(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】後処理装置、画像形成装置、後処理方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/34 20060101AFI20240214BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20240214BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240214BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H31/34
B65H31/30
B65H37/04 D
G03G15/00 431
B65H43/04
(21)【出願番号】P 2019213023
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】天井 諒
(72)【発明者】
【氏名】岩本 和久
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-320726(JP,A)
【文献】特開2009-126627(JP,A)
【文献】特開平08-099754(JP,A)
【文献】特開2001-316026(JP,A)
【文献】特開2019-136946(JP,A)
【文献】特開2015-124069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/34-31/40
B65H 31/30
B65H 37/04
G03G 15/00
B65H 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート載置部から搬送される複数枚のシートが積載されるシート積載部と、
前記シート積載部に積載された複数枚のシートを綴じる綴じ処理部と、
前記綴じ処理部によって綴じられたシート束を前記シート積載部から排出する排出部と、
前記シート積載部に一又は複数枚のシートが搬送されるごとに当該シート積載部に積載されたシートに接触する第1位置と当該シートから離間する第2位置との間で移動する整合部と、
前記排出部による前記シート束の排出失敗を検出する検出処理部と、
前記検出処理部によって前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作を停止可能な停止処理部と、
を備え
、
前記停止処理部は、前記検出処理部によって前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作とともに前記シート載置部からのシートの搬送を停止可能であって、
前記停止処理部は、前記シート束の重量が予め定められた基準値を超える場合に前記整合部の動作及びシートの搬送を停止させ、前記基準値以下である場合は前記整合部の動作及びシートの搬送を停止させない、
後処理装置。
【請求項2】
前記整合部は、前記シート積載部において前記排出部による前記シート束の排出方向に直交する幅方向に移動する、
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記シート積載部からのシートの排出を検出可能なシートセンサーを備え、
前記検出処理部は、前記シートセンサーを用いて前記排出失敗を検出する、
請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
電流の供給を受けて前記整合部を移動させる駆動部を備え、
前記検出処理部は、前記駆動部に流れる電流に基づいて前記排出失敗を検出する、
請求項1又は2に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記検出処理部によって前記排出失敗が検出された場合にその旨を報知する報知処理部を備える、
請求項1~4のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項6】
請求項
1~5のいずれかに記載の後処理装置と、
前記シート載置部と、
前記シート載置部から前記シート積載部へ搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
シート載置部から搬送される複数枚のシートが積載されるシート積載部と、前記シート積載部に積載された複数枚のシートを綴じる綴じ処理部と、前記綴じ処理部によって綴じられたシート束を前記シート積載部から排出する排出部と、前記シート積載部に一又は複数枚のシートが搬送されるごとに当該シート積載部に積載されたシートに接触する第1位置と当該シートから離間する第2位置との間で移動する整合部と、を備える後処理装置で実行される後処理方法であって、
前記排出部による前記シート束の排出失敗を検出することと、
前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作を停止可能なことと、
を含
み、
前記後処理方法では、前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作とともに前記シート載置部からのシートの搬送が停止可能であって、
前記後処理方法では、前記シート束の重量が予め定められた基準値を超える場合に前記整合部の動作及びシートの搬送が停止され、前記基準値以下である場合は前記整合部の動作及びシートの搬送が停止されない、
後処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置、画像形成装置、及び後処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷後の複数枚のシートを綴じる綴じ処理を実行可能な画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、この種の画像形成装置では、連続して搬送される複数枚のシートのそれぞれに原稿の画像が印刷されて、当該複数枚のシートがシート積載部に積載される。前記シート積載部では、シートが積載されるごとに、当該シートの姿勢が整合部によって整えられる。前記シート積載部に所定枚数のシートが積載されると、当該所定枚数のシートが綴じ処理部によって綴じられる。そして、前記綴じ処理部によって綴じられたシート束は、排出部によって前記シート積載部から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記排出部による前記シート束の排出が失敗して、前記シート束が前記シート積載部に残存することがある。この場合、前記シート積載部に残存する前記シート束が前記整合部の動作を阻害して、当該整合部を駆動するモーターなどの駆動部が故障することがある。
【0005】
本発明の目的は、綴じ処理後のシート束の排出失敗に起因する故障の発生を回避可能な後処理装置、画像形成装置、及び後処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る後処理装置は、シート積載部と、綴じ処理部と、排出部と、整合部と、検出処理部と、停止処理部とを備える。前記シート積載部は、シート載置部から搬送される複数枚のシートが積載される。前記綴じ処理部は、前記シート積載部に積載された複数枚のシートを綴じる。前記排出部は、前記綴じ処理部によって綴じられたシート束を前記シート積載部から排出する。前記整合部は、前記シート積載部に一又は複数枚のシートが搬送されるごとに当該シート積載部に積載されたシートに接触する第1位置と当該シートから離間する第2位置との間で移動する。前記検出処理部は、前記排出部による前記シート束の排出失敗を検出する。前記停止処理部は、前記検出処理部によって前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作を停止可能である。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記後処理装置と、前記シート載置部と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、前記シート載置部から前記シート積載部へ搬送されるシートに画像を形成する。
を備える
【0008】
本発明の他の局面に係る後処理方法は、シート載置部から搬送される複数枚のシートが積載されるシート積載部と、前記シート積載部に積載された複数枚のシートを綴じる綴じ処理部と、前記綴じ処理部によって綴じられたシート束を前記シート積載部から排出する排出部と、前記シート積載部に一又は複数枚のシートが搬送されるごとに当該シート積載部に積載されたシートに接触する第1位置と当該シートから離間する第2位置との間で移動する整合部と、を備える後処理装置で実行され、前記排出部による前記シート束の排出失敗を検出することと、前記排出失敗が検出された場合に前記整合部の動作を停止可能なことと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、綴じ処理後のシート束の排出失敗に起因する故障の発生を回避可能な後処理装置、画像形成装置、及び後処理方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の外観構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の後処理装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシート積載部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置10の構成]
まず、
図1~
図5を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。ここで、
図2は画像形成部3、及びシート搬送部4の構成を示す断面図である。また、
図3は後処理装置5の構成を示す断面図である。また、
図4はスタックトレイ54の構成を示す平面図である。
【0013】
画像形成装置10は、原稿から画像データを読み取るスキャン機能、及び画像データに基づいて画像を形成するプリント機能と共に、ファクシミリ機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。なお、画像形成装置10は、プリンター装置、ファクシミリ装置、又はコピー機などであってもよい。
【0014】
図1及び
図5に示されるように、画像形成装置10は、ADF(自動原稿搬送装置)1、画像読取部2、画像形成部3、シート搬送部4、後処理装置5、操作表示部7、及び制御部8を備える。
【0015】
ADF1は、不図示の原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する。画像読取部2は、不図示の原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCDを備え、原稿から画像データを読み取ることが可能である。
【0016】
画像形成部3は、画像読取部2で読み取られた画像データに基づいて電子写真方式で画像を形成する画像形成処理(印刷処理)を実行することが可能である。また、画像形成部3は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて前記印刷処理を実行することも可能である。
図2に示されるように、画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、光走査装置33、現像装置34、転写ローラー35、クリーニング装置36、及び定着部37を備える。
【0017】
シート搬送部4は、画像形成部3による画像形成位置を経由してシートを後処理装置5に搬送する。
図2に示されるように、シート搬送部4は、4つの給紙ユニット41、第1搬送路42、複数の搬送ローラー43、及びレジストローラー44を備える。
【0018】
4つの給紙ユニット41は、それぞれ給紙カセット411(本発明のシート載置部の一例)、ピックアップローラー412、及び給紙ローラー413を備える。給紙カセット411には、画像の形成に用いられるシートが載置される。例えば、給紙カセット411に載置されるシートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどを含む。ピックアップローラー412は、給紙カセット411に載置された複数枚のシートのうち、最上位に位置するシートを給紙ローラー413に搬送する。給紙ローラー413は、ピックアップローラー412により搬送されたシートを第1搬送路42に搬送する。
【0019】
第1搬送路42は、給紙カセット411各々と後処理装置5とを接続するシートの移動通路である。例えば、第1搬送路42は、画像形成装置10の筐体内部に設けられた一対のガイド部材により形成される。第1搬送路42には、シートの搬送に用いられる複数の搬送ローラー43及びレジストローラー44が設けられる。シート搬送部4では、シートが複数の搬送ローラー43及びレジストローラー44により
図2に示される搬送方向D1に搬送される。
【0020】
画像形成部3では、シート搬送部4から搬送されるシートに以下の手順で画像が形成される。
【0021】
まず、帯電装置32により感光体ドラム31の表面が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置33により感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0022】
そして、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像は現像装置34によってトナー像として現像(可視像化)される。現像装置34により現像されたトナー像は、
図2に示される矢印方向に回転する感光体ドラム31により転写ローラー35による転写位置(画像形成位置)まで搬送される。なお、現像装置34には、画像形成部3に着脱可能な不図示のトナーコンテナからトナーが補給される。
【0023】
一方、シート搬送部4は、画像形成部3による画像形成動作と並行して、前記画像形成位置にシートを搬送する。例えば、4つの給紙ユニット41のうち、給紙ユニット41A(
図2参照)の給紙カセット411が給紙元に設定されている場合、当該給紙カセット411に載置されている複数枚のシートが当該給紙カセット411の底部に設けられた不図示のリフト板によりピックアップローラー412との接触位置まで持ち上げられる。ピックアップローラー412は、前記リフト板によって持ち上げられた複数枚のシートのうち最上位に位置するシートを取り出す。ピックアップローラー412により取り出されたシートは、給紙ローラー413により第1搬送路42に搬送される。給紙ローラー413により第1搬送路42に搬送されたシートは、搬送ローラー43によりレジストローラー44まで搬送される。
【0024】
レジストローラー44は、感光体ドラム31によるトナー像の前記画像形成位置への搬送タイミングに合わせて、シートを前記画像形成位置に送出する。例えば、第1搬送路42には、シートの通過を検出する不図示のセンサーが、レジストローラー44の配置位置よりも搬送方向D1の上流側に設けられている。制御部8は、前記センサーによるシートの通過の検出タイミングに基づいて、前記搬送タイミングに合致するレジストローラー44によるシートの送出タイミングを設定する。そして、レジストローラー44は、制御部8により設定された前記送出タイミングに基づいて、シートを前記画像形成位置に送出する。これにより、前記送出タイミングで前記画像形成位置に送出されたシートの表面に、前記搬送タイミングで搬送されるトナー像が転写ローラー35により転写される。
【0025】
なお、転写ローラー35によるトナー像の転写後に感光体ドラム31の表面に残存したトナーは、クリーニング装置36により除去される。例えば、クリーニング装置36では、感光体ドラム31の表面に残存したトナーがブレード状のクリーニング部材により除去される。そして、前記クリーニング部材により除去されたトナーは、搬送スクリューにより不図示のトナー収容容器まで搬送されて回収される。
【0026】
前記画像形成位置でトナー像が転写されたシートは、搬送ローラー43により定着部37に搬送される。定着部37では、加熱ローラー及び加圧ローラーによりシートに転写されたトナー像が加熱圧縮される。これにより、トナー像がシートに溶融定着する。定着部37によってトナー像が定着されたシートは、搬送ローラー43により後処理装置5に搬送される。
【0027】
後処理装置5は、シート搬送部4から搬送される画像形成後のシートに対して穿孔処理(パンチ処理)及びステープル処理などの後処理を行う。
図3~
図5に示されるように、後処理装置5は、第2搬送路51、複数の搬送ローラー52、パンチ部53、スタックトレイ54(本発明のシート積載部の一例)、ステープル部55(本発明の綴じ処理部の一例)、排出ローラー56(本発明の排出部の一例)、排出トレイ57、一対の整合部61、シートセンサー62、及び駆動部63を備える。
【0028】
第2搬送路51は、第1搬送路42と排出トレイ57とを接続するシートの移動通路である。第2搬送路51には、シートの搬送に用いられる複数の搬送ローラー52が設けられる。後処理装置5では、シートが複数の搬送ローラー52により
図4に示される搬送方向D1に搬送される。
【0029】
パンチ部53は、第2搬送路51に設けられ、第2搬送路51を搬送されるシートにパンチ穴をあけるパンチ処理を実行する。スタックトレイ54は、第2搬送路51におけるパンチ部53よりも搬送方向D1の下流側に設けられる。スタックトレイ54には、給紙カセット411から搬送される複数枚のシートが積載される。ステープル部55は、スタックトレイ54に積載された複数枚のシートに対して当該複数枚のシートをステープルで綴じるステープル処理を実行する。排出ローラー56は、ステープル部55によって前記ステープル処理が実行されたシート束を排出方向D2(
図4参照)に搬送して、当該シート束をスタックトレイ54から排出トレイ57に排出する。
【0030】
一対の整合部61は、スタックトレイ54に積載されたシートの姿勢を整える。
【0031】
具体的に、一対の整合部61のうちの一方である整合部61Aは、スタックトレイ54の上面に設けられた板状部材である。整合部61Aは、スタックトレイ54において排出方向D2に直交する幅方向D3(
図4参照)に移動可能に設けられる。また、一対の整合部61のうちの他方である整合部61Bは、スタックトレイ54の上面において整合部61Aに対向して設けられた板状部材である。整合部61Bは、スタックトレイ54において整合部61Aに連動して幅方向D3に移動可能に設けられる。例えば、整合部61A及び整合部61Bは、スタックトレイ54の内部に設けられた不図示のラックアンドピニオンにより、幅方向D3において互いに近接又は離間する方向へ連動可能に設けられる。
【0032】
整合部61Aは、駆動部63から供給される駆動力を受けて、
図4に示される接触位置P11(本発明における第1位置の一例)と離間位置P21(本発明における第2位置の一例)との間を移動する。接触位置P11は、整合部61Aがスタックトレイ54に積載されたシートに接触する位置である。接触位置P11は、スタックトレイ54に積載されるシートのサイズに応じて変化する。
図4では、接触位置P11に移動された整合部61Aが破線によって示されている。離間位置P21は、整合部61Aがスタックトレイ54に積載されたシートから離間する位置である。
【0033】
整合部61Bは、整合部61Aの動作に連動して、
図4に示される接触位置P12と離間位置P22との間を移動する。接触位置P12は、整合部61Bがスタックトレイ54に積載されたシートに接触する位置である。接触位置P12は、スタックトレイ54に積載されるシートのサイズに応じて変化する。
図4では、接触位置P12に移動された整合部61Bが破線によって示されている。離間位置P22は、整合部61Bがスタックトレイ54に積載されたシートから離間する位置である。
【0034】
整合部61Aは、スタックトレイ54に一枚のシートが搬送されるごとに、接触位置P11と離間位置P21との間で移動する。また、整合部61Bは、整合部61Aに連動して、接触位置P12と離間位置P22との間で移動する。
【0035】
具体的に、整合部61Aは、スタックトレイ54にシートが搬送されると、離間位置P21から接触位置P11へ移動する。また、整合部61Bは、整合部61Aに連動して、離間位置P22から接触位置P12へ移動する。これにより、スタックトレイ54に積載されたシートの幅方向D3における位置が整えられる。その後、整合部61Aは、接触位置P11から離間位置P21へ移動する。また、整合部61Bは、整合部61Aに連動して接触位置P12から離間位置P22へ移動する。一対の整合部61は、以上の整合処理をスタックトレイ54に一枚のシートが搬送されるごとに実行する。なお、前記整合処理は、スタックトレイ54に所定数のシートが搬送されるごとに実行されてもよい。
【0036】
なお、後処理装置5は、整合部61A及び整合部61Bのいずれか一方のみを備えていてもよい。また、後処理装置5は、スタックトレイ54に積載されたシートにおける排出方向D2の位置を調整可能な整合部を備えていてもよい。
【0037】
シートセンサー62は、スタックトレイ54からのシートの排出を検出可能である。例えば、シートセンサー62は、スタックトレイ54におけるシート積載面に設けられた反射型の光センサーである。
【0038】
駆動部63は、電流の供給を受けて一対の整合部61を移動させる。例えば、駆動部63はモーターである。
【0039】
操作表示部7は、制御部8からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザー操作に応じて制御部8に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0040】
制御部8は、CPU8A、ROM8B、及びRAM8Cなどの制御機器を備える。CPU8Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM8Bは、CPU8Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。RAM8Cは、CPU8Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶装置である。制御部8では、CPU8AによりROM8Bに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部8により統括的に制御される。なお、制御部8は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0041】
制御部8は、複数ページを有する原稿を複数部印刷して、印刷された部単位の印刷物各々をステープルで綴じて出力する特定印刷処理を実行可能である。具体的に、制御部8は、前記特定印刷処理の実行指示が入力された場合に、シート搬送部4を制御して、給紙元に設定された給紙カセット411からシートを順次搬送する。また、制御部8は、画像形成部3を制御して、シート搬送部4によって搬送されるシート各々に原稿のページ画像を印刷する。また、制御部8は、後処理装置5を制御して、スタックトレイ54にシートが搬送されるごとに、一対の整合部61に前記整合処理を実行させる。そして、制御部8は、スタックトレイ54に部単位の印刷物に対応する複数枚のシートが積載されるごとに、ステープル部55に前記ステープル処理を実行させて、当該ステープル処理後のシート束を排出トレイ57に排出させる。
【0042】
ところで、排出ローラー56による前記ステープル処理後のシート束の排出が失敗して、当該シート束がスタックトレイ54に残存することがある。この場合、スタックトレイ54に残存する前記ステープル処理後のシート束が一対の整合部61の動作を阻害して、一対の整合部61を駆動する駆動部63が故障することがある。
【0043】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、前記ステープル処理後のシート束の排出失敗に起因する故障の発生を回避することが可能である。
【0044】
具体的に、制御部8のROM8Bには、制御部8のCPU8Aに後述の動作制御処理(
図6のフローチャート参照)を実行させるための動作制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記動作制御プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて画像形成装置10に設けられる不揮発性の記憶装置にインストールされてもよい。
【0045】
そして、制御部8は、
図5に示されるように、検出処理部81、停止処理部82、及び報知処理部83を含む。具体的に、制御部8は、CPU8Aを用いてROM8Bに記憶されている前記動作制御プログラムを実行する。これにより、制御部8は、検出処理部81、停止処理部82、及び報知処理部83として機能する。ここで、後処理装置5、及び制御部8を備える構成が、本発明における後処理装置の一例である。
【0046】
検出処理部81は、排出ローラー56による前記ステープル処理後のシート束の排出失敗を検出する。
【0047】
例えば、検出処理部81は、シートセンサー62を用いて前記排出失敗を検出する。具体的に、検出処理部81は、排出ローラー56によるシート束の排出動作後にシートセンサー62によってスタックトレイ54上に残存するシートが検出される場合に、前記排出失敗を検出する。
【0048】
なお、検出処理部81は、駆動部63に流れる電流に基づいて前記排出失敗を検出してもよい。具体的に、検出処理部81は、排出ローラー56によるシート束の排出動作後の最初の一対の整合部61の駆動の際に駆動部63に流れる電流が予め定められた許容値を超える場合に、前記排出失敗を検出してもよい。なお、前記許容値は、前記排出失敗の状態で一対の整合部61の駆動させた場合に駆動部63に流れる電流に基づいて定めることが可能である。
【0049】
停止処理部82は、検出処理部81によって前記排出失敗が検出された場合に、一対の整合部61の動作とともに給紙カセット411からのシートの搬送を停止可能である。換言すると、停止処理部82は、検出処理部81によって前記排出失敗が検出された場合に、前記特定印刷処理を停止可能である。
【0050】
具体的に、停止処理部82は、排出に失敗したシート束の重量が予め定められた基準値を超える場合に、一対の整合部61の動作及び給紙カセット411からのシートの搬送を停止させる。一方、停止処理部82は、排出に失敗したシート束の重量が前記基準値以下である場合は、一対の整合部61の動作及び給紙カセット411からのシートの搬送を停止させない。なお、シート束の重量は、スタックトレイ54に積載されたシートの枚数と、予め画像形成装置10に登録されたシート一枚当たりの重量とに基づいて算出可能である。また、前記基準値は、前記排出失敗の状態で一対の整合部61の駆動させた場合における排出に失敗したシート束の重量と駆動部63における故障発生の有無との関係を調査する実験の結果に基づいて、駆動部63において故障が発生しないシート束の重量の範囲内で定めることが可能である。
【0051】
なお、停止処理部82は、排出に失敗したシート束の重量に関わらず、一対の整合部61の動作及び給紙カセット411からのシートの搬送を停止させてもよい。また、停止処理部82は、検出処理部81によって前記排出失敗が検出された場合に、一対の整合部61の動作だけを停止可能であってもよい。
【0052】
報知処理部83は、検出処理部81によって前記排出失敗が検出された場合に、その旨を報知する。例えば、報知処理部83は、ジャムが発生した旨及びジャムの発生場所がスタックトレイ54である旨を示す報知画面を操作表示部7に表示させて、前記検出失敗が検出された旨を報知する。なお、報知処理部83は、後処理装置5に設けられた不図示の警告ランプを点灯させることで、前記排出失敗が検出された旨を報知してもよい。
【0053】
なお、制御部8は、報知処理部83を含んでいなくてもよい。
【0054】
[動作制御処理]
以下、
図6を参照しつつ、画像形成装置10において制御部8により実行される動作制御処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部8により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記動作制御処理は、前記特定印刷処理の実行指示が入力された場合に、当該特定印刷処理とともに実行される。
【0055】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部8は、前記特定印刷処理が終了したか否かを判断する。
【0056】
ここで、制御部8は、前記特定印刷処理が終了したと判断すると(S11のYes側)、前記動作制御処理を終了させる。また、前記特定印刷処理が終了していなければ(S11のNo側)、制御部8は、処理をステップS12に移行させる。
【0057】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部8は、前記排出失敗を検出したか否かを判断する。ここで、ステップS12の処理は、制御部8の検出処理部81により実行される。
【0058】
ここで、制御部8は、前記排出失敗を検出したと判断すると(S12のYes側)、処理をステップS13に移行させる。また、前記排出失敗を検出していなければ(S12のNo側)、制御部8は、処理をステップS11に移行させる。
【0059】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部8は、排出に失敗したシート束の重量が前記基準値を超えるか否かを判断する。
【0060】
ここで、制御部8は、排出に失敗したシート束の重量が前記基準値を超えると判断すると(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させる。また、排出に失敗したシート束の重量が前記基準値を超えなければ(S13のNo側)、制御部8は、処理をステップS11に移行させる。これにより、駆動部63が故障しない、又はその可能性が低い場合にまで前記特定印刷処理が停止されることを回避可能である。
【0061】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部8は、前記特定印刷処理を停止させる。ここで、ステップS13及びステップS14の処理は、制御部8の停止処理部82により実行される。
【0062】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部8は、前記排出失敗が検出された旨を報知する。具体的に、制御部8は、前記報知画面を操作表示部7に表示させる。ここで、ステップS15の処理は、制御部8の報知処理部83により実行される。
【0063】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部8は、シート束が除去されたか否かを判断する。例えば、制御部8は、シートセンサー62を用いてシート束の除去を検出する。また、制御部8は、前記報知画面において予め定められた操作が行われた場合に、シート束が除去されたと判断してもよい。
【0064】
ここで、制御部8は、シート束が除去されたと判断すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。また、シート束が除去されていなければ(S16のNo側)、制御部8は、ステップS16でシート束が除去されるのを待ち受ける。
【0065】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部8は、前記特定印刷処理を再開させる。
【0066】
このように、画像形成装置10では、スタックトレイ54において前記排出失敗が検出された場合に、前記特定印刷処理が停止される。これにより、前記ステープル処理後のシート束の排出失敗に起因する故障の発生を回避することが可能である。
【0067】
なお、画像形成部3は、インクジェット方式のような電子写真方式とは異なる画像形成方式で画像を形成するものであってもよい。
【0068】
また、後処理装置5は、ステープル部55に替えて、スタックトレイ54に積載されたシート束に対して前記ステープル処理とは異なる綴じ処理を実行する後処理部を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ADF
2 画像読取部
3 画像形成部
4 シート搬送部
5 後処理装置
7 操作表示部
8 制御部
10 画像形成装置
41 給紙ユニット
51 第2搬送路
52 搬送ローラー
53 パンチ部
54 スタックトレイ
55 ステープル部
56 排出ローラー
57 排出トレイ
61 一対の整合部
62 シートセンサー
63 駆動部
81 検出処理部
82 停止処理部
83 報知処理部
411 給紙カセット