(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バス車内案内端末、バス車内案内方法、およびバス車内案内プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G08G1/127 A
(21)【出願番号】P 2020037600
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 卓典
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/027618(WO,A1)
【文献】特開2006-276940(JP,A)
【文献】特開2008-065759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスの車内に設けられるバス車内案内端末であって、
乗客の目的地を取得する目的地取得部と、
前記バスが、前記目的地取得部で取得した目的地に対応する第1バス停留所と、この第1バス停留
所の1つ手前の第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行していると判定されたとき、降車案内を行う案内部と、を備え
、
前記目的地取得部は、乗客の目的地を記憶した媒体との無線通信により、当該乗客の目的地を取得し、
前記媒体は、前記バスの利用にかかる運賃の精算に用いられるICカードである、
バス車内案内端末。
【請求項2】
前記バスの車載装置から受信した当該バスの走行位置から、前記バスの現在の走行地点を取得する走行地点取得部を備え、
前記判定部は、前記走行地点取得部で取得された前記バスの現在の走行地点に基づき、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する、請求項1に記載のバス車内案内端末。
【請求項3】
前記案内部は、前記降車案内を、乗客が視認できる形態で行う、請求項1
、または2に記載のバス車内案内端末。
【請求項4】
前記第1バス停留所は、前記目的地取得部が最後に取得した目的地に対応するバス停留所である、請求項1~
3のいずれかに記載のバス車内案内端末。
【請求項5】
前記判定部によって、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行していると判定されたとき、前記第1バス停留所で、降車する乗客がいる旨の車内アナウンスの要求を行うアナウンス要求部を備えた、請求項1~
4のいずれかに記載のバス車内案内端末。
【請求項6】
前記アナウンス要求部は、前記目的地取得部が取得した、前記第1バス停留所で降車する乗客の目的地を含むメッセージの車内アナウンスを要求する、請求項
5に記載のバス車内案内端末。
【請求項7】
バスの車内に設けられるバス車内案内端末のコンピュータが、
目的地取得部において、乗客の目的地を取得する目的地取得ステップと、
前記バスが、前記目的地取得部で取得した目的地に対応する第1バス停留所と、この第1バス停留
所の1つ手前の第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行していると判定したとき、降車案内を行う案内ステップと、
を実行し、
前記目的地取得ステップは、乗客の目的地を記憶した媒体との無線通信により、当該乗客の目的地を取得するステップであり、
前記媒体は、前記バスの利用にかかる運賃の精算に用いられるICカードである、
バス車内案内方法。
【請求項8】
バスの車内に設けられるバス車内案内端末のコンピュータに、
目的地取得部において、乗客の目的地を取得する目的地取得ステップと、
前記バスが、前記目的地取得部で取得した目的地に対応する第1バス停留所と、この第1バス停留
所の1つ手前の第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行していると判定したとき、降車案内を行う案内ステップと、
を実行させ、
前記目的地取得ステップは、乗客の目的地を記憶した媒体との無線通信により、当該乗客の目的地を取得するステップであり、
前記媒体は、前記バスの利用にかかる運賃の精算に用いられるICカードである、
バス車内案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バスを利用して目的地へ移動しているユーザに対して、降車の案内を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種交通機関(列車、バス等)を利用して、目的地へ移動しているユーザに対して、移動経路を案内する技術の1つとして特許文献1に記載されたものがあった。
【0003】
特許文献1では、携帯端末が、ユーザによって入力された、目的地を含む経路設定条件を情報センタに送信する。情報センタは、各種交通機関の運行経路、発着時刻、運行状況、利用料金等を含む交通機関情報を参照して、経路設定条件にマッチする目的地への案内経路(移動経路)を計算し、得られた案内経路を候補として携帯端末に送信する。携帯端末は、ユーザが、情報センタから受信した案内経路の候補を了承すると、その案内経路でユーザを目的地に案内する案内表示を行う。
【0004】
このように、特許文献1は、ユーザが携帯している携帯端末を用いて、そのユーザを目的地へ案内する構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バスの運転手は、乗降客のいないバス停留所(以下、単にバス停と言う。)では、バスを停車させることなく通過させている。乗客は、バスの車内に設けられている降車ボタンを押すことによって、次のバス停で降車することを運転手に伝える。また、運転手は、バス停でバスを待っている人がいなければ、このバス停で乗車する人がいないと判断する。
【0007】
目的地への案内を希望するユーザの多くは、その地域に不慣れな人(例えば、観光目的の旅行者)である。バスに乗車する前に、いくつ目のバス停で降車するかを確認しておき、バスが停車したバス停を数えるユーザもいる。しかし、上記したように、バスが乗降客のいないバス停を停車することなく通過するので、降車すべきバス停を乗り越してしまうユーザがある程度の頻度で発生している。
【0008】
特許文献1は、ユーザをバスに乗車させるための案内については行えるが、ユーザをバスから降車させるための案内を行うものではなかった。
【0009】
この発明の目的は、バスを利用して目的地へ移動しているユーザが降車すべきバス停を乗り越してしまうのを防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のバス車内案内端末は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0011】
バス車内案内端末は、バスの車内に設けられる。目的地取得部が、乗客であるユーザの目的地を取得する。判定部は、バスが、目的地取得部で取得した目的地に対応する第1バス停留所と、この第1バス停留所の1つ手前の第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する。第1バス停留所は、目的地を取得したユーザがバスを降車するバス停留所である。例えば、第1バス停留所は、目的地の最寄りのバス停留所である場合もあれば、目的地への移動において他の公共交通機関(列車、バス等)に乗り換えるバス停留所である場合もある。判定部によって、バスが第1バス停留所と、第2バス停留所との間を走行していると判定されたとき、案内部が降車案内を行う。
【0012】
この構成では、ユーザに対して、次にバスが停車するバス停留所が、降車するバス停留所であることを知らせることができる。これにより、バスを利用して目的地へ移動しているユーザが降車すべきバス停留所を乗り越してしまうのを防止できる。
【0013】
また、例えば、バスの現在の走行地点を取得する走行地点取得部を備え、判定部を、走行地点取得部で取得されたバスの走行地点に基づき、バスが第1バス停留所と、第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する構成にしてもよい。走行地点取得部は、例えば、バスの車載装置から、バスの走行地点を取得すればよい。例えば、車載装置がGPS(Global Positioning System)センサを有する構成であれば、走行地点取得部は、車載装置からGPSセンサによって測位されたバスの位置(走行地点)を取得する構成にすればよい。また、車載装置が道路網に設置されたビーコンと通信する通信部を有する構成であれば、走行地点取得部は、道路網に設置された各ビーコンとの通信時刻の履歴を取得する構成にすればよい。走行地点取得部は、これら以外の手法でバスの走行地点を取得する構成であってもよい。
【0014】
このように構成すれば、ユーザである乗客に対して、案内部において適正なタイミングで降車案内が行える。
【0015】
また、例えば、目的地取得部は、乗客の目的地を記憶した媒体との無線通信により、当該乗客の目的地を取得する構成にしてもよい。この場合、媒体は、バスの利用にかかる運賃の精算に用いられるICカード(所謂、SFカード(Stored Fare Card))にするのが好ましい。このように構成すれば、ユーザである乗客は、目的地を記憶させた媒体、および運賃の精算に使用する媒体の2つの媒体を携帯し、使い分けなくてもよい。したがって、ユーザの利便性を向上できる。
【0016】
また、例えば、案内部は、降車案内を、乗客が視認できる形態で行えばよい。
【0017】
また、例えば、第1バス停留所は、目的地取得部が最後に取得した目的地に対応するバス停留所にすればよい。このように構成すれば、目的地を取得した乗客に対して、他人の目的地に応じたバス停留所で、降車するように案内するのを防止できる。
【0018】
また、例えば、判定部によって、バスが第1バス停留所と、第2バス停留所との間を走行していると判定されたとき、第1バス停留所で、降車する乗客がいる旨の車内アナウンスの要求を行うアナウンス要求部を備えてもよい。この場合、アナウンス要求部は、目的地取得部が取得した、第1バス停留所で降車する乗客の目的地を含むメッセージの車内アナウンスを要求するのが好ましい。
【0019】
このように構成すれば、たとえ、ユーザがバスの車内で移動していて、バス車内案内端末の案内部で行われている降車案内に気づかない状況であっても、車内アナウンスによって、次に停車するバス停が降車するバス停であることをユーザに知らせることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、バスを利用して目的地へ移動しているユーザが降車すべきバス停を乗り越してしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この例にかかる車内案内端末がバスのつり革に取り付けられた状態を示す図である。
【
図2】この例の車内案内端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図3】この例の車内案内端末の動作を示すフローチャートである。
【
図4】変形例1の車内案内端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図5】変形例1の車内案内端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
<1.適用例>
図1は、この例にかかる車内案内端末がバスのつり革に取り付けられた状態を示す図である。この例の車内案内端末は、バスの車内に複数取り付けられている。
図1では、つり革に取り付けられている車内案内端末1を例示しているが、例えば座席に座っている人が利用できるように、座席のひじ掛け、前席の背もたれの裏面等に取り付けられていてもよい。
【0024】
この例の車内案内端末1は、表面にLED10が取り付けられている。車内案内端末1は、LED10を点滅、または点灯させることにより、ユーザである乗客に、次に停車するバス停留所(以下、単にバス停と言う。)が、降車するバス停であることを案内する。
【0025】
ユーザは、バスに乗車すると、目的地を記憶させたICカード50を車内案内端末1の読取領域に翳す。車内案内端末1は、読取領域に翳されたICカード50に記憶されている目的地を、このICカード50との無線通信で読み取る。これにより、車内案内端末1は、読取領域にICカード50を翳したユーザの目的地を取得する。また、このICカード50は、この例では、バスを降車するときに運賃の精算に使用できるSFカード(Stored Fare Card)である。
【0026】
なお、この例では、ICカード50が、ユーザの目的地を記憶している媒体であるとして説明するが、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末がユーザの目的地を記憶している媒体であってもよい。また、ICカード50は、バスを降車するときに運賃の精算に使用できない媒体であってもよい。
【0027】
車内案内端末1は、バスが取得したユーザの目的地に対応するバス停の1つ手前のバス停(この発明で言う、第2バス停留所に相当する。)を通過し、ユーザの目的地に対応するバス停(この発明で言う、第1バス停留所に相当する。)に到着する前に、LED10を点灯(または点滅)させて、ユーザに次のバス停が降車するバス停であることを通知する。このように、車内案内端末1は、バスがユーザの目的地に対応するバス停と、ユーザの目的地に対応するバス停の1つ手前のバス停との間を走行しているときに、LED10を点灯させる。
【0028】
なお、ユーザの目的地に対応するバス停は、目的地の最寄りのバス停である場合もあれば、目的地への移動において他の公共交通機関(列車、バス等)に乗り換えるバス停である場合もある。
【0029】
ユーザは、LED10が点灯したことにより、次のバス停が降車するバス停であると認識し、バスの車内に設けられている降車ボタンを操作して、バスの運転手に、次のバス停で降車することを知らせる。したがって、ユーザは、不慣れな地域であっても、バスで目的地へ向かって移動しているときに、降車すべきバス停で降車できる。すなわち、この例の車内案内端末1は、バスを利用して目的地へ移動しているユーザが降車すべきバス停留所を乗り越してしまうのを防止できる。
【0030】
<2.構成例>
図2は、この例の車内案内端末の主要部の構成を示すブロック図である。車内案内端末1は、制御ユニット2と、点灯回路3と、車内通信部4と、カード処理部5と、地点データベース6(地点DB6)と、路線データベース7(路線DB7)と、を備えている。バスの車内には、複数の車内案内端末1が設けられている。車内案内端末1は、他の車内案内端末1の状態に影響されることなく、独立して動作する。
【0031】
制御ユニット2は、車内案内端末1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット2は、走行地点取得部11、判定部12、点灯制御部13、および目的地記憶部14を有している。制御ユニット2が有する走行地点取得部11、判定部12、点灯制御部13、および目的地記憶部14については、後述する。
【0032】
点灯回路3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、LED10を点灯させる回路である。
【0033】
車内通信部4は、バスの車載装置(不図示)との無線通信を制御する。この例では、バスの車載装置は、GPSセンサを備え、このGPSセンサで測位したバスの位置(バスの走行位置)を、一定時間間隔(例えば、10~30秒間隔)で繰り返し、車内の車内案内端末1に配信する。車内通信部4は、バスの車載装置から配信されたバスの位置を受信する。
【0034】
なお、バスの車載装置は、道路網に設置されたビーコンと通信する通信部を有する構成であってもよい。この場合、車載装置は、道路網に設置された各ビーコンとの通信時刻の履歴に基づき、バスの走行地点を取得できる。具体的には、バスの走行ルートに並んでいる隣接する2つのビーコンの間(最後の通信したビーコンと、次に通信するビーコンとの間)を、バスの走行地点として取得できる(特定の地点を取得するわけではなく、最後の通信したビーコンが設置されている地点を通過したことを検出する。)。バスの車載装置は、ビーコンと通信したときに、そのビーコンが設置されている地点を車内の車内案内端末1に配信する。
【0035】
カード処理部5は、読取領域に翳されたICカード50との近距離無線通信により、このICカード50に記録されている情報の読み取りを行う。ICカード50は、ユーザの目的地を記憶している。ICカード50に対する目的地の書き込みは、例えば駅、バス停等に設置されている券売機、チャージ機で行える。例えば、ユーザは、券売機やチャージ機で、自分の目的地を入力することによって、その目的地をICカード50に書き込ませることができる。目的地は、バス停であってもよいし、観光地であってもよいし、施設(ホテル、テーマパーク等)であってもよい。カード処理部5が、この発明で言う目的地取得部に相当する。
【0036】
地点DB6は、観光地等の地点毎に、最寄りの駅やバス停を対応付けて登録したデータベースである。また、路線DB7は、列車、バス等の公共交通機関の路線網を登録したデータベースである。路線DB7は、駅、バス停等の位置(緯度、経度)を示す地図情報も記憶している。
【0037】
次に、制御ユニット2が有する走行地点取得部11、判定部12、点灯制御部13、および目的地記憶部14について説明する。
【0038】
目的地記憶部14は、カード処理部5でICカード50から読み取ったユーザの目的地に対応するバス停を記憶する。
【0039】
走行地点取得部11は、車内通信部4で、バスの車載装置から一定時間間隔で受信しているバスの位置を、バスの現在の走行位置として取得する。
【0040】
判定部12は、路線DB7を参照して、バスの現在の走行位置が、目的地記憶部14に記憶しているバス停(ユーザが降車するバス停)と、その1つ手前のバス停との間であるかどうかを判定する。
【0041】
点灯制御部13は、点灯回路3を制御して、LED10を点灯させる。点灯制御部13が、この発明で言う案内部に相当する。
【0042】
車内案内端末1の制御ユニット2は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかるバス車内案内プログラムを実行したときに、走行地点取得部11、判定部12、および点灯制御部13として動作する。また、メモリは、この発明にかかる案内プログラムを展開する領域や、この案内プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。メモリには、目的地記憶部14として使用する領域も設けられている。制御ユニット2は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかるバス車内案内方法を実行するコンピュータである。
【0043】
<3.動作例>
次に、この例にかかる車内案内端末1の動作について説明する。
図3は、車内案内端末の動作を示すフローチャートである。車内案内端末1は、カード処理部5においてICカード50を受け付けるか(s1)、車内通信部4でバスの車載装置からバスの位置を受信するのを待っている(s2)。カード処理部5は、設定時間間隔でポーリングを行い、ICカード50からの応答があったときに、ICカード50を受け付けたと判定する。ユーザが、ICカード50を読取領域に翳すと、このICカード50がカード処理部5のポーリングに応答する。また、バスの車載装置は、一定時間間隔で、バスの位置を配信している。
【0044】
カード処理部5は、ICカード50を受け付けると、このICカード50の所定の記憶領域に記録されている目的地を読み取り、これを制御ユニット2に出力する(s2)。制御ユニット2は、読み取った目的地に対応するバス停を特定し、目的地記憶部14に記憶し(s3)、s1に戻る。s3では、地点DB6、および路線DB7を参照し、s2で読み取った目的地の最寄りのバス停、または目的地への移動において他の公共交通機関(列車、バス等)に乗り換えるバス停を特定する。また、s3では、目的地記憶部14に記憶しているバス停を、今回特定したバス停に書き換える(すなわち、直前まで目的地記憶部14に記憶し記憶していたバス停を削除する。)。s3で特定されたバス停が、今回ICカード50をカード処理部5の読取領域に翳したユーザが降車するバス停である。
【0045】
また、車内案内端末1は、車内通信部4において、バスの車載装置から配信されてきたバスの位置を受信すると、判定部12が、今回受信したバスの位置が目的地記憶部14に記憶しているバス停と、1つ手前のバス停との間であるかどうかを判定する(s5)。s5では、判定部12は、バスが、目的地記憶部14に記憶しているバス停の1つ手前のバス停を通過したかどうかを判定している。判定部12は、路線DB7を参照して、s5にかかる判定を行う。車内案内端末1は、判定部12が、s5で、今回受信したバスの位置が目的地記憶部14に記憶しているバス停と、1つ手前のバス停との間でないと判定すると、s1に戻る。
【0046】
また、車内案内端末1は、判定部12が、s5で、今回受信したバスの位置が目的地記憶部14に記憶しているバス停と、1つ手前のバス停との間であると判定すると、点灯制御部13が点灯回路3に対して、LED10の点灯を指示する(s6)。これにより、LED10が点灯する。
【0047】
ユーザは、LED10が点灯したことで、次のバス停が、自分が降車するバス停である、と認識し、バスに設けられている降車ボタンを押す(なお、ユーザは、先に他の人が降車ボタンを押していれば、降車ボタンを押さなくてもよい。)。これにより、次のバス停で降車する人(乗客)がいることが、バスの運転手に伝達される。バスの運転手は、次のバス停でバスを待っている人がいなくても、バスを停車させる。
【0048】
車内案内端末1は、バスが目的地記憶部14に記憶しているバス停に到達すると、点灯制御部13が点灯回路3に対して、LED10を消灯させることを指示し(s7、s8)、s1に戻る。
【0049】
このように、この例の車内案内端末1は、LED10を点灯させることにより、ユーザに降車するバス停を知らせることができる。また、この車内案内端末1は、s1、s3、およびs4の処理を繰り返しているので、車内の混雑状況によって、ユーザが車内で移動しても、移動したときに、移動した場所の近辺に取り付けられている車内案内端末1(カード処理部5)の読取領域にICカード50を翳すことによって、降車するバス停の案内が適正に受けられる。また、先に他人がICカード50を翳していても、その他人が降車するバス停が誤って、後からICカード50を読取領域に翳したユーザに案内することもない。
【0050】
したがって、この例の車内案内端末1は、バスを利用して目的地へ移動しているユーザが降車すべきバス停を乗り越してしまうのを防止できる。
【0051】
また、この例では、ICカード50は、バスの運賃の精算に使用できるSFカードである。したがって、ユーザである乗客は、目的地を記憶させた媒体(ICカード)、および運賃の精算に使用する媒体の2つの媒体(SFカード)を携帯し、使い分けなくてもよいので、ユーザの利便性を向上できる。
【0052】
なお、上記の説明では、s6で点灯させたLED10を、ユーザが降車するバス停に到着するまで点灯させつづけるとしたが、一定時間経過したときに、消灯させる構成にしてもよい。この場合、ユーザが降車するバス停に到着した時点で、一定時間経過していなくても、LED10を消灯させるのがよい。
【0053】
<4.変形例>
・変形例1
図4は、変形例1の車内案内端末の主要部の構成を示すブロック図である。
図4では、
図2と同様の構成について同じ符号を付している。
【0054】
この変形例1の車内案内端末1Aは、制御ユニット2がアナウンス要求部15を備えている点で、上記の例と相違する。
【0055】
アナウンス要求部15は、車内通信部4を制御して、次のバス停で降車する乗客がいる旨の車内アナウンスの要求をバスの車載装置に送信する。例えば、アナウンス要求部15は、次のバス停が、目的地が「清水寺」であるユーザが降車するバス停であるとき、例えば、『「清水寺」に行かれる方は、つぎのバス停で降車してください。』というような、車内アナウンスをバスの車載装置に要求する。
【0056】
この要求に応じて、バスの車載装置が車内アナウンスを行う。
【0057】
図5は、この変形例1の車内案内端末の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、この変形例1の車内案内端末1Aは、上記した例と同様に、s5で、判定部12が、今回受信したバスの位置が目的地記憶部14に記憶しているバス停と、1つ手前のバス停との間であると判定すると、s6でLED10を点灯させた後、アナウンス要求部15が車内通信部4を制御して、次のバス停で降車する乗客がいる旨の車内アナウンスの要求をバスの車載装置に送信する(s11)。この変形例1の車内案内端末1Aは,このs11にかかる処理を行う点で、上記の例と相違する。
【0058】
また、s11にかかる処理は、s6にかかる処理の前に行ってもよい(
図5における、s6と、s11の処理の順番を入れ替えてもよい。)。
【0059】
この変形例1の車内案内端末1Aであれば、ユーザがバスの車内で移動していて、車内案内端末1AのLED10の点灯に気づかない状況であっても、車内アナウンスによって、次に停車するバス停が降車するバス停であることをユーザに知らせることができる。
【0060】
・変形例2
また、上記の例では、車内案内端末1、1AのLED10が点灯したことに気づいたユーザが、降車ボタンを押すとしたが、車内案内端末1、1Aが、LED10を点灯させる際に、車内通信部4からバスの車載装置に対して、降車ボタンが操作されたことを自動的に通知する構成にしてもよい。このように構成すれば、ユーザは、降車ボタンを操作しなくてもよい。
【0061】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、
図3、および
図5に示した動作フローは、各ステップの順番を入れ換えてもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0062】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
バスの車内に設けられるバス車内案内端末(1)であって、
乗客の目的地を取得する目的地取得部(5)と、
前記バスが、前記目的地取得部(5)で取得した目的地に対応する第1バス停留所と、この第1バス停留所の1つ手前の第2バス停留所との間を走行しているかどうかを判定する判定部(12)と、
前記判定部(12)によって、前記バスが前記第1バス停留所と、前記第2バス停留所との間を走行していると判定されたとき、降車案内を行う案内部(13)と、を備えたバス車内案内端末(1)。
【符号の説明】
【0063】
1、1A…車内案内端末
2…制御ユニット
3…点灯回路
4…車内通信部
5…カード処理部
6…地点データベース(地点DB)
7…路線データベース(路線DB)
10…LED
11…走行地点取得部
12…判定部
13…点灯制御部
14…目的地記憶部
15…アナウンス要求部
50…ICカード