(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/52 20180101AFI20240214BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F11/58
(21)【出願番号】P 2019202257
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡山 智
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195035(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159277(WO,A1)
【文献】特開2019-011887(JP,A)
【文献】特開2016-211826(JP,A)
【文献】特開2009-008376(JP,A)
【文献】特開2005-184481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクを内蔵し、室内機から得た運転情報に応じて室内空間を加湿する加湿器と通信で接続する通信部と、
前記
加湿器との通信の断絶を検出する検出部と、
前記
加湿器との通信の断絶の検出から所定時間を経過したか否かを判定する判定部と、
前記所定時間を経過した場合に前記
加湿器のメンテナンス要求を報知する報知部と
を有することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記報知部は、
前記空気調和機内の室内機と接続するアダプタに前記メンテナンス要求を報知することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の異常を通知するシステムとして、電子機器自体の状態を自己診断し、診断結果を状態情報として無線通信で他の通信機器に送信する電子機器と、電子機器から受信した状態情報を外部サーバに送信する通信端末と、通信端末から状態情報を受信する外部サーバとを有するシステムがある。外部サーバは、受信した状態情報から電子機器の状態を認識し、電子機器のメンテナンスを電子機器の利用者に促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器としては、様々あるが、例えば、加湿器を想定した場合、加湿器本体に内蔵する給水タンク内に水を残したまま、オフシーズン等で長期間放置してしまうと、給水タンク内にカビ等が繁殖し、不衛生な状態となる。
【0005】
そして、オフシーズンで加湿器が電源OFFの状態の場合、加湿器と通信端末との間の通信が断絶することで通信状態がオフラインの状態となるため、加湿器の状態情報を外部サーバに通知することができない。その結果、加湿器のオフシーズンに行うべきメンテナンス(例えば給水タンクの清掃)を利用者に知らせることができない。
【0006】
本発明ではこのような問題に鑑み、電子機器との通信状態がオフラインの状態でも電子機器のメンテナンスを利用者に報知できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気調和機は、通信部と、検出部と、判定部と、報知部とを有する。通信部は、空気調和機と連動する機器と通信で接続する。検出部は、前記機器との通信の断絶を検出する。判定部は、前記機器との通信の断絶の検出から所定時間を経過したか否かを判定する。報知部は、前記所定時間を経過した場合に前記機器のメンテナンス要求を報知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機は、空気調和機と連動する機器の通信状態がオフラインの状態でも機器のメンテナンス要求を利用者に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、加湿器及び室内機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、メンテナンス報知処理に関わる空気調和システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、通信端末のアラーム表示の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示する空気調和機の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図、
図2は、室内機2及び加湿器11の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、アクセスポイント4と、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8と、リモコン9と、室外機10と、加湿器11とを有する。
【0012】
室内機2は、例えば、室内に配置され、室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機50の一部である。尚、室内機2の利用者は、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。室内機2は、本体2Aと、当該本体2Aを制御する制御部2Bと、検出部2Cと、記憶部2Dと、第1の通信部2Eと、第2の通信部2Fとを有する。本体2Aは、図示しない室内ファン、膨張弁、室内熱交換器、風向板などの各装置が筐体に格納されたものである。制御部2Bは、上述した室内ファンや膨張弁や風向板の動作を制御する。制御部2Bは、膨張弁の開度を調整して、利用者が必要とする空調能力を発揮させるために必要となる量の冷媒を室内熱交換器に流し、室内ファンを駆動して室内熱交換器で冷媒と熱交換を行った室内空気を、風向板を制御して風向を偏向させて空調空間に吹き出させる。これにより、空調空間の暖房、冷房、除湿が行われる。検出部2Cは、本体2Aの運転状態を取得する。運転状態は、例えば、暖房、冷房や除湿等の各種の運転モードや、空調空間の室内温度や室内湿度等の各種情報である。記憶部2Dは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。
【0013】
第1の通信部2Eは、アダプタ3と通信で接続される、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)である。第2の通信部2Fは、空気調和機と連動する機器としての加湿器11と通信で接続される、例えば、ブルートゥース(商標登録)等の通信IFである。尚、ブルートゥースを例示したが、加湿器11との間で双方向通信が可能であれば良く、例えば、赤外線通信やWLAN(Wireless Local Area Network)通信等を使用しても良く、適宜変更可能である。
【0014】
アダプタ3は、室内機2とアクセスポイント4との間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に設けられるものである。アクセスポイント4は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)等を使用してアダプタ3と通信網8とを無線通信で接続する装置である。通信網8は、例えば、インターネット等の通信網である。サーバ装置5は、アダプタ3が室内機2をAI制御する際に使用する学習モデルを生成する機能や、運転履歴データ等を記憶するデータベース等を有する。サーバ装置5は、例えば、データセンタに配置される。
【0015】
中継装置6は、通信網8と通信で接続すると共に、サーバ装置5と通信で接続される機能を有する。中継装置6は、例えば、データセンタ等に配置される。
【0016】
加湿器11は、加湿器本体11Aと、加湿器制御部11Bと、加湿器通信部11Cとを有する。加湿器本体11Aは、加湿器本体11Aに内蔵する図示しない給水タンクに収容される水を室内空間に放出して室内空間を加湿する。加湿器本体11Aは、例えば、図示しない給水タンク、トレイ、フィルタやエアフィルタ等を有する。加湿器制御部11Bは、加湿器本体11Aを制御する。加湿器通信部11Cは、室内機2内の第2の通信部2Fと通信で接続される、例えば、ブルートゥース等の通信IFである。
【0017】
加湿器11は、加湿器通信部11Cを通じて室内機2との間で室内機2の運転状態を要求する状態要求を周期的、例えば、10秒周期で送信する。尚、10秒周期で説明したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。室内機2内の制御部2Bは、加湿器11からの状態要求に応じて、加湿器通信部11Cを通じて室内機2の運転状態等の状態情報を加湿器11に通知する。加湿器11は、室内機2から状態情報を受信した場合、状態情報から室内機2の運転状態を認識する。加湿器11内の加湿器制御部11Bは、例えば、室内機2の状態情報から室内空間の湿度を取得した場合、室内空間の湿度が所定閾値以下であるか否かを判定する。加湿器制御部11Bは、室内空間の湿度が所定閾値以下の場合、加湿器本体11Aに室内空間の加湿を実行させる。
【0018】
また、室内機2の制御部2Bは、判定部21と、報知部22とを有する。判定部21は、加湿器11との通信の断絶を検出した場合、オフラインタイマを起動する。判定部21は、オフラインタイマがタイムアップしたか否かを判定する。尚、オフラインタイマがタイムアップするまでの所定時間は、例えば、2週間とするが、適宜変更可能である。報知部22は、オフラインタイマがタイムアップした場合、加湿器11のメンテナンスを促すアラームをアダプタ3に通知する。更に、アダプタ3は、加湿器11のメンテナンスを促すアラームをアクセスポイント4経由で通信網8と通信で接続する通信端末7に送信する。
【0019】
室外機10は、室内機2と冷媒配管で接続されており、図示しない室外ファンや圧縮機等が備えられている。例えば、室内機2、室外機10、アダプタ3及びリモコン9で空気調和機50が構成される。また、通信端末7は、利用者が持つスマートフォン等の端末装置である。
【0020】
次に、本実施例の空気調和システム1の動作について説明する。
図3は、メンテナンス報知処理に関わる空気調和システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【0021】
加湿器11は、室内機2に対して状態要求を10秒周期で通知する(ステップS11)。室内機2は、状態要求を受信した場合、室内機2の運転状態を示す状態情報を加湿器11に通知する(ステップS12)。つまり、加湿器11は、10秒周期毎に室内機2の新たな状態情報を順次取得する。
【0022】
室内機2内の判定部21は、運転モードが暖房運転である場合に、加湿器11からの10秒周期毎の状態要求の受信が途絶えると、加湿器11との通信状態のオフライン(通信の断絶)を検出する(ステップS13)。室内機2内の判定部21は、加湿器11との通信状態のオフラインを検出した場合、オフラインタイマを起動する(ステップS14)。尚、オフラインタイマは、加湿器11との通信状態のオフライン、すなわち加湿器11との通信の断絶を検出してから2週間を監視するタイマである。ここで室内機2内の判定部21は、運転モードが冷房または除湿運転である場合には、通信状態のオフラインを検出しない。加湿器が使われない期間に、不要なアラームを報知することを防止できる。
【0023】
室内機2内の報知部22は、オフラインタイマがタイムアップした場合(ステップS15)、加湿器11との通信状態のオフラインから2週間が経過したものと判断し、加湿器11のメンテナンス作業を促すアラームをアダプタ3に報知する(ステップS16)。室内機2は、オフラインタイマのタイムアップ前に状態要求を受信した場合は、室内機2の運転状態を示す状態情報を加湿器11に通知するとともに、加湿器11との通信状態のオフラインを検出する前の動作を行う。
【0024】
アダプタ3は、加湿器11のメンテナンス作業を促すアラームを通信端末7に通知する(ステップS17)。通信端末7は、アラームを受信した場合、
図4に示すようにアラーム表示し(ステップS18)、
図3に示す処理動作を終了する。
図4は、通信端末7のアラーム表示の一例を示す説明図である。通信端末7は、アラームを受信した場合、アラーム表示を表示部に表示する。アラーム表示は、「空気調和機に連動している加湿器のメンテナンスをおすすめします」である。通信端末7の利用者は、アラーム表示を視認して加湿器11のメンテナンスの必要性を認識できる。利用者は、加湿器11をメンテナンスすることで、例えば、加湿器11内の給水タンクの残水を無くすことで給水タンク内の雑菌繁殖を予防できる。
【0025】
本実施例の室内機2は、加湿器11との10秒周期の通信の断絶の検出から2週間を経過した場合に加湿器11のメンテナンス要求のアラームを通信端末7に報知する。その結果、通信端末7の利用者は、加湿器11のメンテナンスを失念していたとしても、アラームに対応したアラーム表示を視認して加湿器11のメンテナンスの必要性を認識できる。また、加湿器11の通信状態がオフラインの状態でも加湿器11のメンテナンスを利用者に報知できる。
【0026】
室内機2は、室内機2と接続するアダプタ3にアラームを報知する。アダプタ3は、室内機2からのアラームに応じてランプ等で点灯表示しても良く。この場合、利用者は、アダプタ3のランプ等の点灯表示を視認して加湿器11のメンテナンスの必要性を認識できる。
【0027】
尚、説明の便宜上、室内機2は、加湿器11のメンテナンスを促すアラームをアダプタ3及びアダプタ3経由で通信端末7に報知する場合を例示したが、これらに限定されるものではなく、例えば、アダプタ3経由で空気調和機の管理装置にアラームを報知したり、リモコン9にアラームを報知しても良く、適宜変更可能である。
【0028】
通信端末7は、室内機2からのアラームに応じてアラーム表示を表示する場合を例示したが、例えば、アラームを通信端末7に備えたランプ等で点灯表示、音声等でアラームを音響出力しても良く、適宜変更可能である。
【0029】
メンテナンスの内容は、加湿器の給水タンクの清掃を例示したが、例えば、空気清浄機のフィルタ清掃や、扇風機の羽根の清掃を促すものでも良く、適宜変更可能である。
【0030】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0031】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
2 室内機
2C 検出部
2F 第2の通信部
3 アダプタ
7 通信端末
9 リモコン
21 判定部
22 報知部
11 加湿器
50 空気調和機