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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光学式選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20240214BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019236000
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104476
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
(72)【発明者】
【氏名】定丸 雅明
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-205269(JP,A)
【文献】特開2016-197065(JP,A)
【文献】特開2008-302314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式選別機であって、
移送中の複数の選別対象物に向けて第1の光を放出するように構成され、前記複数の選別対象物の移送経路に対する第1の側に配置された第1の光源と、
前記移送中の複数の選別対象物に向けて、前記第1の光と同一の波長を有する第2の光を放出するように構成され、前記第1の側と反対の第2の側に配置された第2の光源と、
前記第1の側および前記第2の側のうちの少なくとも一方に配置され、前記移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた光を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出するように構成された光学センサと、
前記光学センサによって取得された信号に基づいて、前記一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行うように構成された判定部と、
前記第1の光源および前記第2の光源を制御するように構成された光源制御部と
を備え、
前記光源制御部は、
前記第1の走査期間において、前記第1の光源と前記第2の光源とが点灯する点灯パターンと、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの一方のみが点灯する点灯パターンと、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの他方のみが点灯する点灯パターンと、のうちの、第1の点灯パターンで点灯するように前記第1の光源および前記第2の光源を制御するように構成されるとともに、
前記第2の走査期間において、前記第1の光源と前記第2の光源とが点灯する前記点灯パターンと、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記一方のみが点灯する前記点灯パターンと、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記他方のみが点灯する前記点灯パターンと、のうちの、前記第1の点灯パターンとは異なる第2の点灯パターンで点灯するように前記第1の光源および前記第2の光源を制御するように構成され、
前記光学センサは、前記第1の点灯パターンおよび前記第2の点灯パターンに基づいて、前記選別対象物で反射した光である反射光と、前記選別対象物を透過した光である透過光と、前記反射光と前記透過光とが合成された光である反射透過光と、のうちの2種類の光を検出するように構成され、
前記判定部は、前記反射光が表す画像である反射画像と、前記透過光が表す画像である透過画像と、前記反射透過光が表す画像である反射透過画像と、のうちの、前記光学センサによって検出された前記2種類の光に対応する2種類の画像と、前記2種類の光の検出結果について行われる演算によって取得される残り1種類の画像と、に基づいて、前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成された
光学式選別機。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式選別機であって、
前記第1の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とが点灯し、
前記第2の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記第1の光源のみが点灯し、
前記光学センサは、前記第1の側に配置された第1の光学センサを備え、
前記第1の光学センサは、前記第1の走査期間において、前記第1の点灯パターンに基づいて前記反射透過光を検出し、前記第2の走査期間において、前記第2の点灯パターンに基づいて前記反射光を検出するように構成され、
前記判定部は、少なくとも、前記第1の光学センサによって検出された前記反射透過光および前記反射光に対応する前記反射透過画像および前記反射画像と、前記反射透過光の検出結果から前記反射光の検出結果を減算することによって取得される前記透過画像と、に基づいて、前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成された
光学式選別機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学式選別機であって、
前記第1の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とが点灯し、
前記第2の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記第1の光源のみが点灯し、
前記光学センサは、前記第2の側に配置された第2の光学センサを備え、
前記第2の光学センサは、前記第1の走査期間において、前記第1の点灯パターンに基づいて前記反射透過光を検出し、前記第2の走査期間において、前記第2の点灯パターンに基づいて前記透過光を検出するように構成され、
前記判定部は、少なくとも、前記第2の光学センサによって検出された前記反射透過光および前記透過光に対応する前記反射透過画像および前記透過画像と、前記反射透過光の検出結果から前記透過光の検出結果を減算することによって取得される前記反射画像と、に基づいて、前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成された
光学式選別機。
【請求項4】
請求項1に記載の光学式選別機であって、
前記第1の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記第1の光源のみが点灯し、
前記第2の点灯パターンでは、前記第1の光源と前記第2の光源とのうちの前記第2の光源のみが点灯し、
前記光学センサは、前記第1の側に配置された第1の光学センサを備え、
前記第1の光学センサは、前記第1の走査期間において、前記第1の点灯パターンに基づいて前記反射光を検出し、前記第2の走査期間において、前記第2の点灯パターンに基づいて前記透過光を検出するように構成され、
前記判定部は、少なくとも、前記第1の光学センサによって検出された前記反射光および前記透過光に対応する前記反射画像および前記透過画像と、前記反射光の検出結果と前記透過光の検出結果とを加算することによって取得される前記反射透過画像と、に基づいて、前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成された
光学式選別機。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式選別機であって、
前記光学センサは、前記第2の側に配置された第2の光学センサを備え、
前記第2の光学センサは、前記第1の走査期間において、前記第1の点灯パターンに基づいて前記透過光を検出し、前記第2の走査期間において、前記第2の点灯パターンに基づいて前記反射光を検出するように構成され、
前記判定部は、少なくとも、前記第2の光学センサによって検出された前記透過光および前記反射光に対応する前記透過画像および前記反射画像と、前記透過光の検出結果と前記反射光の検出結果とを加算することによって取得される前記反射透過画像と、に基づいて、前記異物および/または前記不良品の判定を行うように構成された
光学式選別機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光学式選別機であって、
前記第1の光および前記第2の光は、赤色の光である
光学式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色の光を放出する赤色光源を選別対象物の移送経路に対する一方側に設けるとともに、光学センサを移送経路に対する一方側および他方側の両方に設けた光学式選別機が従来から知られている(例えば、下記の特許文献1)。この種の光学式選別機によれば、一方側の光学センサでは、選別対象物で反射された赤色の光が検出され、他方側の光学センサでは、選別対象物を透過した赤色の光が検出される。特許文献1に記載の光学式選別機では、この赤色の反射光および透過光の検出結果に基づいて、選別対象物である米粒がシラタであるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-42326号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の光学式選別機は、判別精度の向上の余地を残している。例えば、特許文献1に記載の光学式選別機によれば、赤色反射画像(反射された赤色光が表す画像)と、赤色透過画像(透過した赤色光が表す画像)と、に基づいてシラタの判定は行えるものの、赤色反射画像(反射された赤色光と、透過した赤色光と、が合成された光が表す画像)が取得されないので、判別可能な不良品の種類が限定されている。このため、取得できる画像の種類を増やすことによって、不良品および/または異物の判別精度を高めることが求められる。このことは、赤色光に限らず、任意の波長を有する光を使用する場合に共通する。また、このことは、米粒を選別する場合に限らず、任意の粒状物を選別する場合に共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の第1の形態によれば、光学式選別機が提供される。この光学式選別機は、移送中の複数の選別対象物に向けて第1の光を放出するように構成され、複数の選別対象物の移送経路に対する第1の側に配置された第1の光源と、移送中の複数の選別対象物に向けて、第1の光と同一の波長を有する第2の光を放出するように構成され、第1の側と反対の第2の側に配置された第2の光源と、第1の側および第2の側のうちの少なくとも一方に配置され、移送中の複数の選別対象物のうちの一つの選別対象物に関連付けられた光を、第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間で検出するように構成された光学センサと、光学センサによって取得された信号に基づいて、一つの選別対象物についての異物および/または不良品の判定を行うように構成された判定部と、第1の光源および第2の光源を制御するように構成された光源制御部と、を備えている。光源制御部は、第1の走査期間において、第1の光源と第2の光源とが点灯する点灯パターンと、第1の光源と第2の光源とのうちの一方のみが点灯する点灯パターンと、第1の光源と第2の光源とのうちの他方のみが点灯する点灯パターンと、のうちの、第1の点灯パターンで点灯するように第1の光源および第2の光源を制御するように構成されるとともに、第2の走査期間において、第1の光源と第2の光源とが点灯する点灯パターンと、第1の光源と第2の光源とのうちの一方のみが点灯する点灯パターンと、第1の光源と第2の光源とのうちの他方のみが点灯する点灯パターンと、のうちの、第1の点灯パターンとは異なる第2の点灯パターンで点灯するように第1の光源および第2の光源を制御するように構成される。光学センサは、第1の点灯パターンおよび第2の点灯パターンに基づいて、選別対象物で反射した光である反射光と、選別対象物を透過した光である透過光と、反射光と透過光とが合成された光である反射透過光と、のうちの2種類の光を検出するように構成される。判定部は、反射光が表す画像である反射画像と、透過光が表す画像である透過画像と、反射透過光が表す画像である反射透過画像と、のうちの、光学センサによって検出された2種類の光に対応する2種類の画像と、2種類の光の検出結果について行われる演算によって取得される残り1種類の画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うように構成される。
【0007】
かかる光学式選別機によれば、反射画像と透過画像と反射透過画像とのうちの2種類の画像を光学センサによって直接的に取得するとともに、残り1種類の画像を演算によって取得することができる。したがって、判定部は、3種類の画像(すなわち、反射画像、透過画像および反射透過画像)に基づいて、異物および/または不良品の判定を精度良く行うことができる。例えば、使用できる画像の種類が増えるので、異物および/または不良品の種類が増加する。しかも、残り1種類の画像は演算によって取得されるので(換言すれば、残り1種類の画像を取得するための走査期間が、第1の走査期間および第2の走査期間に加えて設定されるわけではないので)、残り1種類の画像を取得するために2種類の画像の分解能が低下することもない。したがって、残り1種類の画像を取得することに起因して、2種類の画像に基づく判別精度が低下することもない。ただし、上記の「第1の走査期間と第2の走査期間とを含む複数の走査期間」とは、「複数の走査期間」が、「第1の走査期間」および「第2の走査期間」のみによって構成される場合と、「第1の走査期間」と、「第2の走査期間」と、他の任意の走査期間と、によって構成される場合と、の両方を含むことが意図されている。つまり、第1の走査期間および第2の走査期間に加えて、その他の走査期間が設定されることは排除されていない。
【0008】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、第1の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とが点灯する。第2の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とのうちの第1の光源のみが点灯する。光学センサは、第1の側に配置された第1の光学センサを備えている。第1の光学センサは、第1の走査期間において、第1の点灯パターンに基づいて反射透過光を検出し、第2の走査期間において、第2の点灯パターンに基づいて反射光を検出するように構成される。判定部は、少なくとも、第1の光学センサによって検出された反射透過光および反射光に対応する反射透過画像および反射画像と、反射透過光の検出結果から反射光の検出結果を減算することによって取得される透過画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うように構成される。かかる形態によれば、判定部は、第1の光学センサによって直接的に取得される反射透過画像および反射画像に加えて、演算によって取得される透過画像を使用することができるので、判別精度が向上する。
【0009】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、第1の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とが点灯する。第2の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とのうちの第1の光源のみが点灯する。光学センサは、第2の側に配置された第2の光学センサを備えている。第2の光学センサは、第1の走査期間において、第1の点灯パターンに基づいて反射透過光を検出し、第2の走査期間において、第2の点灯パターンに基づいて透過光を検出するように構成される。判定部は、少なくとも、第2の光学センサによって検出された反射透過光および透過光に対応する反射透過画像および透過画像と、反射透過光の検出結果から透過光の検出結果を減算することによって取得される反射画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うように構成される。かかる形態によれば、判定部は、第2の光学センサによって直接的に取得される反射透過画像および透過画像に加えて、演算によって取得される反射画像を使用することができるので、判別精度が向上する。特に、第2の形態と第3の形態とを組み合わせた形態では、判別部は、第1の側で取得された反射透過画像、透過画像および反射画像と、第2の側で取得された反射透過画像、透過画像および反射画像と、を使用することができる。第1の光および第2の光が照射される際の選別対象物の向きによっては、異物および/または不良品の特徴が、第1の側で取得された画像および第2の側で取得された画像のうちの一方にしか現れないことがあるが、この組み合わせた形態は、両側で取得された3種類の画像を使用し得るので、判別精度が特に優れている。
【0010】
本発明の第4の形態によれば、第1の形態において、第1の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とのうちの第1の光源のみが点灯する。第2の点灯パターンでは、第1の光源と第2の光源とのうちの第2の光源のみが点灯する。光学センサは、第1の側に配置された第1の光学センサを備えている。第1の光学センサは、第1の走査期間において、第1の点灯パターンに基づいて反射光を検出し、第2の走査期間において、第2の点灯パターンに基づいて透過光を検出するように構成される。判定部は、少なくとも、第1の光学センサによって検出された反射光および透過光に対応する反射画像および透過画像と、反射光の検出結果と透過光の検出結果とを加算することによって取得される反射透過画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うように構成される。かかる形態によれば、判定部は、第1の光学センサによって直接的に取得される反射画像および透過画像に加えて、演算によって取得される反射透過画像を使用することができるので、判別精度が向上する。
【0011】
本発明の第5の形態によれば、第4の形態において、光学センサは、第2の側に配置された第2の光学センサを備えている。第2の光学センサは、第1の走査期間において、第1の点灯パターンに基づいて透過光を検出し、第2の走査期間において、第2の点灯パターンに基づいて反射光を検出するように構成される。判定部は、少なくとも、第2の光学センサによって検出された透過光および反射光に対応する透過画像および反射画像と、透過光の検出結果と反射光の検出結果とを加算することによって取得される反射透過画像と、に基づいて、異物および/または不良品の判定を行うように構成される。かかる形態によれば、判定部は、第2の光学センサによって直接的に取得される透過画像および反射画像に加えて、演算によって取得される反射透過画像を使用することができるので、判別精度が向上する。しかも、判別部は、第1の側で取得された反射透過画像、透過画像および反射画像と、第2の側で取得された反射透過画像、透過画像および反射画像と、を使用することができる。したがって、第2の形態と第3の形態とを組み合わせた形態と同様に、判別精度が特に優れている。
【0012】
本発明の第6の形態によれば、第1ないし第5のいずれかの形態において、第1の光および第2の光は、赤色の光である。かかる形態によれば、判定部は、種々の異物および/または不良品を判定することができる。例えば、選別対象物が米粒である場合には、反射画像および透過画像に基づいてシラタを判定することができるとともに、反射透過画像に基づいて青未熟粒の判定を行うことができる。
【0013】
上述の諸形態は、公知の他の光学式選別機の構成と組み合わせて実現されてもよい。例えば、光学式選別機は、第1の光源および第2の光源以外の追加的な光源(例えば、第1の光および第2の光とは異なる波長を有する光を放出する光源)を備えていてもよい。この場合、光学式選別機は、追加的な光源から放出される光を検出するための追加的な光学センサを備えていてもよいし、あるいは、第1の形態における光学センサが、追加的な光源から放出される光も検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態による光学式選別機の概略構成を示す模式図である。
図2】光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
図3】一つの選別対象物と、走査ナンバーと、の関係を示す説明図である。
図4】第2実施形態による光学センサの走査期間と、光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての光学式選別機(以下、単に選別機と呼ぶ)10の概略構成を示す模式図である。本実施形態では、選別機10は、選別対象物(以下、単に対象物と呼ぶ)90としての米粒(より具体的には、玄米または精白米)から異物(例えば、小石、泥、ガラス片など)および不良品(例えば、未熟粒、着色粒など)を選別するために使用される。ただし、対象物90は、玄米または精白米に限られるものではなく、任意の粒状物であってもよい。例えば、対象物90は、籾、麦粒、豆類(大豆、ひよこ豆、枝豆など)、樹脂(ペレット等)、ゴム片等であってもよい。
【0016】
図1に示すように、選別機10は、光学検出部20と、貯留タンク71と、フィーダ72と、シュート73と、良品排出樋74と、不良品排出樋75と、エジェクタ76と、制御装置80と、を備えている。制御装置80は、選別機10の動作全般を制御する。制御装置80は、光源制御部81および判定部82としても機能する。制御装置80の機能は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現されてもよいし、専用回路によって実現されてもよい。光源制御部81および判定部82は、一体的な一つの装置によって実現されてもよい。例えば、光源制御部81および判定部82は、一つのCPUによって実現される二つの機能であってもよい。あるいは、光源制御部81および判定部82は、それぞれ個別の装置として実現されてもよい。制御装置80の機能の詳細については後述する。
【0017】
貯留タンク71は、対象物90を一時的に貯留する。フィーダ72は、貯留タンク71に貯留された対象物90をシュート73上に供給する。光学検出部20は、シュート73から滑り落ちた対象物90に対して光を照射し、対象物90に関連付けられた光(具体的には、対象物90を透過した透過光、および/または、対象物90によって反射された反射光)を検出する。光学検出部20からの出力、すなわち、検出された光の強度を表すアナログ信号は、AC/DCコンバータ(図示省略)によってデジタル信号に変換される。このデジタル信号(換言すれば、アナログ信号に対応する階調値)は、制御装置80に入力される。制御装置80は、入力された光の検出結果(つまり画像)に基づいて、判定部82の処理として、対象物90が良品(つまり、品質が相対的に高い米粒)であるか、それとも、異物(つまり、米粒ではないもの)ないし不良品(つまり、品質が相対的に低い米粒)であるかを判定する。この判定は、対象物90の各々について行われる。
【0018】
対象物90が異物または不良品であると判定された場合、エジェクタ76は、当該対象物90に向けてエア77を噴射する。これによって、対象物90は、吹き飛ばされ、シュート73からの落下軌道から逸脱して不良品排出樋75に導かれる。一方、対象物90が良品であると判定された場合、エア77は噴射されない。このため、良品であると判定された対象物90は、落下軌道を変えることなく、良品排出樋74に導かれる。
【0019】
以下、光学検出部20および制御装置80の詳細について説明する。図1に示すように、光学検出部20は、赤色光源30a,30bと、緑色光源40a,40bと、青色光源50a,50bと、光学センサ60a,60bと、を備えている。
【0020】
赤色光源30aは、移送中の(つまり、シュート73から落下中の)複数の対象物90に向けて赤色光31aを放出する。同様に、赤色光源30bは、移送中の複数の対象物90に向けて赤色光31b(換言すれば、赤色光31aと同一の波長を有する光)を放出する。緑色光源40aは、移送中の複数の対象物90に向けて緑色光41aを放出する。同様に、緑色光源40bは、移送中の複数の対象物90に向けて緑色光41bを放出する。青色光源50aは、移送中の複数の対象物90に向けて青色光51aを放出する。青色光源50bは、移送中の複数の対象物90に向けて青色光51bを放出する。
【0021】
本実施形態では、赤色光源30a,30b、緑色光源40a,40bおよび青色光源50a,50bは、LEDである。図1では、これらの光源の数は、それぞれ一つであるものとして示されているが、これらの光源のうちの少なくとも一部の光源の数は、複数であってもよい。
【0022】
光学センサ60a,60bは、移送中の複数の対象物90のうちの一つの対象物90に関連付けられた光を検出する。光学センサ60a,60bは、本実施形態では、カラーCCDセンサであり、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ個別に検出可能である。ただし、光学センサ60a,60bは、カラーCMOSセンサなどの他の形式のカラーセンサであってもよい。さらに、光学センサ60a,60bは、本実施形態ではラインセンサであるが、エリアセンサであってもよい。
【0023】
赤色光源30a、緑色光源40a、青色光源50aおよび光学センサ60aは、対象物90の移送経路(換言すれば、シュート73からの落下軌跡)に対して一方側(フロント側とも呼ぶ)に配置されている。一方、赤色光源30b、緑色光源40b、青色光源50bおよび光学センサ60bは、対象物90の移送経路に対して他方側(リア側とも呼ぶ)に配置されている。
【0024】
フロント側の光学センサ60aは、フロント側の赤色光源30aから放出され、対象物90で反射された赤色光31a(反射赤色光31aとも呼ぶ)と、フロント側の緑色光源40aから放出され、対象物90で反射された緑色光41a(反射緑色光41aとも呼ぶ)と、フロント側の青色光源50aから放出され、対象物90で反射された青色光51a(反射青色光51aとも呼ぶ)と、リア側の赤色光源30bから放出され、対象物90を透過した赤色光31b(透過赤色光31bとも呼ぶ)と、リア側の緑色光源40bから放出され、対象物90を透過した緑色光41b(透過緑色光41bとも呼ぶ)と、リア側の青色光源50bから放出され、対象物90を透過した青色光51b(透過青色光51bとも呼ぶ)と、を検出可能である。
【0025】
リア側の光学センサ60bは、リア側の赤色光源30bから放出され、対象物90で反射された赤色光31b(反射赤色光31bとも呼ぶ)と、リア側の緑色光源40bから放出され、対象物90で反射された緑色光41b(反射緑色光41bとも呼ぶ)と、リア側の青色光源50bから放出され、対象物90で反射された青色光51b(反射青色光51bとも呼ぶ)と、フロント側の赤色光源30aから放出され、対象物90を透過した赤色光31a(透過赤色光31aとも呼ぶ)と、フロント側の緑色光源40aから放出され、対象物90を透過した緑色光41a(透過緑色光41aとも呼ぶ)と、フロント側の青色光源50aから放出され、対象物90を透過した青色光51a(透過青色光51aとも呼ぶ)と、を検出可能である。
【0026】
周知のように、光学センサ60a,60bは、一つの対象物90について複数の走査を行う。換言すれば、光学センサ60a,60bは、一つの対象物90に関連付けられた光を複数の走査期間の各々で検出する。走査期間とは、一つの走査の開始から終了までの時間である。各走査で得られた画像を合成することにより、当該一つの対象物90の全体画像が取得される。「走査期間」は、光学センサがCCDセンサである場合には、受光素子が電荷の蓄積を開始してから、電荷の蓄積を終了するまでの時間として定義され得る。「走査期間」は、光学センサがCMOSセンサである場合には、受光素子が電荷の蓄積を開始してから、蓄積した電荷を出力するまでの時間として定義され得る。
【0027】
かかる光学検出部20は、制御装置80によって制御される。光源制御部81は、予め定められた規則に従って、赤色光源30a,30b、緑色光源40a,40bおよび青色光源50a,50bを制御する。図2は、光学センサ60a,60bの走査期間と、これらの光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。図2において、「R」は赤色、「G」は緑色、「B」は青色をそれぞれ表している。
【0028】
図3は、一つの対象物90と、光学センサ60a,60bの走査ナンバー(何回目の走査であるかを表す数字)と、の関係を示す説明図である。図3に示すように、本実施形態では、一つの対象物90について8回(説明を簡素化するために、実際よりも少ない回数であるものとして例示している)の走査によって画像データが取得される。図3に示される1~8の数字は、該当する領域の画像データが取得される走査のナンバーを示している。例えば、「1」が付された領域は、1回目の走査によって画像データが取得されることを示している。図2において、「走査No.」は、図3に示された走査ナンバーに対応している。
【0029】
図2に示すように、フロント側の赤色光源30aは、全ての走査期間の各々において所定時間、点灯される(図中にONと示されている)。一方、リア側の赤色光源30bは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ所定時間、点灯され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。このように、赤色光源30a,30bは、両方が点灯する走査期間と、一方のみ(本実施形態では、フロント側のみ)が点灯する走査期間と、が存在するように点灯される。
【0030】
フロント側の緑色光源40aおよび青色光源50aは、全ての走査期間の各々において、所定時間、点灯される。同様に、リア側の緑色光源40bおよび青色光源50bは、全ての走査期間の各々において、所定時間、点灯される。
【0031】
このような点灯態様によれば、フロント側の光学センサ60aでは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31aと透過赤色光31bとが合成された光と、反射緑色光41aと透過緑色光41bとが合成された光と、反射青色光51aと透過青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、光学センサ60aを介して、赤色の反射透過画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。本願において、反射画像とは、反射光のみによって表される画像をいう。透過画像とは、透過光のみによって表される画像をいう。反射透過画像とは、反射光と透過光とが合成された光によって表される画像をいう。
【0032】
また、フロント側の光学センサ60aでは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31aと、反射緑色光41aと透過緑色光41bとが合成された光と、反射青色光51aと透過青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、光学センサ60aを介して、赤色の反射画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0033】
一方、リア側の光学センサ60bでは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31aと反射赤色光31bとが合成された光と、透過緑色光41aと反射緑色光41bとが合成された光と、透過青色光51aと反射青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、光学センサ60bを介して、赤色の反射透過画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0034】
また、リア側の光学センサ60bでは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31aと、透過緑色光41aと反射緑色光41bとが合成された光と、透過青色光51aと反射青色光51bとが合成された光と、がそれぞれ個別に検出される。換言すれば、光学センサ60bを介して、赤色の透過画像と、緑色の反射透過画像と、青色の反射透過画像とが得られる。
【0035】
まとめると、赤色の画像として、4種類の画像、すなわち、フロント側の反射透過画像(図3において奇数の走査ナンバーが付された領域によって構成される)および反射画像(図3において偶数の走査ナンバーが付された領域によって構成される)、ならびに、リア側の反射透過画像(図3において奇数の走査ナンバーが付された領域によって構成される)および透過画像(図3において偶数の走査ナンバーが付された領域によって構成される)が得られる。また、緑色の画像として、フロント側の反射透過画像とリア側の反射透過画像とが得られる。また、青色の画像として、フロント側の反射透過画像とリア側の反射透過画像とが得られる。緑色の画像および青色の画像の各々は、図3において1~8の走査ナンバーが付された領域によって構成される。
【0036】
判定部82は、このようにして取得される各種画像に基づいて、異物および/または不良品の判定を行う。この判定には、公知の任意の判定手法を採用可能である。この判定は、典型的には、画像データの階調値と、予め定められた閾値と、を比較することによって行われる。本実施形態では、判定部82は、フロント側およびリア側の緑色の画像と、フロント側およびリア側の青色の画像と、を用いて、異物および/または不良品の判定を行う。例えば対象物90が玄米である場合には、これらの緑色の画像および青色の画像を用いて、対象物90が例えば、カメ虫、ヤケ、青未熟、死米であるか否かが判定され得る。
【0037】
さらに、判定部82は、光学センサ60a,60bを介して直接的に取得される上記の赤色の4種類の画像に加えて、演算によって取得される赤色の画像を用いて、異物および/または不良品の判定を行う。具体的には、フロント側の赤色の画像に関して、反射透過画像の階調値から反射画像の階調値を減算することによって、透過画像の階調値が演算される。この演算は、対応する画素同士の間で行われる。また、反射透過画像は奇数の走査ナンバーを有する走査期間に取得され、透過画像は偶数の走査ナンバーを有する走査期間に取得されるので、この演算(ここでは、減算)は、隣り合う2つの走査期間において得られた画像同士の間で行われる。このため、得られる画像は、当該隣り合う2つの走査期間において取得された画像として扱われる。例えば、No.1の走査期間において取得された反射透過画像と、No.2の走査期間において得られた反射画像と、の間で減算が行われることによって、図3において「1」が付された領域、および、「2」が付された領域の透過画像が得られる。同様に、リア側の赤色の画像に関しても、反射透過画像の階調値から透過画像の階調値を減算することによって、反射画像の階調値が演算される。判定部82は、赤色の画像に関しては、光学センサ60a,60bを介して直接的に取得される上記の赤色の4種類の画像に加えて、このようにして演算によって取得されるフロント側の透過画像およびリア側の反射画像を用いて、異物および/または不良品の判定を行うのである。図2では、光学センサ60a,60bを介して直接的に取得される画像と、上述の手法にしたがって演算によって取得される画像と、を走査期間ごとに一覧で示している。
【0038】
例えば対象物90が玄米である場合には、フロント側およびリア側の反射透過画像を用いて、対象物90が青未熟粒であるか否かが判定され得る。また、フロント側の反射画像および透過画像と、リア側の反射画像および透過画像と、に基づいて、対象物90がシラタであるか否かが判定され得る。上述した例に限られることなく、赤色の画像と、他の色の画像(緑色の画像および/または青色の画像)と、を総合的に評価することによって、異物および/または不良品の判定が行われてもよい。
【0039】
図2に示すように、光源制御部81は、いずれかの光源を点灯させる場合(例えば、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてリア側の赤色光源30bを点灯させる場合)、当該走査期間内において、当該光源が点灯される点灯期間と、当該光源が消灯される消灯期間と、が存在するように、当該光源を制御する。例えば、図2の例では、フロント側の赤色光源30aに関して、3回目の走査期間のうち、走査期間の開始時点T0から時点T1までは消灯期間であり、時点T1から時点T2までは点灯期間であり、時点T2から、走査期間の終了時点T3までは消灯期間である。このような点灯態様によれば、走査期間の全体に亘って光源が点灯される場合と比べて、電力消費量を低減することができる。また、光源の温度上昇を抑制できるので、温度上昇に伴って、光源から放出される光の波長領域が変化することを抑制できる。
【0040】
さらに、光源制御部81は、いずれかの光源を点灯させる場合、当該走査期間の開始から遅れたタイミングで点灯期間が始まるように、当該光源を制御する。例えば、図2の例では、3回目の走査期間において、フロント側の赤色光源30aは、走査期間の開始時点T0から遅れたタイミング(つまり、時点T1)で点灯期間が始まるように点灯される。換言すれば、走査期間の開始時点T0においては、赤色光源30aは消灯している。このため、3回目の走査期間においてフロント側の赤色光源30aから放出された赤色光31aが、その一つ前の走査期間(つまり、2回目の走査期間)において、光学センサ60aまたは光学センサ60bによって検出されることがない。具体的には、仮に、3回目の走査期間において開始時点T0(これは、2回目の走査期間の終了時点でもある)でフロント側の赤色光源30aが点灯すると、3回目の走査期間の開始と同時に放出された赤色光31aが、2回目の走査期間における光学センサ60aまたは光学センサ60bによる検出結果にノイズとして混入する可能性がある。一方、本実施形態によれば、そのような事象が生じないので、判定部82による判定精度を向上させることができる。ここでは、フロント側の赤色光源30aを例として説明したが、この点は、フロント側の赤色光源30aに限らず、全ての光源に共通する。
【0041】
上述した選別機10によれば、判定部82は、赤色の画像に関して、光学センサ60a,60bによって直接的に取得される画像(フロント側およびリア側の反射透過画像、フロント側の反射画像、および、リア側の透過画像)に加えて、演算によって取得される画像(フロント側の透過画像、および、リア側の反射画像)を用いて、異物および/または不良品の判定を行うことができる。つまり、フロント側についても、リア側についても、3種類の画像(反射透過画像、透過画像および反射画像)を用いて、異物および/または不良品の判定を行うことができる。このため、反射透過画像と、透過画像および反射画像のうちの一方のみと、を用いる場合と比べて、判別精度を高めることができる。例えばシラタを判定する場合を考えると、シラタに対して得られる透過画像は、比較的小さな階調値(暗い階調値)を有しているので、透過画像のみを用いてシラタを判定することも可能ではある。しかしながら、互いに重なり合った複数の対象物90に光が照射された場合には、複数の対象物90が良品である場合であっても、比較的小さな階調値を有する透過画像が得られるので、良品をシラタとして判定してしまう恐れがある。一方、シラタに対して得られる反射画像は、比較的大きな階調値(明るい階調値)を有しており、互いに重なり合った複数の対象物90に光が照射された場合には、比較的小さな階調値を有する透過画像が得られるので、透過画像と反射画像との両方を用いれば(つまり、反射画像用に設定された閾値条件と、透過画像用に設定された閾値条件と、の両方を満たすか否かを判定すれば)、シラタを精度良く判定できる。
【0042】
しかも、フロント側の透過画像およびリア側の反射画像は演算によって取得されるので、換言すれば、図2に示した点灯パターン以外で赤色光源30a,30bが点灯する点灯パターンの走査期間を追加的に設定するわけではないので、フロント側の透過画像およびリア側の反射画像の取得に起因して光学センサ60a,60bによって直接的に取得される画像の分解能が低下することもない。
【0043】
さらに、この種の光学式選別機では、光が照射される際の対象物90の向きによっては、異物および/または不良品の特徴が、フロント側で取得された画像およびリア側で取得された画像のうちの一方にしか現れない場合があるが、選別機10によれば、フロント側およびリア側の両方で、反射透過画像、透過画像および反射画像が取得されるので、そのような場合であっても、高い判別精度が得られる。
【0044】
上述した実施形態は、種々の変形が可能である。例えば、図2に示した赤色光源30aおよび赤色光源30bの点灯パターンに代えて、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、フロント側の赤色光源30aとリア側の赤色光源30bとが点灯する点灯パターンが採用されるとともに、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aが点灯せず、かつ、赤色光源30bが点灯する点灯パターンが採用されてもよい。あるいは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aが点灯し、かつ、赤色光源30bが点灯しない点灯パターンが採用されるとともに、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aと赤色光源30bとが点灯する点灯パターンが採用されてもよい。あるいは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aが点灯せず、かつ、赤色光源30bが点灯する点灯パターンが採用されるとともに、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aと赤色光源30bとが点灯する点灯パターンが採用されてもよい。これらのいずれの場合においても、光学センサ60a,60bによって直接的に取得されない反射画像または透過画像を演算によって取得して、判定部82による判定に使用することができる。
【0045】
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態について以下に説明する。第2実施形態は、赤色光源30a,30bの点灯パターンが第1実施形態と異なっている。また、この相違点に起因して、第1実施形態とは異なる手法によって、反射透過画像、透過画像および反射画像が取得される。以下、第2の実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。図4は、第2実施形態による光学センサ60a,60bの走査期間と、各光源の点灯タイミングと、の関係を示すタイミングチャートである。
【0046】
図4に示すように、フロント側の赤色光源30aは、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ所定時間、点灯され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。一方、リア側の赤色光源30bは、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においてのみ所定時間、点灯され、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては全く点灯されない。このように、赤色光源30a,30bは、赤色光源30a,30bのうちの一方のみが点灯する走査期間と、他方のみが点灯する走査期間と、が存在するように点灯される。
【0047】
このような点灯態様によれば、フロント側の光学センサ60aでは、赤色の光に関して、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31aが検出され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31bが検出される。換言すれば、光学センサ60aを介して、赤色の反射画像と、赤色の透過画像と、が得られる。また、リア側の光学センサ60bでは、赤色の光に関して、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、透過赤色光31aが検出され、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、反射赤色光31bが検出される。換言すれば、光学センサ60bを介して、赤色の透過画像と、赤色の反射画像と、が得られる。
【0048】
そして、フロント側の赤色の画像に関して、反射画像の階調値と透過画像の階調値とを加算することによって、反射透過画像の階調値が演算される。この演算は、対応する画素同士の間で行われる。また、反射画像は奇数の走査ナンバーを有する走査期間に取得され、透過画像は偶数の走査ナンバーを有する走査期間に取得されるので、この演算(ここでは、加算)は、隣り合う2つの走査期間において得られた画像同士の間で行われる。このため、得られる画像は、当該隣り合う2つの走査期間において取得された画像として扱われる。例えば、No.1の走査期間において取得された反射画像と、No.2の走査期間において得られた透過画像と、の間で加算が行われることによって、図3において「1」が付された領域、および、「2」が付された領域の反射透過画像が得られる。同様に、リア側の赤色の画像に関しても、透過画像の階調値と反射画像の階調値とを加算することによって、反射透過画像の階調値が演算される。図4では、光学センサ60a,60bを介して直接的に取得される反射画像および透過画像と、上述の手法にしたがって演算によって取得される反射透過画像と、を走査期間ごとに一覧で示している。
【0049】
判定部82は、赤色の画像に関しては、光学センサ60a,60bを介して直接的に取得されるフロント側の反射画像および透過画像、ならびに、リア側の透過画像および反射画像に加えて、上述のようにして演算によって取得されるフロント側およびリア側の反射透過画像を用いて、異物および/または不良品の判定を行う。
【0050】
かかる第2実施形態においても、判定部82は、第1実施形態と同様に、フロント側についても、リア側についても、3種類の画像(反射透過画像、透過画像および反射画像)を用いて、異物および/または不良品の判定を行うことができる。したがって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
上述した第2実施形態は、種々の変形が可能である。例えば、図4に示した赤色光源30aおよび赤色光源30bの点灯パターンに代えて、奇数の走査ナンバーを有する走査期間においては、フロント側の赤色光源30aが点灯せず、かつ、リア側の赤色光源30bが点灯する点灯パターンが採用されるとともに、偶数の走査ナンバーを有する走査期間においては、赤色光源30aが点灯し、かつ、赤色光源30bが点灯しない点灯パターンが採用されてもよい。この場合においても、光学センサ60a,60bによって直接的に取得されない反射透過画像を演算によって取得して、判定部82による判定に使用することができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0053】
例えば、赤色光源30aおよび赤色光源30bは、図2または図4に示した点灯パターンにおいて、少なくとも一つの走査期間において点灯する場合には、当該少なくとも一つの走査期間の開始時点T0から終了時点T3まで(図2参照)連続的に点灯してもよい。また、緑色光源40a、緑色光源40b、青色光源50aおよび青色光源50bは、全ての走査期間にわたって連続的に点灯してもよい。
【0054】
さらに、図2および図4に示した点灯態様は例示に過ぎず、本発明による実施形態は、図2または図4に示していない他の任意の点灯パターンの走査期間を追加的に含むように変形可能である。さらに、取得される各画像に必要な分解能に応じて、複数の点灯パターンの各々の出現頻度を任意に設定することが可能である。例えば、第1実施形態において、フロント側の赤色光源30aおよびリア側の赤色光源30bの両方が点灯する走査期間の数が、一方のみが点灯する走査期間の数よりも多くてもよいし、あるいは、その逆であってもよい。
【0055】
さらに、光学センサ60a,60bのうちの一方が省略されてもよい。また、対象物90を移送する手段として、シュート73に代えて、コンベヤが採用されてもよい。また、上述した演算(減算または加算)は、デジタル階調値に対して行われる態様に代えて、アナログ信号に対して行われてもよい。また、判定部82によって使用するために、赤色の画像に代えて、任意の波長の光(例えば、緑色の光、または、青色の光であってもよいし、不可視光であってもよい)に基づいて得られる画像に関して、上述した演算(減算または加算)が行われてもよい。また、米粒に限らず、任意の粒状物の任意の異物および/または不良品が判別されてもよい。
【0056】
赤色光源30aは、本発明の「第1の光源」の例として捉えることができ、あるいは、本発明の「第2の光源」の例として捉えることもできる。同様に、赤色光源30bは、本発明の「第2の光源」の例として捉えることができ、あるいは、「第1の光源」の例として捉えることもできる。さらに、光学センサ60aは、本発明の「第1の光学センサ」の例として捉えることができ、あるいは、本発明の「第2の光学センサ」の例として捉えることもできる。同様に、光学センサ60bは、本発明の「第2の光学センサ」の例として捉えることができ、あるいは、本発明の「第1の光学センサ」の例として捉えることもできる。さらに、図2または図4に例示された奇数の走査ナンバーを有する走査期間は、本発明の「第1の走査期間」の例として捉えることができ、あるいは、本発明の「第2の走査期間」の例として捉えることもできる。同様に、図2または図4に例示された偶数の走査ナンバーを有する走査期間は、本発明の「第2の走査期間」の例として捉えることができ、あるいは、本発明の「第1の走査期間」の例として捉えることもできる。
【符号の説明】
【0057】
10...光学式選別機
20...光学検出部
30a,30b...赤色光源
31a,31b...赤色光(反射赤色光、透過赤色光)
40a,40b...緑色光源
41a,41b...緑色光(反射緑色光、透過緑色光)
50a,50b...青色光源
51a,51b...青色光(反射青色光、透過青色光)
60a,60b...光学センサ
71...貯留タンク
72...フィーダ
73...シュート
74...良品排出樋
75...不良品排出樋
76...エジェクタ
77...エア
80...制御装置
81...光源制御部
82...判定部
90...選別対象物
図1
図2
図3
図4