(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ロボットシステムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020013340
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 史彰
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136681(JP,A)
【文献】特開2006-150562(JP,A)
【文献】特開2009-083042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276851(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109494833(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを電力供給源として駆動するロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに第1作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記第1作業を実行した回数を、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させることができる回数の上限である第1上限回数として設定する設定処理を実行する、
ロボットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットシステムであって、
前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させる回数を前記第1上限回数以下に制限する、ロボットシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロボットシステムであって、
前記制御装置は、
前記第1作業を実行するための前記バッテリーの残量が確保されていると判断されなかった場合には、前記バッテリーの出力電圧を取得し、取得された前記バッテリーの出力電圧が前記閾値以下である場合には、前記第1上限回数を減ずる補正を実行する、ロボットシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロボットシステムであって、
前記制御装置は、前記設定処理において、前記第1上限回数が設定され、かつ、前記バッテリーが再び満充電された後に、前記バッテリーが満充電されてから前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに第2作業のみを繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記第2作業のみを実行した回数を、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第2作業を実行させることができる回数の上限である第2上限回数として設定する、ロボットシステム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロボットシステムであって、
前記制御装置は、前記バッテリーが交換された場合に、前記設定処理を実行する、ロボットシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロボットシステムであって、
前記バッテリーとは異なる種類のバッテリーに前記バッテリーを交換可能に構成されている、ロボットシステム。
【請求項7】
バッテリーを電力供給源として駆動するロボットを制御する制御装置であって、
前記バッテリーの出力電圧を取得する電圧取得部と、
前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに作業を実行させることができる回数の上限である上限回数を記憶する上限回数記憶部と、
を備え、
前記バッテリーが満充電されてから前記電圧取得部によって取得される前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに前記作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記作業を実行した回数を取得し、取得された回数を前記上限回数として前記上限回数記憶部に記憶する設定処理を実行する、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリーを電力供給源として駆動されるロボットが記載されている。このロボットは、検出されたバッテリー残量とデータベースに記憶された作業ごとの消費電力に関する情報とを用いて作業を実行するためのバッテリー残量が確保されているか否かを判定し、判定結果のユーザーへの提示や実行する作業の切り替えによって、作業中のロボットがバッテリー切れで停止することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したロボットでは、バッテリーの残量を管理するために、作業ごとの消費電力に関する情報をデータベースに記憶させる必要があるので、ユーザーに消費電力を算出させる手間を課すことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、バッテリーを電力供給源として駆動するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに第1作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記第1作業を実行した回数を、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させることができる回数の上限である第1上限回数として設定する設定処理を実行する。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、バッテリーを電力供給源として駆動するロボットを制御する制御装置が提供される。この制御装置は、前記バッテリーの出力電圧を取得する電圧取得部と、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに作業を実行させることができる回数の上限である上限回数を記憶する上限回数記憶部と、を備える。前記バッテリーが満充電されてから前記電圧取得部によって取得される前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに前記作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記作業を実行した回数を取得し、取得された回数を前記上限回数として前記上限回数記憶部に記憶する設定処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のロボットシステムの概略構成を示す説明図。
【
図2】第1実施形態の制御装置の概略構成を示す説明図。
【
図3】バッテリーの出力電圧の推移を模式的に示す説明図。
【
図4】上限回数設定処理の内容を示すフローチャート。
【
図5】作業シーケンス実行処理の内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるロボットシステム10の概略構成を示す説明図である。本実施形態では、ロボットシステム10は、ロボット20と、車両部30と、バッテリー40と、電圧計41と、制御装置90とを備えている。ロボットシステム10は、例えば、第1地点においてロボット20によってワークWKを車両部30に積み込み、第1地点から第2地点まで車両部30によって走行し、第2地点においてロボット20によってワークWKを車両部30から下ろすことができる。尚、ロボット20のことをマニピュレーターと呼ぶこともでき、車両部30のことを車両と呼ぶこともでき、制御装置90のことをコントローラーと呼ぶこともできる。
【0009】
ロボット20は、ベース部21と、第1アーム部25Aと、第2アーム部25Bと、第3アーム部25Cと、第4アーム部25Dと、第5アーム部25Eと、第6アーム部25Fと、第1モーター26Aと、第2モーター26Bと、第3モーター26Cと、第4モーター26Dと、第5モーター26Eと、第6モーター26Fと、エンドエフェクター29とを備えている。本実施形態では、ロボット20は、垂直多関節ロボットとして構成されている。尚、各アーム部25A~25Fおよび各モーター26A~26Fの符号の末尾に付された「A」~「F」の文字は、各アーム部25A~25Fおよび各モーター26A~26Fを区別するために付された文字である。以下の説明において、各アーム部25A~25Fおよび各モーター26A~26Fを特に区別せずに説明する場合には、符号の末尾に「A」~「F」の文字を付さずに説明する。ベース部21のことをベースと呼ぶこともでき、アーム部25のことをアームと呼ぶこともできる。
【0010】
ベース部21は、車両部30に固定されている。第1アーム部25Aは、ベース部21に対して第1軸O1を中心にして回転可能に接続されている。第2アーム部25Bは、第1アーム部25Aに対して第2軸O2を中心にして回転可能に接続されている。第3アーム部25Cは、第2アーム部25Bに対して第3軸O3を中心にして回転可能に接続されている。第4アーム部25Dは、第3アーム部25Cに対して第4軸O4を中心にして回転可能に接続されている。第5アーム部25Eは、第4アーム部25Dに対して第5軸O5を中心にして回転可能に接続されている。第6アーム部25Fは、第5アーム部25Eに対して第6軸O6を中心にして回転可能に接続されている。エンドエフェクター29は、第6アーム部25Fの先端部分に装着されている。本実施形態では、エンドエフェクター29は、ワークWKを把持可能なグリッパーによって構成されている。
【0011】
第1モーター26Aは、ベース部21に対して第1アーム部25Aを回転させる。第2モーター26Bは、第1アーム部25Aに対して第2アーム部25Bを回転させる。第3モーター26Cは、第2アーム部25Bに対して第3アーム部25Cを回転させる。第4モーター26Dは、第3アーム部25Cに対して第4アーム部25Dを回転させる。第5モーター26Eは、第4アーム部25Dに対して第5アーム部25Eを回転させる。第6モーター26Fは、第5アーム部25Eに対して第6アーム部25Fを回転させる。各モーター26A~26Fは、制御装置90によって個別に制御される。各モーター26A~26Fは、バッテリー40を電力供給源として駆動される。本実施形態では、各モーター26A~26Fは、交流モーターによって構成されている。バッテリー40の出力する直流電力がインバーターによって交流電力に変換されて、各モーター26A~26Fに供給される。各モーター26A~26Fは、直流モーターによって構成されてもよい。
【0012】
ロボット20は、上述した構成に限定されない。例えば、ロボット20は、上述したようにアーム部25およびモーター26を6つ備える構成ではなく、アーム部25およびモーター26を1つから5つ備える構成であってもよいし、アーム部25およびモーター26を7つ以上備える構成であってもよい。また、例えば、ロボット20は、垂直多関節ロボットではなく水平多関節ロボットとして構成されてもよい。ロボットシステム10は、2つ以上のロボット20を備えてもよい。
【0013】
車両部30は、車体部31と、車輪部35と、走行用モーター36とを備えている。本実施形態では、車両部30は、予め定められた走行経路上に配置された磁気テープ等によって誘導されて走行するAGV(Automated Guided Vehicle)として構成されている。車両部30は、自ら走行経路を算出して、走行経路上に人や障害物を検知した場合には人や障害物を回避しつつ走行するAMR(Autonomous Mobile Robot)として構成されてもよい。
【0014】
車体部31の上面には、ロボット20のベース部21が固定されている。車体部31の上面のベース部21が固定された部分の隣には、ワークWKを積載するための積載部39が設けられている。車体部31には、走行用モーター36が搭載されている。走行用モーター36は、制御装置90の制御下で駆動される。走行用モーター36は、バッテリー40を電力供給源として駆動されて、車輪部35を回転させる。車両部30は、車輪部35の回転によって走行する。本実施形態では、走行用モーター36は、交流モーターによって構成されている。バッテリー40の出力する直流電力がインバーターによって交流電力に変換されて、走行用モーター36に供給される。走行用モーター36は、直流モーターによって構成されてもよい。尚、車体部31のことを車体と呼ぶこともでき、車輪部35のことを車輪と呼ぶこともでき、積載部39のことを積載台と呼ぶこともできる。
【0015】
バッテリー40および電圧計41は、車体部31に搭載されている。バッテリー40は、充電と放電とが可能な二次電池によって構成されている。バッテリー40には、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池を用いることができる。電圧計41は、バッテリー40の出力電圧を測定する。電圧計41によって測定されたバッテリー40の出力電圧は、制御装置90に送信される。本実施形態では、バッテリー40を充電するための充電コネクター42と、バッテリー40の充電が必要である場合に充電が必要であることを報知するための報知部43とが、車体部31に設けられている。報知部43は、例えば、制御装置90の制御下で駆動される警告灯やブザー等によって構成される。ロボットシステム10は、搭載されていたバッテリー40と同種の二次電池だけでなく、搭載されていたバッテリー40とは異なる種類の二次電池にもバッテリー40を交換可能に構成されている。例えば、バッテリー40は、搭載されていたリチウムイオン電池を製造したメーカーとは異なるメーカーが製造したリチウムイオン電池に交換されてもよいし、リチウムイオン電池からニッケル水素電に交換されてもよい。以下の説明では、バッテリー40等の二次電池の状態がそれ以上充電する余地のない状態であること、すなわち、バッテリー40等の二次電池が十分に充電された状態であることを「満充電」または「満充電された」と表現する場合もある。
【0016】
制御装置90は、車体部31に搭載されている。制御装置90は、1つまたは複数のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。制御装置90は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、後述する上限回数設定処理と作業シーケンス実行処理とを含んだ種々の機能を発揮する。制御装置90は、コンピューターによって構成される代わりに、各機能の少なくとも一部を実行するための複数の回路を組み合わせた構成により実行されてもよい。尚、制御装置90は、ロボット20に内蔵されてもよい。
【0017】
図2は、本実施形態における制御装置90の概略構成を示す説明図である。本実施形態では、制御装置90は、電圧取得部91と、電圧閾値記憶部92と、第1作業記憶部93Aと、第1上限回数記憶部94Aと、第2作業記憶部93Bと、第2上限回数記憶部94Bと、第3作業記憶部93Cと、第3上限回数記憶部94Cと、第4作業記憶部93Dと、第4上限回数記憶部94Dと、作業回数カウント部95と、作業シーケンス記憶部96とを備えている。尚、各作業記憶部93A~93Dおよび各上限回数記憶部94A~94Dの符号の末尾に付された「A」~「D」の文字は、各作業記憶部93A~93Dおよび各上限回数記憶部94A~94Dを区別するために付された文字である。以下の説明において、各作業記憶部93A~93Dおよび各上限回数記憶部94A~94Dを特に区別せずに説明する場合には、符号の末尾に「A」~「D」の文字を付さずに説明する。
【0018】
電圧取得部91は、電圧計41によって測定されたバッテリー40の出力電圧を取得する。電圧閾値記憶部92は、上限回数設定処理等に用いられるバッテリー40の出力電圧の閾値を記憶する。電圧閾値記憶部92には、例えば、ユーザーによって入力された閾値が記憶される。
【0019】
第1作業記憶部93Aは、ロボットシステム10に実行させる第1作業の内容を記憶する。本実施形態では、ロボット20によって積載部39にワークWKを積み込むという内容の第1作業が第1作業記憶部93Aに記憶されている。第1上限回数記憶部94Aは、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第1作業のみを実行させる場合に第1作業を実行させることができる回数の上限である第1上限回数を記憶する。第1上限回数は、後述する上限回数設定処理によって第1上限回数記憶部94Aに記憶される。
【0020】
第2作業記憶部93Bは、ロボットシステム10に実行させる第2作業の内容を記憶する。本実施形態では、車両部30によって第1地点から第2地点まで走行するという内容の第2作業が第2作業記憶部93Bに記憶されている。第2上限回数記憶部94Bは、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第2作業のみを実行させる場合に第2作業を実行させることができる回数の上限である第2上限回数を記憶する。第2回数は、後述する上限回数設定処理によって第2上限回数記憶部94Bに記憶される。
【0021】
第3作業記憶部93Cは、ロボットシステム10に実行させる第3作業の内容を記憶する。本実施形態では、ロボット20によって積載部39からワークWKを下ろすという内容の第3作業が第3作業記憶部93Cに記憶されている。第3上限回数記憶部94Cは、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第3作業のみを実行させる場合に第3作業を実行させることができる回数の上限である第3上限回数を記憶する。第3回数は、後述する上限回数設定処理によって第3上限回数記憶部94Cに記憶される。
【0022】
第4作業記憶部93Dは、ロボットシステム10に実行させる第4作業の内容を記憶する。本実施形態では、車両部30によって第2地点から第1地点まで走行するという内容の第4作業が第4作業記憶部93Dに記憶されている。第4上限回数記憶部94Dは、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第4作業のみを実行させる場合に第4作業を実行させることができる回数の上限である第4上限回数を記憶する。第4回数は、後述する上限回数設定処理によって第4上限回数記憶部94Dに記憶される。
【0023】
作業回数カウント部95は、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間における、第1作業が実行された回数と、第2作業が実行された回数と、第3作業が実行された回数と、第4作業が実行された回数とのそれぞれをカウントして記憶する。作業回数カウント部95に記憶された各回数は、バッテリー40が再度充電された場合に0回に戻される。
【0024】
作業シーケンス記憶部96は、各作業記憶部93A~93Dに記憶された作業を予め定められた順序でロボットシステム10に実行させる作業シーケンスを記憶する。本実施形態では、ロボットシステム10に、第1作業と第2作業と第3作業と第4作業とをこの順で実行させるという内容の作業シーケンスが記憶されている。
【0025】
制御装置90は、上述した構成に限定されない。例えば、制御装置90は、上述した4つの作業記憶部93および上限回数記憶部94を備える構成ではなく、1つから3つの作業記憶部93および上限回数記憶部94を備える構成であってもよいし、5つ以上の作業記憶部93および上限回数記憶部94を備える構成であってもよい。
【0026】
図3は、バッテリー40の出力電圧の推移を示す説明図である。
図3における横軸は時間を表しており、縦軸は電圧を表している。
図3には、ロボットシステム10に連続的に作業を実行させた際のバッテリー40の出力電圧Voutの推移が模式的に表されている。バッテリー40からロボット20のモーター26や車両部30の走行用モーター36に電力を供給することによってロボットシステム10に作業を実行させると、バッテリー40の出力電圧Voutは低下する。バッテリー40の出力電圧Voutが下限値を下回ると、ロボットシステム10は作業を実行できなくなる。そこで、本実施形態では、下限値よりも高い閾値が制御装置90の電圧閾値記憶部92に記憶される。
【0027】
図4は、本実施形態における上限回数設定処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、後述する作業シーケンス実行処理に先立って、制御装置90によって実行される。この処理は、バッテリー40が交換された場合にも、制御装置90によって実行される。まず、ステップS110にて、制御装置90は、バッテリー40が満充電されるまで待機する。この際に、バッテリー40の充電が開始されない場合には、制御装置90は、バッテリー40の充電が必要であることを報知部43によってユーザーに向けて報知してもよい。尚、上限回数設定処理のことを単に設定処理と呼ぶこともある。
【0028】
バッテリー40が満充電された後、ステップS120にて、制御装置90は、第1作業記憶部93Aに記憶された第1作業を1回、ロボットシステム10に実行させる。ステップS130にて、制御装置90は、バッテリー40が満充電されてからロボットシステム10に第1作業を実行させた回数を作業回数カウント部95によってカウントして記憶する。バッテリー40が満充電されてからロボットシステム10に第1作業を実行させた回数が1回になるため、作業回数カウント部95には1回が記憶される。ステップS140にて、制御装置90は、電圧取得部91によってバッテリー40の出力電圧を取得する。ステップS150にて、制御装置90は、電圧取得部91によって取得されたバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0029】
ステップS150でバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値よりも大きいと判断された場合、制御装置90は、ステップS120に処理を戻して、ステップS120からステップS150までの処理を再度実行する。2回目に実行されるステップS120の処理によって、バッテリー40が満充電されてからロボットシステム10に第1作業を実行させた回数が2回になるため、2回目に実行されるステップS130の処理では、作業回数カウント部95には2回が記憶される。ステップS150でバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値よりも大きいと判断されなくなるまで、制御装置90は、ステップS120からステップS150までの処理を繰り返し実行する。
【0030】
ステップS150でバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値よりも大きいと判断されなかった場合、つまり、バッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下である場合、制御装置90は、ステップS160にて、作業回数カウント部95に記憶された第1作業の回数を第1上限回数として第1上限回数記憶部94Aに記憶する。例えば、作業回数カウント部95に記憶された第1作業の回数が50回である場合には、第1上限回数記憶部94Aには、第1上限回数として50回が記憶される。
【0031】
その後、ステップS170にて、制御装置90は、各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されているか否かを判定する。ステップS170で各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されていると判断された場合、制御装置90は、ステップS110に処理を戻して、ステップS110からステップS170までの処理を再度実行する。本実施形態では、第1作業とは異なる第2作業が第2作業記憶部93Bに記憶されているので、制御装置90は、ステップS170で各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されていると判断する。ステップS110でバッテリー40が再度満充電された後、制御装置90は、ステップS120からステップS160までの処理を実行することによって、第2上限回数を第2上限回数記憶部94Bに記憶し、ステップS170の処理を実行することによって、各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されているか否かを判定する。本実施形態では、第1作業とは異なり、かつ、第2作業とは異なる第3作業が第3作業記憶部93Cに記憶されているので、制御装置90は、2回目のステップS170で各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されていると判断する。
【0032】
ステップS170で各作業記憶部93A~93Dに他の作業が記憶されていると判断されなくなるまで、制御装置90は、ステップS110からステップS170までの処理を繰り返し実行して、各上限回数記憶部94A~94Dに各上限回数を記憶する。ステップS170で他の作業が記憶されていると判断されなかった場合、制御装置90は、この処理を終了する。その後、バッテリー40が交換された場合に、制御装置90は、この処理を再度実行する。尚、この処理が再度実行される前に、電圧閾値記憶部92に記憶された閾値が変更されてもよい。
【0033】
図5は、作業シーケンス実行処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、制御装置90に所定の開始指令が供給されることによって、制御装置90によって実行される。まず、ステップS210にて、制御装置90は、作業シーケンスに表された1番目の作業である第1作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されているか否かを判定する。
【0034】
本実施形態では、制御装置90は、各上限回数記憶部94A~94Dに記憶された各上限回数を用いて各作業の電力消費割合を算出し、各作業の電力消費割合と、作業回数カウント部95に記憶されたバッテリー40が満充電されてからの各作業を実行させた回数とを用いて、バッテリー40の残量が確保されているか否かを判断する。電力消費割合とは、バッテリー40が満充電されてからバッテリー40の出力電圧が閾値以下にならない範囲内でバッテリー40が出力可能な電力量に対する、ロボットシステム10に作業を1回実行させるために消費される電力量の割合のことを意味する。第1作業の電力消費割合のことを第1電力消費割合と呼び、第2作業の電力消費割合のことを第2電力消費割合と呼び、第3作業の電力消費割合のことを第3電力消費割合と呼び、第4作業の電力消費割合のことを第4電力消費割合と呼ぶ。例えば、第1上限回数および第3上限回数がそれぞれ50回であり、第2上限回数および第4上限回数がそれぞれ70回である場合には、制御装置90は、各電力消費割合の分母の値を揃えて、第1電力消費割合および第3電力消費割合をそれぞれ7/350と算出し、第2電力消費割合および第4電力消費割合をそれぞれ5/350と算出する。この例において、第1作業を14回、第2作業を14回、第3作業を14回、第4作業を14回実行させた場合の各電力消費割合の合計値は、下式(1)によって表される。
(7×14+5×14+7×14+5×14)/350=336/350 ・・・(1)
この場合、ロボットシステム10に15回目の第1作業を実行させても各電力消費割合の合計値が1を上回らないため、制御装置90は、第1作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断する。また、上述した例において、第1作業を15回、第2作業を15回、第3作業を14回、第4作業を14回実行させた場合の各電力消費割合の合計値は、下式(2)によって表される。
(7×15+5×15+7×14+5×14)/350=348/350 ・・・(2)
この場合、ロボットシステム10に15回目の第3作業を実行させると各電力消費割合の合計値が1を上回るため、制御装置90は、第3作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断しない。また、上述した例において、第1作業を50回、第2作業を0回、第3作業を0回、第4作業を0回実行させた場合の各電力消費割合の合計値は、下式(3)によって表される。
(7×50+5×0+7×0+5×0)/350=350/350 ・・・(3)
この場合、ロボットシステム10に51回目の第1作業を実行させると各電力消費割合の合計値が1を上回るため、制御装置90は、第1作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断しない。つまり、制御装置90は、ロボットシステム10に各作業を実行させる回数を最大でも各上限回数以下に制限する。
【0035】
ステップS210で第1作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断された場合、制御装置90は、ステップS220にて、ロボットシステム10に第1作業を実行させる。ステップS230にて、制御装置90は、バッテリー40が満充電されてから第1作業が実行された回数を作業回数カウント部95によってカウントして記憶する。
【0036】
ステップS240にて、制御装置90は、作業シーケンスに他の作業が登録されている否かを判定する。ステップS240で作業シーケンスに他の作業が登録されていると判断された場合、制御装置90は、ステップS210に処理を戻して、ステップS210からステップS240までの処理を再度実行する。本実施形態では、作業シーケンスには、第1作業の他に第2作業と第3作業と第4作業とが登録されているため、ステップS240で制御装置90は、作業シーケンスに他の作業が登録されていると判断する。制御装置90は、2回目のステップS210にて、作業シーケンスに表された2番目の作業である第2作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されているか否かを判定し、第2作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断された場合には、2回目のステップS220にて、ロボットシステム10に第2作業を実行させる。2回目のステップS230にて、バッテリー40が満充電されてから第2作業が実行された回数を作業回数カウント部95によってカウントして記憶する。
【0037】
ステップS240で作業シーケンスに他の作業が登録されていると判断されなくなるまで、制御装置90は、ステップS210からステップS240までの処理を繰り返し実行する。ステップS240で作業シーケンスに他の作業が登録されていると判断されなかった場合、制御装置90は、この処理を終了する。
【0038】
ステップS210で第1作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断されなかった場合、制御装置90は、ロボットシステム10に第1作業を実行させずに、ステップS260にて、電圧取得部91によってバッテリー40の出力電圧を取得して、ステップS270にて、バッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下であるか否かを判定する。ステップS270でバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下であると判断されなかった場合、制御装置90は、ステップS280の処理をスキップして、ステップS290に処理を進める。一方、ステップS270でバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下であると判断された場合、制御装置90は、ステップS280にて、各上限回数を減ずる補正を実行する。本実施形態では、制御装置90は、各電力消費割合の分母の値を1減ずることによって各上限回数を補正する。例えば、第1上限回数が50回であり、かつ、各電力消費割合の分母の値が350である場合には、制御装置90は、各電力消費割合の分母の値を350から349に減じて、第1上限作業回数を50回から349/7回に補正する。補正後の各上限回数は、各上限回数記憶部94A~94Dに記憶される。尚、制御装置90は、各電力消費量の割合の分母の値を2以上減ずる補正を実行してもよいし、各電力消費割合の分母の値を減ずることによって各上限回数を減ずるのではなく各上限回数自体を減じてもよい。
【0039】
ステップS290にて、制御装置90は、報知部43によってバッテリー40の充電が必要であることを報知する。その後、制御装置90は、この処理を終了する。バッテリー40が満充電された後に制御装置90に所定の開始指令が供給された場合には、制御装置90は、この処理を再度実行する。
【0040】
以上で説明した本実施形態のロボットシステム10によれば、制御装置90は作業シーケンス実行処理に先立って上限回数設定処理を実行することによって、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間における各作業の上限回数を各上限回数記憶部94A~94Dに記憶する。そのため、消費電力を算出させる手間をユーザーに課さずに各上限回数を用いてバッテリー40の残量を管理することができ、かつ、各作業の内容がユーザーによって変更された場合であっても上限回数設定処理を再度実行させることによって変更後の各作業の上限回数を各上限回数記憶部94A~94Dに記憶させることができる。特に、本実施形態では、制御装置90は作業シーケンス実行処理において、各上限回数を用いて各作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されているか否かを判定するので、各作業の実行中にバッテリー40の残量不足によってロボットシステム10が停止することを抑制できる。また、本実施形態では、第1作業から第4作業までの複数種類の作業を実行するロボットシステム10において、バッテリー40の残量を管理できる。
【0041】
また、本実施形態では、制御装置90は作業シーケンス実行処理において、作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断されなかった場合、ロボットシステム10に作業を実行させずにバッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下であるか否かを判定し、バッテリー40の出力電圧が電圧閾値記憶部92に記憶された閾値以下であると判断された場合には、各上限回数を減ずる補正を実行する。そのため、バッテリー40の劣化に応じて各上限回数を調節できるので、各作業の実行中にバッテリー40の残量不足によってロボットシステム10が停止することをより確実に抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、制御装置90は、バッテリー40が交換された場合に、上限回数設定処理を再度実行する。そのため、バッテリー40の個体差による影響を受けずに、バッテリー40の残量を管理できる。
【0043】
また、本実施形態では、ロボットシステム10は、バッテリー40とは異なる種類の二次電池にバッテリー40を交換可能に構成されているので、ユーザーによるバッテリー40の選択自由度を確保できる。
【0044】
B.他の実施形態:
(B1)上述した実施形態のロボットシステム10において、
図4に示した上限回数設定処理では、複数の作業について、それぞれの上限回数が上限回数記憶部94に記憶される。これに対して、上限回数設定処理では、1つの作業のみについての上限回数が上限回数記憶部94に記憶されてもよい。この場合、上限回数設定処理には、ステップS170の処理が設けられていなくてもよい。
【0045】
(B2)上述した実施形態のロボットシステム10において、
図5に示した作業シーケンス実行処理には、ステップS260からステップS280までの処理が設けられていなくてもよい。つまり、制御装置90は、ステップS210で、作業を実行するためのバッテリー40の残量が確保されていると判断されなかった場合、ステップS290に処理を進めてもよい。
【0046】
(B3)上述した実施形態のロボットシステム10において、制御装置90は、バッテリー40が交換された場合に、上限回数設定処理を再度実行する。これに対して、制御装置90は、バッテリー40が交換されても上限回数設定処理を実行しなくてもよい。
【0047】
(B4)上述した実施形態のロボットシステム10は、搭載されていたバッテリー40とは異なる種類の二次電池にバッテリー40を交換可能に構成されている。これに対して、ロボットシステム10は、搭載されていたバッテリー40と同種の二次電池にのみバッテリー40を交換可能に構成されてもよい。
【0048】
(B5)上述した各実施形態のロボットシステム10において、ロボット20と車両部30とは、バッテリー40を電力供給源として駆動される。これに対して、ロボット20はバッテリー40を電力供給源として駆動されて、車両部30はバッテリー40とは異なる電力供給源によって駆動されてもよい。
【0049】
(B6)上述した実施形態のロボットシステム10は、車両部30を備えている。これに対して、ロボットシステム10は、車両部30を備えなくてもよい。この場合、バッテリー40と電圧計41と充電コネクター42と報知部43とは、例えば、ロボット20に設けられてもよい。
【0050】
(B7)上述した実施形態のロボットシステム10は、バッテリー40の充電が必要となった場合に、バッテリー40を充電するための地点である充電地点へ車両部30によって移動してもよい。この場合、例えば、制御装置90は、車両部30によって第1地点から充電地点まで走行するという内容の第1移動作業を記憶する第1移動作業記憶部と、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第1移動作業のみを実行させる場合に第1移動作業を実行させることができる回数の上限である第1移動上限回数を記憶する第1移動上限回数記憶部とを備えてもよい。これにより、制御装置90は、第1移動作業の電力消費割合を算出できる。
図5に示した作業シーケンス実行処理のステップS210において第1作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されていると判断されなかった場合に、制御装置90は、第1移動作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されているか否かを判定してもよい。第1移動作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されていると判断された場合には、制御装置90は、車両部30によって第1地点から充電地点までロボットシステム10を移動させてもよい。例えば、第1移動上限回数が350回である場合には、1回の第1移動作業の電力消費割合である第1移動電力消費割合は、1/350である。この場合、バッテリー40が満充電されてから、第1作業を15回、第2作業を15回、第3作業を14回、第4作業を14回実行させた後の各電力消費割合の合計値は348/350であるので、さらに第1移動作業を1回実行させても、各電力消費割合の合計値は1を上回らない。そのため、バッテリー40が満充電されてから、第1作業を15回、第2作業を15回、第3作業を14回、第4作業を14回実行させた後に、第1移動作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されているか否かを判定する際には、制御装置90は、第1移動作業を実行させるためのバッテリー40の残量が確保されていると判断する。尚、制御装置90は、車両部30によって第2地点から充電地点まで走行するという内容の第2移動作業を記憶する第2移動作業記憶部と、バッテリー40が満充電されてから再度充電されるまでの期間に制御装置90がロボットシステム10に第2移動作業のみを実行させる場合に第2移動作業を実行させることができる回数の上限である第2移動上限回数を記憶する第2移動上限回数記憶部とを備えてもよい。
【0051】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0052】
(1)本開示の第1の形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、バッテリーを電力供給源として駆動するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに第1作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記第1作業を実行した回数を、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させることができる回数の上限である第1上限回数として設定する設定処理を実行する。
この形態のロボットシステムによれば、設定処理によって第1上限回数を設定できる。そのため、消費電力を算出させる手間をユーザーに課さずに第1上限回数を用いてバッテリーの残量を管理でき、かつ、第1作業の内容がユーザーによって変更された場合であっても設定処理を再度実行させることによって変更後の第1作業についての第1上限回数を設定できる。
【0053】
(2)上記形態のロボットシステムにおいて、前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させる回数を前記第1上限回数以下に制限してもよい。
この形態のロボットシステムによれば、制御装置は、バッテリーが満充電されてから再度充電されるまでの期間において、第1上限回数を超えない範囲内でロボットに第1作業を実行させるので、ロボットによる第1作業の実行中にバッテリーの残量不足によってロボットが停止することを抑制できる。
【0054】
(3)上記形態のロボットシステムにおいて、前記制御装置は、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第1作業を実行させる回数が前記第1上限回数に達した後、前記バッテリーの出力電圧を取得し、取得された前記バッテリーの出力電圧が前記閾値以下である場合には、前記第1上限回数を減ずる補正を実行してもよい。
この形態のロボットシステムによれば、バッテリーの劣化に応じて第1上限回数を調節できる。そのため、ロボットによる第1作業の実行中にバッテリーの残量不足によってロボットが停止することをより確実に抑制できる。
【0055】
(4)上記形態のロボットシステムにおいて、前記制御装置は、前記設定処理において、前記第1上限回数が設定され、かつ、前記バッテリーが再び満充電された後に、前記バッテリーが満充電されてから前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに第2作業のみを繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記第2作業のみを実行した回数を、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに前記第2作業を実行させることができる回数の上限である第2上限回数として設定してもよい。
この形態のロボットシステムによれば、複数種類の作業を実行するロボットにおいて、バッテリーの残量を管理できる。
【0056】
(5)上記形態のロボットシステムにおいて、前記制御装置は、前記バッテリーが交換された場合に、前記設定処理を実行してもよい。
この形態のロボットシステムによれば、バッテリーの個体差による影響を受けずに、バッテリーの残量を管理できる。
【0057】
(6)上記形態のロボットシステムにおいて、前記バッテリーとは異なる種類のバッテリーに前記バッテリーを交換可能に構成されてもよい。
この形態のロボットシステムによれば、ユーザーによるバッテリー選択の自由度を確保できる。
【0058】
(7)本開示の第2の形態によれば、バッテリーを電力供給源として駆動するロボットを制御する制御装置が提供される。この制御装置は、前記バッテリーの出力電圧を取得する電圧取得部と、前記バッテリーが満充電されてから再び充電されるまでの期間に前記ロボットに作業を実行させることができる回数の上限である上限回数を記憶する上限回数記憶部と、を備える。前記バッテリーが満充電されてから前記電圧取得部によって取得される前記バッテリーの出力電圧が予め定められた閾値以下になるまで、前記ロボットに前記作業を繰り返し実行させて、前記バッテリーの出力電圧が前記閾値よりも大きい範囲内で前記ロボットが前記作業を実行した回数を取得し、取得された回数を前記上限回数として前記上限回数記憶部に記憶する設定処理を実行する。
この形態の制御装置によれば、設定処理によって作業を実行させることができる回数の上限である上限回数を記憶できる。そのため、消費電力を算出させる手間をユーザーに課さずに上限回数を用いてバッテリーの残量を管理でき、かつ、作業の内容がユーザーによって変更された場合であっても設定処理を再度実行させることによって変更後の作業についての上限回数を記憶できる。
【0059】
本開示は、ロボットシステム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、ロボットの制御装置等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…ロボットシステム、20…ロボット、21…ベース部、25…アーム部、26…モーター、30…車両部、31…車体部、35…車輪部、36…走行用モーター、39…積載部、40…バッテリー、41…電圧計、42…充電コネクター、43…報知部、90…制御装置、91…電圧取得部、92…電圧閾値記憶部、93…作業記憶部、94…上限回数記憶部、95…作業回数カウント部、96…作業シーケンス記憶部