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特許7434812装着端末、集団管理システム、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】装着端末、集団管理システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240214BHJP
   H04M 1/72412 20210101ALI20240214BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04M1/72412
G08B25/04 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019202146
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021077965
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大塚 恭子
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-013336(JP,A)
【文献】特開2007-074574(JP,A)
【文献】特開2016-024688(JP,A)
【文献】特開2009-296529(JP,A)
【文献】特開2017-097750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0117915(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S5/00-5/14
19/00-19/55
G08B19/00-31/00
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信する位置情報報告要求受信手段と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する遠距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信が可能な他の前記装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成する装着端末リスト作成部と、
前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該装着端末を離脱端末として検出する離脱端末検出手段と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する遠距離無線通信手段と、
前記離脱端末に対する前記位置情報報告要求を生成する位置情報報告要求生成手段と、
を有することを特徴とする装着端末。
【請求項2】
複数の請求項に記載の装着端末と、
前記装着端末の所在を管理する管理端末と、を有し、
前記管理端末は、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を前記離脱端末として検出する第2の離脱端末検出手段と
前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する第2の遠距離無線通信手段と、
を有することを特徴とする集団管理システム。
【請求項3】
前記管理端末が、
前記装着端末と前記近距離無線通信を行う第2の近距離無線通信手段を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の集団管理システム。
【請求項4】
前記管理端末を前記装着端末の中から選出する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の集団管理システム。
【請求項5】
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信する位置情報報告要求受信手段と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する遠距離無線通信手段と、
を有する装着端末と、
前記装着端末の所在を管理する管理端末と、を有し、
前記管理端末は、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を離脱端末として検出する第2の離脱端末検出手段と、
前記離脱端末に対する前記位置情報報告要求を生成する位置情報報告要求生成手段と、
前記離脱端末に対し前記位置情報報告要求を送信し、前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する第2の遠距離無線通信手段と、
を有し、
前記管理端末を前記装着端末の中から選出する、
ことを特徴とする集団管理システム。
【請求項6】
前記近距離無線通信が可能な他の前記装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成する装着端末リスト作成部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の集団管理システム
【請求項7】
前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該装着端末を前記離脱端末として検出する離脱端末検出手段を有する、
請求項6に記載の集団管理システム
【請求項8】
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行い、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信し、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得し、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信し、
前記近距離無線通信が可能な前記他の装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成し、
前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該装着端末を離脱端末として検出し、
前記離脱端末に対する前記位置情報報告要求を生成する、
ことを特徴とする装着端末の制御方法。
【請求項9】
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う処理と、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信する処理と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する処理と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された
宛先に、遠距離無線通信で送信する処理と、
前記近距離無線通信が可能な前記他の装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成する処理と、
前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該装着端末を離脱端末として検出する処理と、
前記離脱端末に対する前記位置情報報告要求を生成する処理と、
を装着端末に実行させることを特徴とする装着端末の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着端末および集団管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
認知症の高齢者、幼児・児童、矯正施設、団体旅行や、集団によるレジャーやスポーツなどの集団で、一人一人の所在把握が必要な場面がある。そして、このようなニーズに応える方法が検討されている。
【0003】
例えば特許文献1には、集団を構成するそれぞれの作業者が装着端末を装着し、それぞれの装着端末がGPS測位情報を取得して、自身の位置情報を管理センタに送信する方法が開示されている。これにより、作業者の位置を把握することができる。また、特許文献1には、近距離無線を用いて装着端末の間で、位置情報を転送し、この位置情報を中継器から管理センタに送信する方法も開示されている。この方法を用いると、通信利用料を低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5476861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、装着端末の消費電力が大きいという問題があった。この技術では、装着端末が、所定間隔でGPS(Global Positioning System)信号の受信と位置の計算を行っている。このため消費電力を小さくすることができなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、消費電力が低く、集団から離脱した装着端末の位置を速やかに特定できる装着端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、装着端末は、近距離無線通信手段と、位置情報報告要求受信手段と、位置情報取得手段と、遠距離無線通信手段とを有している。近距離無線通信手段は、通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う。位置情報報告要求受信手段は、外部から送信され、装着端末に対して、自身の位置情報を指定の宛先に報告するように要求する位置情報報告要求を受信する。位置情報取得手段は位置情報報告要求受信手段が位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する。遠距離無線通信手段は、取得した位置情報を、位置情報報告要求に指定された宛先に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果は、消費電力が低く、集団から離脱した装着端末の位置を速やかに特定できる装着端末を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の装着端末を示すブロック図である。
図2】第2の実施形態の集団管理システムを示す模式図である。
図3】第3の実施形態の集団管理システムの端末の位置関係を示す模式図である。
図4】第3の実施形態の集団管理システムを示すブロック図である。
図5】第3の実施形態の集団管理システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】第4の実施形態の集団管理システムの端末の位置関係を示す模式図である。
図7】第4の実施形態の集団管理システムを示すブロック図である。
図8】第4の実施形態の集団管理システムの動作を示すシーケンス図である。
図9】第4の実施形態の集団管理システムの別の動作を示すシーケンス図である。
図10】第5の実施形態の集団管理システムの端末の位置関係を示す模式図である。
図11】第5の実施形態の集団管理システムを示すブロック図である。
図12】第5の実施形態の集団管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の装着端末10を示すブロック図である。装着端末10は、近距離無線通信手段1と、位置情報報告要求受信手段2と、位置情報取得手段3と、遠距離無線通信手段4とを有している。
【0012】
近距離無線通信手段1は、通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う。ここで、近距離無線通信は、通信距離が数メートルから数十メートルの消費電力が少ない通信方式であるものとする。具体的な近距離無線方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)などを用いることができる。
【0013】
位置情報報告要求受信手段2は、外部から送信され、装着端末10に対して、装着端末10の位置情報を、指定の宛先に報告するように要求する位置情報報告要求を受信する。
【0014】
位置情報取得手段3は位置情報報告要求受信手段2が位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する。位置情報は、例えばGPSデータである。
【0015】
遠距離無線通信手段4は、取得した位置情報を、位置情報報告要求に指定された宛先に送信する。遠距離無線通信手段4は、例えば、通信距離が数kmから数十kmの通信方式を用いる通信部である。具体的な通信方式としては、例えば、各種のLPWA(Low Power Wide Area)やLTE(Long Term Evolution)などを用いることができる。
【0016】
以上説明したように、本実施形態の装着端末では、通常時は低消費電力の近距離無線通信を行い、位置情報報告要求を受信した場合だけ、消費電力の大きな位置情報取得手段と遠距離無線通信手段とを起動して、自身の位置情報を指定の宛先に報告する。このため、装着端末の消費電力を低くしながら、集団から離脱した装着端末の位置を速やかに特定することができる。
【0017】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の装着端末10を用いると、複数の人や動物など形成した集団を管理する集団管理システムを構成することができる。ここでは、集団を近距離無線で通信可能な範囲にメンバーが固まっているものと定義する。この集団は、移動していても良い。
【0018】
集団管理を行うためには、まず集団を構成するそれぞれのメンバーが、装着端末10を装着する。そして、各装着端末10が近距離無線を用いたアドホック通信網を形成する。図2は、このような集団管理システム20の一例を示す模式図である。まず、図2(a)に示すように、複数の装着端末10(10a~10d)は、近距離無線通信手段1を用いた近距離無線通信30を利用して、アドホック通信網31を形成する。それぞれの装着端末10は、近距離無線通信を用いて、定期的に互いの所在を確認する。
【0019】
ここで、図2(b)に示すように、ある端末装置10が集団から離脱する、すなわち、近距離無線通信が可能な範囲から離れてしまったとする。ここでは端末装置10cが集団から離脱した例を示している。すると、他の端末装置10は端末装置10cの所在が確認できなくなったことを検出する。端末装置10cの離脱が検出されると、遠距離無線通信40を用いて、管理端末から端末装置10cに向けて位置情報報告要求50が送信される。そして端末装置10cの位置情報報告要求受信手段3が、位置情報報告要求を受信する。端末装置10cは、位置情報報告要求を受信すると、位置情報取得手段4を起動して位置情報を取得する。そして遠距離無線通信手段2を用いて、自身の位置情報を位置情報報告要求に指定された宛先に送信する。図2(b)では、端末装置10aが管理端末となり、宛先を端末装置10aに指定した位置情報報告要求50を送信し、位置情報60を受信する例を示している。しかしながら、後述するように、管理端末の形態は、これに限られない。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の集団管理システムでは、集団を離脱したメンバー(装着端末)がいない間は、低消費電力の近距離無線通信を用いて、互いの所在を確認している。そして、離脱者(集団から離脱した装着端末、以降、離脱端末とも称する)が出た場合だけ、消費電力の大きな遠距離無線通信を用いて位置情報報告要求を送信する。離脱端末では、この要求を受信した場合だけ、消費電力の大きな位置情報取得手段を起動して位置情報を取得し、遠距離無線通信を用いて位置情報を報告する。上記のような動作により、通常時には端末装置の消費電力を低く抑えながら、集団から離脱した端末装置を速やかに見つけることができる。
【0021】
(第3の実施形態)
図3は第3の実施形態の集団管理システム1000の端末の位置関係を示す模式図である。集団管理システム1000は、装着端末100と、管理端末200とを有している。この例では、4つの装着端末100(100a~d)と、1つの管理端末200を記載しているが、装着端末100および管理端末200の数はこれに限られない。
【0022】
図4は、本実施形態の装着端末100と管理端末200の構成を示すブロック図である。装着端末100は、第1の近距離無線通信部110と、第1の遠距離無線通信部120と、装着端末リスト作成部130と、離脱端末検出部140と、位置情報取得部150とを有している。管理端末200は、第2の遠距離無線通信部210と、離脱端末情報取得部220と、位置情報報告要求生成部230とを有している。
【0023】
図3に戻り、各部の機能と動作について説明する。複数の装着端末100は、近距離無線通信部110を用いて近距離無線通信300を行い、アドホック通信網310を形成する。そして、少なくとも1つの装着端末100がマスターとなり、この装着端末100の装着端末リスト作成部130が、集団を構成する装着端末100のリストを作成する。なお、近距離無線通信を用いて、装着端末リストを他の装着端末100と共有しても良い。
【0024】
装着端末100同士は定期的に近距離無線通信300を行い、離脱端末検出部140が、各端末が集団と離れずにいるか確認する。ここで、図3(a)のように、装着端末リストに記載された装着端末100が漏れなく揃っていれば、位置情報取得部150は起動しない。一方、図3(b)のように、近距離無線の届かない距離まで離れてしまった装着端末100(離脱端末)がある場合には、この端末と他の端末の通信ができなくなる。そして、通信ができないことに基づいて、離脱端末検出部140は、離脱端末を検出する。図3(b)の例では装着端末100cが離脱端末となっている。離脱端末検出部140が離脱端末を検出すると、マスターとなっている装着端末100bが、装着端末100cが離脱したとする報告を、遠距離無線通信400を用いて、管理端末200に送信する。なお、管理端末200が、近距離無線が届く範囲にいる場合には、通信に近距離無線を用いても良い。
【0025】
管理端末200は、離脱端末情報取得部220で、装着端末100cが離脱した情報を取得する。そして位置情報報告要求生成部230が、装着端末100cに対して位置情報の報告を要求する位置情報報告要求を、遠距離無線で送信する。位置情報報告要求を受信した装着端末100cは、位置情報取得部150を起動し、自身の位置情報を取得する。そして取得した位置情報を管理端末200に送信する。この位置情報を受信した管理端末200は、離脱端末となった装着端末100cの位置を取得することができる。
【0026】
装着端末100のハードウェアとしては、近距離無線通信機、遠距離無線通信機、プロセッサ、メモリ、及び電池があれば良い。必要な処理が少ないため、これらのハードウェアはいずれも小規模なもので良く、例えばチップ型のデバイスとすることができるが、携帯電話、スマートホンを用いることも可能である。チップ型のデバイスとした場合は、デバイスを靴や服などに容易に装着することができる。
【0027】
また管理端末200のハードウェアとしては、近距離無線通信機、遠距離無線通信機、プロセッサ、メモリ、及び電池があれば良い。管理端末200は、例えば、携帯電話、スマートホン、通信機能を備えたコンピュータなどとすることができる。あるいは、据え置き型のコンピュータやサーバで合っても良い。管理端末200がディスプレイを有していれば、ディスプレイに、離脱端末の位置を表示することができる。
【0028】
次に、本実施形態の集団管理システムの動作について説明する。図5は、この動作の一例を示すシーケンス図である。まず、装着端末100a~dが近距離無線通信を用いて、アドホック通信網を形成する(S1)。そしてこの通信網で装着端末リストを共有する(S2)。ここで、装着端末100cが集団から離脱する(S3)。マスターである装着端末100bは、所在確認を送信するが(S4)、装着端末100cはこのメッセージを受け取ることができない。そして返信が無いことから装着端末100bは、装着端末100cが離脱したことを検出する(S5)。装着端末100bは、遠距離無線を用いて、管理端末200に、装着端末100cが離脱したことを報告する(S6)。この報告により、管理端末200は、装着端末100cの離脱を検出する(S7)。管理端末200は、これをトリガとして、遠距離無線を用いて位置情報報告要求を装着端末100cに送信する(S8)。位置情報報告要求を受信した装着端末100cは、位置情報取得部150を起動して、位置情報を取得し(S9)、これを管理端末200に送信する(S10)。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、集団のメンバー(装着端末)が揃っている時は位置情報を取得しないため、装着端末の消費電力を極めて低くすることができる。その一方で、速やかに離脱端末の位置情報を取得することができる。そしてこの時も、他の装着端末は位置情報を取得しないため、必要な電力は小さいものになる。
【0030】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態の集団管理システム1001の端末の位置関係を示す模式図である。集団管理システム1001は、装着端末101と、管理端末201とを有している。本実施形態では、装着端末101と管理端末201が同じアドホック通信網を形成している。このような構成は、例えば、子供を複数の教師が引率する、添乗員が旅行者を誘導するといった場面に適用できる。なお、この例では、5つの装着端末101(101a~e)と、2つの管理端末201(201a~b)を記載しているが、これに限らず、もっと多くても良い。
【0031】
図7は、本実施形態の装着端末101と管理端末201の構成を示すブロック図である。装着端末101は、第1の近距離無線通信部111と、第1の遠距離無線通信部121と位置情報取得部131とを有している。これらの機能は第2の実施形態と同様なので、その説明は省略する。
【0032】
管理端末201は、第2の近距離無線通信部211と、第2の遠距離無線通信部221と、装着端末リスト作成部231と、離脱端末検出部241と、位置情報報告要求生成部251とを有している。
【0033】
図6に戻り、各部の機能と動作について説明する。複数の装着端末101と管理端末201は、近距離無線通信を行い、図6(a)のように、アドホック通信網を形成する。そして、管理者端末201が装着端末リスト作成部231を用いて、集団を構成する装着端末101のリストを作成する。なお、この例では管理端末201aがマスターとなるものとする。
【0034】
装着端末101と管理端末201とは、定期的に近距離無線通信を行い、離脱端末検出部241は、各端末が集団と離れずにいるか確認する。ここで、図6(a)のように、装着端末リストに記載された装着端末101が漏れなく揃っていれば、位置情報取得部131は起動しない。一方、図6(b)のように、近距離無線の届かない距離まで離れてしまった装着端末101(離脱端末)がある場合には、この端末と他の端末の通信ができなくなる。そして、通信ができないことに基づいて、離脱端末検出部241は、離脱端末を検出する。図6(b)の例では装着端末101aが離脱端末となっている。
【0035】
管理端末201aの離脱端末検出部241が離脱端末を検出すると、位置情報報告要求生成部251が、装着端末101aに対して位置情報を要求する位置情報報告要求を、遠距離無線で送信する。位置情報報告要求を受信した装着端末101aは、位置情報取得部131を起動し、自身の位置情報を取得する。そして取得した位置情報を管理端末201aに送信する。この位置情報を受信した管理端末200は、離脱端末となった装着端末101cの位置を取得することができる。
【0036】
装着端末101のハードウェアは、第3の実施形態と同様で良いが、本実施形態では、装着端末101で行う処理が少ないため、第3の実施形態よりも低性能、小容量の物でも良い。
【0037】
また管理端末201のハードウェアとしては、近距離無線通信機、遠距離無線通信機、プロセッサ、メモリ、及び電池があれば良い。管理端末201は、例えば、携帯電話、スマートホン、タブレット端末などとすることができる。管理端末201がディスプレイを有していれば、ディスプレイに、離脱端末の位置を表示することができる。
【0038】
次に、本実施形態の集団管理システムの動作について説明する。図8は、この動作の一例を示すシーケンス図である。まず、装着端末101a~eと、管理端末201a~bが近距離無線通信を用いて、アドホック通信網を形成する(S101)。そしてこの通信網を用いて、管理端末201が装着端末リストを作成する(S102)。ここでは、2つの管理端末201a、bが装着端末リストを共有するものとしている。次に、装着端末101aが集団から離脱する(S103)。管理端末201aは、所在確認を送信するが(S104)、装着端末101aはこのメッセージを受け取ることができない。そして返信が無いことから管理端末201aは、装着端末101aが離脱したことを検出する(S105)。管理端末201aは、これをトリガとして、遠距離無線を用いて位置情報報告要求を装着端末101aに送信する(S106)。位置情報報告要求を受信した装着端末101aは、位置情報取得部131を起動して、位置情報を取得し(S107)、これを管理端末201aに送信する(S108)。
【0039】
図8の動作では、管理端末201が、離脱を検出し、位置情報報告要求を送信し、位置情報を受け取る動作であったが、管理端末201が離脱を検出し、装着端末101が位置情報報告要求を送信し、位置情報を受信する動作であっても良い。図9は、この動作を示すシーケンス図である。S105の装着端末101aの離脱を検出までは、図8と同じ動作である。S105の後に、管理端末201aは、装着端末101bに対して、位置情報報告要求を送信するように、近距離無線通信で依頼する(S106a)。この依頼を受けて、装着端末101bは、遠距離無線通信を用いて、装着端末101aに対して、位置情報報告要求を送信する(S107a)。これを受けて装着端末101aは、位置情報を取得し(S108a)、遠距離無線通信を用いて、位置情報を装着端末101bに送信する(S109a)。以上の動作により、装着端末101bは、装着端末101aの位置を取得することができる。なお、S109aの位置情報の送信先を管理端末201a、bのいずれかにする構成とすることも可能である。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、装着端末を安価な構成にしても、第2の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0041】
(第5の実施形態)
図10は、第4の実施形態の集団管理システム1002の端末の位置関係を示す模式図である。集団管理システム1002は、複数の装着端末102を有している。本実施形態では、装着端末102の中の1つがマスター(管理端末)となり、同じ装着端末102だけを用いて、第3の実施形態と同様な効果を得ることができる、そのための装着端末の構成の一例を図11に示す。装着端末102は、近距離無線通信部112と、遠距離無線通信部122と、装着端末リスト作成部132と、マスター取り決め部142と、離脱端末検出部152と、位置情報報告要求生成部162と、位置情報取得部172とを有している。
【0042】
図10に戻り、集団管理システム1002の構成と動作について説明する。まず集団を構成する装着端末102(102a~g)がアドホック通信網を形成する。ここで、管理端末の機能を果たすマスターとなる装着端末を決定する。図10の例では、102cがマスターに選出されている。マスターの決め方は任意であるが、例えば、電池残量の多い装着端末102をマスターとする取り決めとすることができる。本実施形態では、マスターとなる装着端末を逐次変更することができるので、例えば電池残量の多い装着端末102をマスターに選ぶようにしておくと、集団管理システム全体としての電池寿命を延ばすことができる。
【0043】
この場合も、アドホック通信網を用いて、集団を構成する装着端末102のリストを作成する。作成はどの装着端末が行っても良いが、少なくともマスターとなる装着端末102cは、このリストを保持する。
【0044】
それぞれの装着端末102は、定期的に近距離無線通信を行い、離脱端末検出部152は、各端末が集団と離れずにいるか確認する。ここで、図10(a)のように、装着端末リストに記載された装着端末102が漏れなく揃っていれば、位置情報取得部172は起動しない。一方、図10(b)のように、近距離無線の届かない距離まで離れてしまった装着端末102a(離脱端末)がある場合には、この端末と他の端末の通信ができなくなる。そして、通信ができないことに基づいて、離脱端末検出部152は、離脱端末を検出する。
【0045】
マスター装着端末102cの離脱端末検出部152が離脱端末を検出すると、位置情報報告要求生成部162が、装着端末102aに対して位置情報報告要求を、遠距離無線で送信する。位置情報報告要求を受信した装着端末102aは、位置情報取得部172を起動し、自身の位置情報を取得する。そして取得した位置情報をマスター装着端末102cに送信する。この位置情報を受信した装着端末102cは、離脱端末となった装着端末102aの位置を取得することができる。
【0046】
本実施形態の装着端末102のハードウェアは、第2の実施形態と同様で良いが、本実施形態では、マスターに選ばれた装着端末102が管理端末の役割を果たし、離脱端末の位置を把握する。このため、装着端末102はディスプレイを備えているものが好適であり、例えば、スマートホンが好適である。
【0047】
次に、本実施形態の集団管理システムの動作について説明する。図12は、この動作の一例を示すシーケンス図である。まず、装着端末102a~gが近距離無線通信を用いて、アドホック通信網を形成する(S201)。そしてこの通信網を用いて、マスターの選出を行う。この例では、装着端末102cをマスターに選出している(S202)。次に装着端末102cが装着端末リストを作成する(S203)。次に、装着端末102aが集団から離脱する(S204)。装着端末102cは、所在確認を送信するが(S205)、装着端末102aはこのメッセージを受け取ることができない。そして返信が無いことから装着端末102cは、装着端末102aが離脱したことを検出する(S206)。装着端末102cは、これをトリガとして、遠距離無線を用いて位置情報報告要求を装着端末102aに送信する(S207)。位置情報報告要求を受信した装着端末102aは、位置情報取得部132を起動して、位置情報を取得し(S208)、これを装着端末102cに送信する(S209)。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の装着端末の中で、管理端末の役割をするマスターを適宜変えることができる。その結果、集団管理システム全体として、電池の寿命を延ばすことができる。
【0049】
上述した第1乃至第4の実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0050】
以上、第1乃至第4の実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0051】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う近距離無線通信手段と、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信する位置情報報告要求受信手段と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する遠距離無線通信手段と、
を有することを特徴とする装着端末。
(付記2)
前記近距離無線通信が可能な前記他の装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成する装着端末リスト作成部を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の装着端末。
(付記3)
前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該端末を離脱端末として検出する離脱端末検出手段を有する、
付記2に記載の装着端末。
(付記4)
前記離脱端末に対する前記位置情報報告要求を生成する位置情報報告要求生成手段を有する、
ことを特徴とする付記3に記載の装着端末。
(付記5)
複数の付記1乃至3のいずれか1つに記載の装着端末と、
前記装着端末の所在を管理する管理端末と、を有し、
前記管理端末は、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を離脱端末として検出する第2の離脱端末検出手段と
前記離脱端末に対する位置情報報告要求を生成する位置情報報告要求生成手段と、
前記離脱端末に対し前記位置情報報告要求を送信し、前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する第2の遠距離無線通信手段と、
を有することを特徴とする集団管理システム。
(付記6)
複数の付記4に記載の装着端末と、
前記装着端末の所在を管理する管理端末と、を有し、
前記管理端末は、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を離脱端末として検出する第2の離脱端末検出手段と
前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する第2の遠距離無線通信手段と、
を有することを特徴とする集団管理システム。
(付記7)
前記管理端末が、
前記装着端末と近距離無線通信を行う第2の近距離無線通信手段を有する、
ことを特徴とする付記5または6に記載の集団管理システム。
(付記8)
前記管理端末を前記装着端末の中から選出する、
ことを特徴とする付記5乃至7のいずれか一項に記載の集団管理システム。
(付記9)
前記選出を前記装着端末の電池残量に基づいて行う
ことを特徴とする付記8に記載の集団管理システム。
(付記10)
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行い、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信し、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得し、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する
ことを特徴とする装着端末の制御方法。
(付記11)

前記近距離無線通信が可能だった前記他の装着端末の一覧を記した装着端末リストを作成する、
ことを特徴とする付記10に記載の装着端末の制御方法。
(付記12) 前記装着端末リストに記載された装着端末の中で、前記近距離無線通信が不可能になったものがあった場合に、当該端末を離脱端末として検出する、
ことを特徴とする付記11に記載の装着端末の制御方法。
(付記13) 前記離脱端末に対して、前記位置情報報告要求を送信する、
ことを特徴とする付記12に記載の装着端末の制御方法。
(付記14) 複数の付記1乃至4のいずれか1つに記載の装着端末と、
前記装着端末の所在を管理する管理端末と、を有する集団管理システムの制御方法であって、
前記管理端末は、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を離脱端末として検出し、
前記離脱端末に対する位置情報報告要求を生成し、
遠距離無線通信を用いて、前記離脱端末に対し前記位置情報報告要求を送信し、前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する、
ことを特徴とする集団管理システムの制御方法。
(付記15)
前記管理端末が、
前記装着端末と近距離無線通信を行う、
ことを特徴とする付記14に記載の集団管理システムの制御方法。
(付記16)
前記管理端末を前記装着端末の中から選出する、
ことを特徴とする付記14または15に記載の集団管理システムの制御方法。
(付記17)
前記選出を前記装着端末の電池残量に基づいて行う
ことを特徴とする付記16に記載の集団管理システムの制御方法。
(付記18)
通常時に他の装着端末と近距離無線通信を行う処理と、
自身の位置情報を報告するように要求する位置情報報告要求を受信する処理と、
前記位置情報報告要求を受信した場合に、自身の位置情報を取得する処理と、
前記位置情報を取得した場合に、前記位置情報を、前記位置情報報告要求に指定された宛先に、遠距離無線通信で送信する処理と、
を装着端末に実行させることを特徴とする装着端末の制御プログラム。
(付記19)
付記5乃至9のいずれか1つに記載の集団管理システムの管理端末の制御プログラムであって、
他の前記装着端末との近距離通信が不可能となった前記装着端末を離脱端末として検出する処理と、
前記離脱端末に対する位置情報報告要求を生成する処理と、
遠距離無線通信を用いて、前記離脱端末に対し前記位置情報報告要求を送信し、前記離脱端末から送信された前記位置情報を受信する処理と、
を前記管理端末に実行させることを特徴とする管理端末の制御プログラム。
【符号の説明】
【0052】
1 近距離無線通信手段
2 位置情報報告要求受信手段
3 位置情報取得手段
4 遠距離無線通信手段
10、100、101、102 装着端末
30、300 近距離無線通信
31、310 アドホック通信網
40、400 遠距離無線通信
50 位置情報報告要求
60 位置情報
110、111 第1の近距離無線通信部
112 近距離無線通信部
120、121 第1の遠距離無線通信部
122 遠距離無線通信部
130、231、132 装着端末リスト作成部
140、241、152 離脱端末検出部
150、131、172 位置情報取得部
200、201 管理端末
210、221 第2の遠距離無線通信部
211 第2の近距離無線通信部
220 離脱端末情報取得部
230、251、162 位置情報報告要求生成部
1000、1001、1002 集団管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12