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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/20 20170101AFI20240214BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240214BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240214BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240214BHJP
【FI】
B29C64/20
B29C64/118
B29C64/393
B33Y30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019224660
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021091190
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 茂彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 渡
(72)【発明者】
【氏名】山田 太一
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/151074(WO,A1)
【文献】特開2019-142150(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108044938(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布に伴って線状の造形材に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段と、
前記蓄積量に関する情報に基づいて前記捩じれ力を解消する解消手段と、
を備え
前記蓄積量に関する情報は、塗布する経路における左右の方向変換量であり、
前記方向変換量は、左右の方向変換回数であり、
前記入手手段は、前記造形材を塗布する経路から前記蓄積量に関する情報を得る、
造形装置。
【請求項2】
前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報及び前記造形材の情報に基づいて前記捩じれ力を解消する
請求項1に記載の造形装置。
【請求項3】
塗布に伴って線状の造形材に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段と、
前記蓄積量に関する情報に基づいて前記捩じれ力を解消する解消手段と、
を備え
前記入手手段は、前記造形材の捩じれ状態を検知する検知器を含み、該検知器が検知した捩じれ状態から前記蓄積量に関する情報を得、
前記検知器は、前記造形材に生じた捩じれ方向の力を測定して捩じれ状態を検知する
造形装置。
【請求項4】
前記解消手段は、前記造形材を切断して前記捩じれ力を解消する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項5】
前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報に基づいて前記造形材を塗布する経路を前記捩じれ力を低減するように変更して前記捩じれ力を解消する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項6】
塗布に伴って線状の造形材に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段と、
前記蓄積量に関する情報に基づいて前記捩じれ力を解消する解消手段と、
を備え
前記解消手段は、前記造形材を切断して前記捩じれ力を解消する
造形装置。
【請求項7】
塗布に伴って線状の造形材に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段と、
前記蓄積量に関する情報に基づいて前記捩じれ力を解消する解消手段と、
を備え
前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報に基づいて前記造形材を塗布する経路を前記捩じれ力を低減するように変更して前記捩じれ力を解消する
造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形材を塗布する造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィラメントを積み重ねて物体を形成する積層製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US10046511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、造形材の捩じれ状態に関わらず造形を継続する場合と比較して、造形材に蓄積された捩じれ力の低減が可能な造形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様1は、塗布に伴って線状の造形材に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段と、前記蓄積量に関する情報に基づいて前記捩じれ力を解消する解消手段と、を備えた造形装置。
【0006】
態様2は、前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報が予め設定した閾値を超える前に捩じれ力を解消する態様1に記載の造形装置。
【0007】
態様3は、前記入手手段は、前記造形材を塗布する経路から前記蓄積量に関する情報を得る態様1又は態様2に記載の造形装置。
【0008】
態様4は、前記蓄積量に関する情報は、塗布する経路における左右の方向変換量である態様3に記載の造形装置。
【0009】
態様5は、前記方向変換量は、左右の方向変換回数である態様4に記載の造形装置。
【0010】
態様6は、前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報及び前記造形材の情報に基づいて前記捩じれ力を解消する態様3から態様5のいずれかに記載の造形装置。
【0011】
態様7は、前記入手手段は、前記造形材の捩じれ状態を検知する検知器を含み、該検知器が検知した捩じれ状態から前記蓄積量に関する情報を得る態様1又は態様2に記載の造形装置。
【0012】
態様8は、前記検知器は、前記造形材に生じた捩じれ方向の力を測定して捩じれ状態を検知する態様7に記載の造形装置。
【0013】
態様9は、前記検知器は、前記造形材の外観から捩じれ状態を検知する態様7に記載の造形装置。
【0014】
態様10は、前記解消手段は、前記造形材を切断して前記捩じれ力を解消する態様1から態様9のいずれかに記載の造形装置。
【0015】
態様11は、前記解消手段は、前記蓄積量に関する情報に基づいて前記造形材を塗布する経路を前記捩じれ力を低減するように変更して前記捩じれ力を解消する態様1から態様9のいずれかに記載の造形装置。
【発明の効果】
【0016】
態様1では、造形材の捩じれ状態に関わらず造形を継続する場合と比較して、造形材に蓄積された捩じれ力の低減が可能となる。
【0017】
態様2では、閾値を超えてから捩じれ力を解消する場合と比較して、造形物に与える影響を抑えることが可能となる。
【0018】
態様3では、検知器を用いる場合と比較して、コストの低減を図ることが可能となる。
【0019】
態様4では、塗布経路における左右の方向変換量から蓄積量に関する情報を得ることが可能となる。
【0020】
態様5では、左右の方向変換回数から方向変換量を得ることが可能となる。
【0021】
態様6では、蓄積量だけに基づいて捩じれ力を解消する場合と比較して、造形物に与える影響を抑えることが可能となる。
【0022】
態様7では、造形材の塗布経路から蓄積量を得る場合と比較して、検知精度の向上が可能となる。
【0023】
態様8では、造形材の外観から捩じれ状態を検知する場合と比較して、検知精度の向上が可能となる。
【0024】
態様9では、造形材に生ずる捩じれ力を測定して捩じれ状態を検知する場合と比較して、検知器が造形材に与える影響の抑制が可能となる。
【0025】
態様10では、造形材を塗布する経路を調整して捩じれ力を解消する場合と比較して、捩じれ力の解消に要する時間の短縮が可能となる。
【0026】
態様11では、造形材の切断装置を用いる場合と比較して、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第一実施形態に係る造形装置を示す模式図である。
図2】造形物の一例を示す斜視図である。
図3】造形物の造形手順を示す説明図である。
図4】造形材の塗布方向を変更する様子を示す説明図である。
図5】蓄積量入手処理を示すフローチャートである。
図6】解消処理を示すフローチャートである。
図7】捩じれ解消処理(1)を示すフローチャートである。
図8】捩じれ解消処理(2)を示すフローチャートである。
図9】第二実施形態に係る造形装置を示す模式図である。
図10】捩じれ解消処理(3)を示すフローチャートである。
図11】第三実施形態に係る塗布方向変更処理を示すフローチャートである。
図12】第四実施形態に係る造形装置を示す模式図である。
図13】第四実施形態に係る検知器を示す模式図である。
図14】第五実施形態に係る造形装置を示す模式図である。
図15】第五実施形態に係る検知器を示す模式図である。
図16】第六実施形態に係る造形装置の要部を示す模式図である。
図17】第七実施形態に係る造形装置の要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る造形装置の一例を図面に沿って説明する。なお、図中、上方をUHで示し、下方をDHで示す。
【0029】
図1は、本実施形態に係る造形装置10を示す図であり、この造形装置10は、形状データに基づいて立体的な造形物を造形する装置である。
【0030】
造形装置10は、造形物を造形する造形面12を有した台14と、台14に造形材16を供給する供給装置18を備えている。
【0031】
(台)
台14は、一例として駆動テーブル20に支持されており、駆動テーブル20は、制御装置22からの駆動信号に従って作動する。制御装置22は、造形物の形状データに基づいて駆動信号を駆動テーブル20に出力し、駆動テーブル20は、駆動信号に従って、台14を水平面に沿ったX-Y方向、高さ方向(上方UH及び下方DH)、及び回転方向に駆動する。これにより、供給装置18より台14側に送り出された造形材16によって造形面12上に造形物を造形する。
【0032】
なお、本実施形態では、形状データに基づいて台14を駆動して造形物を造形する場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、形状データに基づいてマニピュレータで供給装置18を駆動して造形物を造形してもよい。
【0033】
供給装置18は、支持軸30を備えており、支持軸30には、リール32が回転自在に支持される。供給装置18は、リール32から送り出された造形材16の送り方向を変更する変更ロール34と、変更ロール34で送り方向が変更された造形材16が送られる搬送部36と、搬送部36より送られた造形材16を切断する切断機38とを備えている。また、供給装置18は、切断機38より送られた造形材16を溶融する造形ノズル40と、造形ノズル40より送られた造形材16を対象箇所に押し付ける加圧ロール42とを備えている。
【0034】
(リール)
リールに32は、線状の造形材16が巻かれた状態で保持されており、当該リール32は、巻かれた造形材16を引出可能に保持する。
【0035】
(造形材)
造形材16は、複数の連続繊維と、連続繊維に含浸された樹脂とを含んで構成されている。連続繊維としては、一例としてカーボンファイバーが挙げられる。造形材16に含浸された樹脂は、熱可塑性樹脂で構成されている。これにより、造形材16は、加熱すると軟化して変形可能となるとともに、常温で硬化して形状を維持する。
【0036】
(搬送部)
搬送部36は、制御装置22に接続されており、制御装置22からの搬送信号に従って動作する。搬送部36は、一例として造形材16を両側から挟む駆動ロールを備えており、搬送信号に従って駆動ロールが作動することで、リール32に巻かれた造形材16を引き出して切断機38へ送る。
【0037】
(切断機)
切断機38は、ハードウエアとしての解消手段の一例を構成する。切断機38は、制御装置22に接続されており、制御装置22からの切断信号に従って動作する。
【0038】
切断機38は、造形材搬送方向上流側44に配置された上流側ロール46と、造形材搬送方向下流側48に配置された下流側ロール50と、上流側ロール46及び下流側ロール50の間に配置された切断部52とを備えている。切断部52は、一例として通過する造形材16を剪断する剪断機構で構成され、切断部52は、制御装置22から切断信号を受けた際に造形材16を剪断する。
【0039】
(造形ノズル)
造形ノズル40は、切断機38より送られた造形材16を加熱して造形材16の樹脂を溶融する。また、造形ノズル40は、溶融した造形材16を対象箇所へ向けて送り出す。
【0040】
ここで、対象箇所とは、台14の造形面12及び台14上に塗布された造形材16の上を含む概念である。また、台14の上とは、台14の造形面12の上及び台14に塗布された造形材16の上を含む概念である。
【0041】
(加圧ロール)
加圧ロール42は、造形ノズル40より送り出された造形材16を対象箇所に押し付け、当該造形材16を対象箇所に固定する。対象箇所及び台14の上については、前述した概念を有する。
【0042】
図2は、この造形装置10で造形される造形物54の一例を示す図であり、図3は、この造形物54を造形する際に造形材16を塗布する経路56を示す図である。
【0043】
(経路)
この経路56は、造形物54を立体的に造形する際に、制御装置22が造形物54の形状データに基づいて演算した塗布ルートを示すものである。造形装置10は、この経路56に沿って造形材16を塗布することで、造形物54を造形する。
【0044】
この経路56には、造形材16の塗布方向を変更する変更箇所が複数設定されている。図4は、造形材16の塗布方向が変更された変更箇所58を示す図であり、造形装置10側から見て造形材16の塗布方向が右に180度変更された状態が示されている。
【0045】
(制御装置)
制御装置22は、プロセッサであるCPU、CPUの処理手順を示すプログラムが記憶されたROM、及びRAMを内蔵したマイコンを中心に構成されており、制御装置22は、マイコンの動作に従って作動する。
【0046】
ROMには、造形装置10の情報、使用される造形材16の情報、及び造形材16の捩じれ限界などが記憶されている。
【0047】
[造形装置の情報]
図1に示した造形装置10は、リール32から送り出される造形材16の位置を示すリール出口60から造形ノズル40側に位置する下流側ロール50まで距離が、1000mmとされている。この距離は、造形装置10の情報としてROMに記憶されている。
【0048】
[造形材の情報]
また、ROMには、使用する造形材16の情報が記憶されている。
【0049】
具体的に説明すると、使用する造形材16の形状、材料、物性値などであり、本実施形態の場合、造形材16は、直径が、0.6mmであり、造形材16に含まれる連続繊維の体積比率を示すVf値は、45%である。また、造形材16を構成する連続繊維は、3000本のカーボンファイバーで構成され、樹脂は、57%がポリプロピレン(PP)、39%がポリアミド(PA)、4%がマレイン化PPで構成されており、これらの造形材16の情報がROMに記憶されている。
【0050】
[捩じれ限界]
前述した造形装置10の条件で前述した造形材16で造形する場合、造形材16に生ずる捩じれ力の蓄積量が規定値(許容値)より大きくなると、造形材16の搬送に支障が生じたり、造形処理に支障が生じたりする知見を得た。
【0051】
ここで、造形処理に生ずる支障の具体例としては、塗布された造形材16が歪になったり、切れが生じたりする例が挙げられ、これらにより造形材16の強度低下が懸念される。
【0052】
この造形装置10では、経路56中の曲率最小半径が150mmで塗布方向を左又は右へ変更した場合、ぞれぞれの方向への回転角度が3600度(回転数の蓄積が10回転)を超えると、造形材16の搬送又は造形処理に支障を来すことが実験により確認されている。
【0053】
そこで、塗布方向を左右に変更した際にぞれぞれの方向への蓄積回転角度を左右の方向変換量とするとともに、それぞれの回転数の蓄積数を左右の方向変換回数とする。また、蓄積回転角度を示す左右の方向変換量の捩じれ限界を、3600度とするとともに、回転数の蓄積数を示す左右の方向変換回数の捩じれ限界を、10回転としてROMに記憶する。
【0054】
なお、蓄積回転角度を示す左右の方向変換量を示す、3600度は閾値を示し、この閾値は、規定値(許容値)と言い換えることができる。また、回転数の蓄積数を示す左右の方向変換回数を示す、10回転は閾値を示し、この閾値は、規定値(許容値)と言い換えることができる。
【0055】
そして、この閾値を超える前に造形材16に生じた捩じれ力を解消する為に、閾値より小さい値を判断基準値として定める。この判断基準値は、一例として、左右の方向変換量である3600度(10回転)より180度(半回転)小さい3420度(9.5回転)とし、この判断基準値をROMに記憶する。
【0056】
左右の蓄積回転角度を示す左右の方向変換量は、同方向への回転角度は加算し、逆方向への回転角度は減算して求めるものとする。また、回転数の蓄積数を示す左右の方向変換回数は、同方向への回転数は加算し、逆方向への回転数は減算して求める。
【0057】
本実施形態では、前述した造形装置10の情報及び造形材16の情報から造形材16の捩じれ限界を定めたが、これに限定されるものではなく、例えば次に示すパラメータに基づいて定めてもよい。
【0058】
[ねじり力の見積精度に影響する条件パラメータ]
以下の条件パラメータについて見積時の想定値と実際の値との差異(誤差)に依存して精度が変動することが分かっており、以下の条件パラメータを用いて捩じれ限界を定めることが可能である。
【0059】
造形材: 樹脂の構成、径、連続繊維の本数、連続繊維の材質、Vf値、吸湿率
造形条件: 造形速度(時間当たりの造形材消費長)、溶融温度
環境: 環境温度、環境湿度
【0060】
(フローチャート)
図5から図7は、本実施形態の動作を示すフローチャートであり、フローチャートに従って造形装置10の動作を説明する。
【0061】
制御装置22を構成するマイコンのCPUがROMに記憶されたプログラムに従って動作を開始し、造形を行う造形処理から、図5に示すように、蓄積量入手処理が呼び出されると、蓄積量入手処理が実行される。
【0062】
この蓄積量入手処理は、塗布に伴って造形材16に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段を実施し、造形材16を塗布する経路56から蓄積量に関する情報を得る。
【0063】
(蓄積量入手処理)
蓄積量入手処理では、造形中において造形材16の塗布方向を左に変更するか否かを造形材16を塗布する経路56のデータに基づいて判断する(S1)。このステップS1で、塗布方向を左に変更すると判断した場合、左方向への回転角度をRAMに確保された左蓄積量(左方向変換量)に加算する(S2)。そして、左方向への回転角度をRAMに確保された右蓄積量(右方向変換量)より減算して(S3)、当該蓄積量入手処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0064】
蓄積量に関する情報を示す左蓄積量は、造形材16を塗布する経路56における左方向変換量である。なお、初期状態において左蓄積量は、0である。また、各蓄積量は、マイナスの値もあり得る。
【0065】
方向変換量を示す左蓄積量は、左方向変換回数としてもよく、この場合、左蓄積量に左方向の回数を加算し、右蓄積量から左方向の回数を減算する。
【0066】
ステップS1の判断において、塗布方向を左に変更しないと判断した場合、造形材16の塗布方向を右に変更するか否かを造形材16を塗布する経路56のデータに基づいて判断し(S4)、塗布方向を左に変更しないと判断した場合、呼び出されたルーチンへ戻る。一方、ステップS4で、塗布方向を左に変更すると判断した場合、右方向への回転角度をRAMに確保された右蓄積量(右方向変換量)に加算する(S5)。また、右方向への回転角度をRAMに確保された左蓄積量(左方向変換量)より減算して(S6)、当該蓄積量入手処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0067】
蓄積量に関する情報を示す右蓄積量は、造形材16を塗布する経路56における右方向変換量である。なお、初期状態において右蓄積量は、0である。
【0068】
方向変換量を示す右蓄積量は、右方向変換回数としてもよく、この場合、右蓄積量に右方向の回数を加算し、左蓄積量から右方向の回数を減算する。
【0069】
(解消処理)
そして、造形を行う造形処理から、図6に示すように、ソフトウエアとしての解消手段の一部を構成する解消処理が呼び出されると解消処理が実行される。この解消処理は、各蓄積量に関する情報に基づいて造形材16に生じた捩じれ力を解消する解消処理の一部を実行する。
【0070】
解消処理では、左蓄積量が、3420度を超えているか否かを判断する(SB1)。ここで、3420度は、前述した判断基準値であり、ROMに記憶された値である。ステップSB1では、蓄積量に関する情報が判断基準値を超えたか否かを判断する。
【0071】
この判断基準値は、前述したように、造形装置10の情報及び使用される造形材16の情報に基づいて定められている。このため、解消処理では、前述の判断基準値を用いることによって、蓄積量に関する情報及び造形材の情報に基づいて捩じれ力の解消の要否を判断する。
【0072】
なお、本実施形態では、左方向変換量を示す左蓄積回転角度を用いて捩じれ力の解消の要否を判断したが、これに限定されるものではない。例えば、左蓄積量に左方向変換回数を用いて捩じれ力の解消の要否を判断してもよく、この場合、判断基準値を、9.5回転とすることができる。
【0073】
ステップSB1で、左蓄積量が、3420度を超えていると判断した場合、捩じれ解消処理を実行した後(SB2)、当該解消処理を呼び出したルーチンへ戻る。これにより、蓄積量に関する情報が予め設定した閾値(3600度)を超える前に捩じれ力を解消する。
【0074】
ステップSB1で、左蓄積量が、3420度を超えていないと判断した場合、ステップSB3へ分岐する。ステップSB3では、右蓄積量が、3420度を超えているか否かを判断する(SB3)。ここで、3420度は、判断基準値を示し、ROMに記憶された値である。ステップSB3では、蓄積量に関する情報が判断基準値を超えたか否かを判断する。
【0075】
この判断基準値は、前述したように、ROMに記憶された造形装置10の情報及び使用される造形材16の情報に基づいて定められている。このため、解消処理では、前述の判断基準値を用いることで、蓄積量に関する情報及び造形材16の情報に基づいて捩じれ力の解消の要否を判断する。
【0076】
ステップSB3で、右蓄積量が、3420度を超えていないと判断した場合、当該解消処理を呼び出したルーチンへ戻る。また、ステップSB3で、右蓄積量が、3420度を超えていると判断した場合、捩じれ解消処理を実行した後(SB2)、当該解消処理を呼び出したルーチンへ戻る。これにより、蓄積量に関する情報が予め設定した閾値(3600度)を超える前に捩じれ力を解消する。
【0077】
なお、本実施形態では、右方向変換量を示す右蓄積回転角度を用いて捩じれ力の解消の要否を判断したが、これに限定されるものではない。例えば、右蓄積量に右方向変換回数を用いて捩じれ力の解消の要否を判断してもよく、この場合、判断基準値を、9.5回転とすることができる。
【0078】
(捩じれ解消処理(1))
次に、解消処理から、ソフトウエアとしての解消手段の一部を構成する捩じれ解消処理が呼び出されると、図7に示すように、捩じれ解消処理(1)が実行される。この捩じれ解消処理(1)は、各蓄積量に関する情報に基づいて造形材16に生じた捩じれ力を解消する解消処理の一部を実行する。
【0079】
捩じれ解消処理(1)では、造形装置10において造形処理を一旦停止して(SC1)、切断機38の切断部52を作動して通過する造形材16を切断した後(SC2)、例えば造形装置に設けられた再スタートボタンが操作されるまで待機する(SC3)。
【0080】
造形材16は、切断されることによって蓄積した捩じれ力が解消され、捩じれ力が、0となる。これにより、蓄積量に関する情報に基づいて捩じれ力を解消する。このとき、左蓄積量及び右蓄積量を、0にリセットする。
【0081】
このとき、当該造形装置10のユーザは、切断された造形材16を造形ノズル40に通すとともに、造形材16の先端部を加圧ロール42で押し付けた状態を形成し、再スタートボタンを操作する。
【0082】
すると、ステップSC3での待機状態が解除され、当該解消処理(1)を呼び出したルーチンへ戻る。
【0083】
なお、造形材16の切断による捩じれ力の解消は、一例として図3に示した方向変換部70で行われる。
この方向変換部70において、造形材16の切断と塗布の再開とが困難な場合、方向変換部70の手前において、造形材16の切断と塗布の再開とを行う。また、蓄積量が判断基準を超えると予想される場合、方向変換部70又はその前後において造形材16の捩じれ限界を超えない箇所で造形材16の切断と塗布の再開とを行う。
【0084】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0085】
本実施形態に係る造形装置10は、造形材16に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手するとともに、蓄積量に関する情報に基づいて捩じれ力を解消する。
【0086】
このため、造形材16の捩じれ状態に関わらず造形を継続する場合と比較して、造形材16に蓄積された捩じれ力の低減が可能となる。
【0087】
また、捩じれ力を低減することで、造形材16の搬送や造形処理に与える影響が抑制される。これにより、塗布された造形材16が歪になったり、切れが生じたりすることを抑え、造形材16の強度低下が抑制される。
【0088】
また、捩じれ力の蓄積量に関わらず、捩じれ力を低減する場合と比較して、捩じれ力の蓄積に応じた捩じれ力の解消が可能となり、解消前の造形時間確保が容易になる。
【0089】
また、蓄積量に関する情報が予め設定した閾値(3600度)を超える前に捩じれ力を解消する。
【0090】
このため、閾値を超えてから捩じれ力を解消する場合と比較して、造形物54に与える影響を抑えることが可能となる。造形物54に与える影響とは、一例として、造形物54の寸法精度や強度が挙げられる。
【0091】
さらに、造形材16を塗布する経路56から蓄積量に関する情報を得る。
【0092】
このため、検知器を用いる場合と比較して、部材コストが低減される。
【0093】
また、蓄積量に関する情報は、塗布する経路56における左右の方向変換量である。
【0094】
これにより、塗布する経路56における左右の方向変換量から蓄積量に関する情報を得ることができる。
【0095】
そして、方向変換量を、左右の方向変換回数とすることにより、左右の方向変換回数から方向変換量を得ることができる。
【0096】
また、蓄積量に関する情報及び造形材16の情報に基づいて捩じれ力を解消する。
【0097】
このため、蓄積量だけに基づいて捩じれ力を解消する場合と比較して、造形物54に与える影響を抑えることが可能となる。造形物54に与える影響とは、一例として、造形物54の寸法精度や強度が挙げられる。
【0098】
そして、造形装置10は、造形材16を切断して捩じれ力を解消する。
【0099】
このため、造形材16を塗布する経路56を調整して捩じれ力を解消する場合と比較して、捩じれ力の解消に要する時間の短縮ができる。
【0100】
また、造形材16を高温で加熱後に冷却して、捩じれ力を解消する場合と比較して、エネルギー効率の向上や、捩じれ解消時間の短縮ができる。
【0101】
<第二実施形態>
図9は、第二実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る造形装置10は、図6に示した解消処理から呼び出される捩じれ解消処理(1)が捩じれ解消処理(2)に変更された点で異なる。
【0102】
(捩じれ解消処理(2))
すなわち、解消処理からソフトウエアとしての解消手段の一部を構成する捩じれ解消処理が呼び出されると、図8に示すように、捩じれ解消処理(2)が実行される。この捩じれ解消処理(2)は、各蓄積量に関する情報に基づいて造形材16に生じた捩じれ力を解消する解消処理の一部を実行する。
【0103】
捩じれ解消処理(2)では、造形装置10において造形処理を一旦停止して(SD1)、一例として造形装置10に設けられたブザーを鳴動して捩じれ力が判断基準値を超えることをユーザに報知した後(SD2)、再スタートボタンが操作されるまで待機する(SD3)。なお、ユーザに対する報知は、ユーザに通知と言い換えることができる。
【0104】
このとき、捩じれ力が判断基準値を超えることを報知されたユーザは、図9に示すように、支持軸30からリール32を取り外し、リール32を回転することで、造形材16に生じた捩じれ力を解消する。そして、ユーザは、リール32を支持軸30にセットした後、造形装置10に設けられた再スタートボタンを操作する。
【0105】
すると、ステップSD3での待機状態が解除され、当該解消処理(2)を呼び出したルーチンへ戻る。
【0106】
なお、本実施形態では、造形材16の捩じれ力をユーザが手動で解消する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、造形装置10が、自動でリール32を回転し、造形材16に生じた捩じれ力を解消してもよい。
【0107】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0108】
<第三実施形態>
図10及び図11は、第三実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る造形装置10は、図6に示した解消処理から呼び出される捩じれ解消処理(1)が捩じれ解消処理(3)に変更された点で異なる。
【0109】
(捩じれ解消処理(3))
すなわち、解消処理からソフトウエアとしての解消手段の一部を構成する捩じれ解消処理が呼び出されると、図10に示すように、捩じれ解消処理(3)が実行される。この捩じれ解消処理(3)は、各蓄積量に関する情報に基づいて造形材16に生じた捩じれ力を解消する解消処理の一部を実行する。
【0110】
捩じれ解消処理(3)では、左蓄積量が、3420度を超えているか否かを判断する(SF1)。
【0111】
ステップSF1で、左蓄積量が、3420度を超えていると判断した場合、RAMに確保された右方向塗布フラグに「1」をセットして(SF2)、当該捩じれ解消処理(3)を呼び出したルーチンへ戻る。
【0112】
この右方向塗布フラグは、初期状態において「0」とされており、右方向塗布フラグは、「1」のとき、次に塗布方向を変更する場合、塗布方向を右にすることを示している。
【0113】
ステップSF1で、左蓄積量が、3420度を超えていない判断した場合、右蓄積量が、3420度を超えているか否かを判断し(SF3)、右蓄積量が、3420度を超えていない判断した場合、当該捩じれ解消処理(3)を呼び出したルーチンへ戻る。
【0114】
また、ステップSF3で、右蓄積量が、3420度を超えていると判断した場合、RAMに確保された左方向塗布フラグに「1」をセットして(SF4)、当該捩じれ解消処理(3)を呼び出したルーチンへ戻る。
【0115】
この左方向塗布フラグは、初期状態において「0」とされており、左方向塗布フラグは、「1」のとき、次に塗布方向を変更する場合、塗布方向を左にすることを示している。
【0116】
(塗布方向変更処理)
図11は、塗布方向変更処理を示すフローチャートである。塗布方向変更処理は、ソフトウエアとしての解消手段の一部を構成し、蓄積量に関する情報に基づいて造形材16を塗布する経路56を捩じれ力を低減するように変更して捩じれ力を解消する。
【0117】
すなわち、造形材16を塗布する塗布処理において塗布方向を変更する前に、図11に示したように、塗布方向変更処理が呼び出されると、左方向塗布フラグが「1」か否かを判断する(SG1)。
【0118】
ステップSG1で、左方向塗布フラグが「1」と判断した場合、変更方向を「左」とし(SG2)、当該塗布方向変更処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0119】
すると、塗布処理では、図3において左変更部位72で示したように、塗布方向が左となるように塗布する経路56を設定する。これにより、造形材16に蓄積した捩じれ力の減少が可能となる。
【0120】
ステップSG1で、左方向塗布フラグが「1」でないと判断した場合、右方向塗布フラグが「1」か否かを判断し(SG3)、右方向塗布フラグが「1」でないと判断した場合、当該塗布方向変更処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0121】
また、ステップSG3で、右方向塗布フラグが「1」と判断した場合、変更方向を「右」とし(SG4)、当該塗布方向変更処理を呼び出したルーチンへ戻る。
【0122】
すると、塗布処理では、図3において右変更部位74で示したように、塗布方向が右となるように塗布する経路56を設定する。これにより、造形材16に蓄積した捩じれ力の減少が可能となる。
【0123】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0124】
また、本実施形態の造形装置10では、蓄積量に関する情報に基づいて造形材16を塗布する経路56を、捩じれ力を低減するように変更して捩じれ力を解消する。
【0125】
このため、造形材16の切断装置を用いる場合と比較して、低コスト化が可能となる。
【0126】
<第四実施形態>
図12は、第四実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る造形装置10は、塗布に伴って造形材16に生じた捩じれ力の蓄積量に関する情報を入手する入手手段が前述の各実施形態と異なる。
【0127】
すなわち、造形装置10の搬送部36には、造形材16の捩じれ状態を検知する検知器80が設けられており、造形装置10は、検知器80が検知した捩じれ状態から蓄積量に関する情報を得る。
【0128】
(検知器)
検知器80は、一例として、図13に示すように、ベース板82と、ベース板82に回転自在に支持された一対の駆動ロール84とを備えている。
【0129】
駆動ロール84は、造形材16を両側から挟むとともに、制御装置22からの搬送信号に従って回転することで、リール32に巻かれた造形材16を引き出して切断機38へ送る。
【0130】
ベース板82は、造形材16の搬送方向と交差する水平面に沿って回転自在に支持されており、造形材16の捩じれ力を受けて回転する。ベース板82には、検知器80の接触子80Aが接続されており、検知器80は、ベース板82から受ける回転力を測定する。これにより、検知器80は、造形材16に生じた捩じれ方向の捩じれ力を測定して捩じれ状態を検知する。
【0131】
検知器80は、測定した捩じれ力を制御装置22に出力する。制御装置22は、検知器80からの捩じれ力を蓄積量に関する情報とするとともに、この捩じれ力が示す蓄積量に関する情報が予め設定した閾値より小さい判断基準値を超えるか否かを判断する。
【0132】
閾値は、前述したように造形材16に生ずる捩じれ力の蓄積量が大きくなり、造形材16の搬送に支障が生じたり、造形処理に支障が生じたりする虞のある大きさの捩じれ力を示し、捩じれ限界値と言い換えることができる。また、閾値は、前述した造形装置10の情報及び造形材16の情報に基づいて定められる。
【0133】
そして、捩じれ力が示す蓄積量に関する情報が閾値より小さい判断基準値を超えると判断した場合、図7に示した場合と同様に、切断機38で造形材16を切断して捩じれ力を解消する。又は、図8及び図9に示したように、ユーザに対してリール32の回転を促して捩じれ力を解消する。あるいは、図10及び図11に示したように、造形材16の捩じれ力が低減するように造形材16を塗布する経路56を設定して捩じれ力を解消する。
【0134】
これらにより、蓄積量に関する情報が予め設定した閾値を超える前に捩じれ力を解消する。
【0135】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0136】
また、本実施形態の造形装置10では、造形材16の捩じれ状態を検知する検知器80を含み、検知器80が検知した捩じれ状態から蓄積量に関する情報を得る。
【0137】
このため、造形材16の塗布経路から蓄積量を得る場合と比較して、検知精度が向上する。
【0138】
また、検知器80は、造形材16に生じた捩じれ方向の力を測定して捩じれ状態を検知する。
【0139】
このため、造形材16の外観から捩じれ状態を検知する場合と比較して、検知精度が向上する。
【0140】
<第五実施形態>
図14及び図15は、第五実施形態を示す図であり、第四実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る造形装置10は、造形材16の捩じれ状態を検知する検知器90が第四実施形態と異なる。
【0141】
図14に示すように、造形装置10には、変更ロール34と搬送部36との間に検知器90が設けられている。
【0142】
この造形装置10で用いられる造形材16は、図15に示すように、非円形断面である断面矩形状であり、検知器90は、造形材16が通過する矩形筒状のガイド92と、ガイド92に生ずる回転方向の力を測定する測定センサ94とを備えている。
【0143】
測定センサ94は、ガイド92に生ずる回転方向の力から造形材16に生じた捩じれ方向の力を測定して捩じれ状態を検知する。検知器90は、測定センサ94が測定した測定値から蓄積量に関する情報を得る。
【0144】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第四実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0145】
<第六実施形態>
図16は、第六実施形態を示す図であり、第四及び第五実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態に係る造形装置10は、造形材16の捩じれ状態を検知する検知器100が第四及び第五実施形態と異なる。
【0146】
この造形装置10で用いられる検知器100は、一例として造形材16を撮影する光学カメラで構成されており、検知器100は、造形材16の外観から造形材16の捩じれ状態を検知する。
【0147】
検知器100は、取得した画像を制御装置22へ送り、制御装置22では、造形材16の表面凹凸を検知して単位長さ当たりの捩じれ量を検知する。
【0148】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第四及び第五実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0149】
また、造形装置10は、造形材16の外観から捩じれ状態を検知する。
【0150】
このため、造形材16に生ずる捩じれ力を測定して捩じれ状態を検知する場合と比較して、検知器100が造形材16に与える影響の抑制が抑制される。
【0151】
<第七実施形態>
図17は、第七実施形態を示す図であり、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0152】
本実施形態に係る造形装置10は、四本の造形材16を用いて造形を行う。
【0153】
造形装置10は、四つの支持軸30と、各支持軸30に支持されるリール32とを備えている(図示省略)。また、造形材16は、各リール32からの造形材16をそれぞれ搬送する搬送部36と、各搬送部36からの造形材16をそれぞれ切断する切断機38とを備えている。さらに、造形装置10は、各切断機38からの造形材16をそれぞれ溶融する造形ノズル40と、各造形ノズル40より送られた造形材16をそれぞれ押し付ける加圧ロール42とを備えている。
【0154】
四つの搬送部36のうちの一つの搬送部36のみに、造形材16の捩じれ状態を検知する前述の検知器80(90)が設けられている。
【0155】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0156】
本実施形態の造形装置10は、複数の造形材16で造形を行うので、造形速度の向上が可能となる。
【0157】
この造形装置10は、一つの搬送部36のみに検知器80(90)が設けられている。このため、総ての搬送部36に検知器80(90)を設ける場合と比較して、低コスト化が可能となる。また、一つの検知器80(90)の検知結果に基づいて、総ての造形材16を切断することも可能となる。
【0158】
そして、総ての造形材16において、塗布する経路56から捩じれ力の蓄積量に関する情報を得る。これにより、蓄積量が閾値(許容値)を超える前に、その造形材16を切断することが可能となる。
【0159】
このとき、蓄積量が閾値(許容値)に近い造形材16も同時に切断しておけば、次の切断時期までの切断サイクルを長くすることができる。
【0160】
ここで、検知器80(90)が検知した捩じれ力の蓄積量と検知が行われる造形材16の経路56から得た捩じれ力の蓄積量との誤差を算出することで、経路56のみから蓄積量を得た造形材16の蓄積量を補正することができる。
【0161】
これにより、検知器80(90)で蓄積量を取得しない造形材16であっても、捩じれ力の蓄積量を精度よく取得することが可能となり、造形材16の切断制御が可能となる。
【0162】
一つの搬送部36のみに検知器80(90)が設けられている実施形態を説明したが、検知器80(90)を、両側に配置された2つの供給装置18に設けてもよい。方向変換する場合に、外側と内側で供給装置18の捩じれ力の蓄積量が異なり、複数の供給装置18での造形においても、蓄積量を精度よく取得することができる。
【符号の説明】
【0163】
10 造形装置
12 造形面
14 台
16 造形材
18 供給装置
22 制御装置
36 搬送部
38 切断機
44 造形材搬送方向上流側
48 造形材搬送方向下流側
54 造形物
56 経路
70 方向変換部
72 左変更部位
74 右変更部位
80 検知器
90 検知器
92 ガイド
94 測定センサ
100 検知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17