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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240214BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240214BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20240214BHJP
   D06C 23/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/21
D06B11/00 A
D06C23/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019215701
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021084360
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】萱原 直樹
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-300949(JP,A)
【文献】特開2000-052595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0091037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
D06B 11/00
D06C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの分割および結合を含む画像処理を実行する制御部と、
印刷媒体へ前記画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷部と、を備え、
前記制御部は、
n回目の前記画像処理の対象としての画像データを取得し、
前記画像データを前記画像データの下辺における最も上辺に近い点を通過する水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成し、
前記上画像の上辺にn-1回目の前記画像処理における分割により生成した上辺が水平な下画像を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、
前記結合画像データに基づく印刷を前記印刷部に実行させる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
模様が形成された前記印刷媒体である生地を搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する前記生地を撮像する撮像部と、を備え、
前記制御部は、
前記模様を表現する第1画像データと、前記撮像部による前記生地の撮像により生成された第2画像データとの対比に基づいて、前記第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出し、
前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データを前記模様領域の形状に合うように補正し、
前記補正した前記第3画像データを前記画像処理の対象とする、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
画像データの分割および結合を含む画像処理を実行する画像処理工程と、
印刷媒体へ前記画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷工程と、を備え、
前記画像処理工程では、n回目の前記画像処理の対象としての画像データを取得し、前記画像データを前記画像データの下辺における最も上辺に近い点を通過する水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成し、前記上画像の上辺にn-1回目の前記画像処理における分割により生成した上辺が水平な下画像を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、
前記印刷工程では、前記結合画像データに基づく印刷を行う、ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面にタイル状の分割線が形成された記録媒体を用い、搬送された記録媒体の歪みを、分割線をセンサーにより検出することで判定し、判定の結果に基づいて画像データを補正処理し、補正した画像データに従って画像の形成を行う画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11‐300949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像データに基づいて印刷を行う印刷部は、一定形状の画像を印刷の処理単位として繰り返し取得して印刷媒体へ印刷する。しかしながら、補正等により形状が歪である画像データに基づく印刷を実行する場合に、印刷部へ前記一定形状ではない歪な形状の画像が提供されてしまい、印刷の品質を保持し難いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、画像データの分割および結合を含む画像処理を実行する制御部と、印刷媒体へ前記画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷部と、を備え、前記制御部は、n回目の前記画像処理の対象としての画像データを取得し、前記画像データを水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成し、前記上画像の上辺にn-1回目の前記画像処理における分割により生成した上辺が水平な下画像を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、前記結合画像データに基づく印刷を前記印刷部に実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷装置の構成を簡易的に示すブロック図。
図2図2Aは搬送される生地とその近傍の構成を上方から下方を向く視点により示す図、図2B図2Aに示す構成の一部を上流から下流を向く視点により示す図。
図3】印刷処理を示すフローチャート。
図4】ステップS100の詳細を示すフローチャート。
図5】ステップS140の詳細を示すフローチャート。
図6】本実施形態を具体例により説明するための図。
図7図6に続いて本実施形態を具体例により説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0008】
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成を簡易的に示している。
印刷装置10は、印刷方法を実行する。印刷装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、撮像部15、搬送部16、印刷部17、記憶部18等を備える。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0009】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷装置10を制御する。制御部11は、プログラム12に従うことにより、模様登録部12a、模様抽出部12b、補正処理部12c、印刷制御部12d等として機能する。なお、プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
【0010】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13や操作受付部14は、印刷装置10の構成の一部であってもよいが、印刷装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。
【0011】
搬送部16は、制御部11による制御下で印刷媒体を搬送する機構である。ここで印刷媒体として、ジャカード織りされた生地や、レース生地のような、糸の織り方を工夫することにより立体感の有る模様が形成された生地を想定する。このような生地には、一つあるいは一まとまりの何らかの模様が繰り返し並ぶように形成されている。以下では、このような一つあるいは一まとまりの模様を、一つの模様として扱う。
【0012】
搬送部16は、例えば、ロール状に巻かれた印刷前の生地を搬送の下流へ繰り出す繰り出しローラー、繰り出された生地をさらに搬送するためのベルトやローラー、印刷が終了した生地を再びロール状に巻いて回収する巻き取りローラー、各ローラーやベルトを回転させるためのモーター等の構成を有する。以下では、搬送部16による搬送方向の上流、下流を、単に、上流、下流とも記載する。
【0013】
撮像部15は、制御部11による制御下で、搬送部16が搬送する生地を撮像する。撮像部15は、生地を照射する光源、生地からの反射光を受光して撮像結果としての画像データを生成し出力する撮像素子等の構成を有する。
【0014】
印刷部17は、制御部11による制御下で、搬送部16が搬送する生地へ印刷を行う。印刷部17は、撮像部15よりも下流に設けられている。印刷部17は、制御部11から送信される印刷データに基づいて生地への印刷を行う。印刷部17は、例えば、インクジェット方式によりシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)等といった複数の色のインクを吐出して印刷を実行可能である。インクジェット方式によれば、印刷部17は、画素毎にドットオンまたはドットオフを規定した印刷データに基づいてインクのドットを不図示のノズルから吐出することにより、生地への印刷を行う。
【0015】
記憶部18は、不揮発性メモリーやハードディスクドライブ等といった記憶手段である。記憶部18を制御部11の一部と解してもよい。また、RAM11cを記憶部18の一部と解してもよい。
【0016】
印刷装置10を、記録装置、画像形成装置、プリンター等と呼んでもよい。印刷装置10は、独立した一つの装置によって実現されるだけでなく、通信インターフェイスやネットワークを介して互いに通信可能に接続した複数の装置によって実現されてもよい。複数の装置により構成される印刷装置10を、印刷システム10と呼んでもよい。
【0017】
印刷システム10は、例えば、撮像部15、搬送部16および印刷部17を含んだプリンターと、制御部11として機能する一台以上の情報処理装置と、を含んで構成される。情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末、或いはそれらと同程度の処理能力を有する装置である。印刷システム10において、制御部11を担う装置を、画像処理装置、印刷制御装置等と呼んでもよい。むろん、印刷システム10を構成する一部の装置を発明として捉えることも可能である。
【0018】
図2Aは、搬送される生地30と生地30近傍の構成とを、上方から下方を向く視点により示している。図2Aでは、生地30に予め形成されている模様については描写を省いている。図2Aでは、搬送部16による生地30の搬送方向を、符号D1により示している。符号22は、搬送部16の一部としての無端ベルト22である。無端ベルト22に乗せられた状態の生地30は、無端ベルト22が回転することにより、搬送方向D1の上流から下流へ搬送される。
【0019】
図2Aに示すように、無端ベルト22の上方には、キャリッジ20が配設されている。キャリッジ20は、搬送方向D1と交差する方向D2,D3へ移動可能である。ここで言う交差とは直交であるが、直交には、厳密な直交だけでなく、製品の製造上生じる誤差が含まれると解してよい。キャリッジ20は、搬送方向D1と交差する方向D2,D3へ長尺なガイド部材21に沿って移動する。方向D2と方向D3は、互いに逆を向いており、方向D2,D3の一方を、キャリッジ20の往路移動方向、他方を、キャリッジ20の復路移動方向と解することができる。
【0020】
キャリッジ20は、印刷ヘッド19を搭載している。つまり、印刷ヘッド19は、キャリッジ20と共に方向D2や方向D3へ移動する。方向D2,D3を、「主走査方向」と呼んだり「幅方向」と呼んだりする。このようなキャリッジ20や印刷ヘッド19は、印刷部17を構成する。図示はしていないが、印刷ヘッド19は、無端ベルト22と相対する下面において複数のノズルを開口させている。印刷ヘッド19は、キャリッジ20と共に方向D2や方向D3へ移動しながら、印刷データに基づいてノズルからインクを吐出する。印刷ヘッド19が方向D2や方向D3へ移動しながらノズルからインクを吐出する動作を「主走査」と呼んだり「パス」と呼んだりする。
【0021】
図2Aに示すように、無端ベルト22の上方であって、キャリッジ20および印刷ヘッド19よりも上流の所定位置に、撮像部15が配設されている。
図2Bは、図2Aに示した構成の一部を、上流から下流を向く視点により示している。撮像部15は、無端ベルト22と相対する下面を撮像面15aとしており、撮像面15aを介して無端ベルト22上の生地30を撮像する。撮像部15は、例えば、内部において幅方向D2,D3に沿って複数の撮像素子を並べたラインスキャン型のカメラである。撮像部15は、撮像面15aに設けた不図示のレンズ及び撮像素子を介して、ライン単位の撮像を繰り返す。図2Bでは、撮像部15による幅方向D2,D3の撮像範囲を破線により例示している。撮像部15は、レンズの機能により、幅方向D2,D3において無端ベルト22のほぼ全範囲を撮像可能である。
【0022】
撮像部15の構成は、図2A,2Bの例に限定されない。例えば、複数の撮像部15が無端ベルト22の上方において幅方向D2,D3に沿って並び、複数の撮像部15の各々が幅方向D2,D3における無端ベルト22の全範囲のうちの一部範囲を分担して撮像する構成であってもよい。あるいは、撮像部15は、複数の撮像素子を幅方向D2,D3における無端ベルト22のほぼ全範囲に亘って並べて構成されたラインセンサーであってもよい。あるいは、撮像部15は、印刷ヘッド19がキャリッジ20に搭載されているのと同様に、幅方向D2,D3に沿って移動可能なキャリッジに搭載され、キャリッジにより幅方向D2,D3へ移動しながら無端ベルト22上を撮像する構成であってもよい。
【0023】
2.印刷方法:
図3は、制御部11がプログラム12に従って実行する印刷処理を、フローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11の模様登録部12aは、生地30に形成された模様を表現する模様画像データを記憶部18へ登録する。模様画像データは「第1画像データ」に該当し、ステップS100は、登録工程に該当する。
【0024】
図4は、ステップS100の詳細を、フローチャートにより示している。
先ず、ステップS102では、模様登録部12aは、生地30の模様を表現する基本画像データを取得する。生地30は、例えば、デザイナーによってデザインされた一つの模様が繰り返し織り込まれた織物である。そのため、基本画像データは、デザインや製図のための所定のソフトウェアを用いて予め生成された、前記一つの模様を表現する画像データであるとする。模様登録部12aは、ユーザーの操作に従って、例えば印刷装置10の外部のPCから、そのPCに保存されている基本画像データを入力し、入力した基本画像データを記憶部18に保存する。
【0025】
ステップS104では、模様登録部12aは、生地30のプレスキャンにより生成された画像データであるプレスキャンデータを取得する。プレスキャンとは、後述するステップS110による生地30の撮像に先駆けて行う読取や撮像を意味する。例えば、ユーザーは印刷装置10の外部のスキャナーに生地30を予めスキャンさせる。そして、模様登録部12aは、このスキャンによって生成された画像データを、前記スキャナーから入力してプレスキャンデータとして記憶部18に保存する。
【0026】
あるいは、プレスキャンは撮像部15が実行するとしてもよい。例えば、制御部11は、搬送部16に生地30の搬送を開始させ、生地30の先端を、撮像部15よりも所定距離だけ下流の位置まで到達させたタイミングで、生地30の搬送を停止させる。生地30の先端とは、生地30の下流を向く端部である。撮像部15は、搬送により撮像部15の下を通過する生地30を撮像し、模様登録部12aは、この撮像によって生成された画像データを、撮像部15から入力してプレスキャンデータとして記憶部18に保存する。
【0027】
ステップS106では、模様登録部12aは、ステップS102で取得した基本画像データと、ステップS104で取得したプレスキャンデータとを対比して、プレスキャンデータにおいて、生地30の一つの模様に対応する模様領域を抽出する。このとき、模様登録部12aは、画像認識技術を用いて、基本画像データとの類似度がより高い画像領域をプレスキャンデータ内で抽出し、この画像領域を模様領域とする。
【0028】
そして、ステップS108では、模様登録部12aは、ステップS106で抽出した模様領域に該当する画像データを、模様画像データとして記憶部18に保存する。以上により、模様画像データの登録が完了する。
図4に従った説明によれば、模様画像データは、プレスキャンデータの少なくとも一部と言える。
ただし、模様登録部12aは、基本画像データそのものを模様画像データとして記憶部18に登録することにより、ステップS100を簡易化してもよい。
【0029】
図3の説明に戻る。
ステップS110では、制御部11は、撮像部15に生地30の撮像をさせる。ステップS110は、撮像工程に該当する。一回のステップS110で撮像される生地30の領域を「対象領域」と呼ぶ。例えば、対象領域の幅方向D2,D3における長さは、生地30の幅方向D2,D3における長さであり、対象領域の搬送方向D1における長さは、搬送方向D1における模様画像データのサイズを所定数含む長さである。
【0030】
制御部11は、搬送部16を制御し、生地30における一つの対象領域分の面積が撮像部15の下を通過するように、生地30を搬送させる。そして、撮像部15は、搬送される生地30を撮像することにより、一つの対象領域分の撮像結果としての撮像画像データを生成する。撮像画像データは「第2画像データ」に該当する。
【0031】
図3のフローチャートでは特に明示していないが、制御部11は、生地30の撮像や生地30への印刷のために、少なくともステップS110~S160の期間において、搬送部16に生地30の搬送を継続的あるいは断続的に実行させる。従って、本実施形態の印刷方法は、生地30を搬送する搬送工程を含んでいる。
【0032】
ステップS120では、模様抽出部12bは、ステップS100で登録された模様画像データと、ステップS110の撮像により生成された撮像画像データとの対比に基づいて、撮像画像データにおける生地30の模様に対応する模様領域を抽出する。ステップS120は、抽出工程に該当する。生地30の対象領域の撮像結果である撮像画像データ内には、模様が複数並んで表現されている。従って、模様抽出部12bは、撮像画像データ内に並んで表現されている一つ一つの模様毎に模様領域を抽出する。
【0033】
模様抽出部12bは、画像認識技術を用いて、模様画像データとの類似度が所定以上に高い画像領域を撮像画像データ内で模様領域として抽出すればよい。具体的には、模様抽出部12bは、模様画像データにおける画像のエッジを抽出し、同様に、撮像画像データにおける画像のエッジを抽出する。そして、模様画像データにおけるエッジの分布を、撮像画像データにおけるエッジの分布に対して位置をずらしながら、また模様画像データを変形させながら、繰り返し比較し、エッジの分布同士の一致度合が所定以上に高評価である領域を、一つの模様領域として抽出する。このような処理により、模様抽出部12bは、撮像画像データから模様領域を複数抽出する。
【0034】
2次元座標で表現される撮像画像データから複数の模様領域を抽出することは、撮像画像データ内における各模様領域の隅の座標を特定することでもある。
ステップS120の処理と同様に、上述のステップS106においても、模様登録部12aは、対比する画像同士のエッジの分布の一致度合に応じてプレスキャンデータ内の模様領域を抽出することができる。
【0035】
ステップS130では、補正処理部12cは、生地30の模様に重ねて印刷すべき画像を表現する着色画像データを、ステップS120で抽出された模様領域の形状に合うように補正する。着色画像データは「第3画像データ」に該当し、ステップS130は、補正工程に該当する。着色画像データは、一つの模様に着色すべき色や色の印刷範囲を表現した、予め生成されたカラー画像データである。着色画像データは、例えば、記憶部18に予め保存されている。あるいは、制御部11は、ユーザーの操作に従って、例えば印刷装置10の外部のPCから、そのPCに保存されている着色画像データを入力し、入力した着色画像データを記憶部18に保存する。
【0036】
着色画像データの形状は、一つの模様を含む領域の理想的な形状、例えば矩形である。一方、ステップS120で撮像画像データから抽出された各模様領域の形状は、搬送される生地30の伸縮や歪みに起因して伸縮や歪みを伴っている場合があり、着色画像データの形状と一致するとは限らない。そのため、補正処理部12cは、ステップS120で抽出された模様領域の個々の形状に合わせて、着色画像データの形状を変形する。変形方法としては、例えば、画像の拡大、縮小、回転、せん断等を含むアフィン変換や、その他の変形方法を用いる。このような変形が、ステップS130による補正である。
【0037】
ステップS140では、印刷制御部12dは、ステップS130による補正後の複数の着色画像データを配列することにより、結合画像データを生成する。印刷制御部12dは、ステップS140において結合画像データを生成するために、画像データの分割および結合を含む画像処理を実行する。このような画像処理を、便宜上「特定画像処理」と呼ぶ。つまり、印刷制御部12dは、ステップS130による補正が施された着色画像データを特定画像処理の対象とする。また、特定画像処理は画像処理工程に該当する。
【0038】
図5は、ステップS140の詳細を、フローチャートにより示している。
ステップS142では、印刷制御部12dは、撮像画像データにおける模様領域の夫々の形状に応じて上述のように補正された複数の着色画像データを、撮像画像データにおける複数の模様領域の配列に対応させて配列することにより、結合画像データの基礎となる画像データを生成する。ステップS142により生成される画像データを、便宜上「結合基礎画像データ」と呼ぶ。補正後の着色画像データは、変形していることから、基本的には矩形ではない。従って、補正後の複数の着色画像データを配列させて生成した結合基礎画像データの形状も非矩形と言える。
【0039】
ステップS142により、印刷制御部12dは、n回目の特定画像処理の対象としての画像データを取得したことになる。nには正の整数が入る。図5における少なくともステップS144,S146,S148が特定画像処理に該当する。特定画像処理の回数は、ステップS140の実行回数と同じである。従って、図3のフローチャートの開始後に初めて実行するステップS140においては、n=1、つまり1回目の特定画像処理を実行する。
【0040】
ステップS144では、印刷制御部12dは、ステップS142で生成した結合基礎画像データを水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成する。ここで、制御部11がステップS100~S150で処理する各画像データは、直交するX軸およびY軸による2次元座標で表現される画像であり、X軸の向きは、例えば方向D3に対応し、Y軸の向きは搬送方向D1の逆方向に対応しているとする。また、ステップS100~S150で処理する各画像データの上下の向きは、搬送方向D1に対応する向きを“上”、搬送方向D1の逆方向に対応する向き(Y軸方向)を“下”、と捉えて説明する。結合基礎画像データを分割する水平線は、X軸と平行な線である。ステップS144により、結合基礎画像データが、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とに分離される。
【0041】
ステップS146では、印刷制御部12dは、ステップS144で生成した下画像、つまりn回目の特定画像処理におけるステップS144の分割により生成した下画像を、記憶部18に保存する。ステップS146で保存した下画像は、次回の特定画像処理に繰り越されて、次回の特定画像処理で生成する上画像との結合に使用される。そのため、ステップS146による下画像の保存を「繰越保存」と呼ぶ。
【0042】
ステップS148では、印刷制御部12dは、ステップS144で生成した上画像の上辺に、前回の特定画像処理におけるステップS146で繰越保存した下画像を結合する。つまり、n回目の特定画像処理におけるステップS144の分割により生成した上画像と、n-1回目の特定画像処理におけるステップS144の分割により生成した下画像とを結合する。これにより、上辺および下辺が水平な画像データ、つまり結合画像データが生成される。
【0043】
特定画像処理において、ステップS146とステップS148との実行順は、図5に示した順序と逆であってもよい。あるいは、特定画像処理において、ステップS146とステップS148とを同時に実行するとしてもよい。以上によりステップS140を終了する。印刷制御部12dは、ステップS140を終える度に、現在のnに“1”を加える。
【0044】
図3の説明に戻る。
ステップS150では、印刷制御部12dは、ステップS140で生成した結合画像データに基づく生地30への印刷を印刷部17に実行させる。ステップS150は、特定画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷工程に該当する。印刷制御部12dは、結合画像データに対して、いわゆる色変換処理やハーフトーン処理といった必要な各処理を施して、印刷データに変換する。印刷データも上辺および下辺が水平な画像である。そして、印刷制御部12dは、印刷データを印刷部17に転送し、生地30におけるステップS110の撮像の対象となっており未印刷の領域が印刷ヘッド19の下に到達した所定のタイミングで、キャリッジ20の移動と印刷データに基づく印刷ヘッド19からのインク吐出と、による印刷を印刷部17に開始させる。これにより、結合画像データを構成する個々の着色画像データが表現するカラー画像が、生地30における個々の模様の伸縮や歪みに合った形で模様に重なって印刷される。
【0045】
搬送部16には、搬送のために回転するローラーやベルトの回転量を検出するエンコーダーが設けられている。制御部11は、エンコーダーからの検出信号に従って、現在の生地30の搬送距離を演算し把握する。従って、制御部11は、搬送方向D1における対象領域の位置を把握し、対象領域を含む未印刷の領域が印刷ヘッド19の下に到達したタイミングで、印刷部17に、この領域への印刷を開始させることができる。
【0046】
ステップS160では、制御部11は、印刷を終了するか否かを判定し、印刷を終了する場合は、“Yes”と判定して図3のフローチャートを終了する。制御部11は、例えば、ユーザーから印刷終了の指示を受けた場合や、搬送方向D1における予定されていた長さ分の生地30への印刷を終えた場合に、印刷の終了と判定する。むろん、ステップS160で“Yes”と判定して図3のフローチャートを終了するといっても、制御部11は、例えば、巻き取りローラーによる生地30の回収等の必要な処理を制御した上で、搬送部16を停止させる。
【0047】
一方、制御部11は、印刷を終了しない場合は、ステップS160で“No”と判定し、ステップS110以降の処理を繰り返す。つまり、生地30における、それまでの対象領域に対して上流に隣接する次の対象領域に関して、ステップS110以降の処理を行う。なお、撮像部15が印刷部17よりも上流に在ることを考慮すると、印刷部17による印刷と並行して、撮像部15は、現在印刷されている生地30の領域よりも上流の領域を撮像可能である。そのため、ステップS150による、ある対象領域への印刷が完了した時点で、次の対象領域に関する撮像部15による撮像が終了していることもある。従って、制御部11は、ステップS160で“No”と判定した時点で、次の対象領域の撮像部15による撮像が終了している場合には、ステップS120以降の処理を行えばよい。
【0048】
あるいは、制御部11は、撮像部15による生地30の撮像と、印刷部17による生地30への印刷は同時に行わないものとし、ステップS160で“No”と判定したら、搬送部16に、生地30のバックフィードをさせ、生地30における未印刷の領域を撮像部15よりも上流の位置まで戻してもよい。バックフィードとは、下流から上流へ向かう方向の搬送である。そして、制御部11は、生地30のバックフィード後にステップS110以降の処理を再開するとしてもよい。
【0049】
図6および図7は、図3のフローチャートの一部を、具体例により説明するための図である。図7は、図6の続きと解すればよい。ステップS100において、模様登録部12aが模様画像データ40を記憶部18へ登録する。図6の例では、模様画像データ40は、花びらの形をモチーフにしてデザインされた模様を表現した画像データである。
【0050】
ステップS110において、撮像部15による生地30の対象領域の撮像が行われ、その結果として、撮像画像データ41が得られる。生地30に伸縮や歪みが生じていれば、撮像画像データ41内に表現される各模様も、伸縮や歪みを有した状態となる。
【0051】
ステップS120において、模様抽出部12bは、模様画像データ40と撮像画像データ41とを対比することにより、撮像画像データ41内の模様領域を抽出する。図6の例では、撮像画像データ41内で破線により区切られた各領域が、模様抽出部12bが模様毎に抽出した各模様領域である。図6では、撮像画像データ41内の複数の模様領域のうち一部の模様領域を、符号41a,41b,41cにより指し示している。
【0052】
ステップS130において、補正処理部12cは、着色画像データ50を、撮像画像データ41の各模様領域の形状に合わせて変形させる補正を行う。ステップS140におけるステップS142では、印刷制御部12dは、補正された複数の着色画像データ50を、撮像画像データ41内の模様領域の配列に対応させて配列することにより、結合基礎画像データ51を生成する。
【0053】
図6の例によれば、符号51aは、模様領域41aの形状に合わせて補正された着色画像データ50を示している。同様に、符号51bは、模様領域41bの形状に合わせて補正された着色画像データ50であり、符号51cは、模様領域41cの形状に合わせて補正された着色画像データ50である。結合基礎画像データ51は、このような補正後の着色画像データ51a,51b,51c…を、模様領域41a,41b,41c…の並びの通りに配列した画像データである。また、結合基礎画像データ51は、n回目の特定画像処理の対象としての画像データである。
【0054】
ステップS140におけるステップS144では、印刷制御部12dは、図7に示すように、水平線HLにより結合基礎画像データ51を分割して上画像55と下画像56とに分離する。図7では、水平線HLを2点鎖線で示している。図7の説明等に関して、上画像55や下画像56や結合画像データ60に括弧書きで付す文字は、何回目の特定画像処理で生成された画像であるかを示している。
【0055】
図7の例によれば、結合基礎画像データ51の上辺52および下辺53はいずれも水平ではない。図7の例によれば、印刷制御部12dは、結合基礎画像データ51の下辺53における最も上辺52に近い点54を通過する水平線HLで、結合基礎画像データ51を分割する。このような分割により生成された上画像55(n)は、下辺が水平であり、下画像56(n)は、上辺が水平である。
【0056】
なお、結合基礎画像データ51の下辺53が偶々水平である場合は、下辺53における最も上辺52に近い点54を通過する水平線HLで結合基礎画像データ51を分割しても、結合基礎画像データ51から下画像56は実質的に発生せず、結合基礎画像データ51がそのまま上画像55となる。図7では特に示していないが、ステップS144の結果、下画像56(n)が発生した場合は、印刷制御部12dは、ステップS146において、下画像56(n)を繰越保存する。この下画像56(n)は、次回のステップS140におけるステップS148で結合に用いられる。
一方、ステップS144の結果、下画像56(n)が発生しない場合は、印刷制御部12dは、ステップS146において、下画像56(n)を繰越保存することができない。この場合は、次回のステップS140におけるステップS148で画像の結合は行われず、そのときの上画像55をそのまま結合画像データ60として扱うが、問題は無い。これは、ある回のステップS140において、ステップS144で生成した上画像55とステップS148で結合するための下画像56が前回のステップS140から繰越保存されていないということは、そもそも上画像55は下辺のみならず上辺も水平であり、ステップS150の印刷にあたって適切な形状と言えるからである。
【0057】
ステップS140におけるステップS148では、印刷制御部12dは、上画像55(n)の上辺52に、上辺が水平な下画像56(n-1)の下辺を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データ60(n)を生成する。下画像56(n-1)は、n-1回目の特定画像処理におけるステップS144で生成された上辺が水平な下画像であり、n-1回目の特定画像処理におけるステップS146で繰越保存されている。図7では、下画像56(n-1)の範囲にハッチングを施して示しているが、このハッチングは下画像56(n-1)の色や柄を表現している訳ではない。下画像56(n-1)の下辺と、上画像55(n)の上辺52とは、Y軸方向において隣接する補正後の着色画像データ同士の境界線と言えるため、一致する。
このように生成された結合画像データ60(n)は、n回目のステップS150において、生地30へ印刷される。
【0058】
図7に示す結合画像データ60(n)は、X軸の両端の各辺がY軸と平行でなく歪みや折れを有しているが、印刷制御部12dは、結合画像データ60(n)の両端に空白データを付け加えることにより、結合画像データ60(n)の全体を矩形に整えた上で、ステップS150へ処理を進めるとしてもよい。
また、1回目のステップS140におけるステップS148では、上画像55(1)に結合するための下画像56(0)は存在しない。そのため、印刷制御部12dは、1回目のステップS140におけるステップS148では、上画像55(1)の上辺に上辺が水平な空白データを付け加えることにより上辺および下辺が水平な結合画像データ60(1)を生成してステップS150へ処理を進めるとしてもよい。
【0059】
3.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷装置10は、画像データの分割および結合を含む画像処理(特定画像処理)を実行する制御部11と、印刷媒体へ前記画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷部17と、を備える。そして、制御部11は、n回目の前記画像処理の対象としての画像データを取得し、前記画像データを水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成し、前記上画像の上辺にn-1回目の前記画像処理における分割により生成した上辺が水平な下画像を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、前記結合画像データに基づく印刷を印刷部17に実行させる。
【0060】
前記構成によれば、制御部11は、画像データを取得し、この画像データから水平線により分割した上画像と、前回の画像処理において生成済みの下画像とを結合して、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、印刷部17に供することを、繰り返す。これにより、制御部11が取得した画像データが上辺や下辺が水平でない歪な形状の画像データであったとしても、印刷部17は、上辺および下辺が水平である印刷に適した一定形状の画像データに基づいて印刷を実行できる。なお、制御部11は、n回目の前記画像処理における分割により生成した下画像を所定の記憶部18に保存する。
【0061】
キャリッジ20で幅方向D2,D3へ移動する印刷ヘッド19からのインク吐出により印刷を行う印刷部17にとっては、搬送方向D1の下流を向く上辺および上流を向く下辺が幅方向D2,D3と平行である形状の画像(印刷データ)を処理単位として制御部11から繰り返し取得して印刷媒体へ印刷することが望ましい。本実施形態によれば、上辺および下辺が水平な結合画像データは、このような幅方向D2,D3と平行な上辺および下辺を有する画像である。そのため、印刷部17による適切な印刷、つまり画像の隙間やずれ等の欠陥が生じ難い良質な印刷が実行される。また、本実施形態によれば、上辺や下辺が幅方向D2,D3に対して傾いていたり歪んでいたりする画像データを印刷ヘッド19のパス毎に印刷するために必要な印刷媒体の複雑な搬送制御等が、不要となる。
【0062】
また、本実施形態によれば、制御部11は、前記画像データの下辺における最も上辺に近い点を通過する水平線で前記画像データを分割する、としてもよい。
前記構成によれば、前記画像処理の対象として取得した画像データが、下辺が水平でない形状であっても、下辺が水平な上画像と、上辺が水平であり下辺が水平でない下画像とに適切に分離することができる。
ただし、制御部11は、画像データの下辺における最も上辺に近い点よりも当該上辺に近い点を通過する水平線で画像データを分割することも可能である。
【0063】
また、本実施形態によれば、印刷装置10は、模様が形成された前記印刷媒体である生地30を搬送する搬送部16と、搬送部16が搬送する生地30を撮像する撮像部15と、を備える。そして、制御部11は、前記模様を表現する第1画像データ(模様画像データ)と、撮像部15による生地30の撮像により生成された第2画像データ(撮像画像データ)との対比に基づいて、第2画像データにおける前記模様に対応する模様領域を抽出し、前記模様に重ねて印刷すべき画像を表現する第3画像データ(着色画像データ)を前記模様領域の形状に合うように補正し、補正した第3画像データを前記画像処理(特定画像処理)の対象とする。補正した第3画像データを特定画像処理の対象とすることは、補正した第3画像データの集合(結合基礎画像データ51)を特定画像処理の対象とすることを含む。
【0064】
前記構成によれば、印刷装置10は、模様画像データと、撮像画像データと、の対比により抽出した模様領域の形状に合わせて、着色画像データを補正し、補正後の着色画像データを生地30へ印刷する。これにより、着色画像データが表現する画像が、生地30における模様の伸縮や歪みに合った形で、生地30の模様に対してずれ無く、印刷される。また、模様領域の形状に合わせて補正された着色画像データを特定画像処理の対象とすることにより、搬送される生地30に対して、上辺および下辺が水平な結合画像データを単位とした印刷を繰り返し行うことができる。
【0065】
また、これまでの説明によれば、本実施形態は、画像データの分割および結合を含む画像処理を実行する画像処理工程と、印刷媒体へ前記画像処理後の画像データに基づく印刷を行う印刷工程と、を備え、前記画像処理工程では、n回目の前記画像処理の対象として画像データを取得し、前記画像データを水平線で分割することにより、下辺が水平な上画像と上辺が水平な下画像とを生成し、前記上画像の上辺にn-1回目の前記画像処理における分割により生成した上辺が水平な下画像を結合することにより、上辺および下辺が水平な結合画像データを生成し、前記印刷工程では、前記結合画像データに基づく印刷を行う印刷方法を開示する。
前記方法をコンピューターに実行させるプログラム12や、プログラム12を記憶したメモリーも、それぞれ発明として捉えることができる。
【0066】
図2Aの例では、印刷ヘッド19がキャリッジ20に搭載されて移動する、シリアルプリンターの構成を開示したが、印刷ヘッド19は、いわゆるライン型のヘッドであってもよい。つまり、印刷ヘッド19は、キャリッジ20に搭載されず、幅方向D2,D3に沿って生地30の幅をカバー可能な長尺のプリントヘッドであってもよい。
【0067】
図2A,2Bにおいて、符号22で示す構成は、無端ベルトではなく、生地30を下方から支持する台としてのプラテンであってもよい。つまり、不図示のローラーによって搬送される生地30がプラテン上を移動すると解してもよい。
【0068】
本実施形態にかかる特定画像処理は、生地30における模様領域の形状に合わせて補正された着色画像データを取得した場面に限らず、何らかの歪みのある画像データを取得して印刷する場合に適用することで効果を奏する。また、印刷媒体も生地30に限定されず、紙などの印刷媒体全判を利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10…印刷装置、11…制御部、12…プログラム、12a…模様登録部、12b…模様抽出部、12c…補正処理部、12d…印刷制御部、13…表示部、14…操作受付部、15…撮像部、16…搬送部、17…印刷部、18…記憶部、19…印刷ヘッド、20…キャリッジ、22…無端ベルト、30…生地、40…模様画像データ、41…撮像画像データ、41a,41b,41c…模様領域、50,51a,51b,51c…着色画像データ、51…結合基礎画像データ、55…上画像、56…下画像、60…結合画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7