(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/327 20060101AFI20240214BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E06B9/327
E06B9/262
(21)【出願番号】P 2019219408
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相賀 洋
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-164070(JP,U)
【文献】実開昭56-136096(JP,U)
【文献】特開平09-170387(JP,A)
【文献】特開2019-002127(JP,A)
【文献】特開2003-041870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B9/24-9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の透明な外皮に沿って上下に延在する第1ガイドと、
前記外皮に沿って上下に延在するとともに、前記第1ガイドに対してねじれの位置にある第2ガイドと、
前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に架け渡され、上下に多段となる複数のスラットと、を備え、
前記各スラットの一端部が前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、
前記各スラットの他端部が前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、
前記各スラットが長手方向に伸縮可能に設けられているブラインド。
【請求項2】
前記各スラットが、
前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記第1ガイドから前記第2ガイドの方へ延びた第1遮光板と、
前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記第2ガイドから前記第1ガイドの方へ延びた第2遮光板と、を有し、
前記第2遮光板が、前記第1遮光板に対して前記長手方向にスライド可能となって前記第1遮光板に取り付けられている
請求項1に記載のブラインド。
【請求項3】
前記各スラットが蛇腹構造又はゴムによって伸縮可能に設けられている
請求項1に記載のブラインド。
【請求項4】
前記各スラットが前記長手方向に延びる軸の回りに傾動可能に設けられている
請求項1から3の何れか一項に記載のブラインド。
【請求項5】
前記複数のスラットのうち最も下のスラットの下において前記第1ガイドと前記第2ガ
イドとの間に架け渡されるウェイトを更に備え、
前記ウェイトの一端部が前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、
前記ウェイトの他端部が前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、
前記ウェイトが長手方向に伸縮可能に設けられている
請求項1から4の何れか一項に記載のブラインド。
【請求項6】
前記ウェイトが、
前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記第1ガイドから前記第2ガイドの方へ延びたウェイト本体と、
前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記第2ガイドから前記第1ガイドの方へ延びたスライダと、を有し、
前記スライダが、前記長手方向に前記ウェイト本体に対してスライド可能となって前記ウェイト本体に取り付けられている
請求項5に記載のブラインド。
【請求項7】
前記ウェイトを昇降させる昇降装置を更に備える請求項5又は6に記載のブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の透明な外皮を通じた日光の入射量を調整するブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物のデザイン性の向上のため、曲面ガラスカーテンウォールを建築物の外皮に採用することがある。曲面ガラスカーテンウォールを短期・低コストで構築するための工法として、コールドベント工法がある(非特許文献1参照)。コールドベント工法では、異形の四角形を成した平坦なガラスの3つの角部及び隣接2辺を固定し、残りの角部にガラス表面の法線方向の荷重を付与することによってガラスをねじりながら、そのガラスを建築物の外表面に取り付ける。このように取り付ける複数のガラスを連続させることで、ガラスカーテンウォールを構築することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“コールドベント工法を用いた三次元曲面ガラスカーテンウォール技術を日本で初めて施工”、[online]、令和1年6月18日、株式会社大林組、[令和1年11月6日検索]、インターネット<URL:201912041333250770__________OB190567____________________APH_0.html>
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような曲面ガラスカーテンウォールを通じた日光の入射量を調節するため、曲面ガラスカーテンウォールに横型ブラインド(ベネシャンブラインドともいう)を設置することが考えられる。例えば特許文献1に記載されたような従来の横型ブラインドは鉛直な平面に沿って下方へ展開されるため、展開状態の横型ブラインドを曲面ガラスカーテンウォールに沿わせることができない。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、曲面ガラスカーテンウォール等の透明な曲面状の外皮に沿って展開・収納するブラインドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、建築物の透明な外皮に沿って上下に延在する第1ガイドと、前記外皮に沿って上下に延在するとともに、前記第1ガイドに対してねじれの位置にある第2ガイドと、前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に架け渡され、上下に多段となる複数のスラットと、を備え、前記各スラットの一端部が前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記各スラットの他端部が前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記各スラットが長手方向に伸縮可能に設けられているブラインドが提供される。
【0008】
上記ブラインドにおいて、前記各スラットが、前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記第1ガイドから前記第2ガイドの方へ延びた第1遮光板と、前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記第2ガイドから前記第1ガイドの方へ延びた第2遮光板と、を有し、前記第2遮光板が、前記第1遮光板に対して前記長手方向にスライド可能となって前記第1遮光板に取り付けられていてもよい。
また、前記各スラットが蛇腹構造又はゴムによって伸縮可能に設けられていてもよい。
【0009】
以上によれば、建築物の外皮が曲面状であっても、第1ガイド及び第2ガイドが互いにねじれの位置にあるため、第1ガイド及び第2ガイドを外皮にほぼ沿わせて上下に延在させることができる。このような第1ガイド及び第2ガイドによって各スラットが上下に案内されるため、各スラットを外皮に沿って昇降させることができる。そのため、外皮が曲面状であっても、その外皮に沿ってブラインドの展開・収納をすることができる。
【0010】
ここで、第1ガイド及び第2ガイドが互いにねじれの位置にあるため、第1ガイドから第2ガイドまでの間隔は一様ではない。そのような場合でも、各スラットが長手方向に伸縮可能になっているため、第1ガイドから第2ガイドまでの間隔に各スラットの長さを合わせることができる。つまり、互いにねじれの位置にある第1ガイド及び第2ガイドであっても、各スラットを上下に案内することができる。また、外皮の幅に各スラットの長さを合わせることができる。
【0011】
また、前記各スラットが前記長手方向に延びる軸の回りに傾動可能に設けられていてもよい。
これにより、スラットの角度を調整して、日光の入射量を調整することができる。
【0012】
また、前記ブラインドが、前記複数のスラットのうち最も下のスラットの下において前記第1ガイドと前記第2ガイドとの間に架け渡されるウェイトを更に備え、前記ウェイトの一端部が前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記ウェイトの他端部が前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記ウェイトが長手方向に伸縮可能に設けられていてもよい。
【0013】
好ましくは、前記ウェイトが、前記第1ガイドによって前記第1ガイドに沿って案内され、前記第1ガイドから前記第2ガイドの方へ延びたウェイト本体と、前記第2ガイドによって前記第2ガイドに沿って案内され、前記第2ガイドから前記第1ガイドの方へ延びたスライダと、を有し、前記スライダが、前記長手方向に前記ウェイト本体に対してスライド可能となって前記ウェイト本体に取り付けられていてもよい。
【0014】
以上によれば、ウェイトが長手方向に伸縮可能になっているため、第1ガイド及び第2ガイドによってウェイトを上下に案内することができるとともに、第1ガイドから第2ガイドまでの間隔にウェイトの長さを合わせることができる。
【0015】
また、前記ブラインドが、前記ウェイトを昇降させる昇降装置を備えていてもよい。
これにより、昇降装置がウェイトを昇降させることで、ブラインドが展開・収納される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、外皮が曲面状であっても、その外皮に沿ってブラインドの展開・収納をすることができる。また、各スラットの長さを外皮の幅に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態におけるブラインド1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
図1は、ブラインド1及びパネル90の斜視図である。
【0020】
パネル90は、建築物の透明な外皮となるガラスカーテンウォールを構成する。このパネル90と他の多数のパネルが建築物の外表面に沿って連続的に組み付けられることによって、曲面状、例えば双曲放物面状のカーテンウォールが組み立てられる。
【0021】
パネル90は、4つの角部が非共面となる支持枠91と、支持枠91の内側に組み付けられた透明なガラス板と、を有する。ここで、共面とは、対象物が同一の平面上に存在することをいい、非共面とは、対象物が同一の平面上に存在しないことをいう。
【0022】
支持枠91は、第1縦桟材92と、第1縦桟材92と対となる第2縦桟材94と、上部横桟材93と、上部横桟材93と対となる下部横桟材95とを有する。ここで、
図1は建築物の内側から見て示したものである。
【0023】
第1縦桟材92及び第2縦桟材94は上下方向に延在しており、両者が互いにねじれの位置となるよう、少なくとも一方は鉛直方向に対して傾斜している。
【0024】
上部横桟材93は第1縦桟材92の上端と第2縦桟材94の上端との間に水平に架設されているとともに、第1縦桟材92に対して垂直に設けられている。下部横桟材95は第1縦桟材92の下端と第2縦桟材94の下端との間に水平に架設されているとともに、上部横桟材93に対してねじれの位置にある。互いに直交する第1縦桟材92及び上部横桟材93を通る平面の法線方向に見て、支持枠91が長方形又は正方形に見えるとともに、第2縦桟材94が下部横桟材95に対して垂直に見える。
【0025】
板ガラスの両側のエッジ部が第1縦桟材92と第2縦桟材94にそれぞれ組み付けられている。板ガラスの上側のエッジ部が上部横桟材93に組み付けられ、板ガラスの下側のエッジ部が下部横桟材95に組み付けられている。板ガラスは、直線が移動することによってその直線の軌跡として描かれる曲面、例えば双曲放物面又はそれに近似した曲面に形作られている。
【0026】
ブラインド1は、ヘッドボックス10と、第1ガイド11と、第2ガイド12と、複数枚の帯板状のスラット13と、ボトムレール14と、昇降コード15と、ラダーコード16と、操作コード17とを備える。
【0027】
ヘッドボックス10は、上部横桟材93に沿って上部横桟材93に取り付けられている。なお、ヘッドボックス10が水平に設けられていれば、ヘッドボックス10の取付箇所が上部横桟材93以外の部分、例えばガラス板、天井面、ブラケット又は支持部材等であってもよい。
【0028】
ヘッドボックス10の長手方向の一端には第1ガイド11の上端が取り付けられ、第1ガイド11がヘッドボックス10から第1縦桟材92に沿って垂下している。そのため、第1ガイド11は、ヘッドボックス10の長手方向に対して垂直に設けられているとともに、第1縦桟材92に対して平行に設けられている。
【0029】
第1ガイド11はワイヤ、ケーブル、コード、ストランド、ロープ、紐、ポール又はレール等の線条材であり、第1ガイド11の下端がブラケット等を介して第1縦桟材92の下端又は下部横桟材95の一端に固定されて、第1ガイド11が張った状態で直線状に上下に延在している。なお、第1縦桟材92が鉛直であれば、第1ガイド11も鉛直であり、第1縦桟材92が鉛直線に対して傾斜していれば、第1ガイド11も鉛直線に対して傾斜している。
【0030】
ヘッドボックス10の他端には第2ガイド12の上端が取り付けられ、第2ガイド12がヘッドボックス10から第2縦桟材94に沿って垂下している。そのため、第2ガイド12は、第2縦桟材94に対して平行に設けられているとともに、第1ガイド11に対してねじれの位置にある。ヘッドボックス10の長手方向の中心線及び第1ガイド11の両方を通る平面の法線方向に見て、第1ガイド11と第2ガイド12が互いに平行に見える。
【0031】
第2ガイド12は第1ガイド11と同様に線条材であり、第2ガイド12の下端がブラケット等を介して第2縦桟材94の下端又は下部横桟材95の他端に固定されて、第2ガイド12が張った状態で直線状に上下に延在している。なお、第2縦桟材94が鉛直であれば、第2ガイド12も鉛直であり、第2縦桟材94が鉛直線に対して傾斜していれば、第2ガイド12も鉛直線に対して傾斜している。
【0032】
ヘッドボックス10の下方において、ウェイトとしてのボトムレール14が第1ガイド11と第2ガイド12との間に水平に架け渡されている。ボトムレール14の一端部が第1ガイド11によって第1ガイド11に沿って案内され、ボトムレール14の他端部が第2ガイド12によって第2ガイド12に沿って案内される。具体的には、ボトムレール14の一端部に第1通し孔が形成され、第1ガイド11がその第1通し孔に通され、これによりボトムレール14の一端部が第1ガイド11に沿って案内される。同様に、ボトムレール14の他端部に第2通し孔が形成され、第2ガイド12がその第2通し孔に通され、これによりボトムレール14の他端部が第2ガイド12に沿って案内される。なお、第1通し孔及び第2通し孔を切り欠き或いはノッチに代えてもよい。
【0033】
ここで、第1ガイド11から第2ガイド12までの水平線に沿った距離は、下の方ほど長くなる。このため、スラット13及びボトムレール14は、上下方向の位置に応じて、第1ガイド11から第2ガイド12までの水平線に沿った距離に適合するように、長手方向に伸縮可能に構成されている。以下、先ずボトムレール14について詳細に説明する。
【0034】
ボトムレール14はウェイト本体部14A及びスライダ14Bを有する。ウェイト本体部14Aは第1ガイド11から第2ガイド12に向けて水平に延びている。上述の第1通し孔がウェイト本体部14Aの一端部に形成されており、ウェイト本体部14Aが第1ガイド11に沿って上下に案内される。スライダ14Bはウェイト本体部14Aの長手方向にスライド可能となってウェイト本体部14Aに取り付けられている。スライダ14Bがウェイト本体部14Aの他端部から第2ガイド12に向けて水平に延び出ている。上述の第2通し孔がスライダ14Bの先端部に形成されており、スライダ14Bが第2ガイド12に沿って上下に案内される。
【0035】
第1ガイド11と第2ガイド12が互いにねじれの位置にあっても、ボトムレール14が長手方向に伸縮可能に設けられているため、ボトムレール14を水平な姿勢に保って昇降させることできる。第2ガイド12が第1ガイド11に対してねじれの位置にあり、ボトムレール14が水平に設けられているため、ボトムレール14の昇降によってボトムレール14が水平面内で揺動するとともに長手方向に伸縮する。つまり、スライダ14Bがウェイト本体部14Aに対して相対的に長手方向にスライドする。具体的には、ボトムレール14の下降の際、スライダ14Bがウェイト本体部14Aから第2ガイド12の方へ進出する。一方、ボトムレール14の上昇の際、スライダ14Bが第1ガイド11の方へウェイト本体部14Aに後退する。
【0036】
ヘッドボックス10の長手方向に並んだ複数の箇所(図では3箇所)からラダーコード16が垂下しており、ラダーコード16の下端がボトムレール14に連結されている。ラダーコード16は、複数枚のスラット13をヘッドボックス10からボトムレール14にかけてパネル90に沿って上下に配列した状態で、これらスラット13を支持する。ここで、各ラダーコード16は、ヘッドボックス10からボトムレール14まで垂下するとともにヘッドボックス10の水平な短手方向に対の縦コードと、これら縦コード間に架設されるとともに縦コードの長手方向に間隔をおいて配列された多段の支持コードと、を有する。対の縦コードの間において、各スラット13は、スラット13の長手方向が水平となるように各支持コードの上に支持されているとともに、第1ガイド11と第2ガイド12との間に架け渡されている。
【0037】
各スラット13の一端部が第1ガイド11によって第1ガイド11に沿って案内され、スラット13の他端部が第2ガイド12によって第2ガイド12に沿って案内される。具体的には、スラット13の一端部に第1被ガイド穴21が形成され、第1ガイド11がその第1被ガイド穴21に通され、これによりスラット13の一端部が第1ガイド11に沿って案内される。同様に、スラット13の他端部に第2被ガイド穴22が形成され、第2ガイド12がその第2被ガイド穴22に通され、これによりスラット13の他端部が第2ガイド12に沿って案内される。
【0038】
以下、
図2中のスラット13の平面図及び
図3中のスラット13の断面図を参照して、スラット13について詳細に説明する。
【0039】
スラット13は、帯板状の第1遮光板13A及び第2遮光板13Bを有する。
【0040】
第1遮光板13Aの一端部には第1被ガイド穴21が形成されており、第1遮光板13Aが第1ガイド11に沿って案内される。第1遮光板13Aは第1ガイド11から第2ガイド12に向けて水平に延びている。なお、第1被ガイド穴21を切り欠き或いはノッチに代えてもよい。
【0041】
第2遮光板13Bの他端部には第2被ガイド穴22が形成されており、第2遮光板13Bが第2ガイド12に沿って案内される。第2遮光板13Bは第2ガイド12から第1ガイド11に向けて水平に延びている。なお、第2被ガイド穴22を切り欠き或いはノッチに代えてもよい。
【0042】
第1遮光板13Aと第2遮光板13Bが互いに重ねられており、第2遮光板13Bが第1遮光板13Aに対して第1遮光板13Aの長手方向にスライド可能に設けられている。具体的には、以下の通りである。
【0043】
第2遮光板13Bの両側部が互いに向かい合うように第2遮光板13Bの中央部に向けて折り曲げられることによって、対のレール部13Cが形成されている。第1遮光板13Aがそれらレール部13Cと第2遮光板13Bの中央部との間の間隙に挿入されることによって、第2遮光板13Bに対して相対的な第1遮光板13Aの板厚方向および幅方向の動きが拘束される。これにより、第2遮光板13Bは第1遮光板13Aに対して相対的に長手方向にスライド可能に設けられている。第2遮光板13Bが第1遮光板13Aの端部から第2ガイド12に向けて水平に延び出ており、その延び出た部分に第2被ガイド穴22が形成されている。
【0044】
第1ガイド11と第2ガイド12が互いにねじれの位置にあっても、スラット13が長手方向に伸縮可能に設けられているため、スラット13を水平な姿勢に保って昇降させることできる。
【0045】
続いて、ボトムレール14を昇降させる昇降機構について説明する。昇降機構は、複数本の昇降コード15及び複数の昇降ドラムを有する。昇降コード15は、ヘッドボックス10の長手方向に並んだ複数箇所(図では3箇所)から垂下している。昇降コード15はスラット13を貫通して、昇降コード15の下端がボトムレール14に連結されている。ヘッドボックス10内には、同軸とされた複数の昇降ドラムが設けられており、昇降コード15及び操作コード17が昇降ドラムにそれぞれ巻き掛けられている。使用者が操作コード17を引っ張ると、ヘッドボックス10内の昇降ドラムが回転して、昇降コード15がヘッドボックス10から繰り出されたり、ヘッドボックス10に引き上げられたりする。
【0046】
昇降コード15が引き上げられると、ボトムレール14が水平な姿勢を維持した状態で持ち上げられ、複数のスラット13は下から順にボトムレール14の上に積み重なる。ボトムレール14の上に積み重なったスラット13は、ボトムレール14と一緒に上昇するとともに、ボトムレール14と一緒に水平面内で揺動する。ボトムレール14とともに上昇するスラット13は短縮する。つまり、第2遮光板13Bが第1ガイド11の方へ第1遮光板13Aに後退する。
【0047】
一方、昇降コード15が繰り出されると、ボトムレール14が水平な姿勢を維持した状態で下降する。ボトムレール14の上に積み重なったスラット13は、ボトムレール14と一緒に下降するとともに、ボトムレール14と一緒に水平面内で揺動する。ボトムレール14とともに下降するスラット13は伸長する。つまり、第2遮光板13Bが第1遮光板13Aから第2ガイド12の方へ進出する。
【0048】
ボトムレール14の下降の際に、ラダーコード16が上から順に張っていく。ラダーコード16のうち張った部分に支持されるスラット13はボトムレール14に追従しない。それゆえ、隣り合うスラット13の間隔は上から順に広がる。
【0049】
続いて、スラット13の傾動について説明する。ヘッドボックス10内には、スラット13の傾動用の伝動機構が設けられており、ラダーコード16の縦コードが伝動機構に巻き掛けられている。使用者が操作部を操作すると、伝動機構が動作して、一方の縦コードが伝動機構によって引き上げられ、他方の縦コードラダーコードが伝動機構によって下方に繰り出される。これによりスラット13が長手方向に延びた軸の回りに傾動して、スラット13の角度が調整される。
【0050】
なお、上記伝動機構及び複数のドラムがモータ等によって駆動されるものとしてもよい。
【0051】
以上のように、パネル90に沿って設けられた第1ガイド11及び第2ガイド12が互いにねじれの位置にあり、各スラット13及びボトムレール14が長手方向に伸縮可能となっている。そのため、パネル90に沿ってブラインド1を上下に展開・収納することができる。
【0052】
また、ブラインド1が展開された状態であっても、またブラインド1が収納された状態であっても、ブラインド1の幅がパネル90の幅に合っている。つまり、ブラインド1が最も展開した状態では、どのスラット13もその位置におけるパネル90の幅に合った長さになっている。また、ブラインド1が最も収納された状態では、どのスラット13もパネル90の上端部における幅に合った長さになっている。
【0053】
〔変形例1〕
上記実施形態では、スラット13がスライド機構によって長手方向に伸縮可能に設けられている。それに対して、スラットがゴム又は蛇腹構造によって伸縮可能に設けられていてもよい。
【0054】
例えば、
図4の平面図に示すように、スラット113が第1遮光板113A、第2遮光板113B及びゴム板123を有する。帯板状の第1遮光板113Aの一端部には、第1ガイド11が通される第1被ガイド穴121が形成されている。第1遮光板113Aは第1ガイド11から第2ガイド12に向けて水平に延びている。帯板状の第2遮光板113Bの他端部には、第2ガイド12が通される第2被ガイド穴122が形成されている。第2遮光板113Bは第2ガイド12から第1ガイド11に向けて水平に延びており、第2遮光板113Bと第1遮光板113Aがこれらの間のゴム板123によって連結されている。ゴム板123が弾性的に伸縮することによって、スラット113が伸縮する。
【0055】
勿論、ゴム板123を扁平な蛇腹構造に代えてもよい。また、スラットと同様にボトムレールもゴム又は蛇腹構造によって伸縮可能に設けられてもよい。
【0056】
〔変形例2〕
上記実施形態では、上部横桟材93が下部横桟材95よりも短く、上部横桟材93が第1縦桟材92に対して垂直である。それに対して、上部横桟材93が下部横桟材95よりも長く、下部横桟材95が第1縦桟材92に対して垂直であってもよい。この場合でも、上部横桟材93と下部横桟材95は互いにねじれの位置にあり、第1縦桟材92と第2縦桟材94は互いにねじれの位置にあり、第1ガイド11と第2ガイド12は互いにねじれの位置にある。
【0057】
第1ガイド11から第2ガイド12までの水平線に沿った距離は、下の方ほど短くなる。そのため、ボトムレール14及びスラット13は下降すると短縮し、上昇すると伸長する。
【0058】
〔変形例3〕
上記実施形態では、ガラスカーテンウォールの1枚のパネルにつき1体のブラインド1が設けられている。それに対して、ガラスカーテンウォールの隣り合う複数枚のパネルにつき1体のブラインド1が設けられていてもよい。
【0059】
〔変形例4〕
上記実施形態では、ブラインド1が、建築物の外皮としての曲面ガラスカーテンウォールの内側に設けられている。それに対して、ブラインド1が、建築物の外皮としての曲面窓の内側に設けられていてもよい。
【0060】
〔変形例5〕
上記実施形態では、昇降コード15によって吊り下げられたボトムレール14の重量を利用して、ブラインド1の展開・収納が実現される。それに対して、ボトムレール14を利用せずに、昇降機構によって最下段のスラット13を直接上下方向に駆動してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…ブラインド
11…第1ガイド
12…第2ガイド
13,113…スラット
13A…第1遮光板
13B…第2遮光板
14…ボトムレール(ウェイト)
14A…ウェイト本体部
14B…スライダ
123…ゴム板