(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/295 20170101AFI20240214BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240214BHJP
B29C 64/218 20170101ALI20240214BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240214BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20240214BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
B29C64/295
B29C64/118
B29C64/218
B33Y30/00
B29C64/321
B33Y40/00
(21)【出願番号】P 2019237409
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 修弘
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093705(JP,A)
【文献】特開2017-109482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0242208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
を備え
、
各個別加熱部は、加熱温度を個別に設定可能とされ、
前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に外側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度は、内側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度より高い、
造形装置。
【請求項2】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
を備え
、
前記送出部は、前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に内側に配置される造形材より外側に配置される造形材の送り出し量を増やし、
各個別加熱部は、加熱温度を個別に設定可能であり、
塗布方向を変更する際に外側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度は、内側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度より高い、
造形装置。
【請求項3】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
を備え
、
前記個別加熱部は、前記送出部より送り出される造形材の送り出し量に応じて加熱温度を変更する、
造形装置。
【請求項4】
前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部を備えた請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項5】
前記加圧部が前記造形材を台に向けて押し付ける加圧力は、1.5kgf/cm
2以上である請求項
4に記載の造形装置。
【請求項6】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部と、
を備え、
前記加圧部が前記造形材を台に向けて押し付ける加圧力は、1.5kgf/cm
2
以上である、
造形装置。
【請求項7】
前記加圧部より造形材移動方向下流側に、前記加圧部を加熱する下流側加熱部を有する
請求項
4から請求項
6のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項8】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
を備え
、
前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部を備え、
前記加圧部より造形材移動方向下流側に、前記加圧部を加熱する下流側加熱部を有する、
造形装置。
【請求項9】
前記加圧部が加熱する前記造形材の加熱温度は、前記造形材の前記樹脂の種類に応じて制御される請求項
7又は請求項8に記載の造形装置。
【請求項10】
前記加圧部より造形材移動方向上流側に、複数の造形材を同時に加熱する上流側加熱部を有する請求項
4から請求項
9のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項11】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部と、
を備え
、
前記加圧部より造形材移動方向上流側に、複数の造形材を同時に加熱する上流側加熱部を有する、
造形装置。
【請求項12】
前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に、前記加圧部は、外側に配置される造形材の加圧力を内側に配置される造形材の加圧力より大きくする
請求項
4から請求項
11のいずれか一項に記載の造形装置。
【請求項13】
樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、
該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、
前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部と、
を備え
、
前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に、前記加圧部は、外側に配置される造形材の加圧力を内側に配置される造形材の加圧力より大きくする、
造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形材を送り出す造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
造形装置として3Dプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この3Dプリンタでは、ボイドレス強化フィラメントを導管ノズルに送る。強化フィラメントは連続又は半連続のコアと、このコアを取り囲むマトリックス材とを含む。強化フィラメントは、フィラメントを導管ノズルから適用する前に、マトリックス材の溶融温度よりも高くコアの溶融温度よりも低い温度に加熱される。
【0004】
また、フィラメントを用いた造形装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この造形装置は、積層造形表面上に第1の複合フィラメントを堆積させる。軟化した第一の複合フィラメントは成形する能力を保持する。そして、第1の複合フィラメントを平坦化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2016-531020号公報
【文献】US2017/0274585
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数の造形材をまとめて加熱する場合と比べ、造形材間の接着力を向上することが可能となる造形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
態様1は、樹脂を含有した線状の造形材を複数並べて送り出し台の上に塗布する送出部と、該送出部より送り出される造形材を個別に加熱する個別加熱部と、を備えた造形装置。
【0009】
態様2は、各個別加熱部は、加熱温度を個別に設定可能とされている態様1に記載の造形装置。
【0010】
態様3は、前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に外側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度は、内側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度より高い態様2に記載の造形装置。
【0011】
態様4は、前記送出部は、前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に内側に配置される造形材より外側に配置される造形材の送り出し量を増やす態様1に記載の造形装置。
【0012】
態様5は、各個別加熱部は、加熱温度を個別に設定可能であり、塗布方向を変更する際に外側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度は、内側に配置される造形材を加熱する個別加熱部の加熱温度より高い態様4に記載の造形装置。
【0013】
態様6は、前記個別加熱部は、前記送出部より送り出される造形材の送り出し量に応じて加熱温度を変更する態様1に記載の造形装置。
【0014】
態様7は、前記個別加熱部が加熱する前記造形材の加熱温度は、当該造形材の溶融温度以上である態様1から態様6のいずれかに記載の造形装置。
【0015】
態様8は、前記個別加熱部は、造形材が通過する筒状である態様1から態様7のいずれかに記載の造形装置。
【0016】
態様9は、複数並んで配置された前記個別加熱部により構成された列部が、並び方向と交差する方向に重ねて配置されている態様8に記載の造形装置。
【0017】
態様10は、重ねられた一方の列部における各個別加熱部の中心線と他方の列部における各個別加熱部の中心線とが重ね方向で一致しないように一方の列部の各個別加熱部と他方の列部の各個別加熱部とがずれて配置されている態様9に記載の造形装置。
【0018】
態様11は、前記個別加熱部から台の上に供給された造形材を前記台に向けて押し付ける加圧部を備えた態様1から態様10のいずれかに記載の造形装置。
【0019】
態様12は、前記加圧部が前記造形材を台に向けて押し付ける加圧力は、1.5kgf/cm2以上である態様11に記載の造形装置。
【0020】
態様13は、前記加圧部より造形材移動方向下流側に、前記加圧部を加熱する下流側加熱部を有する態様11又は態様12に記載の造形装置。
【0021】
態様14は、前記加圧部が加熱する前記造形材の加熱温度は、前記造形材の前記樹脂の種類に応じて制御される態様13に記載の造形装置。
【0022】
態様15は、前記加圧部より造形材移動方向上流側に、複数の造形材を同時に加熱する上流側加熱部を有する態様11から態様14のいずれかに記載の造形装置。
【0023】
態様16は、前記個別加熱部で加熱した造形材の塗布方向を変更する際に、前記加圧部は、外側に配置される造形材の加圧力を内側に配置される造形材の加圧力より大きくする態様11から態様15のいずれかに記載の造形装置。
【発明の効果】
【0024】
態様1では、複数の造形材をまとめて加熱する場合と比べ、造形材間の接着力を向上することが可能となる。
【0025】
態様2では、各個別加熱部の加熱温度が同じ場合と比較して、造形材毎に温度を変更することが可能となる。
【0026】
態様3では、各造形材の加熱温度が同じ場合と比較して、外側に配置される造形材の伸びの促進が可能となる。
【0027】
態様4では、造形材の送り出し量が同じ場合と比較して、外側に配置される造形材の伸び率の抑制が可能となる。
【0028】
態様5では、各造形材の加熱温度が同じ場合と比較して、送り出し量の増大に伴う加熱不足を抑制することが可能となる。
【0029】
態様6では、送り出し量と無関係に加熱温度が設定される場合と比較して、送り出し量の増大に伴う加熱不足を抑制することが可能となる。
【0030】
態様7では、加熱温度が造形材の溶融温度未満の場合と比較して、造形材間の接着力を向上することが可能となる。
【0031】
態様8では、一側面から造形材を加熱する場合と比較して、周面の加熱斑の抑制が可能となる。
【0032】
態様9では、単一の列部で構成された場合と比較して、造形効率の向上が可能となる。
【0033】
態様10では、一方の列部の個別加熱部と他方の列部の個別加熱部とが一致するように重ねられた場合と比較して、造形材の配置密度の向上が可能となる。
【0034】
態様11では、加圧部を不具備な場合と比較して、造形材間の接着力を向上することが可能となる。
【0035】
態様12では、加圧力が1.5kgf/cm2未満の場合と比較して、造形材間の接着力を向上することが可能となる。
【0036】
態様13では、加圧部より上流側のみで加熱する場合と比較して、押し付けられた造形材の接着力を向上することが可能となる。
【0037】
態様14では、加熱温度が造形材の樹脂の種類によらずに一定の場合と比較して、造形材間の接着力を向上することが可能となる。
【0038】
態様15では、加圧部より下流側のみで加熱する場合と比較して、造形材の全体的な温度上昇が可能となる。
【0039】
態様16では、造形材の加圧力が均等な場合と比較して、外側の造形材の幅広化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第一実施形態に係る造形装置の要部を示す側面図である。
【
図2】第一実施形態に係る造形装置の要部を示す拡大図である。
【
図3】第一実施形態に係る造形装置の要部を下方から見た状態を示す斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る造形装置の送出部を造形材移動方向下流側から見た状態を示す正面図である。
【
図5】第一実施形態に係る造形装置の個別加熱部を示す平面図である。
【
図6】第一実施形態に係る造形装置の個別加熱部と上流側加熱部との関係を示す側面から見た説明図である。
【
図7】第一実施形態に係る造形装置の加圧部の高さを調整する構成の一例を示す説明図である。
【
図8】第一実施形態に係る造形装置の加圧部を示す説明図である。
【
図9】第一実施形態に係る造形装置で造形材を塗布する手順を示す説明図である。
【
図10】第一実施形態に係る造形装置で造形材を異なる手順で塗布する様子を示す説明図である。
【
図11】第一実施形態に係る造形装置で塗布する造形材の塗布方向を変更する様子を示す説明図である。
【
図12】第一実施形態に係る造形装置の機能及び構成を示すブロック図である。
【
図13】第二実施形態に係る造形装置の個別加熱部を示す平面図である。
【
図14】第三実施形態に係る造形装置の送出部を造形材移動方向下流側から見た状態を示す正面図である。
【
図15】第四実施形態に係る造形装置の送出部を造形材移動方向下流側から見た状態を示す正面図である。
【
図16】第五実施形態に係る造形装置の送出部を造形材移動方向下流側から見た状態を示す正面図である。
【
図17】第五実施形態に係る造形装置で造形材を塗布する手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る造形装置10の一例を図面に沿って説明する。なお、図中、上方をUHで示し、下方をDHで示す。
【0042】
図1は、本実施形態に係る造形装置10を示す図であり、この造形装置10は、形状データに基づいて立体的な造形物を造形する装置である。
【0043】
造形装置10は、造形物を造形する造形面12を有した台14と、台14に造形材を供給する供給装置16を備えている。
【0044】
供給装置16は、フレーム18に回転自在に支持された四つのリール20と(一つのみ図示)、各リール20から送り出された線状の造形材22をそれぞれ搬送する上流側搬送部24とを備えている。また、供給装置16は、各上流側搬送部24で搬送される造形材22をそれぞれ切断する切断部26と、切断部26からの造形材22をそれぞれ搬送する下流側搬送部25とを備えている。
【0045】
さらに、供給装置16は、下流側搬送部25からの造形材22を並べて送り出す送出部28を備えており、送出部28は、台14の造形面12に対する角度が変更可能とされている。
【0046】
送出部28は、
図2及び
図3にも示すように、通過する各造形材22を個別に加熱する個別加熱部32を備えている。そして、供給装置16は、送出部28より送り出された各造形材22を対象箇所に押し付けて形状を調整する形状調整部30を備えている。
【0047】
(台)
台14は、一例として図示しない駆動テーブルで支持されており、駆動テーブルは、造形物の形状データに基づいて、台14を水平面に沿ったX-Y方向、高さ方向(上方UH及び下方DH)、及び回転方向に駆動する。これにより、供給装置16より台14側に送り出された造形材22によって造形面12上に造形物を造形する。
【0048】
なお、本実施形態では、形状データに基づいて台14を駆動して造形物を造形する場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、形状データに基づいてマニピュレータで供給装置16を駆動して造形物を造形してもよい。
【0049】
(リール)
リール20には、造形材22が巻かれた状態で保持されており、巻かれた造形材22を引出可能に保持する。
【0050】
(造形材)
造形材22は、
図4に示すように、複数の連続繊維22Aと、連続繊維22Aに含浸された樹脂22Bとを含んで構成されている。連続繊維22Aとしては、一例としてカーボンファイバーが挙げられる。造形材22に含浸された樹脂22Bは、熱可塑性樹脂で構成されている。これにより、造形材22は、加熱すると軟化して変形可能となるとともに、常温で硬化して形状を維持する。
【0051】
(搬送部)
上流側搬送部24は、
図1に示したように、切断部26より造形材移動方向上流側34に配置された一対の上流側ロール36を備えており、下流側搬送部25は、切断部26より造形材移動方向下流側38に配置された一対の下流側ロール40を備えている。
【0052】
上流側ロール36間には、造形材22が挟まれ、上流側ロール36が図示しない駆動装置により回転駆動されることで、リール20からの造形材22を切断部26へ送り出す。下流側ロール40間には、切断部26より送り出された造形材22が挟まれ、下流側ロール40が図示しない駆動装置により回転駆動されることで、切断部26からの造形材22を送出部28へ送り出す。
【0053】
なお、各ロール36、40を回転駆動する駆動装置は、図示しない制御装置からの駆動信号に従って対応するロール36、40の回転速度を制御する。
【0054】
(切断部)
切断部26は、図示しない制御装置から切断信号を受けた際に、対応する造形材22を上流側搬送部24と下流側搬送部25との間で切断する。これにより、造形材22は、造形に必要な長さに切断される。
【0055】
切断された造形材22は、下流側搬送部25によって送出部28へ送られる。これにより、規定の長さに切断した造形材22を用いて造形物を造形する。
【0056】
なお、本実施形態では、切断部26を備えた供給装置16を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。この切断部26は、なくてもよい。
【0057】
(送出部)
送出部28は、
図2及び
図3に示したように、矩形ブロック状に形成されており、送出部28には、
図4に示すように、長さ方向に延びる矩形凹部41が形成されている。矩形凹部41内には、四つの個別加熱部32が設けられており、送出部28は、対象箇所の一例である台14の造形面12上に四本の造形材22を隣接して横並びに配置して塗布する。
【0058】
ここで、対象箇所としては、台14の造形面12の他に、台14上に塗布された造形材22が挙げられる。
【0059】
(個別加熱部)
個別加熱部32は、対応する造形材22が塗布に伴って通過する筒状である四本の円筒体42を備えている。言い換えると、個別加熱部32は、対応する造形材22の通過を許容する筒状である四本の円筒体42を備えている。円筒体42の内径寸法は、使用する造形材22の外形寸法に対応し、例えば0.5mm以上0.6mmとされている。
【0060】
円筒体の材質は、鉄、SUS、銅など熱伝導性が良い材料であれば、これらに限定されない。また、本実施例では、筒状4本の円筒体を用いているが、本数もこれに限定されない。
【0061】
ここで、本実施形態では、個別加熱部32が断面円形の造形材22の通過を許容する筒状の円筒体42を備える場合について説明するが、この形状に限定されるものではない。例えは、個別加熱部32が矩形筒状の筒体を備える構造であってもよい。
【0062】
各円筒体42は、矩形凹部41の底面に沿って横並びに配置されており、各円筒体42は、矩形凹部41に挿入されたブロック44により離脱が防止されている。
【0063】
個別加熱部32を構成する各円筒体42の外周部には、
図1及び
図2に示したように、それぞれを個別に加熱する四つの加熱部43が設けられており、各加熱部43は、一例として電熱線を備えたヒータで構成されている。
【0064】
各ヒータは、制御装置からの温度信号が示す目標温度となるように、対応する円筒体42を加熱し、各円筒体42内を通過する造形材22を外周部から目標温度となるように加熱する。これにより、個別加熱部32は、加熱温度を個別に設定可能とされている。
【0065】
各円筒体42には、
図5及び
図6に示すように、矩形凹部41の開口方向側の側面に開口部42Aが形成されており、各円筒体42内を通過する造形材22を、開口部42Aを介して露出する。
【0066】
(上流側加熱部)
供給装置16は、
図1に示したように、送出部28の上部に上流側加熱部70を備えている。上流側加熱部70は、送出部28の矩形凹部41へ向けて熱風を吹き付ける装置であり、矩形凹部41内の円筒体42の開口部42Aより各円筒体42内の造形材22に熱風を吹き付け、各造形材22を全体的に加熱して各造形材22を凝集する。
【0067】
なお、上流側加熱部70は、輻射熱で加熱する装置で構成してもよい。
【0068】
(形状調整部)
図1に示したように、形状調整部30は、フレーム18より下方へ向けて延び出した延出部50と、延出部50の下端部に交換可能に取り付けられた加圧部52とを備えている。延出部50は、フレーム18に固定された延出部本体50Aと、延出部本体50Aより延び出した作動軸50Bとを備え、延出部本体50Aは、図示しない制御装置から作動信号に基づいて、作動軸50Bの延び出し量を調整する。
【0069】
延出部50の先端には、例えば、
図7に示すように、加圧部52の外周面52Aの下部から対象箇所までの距離を測定するレーザ変位計54が設けられている。制御装置は、レーザ変位計54で測定した距離が目標距離となるように作動軸50Bの延び出し量を調整する。形状調整部30は、加圧部52を造形材22に押し付けて造形材22の厚さ方向の形状を調整及び制御する。
【0070】
ここで、加圧部52の外周面52Aから例えば台14の造形面12までの距離を設定する方法は、前述した方法以外にも、加圧部52を造形面12に押し当てた際の初期値を基準として作動軸50Bの延び出し量から距離を算出する方法ある。
【0071】
(加圧部)
加圧部52は、
図8にも示すように、円柱状に形成されており、加圧部52は、
図1にも示したように、中心CLを貫通する軸部56を介して、作動軸50Bに回転自在に支持されている。軸部56が延びる方向は、造形材22の移動方向に対して交差する方向とされており、加圧部52は、台14の上に供給され塗布される造形材22に外周面52Aに接した状態で、当該加圧部52が造形材22の長さ方向に移動するように回転する。
【0072】
加圧部52の外周面52Aには、送出部28より送り出された造形材22を対象箇所に押し付ける凹凸部60が形成されている。なお、図面では、凹凸部60を誇張して表している。
【0073】
加圧部52の凹凸部60が造形材22を押し付ける対象箇所としては、台14の造形面12や、造形面12上に塗布された造形材22で形成された被押付造形材が挙げられる。これにより、加圧部52は、個別加熱部32から台14の上に供給された造形材22を台14に向けて押し付ける。
【0074】
凹凸部60は、加圧部52の長さ方向に配置された四つの凹部62で構成されており、各凹部62は、周方向に延びるV字溝で構成されている。
【0075】
長さ法方向に配置された各凹部62によって加圧部52の外周面52Aには、凹部62と断面三角形状の凸部64とが交互に形成されており、加圧部52には、各凹部62及び各凸部64によって凹凸が形成されている。
【0076】
そして、加圧部52は、対象箇所に並んで配置された複数の造形材22を押し付けて隣接する造形材22同士を接合し、複数の造形材22が接合された被押付造形材を形成するとともに、被押付造形材の表面に凹凸を形成する。
【0077】
このとき、制御装置がレーザ変位計54(
図7参照)で測定した距離が目標距離となるように作動軸50Bの延び出し量を調整することで、加圧部52による圧力を変更し、被押付造形材の厚み寸法に対する幅寸法の比率を示すアスペクト比を制御する。
【0078】
(下流側加熱部)
供給装置16は、加圧部52を加熱する下流側加熱部72を備えている。
【0079】
下流側加熱部72は、加圧部52へ向けて熱風を吹き付ける装置であり、加圧部52を加熱することにより、加圧部52で押し付けられる各造形材22を加熱する。
【0080】
なお、下流側加熱部72は、輻射熱で加熱する装置で構成してもよい。
【0081】
図9は、造形装置10で造形材22を塗布する手順を示す説明図であり、始めに、台14の造形面12に造形材22を塗布し、第一層目を形成する。次に、第一層目の各造形材22上に重なるように造形材22を塗布し、第二層目を形成する。そして、第二層目の各造形材22上に重なるように造形材22を塗布し、第三層目を形成する。
【0082】
このように、下層の造形材22上に重なるように上層の造形材22を積層することで造形物を造形する。
【0083】
図10は、前述と異なる方法で造形材22を塗布する手順を示す説明図であり、始めに、台14の造形面12に造形材22を塗布し、第一層目を形成する。次に、第一層目の各造形材22間上(半ピッチ幅方向へずらした位置)に配置されるように造形材22を塗布し、第二層目を形成する。そして、第二層目の各造形材22間上(半ピッチ幅方向へずらした位置)に配置されるように造形材22を塗布し、第三層目を形成する。
【0084】
なお、本実施形態では、下層の造形材22と上層の造形材22とを幅方向に半ピッチずらして配置したが、これに限定されるものではない。一例として、下層の造形材22と上層の造形材22とを幅方向に1/4ピッチずらして配置してもよい。
【0085】
このように、下層の造形材22間上に配置されるように上層の造形材22を積層することで造形材22の密度を高めることが可能となる。
【0086】
図11は、造形装置10で塗布する造形材22の塗布方向を変更する様子を示す説明図である。
【0087】
送出部28は、個別加熱部32で加熱した造形材22の塗布方向を変更してコーナー部100を形成する際に、内側Iに配置される造形材22より外側Oに配置される造形材22の送り出し量を増やす。
【0088】
具体的方法としては、コーナー部100を形成する際に、内側Iに配置される造形材22より外側Oに配置される造形材22を搬送する上流側搬送部24及び下流側搬送部25による搬送速度を上げる。
【0089】
この塗布方向を変更する際に外側Oに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度を、内側Iに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度より高くする。
【0090】
これにより、個別加熱部32は、送出部28より送り出された造形材22の送り出し量に応じて加熱温度を変更する。
【0091】
[ブロック図]
図12は、造形装置10の機能及び構成を示すブロック図である。
【0092】
造形材22を切断するカット部位80に設けられた切断部26は、制御装置からの切断信号に基づいて通過する造形材22を規定の長さにカットする。造形材22を搬送する搬送部位82に設けられた各搬送部24、25は、造形材22を送出部28へ送る。
【0093】
造形材22を加熱する個別加熱部位84に設けられた個別加熱部32は、各造形材22を加熱して溶融する。各造形材22を全体的に加熱する上流側加熱部位86に設けられた上流側加熱部70は、各造形材22を凝集する。
【0094】
造形材形状の調整及び制御部位88に設けられた形状調整部30は、造形材22の形状を整える。造形材22を加熱する下流側加熱部位90に設けられた下流側加熱部72は、各造形材22を造形面12に保持させる。
【0095】
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態の作用について説明する。
【0096】
本実施形態に係る造形装置10は、送出部28より送り出される造形材22を個別に加熱する個別加熱部32を備えている。
【0097】
このため、複数の造形材22をまとめて加熱する場合と比べ、造形材22間の接着力を向上することが可能となる。
また、個別に加熱されるため、まとめて加熱される場合と比べ、造形材22間の温度差が小さくなり、造形精度の向上が可能となる。
【0098】
また、造形材22の断面を大きくするあるいは、造形材22の数を増やした場合、造形材22の加熱不足による造形物の乱れや曲線造形時の造形材22の切れ等が発生し、所望の造形物が得られないことが予想される。しかし、本実施形態によれば、これらの課題が抑制される。
【0099】
また、各個別加熱部32は、加熱温度を個別に設定可能とされている。
【0100】
このため、各個別加熱部32の加熱温度が同じ場合と比較して、造形材22毎に温度を変更することが可能となる。
【0101】
さらに、個別加熱部32で加熱した造形材22の塗布方向を変更する際に外側Oに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度は、内側Iに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度より高い。
【0102】
このため、各造形材22の加熱温度が同じ場合と比較して、外側Oに配置される造形材22の伸びの促進が可能となる。
【0103】
また、送出部28は、個別加熱部32で加熱した造形材22の塗布方向を変更する際に内側Iに配置される造形材22より外側Oに配置される造形材22の送り出し量を増やす。
【0104】
このため、内側Iと外側Oとで造形材22の送り出し量が同じ場合と比較して、外側Oに配置される造形材22の伸び率の抑制が可能となる。
【0105】
さらに、塗布方向を変更する際に外側Oに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度は、内側Iに配置される造形材22を加熱する個別加熱部32の加熱温度より高い。
【0106】
このため、各造形材22の加熱温度が同じ場合と比較して、送り出し量の増大に伴う加熱不足を抑制することが可能となる。
【0107】
このようにして、個別加熱部32は、送出部28より送り出された造形材22の送り出し量に応じて加熱温度を変更する。
【0108】
このため、送り出し量と無関係に加熱温度が設定される場合と比較して、送り出し量の増大に伴う加熱不足を抑制することが可能となる。
【0109】
また、個別加熱部32は、造形材22の通過を許容する筒状である。
【0110】
このため、一側面から造形材22を加熱する場合と比較して、周面の加熱斑の抑制が可能となる。
【0111】
また、個別加熱部32から台14の上に供給された造形材22を台14に向けて押し付ける加圧部52を備えている。
【0112】
このため、加圧部52を不具備な場合と比較して、造形材22間の接着力を向上することが可能となる。
【0113】
さらに、加圧部52を加熱する下流側加熱部72を有する。
【0114】
このため、加圧部52より上流側のみで加熱する場合と比較して、押し付けられた造形材22の接着力を向上することが可能となる。
【0115】
すなわち、加圧部52の温度を昇温させて造形材22を押し付ける時の温度を高くすることが可能となり、前述した効果が得られる。
【0116】
また、加圧部52より造形材移動方向上流側34に、複数の造形材22を同時に加熱する上流側加熱部70を有する。
【0117】
このため、加圧部52より下流側のみで加熱する場合と比較して、造形材22の全体的な温度上昇が可能となる。これにより、個別加熱部の負担を抑制することが可能となる。
【0118】
なお、本実施形態では、個別加熱部32を構成する円筒体42に開口部42Aが設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、次に示すようにしてもよい。
【0119】
<第二実施形態>
図13は、第二実施形態の造形装置10の個別加熱部32で用いられる円筒体42を示す図であり、各円筒体42の周面には、開口部が形成されていない。
【0120】
このような場合であっても、開口部42Aを有しない円筒体42に関する効果以外は、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
<第三実施形態>
図12は、第三実施形態の造形装置10の送出部28の正面図である。
【0122】
送出部28には、六つの個別加熱部32が設けられており、矩形凹部41内には、底面に沿って並んで配置された個別加熱部32により列部が形成されている。
【0123】
この列部は、矩形凹部41の底面側に配置された第一列部110と、第一列部110の上に配置された第二列部112とを備え、第一列部110と第二列部112とは、各個別加熱部32の並び方向Nと交差する重ね方向Kに重ねて配置されている。
【0124】
このような構成であっても、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0125】
また、本実施形態では、個別加熱部32が単一の列部で構成された場合と比較して、造形効率の向上が可能となる。
【0126】
<第四実施形態>
図15は、第四実施形態の造形装置10の送出部28の正面図である。
【0127】
送出部28には、七つの個別加熱部32が設けられており、矩形凹部41内には、底面に沿って並んで配置された個別加熱部32により列部が形成されている。
【0128】
この列部は、矩形凹部41の底面側に配置された第一列部110と、第一列部110の上に配置された第二列部112とを備え、第一列部110と第二列部112とは、各個別加熱部32の並び方向Nと交差する重ね方向Kに重ねて配置されている。
【0129】
また、重ねて配置された第一列部に110の各個別加熱部32の中心線C1と第二列部112の各個別加熱部32の中心線C2とは、重ね方向Kで一致しないように第一列部110の個別加熱部32と第二列部112の個別加熱部32とがずれて配置されている。
【0130】
このような構成であっても、第三実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0131】
また、本実施形態では、第一列部110の個別加熱部32と第二列部112の個別加熱部32とが一致するように重ねられた場合と比較して、造形材22の配置密度の向上が可能となる。
【0132】
<第五実施形態>
図16及び
図17は、第五実施形態の造形装置10の送出部28の正面図である。
【0133】
送出部28には、四つ個別加熱部32が設けられており、矩形凹部41内にて底面に沿って並んで配置された各個別加熱部32は、互いに並び方向Nへ離間して配置されている。
【0134】
図17は、造形装置10で造形材22を塗布する手順を示す説明図であり、始めに、台14の造形面12に造形材22を塗布し、第一層目を形成する。次に、第一層目の各造形材22間上(幅方向に半ピッチずらした位置)に配置されるように造形材22を塗布し、第二層目を形成する。そして、第二層目の各造形材22間上(幅方向に半ピッチずらした位置)に配置されるように造形材22を塗布し、第三層目を形成する。
【0135】
なお、本実施形態では、下層の造形材22と上層の造形材22とを幅方向に半ピッチずらして配置したが、これに限定されるものではない。一例として、下層の造形材22と上層の造形材22とを幅方向に1/4ピッチずらして配置してもよい。
【0136】
このように、下層の造形材22間上に配置されるように上層の造形材22を積層することで造形材22の密度を高めることが可能となる。
【0137】
このような構成であっても、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0138】
また、本実施形態では、各層において、隣接する造形材22の間に隙間が形成されており、この隙間に、上層の造形材22を充填することが可能となる。
【0139】
これにより、造形材22の配置密度のさらなる向上が可能となる。
【0140】
なお、各実施形態では、加圧部52を円柱状としたが、これに限定されるものでなく、例えば板状であってもよい。
【0141】
また、前述した各加熱部70、72はなくてもよい。
【0142】
<第六実施形態>
図18は、第六実施形態の造形装置10を示す説明図であり、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0143】
すなわち、この造形装置10は、各個別加熱部32で加熱した造形材22の塗布方向を変更する際に外側に配置される造形材22-1を加熱する個別加熱部32-1の加熱温度を、内側に配置される造形材22-4を加熱する加熱温度より高くする。
【0144】
言い換えると、一番外側の個別加熱部32-1から一番内側の個別加熱部32-4の設定温度を順に低く設定する。
【0145】
具体的には、一番外側の個別加熱部32-1の造形材22-1を、275℃で加熱し、その内側の個別加熱部32-2の造形材22-2を、270℃で加熱する。さらに内側の個別加熱部32Cの造形材22-3を、265℃で加熱し、その内側の個別加熱部32-4の造形材22-4を、260℃で加熱する。
【0146】
なお、この加熱温度は、造形材22の樹脂22Bの溶融温度によって変わるため、これに限定されない。
【0147】
本実施形態では、各造形材22の加熱温度が同じ場合と比較して、外側に配置される造形材の伸びの促進が可能となる。
【0148】
<第七実施形態>
図19は、第六実施形態の造形装置10を示す説明図であり、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0149】
すなわち、造形装置10の加圧部52は、傾き可能な基部ブロック200と、基部ブロック200にコイルスプリング202を介して支持された傾き可能な加圧ブロック204とを備えており、加圧ブロック204が造形材22を台14に向けて押し付ける。基部ブロック200には、図示しない加圧装置で加圧ブロック204側へ向けた力が加えられ、加圧装置は、基部ブロック200に加える力を基部ブロック200の幅方向で可変可能である。
【0150】
そして、本実施形態の造形装置10において、個別加熱部で32加熱した造形材22の塗布方向を変更する場合、加圧部52は、加圧ブロック204に加える力を幅方向で変える。これにより、コイルスプリング202のばね荷重によって、外側に配置される造形材22-1の加圧力を内側に配置される造形材22-4の加圧力より大きくする。
【0151】
なお、造形材22に掛かる圧力を変える方法はこれに限定されない。
【0152】
本実施形態では、造形材22の加圧力が均等な場合と比較して、外側の造形材22-1の幅広化が可能となる。
【0153】
<第八実施形態>
図20は、第八実施形態の造形装置10を示す説明図であり、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0154】
すなわち、送出部28は、個別加熱部32で加熱した造形材22の塗布方向を変更する際に、内側に配置される造形材22-4より外側に配置される造形材22-1の送り出し量を増やす。
【0155】
具体的に説明すると、送出部28へ造形材22を送り出す下流側搬送部25は、造形材22毎に設けられており、各下流側搬送部25は、下流側ロール40(40-1、40-2、40-3、40-4)の回転速度をそれぞれ制御する。これにより、送出部28は、造形材22の送り出し量をそれぞれ制御可能である。
【0156】
言い換えると、一番外側の造形材22-1の搬送速度を一番速く設定し、内側の造形材22-2、その内側の造形材22-3、さらに内側の造形材22-4の搬送速度を順位遅くする。
【0157】
なお、造形材22の搬送速度は、造形する曲線の曲率によって、制御可能である。
【0158】
本実施形態では、造形材22の送り出し量が同じ場合と比較して、外側に配置される造形材22-1の伸び率の抑制が可能となる。
【0159】
<実験結果>
図21は、実験結果を示す図であり、実施形態の造形装置10を用いて、加圧部52による圧力を変化させた場合の造形物の造形性を示す。なお、「×」、「△」、「〇」の順で良好となることを示す。
【0160】
造形時の加圧部52による圧力が弱すぎると、造形材22の曲げ強度及び層間接着性が悪いことが分かる。
【0161】
この結果から、前述した各実施形態において、加圧部52が造形材22を台14に向けて押し付ける加圧力は、1.5kgf/cm2以上とすることが望ましい。
【0162】
これにより、加圧力を、1.5kgf/cm2未満にする場合と比較して、造形材間の接着力を向上することが可能となる。また、曲げ強度の向上が可能となる。
【0163】
<樹脂種類による造形条件>
図22は、樹脂材料の種類による造形条件を示す図であり、造形材22の樹脂22B毎に、溶融温度と造形温度とが示されている。PPは、ポリプロピレン樹脂、PA6は、ポリアミド6、PA66は、ポリアミド66、PA12は、ポリアミド12、ABSは、アクリロニトリルブタジェンスチレン、PEAKは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を示す。
【0164】
すなわち、個別加熱部32で造形材22を加熱する場合、造形材22の樹脂22Bによって溶融温度が異なる。このため、造形時の造形温度をそれぞれ設定する必要がある。
【0165】
前述した各実施形態では、使用する造形材22の樹脂22Bとして用いる樹脂材料に応じて、
図22に示した造形温度となるように、個別加熱部32で加熱する造形材22の加熱温度を設定する。
【0166】
これにより、個別加熱部32が加熱する造形材22の加熱温度は、当該造形材22の溶融温度以上とする。
【0167】
また、加圧部52が加熱する造形材22の加熱温度を、造形材22の樹脂22Bの種類(樹脂材料)に応じて制御する。具体的には、使用する造形材22の樹脂22Bの樹脂材料に応じて、加圧部52が加熱する造形材22の加熱温度を、
図22に示した造形温度となるように設定する。
【0168】
なお、造形時の加熱温度は樹脂22Bの溶融温度以上とするが、造形速度、造形物の形など都度変更、制御するため、これに限定されない。
【0169】
これにより、加熱温度が造形材の溶融温度未満の場合と比較して、造形材22間の接着力の向上が可能となる。
【0170】
また、加圧部による加熱温度が造形材の樹脂の種類によらずに一定の場合と比較して、造形材22間の接着力の向上が可能となる。
【符号の説明】
【0171】
10 造形装置
12 造形面
14 台
16 供給装置
22 造形材
22A 連続繊維
22B 樹脂
24 上流側搬送部
25 下流側搬送部
28 送出部
30 形状調整部
32 個別加熱部
34 造形材移動方向上流側
38 造形材移動方向下流側
42 円筒体
43 加熱部
52 加圧部
70 上流側加熱部
72 下流側加熱部
100 コーナー部
110 第一列部
112 第二列部
C1 中心線
C2 中心線
I 内側
O 外側