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特許7434796駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B60W30/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019188396
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062753
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 明寛
(72)【発明者】
【氏名】立花 裕之
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 博紀
(72)【発明者】
【氏名】清川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友一
(72)【発明者】
【氏名】友澤 元克
(72)【発明者】
【氏名】小▲瀬▼垣 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 和磨
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176244(JP,A)
【文献】特開2019-171938(JP,A)
【文献】特許第4185957(JP,B2)
【文献】特開2019-073191(JP,A)
【文献】特開2004-338636(JP,A)
【文献】特開2004-352110(JP,A)
【文献】特開2018-39293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて前記車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために前記車両が到達すべき目標位置を取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記目標位置と、前記センサの検出結果と、に基づいて、前記目標位置に到達するまでに前記車両が辿るべき駐車経路を算出し、前記駐車経路に沿った前記車両の移動および前記目標位置での前記車両の駐車の支援を提供する支援部と、
を備え、
前記取得部は、
前記支援部により提供される前記支援の開始時に、前記センサが検出した前記車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、前記車両を駐車させる駐車領域と、前記駐車領域内に前記車両を駐車させたときに前記車両が到達すべき位置である前記目標位置とを特定し、
前記支援部により提供される前記支援のもとで前記駐車経路に沿って前記車両が旋回をしながら前記目標位置に近づくように移動している場合に、前記センサにより検出された前記オブジェクトと、前記車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される前記目標位置を複数回取得し、
前記支援部は、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の内側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、前記旋回の内側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新し、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の外側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の外側への変動レベルが前記第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、前記旋回の外側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記支援部は、
記駐車領域に進入する手前の領域であって、前記駐車領域において前記車両が進入する側に一端が接し、前記駐車領域から離れる方向の所定位置であって、前記車両が前記駐車経路に沿って旋回をしながら前記目標位置に近づくように移動を開始する位置より手前側に他端が位置する所定領域を前記駐車経路に沿って前記車両が移動している場合であって、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の内側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の内側への前記変動レベルが前記第1レベルを超えると、前記旋回の内側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新し、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の外側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の外側への前記変動レベルが前記第2レベルを超えると、前記旋回の外側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記支援部は、
前記駐車経路に沿って前記車両が前記所定領域に進入する前であって前記車両が前記目標位置まで所定距離離れた位置にある場合、及び前記駐車経路に沿って前記車両が前記所定領域から進出した後であって前記旋回を終えた前記車両の進行方向が前記駐車領域の奥行方向に沿った状態となった場合においては、前記目標位置の前記旋回の内側または外側への前記変動レベルが、少なくとも前記第1レベルよりも大きい第3レベルを超えると、変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記第3レベルは、前記第レベルと等しい、
請求項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記支援部は、
前記支援部により提供される前記支援の最初期に前記駐車経路に沿って前記車両が後ろ向きで旋回をしながら前記目標位置に近づくように移動している場合であって、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、前記旋回を行う前記車両の横滑りによって、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の内側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の内側への前記変動レベルが前記第1レベルを超えると、前記旋回の内側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新し、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、前記旋回を行う前記車両の横滑りによって、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の外側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の外側への前記変動レベルが前記第2レベルを超えると、前記旋回の外側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
請求項1~のうちいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
車両の駐車支援を行う駐車支援装置が実施する駐車支援方法であって、
前記駐車支援装置の取得部により、前記車両に搭載されて前記車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために前記車両が到達すべき目標位置を取得する取得ステップと、
前記駐車支援装置の支援部により、前記取得ステップにより取得される前記目標位置と、前記センサの検出結果と、に基づいて、前記目標位置に到達するまでに前記車両が辿るべき駐車経路を算出し、前記駐車経路に沿った前記車両の移動および前記目標位置での前記車両の駐車の支援を提供する支援ステップと、
を備え、
前記取得ステップでは、
前記支援ステップにより提供される前記支援の開始時に、前記センサが検出した前記車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、前記車両を駐車させる駐車領域と、前記駐車領域内に前記車両を駐車させたときに前記車両が到達すべき位置である前記目標位置とを特定し、
前記支援ステップにより提供される前記支援のもとで前記駐車経路に沿って前記車両が旋回をしながら前記目標位置に近づくように移動している場合に、前記取得部により、前記センサにより検出された前記車両の周囲のオブジェクトと、前記車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される前記目標位置を複数回取得し、
前記支援ステップは、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の内側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、前記支援部により、前記旋回の内側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新し、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の外側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の外側への変動レベルが前記第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、前記支援部により、前記旋回の外側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
駐車支援方法。
【請求項7】
車両に搭載されて前記車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために前記車両が到達すべき目標位置を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得される前記目標位置と、前記センサの検出結果と、に基づいて、前記目標位置に到達するまでに前記車両が辿るべき駐車経路を算出し、前記駐車経路に沿った前記車両の移動および前記目標位置での前記車両の駐車の支援を提供する支援ステップと、
をコンピュータに実行させるための駐車支援プログラムであって、
前記取得ステップでは、
前記支援ステップにより提供される前記支援の開始時に、前記センサが検出した前記車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、前記車両を駐車させる駐車領域と、前記駐車領域内に前記車両を駐車させたときに前記車両が到達すべき位置である前記目標位置とを特定し、
前記支援ステップにより提供される前記支援のもとで前記駐車経路に沿って前記車両が旋回をしながら前記目標位置に近づくように移動している場合に、前記センサにより検出された前記車両の周囲のオブジェクトと、前記車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される前記目標位置を複数回取得し、
前記支援ステップは、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の内側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、前記旋回の内側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新し、
前記オブジェクトと前記車両との相対位置に基づいて特定される前記目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された前記目標位置に対して前記旋回の外側へと変動した場合に、前記目標位置の前記旋回の外側への変動レベルが前記第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、前記旋回の外側へと変動した前記目標位置に前記車両が到達するよう前記駐車経路を更新する、
駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両が到達すべき目標位置を取得し、当該目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両が辿るべき駐車経路を算出し、当該駐車経路に沿った車両の移動および目標位置での車両の駐車の支援を提供する技術について従来から検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-176909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の技術では、目標位置の変化に応じて駐車経路を修正する必要がある。しかしながら、目標位置が少しでも変化したら必ず駐車経路を修正する、といった構成を採用すると、非効率的な駐車経路が算出される場合がある。たとえば、車両が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合、目標位置が旋回の外側にある程度変化した後に旋回の内側に変化すると、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない場合がありうる。この場合、切り返しのための駐車経路をさらに算出することが必要となるので、非効率的である。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、効率的な駐車経路を算出することが可能な駐車支援装置、駐車支援方法、および駐車支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての駐車支援装置は、車両に搭載されて車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両が到達すべき目標位置を取得する取得部と、取得部により取得される目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両が辿るべき駐車経路を算出し、駐車経路に沿った車両の移動および目標位置での車両の駐車の支援を提供する支援部と、を備え、取得部は、支援部により提供される支援の開始時に、センサが検出した車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、車両を駐車させる駐車領域と、駐車領域内に車両を駐車させたときに車両が到達すべき位置である目標位置とを特定し、支援部により提供される支援のもとで駐車経路に沿って車両が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、センサにより検出された車両の周囲のオブジェクトと、車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される目標位置を複数回取得し、支援部は、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の内側へと変動した場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、旋回の内側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新し、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の外側へと変動した場合に、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、旋回の外側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。
【0007】
上述した駐車支援装置によれば、車両の旋回の外側に目標位置が変動しすぎることに起因して、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができないように駐車経路が更新されるのを抑制することができる。したがって、効率的な駐車経路を算出することができる。
【0008】
上述した駐車支援装置において、支援部は、目標位置に基づいて特定される車両の駐車領域に進入する手前の領域であって、駐車領域において車両が進入する側に一端が接し、駐車領域から離れる方向の所定位置であって、車両が駐車経路に沿って旋回をしながら目標位置に近づくように移動を開始する位置より手前側に他端が位置する所定領域を駐車経路に沿って車両が移動している場合であって、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の内側へと変動した場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、旋回の内側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新し、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の外側へと変動した場合に、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第2レベルを超えると、旋回の外側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない状況が発生しやすい所定領域を車両が移動している場合に、駐車経路を更新するか否かの基準を適切に調整することができる。
【0010】
また、上述した駐車支援装置において、支援部は、駐車経路に沿って車両が所定領域に進入する前であって車両が目標位置まで所定距離離れた位置にある場合、及び駐車経路に沿って車両が所定領域から進出した後であって旋回を終えた車両の進行方向が駐車領域の奥行方向に沿った状態となった場合においては、目標位置の旋回の内側または外側への変動レベルが、少なくとも第1レベルよりも大きい第3レベルを超えると、変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合は、旋回の内側への目標位置の変動と旋回の外側への目標位置の変動とを同程度に考慮して、駐車経路をバランスよく更新することができる。
【0011】
また、上述した駐車支援装置において、第3レベルは、第レベルと等しい。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合における駐車経路の更新されやすさを、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合における旋回の内側への駐車経路の更新されやすさと同程度に設定することができる。
【0012】
また、上述した駐車支援装置において、支援部は、支援部により提供される支援の最初期に駐車経路に沿って車両が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合であって、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、旋回を行う車両の横滑りによって、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の内側へと変動した場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、旋回の内側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新し、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、旋回を行う車両の横滑りによって、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の外側へと変動した場合に、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第2レベルを超えると、旋回の外側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができない状況が特に発生しやすい支援の最初期に、駐車経路を更新するか否かの基準を適切に調整することができる。
【0013】
本開示の他の一例としての駐車支援方法は、車両の駐車支援を行う駐車支援装置が実施する駐車支援方法であって、駐車支援装置の取得部により、車両に搭載されて車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両が到達すべき目標位置を取得する取得ステップと、駐車支援装置の支援部により、取得ステップにより取得される目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両が辿るべき駐車経路を算出し、駐車経路に沿った車両の移動および目標位置での車両の駐車の支援を提供する支援ステップと、を備え、取得ステップでは、支援ステップにより提供される支援の開始時に、センサが検出した車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、車両を駐車させる駐車領域と、駐車領域内に車両を駐車させたときに車両が到達すべき位置である目標位置とを特定し、支援ステップにより提供される支援のもとで駐車経路に沿って車両が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、取得部により、センサにより検出された車両の周囲のオブジェクトと、車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される目標位置を複数回取得し、支援ステップは、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の内側へと変動した場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、支援部により、旋回の内側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新し、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の外側へと変動した場合に、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、支援部により、旋回の外側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。
【0014】
上述した駐車支援方法によれば、車両の旋回の外側に目標位置が変動しすぎることに起因して、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができないように駐車経路が更新されるのを抑制することができる。したがって、効率的な駐車経路を算出することができる。
【0015】
本開示のさらに他の一例としての駐車支援プログラムは、車両に搭載されて車両の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両が到達すべき目標位置を取得する取得ステップと、取得ステップにより取得される目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両が辿るべき駐車経路を算出し、駐車経路に沿った車両の移動および目標位置での車両の駐車の支援を提供する支援ステップと、をコンピュータに実行させるための駐車支援プログラムであって、取得ステップでは、支援ステップにより提供される支援の開始時に、センサが検出した車両の周辺のオブジェクトの位置に基づいて、車両を駐車させる駐車領域と、駐車領域内に車両を駐車させたときに車両が到達すべき位置である目標位置とを特定し、支援ステップにより提供される支援のもとで駐車経路に沿って車両が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、センサにより検出された車両の周囲のオブジェクトと、車両との、その時々の相対位置に基づいて特定される目標位置を複数回取得し、支援ステップは、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の内側へと変動した場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えると、旋回の内側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新し、オブジェクトと車両との相対位置に基づいて特定される目標位置が、該目標位置の1つ前に取得された目標位置に対して旋回の外側へと変動した場合に、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えると、旋回の外側へと変動した目標位置に車両が到達するよう駐車経路を更新する。
【0016】
上述した駐車支援プログラムによれば、車両の旋回の外側に目標位置が変動しすぎることに起因して、最大舵角で旋回したとしても車両が目標位置に到達することができないように駐車経路が更新されるのを抑制することができる。したがって、効率的な駐車経路を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態にかかる車両の車室内の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態にかかる車両を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、実施形態の車両のダッシュボードの構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図4図4は、実施形態にかかる車両のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図5図5は、実施形態にかかる駐車支援を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図6図6は、実施形態にかかる駐車支援装置の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図7図7は、実施形態にかかる駐車支援において考慮される所定領域を示した例示的かつ模式的な図である。
図8図8は、実施形態にかかる駐車支援装置が駐車支援の提供を開始するにあたり実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図9図9は、実施形態にかかる駐車支援装置が駐車支援の提供の開始後に実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図10図10は、実施形態の変形例にかかる駐車支援を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0019】
<実施形態>
まず、図1図3を用いて、実施形態にかかる車両1の外観的な構成について説明する。
【0020】
なお、実施形態において、車両1は、例えば、内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車などであってもよい。また、車両1は、内燃機関および電動機の両方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。
【0021】
また、実施形態において、車両1の駆動に関わる装置の方式、数、およびレイアウトなどは、種々に設定することができる。
【0022】
図1は、実施形態にかかる車両1の車室2a内の構成を示した例示的かつ模式的な図である。また、図2は、実施形態にかかる車両1を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。また、図3は、実施形態の車両1のダッシュボード26の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
【0023】
図1および図3に示されるように、実施形態にかかる車両1は、ユーザとしての運転者を含む乗員が乗車する車室2aを有している。車室2a内には、運転者が運転席2bから操作可能な状態で、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、および変速操作部7などが設けられている。
【0024】
操舵部4は、たとえば、ダッシュボード(インストルメントパネル)26から突出したステアリングホイールとして構成され、加速操作部5は、たとえば、運転者の足下に設けられたアクセルペダルとして構成される。また、制動操作部6は、たとえば、運転者の足下に設けられたブレーキペダルとして構成され、変速操作部7は、たとえば、センターコンソールから突出したシフトレバーとして構成される。なお、操舵部4、加速操作部、制動操作部6、および変速操作部7の構成は、ここで例示された構成に限定されるものではない。
【0025】
また、車室2a内には、各種の画像を出力可能な表示装置8と、各種の音を出力可能な音声出力装置9と、を有するモニタ装置11が設けられている。モニタ装置11は、たとえば、車室2a内のダッシュボード26の幅方向(左右方向)の中央部に設けられる。なお、表示装置8は、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)またはOELD(有機エレクトロルミネセンスディスプレイ)などとして構成され、音声出力装置9は、たとえばスピーカとして構成される。
【0026】
ここで、表示装置8において画像が表示される領域としての表示画面には、操作入力部10が設けられている。操作入力部10は、たとえば、指やスタイラスなどの指示体が近接(接触を含む)した位置の座標を検出可能なタッチパネルとして構成されている。これにより、ユーザ(運転者)は、表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができるとともに、操作入力部10上で指示体を用いたタッチ(タップ)操作などを行うことで、各種の操作入力を実行することができる。
【0027】
なお、実施形態では、操作入力部10が、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタンなどといった、各種の物理的なインターフェースとして構成されてもよい。また、実施形態では、車室2a内におけるモニタ装置11の位置とは異なる位置に、他の音声出力装置が設けられていてもよい。この場合、音声出力装置9および他の音声出力装置の両方から、各種の音情報を出力することができる。また、実施形態では、モニタ装置11が、ナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの各種システムに関する情報を表示可能に構成されていてもよい。
【0028】
また、図3に示されるように、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12と、操作部13と、が設けられている。表示装置12は、ダッシュボード26の計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に設けられており、操作部13は、ダッシュボード26の運転席2b側の端部近傍に設けられている。表示装置12は、車両1の駐車動作の支援(詳細は後述する)に関する情報などを表示可能なLCDまたはOELDなどとして構成される。また、操作部13は、車両1に対する運転者の操作を受け付け可能な押しボタンまたはスイッチなどとして構成される。
【0029】
また、図1および図2に示されるように、実施形態にかかる車両1は、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rと、を有した四輪の自動車として構成されている。以下では、簡単化のため、前輪3Fおよび後輪3Rを、総称して車輪と記載することがある。実施形態では、4つの車輪の一部または全部の横滑り角が、変速操作部7の操作などに応じて変化(転舵)する。
【0030】
また、車両1には、周辺監視用の画像センサとして利用可能な複数(図1および図2に示される例では4つ)の撮像部15a~15dが搭載されている。撮像部15aは、車体2の後側の端部2e(たとえば、リヤトランクのドア2hの下方)に設けられ、車両1の後方の領域を撮像する。また、撮像部15bは、車体2の右側の端部2fのドアミラー2gに設けられ、車両1の右側方の領域を撮像する。また、撮像部15cは、車体2の前側の端部2c(たとえば、フロントバンパ)に設けられ、車両1の前方の領域を撮像する。また、撮像部15dは、車体2の左側の端部2dのドアミラー2gに設けられ、車両1の左側方の領域を撮像する。以下では、簡単化のため、撮像部15a~15dを、総称して撮像部15と記載することがある。
【0031】
撮像部15は、たとえば、CCD(電荷結合素子)やCIS(CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ)などといった撮像素子を有したいわゆるデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで車両1の周辺の領域の撮像を行い、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力する。撮像部15により得られる画像データは、フレーム画像として動画像を構成することが可能である。撮像部15により得られる画像データによれば、車両1の周辺の領域(車両1そのものも含む)を上から俯瞰で見た俯瞰画像、車両1の周辺の領域を任意の視点で三次元的に見た三次元画像、または車両1の周辺の領域を1つの撮像部15の視点から見た単カメラ画像などを生成することができる。
【0032】
また、車体2には、車両1の周辺に存在する人および物(路面を含む)などのオブジェクトまでの距離を検出するための測距センサとして利用可能な測距部16および17が設けられている。図2に示される例において、測距部16は、4つの測距部16a~16dにより構成されており、測距部17は、7つの測距部17a~17hにより構成されている。なお、測距部16は、車両1の側方のオブジェクトを検出するように設けられ、測距部17は、車両1の前方および後方のオブジェクトを検出するように設けられる。また、測距部16は、車両1に対して比較的遠い位置のオブジェクトを検出するように構成され、測距部17は、車両1に対して比較的近い距離にあるオブジェクトを検出するように構成される。
【0033】
次に、図4を用いて、実施形態にかかる車両1において各種の制御を実現するために設けられるシステム構成について説明する。なお、図4に示されるシステム構成は、あくまで一例であるので、様々に設定(変更)可能である。
【0034】
図4は、実施形態にかかる車両1のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0035】
図4に示されるように、実施形態にかかる車両1は、上述したモニタ装置11、表示装置12、操作部13、撮像部15、測距部16および17に加えて、舵角センサ18と、車輪速センサ20と、操舵システム21と、加速システム22と、制動システム23と、変速システム24と、ECU(Electronic Control Unit)30と、を備えている。これらの構成は、車載ネットワーク50に直接的または間接的に接続されている。
【0036】
舵角センサ18は、操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ18は、たとえばホール素子などを用いて構成される。舵角センサ18の検出結果は、車輪3の舵角の算出などに用いられる。
【0037】
車輪速センサ20は、車輪3の回転量または単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ20は、たとえば、ホール素子などを用いて構成される。車輪速センサ20の検出結果は、車両1の速度、加速度、および移動量(移動距離)などの算出に用いられる。
【0038】
操舵システム21は、トルクセンサ21bの検出結果および車載ネットワーク50経由で入力される操舵指示などに応じてアクチュエータ21aを制御することで、車両1の進行方向を制御する。操舵システム21は、たとえば、ハードウェアプロセッサを備えたマイクロコンピュータとして構成される。
【0039】
トルクセンサ21bは、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出するためのセンサである。また、アクチュエータ21aは、運転者による操舵部4の操作を補助するためのアシストトルクを操舵部4に付加するためのアクチュエータと、車輪3の転舵機構を制御するためのアクチュエータと、を含みうる。
【0040】
加速システム22は、アクセルセンサ22bの検出結果および車載ネットワーク50経由で入力される加速指示などに応じてアクチュエータ22aを制御することで、車両1の加速を制御する。加速システム22は、たとえば、ハードウェアプロセッサを備えたマイクロコンピュータとして構成される。
【0041】
アクセルセンサ22bは、運転者による加速操作部5の操作量を検出するためのセンサである。また、アクチュエータ22aは、車両1を加速させるように駆動源を制御するためのアクチュエータである。
【0042】
制動システム23は、ブレーキセンサ23bの検出結果および車載ネットワーク50経由で入力される制動指示などに応じてアクチュエータ23aを制御することで、制動による車両1の減速を制御する。制動システム23は、たとえば、ハードウェアプロセッサを備えたマイクロコンピュータとして構成される。
【0043】
ブレーキセンサ23bは、運転者による制動操作部6の操作量を検出するためのセンサである。また、アクチュエータ23aは、液圧ブレーキまたは電動ブレーキなどといった、車輪3に設けられる各種のブレーキ機構を制御するためのアクチュエータである。
【0044】
変速システム24は、シフトセンサ24bの検出結果および車載ネットワーク50経由で入力される変速指示などに応じてアクチュエータ24aを制御することで、車両1の変速比を制御する。変速システム24は、たとえば、ハードウェアプロセッサを備えたマイクロコンピュータとして構成される。
【0045】
シフトセンサ24bは、変速操作部7の位置を検出するためのセンサである。また、アクチュエータ24aは、車両1に設けられる変速機構を制御するためのアクチュエータである。
【0046】
ECU30は、車両1に設けられる各種のシステムを統括的に制御するように構成される。ECU30は、CPU(Central Processing Unit)30aと、ROM(Read Only Memory)30bと、RAM(Random Access Memory)30cと、表示制御部30dと、音声制御部30eと、SSD(Solid State Drive)30fと、を備えている。
【0047】
CPU30aは、ECU30において実行される各種の演算処理および制御処理を司るハードウェアプロセッサである。CPU30aは、ROM30bなどに記憶されたコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムに規定された指示に従って各種の機能を実現する。たとえば、CPU30aは、後述する図5に示される機能モジュール群を実現するための駐車支援プログラムを実行する。
【0048】
また、ROM30bは、上述したコンピュータプログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。また、RAM30cは、CPU30aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。また、SSD30fは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかるECU30においては、補助記憶装置として、SSD30fに替えて(またはSSD30fに加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
【0049】
また、表示制御部30dは、ECU30で実行されうる各種の処理のうち、主として、撮像部15から得られた撮像画像に対する画像処理や、モニタ装置11の表示装置8に出力する画像データの生成などを司る。また、音声制御部30eは、ECU30で実行されうる各種の処理のうち、主として、モニタ装置11の音声出力装置9に出力する音声データの生成などを司る。
【0050】
以上のような構成により、実施形態にかかるECU30は、上述した撮像部15、測距部16および17などのような、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両1が到達すべき目標位置を取得する。そして、ECU30は、目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両1が辿るべき駐車経路を算出し、当該駐車経路に沿った車両1の移動および目標位置での車両1の駐車の支援を提供することが可能である。以下では、駐車経路に沿った車両1の移動および目標位置での車両1の駐車の支援を、駐車支援と表現する。
【0051】
実施形態にかかる駐車支援は、たとえば次の図5に示されるような形で提供される。
【0052】
図5は、実施形態にかかる駐車支援を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【0053】
図5に示されるように、実施形態にかかる駐車支援において、ECU30は、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両1(の後輪3Rの車軸の中間位置)が到達すべき目標位置としての位置Pを特定し、当該位置Pに基づいて、車両1が駐車すべき駐車領域としての領域Rを特定する。位置Pおよび領域Rは、センサの検出結果に基づいて特定されるオブジェクトO1およびO2の位置などに基づいて特定される。なお、オブジェクトO1およびO2は、他の車両のような障害物であってもよいし、駐車領域を区画する区画線などであってもよい。
【0054】
そして、ECU30は、位置Pおよび領域Rの特定に応じて、位置Pに到達するまでに車両1が辿るべき駐車経路としての経路Cを算出する。経路Cは、現在位置から切り返し位置としての位置Qまでの経路C1と、位置Qから位置Pまでの経路C2と、を含んでいる。このような経路Cによれば、車両1が後ろ向きで旋回をしながら位置Pに近づくように移動する、いわゆる後方駐車を実現することができる。
【0055】
なお、図5に示される例において、矢印D1は、駐車領域としての領域Rの短手方向、すなわち目標位置としての位置Pに駐車したときの車両1の左右方向に対応し、矢印D2は、駐車領域としての領域Rの長手方向、すなわち目標位置としての位置Pに駐車したときの車両1の前後方向に対応する。矢印D2の傾きは、たとえば、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて特定されるオブジェクトO1およびO2(の端部)の方向性に基づいて特定され、矢印D1の傾きは、たとえば、矢印D2の傾きに基づいて特定される。
【0056】
ところで、上記のような駐車支援においては、目標位置の変動に応じて駐車経路を修正する必要がある。
【0057】
しかしながら、目標位置が少しでも変動したら必ず駐車経路を修正する、といった構成を採用すると、非効率的な駐車経路が算出される場合がある。たとえば、車両1が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合、目標位置が旋回の外側にある程度変動した後に旋回の内側に変動すると、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない場合がありうる。この場合、切り返しのための駐車経路をさらに算出することが必要となるので、非効率的である。
【0058】
そこで、実施形態は、次の図6に示されるような機能を有した駐車支援装置600をECU30により実現することで、効率的な駐車経路を算出することを可能にする。
【0059】
図6は、実施形態にかかる駐車支援装置600の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0060】
図6に示されるように、実施形態にかかる駐車支援装置600は、取得部601と、支援部602と、を備えている。
【0061】
取得部601は、上述した撮像部15、測距部16および17などのような、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両1が到達すべき目標位置を取得する。
【0062】
そして、支援部602は、取得部601により取得される目標位置と、上記のセンサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両1が辿るべき駐車経路を算出し、駐車経路に沿った車両の移動および目標位置での車両1の駐車の支援を示す駐車支援を提供する。
【0063】
ここで、実施形態において、支援部602により提供される駐車支援のもとで駐車経路に沿って車両1が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、取得部601は、目標位置を複数回取得し、支援部602は、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。
【0064】
より具体的に、実施形態において、支援部602は、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができないという上述したような状況を回避するために、目標位置が旋回の外側に変動した場合は、目標位置が旋回の内側に変動した場合よりも駐車経路が更新されにくくなるように、駐車経路を更新するか否かの基準を状況に応じて変化させる。
【0065】
また、実施形態において、支援部602は、次の図7に示されるように、目標位置に基づいて特定される駐車領域に進入する前の所定領域を駐車経路に沿って車両1が移動している場合に(のみ)、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。
【0066】
図7は、実施形態にかかる駐車支援において考慮される所定領域を示した例示的かつ模式的な図である。
【0067】
図7に示されるように、実施形態において、支援部602は、駐車経路を更新するか否かの基準を状況に応じて変化させる処理を、所定領域としての領域Rb内を車両1が移動している場合にのみ実行する。領域Rbは、駐車領域としての領域Raの車両1が進入する側に接するように特定される。また、領域Rbは、矢印D2の方向に沿って所定の幅Wを有する。
【0068】
なお、図7に示される例は、車両1が後ろ向きで旋回をしながら領域Rb内を移動している場合に、オブジェクトO2が矢印A方向に移動してオブジェクトO2aとなったように上記のセンサにより検出される例に相当する。この例では、目標位置を示す位置Pが矢印D1に沿って車両1の旋回の内側に変動して位置Paとなり、それに伴い、位置Qから位置Pまでの駐車経路を示す経路C2が、位置Qから位置Paまでの駐車経路を示す経路C2aに更新される。したがって、この例では、位置Pから位置Paへの変動レベルは、上記の第1レベルを超えている。
【0069】
ところで、上記の領域Rbのような所定領域以外の領域を車両1が移動している場合は、目標位置が旋回の外側に変動した場合であっても旋回の内側に変動した場合であっても、駐車経路の更新を同様に実行することが望ましい。つまり、車両1が所定領域以外の領域を移動している場合は、目標位置が旋回の外側に変動した場合と旋回の内側に変動した場合とで駐車経路を更新するか否かの基準を異ならせなくても、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができないという上述したような状況が発生しにくい。
【0070】
したがって、支援部602は、駐車経路に沿って車両1が所定領域に進入する前と、駐車経路に沿って車両1が所定領域から進出した後と、においては、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第3レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第3レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。第3レベルは、たとえば上記の第1レベルと等しくなるように設定されるが、第1レベルに限らず、任意のレベルに設定可能である。したがって、第3レベルは、たとえば上記の第2レベルと等しくなるように設定されてもよい。
【0071】
また、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができないという上述したような状況は、駐車支援の最初期に駐車経路に沿って車両1が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合、つまり車両1が切り返し位置から1回目の後退を実行する場合に、特に発生しやすい。
【0072】
したがって、支援部602は、駐車支援の最初期に駐車経路に沿って車両1が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが上記の第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが上記の第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。
【0073】
以上の構成に基づき、実施形態にかかる駐車支援装置600は、駐車支援の提供を開始するにあたり、次の図8に示されるような処理フローに従って処理を実行する。
【0074】
図8は、実施形態にかかる駐車支援装置600が駐車支援の提供を開始するにあたり実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【0075】
図8に示されるように、実施形態では、まず、S801において、駐車支援装置600の取得部601は、上述した撮像部15、測距部16および17などのような、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両1が到達すべき目標位置を取得する。
【0076】
そして、S802において、駐車支援装置600の支援部602は、S801において取得された目標位置に基づいて、車両1の周囲の状況を検出する上記のセンサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両1が辿るべき駐車経路を算出する。
【0077】
そして、S803において、駐車支援装置600の支援部602は、S802で算出される駐車経路に沿った車両1の移動およびS801で取得された目標位置での車両1の駐車の支援を示す駐車支援の提供を開始する。そして、処理が終了する。
【0078】
そして、実施形態にかかる駐車支援装置600は、駐車支援の提供の開始後に、次の図9に示されるような処理フローに従って処理を実行する。
【0079】
図9は、実施形態にかかる駐車支援装置600が駐車支援の提供の開始後に実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【0080】
図9に示されるように、実施形態では、まず、S901において、駐車支援装置600の取得部601は、上述した撮像部15、測距部16および17などのような、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、目標位置を取得する。
【0081】
そして、S902において、駐車支援装置600の支援部602は、目標位置の変動レベル、すなわち、S901で取得された目標位置と1つ前に取得された目標位置との差分に対応した変動レベルが所定の第3レベルを超えているか否かを判定する。なお、前述したように、第3レベルは、たとえば、後述するS904の判定で参照される第1レベルと等しく設定さる。
【0082】
S902において、目標位置の変動レベルが第3レベルを超えていると判定された場合、S903に処理が進む。そして、S903において、駐車支援装置600の支援部602は、目標位置に基づいて特定される駐車領域内を車両1が移動しているか否か、すなわち、車両1の現在位置が所定領域内にあるか否か、を判定する。
【0083】
S903において、車両1の現在位置が所定領域内にあると判定された場合、S904に処理が進む。そして、S904において、駐車支援装置600の支援部602は、車両1の旋回の内側への目標位置の変動レベルが第1レベルを超えているか、または、車両1の旋回の外側への目標位置の変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えている、という条件が成立しているか否かを判定する。
【0084】
S904において、上記の条件が成立していないと判定された場合、S905に処理が進む。そして、S905において、駐車支援装置600の支援部602は、駐車経路を更新することなくそのまま維持し、処理が終了する。なお、このS905の処理は、上記のS902において目標位置の変動レベルが第3レベルを超えていないと判定された場合も実行される。
【0085】
一方、S904において、上記の条件が成立していると判定された場合、S906に処理が進む。そして、S906において、駐車支援装置600の支援部602は、目標位置の変動に対応するように駐車経路を更新する。そして、処理が終了する。
【0086】
なお、実施形態において、図9に示される一連の処理は、駐車支援装置600が駐車支援の提供を開始した後、特に駐車支援の最初期に駐車経路に沿って車両1が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、たとえば所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0087】
以上説明したように、実施形態にかかる駐車支援装置600は、取得部601と、支援部602と、を備えている。取得部601は、車両1の周囲の状況を検出するセンサの検出結果に基づいて、駐車のために車両1が到達すべき目標位置を取得する。支援部602は、取得部601により取得される目標位置と、センサの検出結果と、に基づいて、目標位置に到達するまでに車両1が辿るべき駐車経路を算出し、当該駐車経路に沿った車両1の移動および目標位置での車両1の駐車の支援を提供する。
【0088】
ここで、実施形態において、支援部602により提供される支援のもとで駐車経路に沿って車両1が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、取得部601は、目標位置を複数回取得し、支援部602は、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第1レベルよりも大きい第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。
【0089】
実施形態にかかる駐車支援装置600によれば、車両1の旋回の外側に目標位置が変動しすぎることに起因して、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができないように駐車経路が更新されるのを抑制することができる。したがって、効率的な駐車経路を算出することができる。
【0090】
なお、実施形態において、支援部602は、目標位置に基づいて特定される車両1の駐車領域に進入する前の所定領域を駐車経路に沿って車両1が移動している場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない状況が発生しやすい所定領域を車両1が移動している場合に、駐車経路を更新するか否かの基準を適切に調整することができる。
【0091】
また、実施形態において、所定領域は、駐車領域の車両が進入する側に接する領域として特定される。このような構成によれば、駐車領域の車両が進入する側に接する領域を所定領域として適切に考慮して制御を実行することができる。
【0092】
また、実施形態において、支援部602は、駐車経路に沿って車両1が所定領域に進入する前と、駐車経路に沿って車両1が所定領域から進出した後と、においては、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第3レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第3レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合は、旋回の内側への目標位置の変動と旋回の外側への目標位置の変動とを同程度に考慮して、駐車経路をバランスよく更新することができる。
【0093】
また、実施形態において、第3レベルは、たとえば第1レベルと等しくなるように設定される。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合における駐車経路の更新されやすさを、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない状況が発生しにくい場合における旋回の内側への駐車経路の更新されやすさと同程度に設定することができる。
【0094】
また、実施形態において、支援部602は、支援部602により提供される支援の最初期に駐車経路に沿って車両1が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に、目標位置の旋回の内側への変動レベルが第1レベルを超えるか、または、目標位置の旋回の外側への変動レベルが第2レベルを超えることに応じて、駐車経路を更新する。このような構成によれば、最大舵角で旋回したとしても車両1が目標位置に到達することができない状況が特に発生しやすい支援の最初期に、駐車経路を更新するか否かの基準を適切に調整することができる。
【0095】
なお、実施形態において、図6に示される機能モジュール群は、CPU30aがROM30bまたはSSD30fなどに記憶された駐車支援プログラムを実行した結果として、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。ただし、実施形態では、図6に示される機能モジュール群の少なくとも一部が、専用のハードウェア(回路:circuitry)として実現されてもよい。
【0096】
実施形態にかかる駐車支援プログラムは、ROM30bまたはSSD30fのような記憶装置に予め組み込まれた状態で提供されてもよいし、フレキシブルディスク(FD)のような各種の磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)のような各種の光ディスクなどといった、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にインストール可能な形式または実行可能な形式で記録されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0097】
また、実施形態にかかる駐車支援プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、実施形態にかかる駐車支援プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、当該コンピュータからネットワーク経由でダウンロードする、といった形で提供されてもよい。
【0098】
<変形例>
上述した実施形態の技術は、車両1が後ろ向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動する、いわゆる後方駐車に適用されている。しかしながら、変形例として、次の図10に示されるような、車両1が前向きで旋回をしながら目標位置に近づくように移動する、いわゆる前方駐車に上述した実施形態の技術を適用する例も考えられる。
【0099】
図10は、実施形態の変形例にかかる駐車支援を説明するための例示的かつ模式的な図である。
【0100】
図10に示されるように、変形例にかかる駐車支援では、目標位置としての位置Pに到達までに車両1が辿るべき駐車経路として、現在位置から第1の切り返し位置としての位置Q1までの経路C11と、当該位置Q1から第2の切り返し位置としての位置Q2までの経路C12と、当該位置Q2から位置Pまでの経路C13と、を含む経路C10が算出される。このような経路Cによれば、車両1が前向きで旋回をしながら位置Pに近づくように移動する、いわゆる前方駐車を実現することができる。
【0101】
前方駐車においても、駐車支援のもとで駐車経路に沿って車両1が旋回をしながら目標位置に近づくように移動している場合に駐車経路を更新するか否かの基準を状況に応じて変化させることは、上述した後方駐車と同様に有効である。
【0102】
なお、上述した実施形態の技術は、車両1の全ての運転操作を代行する自動運転によって駐車支援を実現する技術と、車両1の運転操作の一部のみを代行する半自動運転によって駐車支援を実現する技術と、のいずれも想定している。
【0103】
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 車両
15、15a~15d 撮像部(センサ)
16、16a~16d、17、17a~17h 測距部(センサ)
600 駐車支援装置
601 取得部
602 支援部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10