(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20240214BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240214BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240214BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240214BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240214BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M50/204 401H
H01M10/647
H01M10/613
H01M10/6563
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2020018247
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0179552(US,A1)
【文献】特開2014-013753(JP,A)
【文献】特開2018-078234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケース、及び前記電池ケースの内部に収容された複数の二次電池を有する複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールを収容する筐体と、を備える電池パックであって、
前記電池ケースは、当該電池ケースに収容される全ての前記二次電池の一側面が当接している当接壁部を有し、
前記筐体は、
第1壁部と、
前記第1壁部と対向する位置に配置されている第2壁部と、を有し、
前記筐体には、
前記筐体の内外を連通するとともに前記第1壁部の少なくとも一部で形成された吸入口と、
前記筐体の内外を連通するとともに前記第2壁部の少なくとも一部で形成された排出口と、が形成され、
前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、
前記複数の電池モジュールは、複数の前記電池ケースにおける全ての前記当接壁部が前記第2方向で間隔をおいて対向するように前記第1壁部と前記第2壁部との間に配置され、
前記筐体の内部には、前記吸入口と前記排出口とを前記第1方向において連通する連通路が形成され、
前記第2方向で互いに対向する前記当接壁部により形成される空気が流れる通気流路は、前記連通路の少なくとも一部をなして
おり、
前記筐体は、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に配置される板状の部材であって、厚さ方向が前記第1方向となるように配置されるとともに前記第1壁部と対向する面に複数の前記電池モジュールが配置される棚板を有し、
前記筐体の内部には、前記棚板の両面を連通するとともに前記棚板の少なくとも一部で形成され、前記連通路の一部をなす連通口が形成され、
前記連通路は、前記通気流路と前記連通口とが前記第1方向において連通することにより形成され、
前記吸入口、前記排出口、前記連通口、及び前記通気流路は、前記第1方向に延びる仮想直線が前記吸入口、前記排出口、前記連通口、及び前記通気流路それぞれの内部を全て通るように設けられ、
前記筐体は、
軸線が平行をなすように前記第1方向に延びるとともに同一の部材である複数の柱部材と、
四角板状をなす複数の板部材と、を有し、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とすると、
前記複数の柱部材は、
前記第2方向で間隔をおいて配置され、且つ少なくとも3つの前記柱部材により構成される第1柱群と、
前記第1柱群を構成する複数の前記柱部材それぞれに前記第3方向で対向する位置に配置された前記柱部材により構成される第2柱群と、に分けられ、
前記複数の板部材は、
前記柱部材の軸方向の一方寄りに設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記第1壁部を形成する第1板部材と、
前記柱部材の軸方向の他方寄りに設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記第2壁部を形成する第2板部材と、
前記第1板部材と前記第2板部材との間に設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記棚板を形成する第3板部材と、からなり、
前記第2方向において隣り合う2枚の前記第1板部材と、2枚の前記第1板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記吸入口が形成され、
前記第2方向において隣り合う2枚の前記第2板部材と、2枚の前記第2板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記排出口が形成され、
前記第2方向において隣り合う2枚の前記第3板部材と、2枚の前記第3板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記連通口が形成されることを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、電動機への供給電力を蓄えるリチウムイオン電池などの二次電池が複数の搭載されている。例えば、特許文献1によれば、複数の二次電池は、電池ケースに収容されることにより電池モジュールが形成されている。電池ケースは、収容された全ての二次電池の一側面が当接している当接壁部を有している。また、複数の電池モジュールが筐体に収容されることにより電池パックとしての発熱体収容装置が形成されている。筐体には、複数の棚板が設けられている。複数の棚板が設けられることにより筐体の内部は、複数段に仕切られている。筐体には、複数段に仕切られた空間のそれぞれに連通する給気口が設けられている。筐体には、給気口が設けられている壁部と反対側の壁部に排気口が設けられている。複数の棚板には、給気口から導入される空気が排気口に向けて流れるように形成された開口が形成されている。複数の棚板それぞれには、電池モジュールが載置されている。複数の棚板には、電池ケースの当接壁部が載置されている。複数の棚板と、電池ケースにおける当接壁部の反対側の壁部とは互いに離間しており、給気口から導入される空気が流れる流路として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池モジュールを冷却する場合、最も効率良く冷却する方法は電池ケースの当接壁部を冷却することである。しかし、上記の発熱体収容装置では、電池ケースの当接壁部が棚板に載置されており、冷却効率が低下している。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、電池モジュールの冷却効率を向上させることができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池パックは、電池ケース、及び前記電池ケースの内部に収容された複数の二次電池を有する複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを収容する筐体と、を備える電池パックであって、前記電池ケースは、当該電池ケースに収容される全ての前記二次電池の一側面が当接している当接壁部を有し、前記筐体は、第1壁部と、前記第1壁部と対向する位置に配置されている第2壁部と、を有し、前記筐体には、前記筐体の内外を連通するとともに前記第1壁部の少なくとも一部で形成された吸入口と、前記筐体の内外を連通するとともに前記第2壁部の少なくとも一部で形成された排出口と、が形成され、前記第1壁部と前記第2壁部とが対向する方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向を第2方向とすると、前記複数の電池モジュールは、複数の前記電池ケースにおける全ての前記当接壁部が前記第2方向で間隔をおいて対向するように前記第1壁部と前記第2壁部との間に配置され、前記筐体の内部には、前記吸入口と前記排出口とを前記第1方向において連通する連通路が形成され、前記第2方向で互いに対向する前記当接壁部により形成される空気が流れる通気流路は、前記連通路の少なくとも一部をなしている。
【0007】
これによれば、吸入口から導入される空気は、連通路を流れ、排出口に向けて流れる。このとき、連通路の少なくとも一部を形成する通気流路に空気が流れることにより全ての電池ケースの当接壁部が直接的に空冷される。したがって、電池モジュールの電池ケースの当接壁部を直接的に空冷することができるため、電池モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0008】
上記の電池パックにおいて、前記筐体は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に配置される板状の部材であって、厚さ方向が前記第1方向となるように配置されるとともに前記第1壁部と対向する面に複数の前記電池モジュールが配置される棚板を有し、前記筐体の内部には、前記棚板の両面を連通するとともに前記棚板の少なくとも一部で形成され、前記連通路の一部をなす連通口が形成され、前記連通路は、前記通気流路と前記連通口とが前記第1方向において連通することにより形成されているとよい。
【0009】
これによれば、筐体が棚板を有することにより電池モジュールが筐体に収容し易くなる。よって、電池モジュールの冷却性能を向上させつつ、電池モジュールを筐体に収容し易くなる。
【0010】
上記の電池パックにおいて、前記吸入口、前記排出口、前記連通口、及び前記通気流路は、前記第1方向に延びる仮想直線が前記吸入口、前記排出口、前記連通口、及び前記通気流路それぞれの内部を全て通るように設けられているとよい。
【0011】
これによれば、吸入口に導入された空気が、連通路を介して排出口から吹き抜け易くなる。したがって、筐体の内部に新鮮な空気が吹き込みやすくなるため、電池モジュールの冷却効率を更に向上させることができる。
【0012】
上記の電池パックにおいて、前記筐体は、軸線が平行をなすように前記第1方向に延びるとともに同一の部材である複数の柱部材と、四角板状をなす複数の板部材と、を有し、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とすると、前記複数の柱部材は、前記第2方向で間隔をおいて配置され、且つ少なくとも3つの前記柱部材により構成される第1柱群と、前記第1柱群を構成する複数の前記柱部材それぞれに前記第3方向で対向する位置に配置された前記柱部材により構成される第2柱群と、に分けられ、前記複数の板部材は、前記柱部材の軸方向の一方寄りに設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記第1壁部を形成する第1板部材と、前記柱部材の軸方向の他方寄りに設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記第2壁部を形成する第2板部材と、前記第1板部材と前記第2板部材との間に設けられるとともに前記第2方向において複数設けられ、前記棚板を形成する第3板部材と、からなり、前記第2方向において隣り合う2枚の前記第1板部材と、2枚の前記第1板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記吸入口が形成され、前記第2方向において隣り合う2枚の前記第2板部材と、2枚の前記第2板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記排出口が形成され、前記第2方向において隣り合う2枚の前記第3板部材と、2枚の前記第3板部材の間に配置される2つの前記柱部材とにより前記連通口が形成されるとよい。
【0013】
これによれば、単純な形状を有する柱部材及び板部材を組み立てることにより、吸入口、排出口、及び連通口を簡易的に形成できる。また、筐体を第1方向から見たとき、吸入口、排出口、及び連通口は、同じ形状を有するとともに同じ位置に設けられる。そのため、吸入口に導入された空気が、排出口から吹き抜け易くなる。よって、電池モジュールの冷却効率を簡易的な構成でより向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、電池モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電池パックを具体化した一実施形態を
図1~
図7にしたがって説明する。
図1に示すように、電池パック1は、複数の電池モジュール10と、複数の電池モジュール10を収容する筐体20と、を備えている。筐体20は、直方体状をなしている。筐体20は、筐体本体21と、四角板状をなす4つの側壁体22とを有している。
【0017】
図2に示すように、電池モジュール10は、直方体状をなしている。電池モジュール10は、電池ケース30と、電池ケース30の内部に収容される複数の二次電池40とを有している。電池ケース30は、電池ケース本体31と、電池ケース本体31の開口31cを閉塞する長四角板状の電池ケース蓋体32とを有している。電池ケース本体31は、長四角板状の底壁31aと、底壁31aの外縁から立設する四角筒状の側壁31bとを有している。
【0018】
図3に示すように、二次電池40は、電極体41と、電極体41を収容するケース42とを有している。ケース42は、直方体状をなしている。ケース42は、ケース本体43と、ケース本体43の図示しない開口を閉塞する長四角板状の蓋体44とを有している。ケース本体43は、長四角板状の底壁43aと、底壁43aの外縁から立設する四角筒状の側壁43bとを有している。ケース42には、電極体41の他に図示しない電解液が収容される。蓋体44は、ケース42の内圧が所定値以上となったときにケース42の内部の圧力を開放するために開裂する圧力開放弁45を有している。
【0019】
図2に示すように、複数の二次電池40は、蓋体44の圧力開放弁45が全て電池ケース蓋体32に対向するように電池ケース本体31に収容されている。複数の二次電池40は、電池ケース本体31の長手方向と蓋体44の長手方向とが一致するように電池ケース本体31に収容されている。電池ケース本体31には、16個の二次電池40が収容されている。なお、電池ケース本体31に収容される二次電池40の数は適宜変更してもよい。
【0020】
図4及び
図5に示すように、複数の二次電池40が有するケース本体43の底壁43aの外面43cが電池ケース本体31の底壁31aに当接している。よって、電池ケース30は、電池ケース30に収容される全ての二次電池40の一側面である底壁43aの外面43cが当接している当接壁部として底壁31aを有している。なお、複数の二次電池40が有するケース本体43の底壁43aの外面43cと電池ケース本体31の底壁31aとは、接着剤等の接合部材により固定されてもよい。
【0021】
図6に示すように、筐体本体21は、複数の四角柱状の柱部材23と、長四角板状をなす複数の板部材24とにより構成されている。複数の柱部材23は、同一の部材である。複数の柱部材23は、複数の柱部材23それぞれの軸線が平行をなすように同じ方向に延びている。複数の柱部材23は、間隔をおいて同一の列をなすように配置された4つの柱部材23により構成される第1柱群231を有している。複数の柱部材23が延びる方向を第1方向Aとし、第1方向Aに直交するとともに第1柱群231を構成する4つの柱部材23が並ぶ方向を第2方向Bとし、第1方向A及び第2方向Bに直交する方向を第3方向Cとする。第1柱群231を構成する4つの柱部材23は、第2方向Bにおいて間隔をおいて配置されている。第1柱群231における第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔は、第1柱群231における第2方向Bの両端に位置する柱部材23と、当該柱部材23と隣り合う柱部材23との間の間隔よりも広い。
【0022】
複数の柱部材23は、第1柱群231を構成する4つの柱部材23それぞれに第3方向Cで対向する位置に配置された4つの柱部材23により構成される第2柱群232を有している。複数の柱部材23は、第1柱群231と、第2柱群232とに分けられる。第2柱群232を構成する4つの柱部材23は、第3方向Cにおいて第1柱群231を構成する4つの柱部材23と対称的な位置に配置されている。第3方向Cにおいて、第1柱群231と第2柱群232との間の間隔は、第1柱群231における第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔よりも広い。第3方向Cにおいて、第1柱群231と第2柱群232との間の間隔は、第2柱群232における第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔よりも広い。
【0023】
板部材24は、本実施形態では12枚設けられている。複数の板部材24は、複数の柱部材23の第1方向Aにおける一方寄りに3枚設けられた第1板部材24aと、複数の柱部材23の第1方向Aにおける他方寄りに3枚設けられた第2板部材24bと、第1板部材24aと第2板部材24bとの間に6枚設けられた第3板部材24cとからなる。3枚の第1板部材24aは、第1方向Aにおいて同じ位置に配置されるとともに第2方向Bにおいて並んでいる。3枚の第2板部材24bは、第1方向Aにおいて同じ位置に配置されるとともに第2方向Bにおいて並んでいる。6枚の第3板部材24cは、第1方向Aにおいて3枚ずつ位置をずらして設けられている。6枚の第3板部材24cのうち第1方向Aにおいて位置をずらした3枚の第3板部材24cそれぞれは、第1方向Aにおいて同じ位置に配置されるとともに第2方向Bにおいて並んでいる。複数の板部材24は、第1方向Aにおいて3枚ずつ位置をずらして筐体本体21の内部が3段構成となるように配置されている。複数の板部材24それぞれの第3方向Cの両端は、第2方向Bにおいて隣り合う柱部材23の間に挟み込まれている。複数の板部材24それぞれは、第3方向Cの両端を挟み込む柱部材23に対して溶接等の固定手段で固定されている。第3方向Cおける全ての板部材24の両端面と、第3方向Cにおける全ての柱部材23の外面とは、面一となっている。
【0024】
3枚の第1板部材24aは、第1壁部の一例である。3枚の第2板部材24bは、第2壁部の一例である。第1板部材24aと第2板部材24bとの間に設けられる6枚の第3板部材24cは、棚板の一例である。第2壁部としての3枚の第2板部材24bは、第1壁部としての3枚の第1板部材24aと対向する位置に配置されている。そのため、第1方向Aは、第1板部材24aと第2板部材24bとが対向する方向である。
【0025】
上記のように構成される筐体本体21において、棚板を形成する6枚の第3板部材24cは、第1壁部を形成する3枚の第1板部材24aと、第2壁部を形成する3枚の第2板部材24bとの間に配置される板状の部材であって、厚さ方向が第1方向Aとなるように配置されている。また、第3方向Cで対向する複数組の一対の柱部材23のうち第2方向Bで隣り合う2組の一対の柱部材23の間において、3枚の第1板部材24a及び3枚の第2板部材24bは、柱部材23の軸方向の両端寄りに第1壁部及び第2壁部を形成するように配置されている。第3方向Cで対向する複数組の一対の柱部材23のうち第2方向Bで隣り合う2組の一対の柱部材23の間において、6枚の第3板部材24cは、第1板部材24aと第2板部材24bとの間に棚板を形成するように配置されている。なお、第1柱群231における第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23と、第2柱群232における第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23とにより挟み込まれた全ての板部材24は、板部材24の中でも最も面積が広い。
【0026】
第2方向Bにおいて隣り合う2枚の第1板部材24aと、2枚の第1板部材24aの間に配置される2つの柱部材23とにより筐体20の内外を連通する吸入口25が形成されている。筐体本体21には、吸入口25が2つ設けられている。2つの吸入口25は、第1柱群231及び第2柱群232それぞれにおける第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔と同じ間隔だけ離間している。なお、吸入口25は、第1壁部を形成する3枚の第1板部材24aの少なくとも一部で形成されている。
【0027】
第2方向Bにおいて隣り合う2枚の第2板部材24bと、2枚の第2板部材24bの間に配置される2つの柱部材23とにより筐体20の内外を連通する排出口26が形成されている。筐体本体21には、排出口26が2つ設けられている。2つの排出口26は、第1柱群231及び第2柱群232それぞれにおける第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔と同じ間隔だけ離間している。なお、排出口26は、第2壁部を形成する3枚の第2板部材24bの少なくとも一部で形成されている。
【0028】
第2方向Bにおいて隣り合う2枚の第3板部材24cと、2枚の第3板部材24cの間に配置される2つの柱部材23とにより棚板の両面を連通する連通口27が形成されている。筐体本体21には、連通口27が4つ設けられている。4つの連通口27は、第1柱群231及び第2柱群232それぞれにおける第2方向Bの中央に位置する2つの柱部材23の間の間隔と同じ間隔だけ離間している。なお、連通口27は、棚板を形成する6枚の第3板部材24cの少なくとも一部で形成されている。
【0029】
吸入口25と、排出口26と、連通口27とは、第1方向Aにおいて互いに重なる位置に配置されている。吸入口25と、排出口26と、連通口27とは同一の形状を有している。
【0030】
図1に示すように、複数の電池モジュール10は、筐体本体21の各段に4つずつ収容されている。複数の電池モジュール10は、その長手方向が第3方向Cとなるように筐体本体21に収容されている。3枚の第2板部材24bにおける3枚の第1板部材24aと対向する面には、4つの電池モジュール10が配置されている。6枚の第3板部材24cにおける3枚の第1板部材24aと対向する面には、8つの電池モジュール10が配置されている。
【0031】
6枚の第3板部材24cのうち第2方向Bの中央に位置する2枚の第3板部材24cそれぞれには、電池モジュール10が2つずつ配置されている。6枚の第3板部材24cのうち第2方向Bの中央に位置する第3板部材24cと第2方向Bで隣り合う第3板部材24cには、電池モジュール10が1つずつ配置されている。3枚の第2板部材24bのうち第2方向Bの中央に位置する第2板部材24bには、電池モジュール10が2つ配置されている。3枚の第2板部材24bのうち第2方向Bの中央に位置する第2板部材24bと第2方向Bで隣り合う第2板部材24bには、電池モジュール10が1つずつ配置されている。
【0032】
筐体本体21の第2方向B及び第3方向Cに位置する側部は開口している。4つの側壁体22は、筐体本体21の第2方向B及び第3方向Cに位置する側部を閉塞する。これにより、電池パック1が形成される。なお、筐体20には、図示しないファンが設けられており、当該ファンは、筐体20における吸入口25を覆うように配置されている。
【0033】
図7に示すように、6枚の第3板部材24cのうち第2方向Bの中央に位置する2枚の第3板部材24cそれぞれに2つずつ配置された電池モジュール10において、2つの電池モジュール10は、互いの電池ケース蓋体32を第2方向Bで間隔をおいて対向するように配置されている。当該2つの電池モジュール10において、電池ケース本体31の底壁31aは、連通口27に第1方向Aにおいて重ならないように、且つ第2方向Bにおいて連通口27と隣り合うように配置されている。
【0034】
6枚の第3板部材24cのうち第2方向Bの中央に位置する2枚の第3板部材24cそれぞれに第2方向Bで隣り合う第3板部材24cに配置された電池モジュール10において、電池モジュール10は、電池ケース蓋体32が第2方向Bにおいて側壁体22に対向するように配置されている。当該電池モジュール10において、電池ケース本体31の底壁31aは、連通口27に第1方向Aにおいて重ならないように、且つ第2方向Bにおいて連通口27と隣り合うように配置されている。
【0035】
3枚の第2板部材24bのうち第2方向Bの中央に位置する第2板部材24bに配置された2つの電池モジュール10において、2つの電池モジュール10は、互いの電池ケース蓋体32を第2方向Bで間隔をおいて対向するように配置されている。当該2つの電池モジュール10において、電池ケース本体31の底壁31aは、排出口26に第1方向Aにおいて重ならないように、且つ第2方向Bにおいて排出口26と隣り合うように配置されている。
【0036】
3枚の第2板部材24bのうち第2方向Bの中央に位置する第2板部材24bと第2方向Bで隣り合う第2板部材24bに配置された電池モジュール10において、電池モジュール10は、電池ケース蓋体32が第2方向Bにおいて側壁体22に対向するように配置されている。
【0037】
3枚の第2板部材24bのうち第2方向Bの中央に位置する第2板部材24bと第2方向Bで隣り合う第2板部材24bに配置された電池モジュール10において、電池ケース本体31の底壁31aは、排出口26に第1方向Aにおいて重ならないように、且つ第2方向Bにおいて排出口26と隣り合うように配置されている。
【0038】
複数の電池モジュール10は、複数の電池ケース30における全ての底壁31aが第2方向Bで間隔をおいて対向するように筐体20に収容されている。すなわち、複数の電池モジュール10は、複数の電池ケース30における全ての底壁31aが第2方向Bで間隔をおいて対向するように3枚の第1板部材24aと3枚の第2板部材24bとの間に配置されている。第2方向Bで互いに対向する底壁31aにより空気が流れる流路である通気流路Sが形成される。通気流路Sは、連通口27と第1方向Aにおいて連通している。吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sは、第1方向Aに延びる仮想直線Lが吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sそれぞれの内部を全て通るように設けられている。すなわち、電池パック1には、通気流路S及び連通口27により、吸入口25と排出口26とを連通する連通路28が形成され、通気流路S及び連通口27それぞれが連通路28の一部をなしている。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。
筐体20に設けられたファンが駆動することにより、筐体20の内部には、吸入口25を介して空気が取り込まれる。吸入口25を介して取り込まれた空気は、連通路28を通過して排出口26に送り出される。連通路28を空気が流れる際に、電池モジュール10が有する電池ケース本体31の底壁31aが冷却され、ひいては電池ケース本体31の底壁31aに当接している全ての二次電池40が冷却される。
【0040】
本実施形態の効果を説明する。
(1)吸入口25から導入される空気は、連通路28を流れ、排出口26に向けて流れる。このとき、連通路28の少なくとも一部を形成する通気流路Sに空気が流れることにより全ての電池ケース30の底壁31aが直接的に空冷される。したがって、電池モジュール10の電池ケース30の底壁31aを直接的に空冷することができるため、電池モジュール10の冷却効率を向上させることができる。
【0041】
(2)筐体20が棚板を形成する6枚の第3板部材24cを有することにより電池モジュール10が筐体20に収容し易くなる。よって、電池モジュール10の冷却性能を向上させつつ、電池モジュール10を筐体に収容しやすくなる。
【0042】
(3)吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sは、第1方向Aに延びる仮想直線Lが吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sそれぞれの内部を全て通るように設けられている。そのため、吸入口25に導入された空気が、連通路28を介して排出口26から吹き抜け易くなる。したがって、筐体20の内部に新鮮な空気が吹き込みやすくなるため、電池モジュールの冷却効率を更に向上させることができる。
【0043】
(4)単純な形状を有する柱部材23及び板部材24を組み立てることにより、吸入口25、排出口26、及び連通口27を簡易的に形成できる。また、筐体20を第1方向Aから見たとき、吸入口25、排出口26、及び連通口27は、同じ形状を有するとともに同じ位置に設けられる。そのため、吸入口25に導入された空気が、排出口26から吹き抜け易くなる。よって、電池モジュール10の冷却効率を簡易的な構成でより向上させることができる。
【0044】
(5)
図2に示すように、電池ケース30に収容される二次電池40の個数が多い場合、電池ケース30の側壁31bに接触しない二次電池40が存在する。本実施形態では、電池ケース30に収容された複数の二次電池40の全てが当接する電池ケース本体31の底壁31aを直接空冷することができるため、電池ケース30の内部での二次電池40の冷却にムラが発生しない。よって、電池ケース30の側壁31bに接触していない二次電池40を一定温度以下に冷却するために、電池ケース30の側壁31bに接触していない二次電池40を囲む二次電池40を必要以上に冷却する必要がない。したがって、ファンの消費電力を抑制できる。
【0045】
(6)特許文献1に記載される電池パックのように、電池モジュールを冷却するための冷却経路数が多くなると、ファンの出力を大きくしないと筐体の内部に空気が十分に取り込まれない。
【0046】
その点、本実施形態では、吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sにより形成される1本の冷却経路で電池モジュール10の冷却効率を向上させることができる。また、冷却経路が少ないため、電池パック1を小型化することができる。
【0047】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 筐体20の構成を以下のように変更してもよい。
【0048】
図8に示すように、筐体20は、筐体本体51と、筐体本体51の開口51cを閉塞する筐体蓋52とを有している。筐体本体51は、長四角板状の底壁51aと、底壁51aの外縁から立設する四角筒状の側壁51bとを有している。側壁51bのうち底壁51aの長手方向に延びる端部から立設する一対の壁部のうち一方を第1壁部53とし、他方を第2壁部54とする。第1壁部53と第2壁部54とが対向する方向を第1方向Aとし、第1方向Aに直交する方向を第2方向Bとし、第1方向A及び第2方向Bに直交する方向を第3方向Cとする。第2方向Bは、側壁51bのうち底壁51aの短手方向に延びる端部から立設する一対の壁部が対向する方向である。第3方向Cは、筐体蓋52と底壁51aとが対向する方向である。
【0049】
筐体20は、2枚の棚板60を備えている。2枚の棚板60は、筐体本体51の内部において、第1壁部53と第2壁部54との間に配置される板状の部材である。2枚の棚板60は、その厚さ方向が第1方向Aとなるように配置される。2枚の棚板60は、第1方向Aにおいて位置をずらして配置されている。2枚の棚板60は、筐体本体51の側壁51bのうち第2方向Bにおいて対向する一対の壁部に溶接等の固定手段で固定されている。
【0050】
第1壁部53には、2つの吸入口53aが形成されている。2つの吸入口53aは、筐体20の内外を連通するとともに第1壁部53により形成されている。2つの吸入口53aは、第2方向Bにおいて間隔をおいて配置されている。2つの吸入口53aは、第3方向Cに延びている。
【0051】
第2壁部54には、2つの排出口54aが形成されている。2つの排出口54aは、筐体20の内外を連通するとともに第2壁部54により形成されている。2つの排出口54aは、第2方向Bにおいて間隔をおいて配置されている。2つの排出口54aは、第3方向Cに延びている。2つの排出口54aは、第1方向Aにおいて、2つの吸入口53aと重なるように配置されている。
【0052】
2枚の棚板60それぞれには、2つの連通口60aが形成されている。2つの連通口60aは、棚板60の両面を連通するとともに棚板60により形成されている。2つの連通口60aは、第2方向Bにおいて間隔をおいて配置されている。2つの連通口60aは、第3方向Cに延びている。2つの連通口60aは、第1方向Aにおいて、2つの吸入口53aと重なる位置に配置されている。吸入口53a、排出口54a、及び連通口60aは、第1方向Aにおいて重なる位置に配置されている。吸入口53aと、排出口54aと、連通口60aとは同一の形状を有している。
【0053】
図9に示すように、筐体20には、複数の電池モジュール10が収容されている。複数の電池モジュール10は、複数の電池ケース30における全ての底壁31aが第2方向Bで間隔をおいて対向するように筐体20に収容されている。すなわち、複数の電池モジュール10は、複数の電池ケース30における全ての底壁31aが第2方向Bで間隔をおいて対向するように第1壁部53と第2壁部54との間に配置されている。第2方向Bで互いに対向する底壁31aにより空気が流れる流路である通気流路Sが形成される。通気流路Sは、連通口60aと第1方向Aにおいて連通している。吸入口53a、排出口54a、連通口60a、及び通気流路Sは、第1方向Aに延びる仮想直線Lが吸入口53a、排出口54a、連通口60a、及び通気流路Sそれぞれの内部を全て通るように設けられている。すなわち、電池パック1には、通気流路S及び連通口60aにより、吸入口53aと排出口54aとを連通する連通路55が形成され、通気流路S及び連通口60aそれぞれが連通路55の一部を形成している。なお、第1壁部53には、図示しないファンが吸入口53aを覆うように配置されている。
【0054】
このように変更しても本実施形態における(1)~(3)、(5)、及び(6)に記載の効果と同様の効果が得られる。
○ 本実施形態において、吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sは、第1方向Aに延びる仮想直線Lが吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sそれぞれの内部を全て通らないように設けられていてもよい。この場合、吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sは、第1方向Aにおいて少なくとも連通しているように設けられていればよい。なお、上記変更例の吸入口53a、排出口54a、連通口60a、及び通気流路Sにおいても同様の変更をしてもよい。
【0055】
○ 本実施形態において、吸入口25と、排出口26と、連通口27とは同一の形状であったが、異なる形状であってもよい。また、上記変更例において、吸入口53aと、排出口54aと、連通口60aとは同一の形状でなくてもよい。
【0056】
また、吸入口25,53a、排出口26,54a、及び連通口27,60aは全て1つの孔であったが、複数の孔で形成されてもよい。吸入口25、排出口26、連通口27、及び通気流路Sが第1方向Aにおいて少なくとも連通しているように設けられていれば、孔の数は適宜変更してもよい。さらに、上記変更例において、吸入口53a、排出口54a、連通口60a、及び通気流路Sが第1方向Aにおいて少なくとも連通しているように設けられていれば、孔の数は適宜変更してもよい。
【0057】
○ 本実施形態における6枚の第3板部材24c、及び上記変更例において棚板60を割愛し、複数の電池モジュール10を第1方向Aで直接重ねるように変更してもよい。この場合、連通路28,55は、通気流路Sのみにより形成されてもよい。
【0058】
○ 本実施形態において、複数の柱部材23は、第1柱群231と、第2柱群232とに分けられ、第1柱群231及び第2柱群232それぞれは、4つの柱部材23により構成されているが、これに限らない。例えば、第1柱群231及び第2柱群232それぞれを3つの柱部材23により構成してもよい。このように変更することにより、複数の板部材24の枚数を8枚に変更し、筐体20が吸入口25及び排出口26を1つずつ有しているように変更してもよい。また、第1柱群231及び第2柱群232それぞれを5つ以上の柱部材23により構成し、吸入口25及び排出口26それぞれの数を3つ以上にしてもよい。
【0059】
○ 筐体20の内部は、3段構成となっていたが、段数は適宜変更してもよい。段数の変更に伴い、第1板部材24aと第2板部材24bとの間に設けられる第3板部材24cの枚数、及び上記変更例における棚板60の枚数を適宜変更する。
【0060】
○ 本実施形態及び上記変更例において、筐体20には、吸入口25,53aを覆うようにファンが設けられているが、排出口26,54aを覆うようにファンを設けてもよい。なお、ファンを割愛してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…電池パック、10…電池モジュール、20…筐体、23…柱部材、24…板部材、24a…第1板部材、24b…第2板部材、24c…第3板部材、25…吸入口、26…排出口、27…連通口、28…連通路、30…電池ケース、31a…底壁(当接壁部)、40…二次電池、43a…底壁、43c…外面、53…第1壁部、53a…吸入口、54…第2壁部、54a…排出口、55…連通路、60…棚板、60a…連通口、231…第1柱群、232…第2柱群、A…第1方向、B…第2方向、C…第3方向、S…通気流路、L…仮想直線。