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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240214BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G02F1/1368
G09F9/30 348A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020023102
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021128265
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】古我 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-140566(JP,A)
【文献】特開2007-183409(JP,A)
【文献】特開2014-212191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025439(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0065652(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、
前記画素電極が電気的に接続される画素電極側ソース・ドレイン領域とチャネル領域との間に前記画素電極側ソース・ドレイン領域より不純物濃度が低い低濃度領域を有する半導体層、ゲート絶縁膜、およびゲート電極を備えたトランジスターと
前記ゲート電極を覆うとともに前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる領域が除去された凹部を有する第1絶縁膜と、
前記ゲート電極と平面視で重なる領域において、前記第1絶縁膜を覆うとともに、前記凹部において、前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる領域に設けられ、前記第1絶縁膜よりも膜厚が薄い第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記画素電極側ソース・ドレイン領域と電気的に接続され、前記ゲート電極、前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる遮光性電極と、を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記ゲート電極は、前記チャネル領域と平面視で重なる第1電極部と、前記半導体層の両側において、前記第1電極部から前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域に沿って延在する一対の第2電極部と、を有し、
前記凹部は、平面視で前記一対の第2電極部間に設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気光学装置において、
前記凹部は、少なくとも前記ゲート絶縁膜まで到達する深さに設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電気光学装置において、
前記凹部は、前記低濃度領域まで到達する深さに設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電気光学装置において、
前記遮光性電極の少なくとも一部は、前記低濃度領域の幅方向の両側で前記低濃度領域の前記画素電極側の面より前記画素電極とは反対側に位置することを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5まで何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記トランジスターと前記画素電極との間には、前記遮光性電極を容量電極とする容量素子が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6まで何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第2絶縁膜は、原子層堆積膜であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LDD(Lightly Doped Drain)構造のトランジスターを有する電気光学装置、および電子機器に関すものである。
【背景技術】
【0002】
投射型表示装置のライトバルブとして用いられる液晶装置等の電気光学装置は、基板本体と画素電極との間に半導体層が設けられており、半導体層を利用してトランジスターが構成される。かかる電気光学装置において、光源からの光が、半導体層において画素電極側と電気的に接続された画素電極側ソース・ドレイン領域とチャネル領域とに挟まれた低濃度領域に入射すると、トランジスターに光リーク電流が発生する原因となる。そこで、画素電極側ソース・ドレイン領域に接続する遮光性電極を構成する遮光膜を、ゲート電極の側面に重なるサイドウォール酸化膜、およびゲート絶縁膜の一部を薄くした部分を覆うように形成することによって低濃度領域への光の入射を防止した構造が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-182144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゲート絶縁膜は薄いため、特許文献1に記載の構成のように、ゲート絶縁膜の一部をエッチングによって薄くしようとした際、ゲート絶縁膜の厚さ方向の全体がエッチングされるおそれがある。その場合、遮光性電極が低濃度領域と電気的に接続されてしまい、トランジスター特性の低下が発生する。それ故、トランジスター特性に影響を及ぼさずに低濃度領域と遮光性電極とを接近させることが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置の一態様は、画素電極と、前記画素電極が電気的に接続される画素電極側ソース・ドレイン領域とチャネル領域との間に前記画素電極側ソース・ドレイン領域より不純物濃度が低い低濃度領域を有する半導体層、ゲート絶縁膜、およびゲート電極を備えたトランジスターと、前記ゲート電極を覆うとともに前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる領域が除去された凹部を有する第1絶縁膜と、前記ゲート電極と平面視で重なる領域において、前記第1絶縁膜を覆うとともに、前記凹部において、前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる領域に設けられ、前記第1絶縁膜よりも膜厚が薄い第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して前記画素電極側ソース・ドレイン領域と電気的に接続され、前記ゲート電極、前記低濃度領域および前記画素電極側ソース・ドレイン領域と平面視で重なる遮光性電極と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明を適用した電気光学装置は各種電子機器に用いられる。本発明において、電子機器が投射型表示装置である場合、投射型表示装置には、電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係る電気光学装置の平面図。
図2図1に示す電気光学装置の断面図。
図3図1に示す電気光学装置において隣り合う複数の画素の平面図。
図4図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図。
図5図4のA-A′断面図。
図6図4のB-B′断面図。
図7図4のC-C′断面図。
図8図5図6および図7に示す走査線、半導体層、ゲート電極等の平面図。
図9図5図6および図7に示す遮光性電極および第2容量電極等の平面図。
図10図5図6および図7に示すデータ線および容量線等の平面図。
図11図8に示すゲート電極等の平面図。
図12図1に示す電気光学装置の製造方法を示す説明図。
図13】本発明の実施形態2に係る電気光学装置の説明図。
図14】本発明の実施形態3に係る電気光学装置の説明図。
図15】本発明を適用した電気光学装置を用いた投射型表示装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明において、第1基板10に形成した各層を説明する際、上層側あるいは表面側とは基板本体19が位置する側とは反対側(第2基板20が位置する側)を意味し、下層側とは基板本体19が位置する側を意味する。また、第1基板10の面内方向で交差する2方向のうち、データ線6aが延在する方向を第1方向Yとし、走査線3aが延在する方向を第2方向Xとする。また、第1方向Yに沿う方向の一方側を第1方向Yの一方側Y1とし、第1方向Yに沿う方向の他方側を第1方向Yの他方側Y2とし、第2方向Xに沿う方向の一方側を第2方向Xの一方側X1とし、第2方向Xに沿う方向の他方側を第2方向Xの他方側X2とする。
【0009】
[実施形態1]
1.電気光学装置100の構成
図1は、本発明の実施形態1に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100の断面図である。図1および図2に示すように、電気光学装置100では、第1基板10と、第2基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、第1基板10と第2基板20とが対向している。シール材107は第2基板20の外縁に沿うように枠状に設けられており、第1基板10と第2基板20との間でシール材107によって囲まれた領域に液晶層等の電気光学層80が配置されている。シール材107は、光硬化性を備えた接着剤、あるいは光硬化性および熱硬化性を備えた接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。本形態において、第1基板10および第2基板20はいずれも四角形であり、電気光学装置100の略中央には、表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と表示領域10aの外周縁との間には、矩形枠状の周辺領域10bが設けられている。
【0010】
第1基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体19を備えている。基板本体19の第2基板20側の一方面19s側には、基板本体19の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が設けられ、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が設けられている。図示を省略するが、端子102には、フレキシブル配線基板が接続され、第1基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0011】
基板本体19の一方面19sの側において、表示領域10aには、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる透光性の複数の画素電極9aがマトリクス状に形成されている。画素電極9aに対して第2基板20側には第1配向膜16が形成されており、画素電極9aは、第1配向膜16によって覆われている。
【0012】
第2基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体29を備えている。基板本体29において第1基板10と対向する一方面29sの側には、ITO膜等からなる透光性の共通電極21が形成されており、共通電極21に対して第1基板10側には第2配向膜26が形成されている。共通電極21は、第2基板20の略全面に形成されており、第2配向膜26によって覆われている。第2基板20には、基板本体29と共通電極21との間に樹脂、金属または金属化合物からなる遮光性の遮光層27が形成され、遮光層27と共通電極21との間に透光性の保護層28が形成されている。遮光層27は、例えば、表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状の見切り27aとして形成されている。遮光層27は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と平面視で重なる領域にブラックマトリクスを構成する遮光層27bとしても形成されている。第1基板10の周辺領域10bのうち、見切り27aと平面視で重なる領域には、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。なお、第2基板20において画素電極9aと対向する位置にレンズが設けられることがあり、この場合、遮光層27bが形成されないことが多い。
【0013】
第1配向膜16および第2配向膜26は、例えば、SiO(x<2)、SiO、TiO、MgO、Al等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜であり、電気光学層80に用いた負の誘電率異方性を備えた液晶分子を傾斜配向させている。このため、液晶分子は、第1基板10および第2基板20に対して所定の角度を成している。このようにして、電気光学装置100は、VA(Vertical Alignment)モードの液晶装置として構成されている。
【0014】
第1基板10には、シール材107より外側において第2基板20の角部分と重なる領域に、第1基板10と第2基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通用電極109が形成されている。基板間導通用電極109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、第2基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび基板間導通用電極109を介して、第1基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、第1基板10の側から共通電位が印加される。
【0015】
電気光学装置100において、画素電極9aおよび共通電極21がITO膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は、透過型液晶装置として構成されている。かかる電気光学装置100では、第1基板10および第2基板20のうち、一方側の基板から電気光学層80に入射した光が他方側の基板を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。本実施形態では、矢印Lで示すように、第2基板20から入射した光が第1基板10を透過して出射される間に電気光学層80によって画素毎に変調され、画像を表示する。
【0016】
2.画素の概略構成
図3は、図1に示す電気光学装置100において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図であり、図4には、トランジスター30付近を拡大して示してある。図5は、図4のA-A′断面図である。図6は、図4のB-B′断面図である。図7は、図4のC-C′断面図である。なお、図3図4、および後述する図8図10では、各層を以下の線で表してある。また、図3図4、および後述する図8図10では、互いの端部が平面視で重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。また、コンタクトホール41a、41b、および凹部420をグレーの領域で示してある。
走査線3a=太い実線
半導体層1a=細くて短い破線
ゲート電極8a=細い実線
遮光性電極4a=細くて長い破線
容量電極5a=細い一点鎖線
データ線6aおよび中継電極6b、6c=太くて長い破線
容量線7aおよび中継電極7b=太い二点鎖線
画素電極9a=太くて短い破線
【0017】
図3および図4に示すように、第1基板10において第2基板20と対向する面には、複数の画素の各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に沿って走査線3a、データ線6a、および容量線7aが延在している。データ線6aは、画素間領域において第1方向Yに延在し、走査線3aは、画素間領域において第2方向Xに延在している。容量線7aは、画素間領域において第1方向Yおよび第2方向Xに沿って延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応してトランジスター30が形成されている。ここで、走査線3a、データ線6a、および容量線7aは、遮光性を有している。従って、走査線3a、データ線6a、容量線7a、およびこれらの配線と同層の電極が形成された領域は、光が通過しない遮光領域12であり、遮光領域12で囲まれた領域は、光が透過する開口領域11である。
【0018】
図5図6および図7に示すように、第1基板10において、基板本体19と画素電極9aとの間には、層間絶縁膜41、42、43、44、45が基板本体19の側から順に積層されている。層間絶縁膜41、42、43、44、45は各々、酸化シリコン等の透光性の絶縁膜からなる。層間絶縁膜43、45の画素電極9a側の面は、化学的機械研磨等によって連続した平面になっている。本形態では、層間絶縁膜と基板本体19との層間、および層間絶縁膜の層間を利用して、以下に説明する各種配線やトランジスター30が設けられている。
【0019】
3.各層の詳細説明
図5図6および図7を参照するとともに、以下の図8図10を適宜、参照して、第1基板10の詳細構成を説明する。図8は、図5図6および図7に示す走査線3a、半導体層1a、ゲート電極8a等の平面図である。図9は、図5図6および図7に示す遮光性電極4aおよび容量電極5a等の平面図である。図10は、図5図6および図7に示すに示すデータ線6aおよび容量線7a等の平面図である。なお、図8図10には、それらの図に示す電極等の電気的な接続に関連するコンタクトホールを示すとともに、基準となる位置を示すために半導体層1aおよび画素電極9aを示してある。
【0020】
まず、図5図6および図7に示すように、第1基板10において、基板本体19と層間絶縁膜41との間には、第2方向Xに沿って延在する走査線3aが形成されている。走査線3aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。本形態において、走査線3aは、タングステンシリサイド(WSi)、タングステン、窒化チタン等からなる。層間絶縁膜41と層間絶縁膜42との間には、画素スイッチング用のトランジスター30が構成されている。トランジスター30は、層間絶縁膜41の基板本体19とは反対側の面に形成された半導体層1aと、半導体層1aに対して画素電極9a側に積層されたゲート絶縁膜2と、ゲート絶縁膜2に対して画素電極9a側で半導体層1aと平面視で重なるゲート電極8aとを備えている。半導体層1aは、ポリシリコン層等によって構成されている。ゲート絶縁膜2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁膜2aと、減圧CVD法等により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁膜2bとの2層構造からなる。ゲート電極8aは、導電性のポリシリコン層、金属シリサイド膜、金属膜、あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。
【0021】
層間絶縁膜41には、走査線3aとトランジスター30のゲート電極8aとを電気的に接続するためのコンタクトホール41a、41bが設けられている。かかるコンタクトホール41a、41bの詳細な構成は、図11を参照して後述する。
【0022】
図7に示すように、走査線3aは、第2方向Xに沿って直線的に延在する配線部分3a0と、配線部分3a0から第1方向Yの両側にデータ線6aと重なるように突出した突出部分3a1、3a2とを有している。
【0023】
半導体層1aは、走査線3aと平面視で重なるように、走査線3aとデータ線6aとの交差部分から第2方向Xの他方側X2に延在しており、ゲート電極8aと平面視で重なる部分がチャネル領域1cになっている。本形態において、トランジスター30はLDD構造を有している。従って、半導体層1aにおいて、チャネル領域1cに対してデータ線6aが位置する第2方向Xの一方側X1の第1領域1sは、チャネル領域1cから離間するデータ線側ソース・ドレイン領域1tと、データ線側ソース・ドレイン領域1tとチャネル領域1cとに挟まれた低濃度領域1uとを有しており、低濃度領域1uは、データ線側ソース・ドレイン領域1tより不純物濃度が低い。また、半導体層1aにおいて、チャネル領域1cに対してデータ線6aと反対側の第2方向Xの他方側X2の第2領域1dは、チャネル領域1cから離間する画素電極側ソース・ドレイン領域1eと、画素電極側ソース・ドレイン領域1eとチャネル領域1cとに挟まれた低濃度領域1fとを有しており、低濃度領域1fは、画素電極側ソース・ドレイン領域1eより不純物濃度が低い。
【0024】
ゲート電極8aは、ゲート絶縁膜2を介して半導体層1aと平面視で重なるように第1方向Yに延在する第1電極部8a0と、半導体層1aの第1方向Yの両側で第1電極部8a0の第1方向Yの両側の端部から半導体層1aに沿って第2方向Xに延在する第2電極部8a1、8a2とを有しており、第2電極部8a1、8a2は、半導体層1aと平面視で重なっていない。ゲート電極8aのうち、第2電極部8a1、8a2は、コンタクトホール41a、41bを介して走査線3aに電気的に接続されている。
【0025】
再び図5図6および図7において、トランジスター30の上層側には層間絶縁膜42、43が形成されている。層間絶縁膜42と層間絶縁膜43との間には、遮光性電極4a、誘電体層40および容量電極5aを有する容量素子55が設けられている。容量素子55は、第1基板10の画素電極9aと第2基板20の共通電極21との間に構成された液晶容量で保持される画像信号の変動を防ぐ保持容量である。遮光性電極4a、および容量電極5aは、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。
【0026】
図8に示すように、遮光性電極4aは、走査線3aおよび半導体層1aと平面視で重なるように第2方向Xに延在する本体部分4a1と、本体部分4a1からデータ線6aと平面視で重なるように突出した突出部4a2とを有しており、本体部分4a1の端部は、層間絶縁膜42に形成されたコンタクトホール42aを介して半導体層1aの画素電極側ソース・ドレイン領域1eに電気的に接続されている。遮光性電極4aは、半導体層1aのうち、データ線6aと重なる端部と平面視で重ならないように切り欠き4a3が形成されている。
【0027】
容量電極5aは、遮光性電極4aの本体部分5a1と平面視で重なる本体部分5a1と、遮光性電極4aの突出部4a2と平面視で重なる突出部5a2とを有している。従って、容量素子55は、半導体層1aと重なるように第2方向Xに延在する第1素子部551と、データ線6aと重なるように第1方向Yに延在する第2素子部552とを有する。また、容量電極5aは、遮光性電極4aと同様、半導体層1aのうち、データ線6aと重なる端部と平面視で重ならないように切り欠き4a3が形成されている。また、容量電極5aの本体部分5a1の第2方向Xの他方側X2の端部には、遮光性電極4aの本体部分4a1の端部と重ならないように切り欠き5a4が形成されている。
【0028】
再び図5図6および図7において、層間絶縁膜43の上層側には層間絶縁膜44、45が形成されている。層間絶縁膜43と層間絶縁膜44の層間にはデータ線6a、および中継電極6b、6cが設けられている。データ線6a、および中継電極6b、6cは同一の導電膜からなる。データ線6a、および中継電極6b、6cはいずれも、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。例えば、データ線6a、および中継電極6b、6cは、チタン層/窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造や、窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造からなる。
【0029】
層間絶縁膜42、43にはコンタクトホール43aが設けられており、データ線6aは、コンタクトホール43aを介してデータ線側ソース・ドレイン領域1tに電気的に接続されている。コンタクトホール43aは、図8を参照して説明した遮光性電極4aの切り欠き4a3、および容量電極5aの切り欠き5a3に相当する部分に形成される。従って、コンタクトホール43aと容量素子55とを離間させることができる。層間絶縁膜43にはコンタクトホール43bが設けられており、中継電極6bは、コンタクトホール43bを介して遮光性電極4aに電気的に接続されている。コンタクトホール43bは、図8を参照して説明した容量電極5aの切り欠き5a4に相当する部分に形成される。層間絶縁膜43にはコンタクトホール43cが設けられており、中継電極6cは、コンタクトホール43cを介して容量電極5aに電気的に接続されている。
【0030】
層間絶縁膜44と層間絶縁膜45の層間には容量線7a、および中継電極7bが設けられている。容量線7a、および中継電極7bは同一の導電膜からなる。容量線7a、および中継電極7bはいずれも、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の遮光性の導電膜からなる。例えば、容量線7a、および中継電極7bは、チタン層/窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造や、窒化チタン層/アルミニウム層/窒化チタン層の多層構造からなる。
【0031】
層間絶縁膜44にはコンタクトホール44cが設けられており、容量線7aは、コンタクトホール44cを介して中継電極6cに電気的に接続されている。従って、容量線7aは、中継電極6cを介して容量電極5aに電気的に接続されており、容量電極5aには、容量線7aから共通電位が印加される。層間絶縁膜44にはコンタクトホール44bが設けられており、中継電極7bは、コンタクトホール44bを介して中継電極6bに電気的に接続されている。
【0032】
層間絶縁膜45には、コンタクトホール45aが設けられており、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して中継電極7bに電気的に接続されている。従って、画素電極9aは、中継電極7b、6bを介して遮光性電極4aに電気的に接続されている。ここで、遮光性電極4aは、コンタクトホール42aを介して画素電極側ソース・ドレイン領域1eに電気的に接続していることから、画素電極9aは、遮光性電極4aを介して画素電極側ソース・ドレイン領域1eに電気的に接続されている。
【0033】
4.ゲート電極8a周辺の構成
図11は、図8に示すゲート電極8a等の平面図である。なお、図11では、ポリシリコン層81aに右下がりの斜線を付し、遮光層82aに右上がりの斜線を付してある。従って、右下がりの斜線、および右上がりの斜線が付された領域は、ポリシリコン層81aと遮光層82aとが積層されていることを示す。
【0034】
図6図8および図11に示すように、層間絶縁膜41には、半導体層1aの両側で第2方向Xに沿って延在するコンタクトホール41a、41bが形成されており、コンタクトホール41a、41bは各々、ゲート電極8aおよび走査線3aの双方と平面視で重なっている。従って、ゲート電極8aの一部は、コンタクトホール41a、41bの内部に配置され、遮光壁を構成している。また、ゲート電極8aは、コンタクトホール41a、41bを介して走査線3aに電気的に接続されている。従って、ゲート電極8aは。走査線3aに電気的に接続されているので、走査線3aから走査信号が印加される。
【0035】
ここで、コンタクトホール41a、41bは、少なくとも、低濃度領域1fに沿って設けられている。本形態において、コンタクトホール41a、41bは、少なくとも、低濃度領域1uの両側からチャネル領域1cの両側を通って、低濃度領域1fの両側まで延在している。
【0036】
本形態において、ゲート電極8aは、半導体層1aと交差するように第1方向Yに延在した導電性のポリシリコン層81aと、ポリシリコン層81aを覆う遮光層82aとの積層膜によって構成されている。遮光層82aは、ポリシリコン層81aより遮光性が高い材料からなる。例えば、遮光層82aは、タングステンシリサイド等の遮光膜からなる。
【0037】
遮光層82aは、ポリシリコン層81aより広い範囲にわたって形成されており、ポリシリコン層81aの全体を覆っている。従って、ゲート電極8aにおいてポリシリコン層81aが形成されている領域では、ポリシリコン層81aと遮光層82aの2層構造になっており、ゲート電極8aにおいてポリシリコン層81aが形成されていない領域では、遮光層82aの単層構造になっている。例えば、ゲート電極8aにおいて、コンタクトホール41a、41bの内部にはポリシリコン層81aが形成されておらず、遮光層82aの単層構造になっている。従って、遮光層82aは、コンタクトホール41a、41bの内壁全体に沿って設けられている。これに対して、ゲート電極8aにおいて第1方向Yに延在する第1電極部8a0のうち、コンタクトホール41a、41bの外側の部分では、ポリシリコン層81aと遮光層82aとの2層構造になっている。なお、コンタクトホール41a、41bの延在方向の両側の部分は、遮光層82aの単層構造になっている。
【0038】
5.遮光性電極4aによる遮光構造
図5および図9に示すように、第1基板10において、画素電極9aとトランジスター30との間に設けられた遮光性電極4aは、低濃度領域1fおよび画素電極側ソース・ドレイン領域1eと平面視で重なっており、遮光性電極4aは、トランジスター30と遮光性電極4aとの間に配置された層間絶縁膜42のコンタクトホール42aを介して画素電極側ソース・ドレイン領域1eと電気的に接続されている。
【0039】
ここで、層間絶縁膜42は、ゲート電極8aと平面視で重なる領域を含む広い範囲にわたって、第1絶縁膜421と、第1絶縁膜421の画素電極9a側の面に積層された第2絶縁膜422とを備えた2層構造になっており、第2絶縁膜422は、第1絶縁膜421と遮光性電極4aとの間に配置されている。
【0040】
第1絶縁膜421には、低濃度領域1fと平面視で重なる部分に半導体層1aに向けて凹んだ凹部420が設けられている。凹部420は、低濃度領域1fのうち、チャネル領域1cから所定の距離を隔てた位置からコンタクトホール42aと重なる領域まで設けられている。従って、コンタクトホール42aは、凹部420の底部と重なっている。また、低濃度領域1fのうち、チャネル領域1cと隣接する隣接領域1gには凹部420が形成されていない。それ故、第1絶縁膜421は、ゲート電極8aの低濃度領域1fの側の側面を覆う側壁部421aを備えており、側壁部421aは、隣接領域1gの第2方向Xにおける幅寸法に相当する膜厚を有している。
【0041】
第2絶縁膜422は、第1絶縁膜421より膜厚が薄く、凹部420の底部、および凹部420の側面を含む広い範囲にわたって一定または略一定の膜厚で形成されている。但し、コンタクトホール42aに相当する部分では、第2絶縁膜422が除去されている。
【0042】
本形態において、凹部420は、少なくともゲート絶縁膜2まで到達する深さに設けられている。特に本形態では、凹部420は、低濃度領域1fまで到達する深さに設けられている。このため、凹部420の底部には、ゲート絶縁膜2が存在しない。従って、層間絶縁膜42のうち、凹部420の底部で低濃度領域1fと平面視で重なる部分は第2絶縁膜422の単層構造であり、ゲート電極8aと平面視で重なる部分は、分厚い第1絶縁膜421と、第2絶縁膜422との2層構造である。それ故、層間絶縁膜42は、低濃度領域1fと平面視で重なる部分の膜厚がゲート電極8aと面視で重なる部分の膜厚より薄い。
【0043】
また、層間絶縁膜42において、ゲート電極8aの低濃度領域1fの側の側面を覆う部分は、第1絶縁膜421の薄い側壁部421aと、第2絶縁膜422との2層構造である。それ故、層間絶縁膜42において、ゲート電極8aの低濃度領域1fの側の側面を覆う部分は、ゲート電極8aと平面視で重なる部分の膜厚より薄い。
【0044】
また、凹部420は、半導体層1aより第1方向Yにおける幅が広い。しかも、凹部420は、半導体層1aまで到達している。このため、図7に示すように、遮光性電極4aの一部は、低濃度領域1fの幅方向の両側で低濃度領域1fの画素電極9a側の面より画素電極9aとは反対側に位置する。従って、遮光性電極4aは、低濃度領域1fを幅方向の両側から覆っている。
【0045】
本形態において、第1絶縁膜421は、一般的な化学気相成長法(CVD:chemical Vapor Deposition)で形成された酸化シリコンである。第2絶縁膜422は、原子層堆積法(ALD:Atomic layer deposition)で形成された酸化シリコンの原子層堆積膜であり、結晶が下地面に対して略鉛直方向に配置されている。原子層堆積法によれば、原子層レベルで膜厚と材質のコントロールができるので、極めて薄く緻密な成膜が可能である。それ故、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの間に薄い第2絶縁膜422のみが介在する構造を容易に実現できるとともに、第2絶縁膜422の膜厚が薄くても、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの間に十分な耐電圧を確保することができる。
【0046】
6.電気光学装置100の製造方法
図12は、図1に示す電気光学装置100の製造方法を示す説明図であり、層間絶縁膜42を形成する工程の説明図である。図5および図7に示す層間絶縁膜42を形成するにあたっては、ゲート電極8aを形成した後、図12に示す工程ST1において、CVD法により、酸化シリコンからなる第1絶縁膜421を形成する。
【0047】
次に、図12に示す工程ST2において、エッチングマスク(図示せず)を形成した状態でエッチングを行い、低濃度領域1fおよび画素電極側ソース・ドレイン領域1eと平面視で重なる領域に凹部420を形成する。その際、低濃度領域1fおよび画素電極側ソース・ドレイン領域1eと平面視で重なるゲート絶縁膜2も除去し、凹部420の底部で低濃度領域1fおよび画素電極側ソース・ドレイン領域1eを露出させる。
【0048】
次に、図12に示す工程ST3において、原子層堆積法により、酸化シリコンからなる第2絶縁膜422を形成する。
【0049】
次に、図12に示す工程ST4において、エッチングマスク(図示せず)を形成した状態でエッチングを行い、画素電極側ソース・ドレイン領域1eの一部と平面視で重なる領域から第2絶縁膜422を除去し、コンタクトホール42aを形成する。このようにして、層間絶縁膜42を形成する。
【0050】
次に、図5および図7に示すように、ドレイン電極および容量電極としての遮光性電極4aを形成する。
【0051】
7.本形態の主な効果
以上説明したように、本形態では、トランジスター30の半導体層1aと遮光性電極4aとの間の層間絶縁膜42は、低濃度領域1fと平面視で重なる部分に半導体層1aに向けて凹んだ凹部420が設けられた第1絶縁膜421と、第1絶縁膜421と遮光性電極4aとの間に設けられた第2絶縁膜422とを有している。このため、層間絶縁膜42は、低濃度領域1fと平面視で重なる部分の膜厚がゲート電極8aと平面視で重なる部分の膜厚より薄い。従って、遮光性電極4aは、ゲート電極8aを低濃度領域1fの側から覆うとともに、低濃度領域1fと近接しているので、低濃度領域1fへの光の入射を適正に抑制することができる。それ故、トランジスター30に光電流が発生しにくい。また、第1絶縁膜421の凹部420の内部に第2絶縁膜4を設けるため、凹部420を深く形成した場合でも、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの絶縁を確実に確保することができる。それ故、トランジスター30の特性に影響を及ぼさずに低濃度領域1fと遮光性電極4aとを接近させた構造を容易に実現することができる。
【0052】
特に本形態のように、凹部420を低濃度領域1fまで到達する深さまで形成した場合には、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの間にゲート絶縁膜2が存在しないが、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの間に第2絶縁膜422が存在する。このため、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの絶縁を確保することができる。
【0053】
また、本形態では、第2絶縁膜422を原子層堆積法により形成したため、第2絶縁膜422の厚さを制御しやすい。従って、第2絶縁膜422の膜厚によって、遮光性電極4aと低濃度領域1fとの耐電圧、および遮光性電極4aと低濃度領域1fとの間隔を適正に制御することができる。ここで、原子層堆積法は、一般的なCVD法より成膜速度が低いが、第2絶縁膜422は、第1絶縁膜421より膜厚が薄いので、生産性が著しくする低下するという事態が発生しない。
【0054】
また、凹部420は、半導体層1aより第1方向Yにおける幅が広く、半導体層1aに到達する深さに形成されている。このため、図7に示すように、遮光性電極4aは、低濃度領域1fの幅方向の両側から覆うので、第1方向Yから低濃度領域1fに向かう光を効果的に遮ることができる。
【0055】
また、第2基板20の側から入射した光は、半導体層1aに対して第2基板20の側に設けられたデータ線6aや容量線7a等の配線や、容量素子55によっても遮られるため、低濃度領域1fへの入射が抑制される。また、第1基板10の側から出射した光が再び、第1基板10の側から入射した場合でも、半導体層1aに対して基板本体19の側に設けられた走査線3aによって遮られるため、半導体層1aへの入射が抑制される。さらに、半導体層1aに交差する第1方向Yに進行する光は、ゲート電極8aと走査線3aとを電気的に接続するコンタクトホール41a、41bの内部のゲート電極8aによって遮られるため、半導体層1aへの入射が抑制される。
【0056】
また、容量素子55は、半導体層1aと重なるように第2方向Xに延在する第1素子部551と、データ線6aと重なるように第1方向Yに延在する第2素子部552とを有するため、広い範囲にわたって半導体層1aへの光に入射を抑制しているとともに、静電容量が大きい。
【0057】
[実施形態2]
図13は、本発明の実施形態2に係る電気光学装置の説明図であり、図5に示すA-A′断面図に対応する。なお、本形態、および後述する実施形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0058】
実施形態1では、凹部420が半導体層1aに到達する深さに設けられていたが、本形態では、図13に示すように、凹部420は、ゲート絶縁膜2に到達しているが、半導体層1aに到達していない。より具体的には、凹部420がゲート絶縁膜2の厚さ方向の途中位置に到達している。例えば、凹部420は、第2ゲート絶縁膜2bを貫通し、第1ゲート絶縁膜2aに到達している。かかる構造でも、実施形態1と同様、層間絶縁膜42は、低濃度領域1fと平面視で重なる部分の膜厚がゲート電極8aと平面視で重なる部分の膜厚より薄い。従って、遮光性電極4aは、ゲート電極8aを低濃度領域1fの側から覆うとともに、低濃度領域1fと近接しているので、低濃度領域1fへの光の入射を適正に抑制することができる等、実施形態1と同様な効果を奏する。
【0059】
[実施形態3]
図14は、本発明の実施形態3に係る電気光学装置の説明図であり、図5に示すA-A′断面図に対応する。実施形態1では、凹部420がゲート電極8aに対して画素電極側ソース・ドレイン領域1eの側に設けられていたが、本形態では、図14に示すように、凹部420がゲート電極8aに対して画素電極側ソース・ドレイン領域1eの側、およびデータ線側ソース・ドレイン領域1tの双方に設けられている。このため、遮光性電極4aは、ゲート電極8aを低濃度領域1f、1uの双方から覆うとともに、低濃度領域1f、1uと近接している。このため、データ線6aの側から低濃度領域1fに向けて進行する光を遮光性電極4aによって遮ることができる。
【0060】
[他の実施形態]
上記実施形態では、凹部420がゲート絶縁膜2の厚さ方向の途中位置や半導体層1aに到達している例を説明したが、ゲート絶縁膜2の半導体層1aとは反対側の面に凹部420が到達している構造であってもよい。また、凹部420がゲート絶縁膜2に到達しておらず、凹部420の底部に第1絶縁膜421が残っている構造であってもよい。
【0061】
上記実施形態では、半導体層1aが走査線3aに沿って第2方向Xに延在していたが、半導体層1aがデータ線6aに沿って第1方向Yに延在している電気光学装置100や、半導体層1aがデータ線6aおよび走査線3aに沿うように屈曲している電気光学装置100に本発明を適用してもよい。
【0062】
上記実施形態では、VAモードの電気光学装置に本発明を適用したが、TNモード、IPSモード、FFSモード、OCBモードの電気光学装置に本発明を適用してもよい。上記の実施形態では、電気光学装置の一例として液晶装置について説明したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。また、有機EL(Electro Luminescence)、無機ELまたは発光ポリマー等の発光素子を用いた電気光学装置に本発明を適用してもよい。また、着色された液体と、当該液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを用いた電気泳動表示パネルに対して本発明を適用してもよい。
【0063】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を用いた電子機器について説明する。図15は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図である。図15には、偏光板等の光学素子の図示を省略してある。図15に示す投射型表示装置2100は、電気光学装置100を用いた電子機器の一例である。投射型表示装置2100において、電気光学装置100がライトバルブとして用いられ、装置を大きくすることなく高精細で明るい表示が可能である。この図に示されるように、投射型表示装置2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット等からなる光源部2102が設けられている。光源部2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれ、変調される。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0064】
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に反射し、G色の光は透過する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射光学系2114によってカラー画像が投射される。
【0065】
[他の投射型表示装置]
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0066】
[他の電子機器]
本発明を適用した電気光学装置100を備えた電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置2100に限定されない。例えば、投射型のヘッドアップディスプレイ、直視型のヘッドマウントディスプレイ、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1a…半導体層、1c…チャネル領域、1d…第2領域、1e…画素電極側ソース・ドレイン領域、1f、1u…低濃度領域、1g…隣接領域、1s…第1領域、1t…データ線側ソース・ドレイン領域、2…ゲート絶縁膜、2a…第1ゲート絶縁膜、2b…第2ゲート絶縁膜、3a…走査線、4a…遮光性電極、5a…容量電極、6a…データ線、7a…容量線、8a…ゲート電極、9a…画素電極、10…第1基板、10a…表示領域、11…開口領域、12…遮光領域、19、29…基板本体、20…第2基板、21…共通電極、30…トランジスター、40…誘電体層、42…層間絶縁膜、42a…コンタクトホール、55…容量素子、80…電気光学層、81a…ポリシリコン層、82a…遮光層、100…電気光学装置、100B、100G、100R…ライトバルブ、420…凹部、421…第1絶縁膜、421a…側壁部、422…第2絶縁膜、2100…投射型表示装置、2102…光源部、2114…投射光学系、X…第2方向、Y…第1方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15