(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240214BHJP
B65H 31/36 20060101ALI20240214BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20240214BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H31/36
B65H43/00
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2019213024
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】天井 諒
(72)【発明者】
【氏名】岩本 和久
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234727(JP,A)
【文献】特開2014-114108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159304(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103863887(CN,A)
【文献】特開2010-260660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
B65H 37/00- 37/06
B65H 41/00
B65H 45/00- 47/00
G03G 15/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00- 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理後のシートを搬送して所定のシートトレイに排出するシート排出部と、
予め定められた所定動作を行うとともに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第1搬送制御モードと、前記所定動作を行わずに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第2搬送制御モードとのいずれかの搬送制御モードに基づいて前記シート排出部によるシートの搬送を制御する搬送制御部と、
画像処理後のシートに対して予め定められた後処理を行う後処理部と、を備え
、
前記搬送制御部は、
前記シート排出部によって搬送されるシートに対して前記後処理部による前記後処理が実行される場合に、前記第1搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御し、
前記シート排出部によって搬送されるシートに対して前記後処理部による前記後処理が実行されない場合に、前記第2搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御する、シート搬送装置。
【請求項2】
前記シート排出部によって複数枚のシートが連続搬送される場合に、
前記搬送制御部は、
シートの連続搬送枚数が予め定められた閾値以上である場合に、前記第1搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御し、
シートの連続搬送枚数が前記閾値未満である場合に、前記第2搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御する、請求項
1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート排出部によってシートが排出される排出口の近傍に設けられ、駆動源からの駆動力を受けることにより前記排出口から排出されるシート又は前記シートトレイ上のシートを整合する整合動作を行う整合部材を更に備え、
前記所定動作は、シートが排出される際に行われる前記整合部材による前記整合動作である、請求項1
又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートに対して画像処理を行う画像処理部と、
画像処理後のシートを搬送して所定のシートトレイに排出するシート排出部と、
予め定められた所定動作を行うとともに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第1搬送制御モードと、前記所定動作を行わずに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第2搬送制御モードとのいずれかの搬送制御モードに基づいて前記シート排出部によるシートの搬送を制御する搬送制御部と、
画像処理後のシートに対して予め定められた後処理を行う後処理部と、を備え
、
前記搬送制御部は、
前記シート排出部によって搬送されるシートに対して前記後処理部による前記後処理が実行される場合に、前記第1搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御し、
前記シート排出部によって搬送されるシートに対して前記後処理部による前記後処理が実行されない場合に、前記第2搬送制御モードに基づいてシートの搬送を制御する、画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理後のシートを排出するシート排出部を備えるシート搬送装置、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置から排出されるシートに対してステープル処理や穿孔処理(パンチ処理ともいう。)などの後処理を行うシート処理装置が知られている。このシート処理装置は、画像形成装置と連結して使用される。前記シート処理装置は、画像形成後のシートに対して前記後処理を行うように設定されている場合に、画像形成装置からシート処理装置内に搬送された画像形成後のシートに対して前記後処理を行い、所定のシートトレイにシートを排出する。また、前記シート処理装置は、前記後処理を行うように設定されていない場合に、画像形成装置からシート処理装置内に搬送された画像形成後のシートに対して前記後処理を行わずに、当該シートをシートトレイに排出する。
【0003】
従来、シート台に載置されたシート束を整える整合処理を施す整合機構を備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、所定の条件を満たした場合に、整合機構による整合処理を高速に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排出されるシートに対して整合処理を行う機構を備える装置においては、シートに対して整合処理を行った後に、次に排出されるシートに対して整合処理を行うために、整合部材を整合処理前の初期位置に戻す必要がある。しかしながら、整合部材を初期位置に戻すための所要時間は、連続して排出されるシートの排出タイミングを制限することになる。つまり、次のシートが排出されるまでのシート間隔を少なくとも前記所要時間以上とする必要がある。このため、前記シート間隔を前記所要時間未満とすることができず、シートの排出速度の高速化を実現することができない。かかる問題は、シートに対して整合部材によって整合処理を行う場合に限らず、シートが排出される前に予め定められた初期動作や初期化処理などを行う場合にも生じ得る。
【0006】
本発明の目的は、シートの排出速度を高速化することが可能なシート搬送装置、及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るシート搬送装置は、シート排出部と、搬送制御部と、を備える。前記シート排出部は、画像処理後のシートを搬送して所定のシートトレイに排出する。前記搬送制御部は、予め定められた所定動作を行うとともに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第1搬送制御モードと、前記所定動作を行わずに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第2搬送制御モードとのいずれかの搬送制御モードに基づいて前記シート排出部によるシートの搬送を制御する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像処理装置は、画像処理部と、シート排出部と、搬送制御部と、を備える。前記画像処理部は、シートに対して画像処理を行う。前記シート排出部は、画像処理後のシートを搬送して所定のシートトレイに排出する。前記搬送制御部は、予め定められた所定動作を行うとともに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第1搬送制御モードと、前記所定動作を行わずに前記シート排出部によるシートの搬送処理を行う第2搬送制御モードとのいずれかの搬送制御モードに基づいて前記シート排出部によるシートの搬送を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの排出速度を高速化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る複合機の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の複合機が備える画像形成装置の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の複合機が備えるシート処理装置の内部構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のシート処理装置及び
図2の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4の制御部が実行するシート搬送処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る複合機1(本発明の画像処理装置の一例)は、シート処理装置30と画像形成装置10とを備えており、画像形成装置10からシート処理装置30に印刷用紙(本発明のシートの一例)が搬送可能なようにシート処理装置30が画像形成装置10に連結されている。
【0013】
[画像形成装置10]
画像形成装置10は、プリンターや複写機、ファクシミリなどの各機能を備える。
図1に示すように、画像形成装置10の側面にシート処理装置30が連結されている。画像形成装置10は、入力された画像データに基づく画像をトナーなどの印刷材料を用いて、印刷用紙に印刷する。なお、画像形成装置10は複数の機能を有するものに限られず、プリンターやファクシミリ、複写機などのように単機能を有するものであってもよい。
【0014】
画像形成装置10は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データや、画像形成装置10の上部に配置されたスキャナー11によって読み取られた画像データに基づいて、印刷用紙に画像を印刷する。
図2に示すように、画像形成装置10は、主として、スキャナー11と、操作表示部12と、電子写真方式の画像形成部18と、定着部19と、排出シート保持部21と、シート搬送部15と、記憶部17と、を備える。また、シート搬送部15は、給紙部151と、複数の搬送ローラー対152と、排出ローラー対153と、を含む。また、画像形成装置10は、シート処理装置30を含む複合機1を統括的に制御する制御部100(本発明の搬送制御部の一例、
図4参照)を備える。これらの要素は、画像形成装置10の外枠のカバーや内部フレームを構成する筐体14の内部に設けられている。
【0015】
なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部18を備える画像形成装置10を例示するが、画像形成装置10は、例えば、インクジェット記録方式に基づいて印刷用紙に画像を形成するものであってもよい。
【0016】
図2に示すように、給紙部151は、画像形成装置10の下部に設けられている。給紙部151は、上下方向に4つ配列されている。給紙部151は、給紙トレイ16に収容された印刷用紙を画像形成部18へ給送する。給紙部151によって画像形成部18に給送された印刷用紙は、画像形成部18によってトナー像が表面に転写された後に、定着部19へ搬送される。なお、画像形成部18は、LSUや感光体ドラム、現像部、帯電部、転写部などを有する周知の機構であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0017】
定着部19は、IHヒーターなどの加熱部を有しており、印刷用紙に転写されたトナー像を熱によってその印刷用紙に定着させる。印刷用紙が定着部19を通過する過程において、定着部19から熱が供給されることによりトナーが溶融される。これにより、トナー像が印刷用紙に定着して、印刷用紙に画像が定着する。定着部19によって画像が定着された印刷用紙は、定着部19よりも印刷用紙の搬送方向の下流側に形成された搬送路28へ送り出される。搬送路28に送り出された印刷用紙は、搬送路28に沿って設けられた複数の搬送ローラー対152によって更に印刷用紙の搬送方向の下流側へ搬送される。
【0018】
搬送路28は、定着部19までは筐体14内を水平方向へ延出され、定着部19の下流側から上方へ湾曲されて、鉛直上方へまっすぐに延びている。定着部19よりも下流側において、搬送路28は2つに分岐している。搬送路28の一方の分岐路28Aは用紙排出口22に至っており、もう一方の分岐路28Bは筐体14の左側面14Aに形成された搬送中継口27に至っている。また、分岐路28Aと分岐路28Bとの分岐点には、モーターやソレノイドなどの不図示の駆動部によって揺動されるフラップ25が設けられている。
【0019】
フラップ25は、印刷用紙が画像形成装置10の上部に設けられた排出シート保持部21へ排出される場合に、分岐路28Bを塞いで分岐路28Aに印刷用紙を案内可能な排紙位置に配置される。フラップ25が前記排紙位置にある場合、画像形成後の印刷用紙は搬送ローラー対152によって排出シート保持部21に排出される。また、フラップ25は、印刷用紙がシート処理装置30へ搬送される場合に、分岐路28Aを塞いで分岐路28Bに印刷用紙を案内可能な中継位置(
図2に示す位置)に配置される。
図2に示すように、分岐路28Bには、画像形成後の印刷用紙をシート処理装置30へ搬送する排出ローラー対153が設けられている。排出ローラー対153は、モーターなどによって回転駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに圧接された状態で従動する従動ローラーとによって構成されている。したがって、フラップ25が前記中継位置にある場合、画像形成後の印刷用紙は排出ローラー対153によってシート処理装置30へ搬送される。
【0020】
[シート処理装置30]
シート処理装置30は、画像形成装置10から搬送された印刷用紙に対してステープル処理や穿孔処理(パンチ処理)などの後処理を行う装置である。
図1に示すように、シート処理装置30は、画像形成装置10に連結されて用いられる。なお、シート処理装置30は、画像形成装置10から搬送された印刷用紙に前記後処理を行うものに限られない。例えば、シート処理装置30が不図示の外部トレイにセットされた印刷用紙を前記後処理が行われる位置まで搬送可能な搬送装置を備える場合は、シート処理装置30は、前記搬送装置によって搬送された用紙に対して前記後処理を行うものであってもよい。
【0021】
図3に示すように、シート処理装置30は、シート処理装置30の筐体の上側を構成する上部本体31と、前記筐体の下側を構成する下部本体32とを備える。本実施形態では、上部本体31に後処理を行う各ユニットなどが備えられている。
【0022】
シート処理装置30は、穿孔ユニット33(本発明の後処理部の一例)と、収容容器110と、ステープルユニット35(本発明の後処理部の一例)と、シート排出部70(本発明のシート排出部の一例)と、上段トレイ36A(本発明のシートトレイの一例)と、下段トレイ36B(本発明のシートトレイの一例)と、スタックトレイ57と、シート整合部60(
図4参照)と、を備える。また、シート排出部70は、搬送ローラー対37と、排出ローラー対38,39と、搬送ローラー対40と、を含む。これらの要素は、上部本体31の内部に設けられている。
【0023】
上部本体31は、画像形成装置10との連結面44(
図3において右側面)に、搬入口46を有する。搬入口46は、画像形成装置10から搬送された画像形成後の印刷用紙を受け入れる入り口である。上部本体31の上部には、シート処理装置30から印刷用紙を外部に排出するための排出口47が設けられている。排出口47に連続するように上段トレイ36Aが設けられている。また、上部本体31の側面45(
図3において左側面)には、シート処理装置30から印刷用紙を外部に排出するための排出口48が設けられている。排出口48に連続するように下段トレイ36Bが設けられている。上段トレイ36A及び下段トレイ36Bは、シート処理装置30から排出された複数枚の印刷用紙を上下に重ねた状態(積層状態)で保持する。
【0024】
上部本体31の内部に、搬送路50が設けられている。搬送路50は、上部本体31の内部において、搬入口46から内部側へ延びている。搬入口46から搬送路50に搬入した印刷用紙は、搬送路50を通ることによって、上部本体31の内部側へ向かう搬送方向へ案内される。
【0025】
印刷用紙の搬送経路は、搬送路50の終端から上部本体31の上面へ向かう搬送路51と、側面45へ向かう搬送路52とに分岐している。搬送路51は、排出口47に至っており、搬送路52は、ステープルユニット35を経て排出口48に至っている。
【0026】
シート排出部70は、画像形成装置10から搬入口46に搬送された画像処理後の印刷用紙を搬送して、上段トレイ36A又は下段トレイ36Bのいずれかに排出する。
【0027】
搬送ローラー対37は、搬送路50の搬送方向下流側の端部に設けられている。搬送ローラー対37は、駆動ローラー及び従動ローラーとから構成されており、画像形成装置10から搬送された印刷用紙を更に下流側へ搬送する。
【0028】
排出ローラー対39は、搬送路51の終端の排出口47の近傍に設けられている。排出ローラー対39は、駆動ローラー39Aと、従動ローラー39Bとから構成されており、搬送路51に搬送された印刷用紙を排出口47から排出する。駆動ローラー39Aは、図示しないモーターなどの駆動源から回転駆動力が伝達されることにより回転する。従動ローラー39Bが駆動ローラー39Aに接触した状態で駆動ローラー39Aが回転されることにより、排出ローラー対39による印刷用紙の排出が可能となる。
【0029】
排出ローラー対38は、搬送路52の終端の排出口48の近傍に設けられている。排出ローラー対38は、駆動ローラー38Aと、従動ローラー38Bとから構成されており、搬送路52に搬送された印刷用紙を排出口48から排出する。駆動ローラー38Aは、図示しないモーターなどの駆動源から回転駆動力が伝達されることにより回転する。従動ローラー38Bは、駆動ローラー38Aの上側に配置されており、駆動ローラー38Aに接触している。そのため、駆動ローラー38Aが回転されることによって従動ローラー38Bが回転する。従動ローラー38Bが駆動ローラー38Aに接触した状態で駆動ローラー38Aが回転されることにより、排出ローラー対38による印刷用紙の排出が可能となる。
【0030】
従動ローラー38Bは、駆動ローラー38Aに対して接離する方向へ移動可能に支持されている。従動ローラー38Bは、ソレノイドなどの駆動機構(不図示)によって駆動ローラー38Aに接触した位置から上方へ離間できるように構成されている。
【0031】
穿孔ユニット33は、搬入口46の近傍に設けられている。穿孔ユニット33は、画像形成装置10から搬送路50に搬入された印刷用紙に対して所定の後処理を行う。具体的には、穿孔ユニット33は、搬送路50に搬送された印刷用紙に対して穿孔処理を行う。搬送路50における所定位置に印刷用紙が搬送されると、一旦搬送が停止され、穿孔ユニット33によって印刷用紙の先端部(搬送方向下流側の端部)に孔が形成される。穿孔ユニット33による穿孔処理によって生じた穿孔カスは、穿孔ユニット33の下方に設けられた収容容器110に収容される。
【0032】
複合機1において穿孔処理を実行しないように設定されている場合は、印刷用紙は穿孔処理が行われないまま穿孔ユニット33を通過する。一方、前記穿孔処理を実行するように設定されている場合は、印刷用紙は穿孔ユニット33によって穿孔処理がなされた後に、更に搬送される。
【0033】
搬送路51と搬送路52の分岐点には、フラップ55が設けられている。モーターやソレノイドなどの不図示の駆動手段によってフラップ55が揺動されることによって、印刷用紙の排出経路が決定される。フラップ55が適宜の位置に揺動されることによって、印刷用紙が予め定められた到達位置へ搬送される。
【0034】
搬送路51,52それぞれには搬送ローラー対40が設けられている。搬送路51,52における印刷用紙は、搬送ローラー対40によって印刷用紙の搬送方向の下流側へ搬送される。
【0035】
図3に示すように、スタックトレイ57は、穿孔ユニット33よりも印刷用紙の搬送方向の下流側に設けられている。スタックトレイ57は、搬送路52の下方に設けられている。スタックトレイ57は、一方端(
図3の左端)が排出口48に位置している。また、スタックトレイ57は、排出口48から見て斜め下方に傾斜する方向へ延出されている。そして、その延出方向の先にステープルユニット35が設けられている。このため、スタックトレイ57の支持面58は、ステープルユニット35へ向けて斜め下方へ傾斜している。
【0036】
スタックトレイ57は、ステープル処理が行われない場合は、搬送ローラー対40の下流側における搬送路52の下側ガイド面を構成する。一方、ステープル処理が行われる場合は、スタックトレイ57は、ステープル処理の対象となる複数の印刷用紙を支持する役割を担う。この場合、スタックトレイ57は、搬送路52を通って搬送されてきた印刷用紙を順次支持するものであり、複数の印刷用紙を束状に積載して支持可能である。
【0037】
複合機1においてステープル処理を実行しないように設定されている場合、搬送ローラー対40によって搬送された印刷用紙はスタックトレイ57の支持面58に接触して案内されながら排出口48へ向けて移動する。その後、印刷用紙は、排出口48の近傍に設けられた排出ローラー対38によって下段トレイ36Bに排出される。
【0038】
一方、複合機1において前記ステープル処理を実行するように設定されている場合は、駆動ローラー38Aと従動ローラー38Bとが離間される。この状態で、搬送ローラー対40によって印刷用紙が排出口48へ向けて搬送されると、印刷用紙はスタックトレイ57の支持面58に沿って排出口48側へ移動する。駆動ローラー38Aと従動ローラー38Bとが離間しているため、印刷用紙が排出ローラー対38に到達しても、印刷用紙は排出ローラー対38によって搬送されることはない。そして、印刷用紙の後端部(搬送方向の上流側の端部)が搬送ローラー対40を通過すると、印刷用紙がスタックトレイ57側へ降下して支持面58に支持される。上述したように、支持面58は傾斜しているため、スタックトレイ57に印刷用紙が支持されると、支持された印刷用紙は、ステープルユニット35側へ移動する。具体的には、印刷用紙は、その自重によって支持面58に沿って斜め下方へ滑るようにして移動する。そして、印刷用紙の後端がスタックトレイ57の最下端のストッパー(不図示)に到達すると、印刷用紙は前記ストッパーに当接した位置(停止位置)で停止する。この動作が繰り返されることによって、複数枚の印刷用紙がスタックトレイ57における前記停止位置で支持される。
【0039】
シート整合部60(
図4参照)は、排出口47及び排出口48から排出される印刷用紙に対して整合処理を行う。具体的には、シート整合部60は、排出口47及び排出口48から排出される印刷用紙の排出方向を規制したり、上段トレイ36A及び下段トレイ36Bに積載された印刷用紙の後端部を整合させて、各トレイに積載された印刷用紙の束を揃える整合動作を行う。
【0040】
シート整合部60は、排出口47の近傍に設けられた整合部材61と、排出口48の近傍に設けられた整合部材62とを有する。整合部材61,62は、モーターなどの駆動源から回転駆動力を受けて回転するパドル状の部材(回転パドル部材)である。整合部材61は、排出口47及び排出ローラー対39の下方に設けられており、整合部材62は、排出口48及び排出ローラー対38の下方に設けられている。整合部材61,62は、いずれも、回転することによって、対応する各トレイ36A,36Bのシート載置面に積載された印刷用紙の後端部を上から押さえて整合させて、各トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙の束を揃える。これらの整合部材61,62は、回転駆動されることによって、各トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙の最上位面に当接して、最上位の印刷用紙を手前に引き寄せる役割を担っている。
【0041】
整合部材61,62は、制御部100によって駆動制御されることにより、印刷用紙が排出されるごとに上部本体31の内部に定められた初期位置に退避し、その初期位置で待機する。そして、排出口47,48からの印刷用紙が排出されると整合部材61,62は回転駆動されて、前記初期位置から各トレイ36A,36B側へ向けて回動し、印刷用紙の後端部に当接して印刷用紙を整合させる。
【0042】
なお、シート整合部60は、排出口47,48から排出される印刷用紙の幅方向の両端部それぞれに当接して、印刷用紙の幅方向での排出位置を規制する一対のサイドガイドを有していてもよい。前記サイドガイドは、幅方向へ移動可能に支持されており、モーターなどの駆動源から駆動力を受けることにより前記幅方向へ移動可能である。この構成において、制御部100は、印刷用紙が排出されるごとに前記サイドガイドの間隔を印刷用紙の幅サイズよりも大きくなる位置に前記サイドガイドを移動させ、排出口47,48から印刷用紙が排出されると、その印刷用紙を整合可能な位置に前記サイドガイドを移動させる。
【0043】
[制御部100の構成]
図4を参照して、制御部100の構成、及び制御部100により実行される処理について説明する。
図4に示すように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103などによって構成されるマイクロコンピューターである。制御部100は、例えば、ASICなどのICによって実現されてもよい。制御部100は、複合機1を統括的に制御する。
【0044】
制御部100は、画像形成装置10が備える記憶部17、操作表示部12、スキャナー11、画像形成部18(本発明の画像処理部の一例)、シート搬送部15それぞれと通信可能且つ制御可能に接続されており、また、シート処理装置30が画像形成装置10に連結された状態で、シート処理装置30が備えるシート排出部70、穿孔ユニット33、ステープルユニット35、シート整合部60それぞれと通信可能且つ制御可能に接続されている。
【0045】
記憶部17は、各種の情報を記憶するHDD、SSD、又はフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体又は記憶装置である。記憶部17には、後述のシート搬送処理や各種演算処理を制御部100に実行させるための制御プログラムや、前記シート搬送処理や各種演算処理に用いられるデータなどが記憶される。
【0046】
ところで、従来、排出される印刷用紙に対して整合処理を行う機構を備える装置では、印刷用紙に対して整合処理を行った後に、次に排出される印刷用紙に対して整合処理を行うために、整合部材を整合処理前の初期位置に戻す必要がある。しかしながら、整合部材を初期位置に戻すための所要時間は、連続して排出される印刷用紙の排出タイミングを制限することになる。つまり、次の印刷用紙が排出されるまでのシート間隔を少なくとも前記所要時間以上とする必要がある。このため、前記シート間隔を前記所要時間未満とすることができず、印刷用紙の排出速度の高速化を実現することができない。
【0047】
本実施形態では、複合機1において印刷用紙の排出速度を高速化するために、制御部100は、予め定められた第1搬送制御モード及び第2搬送制御モードのいずれかの搬送制御モードに基づいて、シート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。
【0048】
ここで、前記第1搬送制御モードは、予め定められた所定動作を行うとともに、シート排出部70による印刷用紙の搬送処理を行う搬送制御モードである。具体的には、複数枚の印刷用紙が連続して排出される場合に、各印刷用紙が排出口47,48から排出される度に当該印刷用紙に対してシート整合部60による前記整合動作を行う搬送制御モードである。第1搬送制御モードでは、シート整合部60による整合動作が行われるため、トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙束の整列状態が良好となる。しかしながら、整合動作時に整合部材61,62を回転させる必要があり、また、整合部材61,62を前記初期位置に戻す必要があるため、その動作に要する所要時間だけ印刷用紙の排出を遅らせる必要がある。
【0049】
また、前記第2搬送制御モードは、予め定められた所定動作を行わずにシート排出部70による印刷用紙の搬送処理を行う搬送制御モードである。具体的には、複数枚の印刷用紙が連続して排出される場合に、シート整合部60による整合動作を停止して、各印刷用紙を順次排出する搬送制御モードである。第2搬送制御モードでは、シート整合部60による整合動作が行われないため、トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙束の整列状態が悪くなるかもしれないが、整合部材61,62を回転させる整合動作に伴う所要時間が生じない。そのため、前記所要時間を待たずに印刷用紙を排出することが可能であり、前記第1搬送制御モードに基づく搬送に比べて印刷用紙を早く排出することが可能である。
【0050】
また、制御部100は、シート処理装置30において穿孔ユニット33による穿孔処理、又はステープルユニット35によるステープル処理のいずれかの後処理が実行される場合に、前記第1搬送制御モードに基づいてシート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。そして、制御部100は、前記後処理が実行されない場合に、前記第2搬送制御モードに基づいてシート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。
【0051】
更に、複数枚の印刷用紙が連続して排出される場合に、制御部100は、印刷用紙の連続搬送枚数が予め定められた閾値以上である場合に、前記第1搬送制御モードに基づいてシート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。この場合は、トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙束の整合性を優先して、前記整合動作を伴う前記第1搬送制御モードによる排出が行われる。一方、制御部100は、印刷用紙の連続搬送枚数が前記閾値未満である場合に、前記第2搬送制御モードに基づいてシート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。この場合は、トレイ36A,36Bに積載された印刷用紙束の整合性よりも印刷物の高速出力を優先して、前記整合動作を伴わない前記第2搬送制御モードによる排出が行われる。
【0052】
[シート搬送処理]
以下、
図5を参照して、制御部100によって実行されるシート搬送処理の手順の一例について説明する。
図5のフローチャートにおいて、ステップS11、S12、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。なお、このシート搬送処理は、複合機1に対して印刷が実行される場合に行われるものとして説明する。
【0053】
ステップS11において、制御部100は、複合機1に対して印刷指示が入力されたかどうかを判定する。例えば、ネットワーク接続された外部装置から印刷対象のドキュメントデータを含む印刷ジョブデータが入力されたか否かを判定する。前記印刷指示が入力された場合、処理はステップS12に進む。
【0054】
次のステップS12では、制御部100は、高速出力モードが有効になっているかどうかを判定する。例えば、印刷実行前に、操作表示部12やプリンタドライバーなどから高速出力モードの設定がオンにされていた場合に、前記高速出力モードが有効であると判定する。前記高速出力モードの設定情報は、記憶部17に格納されている。ここで、前記高速出力モードが有効の場合(オンの場合)、制御部100は、他の条件を満たすことを条件に前記第2搬送制御モードに基づく搬送処理を行う。一方、前記高速出力モードが無効の場合(オフの場合)、制御部100は、全ての印刷指示に対して前記第1搬送制御モードに基づく搬送処理を行う。
【0055】
ステップS12において、前記高速出力モードが有効と判定された場合は、制御部100は、次のステップS13において、前記穿孔処理や前記ステープル処理などの前記後処理の実行指示があるかどうかを判定する。例えば、印刷実行前に操作表示部12やプリンタドライバーなどから前記後処理の設定が有効にされている場合は、前記後処理の実行指示ありと判定する。なお、前記後処理の実行指示が無い場合は、画像形成後の印刷用紙に対して前記後処理が行われず、上段トレイ36A又は下段トレイ36Bに印刷用紙が排出される。
【0056】
ステップS13において、前記後処理の実行指示がないと判定された場合は、制御部100は、次のステップS14において、印刷指示の際に入力された印刷枚数が所定の閾値(本実施形態では20枚)未満かいなかを判定する。前記閾値は、例えば、上段トレイ36A又は下段トレイ36Bに積載された印刷用紙束の整列状態が著しく悪化する積載枚数に定めることができる。
【0057】
ステップS12において前記高速出力モードが無効と判定された場合(ステップS12のNo)、ステップS13において前記後処理の実行指示があると判定された場合(ステップS13のNo)、また、ステップS14において、前記印刷枚数が前記閾値以上と判定された場合(ステップS14のNo)は、制御部100は、シート整合部60による整合動作の設定を有効にし(ステップS17)、その後、前記第1搬送制御モードによる印刷用紙の搬送処理(通常搬送処理)を行う(ステップS18)。
【0058】
一方、ステップS14において、前記印刷枚数が前記閾値未満と判定された場合は、制御部100は、シート整合部60による整合動作の設定を無効にする(ステップS15)。つまり、制御部100は、シート整合部60による整合動作を停止し、整合部材61,62を上部本体31の内部に定められた前記初期位置に移動させて当該初期位置に配置させたままにする。この状態で、前記第2搬送制御モードによる印刷用紙の搬送処理(連続搬送処理)を行う(ステップS16)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の複合機1では、制御部100は、前記第1搬送制御モード及び前記第2搬送制御モードのいずれかの搬送制御モードに基づいて、シート排出部70による印刷用紙の搬送処理を制御する。このため、前記高速出力モードが有効であり、且つ、所定の条件(ステップS12乃至S14)を満たした場合は、画像形成後の全ての印刷用紙の搬送処理において前記整合動作が行われない。このため、制御部100は、前記整合動作のために整合部材61,62を前記初期位置に戻す所要時間を待つことなく、シート排出部70に印刷用紙を連続して排出させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、前記後処理の実行指示がある場合は、前記整合動作を伴う前記第1搬送制御モードによる印刷用紙の搬送処理が行われる。前記後処理が行われる場合、印刷用紙は、シート処理装置30の内部で、前記後処理の実行のために一時的に停止される。このため、前記整合動作を実行してもしなくても、印刷用紙が排出されるまでの時間は変わらない。したがって、この場合は、前記高速出力モードが有効であっても、排出される印刷用紙の整合を良好にするため、前記制動動作が実行される。
【0061】
また、本実施形態では、前記印刷枚数が前記閾値以上である場合は、前記整合動作を伴う前記第1搬送制御モードによる印刷用紙の搬送処理が行われる。前記印刷枚数が前記閾値以上の場合、トレイ36A,36Bに載置される印刷用紙束の整列状態が悪くなる。この場合は、前記高速出力モードが有効であっても、排出される印刷用紙の整合を良好にするため、前記制動動作が実行される。
【0062】
なお、上述の実施形態では、本発明の所定動作の一例としてシート整合部60による前記整合動作を例示したが、前記所定動作は前記整合動作に限られない。例えば、モーターなどの駆動源からの駆動力を得て動作する被駆動部材が画像形成装置10やシート処理装置30に設けられており、画像形成前の動作確認のために前記被駆動部材を駆動させる制御が制御部100によって行われる場合は、前記所定動作は、前記被駆動部材を動作確認のために事前に駆動させる動作であってもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、本発明の画像処理装置の一例として、画像形成装置10にシート処理装置30が連結された複合機1を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、本発明の画像処理装置は、シート処理装置30が連結されていない画像形成装置10であってもよい。この場合、画像形成装置10にシート整合部60が備えられており、用紙排出口22の近傍に整合部材61,62が設けられている。
【0064】
また、本発明は、画像形成装置10によって画像が形成された印刷用紙を搬送するシート搬送装置として捉えてもよい。この場合、前記シート搬送装置は、画像形成装置10が備える制御部100及びシート搬送部15、シート処理装置30が備えるシート排出部70及びシート整合部60を具備する。
【符号の説明】
【0065】
1 :複合機
10 :画像形成装置
11 :スキャナー
12 :操作表示部
14 :筐体
15 :シート搬送部
16 :給紙トレイ
17 :記憶部
18 :画像形成部
19 :定着部
21 :排出シート保持部
22 :用紙排出口
30 :シート処理装置
33 :穿孔ユニット
35 :ステープルユニット
36A :上段トレイ
36B :下段トレイ
37 :搬送ローラー対
38 :排出ローラー対
39 :排出ローラー対
40 :搬送ローラー対
47 :排出口
48 :排出口
60 :シート整合部
61 :整合部材
62 :整合部材
70 :シート排出部
100 :制御部
151 :給紙部
152 :搬送ローラー対
153 :排出ローラー対