84°の角度で配された複数のカーカスコードを含むのが望ましい。
【0018】
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記ビード部に配されたビード補強コード層とを含み、前記カーカスは、前記ビードコアで折り返された折返し部を含み、前記ビード補強コード層のタイヤ半径方向の外端は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向内側に位置しているのが望ましい。
【0019】
本発明のタイヤにおいて、前記ビード補強コード層のタイヤ半径方向の内端は、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に位置しているのが望ましい。
【0020】
本発明のタイヤにおいて、前記ビード補強コード層は、複数のスチールコードを含むのが望ましい。
【0021】
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部には、内部にトレッド補強コード層が設けられ、前記トレッド補強コード層は、2枚のバンドプライからなるバンド層を含み、前記バンドプライは、タイヤ周方向に対して5°以下の角度で巻回されたバンドコードを含むのが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のタイヤのトレッド部は、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる2本の周方向溝と、前記2本の周方向溝に区分された3つの陸部で構成されている。前記2本の周方向溝は、タイヤ赤道付近で優れた排水性を発揮する。また、ジグザグ状に延びる周方向溝は、そのエッジによって直進走行時、トラクションを向上させる。
【0023】
前記3つの陸部は、タイヤ赤道上に配されたクラウン陸部と、トレッド接地端を含む2つのショルダー陸部とを含む。前記ショルダー陸部の少なくとも一方は、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びる複数の主傾斜溝及び複数の副傾斜溝を含む。
【0024】
前記主傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端と、前記トレッド接地端のタイヤ軸方向外側に配されたタイヤ軸方向の外端とを有する。前記内端を有する主傾斜溝は、前記周方向溝周辺の剛性を維持し、操縦安定性を高める。また、前記主傾斜溝は、ウェット走行時に内部の水をトレッド接地端の外側に案内でき、ウェット性能を高めるのに役立つ。
【0025】
前記副傾斜溝は、前記ショルダー陸部内で途切れるタイヤ軸方向の内端及び外端を有する。このような副傾斜溝は、前記ショルダー陸部の剛性を維持しつつ、前記主傾斜溝の排水性を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。
【
図3】(a)及び(b)は、他の実施形態の2本の周方向溝の拡大図である。
【
図5】
図1のクラウン陸部及びショルダー陸部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤであって、サーキット走行専用の高性能タイヤである。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、公道走行用のタイヤや、公道走行を可能としつつサーキットでの性能を重視したスポーツタイヤでも良い。
【0028】
本実施形態のタイヤ1は、例えば、回転方向Rが指定された方向性パターンを具えている。回転方向Rは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。
【0029】
タイヤ1のトレッド部2は、タイヤ赤道Cの両側でタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる2本の周方向溝3と、2本の周方向溝3に区分された3つの陸部4で構成されている。2本の周方向溝3は、タイヤ赤道C付近で優れた排水性を発揮する。また、ジグザグ状に延びる周方向溝3は、そのエッジによって直進走行時、トラクションを向上させる。
【0030】
3つの陸部4は、タイヤ赤道C上に配されたクラウン陸部5と、トレッド接地端Teを含む2つのショルダー陸部6とを含む。
【0031】
トレッド接地端Teは、空気入りタイヤの場合、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
【0032】
正規状態とは、タイヤ1が正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。
【0033】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0034】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0035】
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
【0036】
ショルダー陸部6の少なくとも一方は、タイヤ軸方向に対して傾斜して延びる複数の主傾斜溝10及び複数の副傾斜溝20を含む。本実施形態では、2つのショルダー陸部6の両方に、主傾斜溝10及び副傾斜溝20が設けられている。
【0037】
主傾斜溝10は、ショルダー陸部6内で途切れるタイヤ軸方向の内端10iと、トレッド接地端Teのタイヤ軸方向外側に配されたタイヤ軸方向の外端10oとを有する。前記内端10iを有する主傾斜溝10は、周方向溝3周辺の剛性を維持し、操縦安定性を高める。また、主傾斜溝10は、ウェット走行時に内部の水をトレッド接地端Teの外側に案内でき、ウェット性能を高めるのに役立つ。
【0038】
副傾斜溝20は、ショルダー陸部6内で途切れるタイヤ軸方向の内端20i及び外端20oを有する。このような副傾斜溝20は、ショルダー陸部6の剛性を維持しつつ、主傾斜溝10の排水性を補うことができる。
【0039】
以下、本実施形態の各構成が詳細に説明される。タイヤ赤道Cから周方向溝3の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L1は、例えば、トレッド幅TWの10%~20%である。これにより、クラウン陸部5のタイヤ軸方向の幅W1は、例えば、トレッド幅TWの20%~30%である。ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2は、例えば、トレッド幅TWの30%~40%である。また、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2は、クラウン陸部5のタイヤ軸方向の幅W1の1.3~1.9倍であるのが望ましい。このようなトレッド部2は、クラウン陸部5の幅が確保され、優れた操縦安定性を発揮できる。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではない。なお、トレッド幅TWは、前記正規状態における一方のトレッド接地端Teから他方のトレッド接地端Teまでのタイヤ軸方向の距離である。
【0040】
周方向溝3の溝幅W3は、例えば、トレッド幅TWの5.0%~8.0%である。また、周方向溝3の溝幅W3は、例えば、クラウン陸部5の幅W1の20%~40%である。このような周方向溝3は、ウェット性能と操縦安定性とをバランス良く高めるのに役立つ。
【0041】
図2には、2本の周方向溝3の拡大図が示されている。なお、理解し易いように、
図2において周方向溝3は着色されている。
図2に示されるように、2本の周方向溝3は、ジグザグの位相をタイヤ周方向にずらして配されている。また、2本の周方向溝3は、前記位相を揃えれば、タイヤ赤道Cに対して互いに線対称となっている。2本の周方向溝3の位相差P2は、例えば、周方向溝3のジグザグのピッチP1の25%~40%である。
【0042】
本実施形態の周方向溝3は、例えば、両側のエッジが互いに平行にジグザグ状に延びている。但し、本発明の周方向溝3は、溝中心線がジグザグ状に延びれば良い。このため、
図3(a)に示される他の実施形態の様に、クラウン陸部5側のエッジ3aが直線状に延び、ショルダー陸部6側のエッジ3bがジグザグ状に延びるものでも良い。また、
図3(b)に示される他の実施形態の様に、クラウン陸部5側のエッジ3aがジグザグ状に延び、ショルダー陸部6側のエッジ3bが直線状に延びるものでも良い。
【0043】
図2に示されるように、周方向溝3の溝中心線のタイヤ軸方向のジグザグ振幅A1は、周方向溝3の溝幅W3よりも小さいのが望ましい。前記ジグザグ振幅A1は、例えば、周方向溝3の溝幅W3の25%~40%である。このような周方向溝3は、耐摩耗性能を維持しつつ、上述の効果を発揮できる。
【0044】
周方向溝3は、第1傾斜部7と、第1傾斜部7よりも長く、かつ第1傾斜部7とは逆向き傾斜する第2傾斜部8とを含む。第1傾斜部7及び第2傾斜部8は、それぞれ、直線状に延びる2本のエッジで構成されている。第1傾斜部7は、例えば、タイヤの回転方向Rの後着側に向かってトレッド接地端Te側に傾斜している。第2傾斜部8は、例えば、タイヤの回転方向Rの後着側に向かって、タイヤ赤道C側に傾斜している。これにより、ウェット走行時、タイヤの回転によって周方向溝3内の水がタイヤ後方に排出されるとき、第1傾斜部7によって前記水がトレッド接地端Te側に案内され易くなる。したがって、上述の傾斜の向きによって、周方向溝3の排水性が向上し得る。
【0045】
第1傾斜部7のエッジのタイヤ周方向の長さL2は、クラウン陸部5の幅W1(
図1に示され、以下、同様である。)の10%以下であるのが望ましい。また、第1傾斜部7のエッジのタイヤ周方向の長さL2は、周方向溝3の溝幅W3の15%~30%であるのが望ましい。
【0046】
第1傾斜部7のエッジのタイヤ軸方向の長さL3は、前記エッジのタイヤ周方向の長さの1.3~3.0倍であるのが望ましい。このような第1傾斜部7は、周方向溝3の排水性を維持しつつ、そのエッジによってトラクションを高めることができる。
【0047】
第1傾斜部7の一方のエッジの第2傾斜部8のエッジとの交点7aと、第1傾斜部7の他方のエッジの第2傾斜部8のエッジとの交点7bとは、タイヤ周方向に位置ずれしているのが望ましい。前記交点間のタイヤ周方向の位置ずれ量L4は、例えば、第1傾斜部7のエッジのタイヤ周方向の長さL2の80%~150%であるのが望ましい。
【0048】
第1傾斜部7の溝中心線のタイヤ周方向に対する角度θ1は、例えば、20~40°である。このような第1傾斜部7は、ウェット性能と操縦安定性とをバランス良く高めるのに役立つ。
【0049】
第2傾斜部8のエッジのタイヤ周方向の長さL5は、例えば、第1傾斜部7のエッジのタイヤ周方向の長さL2の4倍以上であり、望ましくは10~15倍である。
【0050】
第2傾斜部8の溝中心線のタイヤ周方向に対する角度θ2は、第1傾斜部7の前記角度θ1よりも小さいのが望ましい。第2傾斜部8の前記角度θ2は、0°より大きく、例えば、3~10°である。このような第2傾斜部8は、周方向溝3の排水性を維持するのに役立つ。
【0051】
図4には、ショルダー陸部6の拡大図が示されている。
図4に示されるように、主傾斜溝10は、例えば、ショルダー陸部6の踏面のタイヤ軸方向の中心位置を横切っている。主傾斜溝10の内端10iから周方向溝3までのタイヤ軸方向の距離L6は、例えば、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2の10%~20%である。前記距離L6は、例えば、周方向溝3の溝幅W3(
図2に示され、以下、同様である。)よりも小さいのが望ましい。また、前記距離L6は、周方向溝3の溝中心線のタイヤ軸方向のジグザグ振幅A1(
図2に示す)よりも大きいのが望ましい。
【0052】
主傾斜溝10の外端10oからトレッド接地端Teまでのタイヤ軸方向の距離L7は、例えば、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2の15%~30%である。望ましい態様として、本実施形態では、前記距離L7は、前記距離L6よりも大きい。これにより、ウェット走行時、主傾斜溝10内の水が、トレッド接地端Te側に案内され易くなる。
【0053】
本実施形態の主傾斜溝10は、周方向溝3の第1傾斜部7(
図2に示され、以下、同様である。)と同じ向きに傾斜している。このような主傾斜溝10は、ウェット走行時、第1傾斜部7とともに溝内の水をトレッド接地端Te側に案内する。
【0054】
主傾斜溝10は、例えば、溝中心線が滑らかに湾曲している。本実施形態の主傾斜溝10は、溝中心線がタイヤの回転方向Rの後着側に凸となる向きに曲がっている。また、主傾斜溝10は、内端10i側の急傾斜部11と、外端10o側の緩傾斜部12とを含む。
【0055】
急傾斜部11は、例えば、タイヤ軸方向に対して、主傾斜溝10の内端10i及び外端10oを直線で結んだ基準線13よりも大きい角度で傾斜している。急傾斜部11のタイヤ軸方向に対する角度θ3は、例えば、40~60°である。このような急傾斜部11は、ウェット走行時、内部の水を速やかにトレッド接地端Te側に案内できる。
【0056】
さらに望ましい態様では、急傾斜部11のタイヤ軸方向に対する角度θ3と、周方向溝3の第1傾斜部7のタイヤ軸方向に対する角度との差が、30°以下とされる。これにより、急傾斜部11及び第1傾斜部7が協働して優れた排水性が発揮される。
【0057】
急傾斜部11は、隣接する周方向溝3の第1傾斜部7をタイヤ軸方向に平行に延長した領域と重複しているのが望ましい。
【0058】
急傾斜部11の長さは、例えば、タイヤ周方向に並んだ主傾斜溝10の1ピッチ長さP3よりも小さい。急傾斜部11の長さは、前記1ピッチ長さP3の70%~85%であるのが望ましい。なお、急傾斜部11の長さは、主傾斜溝10の内端10iから急傾斜部11と緩傾斜部12との境界14までの溝中心線のペリフェリ長さである。また、前記境界14は、前記基準線13と平行となる接線が通る溝中心線上の点に相当する。
【0059】
緩傾斜部12は、タイヤ軸方向に対して、基準線13よりも小さい角度で傾斜している。緩傾斜部12の前記角度θ4は、急傾斜部11のタイヤ軸方向に対する角度θ3よりも小さい。緩傾斜部12の前記角度θ4は、例えば、5~15°である。このような緩傾斜部12は、主傾斜溝10の排水性を高め、かつ、トレッド接地端Te付近の耐摩耗性能を維持することができる。
【0060】
本実施形態では、緩傾斜部12がトレッド接地端Teを横切っている。緩傾斜部12の長さは、例えば、急傾斜部11の長さよりも小さい。緩傾斜部12の長さは、前記1ピッチ長さP3の25%~40%であるのが望ましい。なお、緩傾斜部12の長さは、主傾斜溝10の外端10oから前記境界14までの溝中心線のペリフェリ長さである。
【0061】
本実施形態の主傾斜溝10は、最大の溝幅W4を有する部分が、急傾斜部11に形成されている。前記溝幅W4は、例えば、周方向溝3の溝幅W3の70%~85%である。このような主傾斜溝10は、ウェット性能及び操縦安定性をバランス良く高めるのに役立つ。
【0062】
副傾斜溝20は、タイヤ周方向で隣り合う2本の主傾斜溝10の間に設けられている。本実施形態では、主傾斜溝10と副傾斜溝20とがタイヤ周方向に交互に設けられている。望ましい態様では、タイヤ周方向で隣り合う2本の主傾斜溝10の間には、溝として1本の副傾斜溝20のみが設けられている。さらに望ましい態様として、本実施形態において、タイヤ周方向で隣り合う2本の主傾斜溝10の間には、1本の副傾斜溝20のみが設けられ、これ以外の溝、サイプ及び凹部等の凹み要素が一切設けられていない。
【0063】
副傾斜溝20の内端20iは、例えば、主傾斜溝10の内端10iよりもタイヤ軸方向外側に位置している。これにより、副傾斜溝20の全体は、主傾斜溝10の急傾斜部11をタイヤ周方向に平行に延長した領域と重複する。このような副傾斜溝20は、周方向溝3周辺の耐摩耗性能を高めるのに役立つ。
【0064】
さらに望ましい態様では、副傾斜溝20は、第1傾斜部7をタイヤ軸方向に平行に延長した領域と重複しない。これにより、ショルダー陸部6の耐摩耗性能が向上する。
【0065】
副傾斜溝20の内端20iから周方向溝3までのタイヤ軸方向の距離L8は、例えば、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2の20%~35%である。副傾斜溝20の外端20oからトレッド接地端Teまでのタイヤ軸方向の距離L9は、前記距離L8よりも大きいのが望ましく、例えば、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の幅W2の30%~45%である。また、副傾斜溝20のタイヤ軸方向の長さL10は、例えば、ショルダー陸部6の幅W2の25%~35%である。このような副傾斜溝20は、ウェット走行時、ショルダー陸部6のタイヤ軸方向の中央部と路面との間に水膜が形成されるのを抑制できる。
【0066】
副傾斜溝20は、例えば、主傾斜溝10と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。副傾斜溝20の溝中心線のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、30~50°である。さらに望ましい態様では、副傾斜溝20の溝中心線と周方向溝3の第2傾斜部8の溝中心線との間の角度が、40~60°とされる。
【0067】
副傾斜溝20は、例えば、内端20iからタイヤ軸方向外側に向かって溝幅が漸増している。また、副傾斜溝20は、最大の溝幅を有する部分から外端20oに向かって溝幅が漸減している。副傾斜溝20の内端20iにおける2本のエッジ間の角度θ5は、例えば、20~30°である。副傾斜溝20の外端20oにおける2本のエッジ間の角度θ6は、前記角度θ5よりも大きいのが望ましく、例えば、30~40°である。このような副傾斜溝20は、ウェット走行時、内部の水をトレッド接地端Te側に案内し易く、優れた排水性を発揮する。
【0068】
図1に示されるように、クラウン陸部5には、溝及びサイプが設けられていないのが望ましい。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではない。
【0069】
図5には、クラウン陸部5及びショルダー陸部6の拡大断面図が示されている。なお、
図5では、各部の構成が理解され易いように、その特徴が強調して描かれており、
図5の各部の寸法の比率は実物と異なる。
図5に示されるように、タイヤ子午線断面において、2つのショルダー陸部6は、それぞれ、一方のトレッド接地端Teから他方のトレッド接地端Teまで延びる円弧状の仮想トレッドプロファイル23の一部を構成している。
【0070】
仮想トレッドプロファイル23は、例えば、一方のトレッド接地端Teを含む第1プロファイル23aと、他方のトレッド接地端Teを含む第2プロファイル23bと、これらの間の第3プロファイル23cとで構成されている。第1プロファイル23a及び第2プロファイル23bは、ショルダー陸部6のトレッド接地端Teを含む踏面のプロファイルに相当し、単一の曲率半径で構成されている。第3プロファイル23cは、第1プロファイル23a及び第2プロファイル23bに滑らかに連続し、これらの曲率半径と同一又は大きい曲率半径によって構成されている。
【0071】
クラウン陸部5は、仮想トレッドプロファイル23よりもタイヤ半径方向外側に突出した第1部分26を含む。このようなクラウン陸部5は、ウェット走行時、第1部分26が周方向溝3側に向かって水を押し退けるため、ハイドロプレーニング現象を効果的に抑制することができる。
【0072】
また、クラウン陸部5は、仮想トレッドプロファイル23よりもタイヤ半径方向内側に凹んだ第2部分27を含む。これにより、周方向溝3のジグザグ状のエッジに作用する接地圧が緩和され、耐摩耗性能が向上する。
【0073】
第1部分26の突出量L11は、例えば、クラウン陸部5の幅W1(
図1に示され、以下、同様である。)の0.3%~1.0%である。第2部分27の凹み量L12は、例えば、クラウン陸部5の幅W1の0.2%~0.6%である。より望ましい態様では、第1部分26の突出量L11は、第2部分27の凹み量L12よりも大きい。このようなクラウン陸部5は、ウェット性能及び耐摩耗性能をバランス良く向上させる。
【0074】
本実施形態のクラウン陸部5の踏面のプロファイルは、タイヤ半径方向外側に向かって凸の円弧状に湾曲している。但し、このような態様に限定されるものではなく、クラウン陸部5の踏面のプロファイルは、例えば、互いに逆向きに傾斜した2本の直線によってタイヤ半径方向外側に凸となるものでも良い。このようなクラウン陸部5は、例えば、サーキット走行時においてハイドロプレーニング現象をさらに効果的に抑制できる。
【0075】
ショルダー陸部6は、仮想トレッドプロファイル23よりもタイヤ半径方向内側に凹んだ凹み部28を含む。凹み部28は、周方向溝3の溝壁と連なっている。ショルダー陸部6の凹み部28の凹み量L13は、例えば、クラウン陸部5の幅W1の0.2%~0.6%である。これにより、周方向溝3のショルダー陸部6側のエッジの摩耗が抑制される。
【0076】
図6には、本実施形態のタイヤ1の子午線断面が示されている。
図6は、タイヤ赤道Cよりもタイヤ軸方向の一方側を示しており、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向の他方側は省略されている。
図6に示されるように、タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部31を経てビード部32のビードコア33に至るカーカス34と、トレッド部2に配されたトレッド補強コード層35を含む。
【0077】
カーカス34は、有機繊維コード等のカーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70~90゜の角度で配列した2枚のカーカスプライから形成される。カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度は、望ましくは72°以上、より望ましくは74°以上であり、望ましくは84°以下、より望ましくは80°以下である。これにより、タガ効果によってサイドウォール部31が高剛性化して縦バネ及び横バネが向上し、とりわけサーキットで優れた操縦安定性が発揮される。また、このようなカーカス34を含むタイヤは、内圧を従来よりも20~40kPa程度下げて使用できるため、トレッド部2の接地面積の増加が期待でき、優れたグリップ性能を発揮できる。
【0078】
カーカス34は、2つのビードコア33の間に跨る本体部36と、ビードコア33で折り返された折返し部37を含む。本実施形態では、一方のカーカスプライの端37aが折返し部37のタイヤ半径方向の外端を構成し、他方のカーカスプライの端37bが前記端37aよりもタイヤ半径方向内側に位置している。
【0079】
トレッド補強コード層35は、例えば、2枚のバンドプライからなるバンド層38を含む。バンドプライは、タイヤ周方向に対して5°以下の角度で巻回されたバンドコードを含む。このようなトレッド補強コード層35は、トレッド部2のタイヤ周方向の剛性を高めるのに役立つ。
【0080】
本実施形態では、カーカス34の本体部36に沿って延びるインスレーションゴム41が設けられているのが望ましい。インスレーションゴム41は、例えば、トレッド部2のタイヤ軸方向の端部からサイドウォール部31を経てビード部32に至る。本実施形態のインスレーションゴム41は、ビードエーペックスゴム39のタイヤ半径方向の中央部付近まで延びている。インスレーションゴム41は、トレッド部2の端部において、本体部36とトレッド補強コード層35との間に挟まれている。インスレーションゴム41は、サイドウォール部31又はビード部32において、本体部36と折返し部37との間に挟まれた部分と、本体部36とビードエーペックスゴム39との間に挟まれた部分を含む。このようなインスレーションゴム41は、サイドウォール部31の剛性を高めることができ、とりわけサーキットでの操縦安定性を高めることができる。
【0081】
インスレーションゴム41は、例えば、0.5~1.0mmの厚さを有している。インスレーションゴム41は、例えば、サイドウォール部31の外面を構成するゴムよりも高い複素弾性率を有しているのが望ましい。なお、複素弾性率は、JIS-K6394の規定に準じて、例えば、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用い、温度70℃、周波数10Hz、初期伸張歪10%、動歪の振幅±1%の条件で測定される。
【0082】
図7には、ビード部32の拡大図が示されている。
図7に示されるように、本実施形態のビード部32には、ビード補強コード層40が設けられている。本実施形態のビード補強コード層40は、例えば、ビードエーペックスゴム39とカーカス34の折返し部37との間に設けられている。ビード補強コード層40は、例えば、複数のスチールコードを含むのが望ましい。
【0083】
ビード補強コード層40のタイヤ半径方向の外端40oは、折返し部37のタイヤ半径方向の外端を構成する前記一方のカーカスプライの端37aよりもタイヤ半径方向内側に位置している。また、ビード補強コード層40のタイヤ半径方向の外端40oは、前記他方のカーカスプライの端37bよりもタイヤ半径方向外側に位置している。このようなビード補強コード層40は、ビード部32を効果的に補強することができる。
【0084】
ビード補強コード層40のタイヤ半径方向の内端40iは、ビードコア33のタイヤ半径方向外側に位置している。望ましい態様では、ビード補強コード層40の前記内端40iは、ビードコア33から離間しているのが望ましい。このようなビード補強コード層40は、ビード部32の横剛性を適度に緩和し、操舵時の手応えをリニアにすることができる。
【0085】
図6に示されるように、トレッド部2を構成するトレッドゴム2Gは、原料ゴム100重量部に対しスチレン・ブタジエンゴムを40~60重量部含むのが望ましい。また、トレッドゴム2Gは、原料ゴム100重量部に対しカーボンブラックを20~30重量部含むのが望ましい。また、トレッドゴム2Gは、原料ゴム100重量部に対しシリカを10~15重量部含むのが望ましい。このようなトレッドゴム2Gは、とりわけサーキットにおいて優れた操縦安定性及び耐摩耗性能を発揮する。
【0086】
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【実施例】
【0087】
図1の基本パターンを有するサイズ275/35R18の空気入りタイヤが試作された。比較例として、周方向溝が直線状に延びるタイヤが試作された。なお、比較例のタイヤは、上記の構成を除き、
図1に示されるパターンと実質的に同一である。各テストタイヤのウェット性能、操縦安定性及び耐摩耗性能がテストされた。テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:18×9.5J
タイヤ内圧:180kPa
テスト車両:排気量3700cc、後輪駆動車
タイヤ装着位置:全輪
【0088】
<ウェット性能>
上記テスト車両でウェット路面からなる周回コースを走行したときのウェット性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、ウェット性能が優れていることを示す。
【0089】
<操縦安定性>
上記テスト車両でドライ路面の周回コースを走行したときの操縦安定性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性が優れていることを示す。
【0090】
<耐摩耗性能>
上記テスト車両で一定距離走行した後、周方向溝の残り深さが測定された。結果は、比較例の前記周方向溝の残り深さを100とする指数であり、数値が大きい程、耐摩耗性能が優れていることを示す。
テスト結果が表1に示される。
【0091】
【0092】
テストの結果、実施例のタイヤは、ウェット性能を維持しつつ優れた操縦安定性を発揮していることが確認できた。また、実施例のタイヤは、耐摩耗性能も維持されていることが確認できた。
【符号の説明】
【0093】
2 トレッド部
3 周方向溝
5 クラウン陸部
6 ショルダー陸部
10 主傾斜溝
10i 内端
10o 外端
20 副傾斜溝
20i 内端
20o 外端