(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H04B1/10 L
(21)【出願番号】P 2020001055
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】市村 保雄
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-507983(JP,A)
【文献】特開2010-171724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0245566(US,A1)
【文献】米国特許第10164722(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0041039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信信号により、第1の通信規格によって無線通信を行う第1通信部と、
前記第1通信信号と周波数帯域が重なる第2通信信号により、前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格によって無線通信を行う第2通信部と、
前記第1通信信号に起因して前記第2通信信号に生じる干渉を抑制するための第1干渉抑制信号、および、前記第2通信信号に起因して前記第1通信信号に生じる干渉を抑制するための第2干渉抑制信号を生成するとともに、生成した前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号に基づいて、前記第1通信信号に生じる干渉および前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行う単一の制御部と、を備
え、
前記制御部は、前記第1干渉抑制信号の生成および前記第2干渉抑制信号の生成を並列処理として実行するように構成されるとともに、生成した前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号に基づいて、前記第1通信信号に生じる干渉および前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を並列処理として実行するように構成されている、無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1通信部が通信する際に、前記第2通信部に対して前記第1通信信号の逆特性を有する前記第1干渉抑制信号を入力するとともに、前記第2通信部が通信する際に、前記第1通信部に対して、前記第2通信信号の逆特性を有する前記第2干渉抑制信号を入力することにより、前記第1通信信号および前記第2通信信号に生じる干渉を抑制するように構成されている、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1通信信号および前記第2通信信号を生成するとともに、生成した前記第1通信信号の位相情報および振幅情報に基づいて前記逆特性を有する前記第1干渉抑制信号を生成し、生成した前記第2通信信号の位相情報および振幅情報に基づいて前記逆特性を有する前記第2干渉抑制信号を生成するように構成されている、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1通信部による通信状況に基づいて、前記第1通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、前記第2通信部による通信状況に基づいて、前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、少なくとも通信速度を含む通信品質に関して予め設定され、前記記憶部に記憶された閾値と、前記第1通信部による通信状況とに基づいて、前記第1通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、前記閾値と前記第2通信部による通信状況とに基づいて、前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている、請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、校正時において前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号を生成した際に、前記第1通信信号の位相情報および振幅情報と、前記第2通信信号の位相情報および振幅情報とを前記記憶部に記憶するとともに、前記記憶部に記憶された前記第1通信信号の位相情報および振幅情報と前記第2通信信号の位相情報および振幅情報とに基づいて前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号を生成し、前記第1通信信号および前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、アナログ信号としての前記第1通信信号および前記第2通信信号を生成し、生成した前記第1通信信号および前記第2通信信号に基づいて、前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号を生成し、生成した前記第1干渉抑制信号および前記第2干渉抑制信号に基づいて、前記第1通信信号および前記第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、第1通信デジタル信号および第2通信デジタル信号をアナログ信号に変換することにより前記第1通信信号および前記第2通信信号を生成し、前記第1通信デジタル信号および前記第2通信デジタル信号に基づいて、第1干渉抑制デジタル信号および第2干渉抑制デジタル信号を生成し、生成した前記第1干渉抑制デジタル信号および前記第2干渉抑制デジタル信号に基づいて、前記第1通信デジタル信号および前記第2通信デジタル信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に、周波数帯域が重なる通信信号によって無線通信を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周波数帯域が重なる通信信号によって無線通信を行う無線通信装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、干渉信号推定部と、干渉信号抽出部と、合成器と、を備える干渉信号除去装置(無線通信装置)が開示されている。上記特許文献1に記載の干渉信号推定部は、受信信号に含まれる干渉信号を推定し、推定結果である干渉信号推定係数を干渉信号抽出部へ出力するように構成されている。また、干渉信号抽出部は、干渉信号推定部から入力される干渉信号推定係数に基づいて、入力される受信信号から干渉信号を抽出し、抽出した干渉信号を合成器へ出力するように構成されている。合成器は、入力される受信信号から、干渉信号抽出部から入力される干渉信号を減算することで、受信信号から干渉信号を除去し、干渉除去後の受信信号を干渉信号除去装置から出力するように構成されている。なお、上記特許文献1では、干渉信号除去装置(無線通信装置)は、広帯域の希望信号と狭帯域の干渉信号とを含んだ信号を受信信号として取得し、狭帯域の干渉信号を除去するように構成されている。また、上記特許文献1に開示されている広帯域の希望信号と、狭帯域の干渉信号とは、互いに周波数帯域が重なる信号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の干渉信号除去装置(無線通信装置)は、広帯域の希望信号から狭帯域の干渉信号を除去する構成である。そのため、広帯域の希望信号によって通信を行う場合には、狭帯域の干渉信号による受信感度の低下を抑制することは可能である。一方、狭帯域の希望信号に対して広帯域の干渉信号が含まれる場合、狭帯域の希望信号を用いる通信において、広帯域の干渉信号に起因して受信感度が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、互いに周波数帯域が重なる信号を用いて通信を行う場合でも、それぞれの信号に起因して互いの通信に生じる干渉を抑制することにより、各々の通信における受信感度が低下することを抑制することが可能な無線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における無線通信装置は、第1通信信号により、第1の通信規格によって無線通信を行う第1通信部と、第1通信信号と周波数帯域が重なる第2通信信号により、第1の通信規格とは異なる第2の通信規格によって無線通信を行う第2通信部と、第1通信信号に起因して第2通信信号に生じる干渉を抑制するための第1干渉抑制信号、および、第2通信信号に起因して第1通信信号に生じる干渉を抑制するための第2干渉抑制信号を生成するとともに、生成した第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号に基づいて、第1通信信号に生じる干渉および第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行う単一の制御部と、を備え、制御部は、第1干渉抑制信号の生成および第2干渉抑制信号の生成を並列処理として実行するように構成されるとともに、生成した第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号に基づいて、第1通信信号に生じる干渉および第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を並列処理として実行するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による無線通信装置では、上記のように、生成した第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号に基づいて、第1通信信号に生じる干渉および第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行う単一の制御部を備える。これにより、第1干渉抑制信号によって第2通信信号に生じる干渉を抑制しつつ、第2干渉抑制信号によって、第1通信信号に生じる干渉を抑制することができる。その結果、互いに周波数帯域が重なる信号を用いて通信を行う場合でも、それぞれの信号に起因して互いの通信に生じる干渉を抑制することにより、各々の通信における受信感度が低下することを抑制することができる。また、単一の制御部によって互いの通信信号に生じる干渉を抑制することが可能であるため、たとえば、それぞれの通信信号毎に干渉抑制信号を生成するために複数の制御部を備える構成と比較して、部品点数の増加および構成の複雑化を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による無線通信装置において、好ましくは、制御部は、第1通信部が通信する際に、第2通信部に対して第1通信信号の逆特性を有する第1干渉抑制信号を入力するとともに、第2通信部が通信する際に、第1通信部に対して、第2通信信号の逆特性を有する第2干渉抑制信号を入力することにより、第1通信信号および第2通信信号に生じる干渉を抑制するように構成されている。このように構成すれば、第1通信信号の逆特性を有する第1干渉抑制信号によって第1通信信号の信号成分が相殺される。したがって、第2通信部に対して、第1通信信号と第2通信信号との両方の通信信号が入力された場合でも、第1通信信号が相殺されるので、第2通信信号に生じる干渉を容易に抑制することができる。また、第2通信信号の逆特性を有する第2干渉抑制信号によって第2通信信号の信号成分が相殺される。したがって、第1通信部に対して、第1通信信号と第2通信信号との両方の通信信号が入力された場合でも、第2通信信号が相殺されるので、第1通信信号に生じる干渉を容易に抑制することができる。その結果、各々の通信における受信感度が低下することを容易に抑制することができる。なお、第1通信信号の逆特性の信号とは、第1通信信号に入力した場合に、第1通信信号の信号成分を相殺する特性の信号を意味する。また、第2通信信号の逆特性の信号とは、第2通信信号に入力した場合に、第2通信信号の信号成分を相殺する特性の信号を意味する。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、第1通信信号および第2通信信号を生成するとともに、生成した第1通信信号の位相情報および振幅情報に基づいて逆特性を有する第1干渉抑制信号を生成し、生成した第2通信信号の位相情報および振幅情報に基づいて逆特性を有する第2干渉抑制信号を生成するように構成されている。このように構成すれば、制御部は、各通信部が送信する信号を生成する際に用いた位相情報および振幅情報に基づいて干渉抑制信号を生成するため、実際に通信部に入力され、干渉を生じさせる信号成分の逆特性を有する干渉抑制信号を容易に生成することができる。その結果、各通信信号に生じる干渉を容易に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による無線通信装置において、好ましくは、制御部は、第1通信部による通信状況に基づいて、第1通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、第2通信部による通信状況に基づいて、第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されていている。このように構成すれば、各通信部による通信状況に基づいて干渉を抑制する制御を行うことにより、受信感度が低下した通信部のみに対して干渉を抑制する処理を行うことができる。その結果、通信環境に基づかず、常に干渉の抑制処理を行う構成と比較して、干渉抑制信号を生成する頻度を低くすることが可能となるので、制御部の負荷を軽減することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、記憶部をさらに備え、制御部は、少なくとも通信速度を含む通信品質に関して予め設定され、記憶部に記憶された閾値と、第1通信部による通信状況とに基づいて、第1通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、閾値と第2通信部による通信状況とに基づいて、第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通信状況と通信品質とに基づいて干渉を抑制する処理を行うため、干渉抑制信号を生成する頻度をより低くすることができる。その結果、制御部の負荷をより軽減することができる。
【0013】
上記一の局面による無線通信装置において、好ましくは、記憶部をさらに備え、制御部は、校正時において第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号を生成した際に、第1通信信号の位相情報および振幅情報と、第2通信信号の位相情報および振幅情報とを記憶部に記憶するとともに、記憶部に記憶された第1通信信号の位相情報および振幅情報と第2通信信号の位相情報および振幅情報とに基づいて、第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号を生成し、第1通信信号および第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、記憶部に記憶された第1通信信号の位相情報および振幅情報と、第2通信信号の位相情報および振幅情報とに基づいて第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号を生成することによって、第1通信信号および第2通信信号に生じる干渉を抑制することができる。その結果、通信する度に、制御部が、実際に通信を行っている第1通信信号の位相情報および振幅情報を取得して第1干渉抑制信号生成するとともに、実際に通信を行っている第2通信信号の位相情報および振幅情報を取得して第2干渉抑制信号を生成する構成と比較して、制御部の負荷を軽減することができる。
【0014】
上記一の局面による無線通信装置において、好ましくは、制御部は、アナログ信号としての第1通信信号および第2通信信号を生成し、生成した第1通信信号および第2通信信号に基づいて、第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号を生成し、生成した第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号に基づいて、第1通信信号および第2通信信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号をアナログ信号として生成すればよいので、第1通信信号および第2通信信号の各々の位相情報および振幅情報を取得することにより、容易に、アナログ信号としての第1干渉抑制信号および第2干渉抑制信号を生成することができる。
【0015】
上記一の局面による無線通信装置において、好ましくは、制御部は、第1通信デジタル信号および第2通信デジタル信号をアナログ信号に変換することにより第1通信信号および第2通信信号を生成し、第1通信デジタル信号および第2通信デジタル信号に基づいて、第1干渉抑制デジタル信号および第2干渉抑制デジタル信号を生成し、生成した第1干渉抑制デジタル信号および第2干渉抑制デジタル信号に基づいて、第1通信デジタル信号および第2通信デジタル信号に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通信信号および干渉抑制信号をデジタル信号として処理することが可能となるので、通信信号および干渉抑制信号をアナログ信号として処理する構成と比較して、処理中に生じるノイズの影響を抑制することができる。その結果、通信信号に生じる干渉を抑制する処理において、ノイズに起因して生じる影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、互いに周波数帯域が重なる信号を用いて通信を行う場合でも、それぞれの信号に起因して互いの通信に生じる干渉を抑制することにより、各々の通信における受信感度が低下することを抑制することが可能な無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態による無線通信装置が他の無線通信装置と通信を行う構成を説明するための模式図である。
【
図2】第1実施形態による無線通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態による無線通信装置が使用する第1通信信号および第2通信信号の周波数帯域を説明するための模式図である。
【
図4】第1通信信号を説明するためのグラフである。
【
図5】第2通信信号を説明するためのグラフである。
【
図6】第1通信信号と第2通信信号とが加算された信号を説明するためのグラフである。
【
図7】第2干渉抑制信号によって、第1通信信号から第2通信信号を除去する処理を説明するための模式図である。
【
図8】第1干渉抑制信号によって、第2通信信号から第1通信信号を除去する処理を説明するための模式図である。
【
図9】第1実施形態の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】第2実施形態による無線通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図11】第2実施形態の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】第3実施形態による無線通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図13】第3実施形態の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】第4実施形態による無線通信装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図15】第4実施形態の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図16】第1実施形態の変形例の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図17】第2実施形態の変形例の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図18】第3実施形態の変形例の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図19】第4実施形態の変形例の制御部による干渉を抑制する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1~
図8を参照して、本発明の第1実施形態による無線通信装置100の構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、第1実施形態による無線通信装置100は、複数の通信規格による通信を行うように構成されている。
図1に示す例では、無線通信装置100は、第1通信信号10により、第1の通信規格によって、無線通信装置101と無線通信を行うように構成されている。また、無線通信装置100は、第2通信信号20により、第2の通信規格によって、無線通信装置102と無線通信を行うように構成されている。なお、
図1に示す例では、通信規格の違いを把握しやすくするため、第2通信信号20に対してハッチングを付して図示している。無線通信装置100は、たとえば、携帯電話、スマートフォンなどの通信端末を含む。また、無線通信装置101は、たとえば、無線LANルータなどの通信機器を含む。また、無線通信装置102は、たとえば、ワイヤレスヘッドフォンなどの通信機器を含む。
【0021】
第1実施形態では、無線通信装置100は、第1の通信規格として、wi-fi(登録商標)によって通信を行うように構成されている。また、無線通信装置100は、第2の通信規格として、Bluetooth(登録商標)によって通信を行うように構成されている。
【0022】
図2に示すように、無線通信装置100は、第1通信部1と、第2通信部2と、制御部3と、記憶部4とを備えている。第1実施形態では、無線通信装置100は、単一の制御部3を備えている。
【0023】
第1通信部1は、第1通信信号10により、第1の通信規格によって無線通信を行うように構成されている。具体的には、第1通信信号10を送受信することにより、他の無線通信装置(たとえば、無線通信装置101)と無線通信を行うように構成されている。第1通信部1は、第1送受信部1aと、後述する第1通信信号生成部3aと、後述する第1通信信号処理部3bとを含む。
【0024】
第1送受信部1aは、第1通信信号10を送受信するように構成されている。第1送受信部1aは、たとえば、アンテナを含む。
【0025】
第1通信信号10は、たとえば、2.4GHz(ギガヘルツ)帯の周波数帯域の信号を含む。また、第1通信信号10は、第1送信信号10aと、第1受信信号10bとを含む。第1送信信号10aは、矢印50に示すように、第1送受信部1aから、送信される。また、第1受信信号10bは、矢印51に示すように、第1送受信部1aによって受信される。
【0026】
第2通信部2は、第1通信信号10と周波数帯域が重なる第2通信信号20により、第1の通信規格とは異なる第2の通信規格によって無線通信を行うように構成されている。具体的には、第2通信部2は、第2通信信号20を送受信することにより、他の無線通信装置(たとえば、無線通信装置102)と無線通信を行うように構成されている。第2通信部2は、第2送受信部2aと、後述する第2通信信号生成部3dと、後述する第2通信信号処理部3eとを含む。
【0027】
第2送受信部2aは、第2通信信号20を送受信するように構成されている。第2送受信部2aは、たとえば、アンテナを含む。
【0028】
第2通信信号20は、第1通信信号10と周波数帯域が重なる周波数帯域の信号を含む。第1実施形態では、第2通信信号20は、たとえば、2.4GHz(ギガヘルツ)帯の信号を含む。また、第2通信信号20は、第2送信信号20aと、第2受信信号20bとを含む。第2送信信号20aは、矢印52に示すように、第2送受信部2aから、送信される。また、第2受信信号20bは、矢印53に示すように、第2送受信部2aによって受信される。
【0029】
制御部3は、第1通信信号10に起因して第2通信信号20に生じる干渉を抑制するための第1干渉抑制信号11を生成するように構成されている。また、制御部3は、第2通信信号20に起因して第1通信信号10に生じる干渉を抑制するための第2干渉抑制信号21を生成するように構成されている。また、制御部3は、生成した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21に基づいて、第1通信信号10に生じる干渉および第2通信信号20に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。制御部3は、たとえば、IC(Integrated Circuit)、または、LSI(Large-Scale Integration)などを含む。また、制御部3は、記憶部4に記憶されている各種プログラムを実行することにより、第1通信信号生成部3a、第1通信信号処理部3b、第1干渉抑制信号生成部3c、第2通信信号生成部3d、第2通信信号処理部3e、および、第2干渉抑制信号生成部3fとして機能するように構成されている。
【0030】
第1通信信号生成部3aは、第1送信信号10aを生成するように構成されている。第1通信信号生成部3aが生成する第1送信信号10aの詳細については、後述する。
【0031】
第1通信信号処理部3bは、第1送受信部1aによって受信された第1受信信号10bを処理するように構成されている。第1通信信号処理部3bは、たとえば、第1受信信号10bに対して、周波数変換などのRF処理、および、AD変換処理およびDA変換処理などのベースバンド処理を行うように構成されている。
【0032】
第1干渉抑制信号生成部3cは、第1送信信号10aに基づいて、第1干渉抑制信号11を生成するように構成されている。第1干渉抑制信号生成部3cが第1干渉抑制信号11を生成する構成の詳細については、後述する。
【0033】
第2通信信号生成部3dは、第2送信信号20aを生成するように構成されている。第2通信信号生成部3dが生成する第2送信信号20aの詳細については、後述する。
【0034】
第2通信信号処理部3eは、第2送受信部2aによって受信された第2受信信号20bを処理するように構成されている。第2通信信号処理部3eは、たとえば、第2受信信号20bに対して、RF処理、ベースバンド処理などの処理を行うように構成されている。
【0035】
第2干渉抑制信号生成部3fは、第2通信信号20に基づいて、第2干渉抑制信号21を生成するように構成されている。第2干渉抑制信号生成部3fが第2干渉抑制信号21を生成する構成の詳細については、後述する。
【0036】
記憶部4は、制御部3が実行する各種プログラムを記憶するように構成されている。記憶部4は、たとえば、不揮発性メモリなどを含む。
【0037】
(第1通信信号および第2通信信号)
次に、
図3を参照して、第1通信信号10および第2通信信号20について説明する。
【0038】
図3は、第1通信信号10および第2通信信号20の周波数帯域を説明するためのグラフG1である。グラフG1は、横軸が周波数のグラフである。
【0039】
図3に示すように、第1通信信号10は、2.4GHz帯を周波数帯域とする通信信号である。第1実施形態では、第1通信信号10は、2.4GHz帯において、複数のチャネル12を有している。具体的には、各チャネル12は、20MHz(メガヘルツ)の周波数帯のチャンネル幅を有する通信信号である。また、各チャネル12は、中心周波数が5MHzずつ異なる信号である。
【0040】
また、第2通信信号20は、2.4GHz帯を周波数帯域とする通信信号である。
図3に示すように、第2通信信号20は、2.4GHz帯において、第1通信信号10と重なる周波数帯域において、複数のチャネル22を有している。具体的には、各チャネル22は、1MHzの周波数帯域のチャネル幅を有する通信信号である。第2通信信号20は、2.4GHz帯の周波数帯域において、チャネル22をランダムに切り替えながら通信を行う。
【0041】
図4に示すグラフG2は、第1送信信号10aを模式的に示したグラフである。グラフG2は、横軸が時間であり、縦軸が信号強度である。また、
図5に示すグラフG3は、第2送信信号20aを模式的に示したグラフである。グラフG3は、横軸が時間であり、縦軸が信号強度である。
【0042】
なお、第1実施形態では、第1送信信号10aおよび第2送信信号20aを互いに区別しやすくするため、グラフG2に示すように、第1送信信号10aを、正弦波形状を有する信号波形として図示している。また、第2送信信号20aを、グラフG3に示すように、幅の狭いピーク形状の信号波形として図示している。なお、第1受信信号10bは、第1送信信号10aと同様の波形形状を有する信号である。また、第2受信信号20bは、第2送信信号20aと同様の波形形状を有する信号である。
【0043】
(通信信号の干渉)
ここで、第1通信信号10および第2通信信号20は、共に、2.4GHz帯の信号であり、周波数帯域が重なっている。そのため、
図2に示す矢印54のように、第1送受信部1aに対して第2送信信号20aが入力された場合、第2送信信号20aに起因して、第1受信信号10bに干渉が生じる場合がある。また、第2通信部2においても、
図2の矢印55に示すように、第2送受信部2aに対して第1送信信号10aが入力された場合、第1送信信号10aに起因して、第2受信信号20bに干渉が生じる場合がある。
【0044】
図6に示すグラフG4は、干渉信号を模式的に示したグラフである。グラフG4は、横軸が時間であり、縦軸が信号強度である。なお、干渉信号は、第1通信信号10と第2通信信号20とが干渉して生成された信号である。そのため、第1干渉信号40および第2干渉信号41は、共に、干渉信号と同様の波形形状を有している。
【0045】
第2通信部2に対して、第1送信信号10aおよび第2受信信号20bが入力すると、互いの信号が干渉して第2干渉信号41が生成される。そのため、第2受信信号20bの受信感度が低下する。第2受信信号20bの受信感度が低下すると、通信速度が低下したり、スループットが低下したりするなど、通信状況が悪化する。
【0046】
また、第1通信部1に対して第1受信信号10bおよび第2送信信号20aが入力した場合も、互いの信号が干渉して第1干渉信号40が生成される。そのため、第1受信信号10bの受信感度が低下する。第1受信信号10bの受信感度が低下すると、通信速度が低下したり、スループットが低下したりするなど、通信状況が悪化する。
【0047】
そこで、第1実施形態では、第1通信信号処理部3bは、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制する処理を行うように構成されている。また、第2通信信号処理部3eは、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する処理を行うように構成されている。
【0048】
具体的には、第1通信信号処理部3bは、
図7に示すように、第2通信部2が第2送信信号20aを送信する際に、第1通信信号処理部3bに対して、第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21を入力することにより、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制するように構成されている。なお、
図7に示すグラフG5は、第2干渉抑制信号21のグラフである。グラフG5は、横軸が時間であり、縦軸が信号強度のグラフである。
【0049】
図7に示すように、第1干渉信号40に対して第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21が加算されると、第1干渉信号40から第2送信信号20aの信号成分が除去され、第1受信信号10bが抽出される。そのため、第1受信信号10bの受信感度が低下することが抑制される。
【0050】
また、第2通信信号処理部3eは、
図8に示すように、第1通信部1が第1送信信号10aを送信する際に、第2通信信号処理部3eに対して第1送信信号10aの逆特性を有する第1干渉抑制信号11を入力するように構成されている。第2干渉信号41に対して第1通信信号10の逆特性を有する第1干渉抑制信号11が加算されると、第2干渉信号41から第1送信信号10aの信号成分が除去され、第2受信信号20bが抽出される。そのため、第2受信信号20bの受信感度が低下することが抑制される。
【0051】
(干渉抑制信号の生成)
第1実施形態では、第2干渉抑制信号生成部3fは、第2通信信号生成部3dから、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24を取得するように構成されている。第2干渉抑制信号生成部3fは、取得した第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24に基づいて、第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21を生成するように構成されている。
【0052】
また、第1干渉抑制信号生成部3cは、第1通信信号生成部3aから、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14を取得するように構成されている。第1干渉抑制信号生成部3cは、取得した第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14に基づいて、第1送信信号10aの逆特性を有する第1干渉抑制信号11を生成するように構成されている。
【0053】
なお、第1実施形態では、制御部3は、アナログ信号としての第1送信信号10aおよび第2送信信号20aを生成するように構成されている。また、制御部3は、生成した第1送信信号10aおよび第2送信信号20aに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成するように構成されている。また、制御部3は、生成した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21に基づいて、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。
【0054】
(干渉抑制処理)
次に、
図9を参照して、第1実施形態による制御部3が、通信信号に含まれる干渉を抑制する処理について説明する。
【0055】
ステップS1において、第1干渉抑制信号生成部3cは、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14を取得する。
【0056】
ステップS2において、第1干渉抑制信号生成部3cは、取得した第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14に基づいて、第1干渉抑制信号11を生成する。また、第1干渉抑制信号生成部3cは、生成した第1干渉抑制信号11を第2通信信号処理部3eに対して出力する。
【0057】
また、ステップS3において、第2干渉抑制信号生成部3fは、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24を取得する。
【0058】
ステップS4において、第2干渉抑制信号生成部3fは、取得した第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24に基づいて、第2干渉抑制信号21を生成する。第2干渉抑制信号生成部3fは、生成した第2干渉抑制信号21を第1通信信号処理部3bに対して出力する。すなわち、制御部3は、第1干渉抑制信号生成部3cによるステップS1およびS2の処理と、第2干渉抑制信号生成部3fによるステップS3およびS4の処理とを、並列処理として実行する。
【0059】
ステップS5において、第2通信信号処理部3eは、第1干渉抑制信号生成部3cから出力された第1干渉抑制信号11と、第2干渉信号41とに基づいて、第2干渉信号41から第2通信信号20を抽出する。
【0060】
また、ステップS6において、第1通信信号処理部3bは、第2干渉抑制信号生成部3fから出力された第2干渉抑制信号21と、第1干渉信号40とに基づいて、第1干渉信号40から第1通信信号10を抽出する。すなわち、制御部3は、第2通信信号処理部3eによるステップS5の処理と、第1通信信号処理部3bによるステップS6の処理とを、並行処理として実行する。その後、処理は、終了する。なお、第1受信信号10bに干渉が生じていない場合には、ステップS3、S4、および、S6の処理を行わなくてよい。また、第2受信信号20bに干渉が生じていない場合には、ステップS1、S2、および、S5の処理は行わなくてもよい。
【0061】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
第1実施形態では、上記のように、無線通信装置100は、第1通信信号10により、第1の通信規格によって無線通信を行う第1通信部1と、第1通信信号10と周波数帯域が重なる第2通信信号20により、第1の通信規格とは異なる第2の通信規格によって無線通信を行う第2通信部2と、第1通信信号10に起因して第2通信信号20に生じる干渉を抑制するための第1干渉抑制信号11、および、第2通信信号20に起因して第1通信信号10に生じる干渉を抑制するための第2干渉抑制信号21を生成するとともに、生成した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21に基づいて、第1通信信号10に生じる干渉および第2通信信号20に生じる干渉を抑制する制御を行う単一の制御部3と、を備える。これにより、第1干渉抑制信号11によって第2受信信号20bに生じる干渉を抑制しつつ、第2干渉抑制信号21によって、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制することができる。その結果、互いに周波数帯域が重なる信号を用いて通信を行う場合でも、それぞれの信号に起因して互いの通信に生じる干渉を抑制することにより、各々の通信における受信感度が低下することを抑制することができる。また、単一の制御部3によって互いの通信信号に生じる干渉を抑制することが可能であるため、たとえば、それぞれの通信信号毎に干渉抑制信号を生成するために複数の制御部3を備える構成と比較して、部品点数の増加および構成の複雑化を抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、第1通信部1が通信する際に、第2通信部2に対して第1送信信号10aの逆特性を有する第1干渉抑制信号11を入力するとともに、第2通信部2が通信する際に、第1通信部1に対して、第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21を入力することにより、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制するように構成されている。これにより、第1送信信号10aの逆特性を有する第1干渉抑制信号11によって第1送信信号10aの信号成分が相殺される。したがって、第2通信部2に対して、第1送信信号10aと第2受信信号20bとの両方の通信信号が入力された場合でも、第1送信信号10aが相殺されるので、第2受信信号20bに生じる干渉を容易に抑制することができる。また、第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21によって第2送信信号20aの信号成分が相殺される。したがって、第1通信部1に対して、第1受信信号10bと第2送信信号20aとの両方の通信信号が入力された場合でも、第2送信信号20aが相殺されるので、第1受信信号10bに生じる干渉を容易に抑制することができる。その結果、各々の通信における受信感度が低下することを容易に抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、第1送信信号10aおよび第2送信信号20aを生成するとともに、生成した第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14に基づいて逆特性を有する第1干渉抑制信号11を生成し、生成した第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24に基づいて逆特性を有する第2干渉抑制信号21を生成するように構成されている。これにより、制御部3は、各通信部が送信する信号を生成する際に用いた位相情報および振幅情報に基づいて干渉抑制信号を生成するため、実際に通信部に入力され、干渉を生じさせる信号成分の逆特性を有する干渉抑制信号を容易に生成することができる。その結果、各通信信号に生じる干渉を容易に抑制することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部3は、アナログ信号としての第1送信信号10aおよび第2送信信号20aを生成し、生成した第1送信信号10aおよび第2送信信号20aに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、生成した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21に基づいて、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。これにより、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21をアナログ信号として生成すればよいので、第1送信信号10aおよび第2送信信号20aの各々の位相情報および振幅情報を取得することにより、容易に、アナログ信号としての第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成することができる。
【0066】
[第2実施形態]
図10および
図11を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1通信部1の通信状況および第2通信部2の通信状況によらず、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する上記第1実施形態の構成と異なり、第1通信部1の通信状況および第2通信部2の通信状況に基づいて第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する構成の例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0067】
図10に示すように、第2実施形態による無線通信装置200は、制御部3の代わりに、制御部30を備える点で、上記第1実施形態による無線通信装置100とは異なる。
【0068】
具体的には、制御部30は、通信検知部3gと、第1干渉抑制信号生成部30cと、第2干渉抑制信号生成部30fとを備える点で、上記第1実施形態による制御部3と異なる。制御部30は、記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、通信検知部3g、第1干渉抑制信号生成部30c、および、第2干渉抑制信号生成部30fとして機能する。
【0069】
通信検知部3gは、第1通信信号10の通信状況を検知するように構成されている。また、通信検知部3gは、第2通信信号20の通信状況を検知するように構成されている。具体的には、通信検知部3gは、第1通信信号10および第2通信信号20の通信速度を検知することにより、通信状況を検知するように構成されている。なお、通信状況とは、通信信号の通信速度、および、スループットなどに基づく指標である。第2実施形態では、通信検知部3gは、通信速度の大きさにより、通信状況を検知するように構成されている。
【0070】
第1干渉抑制信号生成部30cは、第1通信部1による通信状況に基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。具体的には、第1干渉抑制信号生成部30cは、少なくとも通信速度を含む通信品質に関して予め設定され、記憶部4に記憶された第1閾値Th1と、第1通信部1による通信状況とに基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。第1閾値Th1は、たとえば、第1の通信規格において、最低速度、推奨速度、または、それらにマージンを持たせた値である。第1実施形態では、第1閾値Th1は、たとえば、無線通信装置100が第1の通信規格において、所定のアプリケーションにおける通信を行う際に、所定のアプリケーションの推奨速度にマージンを持たせた値である。第1閾値Th1は、たとえば、第1の通信規格が、IEEE 802.11acであり、使用するアプリケーションがYouTube(登録商標)であり、視聴(受信)する動画の解像度がHD(High Definition) 1080Pの場合、5.0Mb/s(メガビット/秒)、または、5.0Mb/sにマージンを加えた値である。なお、第1閾値Th1は、記憶部4に記憶されている。また、第1閾値Th1は、特許請求の範囲の「閾値」の一例である。
【0071】
また、第2干渉抑制信号生成部30fは、第2通信部2による通信状況に基づいて、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されていている。具体的には、第2干渉抑制信号生成部30fは、第2閾値Th2と第2通信部2による通信状況とに基づいて、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。第2閾値Th2は、たとえば、第2の通信規格において通信を行う機器の推奨速度にマージンを持たせた値である。第2の通信規格において通信を行う機器の推奨速度が、たとえば、0.5Mb/sの場合、第2閾値Th2は、たとえば、0.5Mb/s、または、0.5Mb/sにマージンを加えた値である。なお、第2閾値Th2は、記憶部4に記憶されている。また、第2閾値Th2は、特許請求の範囲の「閾値」の一例である。
【0072】
次に、
図11を参照して、第2実施形態による制御部30が干渉を抑制する処理について説明する。なお、上記第1実施形態による制御部3と同様の処理に関しては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
ステップS7において、通信検知部3gは、第1受信信号10bに干渉が生じているか否かを判定する。具体的には、通信検知部3gは、第1通信信号10による通信における通信速度が、第1閾値Th1を下回っている場合には、第1受信信号10bに干渉が生じていると判定する。また、通信検知部3gは、第1通信信号10による通信における通信速度が、第1閾値Th1以上の場合、第1受信信号10bには干渉が生じていないと判定する。
【0074】
また、通信検知部3gは、第2受信信号20bに干渉が生じているか否かを判定する。具体的には、通信検知部3gは、第2通信信号20による通信における通信速度が、第2閾値Th2を下回っている場合には、第2受信信号20bに干渉が生じていると判定する。また、通信検知部3gは、第2通信信号20による通信における通信速度が、第2閾値Th2以上の場合、第2受信信号20bには干渉が生じていないと判定する。第1受信信号10bおよび第2受信信号20bのうち、いずれかの受信信号に干渉が生じている場合、処理は、ステップS8へと進む。いずれの受信信号にも干渉が生じていない場合、処理は終了する。
【0075】
ステップS8において、第1干渉抑制信号生成部30cおよび第2干渉抑制信号生成部30fは、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、第2通信信号処理部3eおよび第1通信信号処理部3bに出力する。なお、ステップS8における処理は、上記第1実施形態におけるステップS1~S4の処理と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
次に、ステップS9において、第1通信信号処理部3bおよび第2通信信号処理部3eは、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bを抽出する。なお、ステップS9における処理は、上記第1実施形態におけるステップS5およびS6の処理と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
次に、ステップS10において、通信検知部3gは、第1通信信号10の通信品質が、所定の通信品質であるか否かを判定する。具体的には、通信検知部3gは、第1通信信号10の通信速度が、第1閾値Th1を下回っていた場合に、所定の通信品質ではないと判定する。また、通信検知部3gは、第1通信信号10の通信速度が、第1閾値Th1以上である場合には、第1通信信号10の通信品質が所定の通信品質であると判定する。
【0078】
また、通信検知部3gは、第2通信信号20の通信品質が、所定の通信品質であるか否かを判定する。具体的には、通信検知部3gは、第2通信信号20の通信速度が、第2閾値Th2を下回っていた場合に、所定の通信品質ではないと判定する。また、通信検知部3gは、第2通信信号20の通信速度が、第2閾値Th2以上である場合には、第2通信信号20の通信品質が所定の通信品質であると判定する。第1通信信号10および第2通信信号20のうち、いずれかの通信品質が所定の通信品質でない場合、処理は、ステップS11およびS12へと進む。通信品質が所定の通信品質の場合、処理は終了する。なお、通信品質とは、通信信号の通信速度、スループット、および、エラー頻度などに基づく指標である。第2実施形態では、通信検知部3gは、通信信号の通信速度に基づいて、通信品質を判定するように構成されている。
【0079】
ステップS11において、第2干渉抑制信号生成部30fは、第2干渉抑制信号21を調整する。具体的には、第2干渉抑制信号生成部30fは、第2干渉抑制信号21の位相または振幅を調整することにより、第2干渉抑制信号21を調整する。
【0080】
また、ステップS12において、第1干渉抑制信号生成部30cは、第1干渉抑制信号11を調整する。具体的には、第1干渉抑制信号生成部30cは、第1干渉抑制信号11の位相または振幅を調整することにより、第1干渉抑制信号11を調整する。
図11に示すように、第1干渉抑制信号生成部30cによるステップS12の処理、および、第2干渉抑制信号生成部30fによるステップS11の処理は、並列処理として実行される。その後、処理は、ステップS9へ進む。
【0081】
また、第1通信信号10に干渉が生じていない場合には、ステップS12の処理を行わなくてよい。また、第2通信信号20に干渉が生じていない場合には、ステップS11の処理は行わなくてよい。
【0082】
なお、第2実施形態による無線通信装置200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、制御部30は、第1通信部1による通信状況に基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、第2通信部2による通信状況に基づいて、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されていている。これにより、各通信部による通信状況に基づいて干渉を抑制する制御を行うことにより、受信感度が低下した通信部のみに対して干渉を抑制する処理を行うことができる。その結果、通信環境に基づかず、常に干渉の抑制処理を行う構成と比較して、干渉抑制信号を生成する頻度を低くすることが可能となるので、制御部30の負荷を軽減することができる。
【0084】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部30は、少なくとも通信速度を含む通信品質に関して予め設定され、記憶部4に記憶された第1閾値Th1と、第1通信部1による通信状況に基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制する制御を行うとともに、第2閾値Th2と第2通信部2による通信状況とに基づいて、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。これにより、通信状況と通信品質とに基づいて干渉を抑制する処理を行うため、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する頻度をより低くすることができる。その結果、制御部30の負荷をより軽減することができる。
【0085】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
[第3実施形態]
図12および
図13を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態における無線通信装置300は、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とを記憶部4に記憶するとともに、記憶部4に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、第1通信信号10および第2通信信号20の干渉を抑制する点において、上記第1実施形態による無線通信装置100とは異なる。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0087】
図12に示すように、第3実施形態による無線通信装置300は、制御部3の代わりに制御部31を備える点で、上記第1実施形態による無線通信装置100とは異なる。
【0088】
具体的には、第3実施形態による制御部31は、無線通信装置300の校正時において第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成した際に、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とを記憶部4に記憶する点、および、記憶部4に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する点で、上記第1実施形態による制御部3とは異なる。なお、第3実施形態による無線通信装置300は、室内などに設置される据え置き型の機器である。室内などでは、電波環境(干渉の具合)が大きく変動しないため、無線通信装置300は、初期設定の一部として第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成するキャリブレーション(校正)を行う。また、無線通信装置300は、電波環境が変動して受信信号に干渉が生じるようになった場合、もう一度キャリブレーションし直すように構成されている。
【0089】
なお、無線通信装置300による第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する構成は、上記第1実施形態による無線通信装置100と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
また、第3実施形態による制御部31は、生成した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21に基づいて、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。
【0091】
次に、
図13を参照して、第3実施形態による制御部31が干渉を抑制する処理について説明する。なお、上記第1実施形態による制御部3と同様の処理に関しては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0092】
ステップS13において、第1干渉抑制信号生成部3cは、記憶部4に記憶されている第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14を取得する。
【0093】
ステップS14において、第1干渉抑制信号生成部3cは、取得した第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14に基づいて、第1干渉抑制信号11を生成する。また、第1干渉抑制信号生成部3cは、生成した第1干渉抑制信号11を、第2通信信号処理部3eに出力する。
【0094】
また、ステップS15において、第2干渉抑制信号生成部3fは、記憶部4に記憶されている第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24を取得する。
【0095】
ステップS16において、第2干渉抑制信号生成部3fは、取得した第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24に基づいて、第2干渉抑制信号21を生成する。また、第2干渉抑制信号生成部3fは、生成した第2干渉抑制信号21を、第1通信信号処理部3bに出力する。なお、
図13に示すように、制御部31は、第
第1干渉抑制信号生成部3cによるステップS13およびS14の処理と、第2干渉抑制信号生成部3fによるステップS15およびS16の処理とを、並列処理として実行する。
【0096】
その後、第1通信信号処理部3bおよび第2干渉抑制信号生成部3fは、ステップS5およびステップS6の処理を行い、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bの干渉を抑制する処理を行う。その後、処理は、終了する。なお、ステップS11およびS12の処理は、どちらが先に行われてもよい。
【0097】
なお、第3実施形態による無線通信装置300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0098】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、記憶部4をさらに備え、制御部31は、校正時において第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成した際に、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とを記憶部4に記憶するとともに、記憶部4に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。これにより、記憶部4に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成することによって、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bに生じる干渉を抑制することができる。その結果、通信する度に、第1干渉抑制信号生成部3cが実際に通信を行っている第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14を取得して第1干渉抑制信号11生成するとともに、実際に通信を行っている第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24を取得して第2干渉抑制信号21を生成する構成と比較して、制御部3の負荷を軽減することができる。
【0099】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0100】
[第4実施形態]
図14および
図15を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、アナログ信号である第1通信信号10および第2通信信号20の干渉を抑制する処理を行う上記第1実施形態による無線通信装置100とは異なり、デジタル信号である第1送信デジタル信号103および第2送信デジタル信号203の干渉を抑制する構成について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。なお、第1送信デジタル信号103、および、第2送信デジタル信号203は、特許請求の範囲の「第1通信デジタル信号」および「第2通信デジタル信号」の一例である。
【0101】
図14に示すように、第4実施形態による無線通信装置400は、制御部3に代えて、制御部32を備える点で、上記第1実施形態による無線通信装置100とは異なる。
【0102】
具体的には、第4実施形態による制御部32は、第1通信信号生成部3a、第1通信信号処理部3b、第1干渉抑制信号生成部3c、第2通信信号生成部3d、第2通信信号処理部3e、および、第2干渉抑制信号生成部3fに代えて、第1通信信号生成部32a、第1通信信号処理部32b、第1干渉抑制信号生成部32c、第2通信信号生成部32d、第2通信信号処理部32e、および、第2干渉抑制信号生成部32fを含む点で、上記第1実施形態による制御部3とは異なる。なお、制御部32は、記憶部4に記憶されている各種プログラムを実行することにより、第1通信信号生成部32a、第1通信信号処理部32b、第1干渉抑制信号生成部32c、第2通信信号生成部32d、第2通信信号処理部32e、および、第2干渉抑制信号生成部32fとして機能する。
【0103】
第1通信信号生成部32aは、DA変換処理を行う前の第1送信デジタル信号103を、DA変換処理を行うことによってアナログ信号に変換することにより第1送信信号10aを生成するように構成されている。また、第1通信信号生成部32aは、第1送信デジタル信号103を、第1干渉抑制信号生成部32cへ送信するように構成されている。
【0104】
第1通信信号処理部32bは、第1干渉信号40をデジタル信号に変換することにより、第1干渉デジタル信号410を生成するように構成されている。また、第1通信信号処理部32bは、第1干渉デジタル信号410と、第2干渉抑制デジタル信号210とに基づいて、第1受信デジタル信号104の干渉を抑制するように構成されている。すなわち、第4実施形態では、第1通信信号処理部32bは、AD変換処理後の第1干渉デジタル信号410に対して、第2干渉抑制デジタル信号210を加算することにより、第1干渉デジタル信号410の干渉を抑制するように構成されている。なお、第1受信デジタル信号104は、特許請求の範囲の「第1通信デジタル信号」の一例である。
【0105】
第1干渉抑制信号生成部32cは、第1送信デジタル信号103に基づいて、第1干渉抑制デジタル信号110を生成するように構成されている。すなわち、第4実施形態では、第1干渉抑制信号生成部32cは、DA変換処理を行う前の第1送信デジタル信号103から、第1干渉抑制デジタル信号110を生成するように構成されている。また、第1干渉抑制信号生成部32cは、生成した第1干渉抑制デジタル信号110を、第2通信信号処理部32eに出力するように構成されている。
【0106】
第2通信信号生成部32dは、DA変換処理を行う前の第2送信デジタル信号203を、DA変換処理を行うことによってアナログ信号に変換することにより第2送信信号20aを生成するように構成されている。また、第2通信信号生成部32dは、第2送信デジタル信号203を第2干渉抑制信号生成部32fへ送信するように構成されている。
【0107】
第2通信信号処理部32eは、第2干渉信号41をデジタル信号に変換することにより、第2干渉デジタル信号420を生成するように構成されている。また、第2通信信号処理部32eは、第2干渉デジタル信号420と、第1干渉抑制デジタル信号110とに基づいて、第2受信デジタル信号204の干渉を抑制するように構成されている。すなわち、第4実施形態では、第2通信信号処理部32eは、AD変換処理後の第2干渉デジタル信号420に対して、第1干渉抑制デジタル信号110を加算することにより、第2干渉デジタル信号420の干渉を抑制するように構成されている。なお、第2受信デジタル信号204は、特許請求の範囲の「第2通信デジタル信号」の一例である。
【0108】
第2干渉抑制信号生成部32fは、第2送信デジタル信号203に基づいて、第2干渉抑制デジタル信号210を生成するように構成されている。すなわち、第4実施形態では、第2干渉抑制信号生成部32fは、DA変換処理を行う前の第2送信デジタル信号203から、第2干渉抑制デジタル信号210を生成するように構成されている。また、第2干渉抑制信号生成部32fは、生成した第2干渉抑制デジタル信号210を、第1通信信号処理部32bに出力するように構成されている。
【0109】
次に、
図15を参照して、第4実施形態による制御部32が干渉を抑制する処理について説明する。
【0110】
ステップS13において、第1干渉抑制信号生成部32cは、第1送信デジタル信号103に基づいて、第1干渉抑制デジタル信号110を生成する。また、第1干渉抑制信号生成部32cは、生成した第1干渉抑制デジタル信号110を、第2通信信号処理部32eに出力する。
【0111】
ステップS14において、第2干渉抑制信号生成部32fは、第2送信デジタル信号203に基づいて、第2干渉抑制デジタル信号210を生成する。また、第2干渉抑制信号生成部32fは、生成した第2干渉抑制デジタル信号210を、第1通信信号処理部32bに出力する。
【0112】
ステップS15において、第2通信信号処理部32eは、第2干渉デジタル信号420と、第1干渉抑制デジタル信号110とに基づいて、第2干渉デジタル信号420の干渉を抑制することにより、第2受信デジタル信号204を抽出する。
【0113】
ステップS16において、第1通信信号処理部32bは第1干渉デジタル信号410と、第2干渉抑制デジタル信号210とに基づいて、第1干渉デジタル信号410の干渉を抑制することにより、第1送信デジタル信号103を抽出する。
【0114】
その後、処理は、終了する。なお、ステップS13およびS14の処理は、どちらが先に行われてもよい。また、ステップS15およびS16の処理は、どちらが先に行われてもよい。
【0115】
なお、第4実施形態による無線通信装置400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、制御部32は、第1送信デジタル信号103および第2送信デジタル信号203をアナログ信号に変換することにより第1送信信号10aおよび第2送信信号203aを生成し、第1送信デジタル信号103および第2送信デジタル信号203に基づいて、第1干渉抑制デジタル信号110および第2干渉抑制デジタル信号210を生成し、生成した第1干渉抑制デジタル信号110および第2干渉抑制デジタル信号210に基づいて、第1受信デジタル信号104および第2受信デジタル信号204に生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている。これにより、通信信号および干渉抑制信号をデジタル信号として処理することが可能となるので、通信信号および干渉抑制信号をアナログ信号として処理する構成と比較して、処理中に生じるノイズの影響を抑制することができる。その結果、通信信号に生じる干渉を抑制する処理において、ノイズに起因して生じる影響を抑制することができる。
【0117】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0118】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0119】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、制御部3(30、31、32)が、第1送信信号10aの逆特性を有する第1干渉抑制信号11を生成するとともに、第2送信信号20aの逆特性を有する第2干渉抑制信号21を生成する構成の例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、制御部3(30、31、32)は、たとえば、第1送信信号10aの逆特性を有さない複数の第1干渉抑制信号の組み合わせ、および、第2送信信号20aの逆特性を有さない複数の第2干渉抑制信号の組み合わせによって、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bから干渉信号を除去するように構成されていてもよい。第1干渉信号40から第2通信信号20の信号成分を除去することが可能であれば、第1干渉抑制信号はどのような特性を有していてもよい。また、第2干渉信号41から第1通信信号10の信号成分を除去することが可能であれば、第2干渉抑制信号はどのような特性を有していてもよい。
【0120】
また、上記第1~第4実施形態では、制御部3(30、31、32)が、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14に基づいて第1干渉抑制信号11を生成するとともに、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24に基づいて第2干渉抑制信号21を生成する構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、制御部3(30、31、32)は、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14のいずれかに基づいて第1干渉抑制信号11を生成するとともに、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24のいずれかに基づいて第2干渉抑制信号21を生成するように構成されていてもよい。また、たとえば、制御部3(30、31、32)は、第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14以外の情報に基づいて第1干渉抑制信号11を生成するとともに、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24以外の情報に基づいて第2干渉抑制信号21を生成するように構成されていてもよい。
【0121】
また、上記第1実施形態では、無線通信装置100が記憶部4を備える構成の例を示したが、本発明ではこれに限られない。上記第1実施形態のように、制御部3が干渉抑制処理を並列処理として行う場合には、無線通信装置100は、記憶部4を備えていなくてもよい。
【0122】
また、上記第1実施形態では、制御部3が、干渉抑制処理を並列処理として行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図15に示す第1実施形態の変形例のように、制御部3は、ステップS1~S4の処理を直列処理として行うとともに、ステップS5およびS6の処理を直列処理として行うように構成されていてもよい。なお、第1実施形態の変形例では、ステップS1の処理およびステップS2の処理は、どちらが先に行われてもよい。また、ステップS3の処理およびステップS4の処理は、どちらが先に行われてもよい。また、ステップS5の処理およびステップS6の処理は、どちらが先に行われてもよい。また、制御部3が干渉抑制処理を直列処理として行うように構成されている場合、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21のうち、先に生成したほうを記憶しておく必要があるため、無線通信装置100は、記憶部4を備えている必要がある。
【0123】
また、上記第2実施形態では、制御部30が、少なくとも通信速度を含む通信品質に基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制するとともに、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部30は、通信データの量、または、伝送レートなどに基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制するとともに、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部30が、通信データの量、または、伝送レートなどの通信速度以外の通信品質に基づいて、第1受信信号10bに生じる干渉を抑制するとともに、第2受信信号20bに生じる干渉を抑制する制御を行うように構成されている場合、第1閾値Th1および第2閾値Th2の各々は、通信データの量、または、伝送レートなど、通信速度以外の通信品質に関するパラメータとして設定されればよい。
【0124】
また、上記第2実施形態では、制御部30が、第1通信信号10の通信状況と第1閾値Th1とに基づいて、第1受信信号10bの干渉を抑制する制御を行うとともに、第2通信信号20の通信状況と第2閾値Th2とに基づいて、第2受信信号20bの干渉を抑制する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部30は、振幅を異ならせた複数の第1干渉抑制信号11、および、振幅を異ならせた複数の第2干渉抑制信号21を生成するとともに、生成した複数の第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21のうち、最も適した第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を選択するように構成されていてもよい。
【0125】
また、上記第2実施形態では、制御部30が、ステップS11およびS12の処理を、並列処理として実行する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図17に示す第2実施形態の変形例のように、制御部30は、ステップS11およびS12の処理を、直列処理として行うように構成されていてもよい。なお、制御部30がステップS11およびS12の処理を直列処理として行うように構成されている場合、ステップS11およびS12の処理は、どちらが先に実行されてもよい。
【0126】
また、上記第1~第4実施形態では、制御部3(30、31、32)が、第1通信信号10による通信および第2通信信号20による通信を行っている際に、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成する、いわゆるリアルタイムで干渉を抑制する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部3(30、31、32)は、無線通信装置100(200、300、400)が動画像をストリーミング再生する場合など、受信するコンテンツに基づいて第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成するように構成されていてもよい。この場合、制御部3(30、31、32)は、受信するコンテンツによって要求される通信速度を下回る場合に、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成するように構成すればよい。
【0127】
また、上記第3実施形態では、制御部31が、記憶部4に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bの干渉を抑制する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部31は、無線通信装置300とは異なる場所に設けられ、無線通信装置300とネットワークを介して接続された外部記憶装置に記憶された第1送信信号10aの位相情報13および振幅情報14と、第2送信信号20aの位相情報23および振幅情報24とに基づいて、第1干渉抑制信号11および第2干渉抑制信号21を生成し、第1受信信号10bおよび第2受信信号20bの干渉を抑制する制御を行うように構成されていてもよい。
【0128】
また、上記第3実施形態では、制御部31が、ステップS13およびS14の処理と、ステップS15およびS16の処理とを並列処理として実行するとともに、ステップS5およびS6の処理を並列処理として実行する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図18に示す第3実施形態の変形例のように、制御部31は、ステップS13~S15の処理を直列処理として行うとともに、ステップS5およびS6の処理を直列処理として行うように構成されていてもよい。なお、第3実施形態の変形例では、ステップS13およびS14の一連の処理と、ステップS15およびS16の一連の処理とは、どちらが先に行われてもよい。また、ステップS5の処理およびステップS6の処理は、どちらが先に行われてもよい。
【0129】
また、上記第4実施形態では、制御部32が、ステップS17の処理と、ステップS18の処理とを並列処理として実行するとともに、ステップS19の処理とステップS20の処理を並列処理として実行する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図19に示す第4実施形態の変形例のように、制御部32は、ステップS17およびS18の処理を直列処理として行うとともに、ステップS19およびS20の処理を直列処理として行うように構成されていてもよい。なお、第4実施形態の変形例では、ステップS17の処理と、ステップS18の処理とは、どちらが先に行われてもよい。また、ステップS19の処理とステップS20の処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0130】
また、上記第1~第4実施形態では、無線通信装置100(200、300、400)が、第1の通信規格として、wi-fiによる通信を行い、第2の通信規格として、Bluetooth(登録商標)による通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、無線通信装置100(200、300、400)は、第1の通信規格として、Bluetooth(登録商標)による通信を行い、第2の通信規格として、wi-fiによる通信を行うように構成されていてもよい。
【0131】
また、上記第1~第4実施形態では、無線通信装置100(200、300、400)が、各々が2.4GHz帯の通信信号を用いた通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、無線通信装置100(200、300、400)は、互いに通信信号の周波数帯域が重なるとともに、互いに通信規格が異なる通信方法であれば、どのような周波数帯域の通信信号を用いてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 第1通信部
2 第2通信部
3、30、31、32 制御部
4 記憶部
10 第1通信信号
10a 第1送信信号(第1通信信号)
10b 第1受信信号(第1通信信号)
11 第1干渉抑制信号
13 位相情報(第1通信信号の位相情報)
14 振幅上場(第1通信信号の振幅情報)
20 第2通信信号
20a 第2送信信号(第2通信信号)
20b 第2受信信号(第2通信信号)
21 第2干渉抑制信号
23 位相情報(第2通信信号の位相情報)
24 振幅上場(第2通信信号の振幅情報)
100、200、300、400 無線通信装置
103 第1送信デジタル信号(第1通信デジタル信号)
110 第1干渉抑制デジタル信号
203 第2送信デジタル信号(第2通信デジタル信号)
210 第2干渉抑制デジタル信号
Th1 第1閾値(閾値)
Th2 第2閾値(閾値)