(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20240214BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240214BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240214BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240214BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240214BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240214BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240214BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20240214BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20240214BHJP
C11D 1/92 20060101ALI20240214BHJP
C11D 3/12 20060101ALI20240214BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240214BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/81
A61Q5/02
A61Q19/10
C11D1/10
C11D1/88
C11D1/92
C11D3/12
C11D3/20
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2019218390
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100158724
【氏名又は名称】竹井 増美
(72)【発明者】
【氏名】小薗 脩平
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178681(JP,A)
【文献】特開2009-067947(JP,A)
【文献】特開2011-002418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N-アシルアラニンまたはその塩を2.5重量%~20重量%、(B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を1.5重量%~10重量%、および(C)アニオン性アクリル酸系増粘剤を0.01重量%~0.75重量%含有
する洗浄剤組成物であって、
N-アシルアラニンまたはその塩が、アミノ基がアシル化された2-アミノプロパン酸またはその塩であり、25℃における粘度が0.8Pa・s~50Pa・sであり、25℃におけるpHが4.6~6であり、剪断速度(γ)が1000s
-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)が、
1500s
-1以上
7000s
-1
以下である、洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)N-アシルアラニンまたはその塩が、炭素数8~22のアシル基を有するN-アシルアラニンまたはその塩である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)N-アシルアラニンの塩がナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩である、請求項1または2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上が、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、およびN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩からなる群より選択される1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
(C)アニオン性アクリル酸系増粘剤が架橋されたアクリル酸系の重合体または共重合体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに(D)塩(ただし、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤となるものを除く)を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
さらに(E)粉体を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
さらに(F)多価アルコールを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
さらに(G)カチオン性高分子およびノニオン性高分子からなる群より選択される1種以上を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
25℃における粘度が2.5Pa・s以上32Pa・s未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適度な粘度を有する洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚や毛髪に対する作用が穏和な洗浄剤成分として、アミノ酸系界面活性剤が近年注目を集めている。なかでも、良好な泡立ちを示すアミノ酸系界面活性剤として、N-アシルアラニンまたはその塩が挙げられ、商業的に入手可能である。
しかし、皮膚に対する作用をより穏和なものとするために、健康な状態の皮膚のpHに近い酸性から弱酸性の範囲で洗浄剤組成物を設計しようとした場合、N-アシルアラニンまたはその塩は泡立ちが悪くなるという課題があった。
また、ペースト状やクリーム状の洗浄剤組成物は、液だれがなく、チューブ等に充填して使用できる等、利便性に優れることから、消費者に好まれる形態の製品であるが、アミノ酸系界面活性剤を主な洗浄剤成分として含有する洗浄剤組成物においては、他のアニオン性界面活性剤を主な洗浄剤成分とする場合と比較して、十分な粘度を付与するのが困難である場合があった。
【0003】
それゆえ、アミノ酸系界面活性剤を洗浄剤成分として含有する洗浄剤組成物において、適度な粘度を付与し、泡立ちおよび泡質を改善する試みがなされている。
たとえば、N-長鎖アシル中性アミノ酸塩、両性界面活性剤およびポリオキシアルキレンジオイレイン酸アルキルグルコシドを含有する洗浄剤組成物(特許文献1)や、炭素数が8~20のアシル基を有するN-アシル-N-メチルアミノ酸塩等のN-アシルアミノ酸塩、水溶性無機塩、および、分子内にカチオン中心または擬カチオン中心を有する、両性界面活性剤、双性界面活性剤、半極性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を含有する洗浄剤組成物(特許文献2)が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された洗浄剤組成物は、5.5~6.9のpHで実施され、特許文献2に記載された洗浄剤組成物はpH=7で実施されており、いずれも酸性~弱酸性のpHにおける実施に課題が残されていた。また、特許文献1、2に記載された洗浄剤組成物は、粘性が付与されているものの液体の組成物であり、ペースト状やクリーム状を呈する程度の粘度を有する組成物を提供するものではなかった。
従って、ペースト状またはクリーム状を呈する程度の適度な粘度を有し、泡立ち、使用感において、より優れた洗浄剤組成物が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-157700号公報
【文献】特開2003-147399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、N-アシルアラニンまたはその塩を含有し、組成物のpHを健康な皮膚のpHに近い酸性~弱酸性のpHとして、皮膚に対してより穏和で、かつ、良好な泡立ちときめ細かい良質な泡質を示し、使用感に優れ、ペースト状またはクリーム状を呈する程度の適度な粘度を有する洗浄剤組成物を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)N-アシルアラニンまたはその塩、(B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上、(C)アニオン性アクリル酸系増粘剤を、それぞれ特定の含有量にて含有し、25℃における粘度が0.8Pa・s~50Pa・sである洗浄剤組成物において、25℃におけるpHを4.6~6に調整し、さらに、剪断速度(γ)が1000s-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)を特定の値以上とすることによって、泡立ちおよび泡質が良好で、使用感に優れる洗浄剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1](A)N-アシルアラニンまたはその塩を2.5重量%~20重量%、(B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を1.5重量%~10重量%、および(C)アニオン性アクリル酸系増粘剤を0.01重量%~0.75重量%含有し、
25℃における粘度が0.8Pa・s~50Pa・sであり、25℃におけるpHが4.6~6であり、剪断速度(γ)が1000s-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)が、1000s-1以上である、洗浄剤組成物。
[2](A)N-アシルアラニンまたはその塩が、炭素数8~22のアシル基を有するN-アシルアラニンまたはその塩である、[1]に記載の洗浄剤組成物。
[3](A)N-アシルアラニンの塩がナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩である、[1]または[2]に記載の洗浄剤組成物。
[4](B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上が、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、およびN-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩からなる群より選択される1種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[5](C)アニオン性アクリル酸系増粘剤が架橋されたアクリル酸系の重合体または共重合体である、[1]~[4]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[6]さらに(D)塩(ただし、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤となるものを除く)を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[7]さらに(E)粉体を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[8]さらに(F)多価アルコールを含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[9]さらに(G)カチオン性高分子およびノニオン性高分子からなる群より選択される1種以上を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[10]25℃における粘度が2.5Pa・s以上32Pa・s未満である、[1]~[9]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
[11]剪断速度(γ)が1000s-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)が、1000s-1以上7000s-1以下である、[1]~[10]のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、N-アシルアラニンまたはその塩を含有し、組成物のpHを健康な皮膚のpHに近い酸性~弱酸性のpHとして、皮膚に対してより穏和で、かつ、良好な泡立ちときめ細かい良質な泡質を示し、使用感に優れ、適度な粘度を有する洗浄剤組成物を提供することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、ペースト状またはクリーム状の外観を呈し、液だれがなく、チューブ、ジャー等の容器への充填が容易で、チューブ等からスムーズに押出すことができ、ジャー等の容器から手指等により容易に取り出すことができる。
また、本発明の洗浄剤組成物は適度な曳糸性を示し、容器への充填の際に、組成物が糸を曳いて容器外部に漏れ出るといった不都合を生じにくく、使用時に滑らかな感触が付与される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、下記(i)~(iv)の特徴を有する。
(i)(A)N-アシルアラニンまたはその塩を2.5重量%~20重量%、(B)スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を1.5重量%~10重量%、ならびに、(C)アニオン性アクリル酸系増粘剤を0.01重量%~0.75重量%含有する。
(ii)25℃における粘度が0.8Pa・s~50Pa・sである。
(iii)25℃におけるpHが4.6~6である。
(iv)剪断速度(γ)が1000s-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)が、1000s-1以上である。
【0011】
本発明における「洗浄剤組成物」は、皮膚や毛髪の洗浄に用いられる組成物をいう。
【0012】
本発明において、成分(A)として含有されるN-アシルアラニンまたはその塩は、アラニン(2-アミノプロパン酸)のアミノ基がアシル化された構造を有するアニオン性界面活性剤である。
N-アシルアラニンとしては、N-アシル-D-アラニン、N-アシル-DL-アラニンおよびN-アシル-L-アラニンを用いることができるが、N-アシル-L-アラニンが好ましく用いられる。
N-アシルアラニンにおけるアシル基としては、炭素数が8~22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基が好ましく、たとえば、オクタノイル(カプリロイル)、2-エチルヘキサノイル、ノナノイル、デカノイル(カプリノイル)、ウンデカノイル、ウンデセノイル、ドデカノイル(ラウロイル)、テトラデカノイル(ミリストイル)、ヘキサデカノイル(パルミトイル)、オクタデカノイル(ステアロイル)、2-ヘプチルウンデカノイル(イソステアロイル)、(Z)-9-オクタデセノイル(オレオイル)、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル(リノレオイル)、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエノイル(α-リノレノイル)、イコサノイル(アラキドイル)、ドコサノイル(ベヘノイル)等が挙げられる。また、ヤシ油、パーム核油等の天然の油脂に由来する混合脂肪酸から誘導されるアシル基(ヤシ油脂肪酸アシル、パーム核油脂肪酸アシル等)も好ましい。
本発明の目的には、炭素数が8~18の飽和アシル基がより好ましく、ラウロイル、ミリストイル、ヤシ油脂肪酸アシル等がさらに好ましい。
【0013】
N-アシルアラニンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、リジン塩、アルギニン塩、ヒスチジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適な例として挙げられる。
なかでも、アルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩およびトリエタノールアミン塩が特に好ましい。
【0014】
特に好適な成分(A)としては、N-ラウロイル-L-アラニンナトリウム、N-ラウロイル-L-アラニントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アラニンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アラニントリエタノールアミン等が挙げられる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物には、成分(A)として、上記したN-アシルアラニンまたはその塩は、1種を選択して単独で、または2種以上を選択し、組み合わせて用いることができる。
N-アシルアラニンまたはその塩としては、動植物から抽出して精製し、または化学的に合成し、あるいは発酵法により得たアラニンを、常法に従ってアシル化し、さらに常法に従ってそれらの塩を形成させて用いることができるが、各社より提供されている市販の製品を用いることもできる。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物における成分(A)の含有量は、2.5重量%~20重量%であり、好ましくは3重量%~17重量%であり、より好ましくは4.5重量%~15重量%、さらに好ましくは5重量%~14重量%であり、さらに一層好ましくは8重量%~11重量%である。
成分(A)の含有量が2.5重量%未満であると、洗浄剤組成物に十分な粘度を付与することができず、また、曳糸性も不十分となり、使用感が低下することがある。
一方、成分(A)の含有量が20重量%を超えると、洗い流しやすさが低下し、また曳糸性も不十分となり、使用感が低下することがある。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物に成分(B)として含有されるスルホベタイン型両性界面活性剤は、分子内にカチオン性基とスルホ基を有する両性界面活性剤であり、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が挙げられる。
N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩としては、炭素数8~22のアルキル基を有するものが好ましく、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩、N-ヤシ油アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸塩等が例示される。
N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩としては、炭素数8~22のアルキル基を有するものが好ましく、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N-ヤシ油アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が例示される。
脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩としては、脂肪酸アミドの炭素数が8~22であるものが好ましく、ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が例示される。
上記の各スルホン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が例示される。
【0018】
本発明の目的には、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等が好ましく、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等がより好ましく用いられる。
【0019】
また、本発明の洗浄剤組成物に成分(B)として含有されるイミダゾリン型両性界面活性剤は、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩であり、アシル基としては、炭素数が8~22のアシル基を有するものが好ましく、グリシン塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が例示される。
本発明の目的には、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等がより好ましく用いられる。
【0020】
本発明の洗浄剤組成物には、成分(B)として、スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より、1種以上を選択して用いることができる。
スルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤は、それぞれ自体公知の製造方法により製造して用いることもできるが、各社より提供されている市販の製品を用いることもできる。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物における成分(B)の含有量は、1.5重量%~10重量%であり、好ましくは2重量%~10重量%であり、より好ましくは4重量%~8重量%であり、さらに好ましくは5重量%~8重量%である。
成分(B)の含有量が1.5重量%未満であると、洗浄剤組成物に十分な粘度が付与されず、適度な曳糸性が得られない場合がある。
一方、成分(B)の含有量が10重量%を超えると、洗浄剤組成物の粘度が高くなり過ぎ、取扱い性および使用感が低下することがあり、また、適度な曳糸性が得られない場合がある。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物に、成分(C)として含有されるアニオン性アクリル酸系増粘剤は、カルボキシル基を有する水溶性高分子であり、増粘効果を有する重合体または共重合体である。
アニオン性アクリル酸系増粘剤としては、ポリアクリル酸またはその塩、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、架橋型アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、ポリメタクリル酸またはその塩、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
ポリアクリル酸は、アクリル酸の重合体であり、その塩としては、ナトリウム塩が好ましい。
カルボキシビニルポリマーは、ペンタエリスリチルアリルエーテル、ショ糖のアリルエーテルまたはプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体である。
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーと、アルキル基の炭素数が10~30であるアクリル酸アルキルとの共重合体を、ショ糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。
架橋型アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、アクリル酸とメタクリル酸アルキルを共重合して架橋した共重合体である。
アクリル酸アルキル共重合体は、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される2種以上のモノマーを共重合して構成される共重合体である。
ポリメタクリル酸は、メタクリル酸の重合体であり、その塩としてはナトリウム塩が好ましい。
【0023】
本発明の目的には、アニオン性アクリル酸系増粘剤としては、架橋剤により架橋されたアクリル酸系の重合体または共重合体、たとえばカルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、架橋型アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等が好ましく用いられ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーが特に好ましく用いられる。
カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、架橋型アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等のカルボキシル基を有するアニオン性アクリル酸系増粘剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム塩等の無機塩基や、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール等の水溶性アミン等により中和して用いることにより、高い増粘効果を発揮し得る。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物には、アニオン性アクリル酸系増粘剤は、1種または2種以上を含有させることができる。
アニオン性アクリル酸系増粘剤は、自体公知の製造方法により製造して用いることもできるが、各社より提供されている市販の製品を用いることができる。
【0025】
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の含有量は、0.01重量%~0.75重量%であり、好ましくは0.1重量%~0.75重量%であり、より好ましくは0.2重量%~0.65重量%である。
本発明の洗浄剤組成物における成分(C)の含有量が0.01重量%未満であると、洗浄剤組成物の粘度の低下が生じたり、泡質の低下が見られたりすることがある。
一方、成分(C)の含有量が0.75重量%を超えると、洗浄剤組成物の粘度の上昇が生じたり、洗い流しやすさの低下が見られたりすることがある。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、25℃における粘度が0.8Pa・s~50Pa・sであり、好ましくは2.5Pa・s以上32Pa・s未満であり、より好ましくは3Pa・s~25Pa・sである。
なお、洗浄剤組成物の25℃における粘度は、後述するように、気温を25℃に設定した恒温室内において、B型粘度計にて、測定する洗浄剤組成物の粘度領域に応じてNo.20またはNo.21のローターを用い、回転数を12rpmまたは30rpmとして、30秒間測定して得ることができる。
洗浄剤組成物の25℃における粘度が0.8Pa・s未満であると、洗浄剤組成物の粘性が不足し、液だれを生じたりして、取扱い性および使用性を損なうことがある。一方、洗浄剤組成物の25℃における粘度が50Pa・sを超えると、粘性が強くなり過ぎて、容器への充填や、容器からの取り出しが困難になることがある。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、4.6~6であり、好ましくは4.6~5.5であり、より好ましくは5~5.5である。
なお、本発明の洗浄剤組成物のpHは、精製水で10倍希釈した後、25℃に設定された恒温室内にて、ガラス電極法により測定される。
本発明の洗浄剤組成物の25℃におけるpHが4.6未満であると、洗浄剤組成物の泡立ちおよび泡質が低下し、適度な曳糸性が得られないことがあり、また、皮膚刺激性を生じる場合がある。
一方、本発明の洗浄剤組成物の25℃におけるpHが6を超えると、洗浄剤組成物の粘度及び泡立ちの低下が見られたり、適度な曳糸性が得られないことがあるだけでなく、皮膚の生理的なpHとの相違が大きくなり、皮膚刺激性を生じる場合がある。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物においては、剪断速度(γ)が1000s-1である時の第一法線応力差(N1)を粘度(η)で除した値(N1/η)が、1000s-1以上である。
上記N1/η値は、曳糸性を表わすパラメーターとして報告されており(笠原啓二;Nihon Reoroji Gakkaishi 41 (4) 231-233 (2013))、応力制御型レオメーターを用いて測定される粘度(η)と第一法線応力差(N1)により算出される。剪断速度(γ)が1000s-1である時のN1/ηが1000s-1以上である場合、本発明の洗浄剤組成物は、適度な曳糸性を示す。
剪断速度(γ)が1000s-1である時のN1/ηは、好ましくは1500s-1以上であり、より好ましくは2000s-1以上である。また、剪断速度(γ)が1000s-1である時のN1/ηは、好ましくは7000s-1以下であり、より好ましくは5000s-1以下であり、さらに好ましくは4500s-1以下である。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の特徴を損なわない範囲で、上記した成分(A)以外のアニオン性界面活性剤、および上記した成分(B)以外の両性界面活性剤を含有することができる。
成分(A)以外のアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸セッケン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N-アシルアラニン以外のN-アシルアミノ酸塩等のカルボン酸塩;アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホン脂肪酸メチルエステル塩等のスルホン酸塩;アルキル硫酸エステル塩、第2級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアシルグリセリン硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が例示される。
成分(B)以外の両性界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、アルキルカルボキシメチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシンアルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルプロピオン酸塩(N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等)等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド等)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等)等のアミンオキシド型両性界面活性剤;ホスファチジルコリン等のリン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0030】
洗浄剤組成物の泡質、泡立ち、曳糸性等の観点からは、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤の含有量の合計が4重量%~30重量%であることが好ましい。
また、成分(A)以外のアニオン性界面活性剤を含有しないことが好ましい。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに(D)塩(ただし、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤となるものを除く)を含有し得る。
本発明の洗浄剤組成物に成分(D)として含有され得る塩としては、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩;ピロリン酸四ナトリウム等のピロリン酸塩;硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩;リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム等のケイ酸塩;ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩等の無機塩、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩;クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩;乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム等の乳酸塩;ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のピロリドンカルボン酸塩;フマル酸一ナトリウム等のフマル酸塩等の有機塩、およびこれらの水和物等が挙げられる。
洗浄剤組成物に粘度を付与する効果や、保湿効果を付与する等の観点から、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の塩化物、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のピロリドンカルボン酸塩等が好ましく用いられ、塩化ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等がより好ましく用いられる。
【0032】
上記塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
上記塩としては、化粧品、医薬部外品用等として市販されている製品を利用することができる。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物における成分(D)の含有量は、通常0.05重量%~5重量%であり、好ましくは0.1重量%~3重量%であり、より好ましくは0.3重量%~2重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%~1.5重量%であり、さらに一層好ましくは0.8重量%~1.5重量%である。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに(E)粉体を含有し得る。
本発明の洗浄剤組成物に成分(E)として含有され得る粉体としては、ケイ酸、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、含硫ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等の無機粉体;ケイ酸と炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄等との複合粉体;前記無機粉体や複合粉体のシリコーン処理粉体、アミノ酸処理粉体、エステル処理粉体、金属セッケン処理粉体、レシチン処理粉体、アルギン酸処理粉体;ポリエチレン末、アルギン酸カルシウム微粒子、ナイロン-6末、ナイロン-12末等の有機粉体;N-オクタノイルリシン、N-ラウロイルリシン、N-カプリロイルグリシン、N-ウンデシノイルグリシン、N-パルミトイルグリシン、4-(パルミトイルオキシ)-1-パルミトイル-L-プロリン、N-ウンデシノイル-L-フェニルアラニン、N-パルミトイル-L-フェニルアラニン、N-パルミトイルグルタミン酸マグネシウム等の機能性有機粉体;前記有機粉体のシリコーン処理粉体、アミノ酸処理粉体、エステル処理粉体、金属セッケン処理粉体、レシチン処理粉体、アルギン酸処理粉体;前記有機粉体の被覆剤(メタクリル酸メチル・アクリロニトリル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)による被覆処理粉体等が例示される。
また、成分(E)として含有され得る粉体の形状は特に限定されず、球状、楕円球状、板状等のいずれの形態でもよい。
洗浄剤組成物に適度な粘度や洗い流しやすさの向上等の効果を付与する観点から、無機粉体、機能性有機粉体等が好ましく用いられ、酸化チタン、N-ラウロイルリシン等がより好ましく用いられる。
【0035】
上記粉体は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
上記粉体としては、化粧品、医薬部外品用等として市販されている製品を利用することができる。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物における成分(E)の含有量は、通常5重量%以下であり、好ましくは0.05重量%~3重量%であり、より好ましくは0.1重量%~3重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%~2重量%であり、さらに一層好ましくは0.5重量%~1.5重量%である。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに(F)多価アルコールを含有し得る。
本発明の洗浄剤組成物に成分(F)として含有される多価アルコールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールであれば、特に制限されることなく用いることができ、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール等のジオール;グリセリン等のトリオール;キシリトール、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。
本発明の目的には、炭素数が3~6のジオールまたはトリオールが好ましく用いられ、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等がより好ましく用いられる。
【0038】
本発明において、上記した多価アルコールは、それぞれ自体公知の製造方法により製造して用いることもできるが、各社より提供されている市販の製品を利用することができる。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物における成分(F)の含有量は、通常15重量%以下であり、好ましくは1重量%~10重量%であり、より好ましくは1重量%~7.5重量%であり、さらに好ましくは1重量%~6重量%であり、さらに一層好ましくは1.5重量%~6重量%である。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに(G)カチオン性高分子およびノニオン性高分子からなる群より選択される1種以上を含有し得る。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物に成分(G)として含有され得るカチオン性高分子としては、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(ポリクオタニウム-6)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22)、アクリル酸アミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-39)、ビニルピロリドン・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-28)、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体と硫酸ジエチルから得られる第4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11)、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリル酸アミド・塩化メタクリル酸アミドプロピルラウリルジメチルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-55)等のアクリル系のカチオン化共重合体;塩化メチルビニルイミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重合体(ポリクオタニウム-16)、ビニルピロリドン・3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩共重合体(ポリクオタニウム-44)、ビニルカプロラクタム・ビニルピロリドン・メチルビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩共重合体(ポリクオタニウム-46)、ビニルピロリドン・メタクリル酸アミド・ビニルイミダゾール・3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムメチル硫酸塩共重合体(ポリクオタニウム-68)等のビニルピロリドンおよびビニルイミダゾリウムをモノマー単位として含むカチオン化共重合体;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-64)等の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマー単位として含むカチオン化共重合体;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]・[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-67)等のカチオン化セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等のカチオン化グァーガム等が例示される。
本発明の目的には、アクリル酸アミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-39)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22)、カチオン化グァーガム等が好ましく用いられ、アクリル酸アミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-39)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22)等がより好ましく用いられる。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物に成分(G)として含有され得るノニオン性高分子としては、ポリエチレングリコール200(平均重合度=4)、ポリエチレングリコール300(平均重合度=6)、ポリエチレングリコール1000(平均重合度=20)、ポリエチレングリコール1540(平均重合度=32)、ポリエチレングリコール2000(平均重合度=40)、ポリエチレングリコール6000(平均重合度=150)、ポリエチレングリコール11000(平均重合度=240)、高重合ポリエチレングリコール(平均重合度=7000)、高重合ポリエチレングリコール(平均重合度=14000)等のポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール(平均重合度=7)、ポリプロピレングリコール(平均重合度=12)、ポリプロピレングリコール(平均重合度=13)、ポリプロピレングリコール(平均重合度=17)、ポリプロピレングリコール(平均重合度=20)、ポリプロピレングリコール(平均重合度=34)等のポリプロピレングリコール;ポリオキシエチレン(23)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(19)ポリオキシプロピレン(21)グリコール、ポリオキシエチレン(16)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(26)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(38)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(48)ポリオキシプロピレン(35)グリコール、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(54)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が例示される。
本発明の目的には、高重合ポリエチレングリコール等が好ましく用いられ、高重合ポリエチレングリコール(平均重合度=14000)等がより好ましく用いられる。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物には、成分(G)として、カチオン性高分子およびノニオン性高分子からなる群より1種を選択し、または2種以上を選択して含有させることができる。
カチオン性高分子およびノニオン性高分子としては、化粧品、医薬部外品用等として市販されている製品を利用することができる。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物における成分(G)の含有量は、通常0.01重量%~3重量%であり、好ましくは0.05重量%~1重量%であり、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%である。
【0045】
本発明の洗浄剤組成物には、成分(A)~成分(G)以外に、本発明の特徴を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品等に使用される一般的な添加剤を含有させてもよい。
かかる添加剤としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;成分(A)、(B)以外の界面活性剤;ヒアルロン酸ナトリウム、オリザノール等の保湿剤;キサンタンガム等の増粘性多糖類;クエン酸、リンゴ酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のpH調整剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤;エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤;ビタミンE等の酸化防止剤;アセンヤクエキス、アロエエキス、チャエキス等の植物抽出エキス;キラヤエキス、ムクロジエキス等の皮脂抑制剤;アラントイン、パンテノール等の抗炎症剤;色素;香料等が挙げられる。
これら添加剤は、必要に応じて、1種または2種以上を含有させることができる。また、これら添加剤の含有量は、洗浄剤組成物において通常含有される量に準じて設定することができる。
【0046】
本発明の洗浄剤組成物は、通常水を含有する。水としては、たとえば、蒸留水、脱イオン水等の精製水、水道水、工業用水等が挙げられ、化粧品、医薬部外品等の製造に適する水が用いられる。
水の含有量は、本発明の洗浄剤組成物の全量を100重量%とする量として設定される。
【0047】
本発明の洗浄剤組成物は、常法に従って製造することができる。たとえば、成分(A)~(C)、さらに必要に応じて成分(D)~(G)や他の添加剤を、室温で順次水に添加して混合し、均一として調製することができる。
【0048】
本発明の洗浄剤組成物は、クリーム状、ペースト状等の形態とし、チューブやジャー等の容器に充填して提供することができる。
【0049】
本発明の洗浄剤組成物は、N-アシルアラニンまたはその塩を含有し、組成物のpHを健康な皮膚のpHに近い酸性~弱酸性のpHとして、皮膚に対してより穏和で、かつ、良好な泡立ちときめ細かい良質な泡質を示し、使用感に優れる。
また、本発明の洗浄剤組成物は、クリーム状またはペースト状を呈する程度の適度な粘度を有する組成物とすることができ、液だれがなく、チューブ、ジャー等の容器への充填が容易で、チューブ等からスムーズに押出すことができ、ジャー等の容器からも、手指等により容易に取り出すことができる。
また、本発明の洗浄剤組成物は適度な曳糸性を示し、容器への充填の際に、組成物が糸を曳いて容器外部に漏れ出るといった不都合を生じにくく、使用時に滑らかな感触が付与される。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例について、表中に示す各成分の含有量は、特に断らない限り、各成分の正味の含有量(重量%)を示す。
【0051】
表1~7に示す処方に従い、下記に示す方法にて、実施例および比較例の洗浄剤組成物を調製した。
<製造方法>
表中の成分(A)~(G)およびその他の成分を順次水に添加して、室温(25℃)にて1分~3時間程度撹拌混合し、均一とした。
各成分について、使用した原料は表中に示した。表中に記載のないものについては、化粧品または医薬部外品用として提供されている市販の原料を用いた。
【0052】
調製した実施例および比較例の各洗浄剤組成物について、下記の通り、pHを測定した。また、粘度およびN1/η値を測定し、曳糸性、泡立ちおよび泡質の官能評価を行い、得られた測定結果および官能評価結果に基づき、洗浄剤組成物について総合評価を行った。
【0053】
(1)pHの測定
各洗浄剤組成物のpHは、各洗浄剤組成物を精製水で10倍に希釈した後、25℃にてガラス電極法により測定した。
【0054】
(2)粘度の測定
株式会社東洋精機製作所製のB型粘度計を用い、25℃に設定した室内で、測定する洗浄剤組成物の粘度領域に応じて、No.20またはNo.21のローターにて、回転数を12rpmまたは30rpmとし、30秒間測定を実施した。得られた測定値に基づき、下記の評価基準により評価した。
<評価基準>
A:粘度が2.5Pa・s以上32Pa・s未満である
B:粘度が0.8Pa・s以上2.5Pa・s未満である、または32Pa・s以上50Pa・s以下である
C:粘度が0.8Pa・s未満である、または50Pa・sを超える
【0055】
(3)曳糸性の評価
25℃に設定した室内で、実施例および比較例の各洗浄剤組成物中に金属スプーンをつぼ部分まで浸漬させた後、10cmの高さまで引き上げた際の曳糸性について、実施例11の洗浄剤組成物(N1/η値=2745s-1)、比較例1の洗浄剤組成物(N1/η値=7269s-1)および比較例9の洗浄剤組成物(N1/η値=539s-1)との比較により専門パネラー5名に評価させ、下記の官能評価基準により点数化させた。5名の専門パネラーの官能評価点を合計し、下記評価基準に基づいて曳糸性を評価した。
<官能評価基準>
5点:比較例1より曳糸性がないが、実施例11よりも曳糸性があると感じた
4点:実施例11と同程度の曳糸性があると感じた
3点:実施例11よりも曳糸性がないが、比較例9よりも曳糸性があると感じた
2点:比較例9または比較例1と同程度の曳糸性があると感じた
1点:比較例9より曳糸性がない、または比較例1より曳糸性があると感じた
<評価基準>
A:5名の合計点が17点以上
B:5名の合計点が13点以上17点未満
C:5名の合計点が13点未満
なお、N1/η値は、各洗浄剤組成物について、応力制御型レオメーターAR-G2(ティー・エイ・インスツルメント社製)により、25℃、相対湿度=40%の条件下に分析して求めた。アルミニウム製コーンプレート(直径=4cm、傾き=2°)を用いて測定し、剪断速度=1000s-1における第一法線応力差(N1)および粘度(η)より算出した。
実施例1~26の各洗浄剤組成物について、N1/η値は1000s-1以上であった。
【0056】
(4)泡立ちの評価
実施例および比較例の各洗浄剤組成物をそれぞれ1.5g秤量し、専門パネラー5名に、両手のひらにて15秒間擦り洗いさせ、その際の泡立ちを下記の官能評価基準により評価させて点数化させた。5名の専門パネラーの官能評価点を合計し、下記評価基準に基づいて泡立ちを評価した。
<官能評価基準>
5点:手から非常にあふれるくらいの泡立ちであった
4点:手からややあふれるくらいの泡立ちであった
3点:手にすっぽり収まる程度の泡立ちであった
2点:手にすっぽり収まる程度より少ない泡立ちであった
1点:ほとんど泡立たなかった
<評価基準>
A:5名の合計点が16点以上
B:5名の合計点が12点以上16点未満
C:5名の合計点が12点未満
【0057】
(5)泡質の評価
実施例および比較例の各洗浄剤組成物をそれぞれ1.5g秤量し、専門パネラー5名に、両手のひらにて15秒間擦り洗いさせ、その際に観察される泡質を下記の官能評価基準により評価させて点数化させた。5名の専門パネラーの官能評価点を合計し、下記評価基準に基づいて泡質を評価した。
<官能評価基準>
5点:泡全体が明らかにきめ細かい泡質である
4点:泡のほとんどがややきめ細かい泡質である
3点:きめ細かくも粗くもない泡質である
2点:泡のほとんどがやや粗い泡質である
1点:泡全体が明らかに粗い泡質である
<評価基準>
A:5名の合計点が17点以上
B:5名の合計点が13点以上17点未満
C:5名の合計点が13点未満
【0058】
(6)洗い流しやすさの評価
実施例および比較例の各洗浄剤組成物をそれぞれ1.5g秤量し、専門パネラー5名に、両手のひらにて15秒間擦り洗いさせた後、4L/分、35℃の水道水で15秒間泡を洗い流させた際の洗い流しやすさを、下記の官能評価基準により評価させて点数化させた。5名の専門パネラーの官能評価点を合計し、下記評価基準に基づいて洗い流しやすさを評価した。
<官能評価基準>
5点:明らかに、洗い流しやすい
4点:やや洗い流しやすい
3点:洗い流しやすいとはいえないが、さほどぬるつきも残らない
2点:ややぬるつきが残る
1点:明らかにぬるつきが残る
<評価基準>
A:5名の合計点が18点以上
B:5名の合計点が13点以上18点未満
C:5名の合計点が13点未満
【0059】
(7)総合評価
粘度、曳糸性、泡立ち、泡質および洗い流しやすさの各評価項目において、評価Aを5点、評価Bを3点、評価Cを1点として、評価点の合計を求め、下記評価基準に基づいて総合評価を行った。
<評価基準>
A:21点以上
B:15点以上20点以下
C:14点以下
【0060】
(1)~(7)の測定結果および評価結果を、表1~7のそれぞれに併せて示した。
上記結果に基づき、洗浄剤組成物の物性および機能に対して、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤の種類、成分(A)~(C)の各含有量、洗浄剤組成物のpH、成分(D)および(E)の添加、成分(F)の含有量、ならびに成分(G)の種類および含有量がそれぞれ及ぼす影響を検討した。
【0061】
[アニオン性界面活性剤の種類の影響の検討]
表1に、アニオン性界面活性剤の種類を変更して調製した実施例1、2および比較例1~5の各洗浄剤組成物について、組成および評価結果を示した。
【0062】
【0063】
表1に示されるように、アニオン性界面活性剤として、成分(A)であるN-ヤシ油脂肪酸アシル-L-アラニン塩を含有する実施例1および2の洗浄剤組成物は、適度な粘度を有し、ほとんどの評価項目において良好な評価を得ており、総合評価もAであった。
一方、成分(A)以外のアニオン性界面活性剤を含有する比較例1~5の洗浄剤組成物では、泡立ち、泡質、洗い流しやすさのすべてにおいて良好な評価の得られたものはなく、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムを含有する比較例1の洗浄剤組成物では、顕著な粘度の上昇が見られ、使用性の低下が認められた。また、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含有する比較例2の洗浄剤組成物では、泡立ちおよび泡質の評価が悪く、曳糸性の低下が顕著に見られ、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウムを含有する比較例5の洗浄剤組成物では、泡立ち、泡質および洗い流しやすさのすべてにおいて評価が悪くなっていた。
上記の結果から、アニオン性界面活性剤として、成分(A)のN-アシルアラニン塩を含有させる必要性が確認された。
【0064】
[両性界面活性剤の種類の影響の検討]
表2に、両性界面活性剤の種類を変更して調製した実施例1、3~6および比較例6~8の各洗浄剤組成物について、組成および評価結果を示した。
【0065】
【0066】
表2に示されるように、両性界面活性剤として、成分(B)であるスルホベタイン型両性界面活性剤またはイミダゾリン型両性界面活性剤を含有する実施例1、3~6の各洗浄剤組成物は、適度な粘度を有し、すべての評価項目において良好な評価を得ており、総合評価もAであった。
一方、両性界面活性剤として、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインまたはヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタインを含有する比較例6、7の各洗浄剤組成物では、洗浄性能および曳糸性の若干の低下が見られ、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドを含有する比較例8の洗浄剤組成物では、泡立ちおよび曳糸性の顕著な低下が認められた。
上記の結果から、両性界面活性剤として、成分(B)のスルホベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上を含有させる必要性が確認された。
【0067】
[成分(A)~(C)の各含有量の影響の検討]
表3に、成分(A)~(C)の各含有量を変えて調製した実施例1、7~11および比較例9~12の各洗浄剤組成物について、組成および評価結果を示した。
【0068】
【0069】
表3に示されるように、成分(A)のアニオン性界面活性剤を4.8重量%~14.4重量%、成分(B)の両性界面活性剤を3.2重量%~6.4重量%、および成分(C)のアニオン性アクリル酸系増粘剤を0.1重量%~0.7重量%含有する本発明の実施例1、7~11の各洗浄剤組成物は、適度な粘度を示し、各評価項目において良好またはやや良好な評価を得ており、総合評価もAであった。
一方、成分(A)の含有量が2.5重量%に満たない比較例9の洗浄剤組成物、および成分(B)の含有量が1.5重量%に満たない比較例10の洗浄剤組成物では、粘度が低過ぎて使用性および取扱い性が悪く、曳糸性の評価も悪いことが認められた。
成分(B)の含有量が10重量%を超える比較例11の洗浄剤組成物では、粘度が高過ぎて使用性および取扱い性が低下することが認められ、曳糸性の評価も悪くなっていた。
成分(C)を含有しない比較例12の洗浄剤組成物では、泡質の低下が認められた。
上記の結果から、本願発明の成分(A)~(C)の各含有量が、洗浄剤組成物の粘度や曳糸性、泡質に影響を及ぼすことが示唆された。
【0070】
[洗浄剤組成物のpHの影響の検討]
表4に、洗浄剤組成物のpHを異なるpHに調整して調製した実施例1、12および比較例13、14の各洗浄剤組成物について、組成および評価結果を示した。
【0071】
【0072】
表4に示されるように、pHが5.5または5.0に調整された実施例1、12の各洗浄剤組成物は、適度な粘度を有し、すべての評価項目において良好な評価が得られた。
一方、pHを4.5に調整した比較例13の洗浄剤組成物では、泡立ちおよび泡質の低下と、曳糸性の低下が認められた。また、pHを6.5に調整した比較例14の洗浄剤組成物では、粘度の若干の低下と、泡立ちおよび洗い流しやすさの評価ならびに曳糸性の若干の低下が認められた。
上記の結果から、本発明の洗浄剤組成物のpHを4.6~6に調整することの必要性が示唆された。
【0073】
[塩および粉体の影響の検討]
表5に、成分(D)である塩および成分(E)である粉体を含有する実施例1の洗浄剤組成物と、前記のいずれかを添加せずに調製した実施例13~17の各洗浄剤組成物についての組成および評価結果を示した。
【0074】
【0075】
表5に示されるように、成分(D)である塩と、成分(E)である粉体の双方を含有する実施例1の洗浄剤組成物は、適度な粘度を有し、すべての評価項目において良好な評価を得ていた。
成分(D)である塩を含有しない実施例13および14の各洗浄剤組成物、ならびに成分(E)である粉体を含有しない実施例15~17の各洗浄剤組成物では、総合評価はAであったものの、粘度、洗浄性、曳糸性の評価がやや低下する場合が認められた。
上記の結果から、本発明の洗浄剤組成物には、成分(D)の塩と成分(E)の粉体を含有させることがより好ましいことが示唆された。
【0076】
[多価アルコールの含有量の影響の検討]
表6に、成分(F)である多価アルコールの含有量を変更して調製した実施例1および18~22の各洗浄剤組成物についての組成および評価結果を示した。
【0077】
【0078】
表6に示されるように、成分(F)の含有量が5.0重量%である実施例1、および2.0重量%である実施例19の各洗浄剤組成物は、適度な粘度を有し、すべての評価項目において良好と評価された。
一方、成分(F)を含有しない実施例18、成分(F)の含有量が7.5重量%~15.0重量%である実施例20~21の各洗浄剤組成物では、総合評価はAであったが、粘度または洗浄性において、若干の評価の低下が見られた。
上記の結果から、成分(F)として多価アルコールを2.0重量%~5.0重量%程度含有させることが、洗浄剤組成物の粘度や洗浄性に良好な効果を及ぼす可能性が示唆された。
【0079】
[カチオン性高分子およびノニオン性高分子の種類および含有量の影響の検討]
表7に、成分(G)であるカチオン性高分子およびノニオン性高分子の種類および含有量を変更して調製した実施例1および23~26の各洗浄剤組成物についての組成および評価結果を示した。
【0080】
【0081】
表7に示されるように、成分(G)としてカチオン性高分子を0.05重量%と、ノニオン性高分子を0.2重量%含有する実施例1の洗浄剤組成物では、適度な粘度を有し、すべての評価項目において良好な評価が得られた。
一方、成分(G)としてカチオン性高分子を0.05重量%または0.25重量%含有する実施例23および26の各洗浄剤組成物、ならびにノニオン性高分子を0.2重量%含有する実施例24の洗浄剤組成物では、泡質の評価の若干の低下が認められたが、その他は良好な評価が得られた。
成分(G)を含有しない実施例25の洗浄剤組成物では、総合評価はAであったが、泡質の評価の低下が見られた。
上記の結果から、本発明の洗浄剤組成物に、カチオン性高分子およびノニオン性高分子の1種以上を含有させることが好ましいことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上詳述したように、本発明により、N-アシルアラニンまたはその塩を含有し、組成物のpHを健康な皮膚のpHに近い酸性~弱酸性のpHとして、皮膚に対してより穏和で、かつ、良好な泡立ちときめ細かい良質な泡質を示し、使用感に優れ、適度な粘度を有する洗浄剤組成物を提供することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、ペースト状またはクリーム状の外観を呈し、液だれがなく、チューブ、ジャー等の容器への充填が容易で、チューブ等からスムーズに押出すことができ、ジャー等の容器から手指等により容易に取り出すことができる。
また、本発明の洗浄剤組成物は適度な曳糸性を示し、容器への充填の際に、組成物が糸を曳いて容器外部に漏れ出るといった不都合を生じにくく、使用時に滑らかな感触が付与される。