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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/165 209
B41J2/01 403
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019225457
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021094702
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中頭 達也
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124568(JP,A)
【文献】特開2012-158000(JP,A)
【文献】特開2018-187791(JP,A)
【文献】特開2008-254199(JP,A)
【文献】特開2001-260369(JP,A)
【文献】特開2017-213800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0056650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出させ、または、前記インクを揺動させる記録部と、
テストシートの画像形成が終了した後、前記インクを吐出させた吐出回数をカウントする吐出カウンターと、
前記テストシートの前記画像形成が終了した後、前記インクを揺動させた揺動回数をカウントする揺動カウンターと、
画像データを受信する受信部と、
前記画像データを受信したとき、前記吐出回数または前記揺動回数に応じて、前記インクを吐出させるよう前記記録部を制御し、または、前記インクを揺動させるよう前記記録部を制御する制御部と
所定時間を計測するタイマーと
を備え
前記記録部は、複数のヘッドを含み、前記画像データに基づいて前記ヘッドのノズルから前記インクを吐出させて前記テストシートに画像を形成し、
前記制御部は、前記画像データを受信すると、前記ノズルから前記インクを吐出させる時点の前記所定時間前から、前記インクを揺動させるよう前記記録部を制御し、
前記制御部が、前記所定時間、前記記録部に前記インクを揺動させた後、
前記吐出カウンターの前記吐出回数が吐出閾値よりも多く、
前記揺動カウンターの前記揺動回数が最大値よりも少ない場合、
前記記録部は、前記テストシートに前記インクを吐出しない、インクジェット記録装置。
【請求項2】
インクを吐出させ、または、前記インクを揺動させる記録部と、
テストシートの画像形成が終了した後、前記インクを吐出させた吐出回数をカウントする吐出カウンターと、
前記テストシートの前記画像形成が終了した後、前記インクを揺動させた揺動回数をカウントする揺動カウンターと、
画像データを受信する受信部と、
前記画像データを受信したとき、前記吐出回数または前記揺動回数に応じて、前記インクを吐出させるよう前記記録部を制御し、または、前記インクを揺動させるよう前記記録部を制御する制御部と、
所定時間を計測するタイマー
を備え、
前記記録部は、複数のヘッドを含み、前記画像データに基づいて前記ヘッドのノズルから前記インクを吐出させて前記テストシートに画像を形成し、
前記制御部は、前記画像データを受信すると、前記ノズルから前記インクを吐出させる時点の前記所定時間前から、前記インクを揺動させるよう前記記録部を制御し、
前記制御部が、前記所定時間、前記記録部に前記インクを揺動させた後、
前記吐出カウンターの前記吐出回数が吐出閾値よりも多く、
前記揺動カウンターの前記揺動回数が最大値である場合、
前記記録部が前記テストシートに到達しても、前記記録部は、前記インクを揺動させ、インクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記所定時間、前記記録部に前記インクを揺動させた後、
前記吐出カウンターの前記吐出回数が吐出閾値よりも少ない場合、
前記記録部は、前記テストシートに前記インクを吐出する、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたインクジェット記録装置は、印刷処理の印刷吐出パターンを吐出パターン記憶メモリーに保存し、印刷終了時点からタイマーを起動させてその経過時間を監視し、この経過時間が所定時間を超えているか否かを判断して、印刷吐出パターンに基づいて予備吐出パターンを作成し、予備吐出回復処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-63088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置は、印刷終了時点からタイマーを起動させてその経過時間を監視しているので、インクの吐出量を好適に削減できないという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、インクの吐出量を好適に削減できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、インクジェット記録装置は、記録部と、吐出カウンターと、揺動カウンターと、制御部とを備える。前記記録部は、インクを吐出させ、または、前記インクを揺動させる。前記吐出カウンターは、テストシートの画像形成が終了した後、前記インクを吐出させた吐出回数をカウントする。前記揺動カウンターは、前記テストシートの前記画像形成が終了した後、前記インクを揺動させた揺動回数をカウントする。前記制御部は、画像データを受信したとき、前記吐出回数または前記揺動回数に応じて、前記インクを吐出させるよう前記記録部を制御し、または、前記インクを揺動させるよう前記記録部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出カウンターがカウントした吐出回数と、揺動カウンターがカウントした揺動回数に基づいて、記録部のインクを吐出させるか、記録部のインクを揺動させるかを制御部が制御するので、インクの吐出量を好適に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を示す図である。
図2】本実施形態に係るインクジェット記録装置を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るインクジェット記録装置のヘッドの構造を示す図である。
図4】本実施形態に係るインクジェット記録装置においてインクを吐出する態様を示す図である。
図5】(a)および(b)は、本実施形態に係るインクジェット記録装置においてインクを揺動させる態様を示す図である。
図6】本実施形態に係るインクジェット記録装置におけるヘッドの制御を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係るインクジェット記録装置におけるヘッドの制御を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係るインクジェット記録装置におけるヘッドの制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
まず、図1を参照して、インクジェット記録装置1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、操作パネル2、用紙収容部5、搬送ユニット6、記録部7、排出装置8、インク供給装置9、および制御部100を備える。
【0012】
操作パネル2は、インクジェット記録装置1に対するユーザーからのジョブの指示を受け付ける。操作パネル2は、通知部および複数の操作キーを含む。操作パネル2は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す信号を制御部100へ送信する。通知部は、例えば、液晶ディスプレーまたは有機ELディスプレー(Organic Electro Luminescence Display)を含む。
【0013】
用紙収容部5は、カセット51を有する。具体的には、用紙収容部5は、用紙PまたはテストシートSを収容する複数のカセット51を有する。カセット51から給紙された用紙Pは、搬送ユニット6へ搬送される。テストシートSは、インク供給装置9に貯留されるインクGの劣化の進行を抑えるために、インクで画像形成される用紙Pである。以下、テストシートSを記載する必要がある場合を除き、用紙Pと記載する。
【0014】
搬送ユニット6は、記録部7の下方を通過するように用紙Pを搬送する。また、搬送ユニット6は、記録部7の下方を通過した用紙Pを排出装置8に搬送する。
【0015】
記録部7は、図3で後述するインクGを吐出して用紙Pに画像を形成する。記録部7は、ヘッドハウジング71と4つのヘッド72とを含む。ヘッドハウジング71は、4つのヘッド72を支持する。
【0016】
インク供給装置9は、記録部7にインクGを供給する。インク供給装置9は、インクタンク91を備える。インクタンク91はインクGを収容する。インクタンク91のインクGは、画像の記録で吐出されるインクGとフラッシングで吐出されるインクGとを含む。インクタンク91は、インクGの色種ごとに設けられている。具体的には、インクタンク91は、イエロー色のインクGを収容するインクタンク91Yと、マゼンタ色のインクGを収容するインクタンク91Mと、シアン色のインクGを収容するインクタンク91Cと、ブラック色のインクGを収容するインクタンク91Kとを含む。
【0017】
排出装置8は、排出トレイ81を含む。排出装置8は、本体筐体の外部へ用紙Pを排出する。本体筐体の外部へ排出された用紙Pは、排出トレイ81に載置される。
【0018】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。制御部100は、制御プログラムを実行することにより、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。また、制御部100は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。
【0019】
次に、図1に加えて、図2を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1を説明する。図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、インクジェット記録装置1は、処理部3と、記録部7と、電源回路10と、制御部100とを備える。インクジェット記録装置1の一例は、インクジェットプリンターである。
【0021】
処理部3は、受信部31と、タイマー32と、吐出カウンター33と、揺動カウンター34とを含む。
【0022】
受信部31は、画像データを受信する。受信部31の一例は、モデムである。
【0023】
タイマー32は、所定時間tを計測する。
【0024】
吐出カウンター33は、テストシートSの画像形成が終了した後、記録部7がインクGを吐出させた吐出回数をカウントする。具体的には、吐出カウンター33は、テストシートSの画像形成が終了した後、吐出回数をリセットする。テストシートSに画像形成されたことにより、インクGの劣化の進行が抑えられるからである。
【0025】
その後、吐出カウンター33は、記録部7がインクGを吐出するたび、吐出回数を+1インクリメントすることにより、インクGの吐出回数をカウントする。インクGの劣化をインクGの吐出回数で判断するためである。テストシートSは、用紙Pと同一であってもよい。テストシートSは、用紙Pと異なる素材で製造されてもよい。
【0026】
揺動カウンター34は、テストシートSの画像形成が終了した後、インクGを揺動させた揺動回数をカウントする。具体的には、揺動カウンター34は、テストシートSの画像形成が終了した後、揺動回数をリセットする。テストシートSに画像形成されたことにより、インクGの劣化の進行が抑えられるからである。
【0027】
揺動カウンター34は、記録部7が後述するヘッド72の内部のインクGを揺動させるたび、揺動回数を+1インクリメントして、インクGの揺動回数をカウントする。インクGの劣化をインクGの揺動回数で判断するためである。
【0028】
具体的には、図5(a)および(b)で後述するように、電源回路10の切替部11が電源をONにし、ピエゾ素子75が変形してヘッド72の内部(インク室77)のインクGを揺動させると、揺動カウンター34は、揺動回数を+1インクリメントして、揺動回数をカウントする。
【0029】
但し、記録部7がインクGを吐出すると、揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする。記録部7がインクGを吐出すると、ヘッド72の内部のインクGが揺動されたことと近似した状態になるので、揺動回数をインクリメントする必要がなくなるからである。
【0030】
記録部7は、複数のヘッド72を含み、画像データに基づいてヘッド72のノズル74からインクGを吐出させて、テストシートSに画像を形成する。記録部7は、インクGを吐出し、または、インクGを揺動させる。また、記録部7は、テストシートSにインクGを吐出する。
【0031】
記録部7は、ヘッド72と、ピエゾ素子75と、温熱素子79とを含む。記録部7については、図3図6(b)を参照して詳述する。また、ピエゾ素子75と温熱素子79とは、インクジェット記録装置1の印刷方式によって、一般にはどちらか一方が採用される。本実施形態では、特に必要でない場合は、ピエゾ素子75が採用された記録部7を説明する。
【0032】
制御部100は、画像データを受信したとき、吐出回数または揺動回数に応じて、ノズル74からインクGを吐出させるよう記録部7を制御し、または、ヘッド72の内部のインクGを揺動させるよう記録部7を制御する。
【0033】
すなわち、制御部100は、受信部31が画像データを受信すると、吐出カウンター33がカウントした吐出回数、または、揺動カウンター34がカウントした揺動回数に応じて、記録部7を制御する。記録部7は、制御部100に制御されて、ピエゾ素子75を駆動し、テストシートSにインクGを吐出し、または、ピエゾ素子75を駆動して、インク室77(図3)のインクGを揺動させる。
【0034】
また、制御部100は、処理部3、記録部7、および電源回路10を制御する。
【0035】
本実施形態によれば、吐出カウンター33がカウントした吐出回数と、揺動カウンター34がカウントした揺動回数に基づいて、ヘッド72のインクGをテストシートSに吐出させるか、ヘッド72の内部でインクGを揺動させるかを制御部100が制御するので、インクGの吐出量を好適に削減できる。
【0036】
次に、図3図5(b)を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1に備えられた記録部7に含まれるヘッド72および電源回路10について説明する。
【0037】
図3は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1のヘッド72の構造を示す図である。図4は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1においてインクGを吐出する態様を示す図である。図5(a)および(b)は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1においてインクGを揺動させる態様を示す図である。
【0038】
図3に示すように、ヘッド72は、インク室77を有する。インク室77は、内部にインクGを収容する。ヘッド72は、さらに、ノズル74と、供給路76とを有する。ノズル74は、テストシートSに対向する側に向けて開口する。インクGは、インク室77からノズル74を通って、テストシートSに向けて吐出される。供給路76は、インクタンク91(図1)からインク室77へ、インクGを方向Hに供給する。
【0039】
ピエゾ素子75は、圧電体に電圧を印加すると変形する逆圧電効果を利用した素子である。ピエゾ素子75の具体例は、チタン酸バリウム(BaTiO3)やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などの多結晶の強誘電性セラミックである。
【0040】
温熱素子79は、一例として、ヒーターである。
【0041】
図3図6(b)に示す電源回路10は、原理が模式的に示されている。電源回路10は、高圧電源と低圧電源とを並列にピエゾ素子75に接続する。
【0042】
切替部11は、低圧電源側の接点X、または、高圧電源側の接点YのON/OFFを切り替える。図3に示すように、切替部11が、接点Xと接点YのいずれもOFFにしているとき、低圧電源および高圧電源のいずれもピエゾ素子75に電力を供給しない。すなわち、高圧電源はOFFである。そのため、ピエゾ素子75は変形しない。
【0043】
次に、図4は、ヘッド72がノズル74からインク滴Dを吐出する態様を示す。図4に示すように、切替部11は、高圧電源側の接点YをONにすることにより、高圧電源から電力がピエゾ素子75に印加される。すなわち、高圧電源がONになる。
【0044】
ピエゾ素子75は高電圧が掛かるほど大きく変形する。そのため、ピエゾ素子75が大きく変形すると、インク室77の内部のインクGがノズル74に向かって方向Cに移動し、インク滴Dがノズル74から吐出される。
【0045】
次に、図5(a)および(b)は、ヘッド72がインクGを揺動させる態様を示す。図5(a)に示すように、切替部11は、低圧電源側の接点XをONにすることにより、低圧電源から電力がピエゾ素子75に印加される。すなわち、低圧電源がONになる。
【0046】
ピエゾ素子75は低電圧が掛かると小さく変形する。そのため、インク室77の内部をインクGが方向Eに対流し、ノズル74からは表面張力でインクGの表面が膨らんで露出する。
【0047】
図5(b)に示すように、切替部11は、接点XをOFFにすることにより、電力がピエゾ素子75に印加されなくなる。すなわち、低圧電源がOFFになる。
【0048】
ピエゾ素子75は、電力が印加されなくなると形状が元に戻る。そのため、インク室77の内部をインクGが方向F(例えば、方向Eの逆方向)に対流することにより、ノズル74からは表面張力でインクGの表面がへこむ。
【0049】
このように、図5(a)および(b)に示すように、切替部11が低圧電源のON/OFFの切り替えを繰り返すことにより、インク室77の内部のインクGが揺動される。そのため、長期間インクGが使用されない場合も、インクGの透明化などによる劣化を抑制することができる。
【0050】
次に、図6および図7を参照して、本実施形態に係るインクジェット記録装置1におけるヘッド72の制御を説明する。図6および図7は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1におけるヘッド72の制御を示すフローチャートである。
【0051】
図6および図7に示すように、処理は、ステップS10~ステップS30を含む。具体的には次の通りである。
【0052】
まず、テストシートSへの印字が終了するたび、または、インクジェット記録装置1に電源が投入されるたび、処理が開始される。図6および図7の処理における判定は、複数のヘッド72ごとに行われる。
【0053】
図6に示すステップS10において、吐出カウンター33は、吐出回数をリセットする。揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする。処理は、ステップS12に進む。
【0054】
ステップS12において、制御部100は、受信部31が画像データを受信したか否かを判定する。受信部31が画像データを受信していないと判定された場合(ステップS12において、No)、処理は、ステップS14に進む。受信部31が画像データを受信したと判定された場合(ステップS12において、Yes)、処理は、ステップS16に進む。
【0055】
ステップS14において、制御部100は、記録部7がテストシートSに到達したか否かを判定する。テストシートSに到達していないと判定された場合(ステップS14において、No)、処理は、ステップS12に戻り、ステップS12またはステップS14のいずれかがYesになるまで、処理を繰り返す。
【0056】
ステップS16において、制御部100は、ヘッド72のインク室77のインクGを揺動させるか否かを判定する。吐出カウンター33および揺動カウンター34がリセットされた直後は、制御部100は、ステップS16において、インクGを揺動させると判定する。記録部7によって画像データに基づく画像82、83を形成する前に、インクGを揺動させて、インクGの透明化などを解消しておく必要があるからである。処理は、ステップS18に進む。
【0057】
ステップS18において、揺動カウンター34は、揺動回数をインクリメントする。具体的には、ヘッド72の内部のインクGが1回揺動されると、揺動カウンター34は、揺動回数を+1インクリメントする。ヘッド72は、所定時間tの間、インクGを揺動させる。揺動カウンター34は、ヘッド72の内部のインクGが揺動された回数だけ、揺動回数をインクリメントする。ヘッド72が、所定時間tの間、インクGを揺動させると、揺動回数は最大値に達する。処理は、ステップS14に進む。
【0058】
但し、タイマー32が計時する所定時間tは、揺動カウンター34に設定できる最大値に置換されてもよい。タイマー32が計時する所定時間tは、制御部100が、ヘッド72によって吐出される画素を先読みできる最大値であってもよい。当該事項は、本願の全編において適用され得る。
【0059】
ステップS14において、記録部7がテストシートSに到達したことを制御部100が判定すると(ステップS14において、Yes)、処理は、図7に示すステップS24に進む。
【0060】
揺動カウンター34の揺動回数が最大値に達すると、ステップS16において、制御部100は、ヘッド72を揺動させない(ヘッド72にインクGを吐出させる)と判定する(ステップS16において、No)。処理は、ステップS20に進む。
【0061】
ステップS20において、制御部100は、揺動カウンター34をリセットする。ヘッド72がインクGを吐出するので、インクGの劣化は解消でき、インクGを揺動させる準備をする必要はないからである。処理は、ステップS22に進む。
【0062】
ステップS22において、制御部100は、吐出カウンター33の吐出回数をインクリメントする。つまり、制御部100は、ヘッド72にインクGを吐出させて、受信した画像データに基づく画像82、83(図8)を用紙Pに印字する。制御部100は、このときの吐出回数を、テストシートSへの印字の要否の判定条件にする。
【0063】
ヘッド72による用紙Pへの画像82、83の形成が終了すると、処理は、ステップS14に進む。
【0064】
ステップS14において、ヘッド72がテストシートSに到達したことを制御部100が判定するまで、ステップS14とステップS12との処理が繰り返される。
【0065】
ステップS14において、ヘッド72がテストシートSに到達したことが判定されると(ステップS14において、Yes)、処理は、図7に示すステップS24に進む。
【0066】
ステップS24において、制御部100は、吐出カウンター33の吐出回数が吐出閾値を超えているか否かを判定する。吐出閾値を超えていない場合(ステップS24において、No)、処理は、ステップS26に進む。吐出閾値を超えている場合(ステップS24において、Yes)、処理は、ステップS28に進む。
【0067】
ステップS26において、制御部100は、ヘッド72を制御する。ヘッド72は、テストシートSにインクGを吐出する。ヘッド72によるインクGの吐出回数が充分ではないので、テストシートSにインクGを吐出させて、インクGの劣化を抑制する必要があるからである。そして、処理は終了する。
【0068】
吐出閾値を超えている場合(ステップS24において、Yes)、ステップS28において、制御部100は、揺動カウンター34の揺動回数が最大値に達しているか否かを判定する。揺動回数が最大値に達している場合(ステップS28において、Yes)、処理はステップS26に進む。揺動回数が最大値に達していない場合(ステップS28において、No)、処理はステップS30に進む。
【0069】
ステップS26において、制御部100は、ヘッド72を制御する。ヘッド72は、テストシートSにインクGを吐出する。そして処理は終了する。
【0070】
ステップS30において、制御部100は、ヘッド72を制御する。ヘッド72は、テストシートSにインクGを吐出しない。そして処理は終了する。
【0071】
次に、図6および図7に加えて、図8を参照しながら、本実施形態に係るインクジェット記録装置1の処理の第1具体例~第4具体例を説明する。図8は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1におけるヘッド72の制御を示す図である。
【0072】
図8には、記録部7と、ラインヘッド73と、ヘッド72A~72Nと、ノズル74A~74Nと、ライン78A~78Nと、画像82、83と、揺動波84、86、88、90、92、94、96、98、99と、吐出波80、87、89、93、95、97と、テストシートSと、所定時間tとが記載される。
【0073】
揺動波84、86、88、90、92、94、96、98、99の波形、および、吐出波80、87、89、93、95、97の波形は、例えば、図4および図5(a)および(b)に示す電源回路10が出力した電圧波形である。
【0074】
記録部7のラインヘッド73は、ヘッド72A~72Nを有する。ヘッド72A~72Nは、主走査方向に複数並んで一列に配置される。ヘッド72A~72Nは、それぞれノズル74A~74Nを有する。ライン78A~ライン78Nは、それぞれノズル74A~74Nの副走査方向の軌跡を示す。ノズル74A~74Nからインク滴D(図4)が吐出されるときは、ライン78A~ライン78N上に吐出される。
【0075】
画像82および画像83は、受信部31によって受信された画像データに対応する。説明を簡略にするため、画像データは「A」と「B」とからなるものとする。また、後述する第1具体例~第4具体例における説明の便宜上、「A」のサイズと「B」のサイズとは異なる。
【0076】
揺動波84、86、88、90、92、94、96、98、99は、揺動波84、86、88、90、92、94、96、98、99が記載されている部分にヘッド72A~72Nがあるとき、図5(a)および(b)で説明したように、ヘッド72A~72Nの内部のインクGが揺動されていることを示す。
【0077】
吐出波80、87、89、93、95、97は、吐出波80、87、89、93、95、97が記載されている部分にヘッド72A~72Nがあるとき、図4で説明したように、ノズル74A~74Nからインク滴Dが吐出されていることを示す。
【0078】
一例として、100枚の用紙Pへの印字が行われるごとに、または、インクジェット記録装置1に電源が投入されるごとに、テストシートSには、テストパターンが印字される。
【0079】
(第1具体例)
以下、図6および図7を参照しながら、さらに図8を参照して、第1具体例を説明する。図8に示すように、第1具体例は、ヘッド72Aの制御に関する実施形態である。ヘッド72Aは、ノズル74Aを有する。ライン78Aは、ノズル74Aが通過する軌跡である。ノズル74Aから吐出されたインク滴Dは、ライン78A上に滴下される。
【0080】
テストシートSへの印字が終了すると、制御部100は、ラインヘッド73の制御を開始する。吐出カウンター33は、吐出回数をリセットする。揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS10)。
【0081】
その後しばらく、受信部31は、ヘッド72Aの画像データを受信しない(ステップS12とステップS14とのループ)。
【0082】
受信部31がテストシートSの画像データを受信する(ステップS12)。制御部100は、画像データを受信すると、ノズル74からインクGを吐出させる時点の所定時間t前から、インクGを揺動させるよう記録部7を制御する(ステップS16)。
【0083】
タイマー32は、所定時間tを計測する。制御部100は、所定時間tが経過するまでヘッド72Aを揺動させる。揺動波84が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Aを揺動させる。
【0084】
揺動カウンター34は、ヘッド72Aが揺動されるたびに、揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。例えば、所定時間tが経過するまでに、ヘッド72が100回揺動された場合、揺動カウンター34は揺動回数を+100インクリメントする。揺動回数の最大値は、一例として100回である。
【0085】
制御部100は、ヘッド72Aの位置にテストシートSが到達すると(ステップS14)、ヘッド72AにテストシートSに向けてインク滴Dを吐出させる。吐出波85が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Aにノズル74Aを通してインクGを吐出させる。
【0086】
以上の制御は、ヘッド72B、72C、72L、72M、および72Nについても同様である。
【0087】
本実施形態によれば、画像の印字前にヘッド72を揺動させることにより、ヘッド72内部のインクGの透明化などの劣化を抑制することができる。
【0088】
(第2具体例)
次に、引き続き、図6および図7を参照しながら、さらに図8を参照して、第2具体例を説明する。図8に示すように、第2具体例は、ヘッド72Dの制御に関する実施形態である。ヘッド72Dは、ノズル74Dを有する。ライン78Dは、ノズル74Dが通過する軌跡である。ノズル74Dから吐出されたインク滴Dは、ライン78D上に滴下される。
【0089】
第2具体例では、制御部100が、所定時間tの間、記録部7(ヘッド72D)にインクGを揺動させた後、吐出カウンター33の吐出回数が吐出閾値よりも少ない場合、記録部7は、テストシートSにインクGを吐出させる。つまり、ヘッド72Dが「A」の文字の一部(頂点部分)を印字する。
【0090】
ヘッド72Dがノズル74DからインクGを吐出した回数は、吐出閾値よりも少ない。受信部31が、テストシートSの画像データを受信すると、ヘッド72Dを揺動させた後、テストシートSに画像を印字する。
【0091】
すなわち、例えば、ヘッド72Dが印字した後、長期間が経過している可能性があるので、インクGの劣化を抑制するため、制御部100は、ヘッド72Dを揺動させ、テストシートSに画像を印字する。
【0092】
図8に示すように、制御部100がヘッド72Dの制御を開始する。吐出カウンター33は、吐出回数をリセットする。揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS10)。
【0093】
受信部31は、「A」の一部の画像データを受信する(ステップS12)。制御部100は、ノズル74DからインクGを吐出させる時点の所定時間t前から、インクGを揺動させるようヘッド72Dを制御する(ステップS16)。
【0094】
タイマー32は、所定時間tを計測する。制御部100は、所定時間tが経過するまでヘッド72Dを揺動させる。揺動波86が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Dを揺動させる。
【0095】
揺動カウンター34は、ヘッド72Dが揺動されるたびに、揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。揺動回数は、最大値である100回までインクリメントされる。揺動回数は、最大値になる。
【0096】
制御部100は、ヘッド72Dが「A」の一部の画像82が形成されるべき位置に到達すると(ステップS14、ステップS12)、用紙Pに向けてインク滴Dを吐出させる(ステップS16)。制御部100は、吐出波87が記載されている間、ヘッド72Dからインク滴Dを吐出させる。
【0097】
ここまでの処理は、印字すべき文字が「A」の場合、ヘッド72Kで最初に開始される。そして、ヘッド72Kから、ヘッド72J、72I、・・・、72Dへ順次行われる。
【0098】
「A」の一部の画像82の形成が開始されると、揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS20)。吐出カウンター33は、吐出回数をインクリメントする(ステップS22)。吐出回数は、一例として、2回である。吐出閾値は、一例として、3回である。この場合、吐出回数は、吐出閾値を超えていない。
【0099】
「A」の一部の画像82の形成が終了すると(ステップS14)、受信部31がテストシートSの画像データを受信する(ステップS12)。
【0100】
制御部100は、所定時間tが経過するまで、ヘッド72Dを揺動させる。揺動波88が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Dを揺動させる。揺動カウンター34は、最大値である100回まで揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。
【0101】
制御部100は、ヘッド72Dの位置にテストシートSが到達したことを判定する(ステップS14)。
【0102】
制御部100は、吐出カウンター33がカウントした吐出回数(2)が吐出閾値(3)を超えていないことを判定する(ステップS24)。
【0103】
制御部100は、ヘッド72DにテストシートSに向けてインク滴Dを吐出させる(ステップS26)。制御部100は、吐出波89が記載されている間、ヘッド72Dからインク滴Dを吐出させる。
【0104】
本実施形態によれば、ヘッド72A~72Nの吐出回数が少ない場合(吐出閾値を超えていない場合)、テストシートSに画像が形成されるので、ヘッド72A~72Nから長期間インクGが吐出されていない場合でも、インクGの劣化を好適に抑制することができる。
【0105】
(第3具体例)
次に、引き続き、図6および図7を参照しながら、さらに図8を参照して、第3具体例を説明する。第3具体例は、ヘッド72Gの制御に関する実施形態である。
【0106】
第3具体例では、制御部100が、所定時間tの間、記録部7にインクGを揺動させた後、吐出カウンター33の吐出回数が吐出閾値よりも多く、揺動カウンター34の揺動回数が最大値よりも少ない場合、記録部7は、テストシートSにインクGを吐出しない。
【0107】
つまり、ヘッド72Gが「A」の文字の一部(横棒部分)と、「B」の文字の一部(横棒部分)を印字した後、受信部31が、テストシートSの画像データを受信すると、ヘッド72Gを揺動させた後、テストシートSに画像を印字する。
【0108】
図8に示すように、制御部100がヘッド72Gの制御を開始する。吐出カウンター33は、吐出回数をリセットする。揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS10)。
【0109】
受信部31は、「A」の一部の画像データを受信する(ステップS12)。制御部100は、ノズル74GからインクGを吐出させる時点の所定時間t前から、インクGを揺動させるようヘッド72Gを制御する(ステップS16)。
【0110】
タイマー32は、所定時間tを計測する。制御部100は、所定時間tが経過するまでヘッド72Gを揺動させる。揺動波94が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Gを揺動させる。
【0111】
揺動カウンター34は、ヘッド72Gが揺動されるたびに、揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。揺動回数は、最大値である100回までインクリメントされる。揺動回数は、最大値になる。
【0112】
制御部100は、ヘッド72Gが「A」の一部の画像82が形成されるべき位置に到達すると(ステップS14、ステップS12)、用紙Pに向けてインク滴Dを吐出させる(ステップS16)。制御部100は、吐出波95が記載されている間、ヘッド72Gからインク滴Dを吐出させる。
【0113】
「A」の一部の画像82の形成が開始されると、揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS20)。吐出カウンター33は、吐出回数をインクリメントする(ステップS22)。吐出回数は、一例として、10回である。この場合、吐出回数(10)は、吐出閾値(3)を超えている。
【0114】
制御部100は、「B」の一部の画像83についても、同様に画像83を形成する。すなわち、制御部100は、揺動波96が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Gを揺動させる。
【0115】
制御部100は、ヘッド72Gが「B」の一部の画像83が形成されるべき位置に到達すると、用紙Pに向けてインク滴Dを吐出させる。制御部100は、吐出波97が記載されている間、ヘッド72Gからインク滴Dを吐出させる。
【0116】
「B」の一部の画像83の形成が開始されると、揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする。吐出カウンター33は、吐出回数をインクリメントする。吐出回数は、一例として、10回である。この場合、「A」の一部の画像82と「B」の一部の画像83とを形成するための合計の吐出回数(20)は、吐出閾値(3)を超えている。
【0117】
「B」の一部の画像83の形成が終了すると、受信部31がテストシートSの画像データを受信する(ステップS12)。
【0118】
制御部100は、ヘッド72Gを揺動させる(ステップS16)。揺動波98が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Gを揺動させる。揺動カウンター34は、例えば、最大値である100回に達しない70回の揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。
【0119】
制御部100は、ヘッド72Gの位置にテストシートSが到達したことを判定する(ステップS14)。
【0120】
制御部100は、吐出カウンター33がカウントした吐出回数(20)が吐出閾値(3)を超えていることを判定する(ステップS24)。
【0121】
制御部100は、揺動カウンター34がカウントした揺動回数(70)が最大値(100)を超えていないことを判定する(ステップS28)。
【0122】
制御部100は、ヘッド72GにテストシートSに向けてインク滴Dを吐出させない(ステップS30)。制御部100は、揺動波99が記載されている間、ヘッド72Gからインク滴Dを吐出させない。
【0123】
以上の制御は、ヘッド72H~72Kについても同様である。
【0124】
本実施形態によれば、ヘッド72A~72Nの揺動回数が少ない場合(最大値に達していない場合)、テストシートSに画像が形成されない。そのため、インクGの品質が低下することを抑えながら、インクGの消費を好適に抑えることができる。
【0125】
(第4具体例)
次に、引き続き、図6および図7を参照しながら、さらに図8を参照して、第4具体例を説明する。第4具体例は、ヘッド72Eの制御に関する実施形態である。
【0126】
第4具体例では、制御部100が、所定時間t、記録部7(ヘッド72E)にインクGを揺動させた後、吐出カウンター33の吐出回数が吐出閾値よりも多く、揺動カウンター34の揺動回数が最大値である場合、記録部7(ヘッド72E)がテストシートSに到達しても、記録部7(ヘッド72E)は、インクGを揺動させる(インクGを吐出しない)。
【0127】
つまり、ヘッド72Eが「A」の文字の一部(斜線部分)を印字した後、受信部31が、テストシートSの画像データを受信すると、ヘッド72Eを揺動させた後、テストシートSに画像を印字する。
【0128】
図8に示すように、制御部100がヘッド72Eの制御を開始する。吐出カウンター33は、吐出回数をリセットする。揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS10)。
【0129】
受信部31は、「A」の一部の画像データを受信する(ステップS12)。制御部100は、ノズル74EからインクGを吐出させる時点の所定時間t前から、インクGを揺動させるようヘッド72Eを制御する(ステップS16)。
【0130】
タイマー32は、所定時間tを計測する。制御部100は、所定時間tが経過するまでヘッド72Eを揺動させる。揺動波90が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Eを揺動させる。
【0131】
揺動カウンター34は、ヘッド72Eが揺動されるたびに、揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。揺動回数は、最大値である100回までインクリメントされる。揺動回数は、最大値になる。
【0132】
制御部100は、ヘッド72Eが「A」の一部の画像が形成されるべき位置に到達すると(ステップS14、ステップS12)、用紙Pに向けてインク滴Dを吐出させる(ステップS16)。制御部100は、吐出波80が記載されている間、ヘッド72Eからインク滴Dを吐出させる。
【0133】
「A」の一部の画像82の形成が開始されると、揺動カウンター34は、揺動回数をリセットする(ステップS20)。吐出カウンター33は、吐出回数をインクリメントする(ステップS22)。吐出回数は、一例として、4回である。この場合、吐出回数(4)は、吐出閾値(3)を超えている。
【0134】
「A」の一部の画像82の形成が終了すると、受信部31がテストシートSの画像データを受信する(ステップS12)。
【0135】
制御部100は、ヘッド72Eを揺動させる(ステップS16)。揺動波92が記載されている所定時間tの間、制御部100は、ヘッド72Eを揺動させる。揺動カウンター34は、揺動カウンター34は、最大値である100回まで揺動回数をインクリメントする(ステップS18)。
【0136】
制御部100は、ヘッド72Eの位置にテストシートSが到達したことを判定する(ステップS14)。
【0137】
制御部100は、吐出カウンター33がカウントした吐出回数(4)が吐出閾値(3)を超えていることを判定する(ステップS24)。
【0138】
制御部100は、揺動カウンター34がカウントした揺動回数(100)が最大値(100)であることを判定する(ステップS28)。
【0139】
制御部100は、ヘッド72EにテストシートSに向けてインク滴Dを吐出させる(ステップS26)。制御部100は、吐出波93が記載されている間、ヘッド72Dからインク滴Dを吐出させる。
【0140】
以上の制御は、ヘッド72Fについても同様である。
【0141】
本実施形態によれば、ヘッド72A~72Nの揺動回数が最大値であり、かつ、インクGの吐出回数が吐出閾値を超えている場合、テストシートSに画像が形成される。そのため、ヘッド72A~72NからインクGが吐出されてから長期間が経過していても、インクGの品質が低下することを抑えることができる。
【0142】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、本実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる本実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、インクジェット記録装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 インクジェット記録装置
3 処理部
7 記録部
10 電源回路
11 切替部
31 受信部
32 タイマー
33 吐出カウンター
34 揺動カウンター
72 ヘッド
75 ピエゾ素子
79 温熱素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8