(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/015 20060101AFI20240214BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/14 301
(21)【出願番号】P 2020009205
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】片倉 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-066414(JP,A)
【文献】特開2017-213696(JP,A)
【文献】特開2012-045780(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動素子およびノズルを備えた液体吐出ヘッドを用い、前記駆動素子に駆動パルスを印加することにより前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出方法であって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得工程と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定工程と、
前記決定工程において決定された前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する駆動工程と、を含み、
前記決定工程において、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付け
であって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定方法により前記駆動パルスを決定することを特徴とする液体吐出方法。
【請求項2】
前記第1吐出特性は、前記駆動素子の駆動周波数であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルからの液体の吐出量であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項3】
前記第1吐出特性は、前記駆動素子の駆動周波数であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルからの前記液体の吐出速度であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項4】
前記第1吐出特性は、前記駆動素子の駆動周波数であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の吐出方向の基準方向に対する角度であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項5】
前記第1吐出特性は、前記駆動素子の駆動周波数であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の分布のアスペクト比であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項6】
前記第1吐出特性は、前記ノズルからの液体の吐出量であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルからの前記液体の吐出速度であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項7】
前記第1吐出特性は、前記ノズルからの液体の吐出量であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の吐出方向の基準方向に対する角度であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項8】
前記第1吐出特性は、前記ノズルからの液体の吐出量であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の分布のアスペクト比であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項9】
前記第1吐出特性は、前記ノズルからの前記液体の吐出速度であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の吐出方向の基準方向に対する角度であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項10】
前記第1吐出特性は、前記ノズルからの前記液体の吐出速度であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の分布のアスペクト比であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項11】
前記第1吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の吐出方向の基準方向に対する角度であって、
前記第2吐出特性は、前記ノズルから吐出された前記液体の分布のアスペクト比であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
【請求項12】
前記駆動パルスは、第1電位と、前記第1電位と異なる第2電位であって前記第1電位よりも後に印加される前記第2電位と、前記第1電位および前記第2電位と異なる第3電位であって前記第2電位よりも後に印加される前記第3電位と、を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
【請求項13】
前記第1電位は、前記第2電位と前記第3電位の間の電位であることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出方法。
【請求項14】
前記第2電位は、前記第1電位よりも低く、
前記第3電位は、前記第1電位よりも高いことを特徴とする請求項13に記載の液体吐出方法。
【請求項15】
前記第2電位は、前記第1電位よりも高く、
前記第3電位は、前記第1電位よりも低いことを特徴とする請求項13に記載の液体吐出方法。
【請求項16】
前記決定工程において、複数の前記駆動パルスの中から前記駆動工程において印加する1つの駆動パルスを決定することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
【請求項17】
前記決定工程において、前記取得工程で取得された前記記録条件に基づいて前記複数の駆動パルスの中から前記駆動工程において印加する前記1つの駆動パルスを自動アルゴリズムの適用により決定することを特徴とする請求項16に記載の液体吐出方法。
【請求項18】
前記駆動パルスは、変更可能な複数の要因を含み、
前記複数の要因は、第1要因と、前記第1要因と異なる第2要因と、を少なくとも含み、
前記決定工程において、前記第1要因を固定し、且つ、前記第2要因を漸次異ならせて前記駆動パルスを前記駆動素子に印加したときの駆動結果を取得し、前記複数の駆動パルスの中から前記駆動工程において印加する前記1つの駆動パルスを前記駆動結果に基づいて決定することを特徴とする請求項16または17に記載の液体吐出方法。
【請求項19】
前記決定工程において、
前記第1要因を第1所定条件に固定し、且つ、前記第2要因を漸次異ならせて前記駆動パルスを前記駆動素子に印加したときの第1駆動結果を取得し、前記第1要因が前記第1所定条件に固定された前記複数の駆動パルスの中から前記駆動工程において印加する候補の前記駆動パルスである第1候補パルスを前記第1駆動結果に基づいて決定し、
前記第1要因を前記第1所定条件と異なる第2所定条件に固定し、且つ、前記第2要因を漸次異ならせて前記駆動パルスを前記駆動素子に印加したときの第2駆動結果を取得し、前記第1要因が前記第2所定条件に固定された前記複数の駆動パルスの中から前記駆動工程において印加する候補の前記駆動パルスである第2候補パルスを前記第2駆動結果に基づいて決定し、
前記第1候補パルスと前記第2候補パルスとを少なくとも含む複数の候補パルスの中から前記駆動工程において印加する前記1つの駆動パルスを決定する
ことを特徴とする請求項18に記載の液体吐出方法。
【請求項20】
前記決定工程において決定された前記1つの駆動パルスの波形を表す波形情報を前記液体吐出ヘッドの識別情報に紐付けられた状態で記憶部に記憶させる記憶工程を更に含むことを特徴とする請求項16から19のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
【請求項21】
前記記憶工程において、前記記憶部の外部にあるコンピューターにより、前記識別情報に紐付けられた前記波形情報を送信することにより前記波形情報を前記識別情報に紐付けられた状態で前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項20に記載の液体吐出方法。
【請求項22】
前記第3電位は、前記第1電位と前記第2電位の間の電位であることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出方法。
【請求項23】
駆動パルスに従ってノズルに液体を吐出させる駆動素子を備えた液体吐出ヘッドにおける前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを決定するための駆動パルス決定プログラムであって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得機能と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定機能と、をコンピューターに実現させ、
前記決定機能は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付け
であって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定手順により前記駆動パルスを決定することを特徴とする駆動パルス決定プログラム。
【請求項24】
駆動素子およびノズルを備えた液体吐出ヘッドを含み、前記駆動素子に駆動パルスを印加することにより前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出装置であって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得部と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定部と、
前記決定部において決定された前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する駆動部と、を含み、
前記決定部は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付け
であって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定手順により前記駆動パルスを決定することを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動素子に駆動パルスを印加することにより前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出方法、駆動パルス決定プログラム、および、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動素子に駆動パルスを印加することによりノズルからインクを吐出させる記録ヘッドが知られている。特許文献1には、2つのパルス部を含む矩形波状の駆動信号を記録ヘッドの発熱素子に印加する記録方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、駆動素子が圧電素子である場合、特許文献1に示されるような矩形波状の駆動パルスは駆動素子に適合しない。また、近年では、ノズルからの液滴の吐出量、ノズルからの液滴の吐出速度、ドットの被覆率等といった種々のパラメーターによって異なる記録条件が求められており、求められる記録条件に応じて適切な駆動パルスを駆動素子に印加することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液体吐出方法は、駆動素子およびノズルを備えた液体吐出ヘッドを用い、前記駆動素子に駆動パルスを印加することにより前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出方法であって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得工程と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定工程と、
前記決定工程において決定された前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する駆動工程と、を含み、
前記決定工程において、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けであって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定方法により前記駆動パルスを決定する、態様を有する。
【0006】
また、本発明の駆動パルス決定プログラムは、駆動パルスに従ってノズルに液体を吐出させる駆動素子を備えた液体吐出ヘッドにおける前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを決定するための駆動パルス決定プログラムであって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得機能と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定機能と、をコンピューターに実現させ、
前記決定機能は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けであって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定手順により前記駆動パルスを決定する、態様を有する。
【0007】
更に、本発明の液体吐出装置は、駆動素子およびノズルを備えた液体吐出ヘッドを含み、前記駆動素子に駆動パルスを印加することにより前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出装置であって、
前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッドからの前記液体の第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件を取得する取得部と、
前記駆動素子に印加する前記駆動パルスを前記記録条件に基づいて決定する決定部と、
前記決定部において決定された前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する駆動部と、を含み、
前記決定部は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けであって、前記第1吐出特性と前記第2吐出特性とを含む前記記録条件により決定される前記各記録条件の仮駆動パルスを表す値を用い、前記第1吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、前記第2吐出特性により決定される仮駆動パルスを表す値と、に対して重み付けを行って決定する決定手順により前記駆動パルスを決定する、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】駆動パルス生成システムの構成例を模式的に示す図。
【
図2】液体吐出ヘッドのノズル面の例を模式的に示す図。
【
図3】繰り返される駆動パルスを含む駆動信号の電位の変化例を模式的に示す図。
【
図5】
図5A,5Bは、繰り返される駆動パルスを含む駆動信号の電位の変化例を模式的に示す図。
【
図6】目標吐出特性テーブルの例を模式的に示す図。
【
図8】
図8A,8Bは吐出液体形状の検出例を模式的に示す図。
【
図9】
図9Aはドットの被覆率CRの検出例を模式的に示す図、
図9Bはにじみ量FTの検出例を模式的に示す図、
図9Cはブリーディング量BDの検出例を模式的に示す図。
【
図10】駆動パルス設定手順の例を示すフローチャート。
【
図11】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図12】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図13】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図14】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図15】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図16】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図17】駆動パルス決定手順の例を示すフローチャート。
【
図19】液体の吐出量VMに応じて第3電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図20】液体の吐出速度VCに応じて第3電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図21】駆動周波数f0に応じて第3電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図22】アスペクト比ARに応じて第3電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図23】液体の吐出量VMに応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図24】液体の吐出量VMに応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図25】駆動周波数f0と吐出量VMに応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図26】液体の吐出速度VCに応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図27】駆動周波数f0に応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図28】アスペクト比ARに応じて第1電位が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図29】液体の吐出速度VCに応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図30】液体の吐出角度θに応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図31】駆動周波数f0に応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図32】液体の吐出量VMに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図33】液体の吐出速度VCに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図34】アスペクト比ARに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図35】液体の吐出角度θに応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図36】アスペクト比ARに応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図37】液体の吐出量VMに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図38】液体の吐出量VMに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図39】液体の吐出量VMに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図40】液体の吐出速度VCに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図41】液体の吐出速度VCに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図42】液体の吐出速度VCに応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図43】駆動周波数f0に応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図44】駆動周波数f0に応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図45】駆動周波数f0に応じて第2電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図46】液体の吐出角度θに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図47】液体の吐出角度θに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図48】液体の吐出角度θに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図49】アスペクト比ARに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図50】アスペクト比ARに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図51】アスペクト比ARに応じて第3電位時間が異なる駆動パルスを決定する例を模式的に示す図。
【
図52】駆動パルス決定処理の例を示すフローチャート。
【
図53】駆動パルスに含まれる複数の要因の例を模式的に示す図。
【
図54】仮パルス設定処理の例を示すフローチャート。
【
図55】駆動パルス決定処理の例を示すフローチャート。
【
図56】サーバーを含む駆動パルス生成システムの構成例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の
図1~56は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
【0011】
本技術の一態様に係る液体吐出方法は、駆動素子31およびノズル13を備えた液体吐出ヘッド11(例えば
図1参照)を用い、前記駆動素子31に駆動パルスP0(例えば
図3参照)を印加することにより前記ノズル13から液体LQを吐出させる方法であって、取得工程ST1(例えば
図10のステップS102)、決定工程ST2(例えば
図10のステップS104)、および、駆動工程ST3(例えば
図10のステップS106)を含んでいる。本方法は、前記取得工程ST1において、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件400を取得する。本方法は、前記決定工程ST2において、前記駆動素子31に印加する前記駆動パルスP0を前記記録条件400に基づいて決定する。本方法は、前記駆動工程ST3において、前記決定工程ST2で決定された前記駆動パルスP0を前記駆動素子31に印加する。更に、本方法は、前記決定工程ST2において、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定方法により前記駆動パルスP0を決定する。
【0012】
上記態様では、記録条件400に基づいて第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けがされた決定方法により決定された駆動パルスP0が駆動素子31に印加されるので、液体LQを吐出する液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与される。従って、上記態様は、様々な吐出特性を実現可能な液体吐出方法を提供することができる。また、液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与されると、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性が付与される。
前記駆動パルスは、第1電位と、前記第1電位と異なる第2電位であって前記第1電位よりも後に印加される前記第2電位と、前記第1電位および前記第2電位と異なる第3電位であって前記第2電位よりも後に印加される前記第3電位と、を含んでいてもよい。本液体吐出方法は、本液体吐出方法は、前記決定工程ST2において決定された前記1つの駆動パルスP0の波形を表す波形情報60を前記液体吐出ヘッド11の識別情報IDに紐付けられた状態で記憶部に記憶させる記憶工程ST4(例えば
図10のステップS110)を更に含んでいてもよい。ここで、記憶部は、例えば、
図1に示す液体吐出ヘッド11を含む装置10のメモリー43でもよいし、コンピューター200の記憶装置204でもよいし、
図56に示すサーバー250の記憶装置254でもよい。
【0013】
また、本技術の一態様に係る駆動パルス決定プログラムPR0は、駆動パルスP0に従ってノズル13に液体LQを吐出させる駆動素子31を備えた液体吐出ヘッド11における前記駆動素子31に印加する前記駆動パルスP0を決定するためのプログラムであって、取得機能FU1と決定機能FU2とをコンピューター200に実現させる。前記取得機能FU1は、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件400を取得する。前記決定機能FU2は、前記駆動素子31に印加する前記駆動パルスP0を前記記録条件400に基づいて決定する。当該決定機能FU2は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定手順により前記駆動パルスP0を決定する。
上記態様は、様々な吐出特性を実現可能な駆動パルス決定プログラムを提供することができる。本駆動パルス決定プログラムPR0は、駆動工程ST3に対応する印加制御機能FU3、および、記憶工程ST4に対応する記憶機能FU4を更にコンピューター200に実現させてもよい。
【0014】
更に、本技術の一態様に係る液体吐出装置は、駆動素子31およびノズル13を備えた液体吐出ヘッド11を含み、前記駆動素子31に駆動パルスP0を印加することにより前記ノズル13から液体LQを吐出させる装置であって、取得部U1、決定部U2、および、駆動部U3を含んでいる。ここで、液体吐出装置は、例えば、
図1に示す装置10でもよいし、装置10とコンピューター200との複合装置でもよい。前記取得部U1は、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第1吐出特性と、前記液体吐出ヘッド11からの前記液体LQの第2吐出特性であって前記第1吐出特性と異なる前記第2吐出特性と、を含む記録条件400を取得する。前記決定部U2は、前記駆動素子31に印加する前記駆動パルスP0を前記記録条件400に基づいて決定する。前記駆動部U3は、前記決定部U2において決定された前記駆動パルスP0を前記駆動素子31に印加する。前記決定部U2は、前記第1吐出特性が前記第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定手順により前記駆動パルスP0を決定する。
上記態様は、様々な吐出特性を実現可能な液体吐出装置を提供することができる。本液体吐出装置は、記憶工程ST4に対応する記憶処理部U4を更に含んでいてもよい。
【0015】
ここで、記録条件は、液体吐出ヘッドから液体を吐出させる時の条件を意味し、液体吐出ヘッドからの液体の吐出特性、および、液体吐出ヘッドから吐出される液体によって記録媒体に形成されるドットの状態を含む。
本願における「第1」、「第2」、「第3」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。
本願における電位変化率は、電位の変化がプラス方向であってもマイナス方向であっても電位の変化がある場合に正の値で表されるものとする。
【0016】
更に、本技術は、駆動パルス決定方法、液体吐出装置を含むシステム、液体吐出装置を含むシステムの制御方法、液体吐出装置を含むシステムの制御プログラム、前述のいずれかのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。液体吐出装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0017】
(2)駆動パルス生成システムの具体例:
図1は、本技術の液体吐出方法を実施するためのシステム例として駆動パルス生成システムSYの構成を模式的に示している。
図2は、液体吐出ヘッド11のノズル面14の例を模式的に示している。
図1に示す駆動パルス生成システムSYは、液体吐出ヘッド11を含む装置10、コンピューター200、および、駆動素子31の駆動結果を検出する検出装置300を含んでいる。
【0018】
図1に示す液体吐出ヘッド11は、積層方向D11の順に、ノズルプレート12、流路基板20、振動板30、および、複数の駆動素子31を含んでいる。尚、本技術を実施するための液体吐出ヘッドの構造は、
図1に示す構造に限定されず、ノズルプレート12と流路基板20が一体成形された構造、流路基板20が複数に分割された構造、流路基板20と振動板30が一体成形された構造、等でもよい。液体吐出ヘッド11は、更に、液体LQの吐出を制御する吐出制御回路32を含んでいる。
【0019】
ノズルプレート12は、
図2に示すように複数のノズル13を有し、流路基板20に接合されている。各ノズル13は、ノズルプレート12を積層方向D11へ貫通した貫通穴であり、ノズルプレート12において流路基板20とは反対側のノズル面14から液体LQを液滴DRとして吐出する。液滴DRは、記録媒体MDの表面に着弾すると、ドットDTに変わる。
図1に示すノズル面14は平坦な面であるが、ノズル面は平坦面に限定されない。ノズルプレート12は、例えば、ステンレス鋼といった金属、または単結晶シリコン等の材料で形成することができる。
【0020】
図2に示すノズル面14には、シアンの液滴を吐出する複数のノズル13cを有するシアンノズル列、マゼンタの液滴を吐出する複数のノズル13mを有するマゼンタノズル列、イエローの液滴を吐出する複数のノズル13yを有するイエローノズル列、および、ブラックの液滴を吐出する複数のノズル13kを有するブラックノズル列が配置されている。複数のノズル13c、複数のノズル13m、複数のノズル13y、および、複数のノズル13kは、それぞれ、ノズル並び方向D13へ並べられている。ノズル13は、ノズル13c,13m,13y,13kを総称している。ノズル並び方向D13は、搬送方向D12と一致してもよいし、搬送方向D12と異なっていてもよい。尚、ノズル列に含まれる複数のノズルは、千鳥状に並べられてもよい。また、ノズル列に含まれる各ノズルから吐出される液滴の色は、シアンよりも低濃度のライトシアン、マゼンタよりも低濃度のライトマゼンタ、イエローよりも高濃度のダークイエロー、ブラックよりも低濃度のライトブラック、オレンジ、グリーン、透明、等でもよい。むろん、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラックのうち一部の色の液滴を吐出しない液体吐出ヘッドにも、本技術を適用可能である。
【0021】
流路基板20は、ノズルプレート12と振動板30に挟まれた状態において、液体LQが流れる順に、共通液室21、複数の供給路22、複数の圧力室23、および、複数の連通路24を流路として有している。供給路22、圧力室23、および、連通路24の組合せは、各ノズル13に繋がっている個別流路である。各連通路24は、圧力室23とノズル13とを連通させている。
図1に示す圧力室23は、振動板30に接し、ノズルプレート12から離れている。共通液室21には、液体カートリッジ25から液体LQが供給される。共通液室21の液体LQは、各個別流路に分かれて各ノズル13に供給される。むろん、流路の構造は、
図1に示す構造に限定されず、圧力室がノズルプレートに接している構造等でもよい。流路基板20は、例えば、シリコン基板、金属、セラミックス、等の材料で形成することができる。
【0022】
振動板30は、弾性を有し、圧力室23を塞ぐように流路基板20に接合されている。
図1に示す振動板30は、圧力室の壁面の一部を構成している。振動板30は、例えば、酸化シリコン、金属酸化物、セラミックス、合成樹脂、等の材料で形成することができる。
【0023】
各駆動素子31は、圧力室23に対応する位置において、振動板30に接合されている。本具体例の各駆動素子31は、繰り返される駆動パルスを含む駆動信号COMに従って伸縮する圧電素子であるものとする。圧電素子は、例えば、圧電体、第1電極、および、第2電極を備え、第1電極と第2電極の間に印加される電圧に応じて伸縮する。
図1に示す駆動素子31は、第1電極、第2電極、および、第1電極と第2電極との間の圧電体層を備える層状の圧電素子である。複数の駆動素子31は、第1電極、第2電極、および、圧電体層の少なくとも1種類が分かれていればよい。従って、複数の駆動素子31において、第1電極が繋がっている共通電極でもよいし、第2電極が繋がっている共通電極でもよいし、圧電体層が繋がっていてもよい。第1電極と第2電極は、例えば、白金といった金属、ITOと略される酸化インジウムスズといった導電性金属酸化物、等の導電材料で形成することができる。圧電体は、例えば、PZTと略されるチタン酸ジルコン酸鉛、非鉛系ペロブスカイト型酸化物、といったペロブスカイト構造を有する材料等で形成することができる。
尚、駆動素子31は、圧電素子に限定されず、発熱により圧力室内に気泡を発生させる発熱素子等でもよい。
【0024】
吐出制御回路32は、印刷信号SIで表される吐出タイミングにおいて駆動信号COMに従った電圧を各駆動素子31に印加することにより、各ノズル13からの液滴DRの吐出を制御する。吐出制御回路32は、液滴DRの吐出タイミングでなければ駆動信号COMに従った電圧を駆動素子31に供給しない。吐出制御回路32は、例えば、COFと略されるChip On Filmといった集積回路で形成することができる。
【0025】
尚、液体LQには、インク、光硬化性樹脂といった合成樹脂、液晶、エッチング液、生体有機物、潤滑液、等、広く含まれる。インクには、染料等が溶媒に溶解した溶液、顔料や金属粒子といった固形粒子が分散媒に分散したゾル、等、広く含まれる。
記録媒体MDは、複数の液滴により形成される複数のドットを保持する素材である。記録媒体には、紙、合成樹脂、金属、等を用いることができる。記録媒体の形状は、長方形、ロール状、略円形、長方形以外の多角形、立体形状、等、特に限定されない。
【0026】
液体吐出ヘッド11を含む装置10は、装置本体40、および、記録媒体MDを搬送する搬送部50を含んでいる。
【0027】
装置本体40は、外部I/F41、バッファー42、メモリー43、制御部44、駆動信号生成回路45、内部I/F46、等を含んでいる。ここで、I/Fは、インターフェイスの略称である。これらの要素41~46等は、電気的に接続されていることにより互いに情報を入出力可能である。
【0028】
外部I/F41は、コンピューター200との間でデータを送受信する。外部I/F41は、コンピューター200から印刷データを受信すると、該印刷データをバッファー42に格納する。バッファー42は、受信された印刷データを一時的に格納したり、印刷データから変換されたドットパターンデータを一時的に格納したりする。バッファー42には、例えば、RAMと略されるRandom Access Memoryといった半導体メモリー等を用いることができる。メモリー43は、不揮発性であり、液体吐出ヘッド11の識別情報ID、駆動パルスの波形を表す波形情報60、等を記憶する。メモリー43には、例えば、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー等を用いることができる。制御部44は、印刷データをドットパターンデータに変換する処理、ドットパターンデータに基づいて印刷信号SIおよび搬送信号PFを生成する処理、等、装置10におけるデータ処理や制御を中心的に行う。印刷信号SIは、駆動信号COMにおいて繰り返される駆動パルスを各駆動素子31に印加するか否かを表している。搬送信号PFは、搬送部50を駆動させるか否かを表している。制御部44には、例えば、SoC、CPUとROMとRAMを含む回路、等を用いることができる。ここで、SoCはSystem on a Chipの略称であり、CPUはCentral Processing Unitの略称であり、ROMはRead Only Memoryの略称である。駆動信号生成回路45は、波形情報60に従って駆動パルスを繰り返す駆動信号COMを生成し、該駆動信号COMを内部I/F46に出力する。内部I/F46は、液体吐出ヘッド11にある吐出制御回路32に駆動信号COM、印刷信号SI、等を出力し、搬送部50に搬送信号PFを出力する。
尚、吐出制御回路32は、装置本体40に配置されてもよい。
【0029】
搬送部50は、搬送信号PFが駆動を表している時、記録媒体MDを搬送方向D12へ移動させる。記録媒体MDを移動させることは、紙送りとも呼ばれる。
【0030】
コンピューター200は、プロセッサーであるCPU201、半導体メモリーであるROM202、半導体メモリーであるRAM203、記憶装置204、入力装置205、出力装置206、通信I/F207、等を有している。これらの要素201~207等は、電気的に接続されていることにより互いに情報を入出力可能である。
【0031】
記憶装置204は、駆動パルス決定プログラムPR0、後述する目標吐出特性テーブルTA1、等の情報を記憶している。CPU201は、記憶装置204に記憶されている情報を適宜、RAM203に読み出し、駆動パルスを決定する処理を行う。記憶装置204には、ハードディスクといった磁気記憶装置、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリー、等を用いることができる。入力装置205には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示装置の表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。出力装置206には、液晶表示パネルといった表示装置、音声出力装置、印刷装置、等を用いることができる。通信I/F207は、外部I/F41に接続され、装置10との間でデータを送受信する。また、通信I/F207は、検出装置300に接続され、検出装置300との間でデータを送受信する。
【0032】
検出装置300は、駆動素子31に駆動パルスを印加したときの駆動結果を検出する。検出装置300には、カメラ、ビデオカメラ、重量計、等を用いることができる。
【0033】
図3は、繰り返される駆動パルスを含む駆動信号の電位の変化例を模式的に示している。
図3において、横軸は時間tを示し、縦軸は電位Eを示している。
図3の下部には、駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0の電位の変化例を模式的に示している。
図3に示すように、駆動信号COMは、周期T0で繰り返される駆動パルスP0を含んでいる。駆動パルスP0は、ノズル13から液滴DRが吐出されるように駆動素子31を駆動させる電位の変化の単位を意味する。駆動パルスP0の周波数、すなわち、駆動素子31の駆動周波数f0は、1/T0である。
【0034】
図3の下部に示す駆動パルスP0の電位Eは、第1電位E1の状態s1、第1電位E1から第2電位E2に変化する状態s2、第2電位E2の状態s3、第2電位E2から第3電位E3に変化する状態s4、第3電位E3の状態s5、および、第3電位E3の状態s5から第1電位E1に戻る状態s6を含んでいる。従って、駆動パルスP0は、第1電位E1と、第1電位E1と異なる第2電位E2と、第1電位E1および第2電位E2と異なる第3電位E3と、をこの順に含んでいる。つまり、第2電位E2は、第1電位E1よりも後に駆動素子31に印加される電位である。また、第3電位E3は、第1電位E1および第2電位E2よりも後に駆動素子31に印加される電位である。第1電位E1は、第2電位E2と第3電位E3の間の電位である。
図3に示す第2電位E2は、第1電位E1よりも低い。
図3に示す第3電位E3は、第1電位E1よりも高く、第2電位E2よりも高い。1サイクルの周期T0は、状態s1と状態s2の間のタイミングt1、状態s2と状態s3の間のタイミングt2、状態s3と状態s4の間のタイミングt3、状態s4と状態s5の間のタイミングt4、状態s5と状態s6の間のタイミングt5、および、状態s6が終わるタイミングt6を含んでいる。また、1サイクルの周期T0は、タイミングt1からタイミングt2までの時間T1、タイミングt2からタイミングt3までの時間T2、タイミングt3からタイミングt4までの時間T3、タイミングt4からタイミングt5までの時間T4、および、タイミングt5からタイミングt6までの時間T5を含んでいる。すなわち、時間T1~T5は、電位Eがそれぞれ状態s2~s6である時間である。また、タイミングt6から次の駆動パルスP0のタイミングt1までの時間をT6とすると、周期T0は時間T1~T6の合計である。
【0035】
ここで、第1電位E1と第2電位E2の差分をd1とし、第2電位E2と第3電位E3の差分をd2とする。差分d1,d2は、以下に示す式のように、正の値で表されるものとする。
d1=|E1-E2|
d2=|E3-E2|
また、電位Eが変化する状態s2,s4,s6における電位Eの変化率を、それぞれ、ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)とする。電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)は、以下に示す式のように、電位Eが変化しない場合を0として正の値で表されるものとする。
ΔE(s2)=|E1-E2|/T1
ΔE(s4)=|E3-E2|/T3
ΔE(s6)=|E3-E1|/T5
すなわち、電位変化率ΔE(s2)は差分d1が大きいほど大きく、電位変化率ΔE(s4)は差分d2が大きいほど大きく、電位変化率ΔE(s6)は第3電位E3と第1電位E1との差分が大きいほど大きい。
以下、状態s1~s6、タイミングt1~t6、時間T1~T6、差分d1,d2、および、電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)を用いた説明を行う。
【0036】
図4は、駆動信号COMに従って液滴DRを吐出する液体吐出ヘッド11の動作例を模式的に示している。
図4の上段は、駆動パルスP0が第1電位E1に維持されている状態s1の或る瞬間における液体吐出ヘッド11の様子を例示している。駆動パルスP0の電位Eが一定である時、駆動素子31の動作は停止している。駆動パルスP0が第1電位E1から第2電位E2に変化すると、駆動パルスP0が印加された駆動素子31は、圧力室23が広がるように変形する。圧力室23が広がると、液体LQのメニスカスMNがノズル面14から奥の方へ引き込まれ、供給路22から圧力室23に液体LQが供給される。
図4の中段は、駆動パルスP0が第2電位E2に維持されている状態s3の或る瞬間における液体吐出ヘッド11の様子を例示している。
【0037】
駆動パルスP0が第2電位E2から第3電位E3に変化すると、駆動パルスP0が印加された駆動素子31は、圧力室23が狭まるように変形する。圧力室23が狭まると、ノズル13から液滴DRが吐出される。
図4の下段は、駆動パルスP0が第3電位E3に維持されている状態s5の或る瞬間における液体吐出ヘッド11の様子を例示している。液滴DRの吐出方向D1は、ノズル面14から離れる方向であるが、ノズル面14と直交する方向に限定されない。液滴DRは、メイン液滴DR1と、該メイン液滴DR1よりも小さいサテライトDR2と、に分かれることがあり、サテライトDR2よりも小さい孫サテライトDR3を含むことがある。孫サテライトDR3は、記録媒体MDに着弾しないことがあり、ノズル13の近くのノズル面14に付着することがある。ノズル面14に付着した孫サテライトDR3は、後続の液滴DRの吐出方向D1に影響を与えることがある。
【0038】
駆動パルスP0が第3電位E3から第1電位E1に戻ると、駆動パルスP0が印加された駆動素子31は、圧力室23が元の大きさまで広がるように変形する。圧力室23が元の大きさまで広がると、供給路22から圧力室23に液体LQが供給される。従って、液体吐出ヘッド11は、
図4の下段に示す状態から
図4の上段に示す状態に戻る。
【0039】
駆動パルスP0は、ノズル13から液滴DRを吐出させることができればよいため、
図3に示す波形に限定されない。例えば、駆動パルスP0の電位Eに対する駆動素子31の動きが
図3,4に示す例とは逆の向きである場合、
図5Aに示す駆動パルスP0が駆動素子31に印加されてもよい。例えば振動板30と駆動素子31の積層が逆の構造の場合等である。また、
図5Bに示す駆動パルスP0が駆動素子31に印加されてもよい。
【0040】
図5Aに示す駆動パルスP0の第1電位E1も、第2電位E2と第3電位E3の間の電位である。ただ、
図5Aに示す第2電位E2は、第1電位E1よりも高い。
図5Aに示す第3電位E3は、第1電位E1よりも低く、第2電位E2よりも低い。
図5Aに示す駆動パルスP0でも、
図4に示す液体吐出ヘッド11の動作が実現される。
図5Bに示す駆動パルスP0の第2電位E2は、第1電位E1よりも低い。
図5Bに示す第3電位E3は、第1電位E1よりも低く、第2電位E2よりも高い。
図5Bに示す駆動パルスP0でも、駆動パルスP0が第2電位E2から第3電位E3に変化することにより圧力室23が狭まるように駆動素子31が変形するので、ノズル13から液滴DRが吐出される。
【0041】
むろん、駆動パルスP0は、
図5Bに示す波形を上下逆にした波形等、更に様々な波形にすることができる。いずれの波形でも、状態s1~s6、タイミングt1~t6、時間T1~T6、差分d1,d2、および、電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)を含むパラメーター群により表すことができる。
【0042】
駆動パルスP0の各状態s1~s6が変わると、液体吐出ヘッド11からの液体LQの吐出特性が変わる。そこで、吐出特性に応じて波形が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加すると、液体LQを吐出する液体吐出ヘッド11に吐出特性に応じた様々な吐出特性を付与することができる。
また、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTの状態は、記録媒体MDの種類、液体LQの性質、等に応じて異なる。ここで、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTの状態を、紙面上特性と呼ぶことにする。紙面上特性に応じて波形が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加すると、液体LQを吐出する液体吐出ヘッド11に紙面上特性に応じた様々な吐出特性を付与することができる。
【0043】
本具体例では、吐出特性と紙面上特性を含む記録条件に応じて波形が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加することにより、液体LQを吐出する液体吐出ヘッド11に記録条件に応じた様々な吐出特性を付与することにしている。以下、吐出特性と紙面上特性を説明する。
【0044】
(3)吐出特性の具体例:
図6は、目標吐出特性テーブルTA1の例を模式的に示している。目標吐出特性テーブルTA1は、例えば、
図1に示すコンピューター200の記憶装置204に記憶され、駆動パルスP0の波形を決定するために使用される。目標吐出特性テーブルTA1には、駆動周波数f0、吐出量VM、吐出速度VC、吐出角度θ、アスペクト比AR、等といった複数の吐出特性項目のそれぞれについて、目標値と許容範囲が格納されている。便宜上、各吐出特性項目が識別番号No.1~に紐付けられている。
図6に示すように、吐出特性には、駆動周波数f0、吐出量VM、吐出速度VC、吐出角度θ、アスペクト比AR、等が含まれる。
駆動周波数f0は、駆動素子31を駆動する周波数であり、
図3に示すように、駆動パルスP0の周期T0の逆数であり、例えば、kHz単位で表される。吐出量VMは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に所定周期印加された時にノズル13から吐出された液体LQの量を意味し、例えば、1周期におけるノズル13からの液滴DRの体積で表され、pL単位で表される。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度を意味し、例えば、サテライトDR2が生じる場合のメイン液滴DR1、または、サテライトDR2が生じない場合の液滴DRの吐出速度で表され、m/s単位で表される。吐出角度θは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向に対する角度を意味する。アスペクト比ARは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値を意味する。
【0045】
目標値は、駆動パルスP0の波形を決定するために各吐出特性項目が目標としている値を意味する。例えば、駆動素子31の駆動周波数f0の目標値がXXkHzであることは、駆動周波数f0をXXkHzにすることを目標として駆動パルスP0の波形を決定することを意味する。許容範囲は、駆動パルスP0の波形を決定する時に目標値を基準として許容される範囲を意味する。例えば、駆動周波数f0の許容範囲が-YY~+0kHzであることは、駆動周波数f0がXX-YYkHz以上、且つ、XX+0kHz以下であれば駆動パルスP0の波形を採用することを意味する。吐出量VMの許容範囲がプラスマイナスYYpLであることは、吐出量VMがXX-YYpL以上、且つ、XX+YYpL以下であれば駆動パルスP0の波形を採用することを意味する。
【0046】
液体LQの吐出量VMは、例えば、ノズル13から吐出された所定数の液滴DRの重量を液滴数で除した重量値を液体LQの比重で割ることにより算出することができる。この場合、
図1に示す検出装置300に重量計を用いることができる。また液体LQに対する濡れ性が既知である記録媒体に1の液滴DRを付与し、当該記録媒体上に形成されたドットの径や浸透深さと濡れ性から、液体LQの吐出量VMを算出することもできる。
液体LQの吐出速度VCは、例えば、ノズル13から吐出された液体LQをカメラで連続撮影し撮影画像群を解析することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。また後述する角度θが0度である場合、液体吐出ヘッド11を走査させながら液体LQを吐出したとき、記録媒体上に形成されたドットの位置と液体吐出時の液体吐出ヘッド11の位置の間の走査方向における距離と、液体吐出ヘッド11と記録媒体の間の高さ方向における距離との比は、液体吐出ヘッド11の走査速度と、液体LQの吐出速度VCとの比に略一致する。この関係に基づいて、液体の吐出速度VCを算出することもできる。
【0047】
駆動素子31の駆動周波数f0は、例えば、駆動パルスP0を
図3等に示すように視覚的に認識可能な系に表示した後、その形状から求めることができる。また、駆動信号COMの電位の時間変位を測定し、その測定結果から求めてもよい。この場合、検出装置300に電圧計を用いることができる。
【0048】
図7は、ノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の角度θの検出例を模式的に示している。このとき、液体吐出ヘッド11は停止させた状態で液体LQを吐出している。角度θは、ノズル13から吐出される液体LQの理想的な方向を基準方向D0として、ノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度としている。この角度を吐出角度θと呼ぶことにしている。
図7に示す基準方向D0は、ノズル面14と直交する方向である。吐出角度θは、例えば、ノズル面14と記録媒体MDとの間隔L11、および、記録媒体MDにおいてノズル13から基準方向D0にある位置からドットDTが形成された位置までの距離L12を用いてtan
-1(L12/L11)により算出することができる。距離L12は、例えば、ドットDTを有する記録媒体MDをカメラで撮影し撮影画像において距離L12に対応する長さを検出することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。なお
図7中で、吐出されている最中の液体LQを奥行方向から撮影することで直接的に角度θを検出しても良い。また、吐出されている最中の液体LQを下方向から撮影しても良い。
【0049】
図8A,8Bは、吐出液体形状の検出例を模式的に示している。ノズル13から吐出された液体LQには、
図8Aに示すように分かれていない液滴DRのみならず、
図8Bに示すようにメイン液滴DR1とサテライトDR2とに分かれた液滴DRもある。液滴DRには、孫サテライトDR3が生じることがある。また、分かれていない液滴DRでも、柱状に細長い形状になることがある。
そこで、ノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARを吐出液体形状の指標値にしている。アスペクト比ARは、例えば、ノズル13から離れた少し後の液滴DRの空間分布から算出することができる。ここで、液滴DRの空間分布において、最も長い方向における長さをLAとし、前述の方向と直交する方向における長さをLBとすると、アスペクト比はAR=LA/LBとすることができる。液滴DRの空間分布において最も長い方向は吐出方向D1になることが多いので、液滴DRの空間分布において、吐出方向D1における長さをLAとし、吐出方向D1と直交する方向における長さをLBとしてもよい。尚、
図8Aに示すように液滴DRが分かれていなければ、液滴DRの形状におけるLA/LBがアスペクト比ARとなる。この場合、液滴DRが柱状に細長くなればアスペクト比ARが大きくなり、液滴DRが球状に近くなればアスペクト比ARが小さくなる。
図8Bに示すように液滴DRが分かれていれば、液体LQが存在しない空間を含めたLA/LBがアスペクト比ARとなる。この場合、液滴DRに孫サテライトDR3が生じると、アスペクト比ARが大きくなる。
【0050】
アスペクト比ARは、例えば、ノズル13から吐出された液滴DRをカメラで撮影し撮影画像において長さLA,LBを検出することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。
【0051】
(4)紙面上特性の具体例:
図9A~9Cは、紙面上特性の検出例を模式的に示している。紙面上特性には、ドットDTの被覆率CR、にじみ量FT、ブリーディング量BD、等が含まれる。
【0052】
図9Aは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時に形成されたドットDTの被覆率CRの検出例を模式的に示している。被覆率CRは、ノズル13から所定数の液滴DRを吐出したときに記録媒体MDに形成されるドットDTの占有面積の比率であり、記録媒体MDの単位面積に対して所定数の液滴DRを吐出したときに記録媒体MDにおいてドットDTが占める面積の比率ともいえる。
図9Aには、模式的な例として、記録媒体MDの単位面積当たり所定数として9個のドットDTが形成された様子が示されている。ここで、実線で示されるドットDT1は比較的小さいドットであり、二点鎖線で示されるドットDT2は比較的大きいドットである。比較的小さいドットDT1の被覆率CRは、比較的大きいドットの被覆率CRよりも小さい。ドットDTの被覆率CRは、例えば、ドットDTを有する記録媒体MDをカメラで撮影し撮影画像において記録媒体MDのうちドットDTが存在する比率を検出することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。
【0053】
図9Bは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時に形成されたドットDTのにじみ量FTの検出例を模式的に示している。にじみ量FTは、記録媒体MDに対する液体LQのにじみ量であり、液滴DRが記録媒体MDに着弾した部分に対応する本体部Dbからにじみ出たにじみ部Dfの量を表す指標値といえる。液体が記録媒体ににじむ現象は、フェザリングとも呼ばれる。にじみ部Dfの色は本体部Dbの色と異なるため、にじみ部Dfが多くなると色むらとして認識される。ここで、にじみ部Dfは、本体部Dbに本来定着すべき液滴が流れて定着した部分なので、本体部Dbに比べて画像濃度が低くなる。従って、例えば、本体部Dbの画像濃度とにじみ部Dfの画像濃度との閾値を予め記憶しておくことにより、記録媒体MDに形成された画像のうち、前述の閾値よりも画像濃度が低い領域をにじみ部Dfと判定することができ、前述の閾値よりも画像濃度が高い領域を本体部Dbと判定することができる。
【0054】
にじみ量FTは、例えば、本体部Dbの面積に対するにじみ部Dfの面積の比とすることができる。この場合、本体部Dbに対するにじみ部Dfの面積比が大きいほどにじみ量FTが大きいことになる。にじみ量FTは、例えば、ドットDTを有する記録媒体MDをカメラで撮影し撮影画像において本体部Dbの面積に対するにじみ部Dfの面積の比率を検出することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。
また、にじみ量FTは、本体部Dbの外縁からにじみ部Dfの外縁までの長さの平均等でもよい。
【0055】
また、にじみ量FTは、ドット単位、つまりミクロ視点で算出する以外にも、画像単位、つまりマクロ視点で求めてもよい。例えば、ノズル13から液滴DRを100%デューティーで吐出した100%デューティー領域と、ノズル13から液滴DRを吐出していない紙白領域とが隣接するように記録媒体MDに形成し、100%デューティー領域と紙白領域との間のにじみ量FTを上記と同様にして求めてもよい。ここで、100%デューティーは、記録媒体MD上の全画素に液滴DRを着弾させることを意味する。
【0056】
尚、にじみ部Dfが多くなるほど記録媒体MD上のドットDTの重心モーメントが大きくなるので、ドットDTの重心モーメントをにじみ量FTにすることも可能である。ここで、ドットDTの重心モーメントは、例えば、記録媒体MD上のドットDTを画素別に分けた時に画素の位置および濃度から求めた重心位置と、ドットDTの設計上の中心位置と、の距離に各画素の濃度の合計を乗じることにより算出することができる。画素の濃度は、ドットDTのうち当該画素の部分の濃度を意味し、例えば、当該画素の明度から算出することができる。
また、にじみ部Dfが多くなるほど、同じノズル13から複数回吐出された液滴DRにより形成されるドットDTの中心位置のばらつきが大きくなる。このばらつきは、例えば、ドットDTの設計上の中心位置から実際に形成されたドットDTの中心位置までのずれの標準偏差で表される。
【0057】
図9Cは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時に形成されたドットDTのブリーディング量BDの検出例を模式的に示している。ブリーディング量BDは、ノズル13から記録媒体MDに着弾した液滴DR同士のにじみの程度を表し、記録媒体MD上において液滴DR間の表面張力差等に由来して液滴DR同士が引き合うことにより生じる混合部Dmの量を表す指標値といえる。ノズル13から記録媒体MDに着弾した液滴DR同士がにじむ現象は、ブリーディングと呼ばれる。混合部Dmの色は周囲のドットの色と異なるため、混合部Dmが多くなると色むらとして認識される。特に、記録媒体MDに着弾した液滴DR同士の色相が違う場合には、液滴DR同士がにじむと減法混色により色むらが目立ち易い。
【0058】
液体状態でにじんだ混合部Dmを有する2つのドットDTのそれぞれの色相が異なる場合、例えば、次のようにして記録媒体MD上の画像から混合部Dmを判別することができる。ここで、第1の液滴のみにより記録媒体MDに形成された第1ドットの色相角をα1とし、第2の液滴のみにより記録媒体MDに形成された第2ドットの色相角をα1とは異なるα2とし、第1の液滴と第2の液滴とから生じた混合部Dmの色相角をα3とする。混合部Dmの色相角α3は、α1とα2のいずれとも異なる。そこで、混合部Dmを有する2つのドットDTの領域の内、色相角がα1とα2のいずれとも異なる部分を混合部Dmと判定することができ、色相角がα1またはα2である部分を混合部Dmでない領域と判定することができる。尚、ブリーディング以外でもドットの色相はある程度変動することがあるため、混合部Dmでない領域と判定する色相角の条件を少し緩めてもよい。例えば、混合部Dmを有する2つのドットDTの領域の内、α1×9/10以上且つα1×11/10以下ではなく、且つ、α2×9/10以上且つα2×11/10以下でもない色相角を有する部分を混合部Dmと判定することも可能である。
また、混合部Dmは、色相角以外にも、ドットDTの部分的な領域の濃度等により判別することも可能である。部分的な領域の濃度は、例えば、部分的な領域の明度から算出することができる。
【0059】
ブリーディング量BDは、例えば、ドットDTの総面積のうち混合部Dmの面積の比とすることができる。この場合、混合部Dmの面積比が大きいほどブリーディング量BDが大きいことになる。ブリーディング量BDは、例えば、ドットDTを有する記録媒体MDをカメラで撮影し撮影画像においてドットDTの総面積に対する混合部Dmの面積の比率を検出することにより求めることができる。この場合、検出装置300にカメラまたはビデオカメラを用いることができる。
【0060】
また、ブリーディング量BDは、ドット単位、つまりミクロ視点で算出する以外にも、画像単位、つまりマクロ視点で求めてもよい。例えば、ノズル13から第1の液滴を100%デューティーで吐出した第1領域と、ノズル13から第2の液滴を100%デューティーで吐出した第2領域とが隣接するように記録媒体MDに形成し、第1領域と第2領域との間のブリーディング量BDを上記と同様にして求めてもよい。
【0061】
(5)駆動パルス設定手順の具体例:
図10は、吐出特性と紙面上特性を含む記録条件に応じて異なる駆動パルスP0を設定する駆動パルス設定手順の例を示している。駆動パルス設定手順は、駆動パルス決定プログラムPR0を実行するコンピューター200によって行われる。ここで、ステップS102は、取得工程ST1、取得機能FU1、および、取得部U1に対応している。ステップS104は、決定工程ST2、決定機能FU2、および、決定部U2に対応している。ステップS106は、駆動工程ST3、印加制御機能FU3、および、駆動部U3に対応している。ステップS110は、記憶工程ST4、記憶機能FU4、および、記憶処理部U4に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略する。駆動パルス設定手順が行われると、本技術の液体吐出方法が実施される。コンピューター200と装置10は、本技術の液体吐出装置に対応している。
【0062】
コンピューター200は、駆動パルス設定手順に合わせた駆動パルス設定処理を実行する。駆動パルス設定処理が開始すると、コンピューター200は、記録条件400を取得する記録条件取得処理を行う(S102)。コンピューター200は、予め定められたデフォルトの駆動パルスP0を駆動素子31に印加した時の駆動結果に基づいて記録条件400を自動的に取得する。つまり、以降の説明において記録条件400とは、デフォルトの駆動パルスP0に対応付けられた値である。記録条件400を取得する詳細は、後述する。
【0063】
記録条件400の取得後、コンピューター200は、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値の許容範囲に入るように、後のS106において印加する駆動パルスP0を記録条件400に基づいて決定する駆動パルス決定処理を行う(S104)。コンピューター200は、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値の許容範囲に入るように、複数の駆動パルスの中からS106において印加する1つの駆動パルスP0を記録条件400に基づいて自動的に決定してもよい。S106において印加する駆動パルスP0を決定する詳細は、後述する。
【0064】
その後、コンピューター200は、S104において決定された駆動パルスP0を駆動素子31に印加させる印加制御処理を行う(S106)。例えば、コンピューター200は、S104において決定された駆動パルスP0を表す波形情報60を吐出要求とともに装置10に送信してもよい。この場合、液体吐出ヘッド11を含む装置10は、波形情報60を吐出要求とともに受信する処理、波形情報60をメモリー43に記憶する処理、および、波形情報60に従った駆動パルスP0を駆動素子31に印加する処理を行えばよい。その結果、目標値の許容範囲の吐出特性となるようにノズル13から液体LQが吐出され、吐出された液滴DRが記録媒体MDに着弾すると目標値の許容範囲の紙面上特性となるようにドットDTが記録媒体MDに形成される。従って、コンピューター200と装置10とが協働して駆動工程ST3を実施し、コンピューター200と装置10とが駆動部U3となり、コンピューター200が印加制御機能FU3を発揮する。
【0065】
駆動パルスP0の印加後、コンピューター200は、S106において印加された駆動パルスP0を採用するか否かに応じて処理を分岐させる(S108)。例えば、コンピューター200は、印加された駆動パルスP0を採用するユーザーの操作を入力装置205により受け付けると処理をS110に進め、印加された駆動パルスP0を採用しないユーザーの操作を入力装置205により受け付けると処理をS104に戻す。また、コンピューター200は、S106の駆動結果に基づいて駆動パルスP0を採用するか否かを自動的に判断してもよい。
【0066】
条件成立時、コンピューター200は、S104において決定された駆動パルスP0の波形を表す波形情報60を液体吐出ヘッド11の識別情報IDに紐付けられた状態で記憶部に記憶させる記憶処理を行う(S110)。例えば、記憶部が
図1に示す装置10のメモリー43である場合、コンピューター200は、S104において決定された駆動パルスP0を表す波形情報60を記憶要求とともに装置10に送信してもよい。この場合、液体吐出ヘッド11を含む装置10は、波形情報60を記憶要求とともに受信する処理、および、波形情報60をメモリー43に記憶する処理を行えばよい。このようにして、記憶工程ST4において、記憶部の外部にあるコンピューター200により波形情報60を送信することにより波形情報60を識別情報IDに紐付けられた状態で記憶部に記憶させることが行われる。メモリー43に記憶されている波形情報60に従った駆動パルスP0を装置10が駆動素子31に印加すると、記録条件400に応じた吐出特性となるようにノズル13から液体LQが吐出され、記録条件400に応じた紙面上特性となるようにドットDTが記録媒体MDに形成される。
また、コンピューター200が備えている記憶装置204が記憶部でもよい。この場合、コンピューター200は、波形情報60を識別情報IDに紐付けられた状態で記憶装置204に記憶させることになる。詳細は後述するが、コンピューター200に接続されたサーバーコンピューターの記憶装置が記憶部でもよい。
【0067】
駆動パルスP0が記憶されると、
図10に示す駆動パルス設定手順が終了する。
【0068】
(6)駆動パルス決定手順の説明:
図11~17は、
図10のS104において行われる駆動パルス決定手順の例を示している。
図18は、
図11~17のS212,S222,S232,S242,S252,S262,S272において行われる重み付け手順の例を示している。重み付け手順を含む駆動パルス決定手順は、コンピューター200によって行われる。
図11~17のフロー中には、横軸を時間tとし縦軸を電位Eとしたグラフが示されている。これらのグラフにおいて、
図3に示す駆動パルスP0の波形をデフォルトとして、デフォルトの波形から変更された波形が太線で示されている。
本具体例では、
図3,5A,5Bに示す駆動パルスP0の波形を変えることにより液体吐出ヘッド11の吐出特性を制御することができることに着目して、優先度が比較的高い第1吐出特性と優先度が比較的低い第2吐出特性を含む記録条件400に応じて波形が異なる駆動パルスP0を決定することにしている。従って、
図10のS102の記録条件取得手順において、記録条件400が第1吐出特性と第2吐出特性を含んでいることを前提としている。コンピューター200は、S102において、液体吐出ヘッド11からの液体LQの第1吐出特性と、液体吐出ヘッド11からの液体の第2吐出特性であって第1吐出特性と異なる第2吐出特性と、を含む記録条件400を取得する記録条件取得処理を行う。
図11は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図12は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図13は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図14は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図15は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図16は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて第2電位E2である時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。
図17は、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じて第3電位E3である時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する例を示している。尚、第2電位E2の時間T2を第2電位時間T2とも呼ぶことにし、第3電位E3の時間T4を第3電位時間T4とも呼ぶことにする。
【0069】
コンピューター200は、駆動パルス決定手順に合わせた駆動パルス決定処理を実行する。
図11に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた第3電位E3を決定する第3電位決定処理を行う(S212)。コンピューター200は、記録条件400に基づいて第3電位E3を自動的に決定する。第3電位E3を取得する処理は、第3電位E3を決定する処理に含まれる。第3電位E3を決定する詳細は、後述する。
【0070】
第3電位E3の決定後、コンピューター200は、第3電位E3に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S214)。デフォルトの駆動パルスから第3電位E3を変えると、他のパラメーターの一部も変える必要があるからである。
図3を参照して説明すると、駆動パルスP0の他のパラメーターには、状態s2,s4,s6における電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)、第2電位E2の時間T2、第3電位E3の時間T4、周期T0、等が含まれる。コンピューター200は、第3電位E3に基づいて他のパラメーターを自動的に決定してもよい。第3電位E3に応じて異なる複数の駆動パルスが用意されている場合、コンピューター200は、用意されている複数の駆動パルスから第3電位E3が一致するか第3電位E3が最も近い1つの駆動パルスを選択してもよい。この場合も、第3電位E3に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定することに含まれる。尚、用意されている複数の駆動パルスを表す波形情報を記憶装置204に記憶させることにより、コンピューター200は、記憶装置204から読み出した波形情報を駆動パルスの選択処理に利用することができる。他のパラメーターを取得する処理は、駆動パルスP0の各パラメーターを決定する処理に含まれる。
【0071】
図11には、第3電位E3の変更に合わせて、第2電位E2から第3電位E3に変化する状態s4の間における電位変化率ΔE(s4)、および、第3電位E3から第1電位E1に戻る状態s6の間における電位変化率ΔE(s6)を変える例が示されている。前提として、周期T0、および、各時間T1~T6を変えないことにしている。
図11のS214中に示すように、デフォルトの波形から第3電位E3が高くなると、電位変化率ΔE(s4),ΔE(s6)が大きくなる。図示していないが、デフォルトの波形から第3電位E3が低くなると、電位変化率ΔE(s4),ΔE(s6)が小さくなる。
【0072】
第3電位E3に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、第3電位E3の変更に合わせて、第2電位時間T2、および、第1電位E1である時間T6を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t2,t4,t5を変えず、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えないことにしている。デフォルトの波形から第3電位E3が高くなると、第2電位時間T2が短くなり、第1電位E1である時間T6も短くなる。また、第3電位E3の変更に合わせて第3電位時間T4を変える例、第2電位時間T2と電位変化率ΔE(s6)の両方を変える例、等も考えられる。
【0073】
図12に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた第1電位E1を決定する第1電位決定処理を行う(S222)。
図13に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた電位変化率ΔE(s2)を決定する電位変化率決定処理を行う(S232)。
図14に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた電位変化率ΔE(s4)を決定する電位変化率決定処理を行う(S242)。
図15に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた電位変化率ΔE(s6)を決定する電位変化率決定処理を行う(S252)。
図16に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた第2電位時間T2を決定する第2電位時間決定処理を行う(S262)。
図17に示す例の場合、駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、
図10のS102において取得された記録条件400に基づいた第3電位時間T4を決定する第3電位時間決定処理を行う(S272)。いずれの場合も、コンピューター200は、記録条件400に基づいて第1電位E1等の初期パラメーターを自動的に決定してもよい。
【0074】
第1電位E1を取得する処理は、第1電位E1を決定する処理に含まれる。電位変化率ΔE(s2)を取得する処理は、電位変化率ΔE(s2)を決定する処理に含まれる。電位変化率ΔE(s4)を取得する処理は、電位変化率ΔE(s4)を決定する処理に含まれる。電位変化率ΔE(s6)を取得する処理は、電位変化率ΔE(s6)を決定する処理に含まれる。第2電位時間T2を取得する処理は、第2電位時間T2を決定する処理に含まれる。第3電位時間T4を取得する処理は、第3電位時間T4を決定する処理に含まれる。第1電位E1等の初期パラメーターを決定する詳細は、後述する。
【0075】
図12に示す例の場合、コンピューター200は、第1電位E1の決定後、第1電位E1に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S224)。
図13に示す例の場合、コンピューター200は、電位変化率ΔE(s2)の決定後、電位変化率ΔE(s2)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S234)。
図14に示す例の場合、コンピューター200は、電位変化率ΔE(s4)の決定後、電位変化率ΔE(s4)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S244)。
図15に示す例の場合、コンピューター200は、電位変化率ΔE(s6)の決定後、電位変化率ΔE(s6)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S254)。
図16に示す例の場合、コンピューター200は、第2電位時間T2の決定後、第2電位時間T2に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S264)。
図17に示す例の場合、コンピューター200は、第3電位時間T4の決定後、第3電位時間T4に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定するパラメーター決定処理を行う(S274)。デフォルトの駆動パルスから或るパラメーターを変えると、他のパラメーターの一部も変える必要があるからである。
【0076】
コンピューター200は、初期パラメーターに基づいて他のパラメーターを自動的に決定してもよい。初期パラメーターに応じて異なる複数の駆動パルスが用意されている場合、コンピューター200は、用意されている複数の駆動パルスから初期パラメーターが一致するか初期パラメーターが最も近い1つの駆動パルスを選択してもよい。この場合も、初期パラメーターに合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定することに含まれる。尚、用意されている複数の駆動パルスを表す波形情報を記憶装置204に記憶させることにより、コンピューター200は、記憶装置204から読み出した波形情報を駆動パルスの選択処理に利用することができる。他のパラメーターを取得する処理は、駆動パルスP0の各パラメーターを決定する処理に含まれる。
【0077】
図12には、第1電位E1の変更に合わせて、第1電位E1から第2電位E2に変化する状態s2の間における電位変化率ΔE(s2)、および、第3電位E3から第1電位E1に戻る状態s6の間における電位変化率ΔE(s6)を変える例が示されている。前提として、周期T0、および、各時間T1~T6を変えないことにしている。
図12のS224中に示すように、デフォルトの波形から第1電位E1が高くなると、電位変化率ΔE(s2)が大きくなり、電位変化率ΔE(s6)が小さくなる。図示していないが、デフォルトの波形から第1電位E1が低くなると、電位変化率ΔE(s2)が小さくなり、電位変化率ΔE(s6)が大きくなる。
【0078】
第1電位E1に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、第1電位E1の変更に合わせて、第2電位E2である状態s3の時間T2、および、第3電位E3である状態s5の時間T4を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、電位の変化が開始するタイミングt1,t3,t5を変えず、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えないことにしている。デフォルトの波形から第1電位E1が高くなると、状態s3の時間T2が短くなり、状態s5の時間T4が長くなる。また、第1電位E1の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例も考えられる。前提として、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えず、第2電位E2である状態s3の時間T2を変えず、第3電位E3である状態s5の時間T4を変えず、第1電位E1である状態の時間T6も変えないことにしている。デフォルトの波形から第1電位E1が高くなると、状態s2の時間T1が長くなり、状態s6の時間T5が短くなり、時間T1,T5の変化に応じて周期T0が変わる。更に、第1電位E1の変更に合わせて電位変化率ΔE(s2)と第2電位時間T2の両方を変える例、第1電位E1の変更に合わせて電位変化率ΔE(s6)と第3電位時間T4の両方を変える例、等も考えられる。
【0079】
図13には、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて、第3電位E3である状態s5の時間T4を変える例が示されている。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t5,t6を変えず、第2電位E2である状態s3の時間T2を変えず、状態s4における電位変化率ΔE(s4)を変えないことにしている。
図13のS234中に示すようにデフォルトの波形から電位変化率ΔE(s2)が小さくなると、状態s2の時間T1が長くなり、タイミングt2,t3,t4が遅れ、第3電位E3である状態s5の時間T4が短くなる。図示していないが、デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s2)が大きくなると、状態s2の時間T1が短くなり、タイミングt2,t3,t4が早まり、第3電位E3である状態s5の時間T4が長くなる。
【0080】
電位変化率ΔE(s2)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて第2電位E2である状態s3の時間T2を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t3~t6を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s2)が小さくなると、状態s2の時間T1が長くなり、状態s3の時間T2が短くなる。また、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて第3電位E3と第2電位E2の差分d2を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t4,t6を変えず、第2電位E2である状態s3の時間T2を変えず、状態s4,s6における電位変化率ΔE(s4),ΔE(s6)を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s2)が小さくなると、状態s2の時間T1が長くなり、タイミングt2,t3,t5が遅れ、第3電位E3が下がる。すなわち、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が小さくなる。更に、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて第2電位時間T2と第3電位時間T4の両方を変える例、電位変化率ΔE(s2)の変更に合わせて第2電位時間T2と電位変化率ΔE(s6)の両方を変える例、等も考えられる。
【0081】
図14には、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて、第3電位E3である状態s5の時間T4を変える例が示されている。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t3,t5,t6を変えないことにしている。
図14のS244中に示すようにデフォルトの波形から電位変化率ΔE(s4)が小さくなると、状態s4の時間T3が長くなり、タイミングt4が遅れ、第3電位E3である状態s5の時間T4が短くなる。図示していないが、デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s4)が大きくなると、状態s4の時間T3が短くなり、タイミングt4が早まり、第3電位E3である状態s5の時間T4が長くなる。
【0082】
電位変化率ΔE(s4)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて第2電位E2である状態s3の時間T2を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t2,t4~t6を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s4)が小さくなると、状態s4の時間T3が長くなり、状態s3の時間T2が短くなる。また、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて第3電位E3と第2電位E2の差分d2を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t4,t6を変えず、状態s6における電位変化率ΔE(s6)を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s4)が小さくなると、タイミングt5が遅れ、第3電位E3が下がる。すなわち、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が小さくなる。更に、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて第2電位時間T2と第3電位時間T4の両方を変える例、電位変化率ΔE(s4)の変更に合わせて第2電位時間T2と電位変化率ΔE(s6)の両方を変える例、等も考えられる。
【0083】
図15には、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて、第1電位E1である状態の時間T6を変える例が示されている。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t5を変えないことにしている。
図15のS254中に示すようにデフォルトの波形から電位変化率ΔE(s6)が小さくなると、状態s6の時間T5が長くなり、タイミングt6が遅れ、第1電位E1である時間T6が短くなる。図示していないが、デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s6)が大きくなると、状態s6の時間T5が短くなり、タイミングt6が早まり、第1電位E1である時間T6が長くなる。
【0084】
電位変化率ΔE(s6)に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて第3電位E3である状態s5の時間T4を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t4,t6を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s6)が小さくなると、状態s6の時間T5が長くなり、第3電位時間T4が短くなる。また、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて第3電位E3と第2電位E2の差分d2を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t3,t6を変えず、状態s2,s4における電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4)を変えないことにしている。デフォルトの波形から電位変化率ΔE(s6)が小さくなると、タイミングt4が早まり、第3電位E3が下がる。すなわち、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が小さくなる。更に、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて第1電位E1である時間T6と第3電位E3である時間T4の両方を変える例、電位変化率ΔE(s6)の変更に合わせて第1電位E1である時間T6と電位変化率ΔE(s4)の両方を変える例、等も考えられる。
【0085】
図16には、第2電位時間T2の変更に合わせて、第3電位E3である状態s5の時間T4を変える例が示されている。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t2,t5,t6を変えず、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えないことにしている。
図16のS264中に示すようにデフォルトの波形から第2電位時間T2が長くなると、タイミングt3,t4が遅れ、第3電位E3の時間T4が短くなる。図示していないが、デフォルトの波形から第2電位時間T2が短くなると、タイミングt3,t4が早まり、第3電位E3の時間T4が長くなる。
【0086】
第2電位時間T2に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、第2電位時間T2の変更に合わせて第3電位E3から第1電位E1に変化する状態s6における電位変化率ΔE(s6)を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、第3電位時間T4を変えず、タイミングt1,t2,t6を変えず、状態s2,s4における電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4)を変えないことにしている。デフォルトの波形から第2電位時間T2が長くなると、タイミングt3~t5が遅れ、電位変化率ΔE(s6)が大きくなる。また、第2電位時間T2の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例も考えられる。前提として、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えず、第3電位E3である状態s5の時間T4を変えず、第1電位E1である状態の時間T6も変えないことにしている。デフォルトの波形から第2電位時間T2が長くなると、周期T0が長くなる。更に、第2電位時間T2の変更に合わせて第3電位E3である時間T4と第1電位E1である時間T6の両方を変える例、第2電位時間T2の変更に合わせて第3電位E3である時間T4と電位変化率ΔE(s6)の両方を変える例、等も考えられる。
【0087】
図17には、第3電位時間T4の変更に合わせて、第2電位E2である状態s3の時間T2を変える例が示されている。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1,t2,t5,t6を変えず、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えないことにしている。
図17のS274中に示すようにデフォルトの波形から第3電位時間T4が長くなると、タイミングt3,t4が早まり、第2電位E2の時間T2が短くなる。図示していないが、デフォルトの波形から第3電位時間T4が短くなると、タイミングt3,t4が遅れ、第2電位E2の時間T2が長くなる。
【0088】
第3電位時間T4に合わせて駆動パルスP0の各パラメーターを決定する方法は、上述した例に限定されない。図示していないが、第3電位時間T4の変更に合わせて第3電位E3から第1電位E1に変化する状態s6における電位変化率ΔE(s6)を変える例も考えられる。前提として、周期T0を変えず、タイミングt1~t4,t6を変えず、状態s2,s4における電位変化率ΔE(s2),ΔE(s4)を変えないことにしている。デフォルトの波形から第3電位時間T4が長くなると、タイミングt5が遅れ、電位変化率ΔE(s6)が大きくなる。また、第3電位時間T4の変更に合わせて駆動パルスP0の周期T0を変える例も考えられる。前提として、電位が変化する状態s2,s4,s6における電位変化率を変えず、第2電位E2である状態s3の時間T2を変えず、第1電位E1である状態の時間T6も変えないことにしている。デフォルトの波形から第3電位時間T4が長くなると、周期T0が長くなる。更に、第3電位時間T4の変更に合わせて第2電位時間T2と第1電位E1である時間T6の両方を変える例、第3電位時間T4の変更に合わせて第2電位時間T2と電位変化率ΔE(s6)の両方を変える例、等も考えられる。
【0089】
駆動パルスP0の各パラメーターが決定されると、
図11~17に示す駆動パルス決定手順が終了し、
図10のS106以降の手順が実施される。
【0090】
次に、
図6,10,18等を参照して、
図11~17のS212,S222,S232,S242,S252,S262,S272において行われる重み付け手順の例を説明する。
図18に示す重み付け手順では、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定方法により駆動パルスP0の初期パラメーターp0が決定される。
図6に示す目標吐出特性テーブルTA1の識別番号No.1~は、各吐出特性の優先順位を示している。
図6に示す例では、駆動周波数f0、吐出量VM、吐出速度VC、吐出角度θ、及び、アスペクト比ARの順に優先順位が下がっている。この場合、以下のように第1吐出特性と第2吐出特性が定まる。
【0091】
図10のS102の記録条件取得手順において駆動周波数f0と吐出量VMを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性は駆動素子31の駆動周波数f0であって、第2吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出量VMである。
図10のS102の記録条件取得手順において駆動周波数f0と吐出速度VCを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性は駆動素子31の駆動周波数f0であって、第2吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出速度VCである。
図10のS102の記録条件取得手順において駆動周波数f0と吐出角度θを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性は駆動素子31の駆動周波数f0であって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度θである。
図10のS102の記録条件取得手順において駆動周波数f0とアスペクト比ARを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性は駆動素子31の駆動周波数f0であって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARである。
【0092】
図10のS102の記録条件取得手順において吐出量VMと吐出速度VCを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出量VMであって、第2吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出速度VCである。
図10のS102の記録条件取得手順において吐出量VMと吐出角度θを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出量VMであって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度θである。
図10のS102の記録条件取得手順において吐出量VMとアスペクト比ARを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出量VMであって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARである。
【0093】
図10のS102の記録条件取得手順において吐出速度VCと吐出角度θを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出速度VCであって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度θである。
図10のS102の記録条件取得手順において吐出速度VCとアスペクト比ARを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13からの液体LQの吐出速度VCであって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARである。
図10のS102の記録条件取得手順において吐出角度θとアスペクト比ARを含む記録条件400が取得された場合、第1吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度θであって、第2吐出特性はノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARである。
【0094】
コンピューター200は、
図18に示す重み付け手順に合わせた重み付け処理を実行する。この重み付け処理が開始すると、コンピューター200は、優先度が比較的高い第1吐出特性に基づいて第1初期パラメーターp1を決定する(S282)。例えば、コンピューター200は、
図11のS212の第3電位決定処理を行う場合、第1吐出特性に基づいて第3電位E3を第1初期パラメーターp1として決定する。コンピューター200は、
図12のS222の第1電位決定処理を行う場合、第1吐出特性に基づいて第1電位E1を第1初期パラメーターp1として決定する。コンピューター200は、
図13~17に示すS232,S242,S252,S262,S272の決定処理を行う場合、それぞれ、電位変化率ΔE(s2)、電位変化率ΔE(s4)、電位変化率ΔE(s6)、第2電位時間T2、および、第3電位時間T4を第1初期パラメーターp1として決定する。
【0095】
また、コンピューター200は、優先度が比較的低い第2吐出特性に基づいて第2初期パラメーターp2を決定する(S284)。S284の処理は、S282の前に行われてもよい。例えば、コンピューター200は、
図11のS212の第3電位決定処理を行う場合、第2吐出特性に基づいて第3電位E3を第2初期パラメーターp2として決定する。コンピューター200は、
図12のS222の第1電位決定処理を行う場合、第2吐出特性に基づいて第1電位E1を第2初期パラメーターp2として決定する。コンピューター200は、
図13~17に示すS232,S242,S252,S262,S272の決定処理を行う場合、それぞれ、電位変化率ΔE(s2)、電位変化率ΔE(s4)、電位変化率ΔE(s6)、第2電位時間T2、および、第3電位時間T4を第2初期パラメーターp2として決定する。
【0096】
初期パラメーターp1,p2の決定後、コンピューター200は、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした初期パラメーターp0を決定し(S286)、重み付け処理を終了させる。
例えば、第1吐出特性の重みが0よりも大きく1よりも小さいwであるとする。第1吐出特性と第2吐出特性の2種類に基づいて初期パラメーターp0を決定する場合、第2吐出特性の重みは1-wとなる。この場合、初期パラメーターp0は、例えば、以下の計算式により求めることができる。
p0=w×p1+(1-w)×p2 …(1)
ここで、w>1-w、すなわち、重みwが0.5よりも大きく1よりも小さい場合、初期パラメーターp1,p2に対して第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けが行われる。
【0097】
例えば、第1吐出特性が駆動周波数f0であるとし、第2吐出特性が吐出量VMであるとし、重みwが0.75であるとし、
図11のS212の第3電位決定処理が行われるとする。
図18のS282において第1初期パラメーターp1としての第3電位E3が40Vに決定され、
図18のS284において第2初期パラメーターp2としての第3電位E3が30Vに決定されると、初期パラメーターp0は、第2初期パラメーターp2よりも第1初期パラメーターp1に近い37.5Vに決定される。
重み付け処理において初期パラメーターp0が決定されると、
図11~17に示すS214,S224,S234,S244,S254,S264,S274において初期パラメーターp0に基づいて駆動パルスP0の他のパラメーターが決定される。
【0098】
以上より、
図11~18に示す手順では、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定方法により駆動パルスP0を決定する決定工程ST2が実施される。また、
図11~18に示す手順に従って処理を行うコンピューター200は、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定手順により駆動パルスP0を決定する決定機能FU2を有している。当該コンピューター200は、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定手順により駆動パルスP0を決定する決定部U2を含んでいる。
【0099】
尚、初期パラメーターp0が離散的に設定される場合、上述した計算式(1)の代わりに以下の計算式により仮の初期パラメーターp0’を求め、初期パラメーターの複数の候補から最終的な初期パラメーターp0を決定してもよい。
p0’=w×p1+(1-w)×p2 …(2)
仮の初期パラメーターp0’に基づいて決定される初期パラメーターp0は、結果として、第1吐出特性に基づいて決定される第1初期パラメーターp1と同じになることがある。この場合も、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定方法が実施されていることになる。
【0100】
また、重みwは、吐出特性の種類に応じて変わってもよい。
図6を参照して説明すると、重みwは、例えば、第1吐出特性が優先順位1の駆動周波数f0である場合に0.9であり、第1吐出特性が優先順位2の吐出量VMである場合に0.8であり、第1吐出特性が優先順位3の吐出速度VCである場合に0.7であり、第1吐出特性が残りの吐出特性である場合に0.6でもよい。重みwは、第1吐出特性と第2吐出特性との優先順位の差に応じて変わってもよい。重みwは、例えば、第1吐出特性が駆動周波数f0であって第2吐出特性がアスペクト比ARである場合に0.9であり、第1吐出特性が駆動周波数f0であって第2吐出特性が吐出量VMである場合に0.6でもよい。
【0101】
更に、駆動パルスP0を決定するための吐出特性は、3種類以上でもよい。この場合、第1吐出特性および第2吐出特性と異なる吐出特性についても初期パラメーターを求めることにより、当該初期パラメーターも加味した駆動パルスP0を決定することができる。尚、3種類以上の吐出特性を含む記録条件400が取得された場合、記録条件400に含まれる3種類以上の吐出特性から選ばれる2種類の吐出特性の内、優先順位が比較的高い吐出特性が第1吐出特性に当てはまり、優先順位が比較的低い吐出特性が第2吐出特性に当てはまる。
【0102】
更に、重み付けをした決定方法は、各吐出特性の初期パラメーターから算出された初期パラメーターp0から駆動パルスP0を決定する方法に限定されない。例えば、重み付けをした決定方法は、第1吐出特性に基づいて第1の仮駆動パルスを決定し、第2吐出特性に基づいて第2の仮駆動パルスを決定し、第2の仮駆動パルスよりも第1の仮駆動パルスに近くなるように駆動パルスP0を決定する方法でもよい。むろん、この方法は、駆動パルスP0を決定するための吐出特性が3種類以上ある場合にも適用可能である。
【0103】
以降の説明において、製造誤差等により記録条件にばらつきがある複数の液体吐出ヘッドのうち、或る液体吐出ヘッドを用いた場合における記録条件400を取得し、当該液体吐出ヘッドに印加する駆動パルスP0を決定することにより、当該液体吐出ヘッドによる記録を理想条件に近付ける場合について説明する。このときの或る液体吐出ヘッドを、以降の説明においては「対象の液体吐出ヘッド」と記載する。尚、液体吐出ヘッドにおける吐出特性や紙面上特性に大きな変化が生じない場合、1つの液体吐出ヘッドには、デフォルトの駆動パルスP0を駆動素子31に印加した時の駆動結果に基づいた個別の記録条件400が対応付けられている。従って、この場合には、第1の記録条件が対応付けられている「対象の液体吐出ヘッド」と、第1の記録条件とは異なる第2の記録条件が対応付けられている「対象の液体吐出ヘッド」とは、別々の液体吐出ヘッドである。また、液体吐出ヘッドを用いたとき、吐出特性や紙面上特性が、使用開始からの時間が経過したことにより変化したり、使用環境が変化したことにより変化したりすることも生じ得る。その場合、1つの液体吐出ヘッドに対して、使用タイミングや使用環境ごとにデフォルトの駆動パルスP0を駆動素子31に印加し、それらの駆動結果に基づいて1つの液体吐出ヘッドに対し使用タイミングや使用環境に応じて個別の記録条件400が対応付けられる。したがって、この場合には、第1の記録条件が対応付けられている「対象の液体吐出ヘッド」と、第1の記録条件とは異なる第2の記録条件が対応付けられている「対象の液体吐出ヘッド」とは、同一の液体吐出ヘッドである。
【0104】
(7)記録条件に応じて駆動パルスを決定する具体例の説明:
以下、
図19以降を参照して、第1吐出特性と第2吐出特性を含む記録条件400に応じてパラメーターが異なる駆動パルスP0を決定する例を説明する。
図6に示すように、液体吐出ヘッド11からの液体LQの吐出特性には、駆動周波数f0、吐出量VM、吐出速度VC、吐出角度θ、アスペクト比AR、等が含まれる。以下の説明において、駆動パルスP0は、
図3に示す波形をデフォルトとしてパラメーターが変更された波形を有するものとする。また、記録条件取得手順は
図10に示すS102の手順を意味し、駆動パルス決定手順は
図10に示すS104の手順を意味する。
【0105】
従って、本具体例の液体吐出方法は、取得工程ST1において吐出量VMを含む記録条件400を取得し、決定工程ST2において取得工程ST1で取得された吐出量VMに基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。この態様は、吐出量VMを含む記録条件400に応じた吐出特性を実現することができ、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性を付与することができる。
また、本具体例の液体吐出方法は、取得工程ST1において吐出速度VCを含む記録条件400を取得し、決定工程ST2において取得工程ST1で取得された吐出速度VCに基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。この態様は、吐出速度VCを含む記録条件400に応じた吐出特性を実現することができ、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性を付与することができる。
更に、本具体例の液体吐出方法は、取得工程ST1において吐出角度θを含む記録条件400を取得し、決定工程ST2において取得工程ST1で取得された吐出角度θに基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。この態様は、吐出角度θを含む記録条件400に応じた吐出特性を実現することができ、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性を付与することができる。
更に、本具体例の液体吐出方法は、取得工程ST1において駆動周波数f0を含む記録条件400を取得し、決定工程ST2において取得工程ST1で取得された駆動周波数f0に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。この態様は、駆動周波数f0を含む記録条件400に応じた吐出特性を実現することができ、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性を付与することができる。
更に、本具体例の液体吐出方法は、取得工程ST1においてアスペクト比ARを含む記録条件400を取得し、決定工程ST2において取得工程ST1で取得されたアスペクト比ARに基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。この態様は、アスペクト比ARを含む記録条件400に応じた吐出特性を実現することができ、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性を付与することができる。
【0106】
図19~51は、個別の吐出特性と、当該吐出特性から決定される初期パラメーターと、の関係の例を示している。個別の吐出特性から決定される初期パラメーターは、例えば、第1吐出特性に基づいて決定される初期パラメーターp1、または、第2吐出特性に基づいて決定される初期パラメーターp2を意味する。例えば、
図19は、取得工程ST1で取得された吐出量VMと、初期パラメーターとしての第3電位E3と、の関係を示している。分かり易く示すため、
図19には、吐出量VMに応じた初期パラメーターとしての第3電位E3を有する駆動パルスP0が示されている。実際には、吐出量VM以外の吐出特性も加味された初期パラメーターp0としての第3電位E3を有する駆動パルスP0が決定されることになる。
図20以降にも、個別の吐出特性に応じた初期パラメーターを有する駆動パルスP0が示されている。むろん、各図に示される個別の吐出特性以外の吐出特性も加味された初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定されることになる。
【0107】
まず、
図19~22等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する例を説明する。
【0108】
図19は、ノズル13からの液体LQの吐出量VMを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出量VMは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に所定周期印加された時にノズル13から吐出された液体LQの量である。
図19に示す駆動パルスP0は、
図11に示すように第3電位E3が変更された波形を有している。尚、
図20~22に示す駆動パルスP0も、
図11に示すように第3電位E3が変更された波形を有している。
【0109】
まず、吐出量VMと第3電位E3との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位E3が高くなるほど、すなわち、差分d2=|E3-E2|が大きくなるほど、吐出量VMが多くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には第3電位E3を高くすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には第3電位E3を低くすればよいことが分かる。
【0110】
図19に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第1駆動パルスよりも大きい。差分d2の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図20~22に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、差分d2の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図20~22に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第1駆動パルスP1における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d2は、第1差分の例である。
【0111】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を多くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、吐出量VMが第2吐出量VM2である場合、第2駆動パルスP2における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d2は、第1差分よりも大きい第2差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が多くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおける実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0112】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの閾値をTVMとして、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0113】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分よりも大きい第2差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0114】
図20は、ノズル13からの液体LQの吐出速度VCを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度である。
【0115】
まず、吐出速度VCと第3電位E3との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位E3が高くなるほど、すなわち、差分d2=|E3-E2|が大きくなるほど、吐出速度VCが速くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出速度VCが遅いために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には第3電位E3を高くすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には第3電位E3を低くすればよいことが分かる。
【0116】
図20に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、第1駆動パルスP1における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d2は、第1差分の例である。
【0117】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を速くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、吐出速度VCが第2吐出速度VC2である場合、第2駆動パルスP2における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d2は、第1差分よりも大きい第2差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が速くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0118】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0119】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分よりも大きい第2差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0120】
図21は、駆動素子31の駆動周波数f0を含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に駆動周波数f0に応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。駆動周波数f0は、駆動素子31を駆動する周波数である。
【0121】
まず、駆動周波数f0と第3電位E3との関係について、説明する。
液滴DRの吐出サイクルを短くしたいときには、駆動周波数f0を高くする必要がある。駆動周波数f0を高くしたいとき、第3電位E3を低くすればよい。すなわち、駆動周波数f0を高くしたいとき、差分d2=|E3-E2|を小さくすればよい。これは、差分d2=|E3-E2|を小さくすると、液体LQの吐出量VMが少なくなる結果、液滴DRの吐出サイクルを短くすることができるためである。このことから、駆動周波数f0が低いために実際の駆動周波数を高くしたい時には第3電位E3を低くすればよく、駆動周波数f0が高いために実際の駆動周波数を低くしたい時には第3電位E3を高くすればよいことが分かる。
【0122】
図21に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、第1駆動パルスP1における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d2は、第1差分の例である。
【0123】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の駆動周波数を低くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第3電位E3が高い第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、駆動周波数f0が第2駆動周波数f2である場合、第2駆動パルスP2における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d2は、第1差分よりも大きい第2差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の駆動周波数が低くなるように調整されるので、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0124】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0125】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分よりも大きい第2差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が駆動素子31に印加される。
【0126】
図22は、ノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて第3電位E3が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。アスペクト比ARは、
図8A,8Bに示すように、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値である。
【0127】
まず、アスペクト比ARと第3電位E3との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位E3が低くなるほど、すなわち、差分d2=|E3-E2|が小さくなるほど、アスペクト比ARが小さくなる傾向が判明した。孫サテライトDR3を抑制する点では、第3電位E3が低くなり、差分d2が小さくなると、メニスカスMNの振動が弱くなり、孫サテライトDR3が抑制される結果、アスペクト比ARが小さくなると考えられる。柱状に細長い液滴DRを抑制する点では、第3電位E3が低くなり、差分d2が小さくなると、液体LQの吐出速度VCが遅くなる結果、アスペクト比ARが小さくなると考えられる。
以上の傾向から、孫サテライトDR3を抑制したり柱状に細長い液滴DRを抑制したりしたい時にはアスペクト比ARが小さくなるように第3電位E3を低くすればよく、アスペクト比ARを大きくしたい時には第3電位E3を高くすればよいことが分かる。
【0128】
図22に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合に調整される仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。また、第2駆動パルスP2よりも第3電位E3が低い仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、アスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、第2駆動パルスP2における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d2は、第2差分の例である。
【0129】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2よりも大きい第1アスペクト比AR1であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第2駆動パルスP2よりも第3電位E3が低い第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、アスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、第1駆動パルスP1における第3電位E3と第2電位E2の差分d2が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d2は、第2差分よりも小さい第1差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0130】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0131】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも小さい第2アスペクト比AR2である場合に第3電位E3と第2電位E2の差分d2として第1差分よりも大きい第2差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0132】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0133】
図19~22に示す駆動パルスP0は、
図3に示す電位変化率ΔE(s4),ΔE(s6)が第3電位E3の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスP2は、第2電位E2から第3電位E3に変化する状態s4の間における電位変化率ΔE(s4)が第1駆動パルスP1よりも大きい。この例は、第3電位E3を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第3電位E3の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。また、第2駆動パルスP2は、第3電位E3から第1電位E1に変化する状態s6の間における電位変化率ΔE(s6)が第1駆動パルスP1よりも大きい。この例も、第3電位E3の変更による駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第3電位E3の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0134】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第1駆動パルスP1よりも大きい第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0135】
更に、
図19に示すように、第2駆動パルスP2よりも第3電位E3が高い駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。言い換えると、第3駆動パルスP3は、差分d2が第2駆動パルスP2よりも大きい。
図19には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも少ない第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第3電位E3が高い第3駆動パルスP3の第3電位E3に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第3電位E3と第2電位E2の差分d2が第2駆動パルスP2よりも大きい第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。むろん、決定される駆動パルスは、4種類以上でもよい。以下の様々な例においても、複数の駆動パルスP0が第3駆動パルスP3を含んでいてもよく、決定される駆動パルスの数は4種類以上でもよい。
図20~22に示す例においても、複数の駆動パルスP0が第3駆動パルスP3を含んでいてもよく、決定される駆動パルスの数は4種類以上でもよい。
【0136】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの2つの閾値をそれぞれTVM1,TVM2として、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVM1を設定し、第2吐出量VM2と第3吐出量VM3との間に閾値TVM2を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1未満且つ閾値TVM2以上である場合に第2駆動パルスP2の第3電位E3を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2未満である場合に第3駆動パルスP3の第3電位E3を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される初期パラメーターが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて初期パラメーターを決定することが可能である。
【0137】
次いで、
図23~28等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0138】
図23は、ノズル13からの液体LQの吐出量VMを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出量VMは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に所定周期印加された時にノズル13から吐出された液体LQの量である。
図23に示す駆動パルスP0は、
図12に示すように第1電位E1が変更された波形を有している。尚、
図24~28に示す駆動パルスP0も、
図12に示すように第1電位E1が変更された波形を有している。
【0139】
まず、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的低い場合に、吐出量VMと第1電位E1との関係について、説明する。
試験を行ったところ、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的低い場合、第1電位E1が低くなるほど吐出量VMが多くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には第1電位E1を低くすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には第1電位E1を高くすればよいことが分かる。
【0140】
図23に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第1駆動パルスP1よりも大きい。差分d1の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図24~28に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、差分d1の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図24~28に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第1駆動パルスP1における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d1は、第3差分の例である。
【0141】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を少なくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、吐出量VMが第2吐出量VM2である場合、第2駆動パルスP2における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d1は、第3差分よりも大きい第4差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が少なくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおける実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0142】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの閾値をTVMとして、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0143】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的低い場合に、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0144】
図24は、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的高い場合において、ノズル13からの液体LQの吐出量VMを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0145】
試験を行ったところ、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的高い場合、第1電位E1が高くなるほど吐出量VMが多くなる傾向が判明した。第1電位E1が高いほど、状態s2において第1電位E1から第2電位E2までの差分が大きくなるため、吐出前に圧力室内23に液体を引き込む量が多くなることが理由と考えられる。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には第1電位E1を高くすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には第1電位E1を低くすればよいことが分かる。
【0146】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第1駆動パルスP1における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d1は、第3差分の例である。
【0147】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を多くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、吐出量VMが第2吐出量VM2である場合、第2駆動パルスP2における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d1は、第3差分よりも大きい第4差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が多くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおける実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0148】
尚、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0149】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、駆動素子31の駆動周波数f0が比較的高い場合に、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0150】
図25は、吐出量VMに加えて駆動素子31の駆動周波数f0が比較的低いか比較的高いかに応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図25に示す具体例の液体吐出方法は、記録条件取得手順において、ノズル13からの液体LQの吐出量VMに加えて、駆動素子31の駆動周波数f0を含む記録条件400を取得する。
図25に示す例では、比較的低い駆動周波数f0を第1駆動周波数f1と呼び、比較的高い駆動周波数f0を第2駆動周波数f2と呼ぶことにしている。尚、3以上の駆動周波数f0が取得される場合、第1駆動周波数f1および第2駆動周波数f2には、第2駆動周波数f2が第1駆動周波数f1よりも高い関係を満たす範囲で3以上の駆動周波数f0から任意に選ばれる駆動周波数を当てはめることができる。
【0151】
駆動パルス決定手順では、或る液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図23で示したように初期パラメーターを決定する。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。これにより、対象の液体吐出ヘッドにおける実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2である場合、第1電位E1の高低の関係が第1駆動周波数f1の場合とは逆になるように初期パラメーターを決定する。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が低い第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。これにより、対象の液体吐出ヘッドにおける実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0152】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に
図23で示したように初期パラメーターを決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第1電位E1の高低の関係が第1駆動周波数f1の場合とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0153】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.駆動周波数f0が閾値Tf0未満であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM未満である場合、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定。
b.駆動周波数f0が閾値Tf0未満であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM以上である場合、第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定。
c.駆動周波数f0が閾値Tf0以上であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM未満である場合、第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定。
d.駆動周波数f0が閾値Tf0以上であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM以上である場合、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定。
【0154】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2である場合、第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第2駆動周波数f2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第2吐出量VM2である場合、第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0155】
駆動素子31の駆動周波数f0が比較的低い第1駆動周波数f1である場合、第1電位E1が低くなるほど吐出量VMが多くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的少ない第1吐出量VM1である場合、駆動素子31には、比較的低い第1電位E1に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的多い第2吐出量VM2である場合、駆動素子31には、実際の吐出量が少なくなるように比較的高い第1電位E1に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、駆動素子31の駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出量と目標吐出量との差が少なくなる。
駆動素子31の駆動周波数f0が比較的高い第2駆動周波数f2である場合、第1電位E1が高くなるほど吐出量VMが多くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的少ない第1吐出量VM1である場合、駆動素子31には、比較的高い第1電位E1に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的多い第2吐出量VM2である場合、駆動素子31には、実際の吐出量が少なくなるように比較的低い第1電位E1に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、駆動素子31の駆動周波数f0が第2駆動周波数f2である場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出量と目標吐出量との差が少なくなる。
【0156】
従って、本具体例は、吐出特性としての駆動周波数f0および吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
【0157】
図26は、ノズル13からの液体LQの吐出速度VCを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度である。
【0158】
まず、吐出速度VCと第1電位E1との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第1電位E1が高くなるほど、すなわち、差分d1=|E1-E2|が大きくなるほど、吐出速度VCが速くなる傾向が判明した。第1電位E1が高いほど、状態s2において第1電位E1から第2電位E2までの差分が大きくなるため、吐出前に圧力室内23に液体を引き込む量が多くなることが理由と考えられる。この傾向から、吐出速度VCが遅いために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には第1電位E1を高くすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には第1電位E1を低くすればよいことが分かる。
【0159】
図26に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、第1駆動パルスP1における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d1は、第3差分の例である。
【0160】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を速くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、吐出速度VCが第2吐出速度VC2である場合、第2駆動パルスP2における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d1は、第3差分よりも大きい第4差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が速くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0161】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0162】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0163】
図27は、駆動素子31の駆動周波数f0を含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に駆動周波数f0に応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。駆動周波数f0は、駆動素子31を駆動する周波数である。
【0164】
まず、駆動周波数f0と第1電位E1との関係について、説明する。
液滴DRの吐出サイクルを短くしたいときには、駆動周波数f0を高くする必要がある。駆動周波数f0を高くしたいとき、第1電位E1を高くすればよい。すなわち、駆動周波数f0を高くしたいとき、差分d1=|E1-E2|を大きくすればよい。これは、差分d1=|E1-E2|を大きくすると、
図4に示すメニスカスMNの戻りを慣性力により早くすることができるためである。このことから、駆動周波数f0が低いために実際の駆動周波数を高くしたい時には第1電位E1を高くすればよく、駆動周波数f0が高いために実際の駆動周波数を低くしたい時には第1電位E1を低くすればよいことが分かる。
【0165】
図27に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、第1駆動パルスP1における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d1は、第3差分の例である。
【0166】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の駆動周波数を高くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも第1電位E1が高い第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、駆動周波数f0が第2駆動周波数f2である場合、第2駆動パルスP2における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d1は、第3差分よりも大きい第4差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の駆動周波数が低くなるように調整されるので、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0167】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0168】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が駆動素子31に印加される。
【0169】
図28は、ノズル13から吐出された液体LQの分布のアスペクト比ARを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて第1電位E1が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。アスペクト比ARは、
図8A,8Bに示すように、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値である。
【0170】
まず、アスペクト比ARと第1電位E1との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第1電位E1が低くなるほど、すなわち、差分d1=|E1-E2|が小さくなるほど、アスペクト比ARが小さくなる傾向が判明した。
図8Bに示すように液滴DRに孫サテライトDR3が生じる場合、アスペクト比ARが大きくなる。また、液滴DRが柱状に細長くなる場合も、アスペクト比ARが大きくなる。そこで、孫サテライトDR3を抑制したり柱状に細長い液滴DRを抑制したりしたい時にはアスペクト比ARが小さくなるように第1電位E1を低くすればよく、アスペクト比ARを大きくしたい時には第1電位E1を高くすればよいことが分かる。
【0171】
図28に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合に調整される仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。また、第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が低い仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。言い換えると、第2駆動パルスP2は、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第1駆動パルスよりも大きい。
駆動パルス決定手順では、取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定することにしている。言い換えると、アスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、第2駆動パルスP2における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第2駆動パルスP2の差分d1は、第4差分の例である。
【0172】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2よりも大きい第1アスペクト比AR1であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が低い第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定する。言い換えると、アスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、第1駆動パルスP1における第1電位E1と第2電位E2の差分d1が初期パラメーターとして決定されることになる。第1駆動パルスP1の差分d1は、第4差分よりも小さい第3差分の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0173】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0174】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも小さい第2アスペクト比AR2である場合に第1電位E1と第2電位E2の差分d1として第3差分よりも大きい第4差分に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0175】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0176】
図23~28に示す駆動パルスP0は、
図3に示す電位変化率ΔE(s2),ΔE(s6)が第1電位E1の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスP2は、第1電位E1から第2電位E2に変化する状態s2の間における電位変化率ΔE(s2)が第1駆動パルスP1よりも大きい。この例は、第1電位E1を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第1電位E1の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。また、第2駆動パルスP2は、第3電位E3から第1電位E1に変化する状態s6の間における電位変化率ΔE(s6)が第1駆動パルスP1よりも小さい。この例も、第1電位E1の変更による駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第1電位E1の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0177】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第1駆動パルスP1よりも大きい第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0178】
更に、
図23,24に示すように、第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が高い駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。言い換えると、第3駆動パルスP3は、差分d1が第2駆動パルスP2よりも大きい。
図23には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも多い第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が高い第3駆動パルスP3の第1電位E1に基づいて決定されることが示されている。
図24には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも少ない第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第1電位E1が高い第3駆動パルスP3の第1電位E1に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第1電位E1と第2電位E2の差分d1が第2駆動パルスP2よりも大きい第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図25~28に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0179】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの2つの閾値をそれぞれTVM1,TVM2として、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVM1を設定し、第2吐出量VM2と第3吐出量VM3との間に閾値TVM2を設定してもよい。
図23に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1未満である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1以上且つ閾値TVM2未満である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2以上である場合に第3駆動パルスP3の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。
図24に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1以上である場合に第1駆動パルスP1の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1未満且つ閾値TVM2以上である場合に第2駆動パルスP2の第1電位E1を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2未満である場合に第3駆動パルスP3の第1電位E1を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0180】
次いで、
図29~31等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0181】
図29は、ノズル13からの液体LQの吐出速度VCを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度である。
図29に示す駆動パルスP0は、
図13に示すように電位変化率ΔE(s2)が変更された波形を有している。尚、
図30,31に示す駆動パルスP0も、
図13に示すように電位変化率ΔE(s2)が変更された波形を有している。
【0182】
まず、吐出速度VCと電位変化率ΔE(s2)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)が大きくなるほど吐出速度VCが速くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出速度VCが遅いために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には電位変化率ΔE(s2)を大きくすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には電位変化率ΔE(s2)を小さくすればよいことが分かる。
【0183】
図29に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。電位変化率ΔE(s2)の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図30,31に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、電位変化率ΔE(s2)の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図30,31に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率の例である。
【0184】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を遅くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が遅くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0185】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0186】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0187】
図30は、吐出角度θを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出角度θに応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出角度θは、
図7に示すように、ノズル13から吐出される液体LQの理想的な方向を基準方向D0として、ノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度としている。
【0188】
まず、吐出角度θと電位変化率ΔE(s2)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)が大きくなるほど吐出角度θが大きくなる傾向が判明した。この傾向から、吐出角度θが大きいために実際の吐出角度を小さくしたい時には電位変化率ΔE(s2)を小さくすればよく、吐出角度θが小さい時には電位変化率ΔE(s2)を大きくすればよいことが分かる。
【0189】
図30に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率の例である。
【0190】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出角度を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出角度が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0191】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの閾値をTθとして、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0192】
吐出角度θについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出角度θに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出角度θが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきが少なくなる。
【0193】
図31は、駆動素子31の駆動周波数f0を含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に駆動周波数f0に応じて電位変化率ΔE(s2)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。駆動周波数f0は、駆動素子31を駆動する周波数である。
【0194】
まず、駆動周波数f0と電位変化率ΔE(s2)との関係について、説明する。
液滴DRの吐出サイクルを短くしたいときには、駆動周波数f0を高くする必要がある。駆動周波数f0を高くしたいとき、第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)を大きくすればよい。これは、電位変化率ΔE(s2)を大きくすると、
図4に示すメニスカスMNの戻りを慣性力により早くすることができるためである。このことから、駆動周波数f0が低いために実際の駆動周波数を高くしたい時には電位変化率ΔE(s2)を大きくすればよく、駆動周波数f0が高いために実際の駆動周波数を低くしたい時には電位変化率ΔE(s2)を小さくすればよいことが分かる。
【0195】
図31に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率の例である。
【0196】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の駆動周波数を低くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)は、第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の駆動周波数が低くなるように調整されるので、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0197】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0198】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2である場合に第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)として第1電位変化率よりも小さい第2電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が駆動素子31に印加される。
【0199】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0200】
図29~31に示す駆動パルスP0は、第3電位E3である状態s5の時間T4が電位変化率ΔE(s2)の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスは、第3電位E3である時間T4が第1駆動パルスよりも短い。この例は、電位変化率ΔE(s2)を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、電位変化率ΔE(s2)の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0201】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)が第1駆動パルスP1よりも小さい第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0202】
更に、
図29に示すように、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。
図29には、記録条件400として取得された吐出速度VCが第2吐出速度VC2よりも速い第3吐出速度VC3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s2)が小さい第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s2)に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第1電位E1から第2電位E2に変化する間における電位変化率ΔE(s2)が第2駆動パルスP2よりも小さい第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図30,31に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0203】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの2つの閾値をそれぞれTVC1,TVC2として、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVC1を設定し、第2吐出速度VC2と第3吐出速度VC3との間に閾値TVC2を設定してもよい。
図29に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC1未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC1以上且つ閾値TVC2未満である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC2以上である場合に第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s2)を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0204】
次いで、
図32~34等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0205】
図32は、ノズル13からの液体LQの吐出量VMを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出量VMは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に所定周期印加された時にノズル13から吐出された液体LQの量である。
図32に示す駆動パルスP0は、
図14に示すように電位変化率ΔE(s4)が変更された波形を有している。尚、
図33,34に示す駆動パルスP0も、
図14に示すように電位変化率ΔE(s4)が変更された波形を有している。
【0206】
まず、吐出量VMと電位変化率ΔE(s4)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)が大きくなるほど吐出量VMが多くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には電位変化率ΔE(s4)を大きくすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には電位変化率ΔE(s4)を小さくすればよいことが分かる。
【0207】
図32に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。電位変化率ΔE(s4)の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図33,34に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、電位変化率ΔE(s4)の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図33,34に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率の例である。
【0208】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を少なくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が少なくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0209】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの閾値をTVMとして、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0210】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0211】
図33は、ノズル13からの液体LQの吐出速度VCを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度である。
【0212】
まず、吐出速度VCと電位変化率ΔE(s4)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)が大きくなるほど吐出速度VCが速くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出速度VCが遅いために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には電位変化率ΔE(s4)を大きくすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には電位変化率ΔE(s4)を小さくすればよいことが分かる。
【0213】
図33に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率の例である。
【0214】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を遅くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が遅くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0215】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0216】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0217】
図34は、アスペクト比ARを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて電位変化率ΔE(s4)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。アスペクト比ARは、
図8A,8Bに示すように、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値である。
【0218】
まず、アスペクト比ARと電位変化率ΔE(s4)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)が大きくなるほどアスペクト比ARが大きくなる傾向が判明した。孫サテライトDR3を抑制する点では、電位変化率ΔE(s4)が小さくなると、メニスカスMNの振動が弱くなり、孫サテライトDR3が抑制される結果、アスペクト比ARが小さくなると考えられる。柱状に細長い液滴DRを抑制する点では、電位変化率ΔE(s4)が小さくなると、液体LQの吐出速度VCが遅くなる結果、アスペクト比ARが小さくなると考えられる。
以上の傾向から、アスペクト比ARが大きいために実際のアスペクト比を小さくしたい時には電位変化率ΔE(s4)を小さくすればよく、アスペクト比ARが小さい時には電位変化率ΔE(s4)を大きくすればよいことが分かる。
【0219】
図34に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率の例である。
【0220】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第1駆動パルスP1よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)は、第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0221】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0222】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2である場合に第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)として第3電位変化率よりも小さい第4電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0223】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0224】
図32~34に示す駆動パルスP0は、第3電位E3である状態s5の時間T4が電位変化率ΔE(s4)の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスは、第3電位E3である時間T4が第1駆動パルスよりも短い。この例は、電位変化率ΔE(s4)を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、電位変化率ΔE(s4)の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0225】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)が第1駆動パルスP1よりも小さい第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0226】
更に、
図32に示すように、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。
図32には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも多い第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s4)が小さい第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s4)に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s4)が第2駆動パルスP2よりも小さい第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図33,34に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0227】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの2つの閾値をそれぞれTVM1,TVM2として、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVM1を設定し、第2吐出量VM2と第3吐出量VM3との間に閾値TVM2を設定してもよい。
図32に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1未満である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1以上且つ閾値TVM2未満である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2以上である場合に第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s4)を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0228】
次いで、
図35,36等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0229】
図35は、吐出角度θを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出角度θに応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出角度θは、
図7に示すように、ノズル13から吐出される液体LQの理想的な方向を基準方向D0として、ノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度としている。
図35に示す駆動パルスP0は、
図15に示すように電位変化率ΔE(s6)が変更された波形を有している。尚、
図36に示す駆動パルスP0も、
図15に示すように電位変化率ΔE(s6)が変更された波形を有している。
【0230】
まず、吐出角度θと電位変化率ΔE(s6)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)が大きくなるほど吐出角度θが小さくなる傾向が判明した。この傾向から、吐出角度θが大きいために実際の吐出角度を小さくしたい時には電位変化率ΔE(s6)を大きくすればよく、実際の吐出角度を大きくしたい時には電位変化率ΔE(s6)を小さくすればよいことが分かる。
【0231】
図35に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2である場合に調整される仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。また、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が大きい仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。電位変化率ΔE(s6)の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図36に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が駆動素子31に印加される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、電位変化率ΔE(s6)の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図36に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出角度θが第2角度θ2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定することにしている。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)は、第6電位変化率の例である。
【0232】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出角度を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が大きい第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定する。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)は、第6電位変化率よりも大きい第5電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出角度が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0233】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの閾値をTθとして、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0234】
吐出角度θについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)として第5電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2である場合に第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)として第5電位変化率よりも小さい第6電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としての吐出角度θに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出角度θが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきが少なくなる。
【0235】
図36は、アスペクト比ARを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて電位変化率ΔE(s6)が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。アスペクト比ARは、
図8A,8Bに示すように、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値である。
【0236】
まず、アスペクト比ARと電位変化率ΔE(s6)との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)が大きくなるほどアスペクト比ARが小さくなる傾向が判明した。電位変化率ΔE(s6)が大きくなると、メニスカスMNの制振が強くなり、孫サテライトDR3が抑制される結果、アスペクト比ARが小さくなると考えられる。
以上の傾向から、アスペクト比ARが大きいために実際のアスペクト比を小さくしたい時には電位変化率ΔE(s6)を大きくすればよく、アスペクト比ARが小さい時には電位変化率ΔE(s6)を小さくすればよいことが分かる。特に、電位変化率ΔE(s6)を大きくすることは、孫サテライトDR3を抑制する点で効果的である。
【0237】
図36に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合に調整される仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。また、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が大きい仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定することにしている。第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)は、第6電位変化率の例である。
【0238】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2よりも大きい第1アスペクト比AR1であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が大きい第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定する。第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)は、第6電位変化率よりも大きい第5電位変化率の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0239】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0240】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)として第5電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも小さい第2アスペクト比AR2である場合に第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)として第5電位変化率よりも小さい第6電位変化率に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0241】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0242】
図35,36に示す駆動パルスP0は、第1電位E1である状態の時間T6が電位変化率ΔE(s6)の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスP2は、第1電位E1である時間T6が第1駆動パルスP1よりも短い。この例は、電位変化率ΔE(s6)を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、電位変化率ΔE(s6)の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0243】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第3電位E3から第1電位E1に変化する間における電位変化率ΔE(s6)が第1駆動パルスP1よりも小さい第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0244】
更に、
図35に示すように、第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が小さい駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。
図35には、記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2よりも小さい第3角度θ3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも電位変化率ΔE(s6)が小さい第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s6)に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第2電位E2から第3電位E3に変化する間における電位変化率ΔE(s6)が第2駆動パルスP2よりも小さい第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図36に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0245】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの2つの閾値をそれぞれTθ1,Tθ2として、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθ1を設定し、第2角度θ2と第3角度θ3との間に閾値Tθ2を設定してもよい。
図35に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ1以上である場合に第1駆動パルスP1の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ1未満且つ閾値Tθ2以上である場合に第2駆動パルスP2の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ2未満である場合に第3駆動パルスP3の電位変化率ΔE(s6)を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0246】
次いで、
図37~45等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0247】
図37~39は、ノズル13からの液体LQの吐出量VMを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出量VMは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に所定周期印加された時にノズル13から吐出された液体LQの量である。
図37~39に示す駆動パルスP0は、
図16に示すように第2電位時間T2が変更された波形を有している。尚、
図40~45に示す駆動パルスP0も、
図16に示すように第2電位時間T2が変更された波形を有している。
【0248】
まず、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合に、吐出量VMと第2電位時間T2との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的短い場合、第2電位時間T2が長くなるほど吐出量VMが多くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には第2電位時間T2を長くすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には第2電位時間T2を短くすればよいことが分かる。
【0249】
図37に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。第2電位時間T2の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図38~45に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、第2電位時間T2の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図38~45に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0250】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を多くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が多くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0251】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの閾値をTVMとして、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0252】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的短い場合に、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0253】
図38は、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合において、吐出量VMを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出量VMに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0254】
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2が短くなるほど吐出量VMが多くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出量VMが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量を多くしたい時には第2電位時間T2を短くすればよく、吐出量VMが多いために実際の吐出量を少なくしたい時には第2電位時間T2を長くすればよいことが分かる。
【0255】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0256】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出量を少なくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出量が少なくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0257】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの閾値をTVMとして、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM未満である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM以上である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0258】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも多い第2吐出量VM2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的長い場合に、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきが少なくなる。
【0259】
図39は、吐出量VMに加えて第2電位時間T2が比較的短いか比較的長いかに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図39に示す例では、比較的短い第2電位時間T2を第1時間TT1と呼び、比較的長い第2電位時間T2を第2時間TT2と呼ぶことにしている。
【0260】
駆動パルス決定手順では、いずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、
図37で示したように駆動パルスP0を決定する。複数の駆動パルスP0は、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2を含んでいる。第2駆動パルスP2は第2電位時間T2が第1駆動パルスP1よりも長いので、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2が比較的短い第1時間TT1である場合に
図37で示したように駆動パルスP0を決定することにしている。
図39に示すT2(P2)は、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0261】
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドにいずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定する。第1駆動パルスP1は第2電位時間T2が第2駆動パルスP2よりも短いので、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2が比較的長い第2時間TT2である場合に第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定することにしている。
図39に示すT2(P1)は、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出量が入るように、第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が短い第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量を目標値に近付けることができる。
【0262】
尚、駆動パルス決定手順では、第2電位時間T2の閾値をTHT2として、第1時間TT1と第2時間TT2との間に閾値THT2を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満である場合に
図37で示したように初期パラメーターを決定し、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上である場合に第2電位時間T2の長短の関係が前述とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0263】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVMを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM以上である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
b.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM未満である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
c.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM以上である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
d.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、吐出量VMが閾値TVM未満である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
【0264】
吐出量VMについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第2電位時間T2として、第1基時間と、第1基時間よりも長い第2基時間と、を少なくとも含む複数の基時間の中から選ばれる1つの基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。更に、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1よりも少ない第2吐出量VM2である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.第1基時間が第1時間TT1よりも長い第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第1吐出量VM1である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.第1基時間が第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出量VMが第2吐出量VM2である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0265】
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、第2電位時間T2が長くなるほど吐出量VMが多くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的多い第1吐出量VM1である場合、駆動素子31には、比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的少ない第2吐出量VM2である場合、駆動素子31には、実際の吐出量が多くなるように比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的短い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出量と目標吐出量との差が少なくなる。
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2が短くなるほど吐出量VMが多くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的多い第1吐出量VM1である場合、駆動素子31には、比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出量VMが比較的少ない第2吐出量VM2である場合、駆動素子31には、実際の吐出量が多くなるように比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的長い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出量と目標吐出量との差が少なくなる。
【0266】
従って、本具体例は、駆動パルスP0の第2電位時間T2、および、吐出特性としての吐出量VMに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出量のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出量VMが第1吐出特性である場合、大きい。
【0267】
図40~42は、ノズル13からの液体LQの吐出速度VCを含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出速度VCは、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの速度である。
【0268】
まず、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合に、吐出速度VCと第2電位時間T2との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的短い場合、第2電位時間T2が長くなるほど吐出速度VCが速くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出速度VCが少ないために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には第2電位時間T2を長くすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には第2電位時間T2を短くすればよいことが分かる。
【0269】
図40に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0270】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を速くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が速くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0271】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0272】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的短い場合に、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0273】
図41は、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合において、吐出速度VCを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出速度VCに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0274】
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2が長くなるほど吐出速度VCが遅くなる傾向が判明した。この傾向から、吐出速度VCが遅いために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度を速くしたい時には第2電位時間T2を短くすればよく、吐出速度VCが速いために実際の吐出速度を遅くしたい時には第2電位時間T2を長くすればよいことが分かる。
【0275】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0276】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出速度を遅くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出速度が遅くなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0277】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出速度VCの閾値をTVCとして、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0278】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも速い第2吐出速度VC2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的長い場合に、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきが少なくなる。
【0279】
図42は、吐出速度VCに加えて第2電位時間T2が比較的短いか比較的長いかに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図42に示す例では、比較的短い第2電位時間T2を第1時間TT1と呼び、比較的長い第2電位時間T2を第2時間TT2と呼ぶことにしている。
【0280】
駆動パルス決定手順では、いずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、
図40で示したように駆動パルスP0を決定する。複数の駆動パルスP0は、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2を含んでいる。第2駆動パルスP2は第2電位時間T2が第1駆動パルスP1よりも長いので、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2が比較的短い第1時間TT1である場合に
図40で示したように駆動パルスP0を決定することにしている。
図42に示すT2(P2)は、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出速度VCが第1吐出速度VC1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて、実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0281】
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドにいずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定する。第1駆動パルスP1は第2電位時間T2が第2駆動パルスP2よりも短いので、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2が比較的長い第2時間TT2である場合に第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定することにしている。
図42に示すT2(P1)は、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出速度VCが第1吐出速度VC1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出速度が入るように、第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が短い第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0282】
尚、駆動パルス決定手順では、第2電位時間T2の閾値をTHT2として、第1時間TT1と第2時間TT2との間に閾値THT2を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満である場合に
図40で示したように初期パラメーターを決定し、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上である場合に第2電位時間T2の長短の関係が前述とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0283】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1吐出速度VC1と第2吐出速度VC2との間に閾値TVCを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
b.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
c.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、吐出速度VCが閾値TVC以上である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
d.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、吐出速度VCが閾値TVC未満である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
【0284】
吐出速度VCについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第2電位時間T2として、第1基時間と、第1基時間よりも長い第2基時間と、を少なくとも含む複数の基時間の中から選ばれる1つの基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。更に、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1よりも遅い第2吐出速度VC2である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.第1基時間が第1時間TT1よりも長い第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出速度VCが第1吐出速度VC1である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.第1基時間が第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出速度VCが第2吐出速度VC2である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0285】
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、第2電位時間T2が長くなるほど吐出速度VCが速くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出速度VCが比較的速い第1吐出速度VC1である場合、駆動素子31には、比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出速度VCが比較的遅い第2吐出速度VC2である場合、駆動素子31には、実際の吐出速度が速くなるように比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的短い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2が短くなるほど吐出速度VCが速くなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出速度VCが比較的速い第1吐出速度VC1である場合、駆動素子31には、比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出速度VCが比較的遅い第2吐出速度VC2である場合、駆動素子31には、実際の吐出速度が速くなるように比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的長い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出速度と目標の吐出速度との差が少なくなる。
【0286】
従って、本具体例は、駆動パルスP0の第2電位時間T2、および、吐出特性としての吐出速度VCに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出速度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出速度VCが第1吐出特性である場合、大きい。
【0287】
図43~45は、駆動素子31の駆動周波数f0を含む記録条件400を取得する記録条件取得手順が実施された場合に駆動周波数f0に応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。駆動周波数f0は、駆動素子31を駆動する周波数である。
【0288】
まず、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合に、駆動周波数f0と第2電位時間T2との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的短い場合、駆動周波数f0を高くするためには第2電位時間T2を長くすればよいことが判明した。このことから、駆動周波数f0が低いために実際の駆動周波数を高くしたい時には第2電位時間T2を長くすればよく、駆動周波数f0が高いために実際の駆動周波数を低くしたい時には第2電位時間T2を短くすればよいことが分かる。
【0289】
図43に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0290】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の駆動周波数を高くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の駆動周波数が高くなるように調整されるので、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0291】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0292】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的短い場合に、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの駆動周波数のばらつきが少なくなる。
【0293】
図44は、駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合において、駆動周波数f0を記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合に駆動周波数f0に応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0294】
試験を行ったところ、第2電位時間T2が比較的長い場合、駆動周波数f0を高くするためには第2電位時間T2を短くすればよいことが判明した。このことから、駆動周波数f0が低いために実際の駆動周波数を高くしたい時には第2電位時間T2を短くすればよく、駆動周波数f0が高いために実際の駆動周波数を低くしたい時には第2電位時間T2を長くすればよいことが分かる。
【0295】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。
【0296】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の駆動周波数を低くしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の駆動周波数が低くなるように調整されるので、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0297】
尚、駆動パルス決定手順では、駆動周波数f0の閾値をTf0として、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0298】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合に第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも高い第2駆動周波数f2である場合に第2電位時間T2として第1基時間よりも長い第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第2電位時間T2が比較的長い場合に、液体吐出ヘッドに応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの駆動周波数のばらつきが少なくなる。
【0299】
図45は、駆動周波数f0に加えて第2電位時間T2が比較的短いか比較的長いかに応じて第2電位時間T2が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図45に示す例では、比較的短い第2電位時間T2を第1時間TT1と呼び、比較的長い第2電位時間T2を第2時間TT2と呼ぶことにしている。
【0300】
駆動パルス決定手順では、いずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、
図43で示したように駆動パルスP0を決定する。複数の駆動パルスP0は、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2を含んでいる。第2駆動パルスP2は第2電位時間T2が第1駆動パルスP1よりも長いので、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2が比較的短い第1時間TT1である場合に
図43で示したように駆動パルスP0を決定することにしている。
図45に示すT2(P2)は、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける駆動周波数f0が第1駆動周波数f1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第2電位時間T2は、第1基時間の例である。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2であれば、目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第1駆動パルスP1よりも第2電位時間T2が長い第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第2電位時間T2は、第1基時間よりも長い第2基時間の例である。
以上により、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0301】
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドにいずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定する。第1駆動パルスP1は第2電位時間T2が第2駆動パルスP2よりも短いので、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2が比較的長い第2時間TT2である場合に第2電位時間T2の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定することにしている。
図45に示すT2(P1)は、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける駆動周波数f0が第1駆動周波数f1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2であれば、目標値の許容範囲に実際の駆動周波数が入るように、第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が短い第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定する。
以上により、液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0302】
尚、駆動パルス決定手順では、第2電位時間T2の閾値をTHT2として、第1時間TT1と第2時間TT2との間に閾値THT2を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満である場合に
図43で示したように初期パラメーターを決定し、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上である場合に第2電位時間T2の長短の関係が前述とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0303】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2との間に閾値Tf0を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
b.第2電位時間T2(P2)が閾値THT2未満であり、且つ、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
c.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、駆動周波数f0が閾値Tf0以上である場合、第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
d.第2電位時間T2(P1)が閾値THT2以上であり、且つ、駆動周波数f0が閾値Tf0未満である場合、第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定。
【0304】
駆動周波数f0について決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第2電位時間T2として、第1基時間と、第1基時間よりも長い第2基時間と、を少なくとも含む複数の基時間の中から選ばれる1つの基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。更に、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.第2基時間が第1時間TT1であり、且つ、取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1よりも低い第2駆動周波数f2である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.第1基時間が第1時間TT1よりも長い第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第1駆動周波数f1である場合、第2電位時間T2として第2基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.第1基時間が第2時間TT2であり、且つ、取得工程ST1で取得された駆動周波数f0が第2駆動周波数f2である場合、第2電位時間T2として第1基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0305】
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的短い場合、駆動周波数f0を高くするためには第2電位時間T2を長くすればよい。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が比較的高い第1駆動周波数f1である場合、駆動素子31には、比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が比較的低い第2駆動周波数f2である場合、駆動素子31には、実際の駆動周波数が高くなるように比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的短い場合に液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
駆動パルスP0の第2電位時間T2が比較的長い場合、駆動周波数f0を高くするためには第2電位時間T2を短くすればよい。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が比較的高い第1駆動周波数f1である場合、駆動素子31には、比較的長い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された駆動周波数f0が比較的低い第2駆動周波数f2である場合、駆動素子31には、実際の駆動周波数が高くなるように比較的短い第2電位時間T2に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第2電位時間T2が比較的長い場合に液体吐出ヘッドによらず適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0が決定される。
【0306】
従って、本具体例は、駆動パルスP0の第2電位時間T2、および、吐出特性としての駆動周波数f0に応じて適切な駆動周波数f0の駆動パルスP0を駆動素子31に印加することができる。この効果は、駆動周波数f0が第1吐出特性である場合、大きい。
【0307】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0308】
図37~45に示す駆動パルスP0は、
図3に示す第3電位E3の時間T4が第2電位時間T2の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスP2は、第3電位E3である時間T4が第1駆動パルスP1よりも短い。この例は、第2電位時間T2を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第2電位時間T2の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0309】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2電位E2である時間T2が第1駆動パルスP1よりも長い第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0310】
更に、
図37,38に示すように、第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が長い駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。
図37には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも少ない第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が長い第3駆動パルスP3の第2電位時間T2に基づいて決定されることが示されている。
図38には、記録条件400として取得された吐出量VMが第2吐出量VM2よりも多い第3吐出量VM3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第2電位時間T2が長い第3駆動パルスP3の第2電位時間T2に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第2電位E2である時間T2が第2駆動パルスP2よりも長い第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図39~45に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0311】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出量VMの2つの閾値をそれぞれTVM1,TVM2として、第1吐出量VM1と第2吐出量VM2との間に閾値TVM1を設定し、第2吐出量VM2と第3吐出量VM3との間に閾値TVM2を設定してもよい。
図37に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1以上である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1未満且つ閾値TVM2以上である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2未満である場合に第3駆動パルスP3の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。
図38に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出量VMが閾値TVM1未満である場合に第1駆動パルスP1の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM1以上且つ閾値TVM2未満である場合に第2駆動パルスP2の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定し、吐出量VMが閾値TVM2以上である場合に第3駆動パルスP3の第2電位時間T2を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0312】
次いで、
図46~51等を参照して、取得工程ST1で取得された記録条件400に応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を駆動素子31に印加する例を説明する。
【0313】
図46~48は、吐出角度θを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出角度θに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。吐出角度θは、
図7に示すように、ノズル13から吐出される液体LQの理想的な方向を基準方向D0として、ノズル13から吐出された液体LQの吐出方向D1の基準方向D0に対する角度としている。
図46~48に示す駆動パルスP0は、
図17に示すように第3電位時間T4が変更された波形を有している。尚、
図49~51に示す駆動パルスP0も、
図17に示すように第3電位時間T4が変更された波形を有している。
【0314】
まず、駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合に、吐出角度θと第3電位時間T4との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位時間T4が比較的短い場合、第3電位時間T4が長くなるほど吐出角度θが小さくなる傾向が判明した。この傾向から、吐出角度θが大きいために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度を小さくしたい時には第3電位時間T4を長くすればよく、実際の吐出角度が小さい時には第3電位時間T4を短くすればよいことが分かる。
【0315】
図46に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。第3電位時間T4の大小についての第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2との関係は、
図47~51に示す例も同じである。尚、波形が異なる3以上の駆動パルスP0が決定される場合、第1駆動パルスP1および第2駆動パルスP2には、第3電位時間T4の大小関係を満たす範囲で3以上の駆動パルスP0から任意に選ばれる駆動パルスを当てはめることができる。この当てはめは、
図47~51に示す例も同じである。
駆動パルス決定手順では、取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第3基時間の例である。
【0316】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出角度を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第3基時間よりも長い第4基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出角度が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0317】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの閾値をTθとして、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0318】
吐出角度θについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2である場合に第3電位時間T4として第3基時間よりも長い第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第3電位時間T4が比較的短い場合に、吐出特性としての吐出角度θに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出角度θが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきが少なくなる。
【0319】
図47は、駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合において、吐出角度θを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合に吐出角度θに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0320】
試験を行ったところ、第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4が短くなるほど吐出角度θが小さくなる傾向が判明した。この傾向から、吐出角度θが大きいために実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度を小さくしたい時には第3電位時間T4を短くすればよく、実際の吐出角度が小さい時には第3電位時間T4を長くすればよいことが分かる。
【0321】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第4基時間の例である。
【0322】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2よりも大きい第1角度θ1であり、目標値の許容範囲に入るように実際の吐出角度を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が短い第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第4基時間よりも短い第3基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際の吐出角度が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0323】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの閾値をTθとして、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0324】
吐出角度θについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合に第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも小さい第2角度θ2である場合に第3電位時間T4として第3基時間よりも長い第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第3電位時間T4が比較的長い場合に、吐出特性としての吐出角度θに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出角度θが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきが少なくなる。
【0325】
図48は、吐出角度θに加えて第3電位時間T4が比較的短いか比較的長いかに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図48に示す例では、比較的短い第3電位時間T4を第3時間TT3と呼び、比較的長い第3電位時間T4を第4時間TT4と呼ぶことにしている。
【0326】
駆動パルス決定手順では、いずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合、
図46で示したように駆動パルスP0を決定する。複数の駆動パルスP0は、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2を含んでいる。第2駆動パルスP2は第3電位時間T4が第1駆動パルスP1よりも長いので、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4が比較的短い第3時間TT3である場合に
図46で示したように駆動パルスP0を決定することにしている。
図48に示すT4(P2)は、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出角度θが第1角度θ1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第3基時間の例である。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第3基時間よりも長い第4基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0327】
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドにいずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定する。第1駆動パルスP1は第3電位時間T4が第2駆動パルスP2よりも短いので、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4が比較的長い第4時間TT4である場合に第3電位時間T4の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定することにしている。
図48に示すT4(P1)は、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出角度θが第1角度θ1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおける吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2であれば、目標値の許容範囲に実際の吐出角度が入るように、第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が短い第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0328】
尚、駆動パルス決定手順では、第3電位時間T4の閾値をTHT4として、第3時間TT3と第4時間TT4との間に閾値THT4を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満である場合に
図46で示したように初期パラメーターを決定し、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上である場合に第3電位時間T4の長短の関係が前述とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0329】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満であり、且つ、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
b.第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満であり、且つ、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
c.第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上であり、且つ、吐出角度θが閾値Tθ以上である場合、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
d.第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上であり、且つ、吐出角度θが閾値Tθ未満である場合、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
【0330】
吐出角度θについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第3電位時間T4として、第3基時間と、第3基時間よりも長い第4基時間と、を少なくとも含む複数の基時間の中から選ばれる1つの基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。更に、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.第4基時間が第3時間TT3であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合、第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.第4基時間が第3時間TT3であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出角度θが第1角度θ1よりも大きい第2角度θ2である場合、第3電位時間T4として第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.第3基時間が第3時間TT3よりも長い第4時間TT4であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出角度θが第1角度θ1である場合、第3電位時間T4として第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.第3基時間が第4時間TT4であり、且つ、取得工程ST1で取得された吐出角度θが第2角度θ2である場合、第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0331】
駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合、第3電位時間T4が長くなるほど吐出角度θが小さくなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出角度θが比較的小さい第1角度θ1である場合、駆動素子31には、比較的短い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出角度θが比較的大きい第2角度θ2である場合、駆動素子31には、実際の吐出角度が小さくなるように比較的長い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第3電位時間T4が比較的短い場合に対象の液体吐出ヘッドと対象の液体吐出ヘッドとで実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4が短くなるほど吐出角度θが小さくなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出角度θが比較的小さい第1角度θ1である場合、駆動素子31には、比較的長い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得された吐出角度θが比較的大きい第2角度θ2である場合、駆動素子31には、実際の吐出角度が小さくなるように比較的短い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第3電位時間T4が比較的長い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際の吐出角度と目標の吐出角度との差が少なくなる。
【0332】
従って、本具体例は、駆動パルスP0の第3電位時間T4、および、吐出特性としての吐出角度θに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQの吐出角度のばらつきを少なくすることができる。この効果は、吐出角度θが第1吐出特性である場合、大きい。
【0333】
図49~51は、アスペクト比ARを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。アスペクト比ARは、
図8A,8Bに示すように、記録条件取得用の駆動パルスが駆動素子31に印加された時にノズル13から吐出された液体LQの形状を表す指標値である。
【0334】
まず、駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合に、アスペクト比ARと第3電位時間T4との関係について、説明する。
試験を行ったところ、第3電位時間T4が比較的短い場合、第3電位時間T4が長くなるほどアスペクト比ARが小さくなる傾向が判明した。この傾向から、アスペクト比ARが大きいために実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比を小さくしたい時には第3電位時間T4を長くすればよく、実際のアスペクト比が小さい時には第3電位時間T4を短くすればよいことが分かる。
【0335】
図49に示す例では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に調整される仮駆動パルスを第1駆動パルスP1と呼ぶことにしている。また、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い仮駆動パルスを第2駆動パルスP2と呼ぶことにしている。
駆動パルス決定手順では、取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第3基時間の例である。
【0336】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第3基時間よりも長い第4基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0337】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0338】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2である場合に第3電位時間T4として第3基時間よりも長い第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第3電位時間T4が比較的短い場合に、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0339】
図50は、駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合において、アスペクト比ARを記録条件400として取得する記録条件取得手順が実施された場合にアスペクト比ARに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する駆動パルス決定手順の例を模式的に示している。
【0340】
試験を行ったところ、第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4が長くなるほどアスペクト比ARが大きくなる傾向が判明した。この傾向から、アスペクト比ARが大きいために実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比を小さくしたい時には第3電位時間T4を短くすればよく、実際のアスペクト比が小さい時には第3電位時間T4を長くすればよいことが分かる。
【0341】
駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドについて記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第4基時間の例である。
【0342】
また、別の対象の液体吐出ヘッドについて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2よりも大きい第1アスペクト比AR1であり、目標値の許容範囲に入るように実際のアスペクト比を小さくしたいとする。この場合、駆動パルス決定手順では、目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が短い第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第4基時間よりも短い第3基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドについて実際のアスペクト比が小さくなるように調整されるので、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0343】
尚、駆動パルス決定手順では、アスペクト比ARの閾値をTARとして、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。
【0344】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合に第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定し、且つ、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも小さい第2アスペクト比AR2である場合に第3電位時間T4として第3基時間よりも長い第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。従って、本具体例は、第3電位時間T4が比較的長い場合に、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
また、
図5A,5Bに示す例を含む様々な駆動パルスP0の波形がデフォルトの波形であっても、類似する作用が生じ、ノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきが少なくなる。
【0345】
図51は、アスペクト比ARに加えて第3電位時間T4が比較的短いか比較的長いかに応じて第3電位時間T4が異なる駆動パルスP0を決定する例を模式的に示している。
図51に示す例では、比較的短い第3電位時間T4を第3時間TT3と呼び、比較的長い第3電位時間T4を第4時間TT4と呼ぶことにしている。
【0346】
駆動パルス決定手順では、いずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合、
図49で示したように駆動パルスP0を決定する。複数の駆動パルスP0は、第1駆動パルスP1と第2駆動パルスP2を含んでいる。第2駆動パルスP2は第3電位時間T4が第1駆動パルスP1よりも長いので、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4が比較的短い第3時間TT3である場合に
図49で示したように駆動パルスP0を決定することにしている。
図51に示すT4(P2)は、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおけるアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定することにしている。第1駆動パルスP1の第3電位時間T4は、第3基時間の例である。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおけるアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2であれば、目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第1駆動パルスP1よりも第3電位時間T4が長い第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。第2駆動パルスP2の第3電位時間T4は、第3基時間よりも長い第4基時間の例である。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0347】
更に、駆動パルス決定手順では、別の液体吐出ヘッドにいずれかを適用しようとしている複数の駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定する。第1駆動パルスP1は第3電位時間T4が第2駆動パルスP2よりも短いので、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4が比較的長い第4時間TT4である場合に第3電位時間T4の長短の関係が上述した場合とは逆になるように駆動パルスP0を決定することにしている。
図51に示すT4(P1)は、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を示している。例えば、駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおけるアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1であれば、
図6に示す目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。当該駆動パルス決定手順では、対象の液体吐出ヘッドにおけるアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2であれば、目標値の許容範囲に実際のアスペクト比が入るように、第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が短い第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定する。
以上により、対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0348】
尚、駆動パルス決定手順では、第3電位時間T4の閾値をTHT4として、第3時間TT3と第4時間TT4との間に閾値THT4を設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満である場合に
図49で示したように初期パラメーターを決定し、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上である場合に第3電位時間T4の長短の関係が前述とは逆になるように初期パラメーターを決定してもよい。
【0349】
むろん、駆動パルス決定手順では、第1アスペクト比AR1と第2アスペクト比AR2との間に閾値TARを設定してもよい。この場合、駆動パルス決定手順では、例えば、以下のように初期パラメーターを決定してもよい。
a.第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満であり、且つ、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
b.第3電位時間T4(P2)が閾値THT4未満であり、且つ、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
c.第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上であり、且つ、アスペクト比ARが閾値TAR以上である場合、第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
d.第3電位時間T4(P1)が閾値THT4以上であり、且つ、アスペクト比ARが閾値TAR未満である場合、第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定。
【0350】
アスペクト比ARについて決定された初期パラメーターは、他の吐出特性についての初期パラメーターと併せて初期パラメーターp0の決定に使用され、駆動パルスP0の決定に使用される。
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第3電位時間T4として、第3基時間と、第3基時間よりも長い第4基時間と、を少なくとも含む複数の基時間の中から選ばれる1つの基時間に基づいて駆動パルスP0を決定することを含んでいる。更に、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下のことを含んでいる。
A.第4基時間が第3時間TT3であり、且つ、取得工程ST1で取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
B.第4基時間が第3時間TT3であり、且つ、取得工程ST1で取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1よりも大きい第2アスペクト比AR2である場合、第3電位時間T4として第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
C.第3基時間が第3時間TT3よりも長い第4時間TT4であり、且つ、取得工程ST1で取得されたアスペクト比ARが第1アスペクト比AR1である場合、第3電位時間T4として第4基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
D.第3基時間が第4時間TT4であり、且つ、取得工程ST1で取得されたアスペクト比ARが第2アスペクト比AR2である場合、第3電位時間T4として第3基時間に基づいて駆動パルスP0を決定すること。
【0351】
駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的短い場合、第3電位時間T4が長くなるほどアスペクト比ARが小さくなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが比較的小さい第1アスペクト比AR1である場合、駆動素子31には、比較的短い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが比較的大きい第2アスペクト比AR2である場合、駆動素子31には、実際のアスペクト比が小さくなるように比較的長い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第3電位時間T4が比較的短い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
駆動パルスP0の第3電位時間T4が比較的長い場合、第3電位時間T4が短くなるほどアスペクト比ARが小さくなる傾向がある。ここで、対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが比較的小さい第1アスペクト比AR1である場合、駆動素子31には、比較的長い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。対象の液体吐出ヘッドにおいて、記録条件400として取得されたアスペクト比ARが比較的大きい第2アスペクト比AR2である場合、駆動素子31には、実際のアスペクト比が小さくなるように比較的短い第3電位時間T4に基づいて決定された駆動パルスP0が印加される。これにより、第3電位時間T4が比較的長い場合に対象の液体吐出ヘッドにおいて実際のアスペクト比と目標のアスペクト比との差が少なくなる。
【0352】
従って、本具体例は、駆動パルスP0の第3電位時間T4、および、吐出特性としてのアスペクト比ARに応じて実際にノズル13から吐出される液体LQのアスペクト比のばらつきを少なくすることができる。この効果は、アスペクト比ARが第1吐出特性である場合、大きい。
【0353】
第1吐出特性に基づいて初期パラメーターp1が決定され、第2吐出特性に基づいて初期パラメーターp2が決定されると、複数の吐出特性を組み合わせた初期パラメーターp0が決定され、初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定される。
【0354】
図46~51に示す駆動パルスP0は、
図3に示す第2電位E2の時間T2が第3電位時間T4の変更に応じて変わっている。第2駆動パルスP2は、第2電位E2である時間T2が第1駆動パルスP1よりも短い。この例は、第3電位時間T4を変更しても駆動パルスP0の周期T0の変化を抑制することができるので、第3電位時間T4の変更に応じて適切な駆動パルスP0を提供することができる。
【0355】
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、例えば、
図1に示すメモリー43に記憶され、駆動信号生成回路45により駆動信号COMの生成に使用される。駆動信号COMに含まれる駆動パルスP0は、駆動素子31に印加される。従って、本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第3電位E3である時間T3が第1駆動パルスP1よりも長い第2駆動パルスP2と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
【0356】
更に、
図46,47に示すように、第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が長い駆動パルスP0を第3駆動パルスP3と呼ぶことも可能である。
図46には、記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2よりも大きい第3角度θ3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が長い第3駆動パルスP3の第3電位時間T4に基づいて決定されることが示されている。
図47には、記録条件400として取得された吐出角度θが第2角度θ2よりも小さい第3角度θ3である場合、駆動素子31に印加する駆動パルスが第2駆動パルスP2よりも第3電位時間T4が長い第3駆動パルスP3の第3電位時間T4に基づいて決定されることが示されている。本具体例の液体吐出方法は、駆動工程ST3において、第1駆動パルスP1と、第2駆動パルスP2と、第3電位E3である時間T4が第2駆動パルスP2よりも長い第3駆動パルスP3と、を少なくとも含む複数の駆動パルスP0の中から決定された1つの駆動パルスを駆動素子31に印加することを含んでいる。
図48~51に示す複数の駆動パルスP0も、第3駆動パルスP3を含んでいてもよい。
【0357】
尚、駆動パルス決定手順では、吐出角度θの2つの閾値をそれぞれTθ1,Tθ2として、第1角度θ1と第2角度θ2との間に閾値Tθ1を設定し、第2角度θ2と第3角度θ3との間に閾値Tθ2を設定してもよい。
図46に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ1未満である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ1以上且つ閾値Tθ2未満である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ2以上である場合に第3駆動パルスP3の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。
図47に示す例の場合、駆動パルス決定手順では、例えば、吐出角度θが閾値Tθ1以上である場合に第1駆動パルスP1の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ1未満且つ閾値Tθ2以上である場合に第2駆動パルスP2の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定し、吐出角度θが閾値Tθ2未満である場合に第3駆動パルスP3の第3電位時間T4を初期パラメーターとして決定してもよい。決定される駆動パルスが4種類以上である場合も、同様に閾値を用いて駆動パルスを決定することが可能である。
【0358】
以上、個別の吐出特性から初期パラメーターを決定する詳細を説明したが、本具体例の液体吐出方法は、第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けをした決定方法により駆動パルスP0を決定する特徴を有している。従って、個別の吐出特性以外の吐出特性も加味された初期パラメーターp0を有する駆動パルスP0が決定されることになる。
また、
図10のS104の駆動パルス決定手順では、吐出特性と紙面上特性の組合せに基づいて駆動パルスP0が決定されてもよい。
【0359】
(8)具体例の作用、および、効果:
上述した具体例では、記録条件400に基づいて第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けがされた決定方法により決定された駆動パルスP0が駆動素子31に印加されるので、液体LQを吐出する液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与される。従って、上述した具体例は、様々な吐出特性を実現可能な液体吐出方法、駆動パルス生成プログラム、液体吐出装置、等の技術を提供することができる。また、液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与されると、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性が付与される。
【0360】
(9)自動アルゴリズムの具体例:
記録条件400には様々な条件が含まれているので、駆動素子31に印加する駆動パルスP0をコンピューター200が自動的に決定することができると好適である。そこで、
図52以降を参照して、記録条件400に基づいて複数の駆動パルスP0の中から駆動工程ST3において印加する1つの駆動パルスを決定する自動アルゴリズムの例を説明する。
【0361】
図52は、
図10のS104で行われる駆動パルス決定処理の例を示している。駆動パルス決定処理の例を行うコンピューター200は、取得工程ST1で取得された記録条件400に基づいて複数の駆動パルスP0の中から駆動工程ST3において印加する1つの駆動パルスP0を自動アルゴリズムの適用により決定する。
駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、試験的に駆動素子31に印加する駆動パルスP0である仮パルスを設定する(S302)。
【0362】
図53に示す例のように、駆動パルスP0は、変更可能な複数の要因F0を含んでいる。複数の要因F0は、
図3,5A,5Bに示す時間T2,T4、電位Eの差分d1,d2、および、電位Eの変化率ΔE(s2),ΔE(s4),ΔE(s6)に対応している。
図53に示す複数の要因F0は、以下に示す7つの要因F1~F7を含んでいる。
要因F1.差分d2すなわち|E3-E2|。
要因F2.差分d1すなわち|E1-E2|。
要因F3.電位Eの変化率ΔE(s2)すなわち|E1-E2|/T1。
要因F4.電位Eの変化率ΔE(s4)すなわち|E3-E2|/T3。
要因F5.電位Eの変化率ΔE(s6)すなわち|E3-E1|/T5。
要因F6.タイミングt2からタイミングt3までの時間T2。
要因F7.タイミングt4からタイミングt5までの時間T4。
尚、複数の要因F0は、タイミングt6から次の駆動パルスP0のタイミングt1までの時間T6等を含んでいてもよい。
【0363】
要因F1~F7には、それぞれ複数段階の数値が紐付けられている。例えば、
図53に示す要因F1は、差分d2として、30V、35V、40V、45V、および、50Vの電位差が紐付けられている。むろん、各要因F0に紐付けられる数値の段階数は、5段階に限定されず、4段階以下もよいし、6段階以上でもよい。また、各要因F0に紐付けられる数値は、
図53に示される数値に限定されず、様々な数値が可能である。
S302の仮パルス設定処理では、変更対象の要因F0を順次設定し、且つ、設定された要因F0の数値を順次変える処理が行われる。この処理を実現させる仮パルス設定処理の例が
図54に示されている。便宜上、
図53に示す要因F1~F7が変数a~gで示されている。尚、変数a~gは、同じ要因が複数の変数に対応付けられない限り、要因F1~F7の中から任意に1つずつ対応付けられる。例えば、要因F1~F7のうち1つの要因が変数aに対応付けられると、残る6つの要因のうち1つの要因が変数bに対応付けられ、残る5つの要因のうち1つの要因が変数bに対応付けられることが繰り返される。具体例を挙げると、変数aに要因F2が対応付けられ、変数bに要因F6が対応付けられ、変数cに要因F3が対応付けられることが繰り返されるという意味である。変数a~gの値は、
図54に示す仮パルス設定処理において扱うための整数値であり、要因F0の各段階に対応する整数値である。例えば、要因F1に対応付けられた変数は、整数値1が30Vに対応付けられ、整数値2が35Vに対応付けられ、整数値3が40Vに対応付けられ、整数値4が45Vに対応付けられ、整数値5が50Vに対応付けられている。以下の説明において、変数a~gに対応付けられた要因を単に要因a~gと呼ぶことにする。
【0364】
図54は、分かり易い例として、変数a~cのデフォルト値を1として3つの要因a~cの数値を設定する例を示している。
図54に示す仮パルス設定処理が開始すると、コンピューター200は、本仮パルス設定処理が初回の処理であるか否かに応じて処理を分岐させる(S402)。本仮パルス設定処理が初回の処理である場合、コンピューター200は、変数a~cをデフォルト値1に設定し(S404)、仮パルス設定処理を終了させる。これにより、要因a~cが変数a~cのデフォルト値1に対応付けられたデフォルト値に設定される。
【0365】
本仮パルス設定処理が2回目以降の処理である場合、コンピューター200は、変数aを前回の仮パルス設定処理時に設定されていた設定値に設定する(S406)。変数aの設定後、コンピューター200は、変数bを1増加させることが可能であるか否かに応じて処理を分岐させる(S408)。変数bを1増加させることが可能である場合、コンピューター200は、変数bを1増加させ(S410)、変数a,cを前回の仮パルス設定処理時に設定されていた設定値に設定し(S412)、仮パルス設定処理を終了させる。これにより、要因a,cが前回の設定値に設定され、要因bの設定値が更新される。
【0366】
S408において変数bを1増加させることが不可能である場合、コンピューター200は、変数cを1増加させることが可能であるか否かに応じて処理を分岐させる(S414)。変数cを1増加させることが可能である場合、コンピューター200は、変数cを1増加させ(S416)、変数bをデフォルト値1に設定し(S418)、変数aを前回の仮パルス設定処理時に設定されていた設定値に設定し(S420)、仮パルス設定処理を終了させる。これにより、要因aが前回の設定値に設定され、要因bがデフォルト値に設定され、要因cの設定値が更新される。
【0367】
S414において変数cを1増加させることが不可能である場合、コンピューター200は、変数aを1増加させ(S422)、変数b,cをデフォルト値1に設定し(S424)、仮パルス設定処理を終了させる。これにより、要因aが前回の設定値に設定され、要因bがデフォルト値に設定され、要因cの設定値が更新される。
以上説明したようにして、駆動パルスP0に含まれる複数段階の要因a~cの全組合せについて設定され、仮パルスが設定される。
【0368】
図示していないが、
図54に示す仮パルス設定処理と同様の処理により、全要因a~cの全組合せについて設定する等、4以上の要因の全組合せについて設定することが可能である。
【0369】
図52のS302の仮パルス設定処理後、コンピューター200は、設定された仮パルスを駆動素子31に印加させる仮パルス印加制御処理を行う(S304)。例えば、コンピューター200は、S302において決定された仮パルスを表す波形情報60を吐出要求とともに装置10に送信してもよい。この場合、液体吐出ヘッド11を含む装置10は、波形情報60を吐出要求とともに受信する処理、波形情報60をメモリー43に記憶する処理、および、波形情報60に従った駆動パルスP0を駆動素子31に印加する処理を行えばよい。その結果、仮パルスに応じた吐出特性でノズル13から液体LQが吐出され、吐出された液滴DRが記録媒体MDに着弾すると仮パルスに応じた紙面上特性でドットDTが記録媒体MDに形成される。
【0370】
次に、コンピューター200は、駆動パルスP0を駆動素子31に印加したときの駆動結果を取得する(S306)。駆動結果は、上述した記録条件400に対応し、駆動素子31の駆動周波数f0、液体LQの吐出量VM、液体LQの吐出速度VC、液体LQの吐出角度θ、液体LQのアスペクト比AR、ドットDTの被覆率CR、にじみ量FT、ブリーディング量BD、等を含む。コンピューター200は、
図1,7,8A,8B,9A,9B,9Cに示す検出装置300から駆動結果を取得してもよい。
【0371】
駆動結果の取得後、コンピューター200は、要因の全組合せについて仮パルスを設定したか否かに応じて処理を分岐させる(S308)。設定されていない仮パルスがある場合、コンピューター200は、S302~S308の処理を繰り返す。これにより、要因の全組合せについて、設定された仮パルスが駆動素子31に印加された時の駆動結果が取得される。仮パルスが全て設定された場合、コンピューター200は、各仮パルスを駆動素子31に印加した時の駆動結果に基づいて、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値の許容範囲に入るように駆動パルスP0を決定し(S310)、駆動パルス決定処理を終了させる。決定された駆動パルスP0は、
図10のS106の手順において、駆動素子31に印加される。決定された駆動パルスP0の波形を表す波形情報60は、
図10のS110の手順において、液体吐出ヘッド11の識別情報IDに紐付けられた状態でメモリー43といった記憶部に記憶される。
【0372】
図52~54において、コンピューター200は、例えば、要因aを固定し、且つ、要因bを漸次異ならせて仮パルスを駆動素子31に印加したときの駆動結果を取得し、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値の許容範囲に入るように、複数の仮パルスの中から印加する1つの駆動パルスを駆動結果に基づいて決定する。この場合、要因aは第1要因の例であり、要因bは第2要因の例である。尚、第1要因および第2要因には、第1要因と第2要因が異なる条件で要因F1~F7から任意に選ばれる要因を当てはめることができる。この当てはめは、以下も同じである。
【0373】
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、第1要因を固定し、且つ、第2要因を漸次異ならせて駆動パルスP0を駆動素子31に印加したときの駆動結果を取得し、複数の駆動パルスP0の中から駆動工程ST3において印加する1つの駆動パルスP0を駆動結果に基づいて決定することを含んでいる。本具体例は、自動アルゴリズムにより駆動パルスP0が決定されるので、様々な吐出特性を容易に実現可能な液体吐出方法、駆動パルス生成プログラム、液体吐出装置、等の技術を提供することができる。
【0374】
尚、要因F1~F7を漸次異ならせて取得された駆動結果に基づいて駆動パルスP0を決定することにより、取得工程ST1で取得された複数の吐出特性を含む記録条件400に応じて異なる駆動パルスP0が駆動素子31に印加される。記録条件400に基づいて第1吐出特性が第2吐出特性よりも大きい重みを有する重み付けがされた決定方法により決定された駆動パルスP0が駆動素子31に印加されるので、液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与され、様々な吐出特性が実現される。液体吐出ヘッド11に様々な吐出特性が付与されることにより、液体吐出ヘッド11から吐出される液体LQによって記録媒体MDに形成されるドットDTに様々な特性が付与される。
【0375】
図10のS104で行われる駆動パルス決定処理は、
図55に示すように行われてもよい。
図55に示す駆動パルス決定処理が開始すると、コンピューター200は、まず、要因aを或る設定値に固定する(S502)。S502の処理は複数回行われ、各回の処理の間に行われるS504~S510の処理中で要因aの設定値は固定されている。複数回行われるS502において順に固定される設定値を、第1所定条件、第2所定条件、…とする。例えば、要因aが
図53に示す要因F1である場合、S502の処理の1回目に30Vが設定され、S502の処理の2回目に35Vが設定され、S502の処理の3回目に40Vが設定され、という処理が繰り返される。この場合、要因F1が第1要因の例であり、設定値30Vが第1所定条件の例であり、設定値35Vが第2所定条件の例である。
【0376】
要因aの設定値が固定されると、コンピューター200は、複数の要因のうち要因aを除く要因を漸次異ならせて仮パルスを設定する(S504)。例えば、残りの要因に要因bが含まれている場合、要因aが第1要因の例であり、要因bが第2要因の例である。S504の仮パルス設定処理は、
図54に示す仮パルス設定処理に類似する処理とすることができる。仮パルス設定処理後、コンピューター200は、設定された仮パルスを駆動素子31に印加させる仮パルス印加制御処理を行う(S506)。次に、コンピューター200は、駆動パルスP0を駆動素子31に印加したときの駆動結果を取得する(S508)。ここで、要因aが第1所定条件に固定されている時の駆動結果を第1駆動結果、要因aが第2所定条件に固定されている時の駆動結果を第2駆動結果、…とする。第1駆動結果は要因aが第1所定条件に固定されている時に残りの要因を漸次異ならせて得られる駆動結果であり、第2駆動結果は要因aが第2所定条件に固定されている時に残りの要因を漸次異ならせて得られる駆動結果である。
【0377】
コンピューター200は、要因aを除く要因の全組合せについて仮パルスを設定したか否かに応じて処理を分岐させる(S510)。設定されていない仮パルスがある場合、コンピューター200は、S504~S510の処理を繰り返す。これにより、要因aを除く要因の全組合せについて、設定された仮パルスが駆動素子31に印加された時の駆動結果が取得される。仮パルスが全て設定された場合、コンピューター200は、各仮パルスを駆動素子31に印加した時の駆動結果に基づいて、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値に最も近くなるように候補パルスを決定する(S512)。ここで、第1駆動結果に基づいて決定された候補パルスを第1候補パルス、第2駆動結果に基づいて決定された候補パルスを第2候補パルス、…とする。第1候補パルスは第1要因が第1所定条件に固定された複数の駆動パルスの中から
図10のS106において印加する候補とされた駆動パルスであり、第2候補パルスは第1要因が第2所定条件に固定された複数の駆動パルスの中から
図10のS106において印加する候補とされた駆動パルスである。
【0378】
コンピューター200は、要因aの設定値を変更可能であるか否かに応じて処理を分岐させる(S514)。要因aの設定値を変更可能である場合、コンピューター200は、S502~S514の処理を繰り返す。これにより、要因aの全ての設定値について、候補パルスが決定される。要因aの設定値を変更することができない場合、コンピューター200は、実際の吐出特性および紙面上特性が目標値の許容範囲に入るように複数の候補パルスの中から
図10のS106において印加する1つの駆動パルスを決定し(S516)、駆動パルス決定処理を終了させる。決定された駆動パルスP0は、
図10のS106の手順において、駆動素子31に印加される。決定された駆動パルスP0の波形を表す波形情報60は、
図10のS110の手順において、液体吐出ヘッド11の識別情報IDに紐付けられた状態でメモリー43といった記憶部に記憶される。
【0379】
以上より、本具体例の液体吐出方法は、決定工程ST2において、以下の手順1~3を含んでいる。
手順1.第1要因を第1所定条件に固定し、且つ、第2要因を漸次異ならせて駆動パルスP0を駆動素子31に印加したときの第1駆動結果を取得し、第1要因が第1所定条件に固定された複数の駆動パルスP0の中から駆動工程ST3において印加する候補の駆動パルスである第1候補パルスを第1駆動結果に基づいて決定すること。
手順2.第1要因を第1所定条件と異なる第2所定条件に固定し、且つ、第2要因を漸次異ならせて駆動パルスP0を駆動素子31に印加したときの第2駆動結果を取得し、第1要因が第2所定条件に固定された複数の駆動パルスP0の中から駆動工程ST3において印加する候補の駆動パルスである第2候補パルスを第2駆動結果に基づいて決定すること。
手順3.第1候補パルスと第2候補パルスとを少なくとも含む複数の候補パルスの中から駆動工程ST3において印加する1つの駆動パルスを決定すること。
本具体例は、様々な吐出特性を容易に実現させる好適な液体吐出方法、駆動パルス生成プログラム、液体吐出装置、等の技術を提供することができる。
【0380】
(10)サーバーコンピューターを含む駆動パルス生成システムの具体例:
決定された駆動パルスP0を表す波形情報60は、コンピューター200の外部にあるサーバーコンピューターに記憶されてもよい。この場合、液体吐出ヘッド11を含む装置10のユーザーは、サーバーコンピューターから波形情報60をダウンロードすることにより、波形情報60で表される駆動パルスP0を液体吐出ヘッド11の駆動素子31に印加させることができる。
【0381】
図56は、サーバー250を含む駆動パルス生成システムSYの構成例を模式的に示している。ここで、サーバーは、サーバーコンピューターの略称である。
図56の下部には、記憶装置254に記憶されている情報群の例を模式的に示している。
図56に示すサーバー250は、プロセッサーであるCPU251、半導体メモリーであるROM252、半導体メモリーであるRAM253、記憶装置254、通信I/F257、等を有している。これらの要素251~254,257等は、電気的に接続されていることにより互いに情報を入出力可能である。
【0382】
サーバー250の通信I/F257とコンピューター200の通信I/F207とは、ネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して互いにデータを送受信する。ネットワークNWには、インターネット、LAN、等が含まれる。ここで、LANは、Local Area Networkの略称である。
記憶装置254は、液体吐出ヘッド11の識別情報ID、および、識別情報IDに紐付けられている波形情報60を記憶している。
図56に示す記憶装置254は、識別情報ID1に紐付けられている波形情報601、識別情報ID2に紐付けられている波形情報602、識別情報ID3に紐付けられている波形情報603、…を記憶している。本具体例において、記憶装置254は記憶部の例である。
【0383】
本具体例のコンピューター200は、
図10のS110の記憶処理において、S104において決定された駆動パルスP0を表す波形情報60、および、決定された駆動パルスP0を適用する液体吐出ヘッド11の識別情報IDを記憶要求とともにサーバー250に送信する。この場合、サーバー250は、コンピューター200から波形情報60および識別情報IDを記憶要求とともに受信し、波形情報60を識別情報IDに紐付けられた状態で記憶装置254に記憶させる。例えば、コンピューター200が波形情報602および識別情報ID2を記憶要求とともにサーバー250に送信すると、サーバー250は波形情報602を識別情報ID2に紐付けられた状態で記憶装置254に記憶させる。
以上により、装置10に接続可能な或るコンピューターが識別情報IDに紐付けられている波形情報60の送信をサーバー250に要求すると、サーバー250は識別情報IDに紐付けられている波形情報60をコンピューターに送信する。これにより、コンピューターは、識別情報IDに紐付けられている波形情報60をサーバー250から受信し、当該波形情報60を装置10のメモリー43に記憶させることができる。ここで、或るコンピューターは、上述したコンピューター200でもよいし、コンピューター200以外のコンピューターでもよい。
【0384】
以上より、本具体例の液体吐出方法は、記憶工程ST4において、記憶部の外部にあるコンピューター200により、識別情報IDに紐付けられた波形情報60を送信することにより波形情報60を識別情報IDに紐付けられた状態で記憶部に記憶させる。また、本具体例の液体吐出方法は、記憶工程ST4において、サーバー250の外部にあるコンピューター200により、識別情報IDに紐付けられた波形情報60をサーバー250に送信することにより波形情報60を識別情報IDに紐付けられた状態で記憶装置254に記憶させる。これにより、本具体例は、識別情報IDに紐付けられている波形情報60をサーバー250から受信し当該波形情報60で表される駆動パルスP0を駆動素子31に印加させることができる。従って、本具体例は、様々な吐出特性を容易に実現させる便利な液体吐出方法、駆動パルス生成プログラム、液体吐出装置、等の技術を提供することができる。
【0385】
なお、各実施形態では第1電位E1が第2電位E2と第3電位E3の間である場合について説明したが、第3電位E3が前記第1電位E1と前記第2電位E2の間であっても良い。
【0386】
(11)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、様々な記録条件に応じて液体を吐出可能な液体吐出方法、駆動パルス生成プログラム、液体吐出装置、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術および上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0387】
10…装置、11…液体吐出ヘッド、13…ノズル、14…ノズル面、23…圧力室、31…駆動素子、40…装置本体、44…制御部、45…駆動信号生成回路、60…波形情報、200…コンピューター、204…記憶装置、250…サーバー、254…記憶装置、300…検出装置、400…記録条件、AR…アスペクト比、AR1…第1アスペクト比、AR2…第2アスペクト比、BD…ブリーディング量、COM…駆動信号、CR…被覆率、D0…基準方向、D1…吐出方向、DR…液滴、DR1…メイン液滴、DR2…サテライト、DR3…孫サテライト、DT,DT1,DT2…ドット、Db…本体部、Df…にじみ部、Dm…混合部、d1,d2…差分、E1…第1電位、E2…第2電位、E3…第3電位、F0~F7…要因、f0…駆動周波数、f1…第1駆動周波数、f2…第2駆動周波数、FT…にじみ量、ID…識別情報、LQ…液体、MD…記録媒体、MN…メニスカス、P0…駆動パルス、P1…第1駆動パルス、P2…第2駆動パルス、P3…第3駆動パルス、p0…初期パラメーター、PR0…駆動パルス決定プログラム、s1~s6…状態、ST1…取得工程、ST2…決定工程、ST3…駆動工程、ST4…記憶工程、SY…駆動パルス生成システム、T0…周期、T1~T6…時間、t1~t6…タイミング、TA1…目標吐出特性テーブル、TT1…第1時間、TT2…第2時間、TT3…第3時間、TT4…第4時間、VC…吐出速度、VC1…第1吐出速度、VC2…第2吐出速度、VM…吐出量、VM1…第1吐出量、VM2…第2吐出量、θ…角度、θ1…第1角度、θ2…第2角度。