(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240214BHJP
【FI】
G06Q50/18
(21)【出願番号】P 2020008031
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康洋
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-284889(JP,A)
【文献】特開2010-009317(JP,A)
【文献】特開2017-068665(JP,A)
【文献】特開2010-191657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
法令の改正点を取得し、
法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報を取得し、
グループの外部に存在する外部情報の中から法令の改正に関連する外部情報を取得し、
前記法令の改正点、前記内部情報及び取得した前記外部情報を、
過去の法令の改正点に関する情報と当該過去の法令の改正に伴い取得した前記外部情報と当該過去の法令の改正に伴い変更された前記グループの内部情報との組によって学習した学習モデルに入力することによって、
当該学習モデルから出力される前記内部情報毎に法令の改正に伴う変更の要否に関する判定結果情報を取得する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、取得した前記外部情報を、前記学習モデルが利用可能な形式に加工する前処理を実施してから学習モデルに入力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記外部情報は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスへの投稿、アクセスログ、企業が提供する情報、他国の法令、又は出版物の電子データの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、法令の改正に伴う変更の要否を内部情報のファイル単位で判断されている前記判定結果情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、法令の改正に伴う変更の要否を、文書で記載されている内部情報の記載単位で判断されている前記判定結果情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、改正された法令、前記内部情報を特定する情報、当該内部情報に対応する前記判定結果情報を組にしてユーザに提示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
法令の改正点を取得する機能、
法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報を取得する機能、
グループの外部に存在する外部情報の中から法令の改正に関連する外部情報を取得する機能、
前記法令の改正点、前記内部情報及び取得した前記外部情報を、
過去の法令の改正点に関する情報と当該過去の法令の改正に伴い取得した前記外部情報と当該過去の法令の改正に伴い変更された前記グループの内部情報との組によって学習した学習モデルに入力することによって、
当該学習モデルから出力される前記内部情報毎に法令の改正に伴う変更の要否に関する判定結果情報を取得する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
法令は、社会情勢や判例等の影響を受けて適宜改正される。改正の内容は、法令の条文の追加や変更によって表現される。
【0003】
例えば、特許文献1では、条例の改正を自動的に取得し、改正前後の条文を比較し、差分がある場合に通知するなど、更新された情報を容易に確認できる技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-191657号公報
【文献】特開2013-175170号公報
【文献】特開2015-052855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
法令が改正されると、企業等のグループ内における内部情報には、例えば社内規定のように法令に関連する情報が含まれている場合があるので、法令の改正に応じて内部情報を変更する必要が生じてくる場合がある。内部情報が改正後の法令にすでに対応しているのであれば、法令の改正に応じて変更する必要はないと考えられる。その一方、内部情報の内容が改正後の法令に反していない場合でも法令の改正の影響を受けて変更した方がよい場合もある。
【0006】
本発明は、法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報に対する変更の要否を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、法令の改正点を取得し、法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報を取得し、グループの外部に存在する外部情報の中から法令の改正に関連する外部情報を取得し、前記法令の改正点、前記内部情報及び取得した前記外部情報を、過去の法令の改正点に関する情報と当該過去の法令の改正に伴い取得した前記外部情報と当該過去の法令の改正に伴い変更された前記グループの内部情報との組によって学習した学習モデルに入力することによって、当該学習モデルから出力される前記内部情報毎に法令の改正に伴う変更の要否に関する判定結果情報を取得することを特徴とする。
【0008】
また、前記プロセッサは、取得した前記外部情報を、前記学習モデルが利用可能な形式に加工する前処理を実施してから学習モデルに入力することを特徴とする。
【0009】
また、前記外部情報は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスへの投稿、アクセスログ、企業が提供する情報、他国の法令、又は出版物の電子データの少なくとも1つであることを特徴とする。
【0010】
また、前記プロセッサは、法令の改正に伴う変更の要否を内部情報のファイル単位で判断されている前記判定結果情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、法令の改正に伴う変更の要否を、文書で記載されている内部情報の記載単位で判断されている前記判定結果情報を取得することを特徴とする。
【0014】
また、前記プロセッサは、改正された法令、前記内部情報を特定する情報、当該内部情報に対応する前記判定結果情報を組にしてユーザに提示することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、コンピュータに、法令の改正点を取得する機能、法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報を取得する機能、グループの外部に存在する外部情報の中から法令の改正に関連する外部情報を取得する機能、前記法令の改正点、前記内部情報及び取得した前記外部情報を、過去の法令の改正点に関する情報と当該過去の法令の改正に伴い取得した前記外部情報と当該過去の法令の改正に伴い変更された前記グループの内部情報との組によって学習した学習モデルに入力することによって、当該学習モデルから出力される前記内部情報毎に法令の改正に伴う変更の要否に関する判定結果情報を取得する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報に対する変更の要否を得ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、種々の形態の外部情報が利用可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、アクセスログ、企業、他国又は出版物から法令の改正に関連する情報を得ることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、変更の対象とすべき範囲を知らせることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、変更の対象となるファイル又は記載を知らせることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、どの法令の改正に伴いどの内部情報が変更の対象の候補となったのか、また変更の対象の候補となった内部情報に対する変更の要否をユーザに知らせることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、法令の改正に伴い影響を受けるグループの内部情報に対する変更の要否を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施の形態における企業システムを含むネットワークシステムの全体構成図である。
【
図2】本実施の形態における変更要否判定処理を示すフローチャートである。
【
図3】本実施の形態において取り扱う外部情報の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態において学習モデルに入力する入力情報のデータ形式の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態において学習モデルに入力する法改正情報のデータ形式の一例を示す図である。
【
図6】本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の他の例を示す図である。
【
図8】本実施の形態における判定結果情報をグラフ形式にて表示する場合の表示例を示す図である。
【
図9】本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の他の例を示す図である。
【
図10】本実施の形態において取り扱う外部情報及び入力情報の他の例を示す図である。
【
図11】本実施の形態において取り扱う外部情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本実施の形態における企業システムを含むネットワークシステムの全体構成図である。また、企業システムのブロック構成を合わせて示している。
図1には、省庁、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、「SNS」)のシステム、ウェブアクセスログ、他企業のシステム、雑誌や法令の解説書や議事録等の出版物の電子データ(以下、「電子書籍」という)を蓄積するデータベースサーバ等の外部のシステムとインターネット5を介して接続する企業システム1が示されている。なお、以降の説明においては、企業システム1の外部にあるシステムを「外部」と総称する。また、外部から提供される各種情報を「外部情報」と総称する。
【0027】
企業システム1は、ある企業に構築されているネットワークシステムであり、情報処理装置10と、データベース(DB)サーバ2と、PC(Personal Computer)3と、がLAN(Local Area Network)4に接続された構成を有している。なお、本実施の形態において説明に用いない構成要素は図から省略している。以降の説明において、単に「企業」という場合は、企業システム1を有する企業のことを指す。
【0028】
データベース(DB)サーバ2は、社内情報レポジトリ21を有している。社内情報レポジトリ21には、企業の社内規定、組織構成、また例えば企業が取り組んでいる技術分野、各技術分野において所有する技術や製品に関する情報、設計書、マニュアル等企業に関する技術情報など、当該企業に関連する電子化されている種々の内部情報が蓄積されている。
【0029】
PC3は、企業の従業員等が使用するコンピュータであり、汎用的なハードウェア構成で実現してよい。すなわち、PC3は、CPU、ROM、RAM、記憶手段、通信インタフェース及びユーザインタフェースを搭載する。
【0030】
情報処理装置10は、例えばPC等の汎用的なコンピュータで実現可能であることから、CPU、ROM、RAM、記憶手段、通信インタフェース及びユーザインタフェースを搭載する。
【0031】
情報処理装置10は、改正点取得部11、変更候補抽出部12、外部関連情報取得部13、入力情報生成部14、変更要否判定部15及び情報提供部16を有している。なお、本実施の形態において説明に用いない構成要素は図から省略している。
【0032】
改正点取得部11は、外部から提供される情報を解析することで法令の改正点を取得する。変更候補抽出部12は、法令の改正点に関する情報(以下、「法改正情報」)を参照して、社内情報レポジトリ21に蓄積されている社内情報の中から法令の改正(以下、「法改正」という)に応じて変更の候補となる社内情報を抽出する。外部関連情報取得部13は、外部に存在する外部情報の中から法改正に関連する外部情報を取得する。本実施の形態では、外部関連情報取得部13が外部から選択的に取得する法改正に関連する外部情報のことを、特に「外部関連情報」と称することにする。入力情報生成部14は、外部関連情報を変更要否判定部15において処理しやすい形式に変換する。
【0033】
変更要否判定部15は、変更候補抽出部12により抽出された社内情報毎に、法改正に伴う変更の要否を判定し、その判定結果に関する判定結果情報を取得する。変更要否判定部15は、変更の要否の判定に学習モデルを利用する。学習モデルは、過去の法改正に伴い取得した外部関連情報と、社内情報レポジトリ21に蓄積されている情報のうち当該過去の法改正に伴い変更された社内情報との組によって学習され形成される。後述する出力例に従うと、学習に利用する社内情報には、変更された社内規定等が含まれている。そして、学習モデルは、法令の改正点、外部関連情報取得部13により取得された外部関連情報及び変更候補抽出部12により抽出された変更の候補となる社内情報を入力とし、法改正に伴う変更の要否の判定結果を示す情報を出力する。情報提供部16は、変更要否判定部15により得られた情報をPC3のユーザ等に提供する。
【0034】
情報処理装置10における各構成要素11~16は、情報処理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0035】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0036】
法改正に伴い、法改正の影響を受ける社内規定や社内文書等の社内情報を変更して法令に遵守させることは、企業の取組みとして当然のことである。ただ、法令を遵守するよう対応しているとしても、消費者等から法令に関する取組姿勢が厳格でないなどの批判を受ける場合がある。例えば、消費者は、食品等の商品の安全性に関する情報は知りたいが、法令で情報開示を義務化していないから開示しないなどの企業姿勢である。特に、他社が情報開示をしている場合、開示しないという企業の取組姿勢は、企業イメージを損なってしまう可能性がある。
【0037】
本実施の形態では、このような状況をも鑑みて、法令の改正に伴い影響を受ける社内情報に対する変更の要否を判定できるようにした。特に、本実施の形態においては、法令が改正される場合に、その法改正に伴い企業における社内情報に対する変更の要否を、法令の改正点だけでなく外部情報、厳密には外部情報のうち法改正に関連する外部関連情報を参照して判断するようにしたことを特徴としている。
【0038】
次に、本実施の形態において社内情報の変更の要否を判定し、判定した情報を提供する処理について
図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0039】
改正点取得部11は、法令が改正されると、外部から法令の改正点に関する情報、すなわち法令のどこが改正されたのかを示す情報を取得する(ステップ101)。これは、例えば省庁のホームページ等を常時監視して、法改正を検出したときに法令の改正点を取得するようにしてもよい。あるいは、法改正に伴い関係者等によって本処理を実行するアプリケーションが起動されたタイミングで動作を開始して法令の改正点を取得してもよい。法改正情報は、外部から取得した情報の形式のまま保持してもよいし、改正前後の法令の条文の差分を抽出して、その差分情報を法改正情報として保持してもよい。また、1つの形式に限定せずに種々の形式にて保持してもよい。
【0040】
続いて、変更候補抽出部12は、法改正情報を参照して、社内情報レポジトリ21に蓄積されている社内情報の中から変更の候補となる社内情報を抽出する(ステップ102)。変更対象となる社内情報は、主として社内規定であり、本実施の形態においても社内規定を例にして説明するが、社内規定に限定する必要はない。
【0041】
続いて、外部関連情報取得部13は、法改正情報を参照して、外部に存在する外部情報の中から法改正に関連する外部情報を外部関連情報として取得する(ステップ103)。例えば、法改正情報を参照して法改正に関連する語句を抽出し、その抽出した語句に基づく検索により外部関連情報を取得する。また、取得した外部情報から派生する外部情報の中から外部関連情報を選択してもよい。外部情報は、例えばSNSへの投稿、ウェブアクセスログ、プレリリース等企業が提供する法令の改正に関連する情報、他国の法令、電子書籍、関連部門と交換した情報の少なくとも1つであればよく、外部関連情報取得部13は、それぞれの情報の発信元から直接又は間接的に外部関連情報を取得する。
【0042】
続いて、入力情報生成部14は、取得された外部関連情報の中から学習モデルに入力する入力情報を生成する(ステップ104)。外部関連情報を学習モデルにそのまま投入してもよいが、外部関連情報の形態は、SNSへの書込みメッセージや記事、論文等様々なので、入力情報生成部14は、学習モデルが利用可能な形式、換言すると学習モデルに入力するのに適した形式に加工する前処理を実施することによって入力情報を生成する。
【0043】
続いて、変更要否判定部15は、改正点取得部11により取得された法改正情報と、外部関連情報に基づき入力情報生成部14により生成された入力情報と、変更候補抽出部12により抽出された社内情報と、を学習モデルに入力する(ステップ105)。そして、変更要否判定部15は、情報の入力に応じて学習モデルから出力される情報、すなわち、法令の改正に伴う社内情報の改正の要否の判定結果を示す判定結果情報を取得する(ステップ106)。
【0044】
このようにして、判定結果情報を取得すると、情報提供部16は、その情報を提供する(ステップ107)。情報の提供先は、PC3を想定しているが、PC3に限定する必要はなく、例えば情報処理装置10のディスプレイやHDD等の記憶手段でもよい。また、企業システム1内に限定せずに、インターネット5を介して外部に提供してもよい。
【0045】
以上説明した処理について、具体例をあげて説明する。
【0046】
図3は、本実施の形態において取り扱う外部情報の一例を示す図である。
図3には、外部情報としてツイッター(登録商標)に投稿されたつぶやきが示されている。「つぶやき」とは、「ツイート」とも呼ばれるツイッターへの投稿のことをいう。これらのつぶやきは、法改正に関連する語句、食品衛生法の表示義務に関する法改正の場合、“食品衛生法”、“表示義務“、法改正の変更対象となった“トランス脂肪酸”や“ビタミンC”等の語句がキーワードとして選択される。外部関連情報取得部13は、このようにSNSの場合、SNSへの投稿や記事の内容あるいはハッシュタグを解析することで投稿の内容等の関連性によって外部にある他の情報を関連付け、外部情報の中から学習モデルへの入力対象とする法改正と関連性のありそうな外部情報を選択して外部関連情報として取り扱う。
【0047】
図4は、学習モデルに入力する入力情報のデータ形式の一例を示す図である。前述したように外部関連情報として取得される外部情報の種類は様々なので、学習モデルが処理しやすいように形式を整合する。そのために、入力情報生成部14は、
図4に例示する形式の情報を入力情報として生成する。
図4には、外部関連情報から抽出された語句と、各語句に対する印象が設定される。本実施の形態においては、外部関連情報を解析することによって各語句に対してポジティブな内容で投稿されていたのか、あるいはネガティブな内容で投稿されていたのか、という印象を判定し、当該語句に対応付ける。
【0048】
図5は、学習モデルに入力する法改正情報のデータ形式の一例を示す図である。法改正情報には、表示義務になっている成分及び変更対象となった成分が含まれている。
【0049】
前述したように、変更要否判定部15が変更の要否の判定に利用する学習モデルは、入力情報生成部14により生成された入力情報(
図4)と、改正点取得部11により取得された法改正情報(
図5)と、変更候補抽出部12により抽出された社内情報と、を入力とし、法令の改正に伴う社内情報の改正の要否の判定結果を示す情報、すなわち判定結果情報を出力する。
【0050】
学習モデルが出力する判定結果情報には、法改正に伴い変更が必要であるか不要であるかの判定結果と、今後、つまり将来的に変更が必要となるか不要のままでよいのか、を示す判定結果と、が含まれる。各判定結果は、法改正情報に含まれる項目毎に提供される。
図5に示す例であれば、脂肪分、トランス脂肪酸、糖質及びビタミンCという成分毎に判定結果が得られる。なお、本実施の形態では、法改正情報を学習モデルに入力するが、判定結果は項目毎に出力されるので、変更要否判定部15は、法改正情報に含まれる項目を一項目ずつ学習モデルに入力することを項目数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0051】
判定結果情報は、更に各項目につき、変更候補抽出部12により抽出された、法改正に伴い変更の候補となる社内情報毎に判定結果が示される。
【0052】
図6は、本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の一例を示す図である。前述したように法改正情報に含まれる1つの項目(例えば、トランス脂肪酸)毎に
図6に例示する判定結果情報が生成される。判定結果情報は、変更要否の判定の範囲毎に判定結果を示すが、
図6は、変更の範囲となる社内情報をファイル単位で示している例である。「ファイル名」は、変更の候補となる社内情報のファイルであり、変更候補抽出部12により選択された社内情報を特定する情報である。「変更」には、社内情報に対する判定結果として、現段階での変更の要否が示される。「今後変更」には、判定結果として、現段階での変更とは別に、将来的な変更の要否が示される。例えば、ファイル“社内規定-0101”は、「変更」及び「今後変更」共に判定結果が“必要”なので、現段階で変更が必要であり、将来的にも変更が必要であると判定されている。ファイル“社内規定-0102”は、判定結果として「変更」は“必要”、「今後変更」は“不要”なので、現段階での変更が必要だが、将来的には変更が必要でないと判定されている。ファイル“社内規定-0103”は、判定結果として「変更」は“不要”、「今後変更」は“必要”なので、現段階での変更が不要だが、将来的には変更が必要であると判定されている。ファイル“社内規定-0104”は、「変更」及び「今後変更」共に判定結果が“不要”なので、現段階でも将来的にも変更が必要でないと判定されている。つまり、“社内規定-0104”は、今回の法改正の影響を現段階のみならず将来的にも受けないという判定結果が得られたことになる。
【0053】
図7は、本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の他の例を示す図である。
図7では、現段階の変更の要否及び今後の変更の要否をそれぞれ数値で示した例が示されている。
図6では、学習モデルが出力した変更の要否を示す数値を必要と不要とを分ける所定の閾値で二分化して出力した例を示したのに対し、
図7では、学習モデルが数値にて出力した要否の判定結果を数値のまま出力した例を示している。なお、学習モデルの出力値をそのまま用いてもよいが、
図7に示すように百分率に換算して表示してもよい。また、
図7に示す例では、情報提供部16は、学習モデルからの出力に、改正された法令を特定する情報(
図7における「入力法令」)を付加して判定結果情報を生成する例が示されている。なお、入力法令との情報の付加は、変更要否判定部15が行ってもよい。
【0054】
図8は、本実施の形態における判定結果情報をグラフ形式にて表示する場合の表示例を示す図である。
図8に示すグラフでは、図面横方向に変更の要否を、図面縦方向に今後の変更の要否を、それぞれ対応付けており、
図7に示す判定結果情報をグラフ形式にて表すことができる。なお、
図8には、
図7に示す判定結果情報のリストの中から2つの情報を選択してプロットした例が示されている。判定結果情報をグラフ形式にて示すことで、法改正の影響の程度を感覚的に知ることができる。
【0055】
図9は、本実施の形態における判定結果情報のデータ構成の他の例を示す図である。
図6では、変更要否の判定の範囲をファイル単位とした例を示しているが、
図9では、文書ファイルの内部構造にまで踏み込んで、章、項、設等文書を構成する一部の記載単位と細かくした例を示している。なお、本実施の形態では、判定結果の違いを章や節を囲む枠内にパターンを付けることによって示しているが、この例に限らず、例えば表示色等の表示形態を変えることで示してもよい。
【0056】
図10は、本実施の形態において取り扱う外部情報及び入力情報の他の例を示す図である。
図3では、外部情報としてツイッターを参照した場合の例を示したが、
図10では、ホームページに対するアクセスログを参照する場合の例である。そして、
図10には、ホームページのアクセスログから生成した入力情報の例が合わせて示されている。
図10には、食品衛生法の表示義務に関連する語句に対するアクセス数が示されているが、この数値例によると、ビタミンCに対するアクセス数が1000件と相対的に少ない。つまり、学習モデルは、社内情報でビタミンCに関する表示をしていないことを確認すると、法改正に伴い表示が義務化されたビタミンCに対しては、現段階で表示させるために社内情報の変更は必要と判定すると共に、この入力情報から将来においても消費者の関心は薄いことが想定されると判断して社内情報の将来的な変更も不要と判定する。
【0057】
図11は、本実施の形態において取り扱う外部情報の他の例を示す図である。
図11には、他社のプレリリースの記事が示されている。
【0058】
本実施の形態では、変更対象の候補となる範囲(上記例でいうファイル又は章、節等)毎に、判定結果を示したが、その判定結果を得た理由を合わせて判定結果情報に含めて提供するようにしてもよい。理由としては、前述した例の他に、例えば、将来的な変更が必要と判定したのは、現時点ではアクセス数が少ない(つまり、消費者の関心は薄い)けれども、アクセス数が今後増加する見込みである。また、今後変更による対応が必要であると判定したのは、現在のところ表示義務はないけれども、他社のプレリリースを参照すると、他社は自社製品の成分に関して情報開示している、などである。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、法改正に伴い社内情報の変更が必要となるのかどうかを、法改正情報や社内の情報だけでなく、法改正に関する外部情報をも参照して判定することができる。
【0060】
上記実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0061】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 企業システム、2 データベース(DB)サーバ、3 PC、4 LAN、5 インターネット、10 情報処理装置、11 改正点取得部、12 変更候補抽出部、13 外部関連情報取得部、14 入力情報生成部、15 変更要否判定部、16 情報提供部、21 社内情報レポジトリ。