(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】スマートメータ用の無線通信中継装置
(51)【国際特許分類】
H04B 7/155 20060101AFI20240214BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H04B7/155
H02J13/00 M
(21)【出願番号】P 2020020513
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】竹田 誠
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-168786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214705(US,A1)
【文献】特開2011-081518(JP,A)
【文献】特開2003-319447(JP,A)
【文献】特開2019-009698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/155
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製箱体の内部に設置されてメータ内アンテナを介した無線通信によって相手先機器との間で情報を送受信するスマートメータに用いられ、前記スマートメータと前記相手先機器との間の無線通信を中継する無線通信中継装置であって、
前記金属製箱体の内部において前記スマートメータが備えたハウジングに
設けられ、前記メータ内アンテナとの間で無線通信を行う内部アンテナと、
前記金属製箱体の外部に設置され、前記相手先機器との間で無線通信を行う外部アンテナと、
前記内部アンテナと前記外部アンテナとの間を通信可能に接続する通信ケーブルと、
を備え
、
前記スマートメータは、ハウジング本体と共に前記ハウジングの一部を構成するカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記ハウジング本体に収納された前記メータ内アンテナを覆い、且つ前記ハウジング本体に対して着脱自在であり、
前記内部アンテナは、前記カバー部材と一体的に設けられていることを特徴とする無線通信中継装置。
【請求項2】
前記内部アンテナは、樹脂製の前記カバー部材内に一体成型によって隠蔽されていることを特徴とする請求項1に記載の無線通信中継装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記ハウジング本体に対して封印具によって封印されており、
前記内部アンテナと前記通信ケーブルとの接点を、前記カバー部材の内表面側に設けたことを特徴とする請求項1
又は2に記載の無線通信中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートメータ用の無線通信中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
需要家の消費電力を計測する電力量計は、検針の自動化等の要請により、検針員による検針を必要とするアナログ方式の旧電力量計から、計測結果を電力会社に送信できるスマートメータに置き換えられている。
スマートメータには、有線通信機能を有するものや無線通信機能を有するものがある。無線通信機能を有するスマートメータは、例えばマルチホップ無線方式や1:N無線方式による無線通信を行う。
マルチホップ無線方式は、スマートメータ自身が中継器の役割を果たし、スマートメータ同士がリレー方式によって短距離で通信路を形成しあうことにより、広範囲の通信ネットワークを形成する方式である。1:N無線方式は、携帯電話事業者等の通信事業者が提供する無線データ通信サービスを利用する方式である。
【0003】
旧電力量計から置き換えられたスマートメータは、通常、旧電力量計と同じ場所に設置される。しかし、旧電力量計は無線通信機能を有していないために無線通信に適さない場所に設置されていることがある。スマートメータが無線通信に適さない場所に設置されると電波(電磁波)が弱められてしまい、無線通信が不安定になってしまう恐れがある。
例えば、多くの建物が密集する都市部において、マルチホップ無線方式を行うスマートメータが金属製の収納ボックス内に設置されると、建物や収納ボックスによって電波が弱められてしまい無線通信が不安定になってしまう恐れがある。
また、山間の地において、1:N無線方式による無線通信を行うスマートメータが金属製のキャビネット内に設置されると、基地局からの距離が遠いことから電波が弱められ、キャビネットによってさらに電波が弱められてしまうことから、無線通信が不安定になってしまう恐れがある。
【0004】
スマートメータによる無線通信を安定させるため、スマートメータと通信の相手先機器との間に中継装置を配置する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、スマートメータと電力管理装置との間に中継装置を配置し、スマートメータと電力管理装置との間の無線通信を安定させている。また、特許文献2には、コードレステレフォンのメインセット(親機)とサブセット(子機)との間に伝送手段を配置し、通信を安定させている。特許文献2において、伝送手段は、親機側のアンテナ、及び整合回路のセットと、子機側のアンテナ、及び整合回路のセットと、両整合回路を接続する給電線と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/104501号
【文献】特開昭63-138840公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の伝送手段において、子機側のアンテナの設置場所は、コードレスタイプの子機が室内の様々な場所で使用されることから制限を受ける。従って、特許文献1の中継装置に換えて特許文献2の伝送手段を用いたとしても、スマートメータ側のアンテナについては設置場所に制限を受けることになり、通信が不安定になってしまう恐れがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属製箱体の内部に設置されたスマートメータと相手先機器との間の通信を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、金属製箱体の内部に設置されてメータ内アンテナを介した無線通信によって相手先機器との間で情報を送受信するスマートメータに用いられ、前記スマートメータと前記相手先機器との間の無線通信を中継する無線通信中継装置であって、前記金属製箱体の内部において前記スマートメータが備えたハウジングに設けられ、前記メータ内アンテナとの間で無線通信を行う内部アンテナと、前記金属製箱体の外部に設置され、前記相手先機器との間で無線通信を行う外部アンテナと、前記内部アンテナと前記外部アンテナとの間を通信可能に接続する通信ケーブルと、を備え、前記スマートメータは、ハウジング本体と共に前記ハウジングの一部を構成するカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記ハウジング本体に収納された前記メータ内アンテナを覆い、且つ前記ハウジング本体に対して着脱自在であり、前記内部アンテナは、前記カバー部材と一体的に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属製箱体の内部に設置されたスマートメータと相手先機器との間の通信を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態の無線通信中継装置を説明するブロック図である。
【
図3】屋外に設置されたキャビネットに無線通信中継装置を取り付けた状態を説明する図である。
【
図4】キャビネット内に収納されたスマートメータ、及び内部アンテナを説明する図である。
【
図5】第二実施形態を説明する図であり、野立て太陽光発電施設を説明する斜視図である。
【
図6】第三実施形態を説明する図であり、(a)はフィルム状の内部アンテナを説明する図、(b)はスマートメータのカバー部材を説明する図、(c)はカバー部材に対してフィルム状の内部アンテナを取り付けた状態を説明する図である。
【
図7】第四実施形態を説明する図であり、製造過程で内部アンテナをカバー部材の樹脂内に一体成型し、且つ通信ケーブル用の接点もカバー部材の裏面に一体化した専用のカバー部材を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<中継装置の概要>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は第一実施形態の無線通信中継装置1を説明するブロック図である。
図1に示す無線通信中継装置1は、金属製のキャビネット120(金属製箱体)の内部に設置されてメータ内アンテナ112を介した無線通信によって基地局130(相手先機器)との間で情報を送受信するスマートメータ110に用いられ、スマートメータ110と基地局130との間の無線通信を中継するための装置である。
無線通信中継装置1は、スマートメータ110が備えたハウジング113に配置され、メータ内アンテナ112との間で無線通信を行う内部アンテナ2と、キャビネット120の外部に設置され、基地局130との間で無線通信を行う外部アンテナ3と、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間を通信可能に接続する通信ケーブル4とを備えたことを特徴としている。
【0011】
この無線通信中継装置1において、内部アンテナ2は、スマートメータ110のハウジング113に配置されているため、金属製のキャビネット120の影響を受けることなく、メータ内アンテナ112との間で無線通信を行うことができる。
一方、外部アンテナ3は、キャビネット120の外部に設置されているため、金属製のキャビネット120の影響を受けることなく、基地局130との間で無線通信を行うことができる。
さらに、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間を通信ケーブル4によって接続しているため、金属製のキャビネット120の影響を受けずに、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間で通信を行わせることができる。
その結果、スマートメータ110が金属製のキャビネット120内に収容されていても、スマートメータ110と基地局130との間の通信を安定させることができる。
【0012】
<第一実施形態>
以下、第一実施形態の無線通信中継装置1について詳細に説明するが、先にスマートメータ110について説明する。
図1に示すスマートメータ110は、需要家における消費電力を計測し、計測値をデジタル変換するメータ本体111と、メータ本体111に対して電気的に接続され、デジタル変換された計測値を表示する表示部115と、メータ本体111に対して電気的に接続され、無線通信を行うために電波(電磁波)の送受信を行うメータ内アンテナ112と、メータ本体111、表示部115、及びメータ内アンテナ112を収容したハウジング113と、を備えている。
【0013】
本実施形態のスマートメータ110は1:N無線方式による通信を行うものであるため、メータ内アンテナ112は通信事業者が所有する基地局130(相手先機器)と通信可能に構成されている。例えば、通信事業者が800MHz帯の周波数を使用している場合には、当該周波数の電波を送受信できる構成を備えている。
メータ内アンテナ112が送受信可能な電波の種類は無線通信の相手先機器に応じて定められる。本実施形態において、メータ内アンテナ112は、通信ユニットUN内に配置されている。通信ユニットUNは、メータ本体111に対してモジュラーケーブルによって着脱自在に接続されている。
スマートメータ110は、基地局130、及び通信ネットワークNWを通じて、ヘッドエンドシステム140(サーバ)との間で情報を送受信する。
【0014】
図2は、スマートメータ110の正面図である。
図2に示すように、ハウジング113は、ハウジング本体113aと、ハウジング本体113aに対して着脱自在なカバー部材113bとを備えている。
ハウジング本体113aの上部は直方体形状をしており、メータ本体111が収納されている。表示部115は、ハウジング本体113aの上部正面側に取り付けられている。ハウジング本体113aの下部には通信ユニットUN(メータ内アンテナ112)及び各種の端子等が収納されており、カバー部材113bによって覆われている。
なお、カバー部材113bは、ハウジング本体113aの下部開口に対して着脱自在ではあるが封印具によって封印されている。すなわち、通信ユニットUNは、封印具によってハウジング113内に封印されている。
【0015】
図3は屋外に設置されたキャビネット120に無線通信中継装置1を取り付けた状態を説明する図、
図4はキャビネット120内に収納されたスマートメータ110、及び内部アンテナ2を説明する図である。
図3に示すキャビネット120は、公園、広場、施設内の空き地などの屋外に設置される。このキャビネット120は、縦長直方体形状の金属製箱体であって、正面上部が金属製の蓋体122によって開閉自在なキャビネット本体121と、キャビネット本体121の上部に取り付けられた金属製の切妻屋根123とを備えている。
図4に示すように、スマートメータ110は、支持板124を介してキャビネット本体121内の上部に取り付けられている。スマートメータ110の測定値は、キャビネット120正面上部の蓋体122に設けた覗き窓122aを通してキャビネット120の外から視認できる。また、封印具取付装置122bには電力会社の封印具が設置されているため、蓋体122の開閉は電力会社以外の者には行えない。
【0016】
次に、無線通信中継装置1について説明する。
図1にて説明したように、無線通信中継装置1は、内部アンテナ2、外部アンテナ3、及び通信ケーブル4を備えている。
内部アンテナ2は、スマートメータ110のメータ内アンテナ112と無線通信を行うものであるため、メータ内アンテナ112と同じ周波数帯(例えば800MHz帯)の電波を送受信可能に構成されている。内部アンテナ2の種類は、電波を送受信できればどのようなものであってもよいが、キャビネット120内の限られたスペースに収納することを考慮すると、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、又はループアンテナが好ましい。
図4に示すように、本実施形態では、内部アンテナ2をモノポールアンテナによって構成している。この内部アンテナ2は、扁平な長方形状のアンテナ本体2aと、アンテナ本体2aの一端側の表面に設けられ、通信ケーブル4に接続される接続コネクタ2bと、接続コネクタ2b、及び通信ケーブル4の端部をカバーするコネクタカバー2cと、を備えている。
内部アンテナ2(アンテナ本体2a)は、ハウジング113の側面に配置されている。例えば、内部アンテナ2をカバー部材113b左側面(所定位置)に対して両面テープによって左側方から貼設している。
なお、内部アンテナ2のハウジング113への取り付けは両面テープに限られない。例えば、接着剤によって貼り付けてもよいし、結束バンドによって固定してもよい。
【0017】
図1に示すように、外部アンテナ3は通信事業者が所有する基地局130と無線通信を行うものであるため、基地局130やメータ内アンテナ112と同じ周波数帯の電波を送受信可能に構成されている。
図3に示すように、本実施形態において、外部アンテナ3は、キャビネット120の屋根123に取り付けられているが、キャビネット120の外部であればキャビネット120の屋根123に限られない。例えば、家屋の屋根、ビル等の建物の屋上、或いは支柱に取り付けてもよい。
外部アンテナ3の種類は、電波を送受信できればどのようなものであってもよいが、キャビネット120の屋根123に取り付けることを考慮すると、モノポールアンテナ(ホイップアンテナ)が好ましい。また、外部アンテナ3を建物の屋根123や支柱に取り付ける時には、遠距離の無線通信に適していることから、八木アンテナやダイポールアンテナが好ましい。
【0018】
通信ケーブル4は、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間を通信可能に接続し、各アンテナ2、3の間で高周波電力を伝送するための電線(給電線)である。本実施形態では、例えばインピーダンス値が50オームの同軸ケーブルが用いられており、その長さは内部アンテナ2から外部アンテナ3までの距離に応じて定められる。
例えば、外部アンテナ3をキャビネット120の屋根123に取り付ける時において、通信ケーブル4の長さは2m乃至5m程度に定められる。また、外部アンテナ3を建物の屋根や支柱に取り付ける時には、通信ケーブル4の長さは10m以上に定められる。
【0019】
なお、通信ケーブル4と各アンテナ2、3との接続点(給電点)では、マッチングが図られている。具体的には、通信ケーブル4から見た時の各アンテナ2、3側のインピーダンス値を通信ケーブル4のインピーダンス値(本実施形態では50オーム)に一致させており、通信ケーブル4と各アンテナ2、3の間でエネルギーの反射が無いように接続している。図示は省略するが、整合回路を設けてインピーダンス値を一致させてもよい。
また、通信ケーブル4は、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間で高周波電力を伝送できれば同軸ケーブルに限られない。例えば、通信ケーブル4としてフィーダー線を用いてもよい。
【0020】
図1、
図3、及び
図4に示すように、本実施形態の無線通信中継装置1では、キャビネット120内の内部アンテナ2はスマートメータ110のハウジング113に配置されており、メータ内アンテナ112との間で高い効率で無線通信を行う。また、キャビネット120外の外部アンテナ3はキャビネット120に影響されることなく、基地局130との間で無線通信を行う。さらに、通信ケーブル4は、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間、言い換えればキャビネット120の内側と外側の間において、キャビネット120に影響されることなく高周波電力を伝送する。
従って、本実施形態の無線通信中継装置1を使用することにより、キャビネット120が金属製であってもキャビネット120に影響されることなく、キャビネット120内のスマートメータ110とキャビネット120外の基地局130(相手先機器)との間の通信を安定して行わせることができる。
【0021】
<第二実施形態>
前述の第一実施形態において、無線通信中継装置1が取り付けられるスマートメータ110(キャビネット120)は、公園、広場、施設内の空き地等に設置されていたが、本発明に係る無線通信中継装置1は、他の場所(例えば、
図5に示す野立て太陽光発電施設200)に設置されたスマートメータ110にも取り付けることができる。
野立て太陽光発電施設200(以下、発電施設200)の殆んどは、周りに民家が無い山間の地で基地局からの距離が遠い所に施設されている。以下、発電施設200について説明する。
図5は、発電施設200を説明する斜視図である。
【0022】
発電施設200は、太陽光パネル210と、メータボックス220と、を備えている。
太陽光パネル210は、複数の薄膜型の太陽電池を直列に接続した板状のユニットを複数備えており、各ユニットを直列及び並列に接続したものである。本実施形態では、太陽光パネル210をフレーム211によって設置している。太陽光パネル210が発電した直流は接続箱や集電盤を経て高電圧化され、パワーコンディショナーにて交流に変換された後、電力系統に送られる。
発電施設200において、スマートメータ110は、パワーコンディショナーと電力系統の間に配置される。本実施形態のスマートメータ110は1:N無線方式による通信を行うものであるので、
図1にて説明したように、メータ内アンテナ112は通信事業者が所有する基地局130と通信可能に構成されている。
【0023】
メータボックス220は、スマートメータ110を収納するための金属製箱体であり、支柱230における高さ方向の途中に取り付けられている。
メータボックス220は、直方体形状の金属製箱体であって、正面上部が金属製の蓋体222によって開閉自在なボックス本体221を備えている。蓋体222には覗き窓222aが設けられている。覗き窓222aを通じてスマートメータ110の測定値をメータボックス220の外から視認できる。また、封印具取付装置222bには電力会社の封印具が設置されているため、蓋体222の開閉は電力会社以外の者には行えない。
メータボックス220(スマートメータ110)に対し、
図1にて説明した無線通信中継装置1を取り付けることにより、基地局130との間の通信を安定して行わせることができる。
この場合において、メータボックス220内のスマートメータ110に対しては、
図4にて説明したように、内部アンテナ2(アンテナ本体2a)をハウジング113の側面に配置する。また、
図5に示すように、外部アンテナ3はメータボックス220の上面に設置する。そして、内部アンテナ2と外部アンテナ3との間を通信ケーブル4によって接続する。
【0024】
<第三実施形態>
前述の第一実施形態において、内部アンテナ2はモノポールアンテナによって構成されており、両面テープによってハウジング113に貼設されていたが、この構成に限定されるものではない。
図6(a)乃至(c)は、内部アンテナ2Aをフィルムアンテナによって構成した第三実施形態の無線通信中継装置1の要部(内部アンテナ2A)を説明する図である。
図6(a)に示すように、第三実施形態の内部アンテナ2Aは、電気絶縁性を有する合成樹脂製のベースフィルム21と、ベースフィルム21に形成された金属製(例えば銅製)の導体パターン22と、導体パターン22と通信ケーブル4とを電気的に接続した接点23と、を備えている。接点23の表面は、電気絶縁性を有する部材で覆われている。
なお、第三実施形態の無線通信中継装置1において、他の構成は第一実施形態の無線通信中継装置1と同じであるため、説明は省略する。
【0025】
内部アンテナ2Aは、
図6(b)に示すカバー部材113b表面の所定領域に貼設される。内部アンテナ2Aの貼設は、両面テープによって行ってもよいし、接着剤によって行ってもよい。
図6(c)に示すように、内部アンテナ2Aをカバー部材113bに予め貼設しておくことにより、内部アンテナ2Aの取り付けは、既設のカバー部材113bに換えて内部アンテナ2Aを貼設したカバー部材113bをハウジング本体113aに対して取り付けるだけ済む。
従って、第三実施形態の無線通信中継装置1では、設置の容易化が図れる。
【0026】
<第四実施形態>
前述の第三実施形態では、内部アンテナ2Aをフィルムアンテナによって構成し、カバー部材113b表面の所定領域に貼設していたが、この構成に限定されない。
図7は、第四実施形態を説明する図であり、内部アンテナ21’を一体成型した専用のカバー部材113b’を説明する図である。
このカバー部材113b’は、カバー部材113b’を製造する過程で導体パターン22’を備えた内部アンテナ21’を樹脂内に一体成型して隠蔽し、さらに導体パターン22’に対して電気的に接続された通信ケーブル4用の接点23’をカバー部材113b’の内表面(裏面)に一体化したものである。接点23’の表面は、電気絶縁性を有する部材で覆われている。
カバー部材113b’では、内部アンテナ21’や接点23’がメータ外部から見えないように隠蔽されているため、美観が損なわれない。さらに、接点23’がカバー部材113b’の内表面に一体化されているため、通信ケーブル4を取り外す場合には、カバー部材113b’を脱着する必要があり、悪意のある第三者が接点23’から通信ケーブル4を容易に取り外す不都合を有効に防止できる。
万一、上記の第三者が接点23’から通信ケーブル4を取り外したとしても、ハウジング本体113aに対してカバー部材113b’の脱着を感知する接点が備えられており、脱着情報が無線通信によってヘッドエンドシステム140(サーバー)に蓄積されるため追跡調査も容易に行える。
【0027】
<変形例>
前述の各実施形態において、スマートメータ110は1:N無線方式による通信を行うものであったが、本発明は1:N無線方式のスマートメータ110に限定されるものではない。例えば、マルチホップ通信方式のスマートメータにも適用できる。
マルチホップ通信方式のスマートメータに適用する時には、各スマートメータに対して上述の無線通信中継装置1を取り付ければよい。この場合、一のスマートメータを基準にすると、通信可能範囲に設置された他のスマートメータが通信の相手先機器に対応する。
なお、マルチホップ通信方式のスマートメータでは、例えば920MHz帯の周波数が使用される。このため、無線通信中継装置1が備える内部アンテナ2、2A、及び外部アンテナ3は、920MHz帯の周波数によって電波を送受信可能なものが用いられる。
【0028】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様に係る無線通信中継装置1は、キャビネット120(金属製箱体)の内部に設置されてメータ内アンテナ112を介した無線通信によって通信事業者の基地局130や他のスマートメータ(相手先機器)との間で情報を送受信するスマートメータ110に用いられ、スマートメータ110と基地局130等との間の無線通信を中継する装置であり、キャビネット120の内部においてスマートメータ110が備えたハウジング113に配置され、メータ内アンテナ112との間で無線通信を行う内部アンテナ2、2Aと、キャビネット120の外部に設置され、基地局130等との間で無線通信を行う外部アンテナ3と、内部アンテナ2等と外部アンテナ3との間を通信可能に接続する通信ケーブル4と、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る無線通信中継装置1によれば、内部アンテナ2等とメータ内アンテナ112との間、外部アンテナ3と基地局130との間、及び内部アンテナ2、2Aと外部アンテナ3との間のそれぞれにおいて、金属製のキャビネット120の影響を受けることなく通信を行うことができる。
その結果、スマートメータ110と基地局130等との間の通信を安定させることができる。
【0029】
<第二の実施態様>
本態様に係る無線通信中継装置1において、スマートメータ110は、ハウジング本体113aと共にハウジング113の一部を構成し、且つハウジング本体113aに対して着脱自在なカバー部材113bを備えており、内部アンテナ2Aは、カバー部材113bに貼設されたフィルムアンテナによって構成されていることを特徴とする。
本態様に係る無線通信中継装置1によれば、内部アンテナ2Aをカバー部材113bに予め貼設しておくことにより、内部アンテナ2Aの取り付けは、既設のカバー部材113bに換えて内部アンテナ2Aを貼設したカバー部材113bをハウジング本体113aに対して取り付けるだけ済むため、設置の容易化が図れる。
【0030】
<第三の実施態様>
本態様に係る無線通信中継装置1において、スマートメータ110は、ハウジング本体113aと共にハウジング113の一部を構成し、且つハウジング本体113aに対して着脱自在な樹脂製のカバー部材113b’を備えており、内部アンテナ21’はカバー部材113b’内に一体成型され、且つ内部アンテナ21’と通信ケーブル4との接点23’をカバー部材113b’の内表面側に設けたことを特徴とする。
本態様に係る無線通信中継装置1によれば、内部アンテナ21’をカバー部材113b’内に一体成型し、且つ接点23’をカバー部材113b’の内表面側に設けたので、悪意のある第三者が接点23’から通信ケーブル4を取り外そうとしても、この行為を有効に防止できる。
また、内部アンテナ21’がカバー部材113b’内に一体成型され、且つ接点23’がカバー部材113b’の内表面側に設けられているので、美観を損なわない。
【符号の説明】
【0031】
1…無線通信中継装置、2、2A…内部アンテナ、3…外部アンテナ、4…通信ケーブル、110…スマートメータ、111…メータ本体、112…メータ内アンテナ、113…ハウジング、115…表示部、120…キャビネット、130…基地局