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特許7434954制御装置、制御プログラム、及び印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】制御装置、制御プログラム、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240214BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20240214BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240214BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20240214BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J25/20
B41J29/46 Z
B41J3/60
G03G21/00 370
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020015621
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122965
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒沢 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸大
(72)【発明者】
【氏名】別役 昂志
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151028(JP,A)
【文献】特開2015-212759(JP,A)
【文献】特開2000-048264(JP,A)
【文献】特開2008-050151(JP,A)
【文献】特開2008-191215(JP,A)
【文献】米国特許第04881132(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 25/20
B41J 29/46
B41J 3/60
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得し、
前記連続紙の巻き取り方向から、前記連続紙が巻き取られた状態においてユーザから視認される前記連続紙の面である視認面を特定し、
前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、前記視認面に印刷するように印刷装置を制御する
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、ユーザから前記ジョブの印刷指示を受け付けた後であって、前記印刷指示に基づく印刷制御を行う前に、前記連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得する
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得できなかった場合、前記連続紙の両面に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する
請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記印刷情報の印刷面を指定する指定指示を受け付け、
前記指定指示によって指定された前記印刷情報の印刷面が前記連続紙の視認面と異なる場合、警告を出力する制御を行う
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記警告を出力した後、前記印刷情報の印刷面を再指定する再指定指示を受け付け、
前記再指定指示によって指定された印刷面に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する
請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、ユーザからカット紙が用いられた吊札に前記印刷情報を印刷するように指定された場合、通信回線によって接続された吊札印刷装置に対して、前記吊札に前記印刷情報を印刷させるための制御を行う
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、更に前記連続紙の情報を取得し、前記連続紙が予め定めた条件を満たす場合、前記印刷情報を前記視認面に印刷しないように印刷装置を制御する
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記連続紙の前記視認面に前記ジョブ以外の情報が事前に印刷されている場合、前記印刷情報を前記視認面に印刷しないように印刷装置を制御する
請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータに、
連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得し、
前記連続紙の巻き取り方向から、前記連続紙が巻き取られた状態においてユーザから視認される前記連続紙の面である視認面を特定し、
前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、前記視認面に印刷するように印刷装置を制御する処理を実行させる
制御プログラム。
【請求項10】
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の制御装置を備え、
前記制御装置によって指定された連続紙の印刷面に、前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を印刷する
印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御プログラム、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数ページからなる印刷情報を印刷した際の前記複数ページ以降の連続紙に複数ページにおける印刷結果に関する情報を印刷する印刷手段と、前記印刷手段により印刷された連続紙を前記印刷手段により印刷された順序と同じ順序で収納する収納手段と、前記収納手段により収納された印刷済みの連続紙を前記印刷手段により印刷された順序とは逆の順序で給紙する給紙手段と、前記給紙手段により給紙された連続紙に印刷された前記印刷結果に関する情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた印刷結果に関する情報に基づいて前記給紙手段により給紙された連続紙を後処理する後処理手段と、を備えた印刷システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-191215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば雑誌や新聞といった印刷物の印刷には連続紙が用いられ、指定された面付けで連続紙に印刷物を印刷した後、裁断、折り、及び綴じといった後処理を行い、印刷物が完成する。
【0005】
連続紙に印刷を行う印刷装置と後処理を行う加工装置はそれぞれ独立した装置で、物理的に離れた場所に設置されることがあるため、作業員等のユーザは印刷装置で同心円状に巻き取られた印刷済みの連続紙を、台車等を用いて連続紙の保管場所に運搬する。その上で、ユーザは印刷物の生産計画に従って、指定された印刷済みの連続紙を加工装置にセットし、印刷物を生成する。
【0006】
したがって、ユーザが連続紙にどのような印刷物が印刷されているのか確認しやすいように、同心円状に巻き取られた連続紙には、連続紙に印刷されている印刷物の内容を表した印刷情報が印刷される。
【0007】
しかしながら、印刷装置における印刷済みの連続紙の巻き取り方向によっては、印刷情報の印刷面が同心円状に巻き取られた連続紙の内側の面となり、ユーザが連続紙の外観を見ただけでは、連続紙に印刷されている印刷物の内容を確認することができない場合がある。
【0008】
本発明は、連続紙の巻き取り方向にかかわらず、連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、連続紙を巻き取った状態でユーザから視認可能な印刷面に印刷することができる制御装置、制御プログラム、及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様に係る制御装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得し、前記連続紙の巻き取り方向から、前記連続紙が巻き取られた状態においてユーザから視認される前記連続紙の面である視認面を特定し、前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、前記視認面に印刷するように印刷装置を制御する。
【0010】
第2態様に係る制御装置は、第1態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、ユーザから前記ジョブの印刷指示を受け付けた後であって、前記印刷指示に基づく印刷制御を行う前に、前記連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得する。
【0011】
第3態様に係る制御装置は、第2態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、前記連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得できなかった場合、前記連続紙の両面に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する。
【0012】
第4態様に係る制御装置は、第1態様~第3態様の何れかの態様に係る制御装置を備え、前記プロセッサは、前記印刷情報の印刷面を指定する指定指示を受け付け、前記指定指示によって指定された前記印刷情報の印刷面が前記連続紙の視認面と異なる場合、警告を出力する制御を行う。
【0013】
第5態様に係る制御装置は、第4態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、前記警告を出力した後、前記印刷情報の印刷面を再指定する再指定指示を受け付け、前記再指定指示によって指定された印刷面に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する。
【0014】
第6態様に係る制御装置は、第1態様~第5態様の何れかの態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、前記印刷情報の印刷先が前記連続紙でない場合、前記連続紙と異なる記録媒体に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する。
【0015】
第7態様に係る制御装置は、第1態様~第6態様の何れかの態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、更に前記連続紙の情報を取得し、前記連続紙の種類に応じて、前記印刷情報の印刷先を変更する制御を行う。
【0016】
第8態様に係る制御装置は、第7態様に係る制御装置において、前記プロセッサは、前記連続紙に前記ジョブ以外の情報が事前に印刷されている場合、前記連続紙と異なる記録媒体に前記印刷情報を印刷するように印刷装置を制御する。
【0017】
第9態様に係る制御プログラムは、コンピュータに、連続紙の巻き取り方向に関する情報を取得し、前記連続紙の巻き取り方向から、前記連続紙が巻き取られた状態においてユーザから視認される前記連続紙の面である視認面を特定し、前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、前記視認面に印刷するように印刷装置を制御する処理を実行させるためのプログラムである。
【0018】
第10態様に係る印刷装置は、第1態様~第8態様の何れかの態様に係る制御装置を備え、前記制御装置によって指定された連続紙の印刷面に、前記連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を印刷する。
【発明の効果】
【0019】
第1態様、第9態様、及び第10態様によれば、連続紙の巻き取り方向にかかわらず、連続紙へ印刷したジョブに関する情報である印刷情報を、連続紙を巻き取った状態でユーザから視認可能な印刷面に印刷することができる、という効果を有する。
【0020】
第2態様によれば、印刷指示に基づく印刷制御を行う前に、連続紙における印刷情報の印刷面を決定しておくことができる、という効果を有する。
【0021】
第3態様によれば、連続紙の巻き取り方向に関する情報が取得できなかった場合であっても、ユーザは連続紙が巻き取られた状態で印刷情報を確認することができる、という効果を有する。
【0022】
第4態様によれば、連続紙の視認面と異なる印刷面に印刷情報を印刷しようとしていることをユーザに通知することができる、という効果を有する。
【0023】
第5態様によれば、印刷情報の印刷面の指定後であっても、指定した印刷面が連続紙の視認面でなければ、ユーザに印刷情報の印刷面を変更する機会を提供することができる、という効果を有する。
【0024】
第6態様によれば、連続紙に印刷情報が印刷できない事情がある場合であっても、印刷情報をユーザに提示することができる、という効果を有する。
【0025】
第7態様によれば、ユーザが連続紙の種類を把握していない場合であっても、連続紙の種類に適した印刷先に印刷情報を印刷することができる、という効果を有する。
【0026】
第8態様によれば、連続紙に事前に印刷されている、印刷ジョブ以外の情報に、印刷情報を重複して印刷しないようにすることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】印刷システムの構成例を示す図である。
図2】連続紙に印刷される印刷内容の印刷例を示す図である。
図3】印刷情報の一例を示す図である。
図4】印刷情報が連続紙の視認面の裏側に隠れる印刷例を示す図である。
図5】印刷情報が連続紙の視認面の裏側に隠れる他の印刷例を示す図である。
図6】印刷装置における電気系統の要部構成例を示す図である。
図7】印刷情報の印刷面を自動的に切り替える印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図8】指定画面の一例を示す図である。
図9】印刷情報の印刷面が一方の面に指定された場合の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図10】確認画面の一例を示す図である。
図11】事前印刷連続紙の一例を示す図である。
図12】連続紙の種類を考慮して、印刷情報の印刷面を自動的に切り替える印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図13】変更画面の一例を示す図である。
図14】印刷情報の印刷面が一方の面に指定された場合に、連続紙の種類を考慮しながら印刷情報の印刷面を決定する印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図15】事前印刷連続紙処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、本実施の形態に係る印刷システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、印刷システム1は、印刷装置2と吊札印刷装置4を含み、印刷装置2と吊札印刷装置4は通信回線6で接続されている。
【0030】
印刷装置2は、記録媒体を給紙する給紙ユニット13、給紙ユニット13から給紙された記録媒体に画像や文字を印刷する印刷ユニット14、及び印刷ユニット14で画像や文字が印刷された記録媒体を収容する収容ユニット15を含む。
【0031】
印刷装置2では、連続した長尺状の用紙(「連続紙8」という)が記録媒体として用いられる。
【0032】
給紙ユニット13は、連続紙8を印刷ユニット14に給紙するユニットであり、例えば給紙ローラ16と、搬送ローラ19A及び19Bを含む。連続紙8は、例えば長尺方向に沿って同心円状に巻き取られた、いわゆる、ロール形状の形態で給紙ローラ16に取り付けられ、搬送ローラ19A及び19Bが隙間に連続紙8の一端を挟み込みながら連続紙8を印刷ユニット14に搬送する。これに伴い、給紙ローラ16が矢印AR1方向(時計回り)に回転し、給紙ローラ16に取り付けられた連続紙8が長尺方向(図1におけるX方向)に沿って搬送される。
【0033】
印刷ユニット14は、ユーザによって指定された画像や文字を指定された色で給紙ユニット13から搬送された連続紙8に印刷するユニットであり、例えば印刷エンジン18と、搬送ローラ19C及び19Dを含む。
【0034】
印刷エンジン18は表面印刷エンジン18Aと裏面印刷エンジン18Bで構成され、表面印刷エンジン18Aは、連続紙8の一方の面に、ユーザによって指定された画像や文字を指定された色で印刷する。裏面印刷エンジン18Bは、連続紙8の他方の面に、ユーザによって指定された画像や文字を指定された色で印刷する。
【0035】
なお、連続紙8における表面及び裏面とは説明上の便宜的な定義であり、連続紙8の何れの印刷面を表面として取り扱ってもよい。一例として本実施の形態では、表面印刷エンジン18Aによって印刷される印刷面を「連続紙8の表面」と呼び、裏面印刷エンジン18Bによって印刷される印刷面を「連続紙8の裏面」と呼ぶことにする。
【0036】
表面印刷エンジン18A及び裏面印刷エンジン18Bにおける印刷方式はどのような方式であってもよく、例えば電子写真方式やインクジェット方式が用いられる。
【0037】
搬送ローラ19C及び19Dは、搬送される連続紙8がたるまないように、その隙間に連続紙8を挟み込みながら連続紙8を収容ユニット15に搬送する。
【0038】
収容ユニット15は、印刷ユニット14で印刷された連続紙8の巻き取りを行うユニットであり、例えば収容ローラ17と、搬送ローラ19E、19F、及び19Gを含む。
【0039】
収容ローラ17には搬送される連続紙8の一端が取り付けられ、例えば図示しない駆動手段によって収容ローラ17を矢印AR1の方向に回転駆動させることで、印刷済みの連続紙8が収容ローラ17に同心円状に巻き取られて収容ユニット15に収容される。収容ローラ17は矢印AR1と反対方向にも回転可能であり、収容ローラ17の回転方向、すなわち、連続紙8の巻き取り方向は、印刷装置2の設定によって選択される。
【0040】
なお、矢印AR1は、連続紙8の搬送方向上流からX方向に沿って下流を眺めた場合に、連続紙8の右側に位置する印刷装置2の側面(基準側面)側を、収容ローラ17の回転軸方向に沿って基準側面側から眺めたときの回転方向である。基準側面とは反対の側面から収容ローラ17を見た場合、収容ローラ17は矢印AR1と反対の方向(反時計回り)に回転していることになるが、本実施の形態では、基準側面から眺めた場合の回転方向で収容ローラ17の回転方向を表すことにする。
【0041】
搬送ローラ19E、19F、及び19Gは、搬送される連続紙8がたるんだ状態で収容ローラ17に巻き取られないようにするため、連続紙8に張力をかけると共に、収容ローラ17に巻き取られた連続紙8の長尺方向に沿った端部の位置が揃うように、連続紙8の搬送位置を調整する。
【0042】
こうした動作を行う印刷装置2の処理は、制御装置10によって制御される。図1に示す印刷装置2の構成例では制御装置10が収容ユニット15に含まれているが、制御装置10の設置位置に制約はなく、給紙ユニット13に設置されても印刷ユニット14に設置されてもよい。また、制御装置10は必ずしも印刷装置2に含まれる必要もなく、印刷装置2とは異なる独立した装置であってもよい。
【0043】
制御装置10と吊札印刷装置4は通信回線6で接続されており、制御装置10は、印刷装置2での設定内容に応じて、吊札印刷装置4に吊札の印刷を依頼することがある。
【0044】
「吊札」とは、連続紙8に貼り付ける記録媒体のことであり、吊札には後述するように、印刷装置2で連続紙8に印刷された印刷物の内容を表す印刷情報3が印刷される。
【0045】
吊札印刷装置4は、制御装置10から指示された印刷情報3を記録媒体に印刷して、吊札を生成する。
【0046】
吊札印刷装置4では印刷装置2と異なり、連続紙8に貼り付けやすい大きさの吊札が生成されるように、例えばA4やA3といった予め定めた大きさにカットされたカット紙が記録媒体として用いられる。
【0047】
制御装置10と吊札印刷装置4を接続する通信回線6は有線回線であっても無線回線であってもよく、有線回線と無線回線が混在した回線であってもよい。また、通信回線6は社内LAN(Local Area Network)のような専用回線であっても、インターネットのように不特定多数のユーザと回線を共有する公衆回線であってもよい。
【0048】
図1は、一例として通信回線6に印刷装置2及び吊札印刷装置4が接続されている状態を表しているが、通信回線6には、印刷装置2及び吊札印刷装置4以外の装置(「外部装置」という)が接続されていてもよい。
【0049】
更に、制御装置10にはUIユニット12が接続されている。UIユニット12は、印刷装置2とユーザとのインターフェースを提供するユニットであり、ユーザからの指示を受け付けると共に、印刷装置2での処理状況をユーザに通知する。
【0050】
図2は、印刷装置2で連続紙8に印刷される印刷内容の印刷例を示す図である。印刷装置2の制御装置10は、予め設定された面付け情報に従って連続紙8に印刷内容を印刷するように印刷装置2を制御する。こうした印刷内容や面付け情報は印刷装置2でジョブとして管理されている。すなわち、ジョブとは、例えば印刷データのファイル名、印刷内容、及び面付け情報といった印刷に関する情報を管理する印刷管理主体であり、印刷装置2で印刷を行う印刷物毎に存在する。
【0051】
図2に示す印刷例の場合、連続紙8の表面には、表面に割り付けられた本文(「本文表面」という)が印刷され、連続紙8の裏面には、本文表面の裏側の位置に割り付けられた本文(「本文裏面」という)が印刷されている。
【0052】
一方、制御装置10は、ユーザが連続紙8にどのような印刷物が印刷されているのか確認しやすいように、連続紙8へ印刷した印刷物のジョブに関する情報である印刷情報3を連続紙8の最終領域に印刷する。
【0053】
図3は、印刷情報3の一例を示す図である。印刷情報3には、例えば連続紙8に印刷された印刷物の文書名、印刷物のページ数、印刷物の版数、及び印刷物の印刷に要した印刷時間といった情報が印刷される。印刷情報3に印刷される情報は、連続紙8に印刷された印刷物のジョブに関する情報であればどのような情報であってもよく、例えば連続紙8を識別する識別番号のように連続紙8の管理に必要な情報、及び連続紙8への印刷を担当したユーザに関する情報等を含んでもよい。
【0054】
また、連続紙8の最終領域とは、収容ローラ17で巻き取った連続紙8の長尺方向に沿った最後の1周分の領域のことである。制御装置10が、ユーザによって指定された連続紙8の印刷面における最終領域に印刷情報3を印刷するように印刷装置2を制御することで、同心円状に巻き取られた連続紙8であっても、印刷情報3が連続紙8の側面に表示されることになるため、ユーザが印刷情報3を確認することができる。
【0055】
しかしながら、ユーザによって指示された連続紙8の印刷面に印刷情報3を印刷した場合、ユーザが印刷情報3を確認できないような状況が発生することがある。
【0056】
例えば図4に示すように、ユーザの指示に従って印刷情報3を連続紙8の裏面に印刷し、連続紙8の一端を収容ローラ17の上方から収容ローラ17に巻き付けた状態で収容ローラ17を矢印AR1の方向に回転させて連続紙8を巻き取る場合、印刷情報3が連続紙8を収容ローラ17で巻き取った状態でもユーザから視認される連続紙8の印刷面(「視認面」という)の裏側に隠れてしまうことになる。
【0057】
また、図5に示すように、ユーザの指示に従って印刷情報3を連続紙8の表面に印刷し、連続紙8の一端を収容ローラ17の下方から収容ローラ17に巻き付けた状態で収容ローラ17を矢印AR2の方向に回転させて連続紙8を巻き取る場合も、印刷情報3が連続紙8の視認面の裏側に隠れてしまうことになる。
【0058】
図4の状況では連続紙8の表面に印刷情報3を印刷し、図5の状況では連続紙8の裏面に印刷情報3を印刷すれば、印刷情報3が連続紙8の視認面に印刷されるようになる。したがって、制御装置10は、連続紙8の巻き取り方向に関する情報を取得し、印刷情報3が同心円状に巻き取られた連続紙8の視認面に印刷されるように印刷装置2を制御する。
【0059】
なお、図4に示すように、連続紙8の一端を収容ローラ17の上方から収容ローラ17に巻き付けた上で、収容ローラ17を時計回りに回転させて連続紙8を巻き取ることを「連続紙8を上巻きに巻き取る」といい、図5に示すように、連続紙8の一端を収容ローラ17の下方から収容ローラ17に巻き付けた上で、収容ローラ17を反時計回りに回転させて連続紙8を巻き取ることを「連続紙8を下巻きに巻き取る」ということにする。
【0060】
制御装置10によって実行される印刷情報3の印刷処理の詳細については、後ほど説明する。
【0061】
次に、印刷装置2における電気系統の要部構成例について説明する。
【0062】
図6は、印刷装置2における電気系統の要部構成例を示す図である。印刷装置2における制御装置10は例えばコンピュータ20を用いて構成される。
【0063】
コンピュータ20は、制御プログラムを読み込んで制御装置10に係る処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21、コンピュータ20を制御装置10として機能させる制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)22、CPU21の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)23、不揮発性メモリ24、及び入出力インターフェース(I/O)25を備える。そして、CPU21、ROM22、RAM23、不揮発性メモリ24、及びI/O25がバス26を介して各々接続されている。
【0064】
不揮発性メモリ24は、不揮発性メモリ24に供給される電力が遮断されても、記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ24は必ずしもコンピュータ20に内蔵されている必要はなく、例えばコンピュータ20に着脱可能な可搬型の記憶装置であってもよい。
【0065】
I/O25には、例えば通信ユニット11、UIユニット12、給紙ユニット13、印刷ユニット14、及び収容ユニット15が接続される。
【0066】
通信ユニット11は通信回線6に接続され、通信回線6に接続される吊札印刷装置4や外部装置との間でデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0067】
UIユニット12にはユーザの指示を受け付けるため、例えばボタン、キーボード、マウス、及びタッチパネルといった入力デバイスが取り付けられていると共に、制御装置10で処理した情報をユーザに通知するため、LED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイといった出力デバイスが取り付けられている。
【0068】
給紙ユニット13、印刷ユニット14、及び収容ユニット15の機能は既に説明した通りであり、説明を省略する。
【0069】
次に、制御装置10によって実行される印刷情報3の印刷処理について説明する。
【0070】
図7は、制御装置10のCPU21によって実行される印刷情報3の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
CPU21は、例えば印刷指示に基づく印刷制御を開始する前に、図8に示すような印刷情報3の印刷面を指定する指定画面5をUIユニット12に表示する。
【0072】
指定画面5には、印刷情報3の印刷面を表面とする「表面」、印刷情報3の印刷面を裏面とする「裏面」、及びCPU21が印刷情報3の印刷面を連続紙8の巻き取り方向に応じて自動的に決定する「巻き取り方向により自動的に切り替える」の各項目が記載され、各々の項目に対してラジオボタン30が対応付けられている。ユーザは、希望する項目のラジオボタン30を選択し、「OK」ボタンを押下することで印刷情報3の印刷面を予め指定する。図8の指定画面5では、印刷情報3を連続紙8に印刷する指定方法しか選択できない例を示しているが、例えば「吊札印刷装置に印刷する」という選択肢を追加してもよく、当該選択肢が選択された場合、CPU21は吊札印刷装置4で吊札に印刷情報3を印刷してもよい。
【0073】
図7に示す印刷情報3の印刷処理は、ユーザが指定画面5において「巻き取り方向により自動的に切り替える」を指定した場合に、CPU21によって実行される処理である。
【0074】
印刷情報3の印刷処理を規定する制御プログラムは、例えば制御装置10のROM22に予め記憶されている。制御装置10のCPU21は、ROM22に記憶される制御プログラムを読み込んで印刷情報3の印刷処理を実行する。
【0075】
ステップS10において、CPU21は、収容ユニット15における連続紙8の巻き取り方向が上巻きであるか、それとも下巻きであるかといった、連続紙8の巻き取り方向に関する情報を取得する。連続紙8の巻き取り方向に関する情報は、例えば制御装置10が収容ローラ17の回転方向を検知することで取得してもよいが、印刷装置2が収容ローラ17の回転方向を検知し、検知した収容ローラ17の回転方向から得られる連続紙8の巻き取り方向に関する情報を、CPU21が通信ユニット11を通じて印刷装置2から取得するようにしてもよい。また、CPU21は、ユーザによって予め設定された連続紙8の巻き取り方向に関する情報を不揮発性メモリ24から取得してもよい。
【0076】
なお、ステップS10の処理は、ユーザからジョブの印刷指示を受け付けた後であって、印刷装置2で印刷指示に基づく印刷制御が行われる前に実行される。
【0077】
ステップS20において、CPU21は、ステップS10で取得した連続紙8の巻き取り方向に関する情報に応じて、連続紙8の視認面を特定する。具体的には、連続紙8の巻き取り方向が時計回りである場合、連続紙8を上巻きに巻き取っていることになる。したがって、図4を用いて説明したように、連続紙8の視認面は連続紙8の表面ということになる。
【0078】
一方、連続紙8の巻き取り方向が反時計回りである場合、連続紙8を下巻きに巻き取っていることになる。したがって、図5を用いて説明したように、連続紙8の視認面は連続紙8の裏面ということになる。
【0079】
ステップS30において、CPU21は印刷装置2を制御して、印刷対象となるジョブに対応した印刷物の本文を印刷した後、ステップS20で特定した連続紙8の視認面における最終領域に印刷情報3を印刷し、図7に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0080】
したがって、ユーザが図8に示した指定画面5で、「巻き取り方向により自動的に切り替える」を指定した場合、印刷装置2は連続紙8の巻き取り方向にかかわらず、連続紙8の視認面に印刷情報3を印刷することになる。
【0081】
なお、何らかの事情により、ステップS10で連続紙8の巻き取り方向に関する情報が取得できなかった場合、CPU21は連続紙8の視認面を特定することができなくなる。こうした場合、CPU21は、連続紙8の両面におけるそれぞれの最終領域に印刷情報3を印刷する。これにより、連続紙8の視認面に印刷情報3が印刷されることになる。
【0082】
このように、ユーザが図8に示した指定画面5で「巻き取り方向により自動的に切り替える」を指定した場合には、印刷装置2は印刷情報3を連続紙8の視認面に印刷する。
【0083】
しかしながら、ユーザが指定画面5で印刷情報3の印刷面として「表面」または「裏面」を指定した場合、連続紙8の巻き取り方向によっては印刷情報3が視認面の裏側に印刷されてしまい、ユーザは印刷情報3を確認できないことがある。
【0084】
したがって、制御装置10は、ユーザが指定画面5で印刷情報3の印刷面を「表面」または「裏面」に指定した場合であっても、連続紙8の視認面に印刷情報3が印刷されるように印刷装置2を制御する。
【0085】
図9は、指定画面5で印刷情報3の印刷面を「表面」または「裏面」に指定する指定指示を受け付けた場合に、制御装置10のCPU21によって実行される印刷情報3の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0086】
ステップS100において、CPU21は図7のステップS10と同様の処理を行い、収容ユニット15における連続紙8の巻き取り方向に関する情報を取得する。
【0087】
ステップS110において、CPU21は図7のステップS20と同様の処理を行い、ステップS100で取得した連続紙8の巻き取り方向に関する情報に応じて、連続紙8の視認面を特定する。
【0088】
ステップS120において、CPU21は、指定指示によって指定された指定印刷面が連続紙8の視認面であるか否かを判定する。指定印刷面が連続紙8の視認面である場合にはステップS190に移行する。
【0089】
この場合、指定印刷面に印刷情報3を印刷すれば、ユーザは連続紙8が巻き取られた状態であっても印刷情報3を視認することができる。したがって、ステップS190において、CPU21は印刷装置2を制御して、連続紙8における指定印刷面の最終領域に印刷情報3を印刷し、図9に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0090】
一方、指定印刷面が連続紙8の視認面と異なる場合、ステップS130に移行する。
【0091】
この場合、印刷情報3をそのまま指定印刷面に印刷すれば、ユーザは連続紙8が巻き取られた状態では印刷情報3を視認することができない。したがって、ステップS130において、CPU21は警告を出力する。
【0092】
具体的には、CPU21は、印刷情報3の印刷面と連続紙8の巻き取り方向に矛盾があることを通知する確認画面7をUIユニット12に表示する。なお、CPU21は、確認画面7の表示と共に、音声で印刷情報3の印刷面と連続紙8の巻き取り方向に矛盾があることを通知するようにしてもよい。
【0093】
図10は、確認画面7の一例を示す図である。確認画面7には、例えば印刷情報3が連続紙8の視認面の裏側に印刷されてもよいので、指定画面5でユーザが指定した印刷面に印刷情報3を強制的に印刷するように再指定する強制印刷ボタンと、吊札印刷装置4で吊札に印刷情報3を印刷するように再指定する吊札印刷ボタンと、印刷情報3の印刷面を指定画面5でユーザが指定した印刷面から連続紙8の視認面に切り替えるように再指定する切り替え印刷ボタンが含まれる。
【0094】
ユーザは、確認画面7に表示された何れかのボタンを押下して、CPU21に印刷情報3の印刷面の再指定指示を通知する。
【0095】
これに対して、ステップS140において、CPU21は、再指定指示を受け付けたか否かを判定する。再指定指示を受け付けていない場合、CPU21はステップS140の判定処理を繰り返し実行して、再指定指示を受け付けるまで待機する。
【0096】
一方、再指定指示を受け付けた場合にはステップS150に移行する。再指定指示を受け付けたCPU21は、再指定指示に従って印刷情報3を印刷する。
【0097】
そのため、ステップS150において、CPU21は再指定指示として、印刷情報3を吊札へ印刷するように指定した吊札印刷指示を受け付けたか否かを判定する。吊札印刷指示を受け付けた場合にはステップS160に移行する。
【0098】
ステップS160において、CPU21は再指定指示の内容に従い、連続紙8ではなく吊札印刷装置4で吊札に印刷情報3を印刷するように吊札印刷装置4を制御して、図9に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0099】
一方、受け付けた再指定指示が吊札印刷指示でない場合にはステップS170に移行する。
【0100】
ステップS170において、CPU21は再指定指示として、指定画面5でユーザが指定した印刷面に印刷情報3を強制的に印刷するように指示する強制印刷指示を受け付けたか否かを判定する。強制印刷指示を受け付けた場合にはステップS190に移行し、既に説明したように、CPU21は印刷装置2を制御して、指定画面5でユーザが指定した連続紙8の印刷面の最終領域に印刷情報3を印刷し、図9に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。なお、この場合には、連続紙8の視認面には印刷情報3が印刷されないことから、CPU21は、吊札に印刷情報3を印刷するように吊札印刷装置4を制御してもよい。
【0101】
一方、強制印刷指示を受け付けていない場合にはステップS180に移行する。
【0102】
この場合、印刷情報3の印刷面を連続紙8の視認面に切り替えるように指示する切り替え印刷指示を受け付けたことになる。したがって、ステップS180において、CPU21は図7のステップS30と同様の処理を行い、ステップS110で特定した連続紙8の視認面における最終領域に印刷情報3を印刷し、図9に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0103】
このように制御装置10は、ユーザが印刷情報3の印刷面を連続紙8の視認面の裏側に指定した場合、図10に示す確認画面7を表示してユーザに警告を行う。その上で、制御装置10は、確認画面7を通じてユーザに印刷情報3の印刷面を再指定してもらい、指定された印刷面に印刷情報3を印刷する。
【0104】
なお、印刷装置2の給紙ローラ16に取り付けられる連続紙8は必ずしも無地である必要はなく、様々な種類の連続紙8が取り付けられる。例えば印刷装置2で印刷を行う前から、印刷対象となるジョブ以外の情報が事前に印刷されている連続紙8(「事前印刷連続紙8A」という)が取り付けられることがある。
【0105】
図11は事前印刷連続紙8Aの一例を示す図である。図11に示すように、事前印刷連続紙8Aには、例えばすべてのページに共通して記載される枠線、文字、及び図形等が事前に印刷されていることがある。枠線、文字、及び図形等が事前に印刷されていることによって印刷装置2での印刷の手間が省かれ、無地の連続紙8を用いる場合よりも印刷に要する時間や費用が抑えられることから、事前印刷連続紙8Aは印刷装置2の記録媒体として広く用いられる。
【0106】
図11の事前印刷連続紙8Aは請求書のひな形を事前に印刷した記録媒体であり、各々の請求書に宛名や金額といった必要な内容を印刷した後、加工装置で請求書間の余白を裁断することで個々の請求書が生成される。
【0107】
事前印刷連続紙8Aには片面だけにひな形を印刷しているものもあれば、両面にひな形を印刷しているものもある。
【0108】
こうした事前印刷連続紙8Aでは、事前印刷連続紙8Aの最終領域にも印刷対象となるジョブ以外の情報が事前に印刷されていることから、印刷装置2は、図7及び図9に示した印刷情報3の印刷処理とは異なる処理を行って、印刷情報3を印刷する必要がある。
【0109】
図12は、ユーザが図8に示した指定画面5において「巻き取り方向により自動的に切り替える」を指定した場合にCPU21によって実行される、連続紙8の種類を考慮した印刷情報3の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
図12に示すフローチャートでは、図7に示した印刷情報3の印刷処理のフローチャートに対してステップS21~S27の各処理が追加されている。
【0111】
ステップS21において、CPU21は、印刷装置2の給紙ローラ16に取り付けられている連続紙8の種類を取得する。連続紙8の種類は、予めユーザがUIユニット12を操作して印刷装置2に登録しており、登録された連続紙8の種類は不揮発性メモリ24に記憶される。したがって、CPU21は、不揮発性メモリ24から連続紙8の種類を取得する。
【0112】
ステップS22において、CPU21は、ステップS21で取得した連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aであるか否かを判定する。連続紙8の種類が事前印刷連続紙8AであればステップS23に移行する。なお、連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aである場合、連続紙8に関する情報として、印刷対象となるジョブ以外の情報が事前に印刷されている面(「事前印刷面」という)が表面であるのか、裏面であるのか、それとも両面であるのかを表す情報が連続紙8の種類に付加されている。
【0113】
ステップS23において、CPU21は、ステップS20で特定した事前印刷連続紙8Aの視認面が事前印刷面であるか否かを判定する。
【0114】
事前印刷連続紙8Aの視認面が事前印刷面でない場合、印刷装置2で事前印刷連続紙8Aを用いていたとしても事前印刷連続紙8Aの視認面は無地であるため、事前印刷連続紙8Aの視認面に印刷情報3を印刷することができる。したがって、既に説明したステップS30に移行し、CPU21は印刷装置2を制御して、印刷対象となるジョブに対応した印刷物の本文を印刷した後、ステップS20で特定した事前印刷連続紙8Aの視認面における最終領域に印刷情報3を印刷し、図12に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS23の判定処理で事前印刷連続紙8Aの視認面が事前印刷面であると判定された場合、ステップS24に移行する。
【0116】
事前印刷連続紙8Aの視認面には、印刷対象となるジョブ以外の情報が事前に印刷されているために印刷情報3を印刷する余白がなく、無理やり印刷情報3を印刷すると、事前に印刷されている表示と印刷情報3が重複してしまい、印刷情報3を確認しづらくなる。
【0117】
したがって、ステップS24において、CPU21は、印刷情報3の印刷方法を変更する変更画面9をUIユニット12に表示する。
【0118】
図13は変更画面9の一例を示す図である。変更画面9には、例えば印刷情報3を印刷しないようにする「印刷しない」という項目と、印刷情報3の印刷先を吊札に切り替える「吊札印刷へ切り替える」という項目が記載され、各々の項目に対してラジオボタン30が対応付けられている。ユーザは、希望する項目に対応したラジオボタン30を選択し、「OK」ボタンを押下することで印刷情報3の印刷方法を変更する。
【0119】
変更後の印刷情報3の印刷方法は、変更指示としてCPU21に通知される。したがって、ステップS25において、CPU21は、変更指示を受け付けたか否かを判定する。変更指示を受け付けていない場合、CPU21はステップS25の判定処理を繰り返し実行して、変更指示を受け付けるまで待機する。一方、変更指示を受け付けた場合にはステップS26に移行する。
【0120】
ステップS26において、CPU21は、受け付けた変更指示が印刷情報3の印刷先を吊札に切り替えるよう指示した変更指示(「吊札変更指示」という)であるか否かを判定する。変更指示が吊札変更指示である場合にはステップS27に移行する。
【0121】
ユーザが吊札への印刷に変更したことから、ステップS27において、CPU21は、連続紙8ではなく吊札印刷装置4の吊札に印刷情報3を印刷するように吊札印刷装置4を制御して、図12に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0122】
一方、ステップS26の判定処理で、受け付けた変更指示が吊札変更指示ではないと判定された場合には、ユーザは変更画面9で「印刷しない」の項目を選択したことになるため、CPU21は、印刷情報3を事前印刷連続紙8Aにも吊札にも印刷することなく、図12に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0123】
図14は、ユーザが図8に示した指定画面5において、印刷情報3の印刷面として「表面」または「裏面」を指定した場合にCPU21によって実行される、連続紙8の種類を考慮した印刷情報3の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【0124】
図14に示すフローチャートでは、図9に示した印刷情報3の印刷処理のフローチャートに対してステップS112、S114、及びS116の各処理が追加されている。
【0125】
ステップS110で連続紙8の視認面を特定した後、ステップS112において、CPU21は、図12のステップS21と同様の処理を行い、印刷装置2の給紙ローラ16に取り付けられている連続紙8の種類を取得する。
【0126】
ステップS114において、CPU21は、図12のステップS22と同様の処理を行い、ステップS112で取得した連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aであるか否かを判定する。連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aでない場合、CPU21は、既に説明したステップS120以降の処理を実行する。
【0127】
一方、連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aである場合にはステップS116に移行し、CPU21は、事前印刷連続紙処理を実行する。
【0128】
図15は、図14のステップS116で実行される事前印刷連続紙処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0129】
ステップS200において、CPU21は、図8の指定画面5でユーザが指定した指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの視認面であるか否かを判定する。指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの視認面である場合にはステップS210に移行する。
【0130】
ステップS210において、CPU21は、図8の指定画面5でユーザが指定した指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの事前印刷面であるか否かを判定する。指定印刷面が事前印刷面でない場合、印刷装置2で事前印刷連続紙8Aを用いていたとしても事前印刷連続紙8Aの視認面は無地であるため、事前印刷連続紙8Aの視認面に印刷情報3を印刷することができる。したがって、ステップS220に移行し、CPU21は印刷装置2を制御して印刷対象となるジョブに対応した印刷物の本文を印刷した後、図14のステップS110で特定した事前印刷連続紙8Aの視認面における最終領域に印刷情報3を印刷し、図15に示す印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0131】
一方、ステップS200の判定処理で指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの視認面ではないと判定された場合、または、ステップS210の判定処理で指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの事前印刷面であると判定された場合、ステップS230に移行する。
【0132】
この場合、事前印刷連続紙8Aの視認面の裏側に印刷情報3を印刷することになるか、または、印刷情報3の印刷面が事前印刷連続紙8Aの視認面であったとしても、事前印刷連続紙8Aに事前に印刷されている、印刷対象となるジョブ以外の情報と印刷情報3が重複してしまうことになる。
【0133】
したがって、ステップS230において、CPU21は、ユーザに印刷情報3の印刷方法を変更させるため、図13に示した変更画面9をUIユニット12に表示する。
【0134】
以降のステップS240、S250、及びS260において、CPU21は、それぞれ図12のステップS25、S26、及びS27で説明した処理と同様の処理を行い、図15に示す事前印刷連続紙処理を終了する。また、事前印刷連続紙処理の終了に伴い、図14に示した印刷情報3の印刷処理を終了する。
【0135】
このように、制御装置10は、連続紙8の種類に応じて印刷情報3の印刷先を変更する。
【0136】
なお、図15に示した事前印刷連続紙処理では、ステップS200の判定処理で印刷情報3の指定印刷面が事前印刷連続紙8Aの視認面ではないと判定された場合、制御装置10は、図13に示した変更画面9をUIユニット12に表示して、ユーザに印刷情報3を吊札に印刷するか、それとも印刷情報3の印刷を中止するかの変更を求めた。
【0137】
しかしながら、事前印刷連続紙8Aの視認面が事前印刷面でなければ、制御装置10は指定印刷面の裏側、すなわち、事前印刷連続紙8Aの視認面に印刷情報3を印刷するように印刷情報3の印刷面を切り替えてもよい。
【0138】
また、図12及び図14に示した印刷情報3の印刷処理では、連続紙8の種類が事前印刷連続紙8Aである場合に変更画面9を表示し、印刷情報3の印刷方法を変更するようにした。しかしながら、例えば連続紙8の1m当たりの価格というような連続紙8に関する他の情報に基づいて、印刷情報3の印刷方法を変更してもよい。
【0139】
連続紙8の1m当たりの価格が高級紙の目安となる予め定めた価格以上である場合、連続紙8に印刷物の本文以外の情報を印刷すると、その分だけ本文の印刷に利用できる範囲が狭くなるため、印刷コストの上昇につながることがある。したがって、こうした場合にも制御装置10は変更画面9を表示し、印刷情報3の印刷方法を変更するようにしてもよい。
【0140】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は実施の形態に記載の範囲に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0141】
また、実施の形態では、一例として印刷情報3の印刷処理をソフトウェアで実現する形態について説明したが、図7図9図12図14、及び図15に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはPLD(Programmable Logic Device)に実装し、ハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、印刷情報3の印刷処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0142】
このように、制御装置10のCPU21を例えばASIC、FPGA、PLD、GPU(Graphics Processing Unit)、及びFPU(Floating Point Unit)といった特定の処理に特化した専用のプロセッサに置き換えてもよい。
【0143】
実施の形態に係る制御装置10の動作は、1つのCPU21によって実現される形態の他、複数のCPU21によって実現される形態であってもよい。更に、実施の形態に係る制御装置10の動作は、物理的に離れた位置に存在するプロセッサの協働によって実現されるものであってもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態では、ROM22に制御プログラムがインストールされている形態について説明したが、これに限定されるものではない。実施の形態に係る制御プログラムは、コンピュータ20で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば制御プログラムをCD(Compact Disc)-ROM、またはDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、実施の形態に係る制御プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリカード等の可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。
【0145】
更に、制御装置10は、通信回線6に接続される外部装置から通信ユニット11を経由して制御プログラムを取得してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 印刷システム、2 印刷装置、3 印刷情報、4 吊札印刷装置、5 指定画面、6 通信回線、7 確認画面、8 連続紙、8A 事前印刷連続紙、9 変更画面、10 制御装置、11 通信ユニット、12 UIユニット、13 給紙ユニット、14 印刷ユニット、15 収容ユニット、16 給紙ローラ、17 収容ローラ、18 印刷エンジン、18A 表面印刷エンジン、18B 裏面印刷エンジン、19A~19G 搬送ローラ、20 コンピュータ、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 不揮発性メモリ、25 I/O、26 バス、30 ラジオボタン、AR1(AR2) 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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