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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240214BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 370
B41J29/38 301
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020038563
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021140058
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】前西 潤太
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035107(JP,A)
【文献】特開2010-162815(JP,A)
【文献】特開2005-128618(JP,A)
【文献】特開2005-219247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を制御する制御信号を生成する制御部と、
前記制御信号を送信し、前記制御信号に対する応答信号を受信する通信部とを備え、
前記制御部は、前記機器の故障を示す故障信号に基づいて前記故障を検知し、前記故障を第1、第2、第3のカテゴリーに分類し、
前記制御部は、前記故障を検知すると、前記機器を再起動し、
前記制御部は、前記故障を前記第1のカテゴリーに分類した場合、再起動後に前記機器との通信を行って前記機器が正常動作するか否か確認を行い、前記機器が正常動作しない場合には、前記機器との通信を切り離し、
前記故障を前記第2のカテゴリーに分類した場合、前記確認を行うか否かをユーザーに要求し、
前記故障を前記第3のカテゴリーに分類した場合、前記確認を行うことなく前記機器との通信を切り離し、
前記故障信号は、前記機器の故障内容を示す情報を含み、
前記制御部は、前記故障信号に基づいて、前記故障を分類する前記カテゴリーを決定し、
前記制御部は、前記故障信号が前記故障の誤検知による送信である確率を示す誤検知率と前記故障内容とを対応付けた故障テーブルを保持し、前記故障テーブルに基づいて、前記故障を分類する前記カテゴリーを決定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記誤検知率は、前記故障の状況に応じて変化する、請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置による後処理手段が、後処理手段に発生した異常により使用不可能になった場合において、異常が発生している後処理手段を切り離し、異常発生時においても使用可能な機能の使用を継続させる切り離し制御技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-035107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、故障の原因が偶発的なものである場合、正常な箇所を誤って故障個所として切り離してしまうことが考えられる。このように切り離された箇所は、例えば、サービスマンによる故障対応が完了するまで使用することができない。
【0005】
また、切り離された故障個所と通信を行い、切り離しを解除して復帰させることも考えられるが、故障個所と通信を行うことで故障がより悪化する可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、故障に応じて複数の対応を選択可能であり、故障の悪化を抑えながら使用不可能な期間を短縮することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、制御部と、通信部とを備える。前記制御部は、機器を制御する制御信号を生成する。前記通信部は、前記制御信号を送信し、前記制御信号に対する応答信号を受信する。前記制御部は、前記機器の故障を示す故障信号に基づいて前記故障を検知し、前記故障を第1、第2、第3のカテゴリーに分類する。前記制御部は、前記故障を検知すると、前記機器を再起動し、前記故障を第1のカテゴリーに分類した場合、再起動後に前記機器との通信を行って前記機器が正常動作するか否か確認を行い、前記機器が正常動作しない場合には、前記機器との通信を切り離す。前記制御部は、前記故障を第2のカテゴリーに分類した場合、前記確認を行うか否かをユーザーに要求する。前記制御部は、前記故障を第3のカテゴリーに分類した場合、前記確認を行うことなく前記機器との通信を切り離す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、故障に応じて複数の対応を選択可能であり、故障の悪化を抑えながら使用不可能な期間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置100の代表的な一部の構成の機能ブロック図である。
図3】故障テーブルを示す図である。
図4】制御部10による動作確認を示す図である。
図5】制御部10による動作確認の結果、機器の故障であった場合の処理を示す図である。
図6】制御部10による動作確認の結果、機器が正常であった場合の処理を示す図である。
図7】動作確認が選択された場合の処理を示す図である。
図8】機器の故障(カテゴリーB)であった場合の処理を示す図である。
図9】機器の故障(カテゴリーC)であった場合の処理を示す図である。
図10】本実施形態に係るカテゴリー分類プロセスを示すフローチャートである。
図11A】本実施形態に係る起動プロセスを示すフローチャートである。
図11B】本実施形態に係る起動プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。本実施形態において、画像形成装置100は、複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、本体筐体1、原稿読取装置2、給紙部3、画像形成部4、搬送機構5、シート検知センサー6、排出トレイ7、操作部8、記憶部9、及び制御部10を備える。原稿読取装置2、給紙部3、画像形成部4、搬送機構5、シート検知センサー6、記憶部9、制御部10、通信部11及び温度センサー12は、本体筐体1の内部に配置される。
【0013】
原稿読取装置2は、原稿の画像を読み取り、原稿の画像を示すデータを出力する。出力された原稿の画像を示すデータは、制御部10へ送信される。原稿読取装置2は、例えば、スキャナーである。原稿読取装置2は、コンタクトガラス21、及び読取機構22を有する。読取機構22は、コンタクトガラス21に載置された原稿の画像を読み取って、原稿の画像を示すデータを出力する。読取機構22は、光源、キャリッジ、光学系、及びCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサーを有する。
【0014】
給紙部3は、複数のシートSを収容し、収容された複数のシートSを一枚ずつ給紙する。シートSは、例えば、用紙である。
【0015】
画像形成部4は、給紙部3が給紙したシートSに画像を形成する画像形成処理を実行する。本実施形態において、画像形成部4は、露光装置41、帯電装置42、現像装置43、感光体ドラム44、転写装置45、定着装置46及び濃度センサー47を備え、電子写真方式によって、シートSに画像を形成する。露光装置41は、画像データに基づいて、感光体ドラム44に静電潜像を形成する。帯電装置42は、感光体ドラム44を所定の電位に均一に帯電させる。現像装置43は、感光体ドラム44にトナーを供給し、感光体ドラム44上に形成された静電潜像を現像する。転写装置45は、感光体ドラム44上に形成されたトナー像をシートSに転写する。定着装置46は、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させる定着処理を実行する。濃度センサー47は、シートSに定着されたトナー像の濃度を検出し、トナー像の濃度を示す濃度信号を制御部10へ送信する。
【0016】
搬送機構5は、給紙部3から画像形成部4を経由して排出トレイ7のうちのいずれか1つまでシートSを搬送する。本実施形態において、搬送機構5は、本体搬送機構51を含む。
【0017】
本体搬送機構51は、給紙部3から画像形成部4を経由して本体筐体1の外部までシートSを搬送する。本体搬送機構51は、第1分岐部材511、複数のローラー、及び複数のガイド部材を有する。第1分岐部材511、複数のローラー、及び複数のガイド部材は、本体搬送経路51Lを構成する。
【0018】
本体搬送経路51Lは、第1本体搬送経路51a、第2本体搬送経路51b、及び第3本体搬送経路51cを含む。第1本体搬送経路51aは、給紙部3から第1分岐部材511まで延在する。第2本体搬送経路51bは、第1分岐部材511から第1排出口1aまで延在する。第3本体搬送経路51cは、第1分岐部材511から第2排出口1bまで延在する。第1排出口1a及び第2排出口1bは、本体筐体1の側面に形成される。本実施形態において、第2排出口1bは、第1排出口1aよりも上方に設けられる。
【0019】
第1分岐部材511は、回動自在である。第1分岐部材511は回動することにより、第1本体搬送経路51aから搬送されたシートSの搬送先を、第2本体搬送経路51b及び第3本体搬送経路51cのいずれかに切り替える。
【0020】
シート検知センサー6は、シートSの有無を示す検知信号を出力する。検知信号は、制御部10へ送信される。シート検知センサー6は、例えば、透過型センサーである。本実施形態において、シート検知センサー6は、複数の第1検知センサー61を含む。複数の第1検知センサー61は、本体搬送経路51Lに沿って配置される。各第1検知センサー61は、第1検知信号を出力する。第1検知信号は、本体搬送機構51によってシートSが搬送される本体搬送経路51LにおけるシートSの有無を示す。
【0021】
排出トレイ7には、シートSが排出される。排出トレイ7は、本体筐体1の外部に設けられる。排出トレイ7は、複数の本体排出トレイ71を含む。本実施形態において、複数の本体排出トレイ71は、第1本体排出トレイ711、及び第2本体排出トレイ712を含む。第1本体排出トレイ711には、第1排出口1aから排出されたシートSが載置される。第2本体排出トレイ712には、第2排出口1bから排出されたシートSが載置される。本実施形態において、第1本体排出トレイ711は、胴内空間に設けられるインナートレイである。第2本体排出トレイ712は、例えば、仕分けトレイである。
【0022】
操作部8は、画像形成装置100に対するユーザーからの指示を受け付ける。操作部8は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す指示信号を出力する。指示信号は、制御部10へ送信される。
【0023】
操作部8は、タッチパネル81及び複数の操作キー82を含む。タッチパネル81は、各種画面を表示する。各種画面は、システムメニュー画面を含む。システムメニュー画面は、画像形成装置100の各部の設定を行うための画面である。タッチパネル81は、ディスプレー及びタッチセンサーを含む。ディスプレーは、例えば、液晶ディスプレー又は有機ELディスプレー(Organic Electro Luminescence Display)である。タッチセンサーは、例えば、抵抗膜式のタッチセンサーである。複数の操作キー82は、例えば、テンキー、スタートキー、及びキャンセルキーを含む。
【0024】
記憶部9は、各種のデータを記憶する。記憶部9は、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成される。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)によって構成される。半導体メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を構成する。
【0025】
制御部10は、画像形成装置100が備える各部の動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。また、制御部10は、画像形成処理用の集積回路を備える。画像形成処理用の集積回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。制御部10は、制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の各部(機器)の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0026】
通信部11は、制御部10が生成した制御信号を画像形成装置100の各部へ送信し、送信した制御信号に対する画像形成装置100の各部からの応答信号を受信する。
【0027】
温度センサー12は、例えば、画像形成装置100内部の温度を計測し、計測温度を示す温度信号を制御部10へ定期的に送信する。
【0028】
次に、図1及び図2を参照して、制御部10による画像形成装置100の各部の制御を説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の代表的な一部の構成の機能ブロック図である。
【0029】
制御部10は、現像装置43、感光体ドラム44、定着装置46及び給紙部3を制御する。例えば、感光体ドラム44は、感光体ドラム44を回転させるためのドラムモーター441と、ドラムモーター441を制御するドラムモーター制御部442とを含む。定着装置46は、定着処理のためのヒーター461と、ヒーター461を制御するヒーター制御部462とを含む。給紙部3は、複数枚のシートSを積載するリフト板31と、リフト板31を昇降させるリフトモーター32と、リフトモーター32を制御するリフトモーター制御部33とを含む。
【0030】
制御部10は、操作部8からの指示信号に応じて、対応する機器の動作を制御するための制御信号を生成し、それぞれの制御信号を対応する機器へ通信部11を介して送信する。
【0031】
例えば、制御部10は、現像装置43を制御するための制御信号CS1を現像装置43へ通信部11を介して送信する。現像装置43は、例えば、制御信号CS1を受信し、制御信号CS1に従って静電潜像の現像を行う。また、現像装置43は、制御信号CS1に対する応答信号RS1を通信部11へ送信する。
【0032】
通信部11は、現像装置43からの応答信号RS1を受信して制御部10へ出力する。
【0033】
また、制御部10は、リフトモーター32を制御するための制御信号CS2をリフトモーター制御部33へ通信部11を介して送信する。リフトモーター制御部33は、制御信号CS2を受信し、制御信号CS2に従ってリフトモーター32を制御する。また、リフトモーター制御部33は、制御信号CS2に対する応答信号RS2を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0034】
また、制御部10は、ドラムモーター441を制御するための制御信号CS3をドラムモーター制御部442へ通信部11を介して送信する。ドラムモーター制御部442は、制御信号CS3を受信し、制御信号CS3に従ってドラムモーター441を制御する。また、ドラムモーター制御部442は、制御信号CS3に対する応答信号RS3を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0035】
また、制御部10は、ヒーター461を制御するための制御信号CS4をヒーター制御部462へ通信部11を介して送信する。ヒーター制御部462は、制御信号CS4を受信し、制御信号CS4に従ってヒーター461を制御する。また、ヒーター制御部462は、制御信号CS4に対する応答信号RS4を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0036】
また、制御部10は、第1検知センサー61から出力された第1検知信号を通信部11を介して受信する。また、制御部10は、温度センサー12から出力された温度信号を通信部11を介して受信する。
【0037】
(故障検知)
本実施形態において、制御部10は、各機器の故障を検知する。例えば、制御部10は、第1検知センサー61からの第1検知信号に基づいて、第1検知センサー61の故障を検知する。例えば、制御部10は、複数の第1検知センサー61のうちの一部の第1検知センサー61からの第1検知信号の受信が確認できない場合、一部の第1検知センサー61の故障を検知する。
【0038】
また、制御部10は、温度センサー12からの温度信号に基づいて、温度センサー12の故障を検知する。例えば、制御部10は、受信した温度信号の示す温度が、直前に受信した温度信号の示す温度から大きく変動している場合、温度センサー12の故障を検知する。
【0039】
また、例えば、制御部10は、濃度センサー47からの濃度信号に基づいて、現像装置43の故障を検知する。具体的には、制御部10は、濃度信号の示すトナー像の濃度が正常範囲にない場合、現像装置43におけるトナーの供給の異常等の現像装置43の故障を検知する。
【0040】
(故障信号)
本実施形態において、各機器は、自己の故障を検知可能である。例えば、リフトモーター制御部33は、リフトモーター32の故障を検知する。ドラムモーター制御部442は、ドラムモーター441の故障を検知する。ヒーター制御部462は、ヒーター461の故障を検知する。
【0041】
具体的には、リフトモーター制御部33は、リフトモーター32における過電流等の故障を検知して、故障の発生及び故障内容を示す故障情報を含む故障信号MS2を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0042】
ドラムモーター制御部442は、ドラムモーター441における過電流等の故障を検知して、故障の発生及び故障内容を示す故障情報を含む故障信号MS3を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0043】
ヒーター制御部462は、ヒーター461におけるサーミスターの異常等の故障を検知して、故障の発生及び故障内容を示す故障情報を含む故障信号MS4を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0044】
制御部10は、故障信号MS2~MS4を受信すると、それぞれの故障信号に対応する機器の故障を検知する。
【0045】
(故障内容のカテゴリー分類)
制御部10は、検知した機器の故障を3つのカテゴリーに分類する。例えば、制御部10は、機器の故障内容が画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響の大きさに基づいて、故障を分類するカテゴリーを決定する。
【0046】
具体的には、制御部10は、第1検知センサー61の通信エラーを検知した場合、通信エラーの画像形成装置100に及ぼす影響、及び画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響が小さいと判断して通信エラーをカテゴリーAに分類する。
【0047】
制御部10は、故障内容が通信エラーである故障情報を生成し、生成した故障情報とカテゴリーAとを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0048】
また、制御部10は、温度センサー12の故障(温度センサー異常)を検知した場合、温度センサー異常の画像形成装置100に及ぼす影響、及び画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響が小さいと判断して温度センサー異常をカテゴリーAに分類する。
【0049】
制御部10は、温度センサー異常を示す故障情報を生成し、生成した故障情報とカテゴリーAとを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0050】
また、制御部10は、現像装置43の故障(トナー異常)を検知した場合、トナー異常の画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響が大きく、かつ画像形成装置100に及ぼす影響が小さいと判断してトナー異常をカテゴリーBに分類する。
【0051】
制御部10は、トナー異常を示す故障情報を生成し、生成した故障情報とカテゴリーBとを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0052】
また、制御部10は、故障信号MS2を受信すると、故障信号MS2に含まれる故障情報の示す故障内容(リフトモーター異常)の画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響が大きく、かつ画像形成装置100に及ぼす影響が小さいと判断してリフトモーター異常をカテゴリーBに分類し、カテゴリーBと故障信号MS2に含まれる故障情報とを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0053】
また、制御部10は、故障信号MS3を受信すると、故障信号MS3に含まれる故障情報の示す故障内容(ドラムモーター異常)の画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響及び画像形成装置100に及ぼす影響が大きいと判断してドラムモーター異常をカテゴリーCに分類し、カテゴリーCと故障信号MS3に含まれる故障情報とを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0054】
また、制御部10は、故障信号MS4を受信すると、故障信号MS4に含まれる故障情報の示す故障内容(ヒーター異常)の画像形成装置100による画像形成処理に及ぼす影響及び画像形成装置100に及ぼす影響が大きいと判断してヒーター異常をカテゴリーCに分類し、カテゴリーCと故障信号MS4に含まれる故障情報とを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させる。
【0055】
本実施形態において、正常な機器から故障信号が送信されることがある。例えば、リフトモーター制御部33は、リフトモーター32における過電流等を誤検知して、故障信号MS2を通信部11を介して制御部10へ送信する。制御部10は、受信した故障信号MS2が誤検知によって送信されたことを検知できない。
【0056】
本実施形態では、故障信号が誤検知による送信である確率を示す誤検知率を設定し、誤検知率に基づいて、故障を分類するカテゴリーを決定する。
【0057】
次に、図1図3を参照して、誤検知率と故障内容とを対応付けた故障テーブルに基づくカテゴリーの分類を説明する。図3は、故障テーブルを示す図である。
【0058】
本実施形態において、記憶部9は、故障テーブルを記憶している。制御部10は、故障テーブルに基づいて、故障を分類するカテゴリーを決定する。
【0059】
具体的には、例えば、制御部10は、リフトモーター異常を示す故障信号MS2を受信すると、故障信号MS2の誤検知率が「中」である場合、リフトモーター異常をカテゴリーBに分類する。また、ドラムモーター異常を示す故障信号MS3を受信すると、故障信号MS3の誤検知率が「高」である場合、リフトモーター異常をカテゴリーCに分類する。
【0060】
ここで、誤検知率は、故障内容、並びに故障の発生時の環境及び状況等に応じて複数段階設定される。図3に示す故障テーブルでは、3段階の誤検知率を設定している。
【0061】
例えば、故障信号MS2の誤検知率は、画像形成装置100の温度が常温(25度程度)の場合、「低」に設定され、画像形成装置100の温度が低温(氷点下)の場合、誤検知率は「中」に設定される。これは、例えば、画像形成装置100の温度が低温の場合、リフトモーター異常の誤検知が画像形成装置100の温度が常温の場合と比べて増えるためである。
【0062】
(故障対応)
制御部10は、サービスコールを記憶部9に記憶させると故障フラグを設定し、例えば画像形成装置100の再起動を促す内容のシステムコールをタッチパネル81に表示させる。
【0063】
制御部10は、ユーザーによって画像形成装置100の電源がOFF及びONされると、画像形成装置100の再起動を開始し、再起動の際、故障フラグが設定されているか否かを判定する。制御部10は、故障フラグが設定されている場合、記憶部9のサービスコールを確認し、サービスコールに対応するカテゴリーに応じた復帰処理を行う。
【0064】
(カテゴリーAの復帰処理)
次に図4図6を参照して、カテゴリーAのサービスコールが確認された場合の復帰処理を説明する。図4は、制御部10による動作確認を示す図である。図5は、制御部10による動作確認の結果、機器の故障であった場合の処理を示す図である。図6は、制御部10による動作確認の結果、機器が正常であった場合の処理を示す図である。
【0065】
制御部10は、カテゴリーAのサービスコールを確認した場合、対応する故障情報を参照して故障情報に対応する機器を特定し、特定した機器への通電を行い、機器が正常動作するか否かの動作確認を行う。
【0066】
具体的には、例えば、制御部10は、カテゴリーAに分類された温度センサー12の故障を示す故障情報に対応するサービスコールを確認すると、正常動作確認信号VSを通信部11を介して温度センサー12へ送信する。
【0067】
温度センサー12は、正常動作確認信号VSを受信し、正常動作確認信号に対する応答として温度信号を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0068】
制御部10は、温度センサー12からの温度信号を受信し、温度信号の示す温度が正常範囲内であるか否かを判定する。制御部10は、温度信号の示す温度が正常範囲内にない場合、温度センサー12の故障を判定し、温度センサー12との通信を切り離し(図5)、サービスマンを呼ぶように促すとともに温度センサー12との通信を切り離したことを示す内容をタッチパネル81に表示させる。
【0069】
例えば、制御部10は、温度センサー12の故障を判定後、温度センサー12による計測温度が誤検知である可能性が低いと判定し、誤検知率を「低」に設定する。
【0070】
一方、制御部10は、温度信号の示す温度が正常範囲内である場合、温度センサー12が正常であると判定し、温度センサー12との通信を切り離さず(図6)、記憶部9における対応するサービスコールをクリアする。このように、画像形成装置100は、図2に示す状態に自動復帰する。また、例えば、制御部10は、温度センサー12による計測温度が誤検知である可能性が高いと判定し、誤検知率を「高」に設定してもよい。このように、本実施形態において、誤検知率は、故障の状況に応じて変化する。
【0071】
(カテゴリーBの復帰処理)
次に図7及び図8を参照して、カテゴリーBのサービスコールが確認された場合の復帰処理を説明する。図7は、動作確認が選択された場合の処理を示す図である。図8は、機器の故障(カテゴリーB)であった場合の処理を示す図である。
【0072】
制御部10は、カテゴリーBのサービスコールを確認した場合、対応する故障情報を参照して故障情報に対応する機器を特定し、特定した機器の動作確認を行うか否かをユーザーに要求する。
【0073】
例えば、制御部10は、カテゴリーBに分類されたトナー異常を示す故障情報に対応するサービスコールを確認すると、現像装置43への通電を行わず、現像装置43以外の機器へ通電を行う。制御部10は、現像装置43への通電を行うか否かをユーザーに選択させる内容をタッチパネル81に表示させる。
【0074】
制御部10は、ユーザーが現像装置43への通電を行うことを選択した場合、タッチパネル81から出力された選択された指示を示す指示信号に従って、現像装置43への通電を行い、現像装置43が正常動作するか否かの動作確認を行う。
【0075】
具体的には、例えば、制御部10は、正常動作確認信号VSを通信部11を介して現像装置43へ送信する。
【0076】
現像装置43は、正常動作確認信号を受信すると、現像装置43を動作させて現像装置43が正常動作するか否か確認し、現像装置43が正常動作する場合、正常動作信号NS1を通信部11を介して制御部10へ送信し、現像装置43が正常動作しない場合、故障信号MS1を通信部11を介して制御部10へ送信する。
【0077】
制御部10は、現像装置43から故障信号MS1を受信した場合、現像装置43との通信を切り離し(図8)、サービスマンを呼ぶように促すとともに現像装置43との通信を切り離したことを示す内容をタッチパネル81に表示させる。
【0078】
例えば、制御部10は、現像装置43の故障を判定後、濃度センサー47によって検出された濃度が誤検知である可能性が低いと判定し、誤検知率を「低」に設定する。
【0079】
一方、制御部10は、現像装置43から正常動作信号NS1を受信した場合、現像装置43との通信を切り離さず、記憶部9における対応するサービスコールをクリアする。
【0080】
(カテゴリーCの復帰処理)
次に図9を参照して、カテゴリーCのサービスコールが確認された場合の復帰処理を説明する。図9は、機器の故障(カテゴリーC)であった場合の処理を示す図である。
【0081】
制御部10は、カテゴリーCのサービスコールを確認した場合、対応する故障情報を参照して故障情報に対応する機器を特定し、動作確認を行うことなく特定した機器との通信を切り離す。
【0082】
具体的には、例えば、制御部10は、カテゴリーCに分類されたヒーター異常を示す故障情報に対応するサービスコールを確認すると、定着装置46への通電を行わず、定着装置46以外の機器へ通電を行い、定着装置46との通信を切り離し(図9)、サービスマンを呼ぶように促すとともに定着装置46との通信を切り離したことを示す内容をタッチパネル81に表示させる。
【0083】
例えば、制御部10は、定着装置46との通信を切り離した後、定着装置46の故障が誤検知である可能性が低いと判定し、誤検知率を「低」に設定する。
【0084】
次に、図10を参照して、本実施形態に係るカテゴリー分類プロセスについて説明する。図10は、本実施形態に係るカテゴリー分類プロセスを示すフローチャートである。
【0085】
まず、制御部10は、画像形成装置100における機器からの故障信号を受信して機器の故障を検知する(ステップS11)。
【0086】
制御部10は、故障テーブルを参照して(ステップS12)、故障信号の示す故障内容と誤検知率とに基づいて、故障を分類するカテゴリーを決定する(ステップS13)。
【0087】
制御部10は、決定したカテゴリーと故障信号とを対応付けてサービスコールとして記憶部9に記憶させ(ステップS14)、故障フラグを設定する(ステップS15)。その後、制御部10は、例えば、故障信号の送信元の機器を再起動させる。
【0088】
次に、図11A及び図11Bを参照して、本実施形態に係る起動プロセスについて説明する。図11A及び図11Bは、本実施形態に係る起動プロセスを示すフローチャートである。図11Bは、図11Aの続きである。
【0089】
まず、制御部10は、ユーザーによって画像形成装置100の電源がONされると(ステップS21)、故障フラグが設定されているか否かを判定する(ステップS22)。
【0090】
制御部10は、故障フラグが設定されていない場合(ステップS22でNo)、通常の画像形成装置100の起動を行い(ステップS23)、画像形成装置100の起動を完了させる(ステップS33)。
【0091】
一方、制御部10は、故障フラグが設定されている場合(ステップS22でYes)、記憶部9のサービスコールを確認し、サービスコールに対応するカテゴリーに応じた復帰処理を行う。
【0092】
制御部10は、カテゴリーAのサービスコールを確認した場合(ステップS24でYes)、サービスコールに対応する機器の動作確認として正常動作確認信号VSを機器へ送信する(ステップS28)。
【0093】
制御部10は、正常動作確認信号VSに対する応答に基づいて、機器が正常に動作しているか否かを確認する(ステップS29)。例えば、制御部10は、機器からの正常動作信号を受信した場合(ステップS29でYes)、機器が正常に動作していると判定し、機器との通信を切り離さず、記憶部9における対応するサービスコールをクリアし(ステップS30)、画像形成装置100の起動を完了させる(ステップS33)。
【0094】
一方、制御部10は、機器からの故障信号を受信した場合(ステップS29でNo)、機器が故障していると判定し、機器との通信を切り離す(ステップS31)。
【0095】
制御部10は、対応する機器からの故障信号の誤検知率を低く更新し(ステップS32)、画像形成装置100の起動を完了させる(ステップS33)。
【0096】
また、制御部10は、カテゴリーBのサービスコールを確認した場合(ステップS24でNo、ステップS25でYes)、サービスコールに対応する機器の動作確認を行うか否かをユーザーに選択させる(ステップS27)。
【0097】
制御部10は、ユーザーが動作確認を行うことを選択した場合(ステップS27でYes)、サービスコールに対応する機器の動作確認を行う(ステップS28)。以降、制御部10は、ステップS28~ステップS33の処理を行う。
【0098】
一方、制御部10は、ユーザーが動作確認を行わないことを選択した場合(ステップS27でNO)、動作確認を行うことなく機器との通信を切り離す(ステップS31)。
【0099】
また、制御部10は、カテゴリーCのサービスコールを確認した場合(ステップS24でNo、ステップS25でNo、ステップS26)、動作確認を行うことなく機器との通信を切り離す(ステップS31)。
【0100】
制御部10は、対応する機器からの故障信号の誤検知率を低く更新し(ステップS32)、画像形成装置100の起動を完了させる(ステップS33)。
【0101】
本実施形態における画像形成装置100の故障検知及び復帰処理の他の例として、制御部10は、カラー画像形成に対応する感光体ドラム44(カラー感光体ドラム)に関する故障を検知し、カテゴリーA~Cのいずれかのカテゴリーに分類し、対応するカテゴリーに応じた復帰処理を行う。例えば、復帰処理の結果、カラー感光体ドラムとの通信が切り離された場合、カラー画像の形成機能は使用不可能となるが、モノクロ画像の形成機能は使用可能である。
【0102】
また、本実施形態において、画像形成装置100が故障を検知する機器は、画像形成装置100の各部に限らず、例えば、画像形成装置100に接続された読取装置及び後処理装置等の外部装置であってもよい。詳しくは、画像形成装置100の制御部10は、外部装置からの故障信号を受信して外部装置の故障を検知してカテゴリーA~Cのいずれかのカテゴリーに分類し、対応するカテゴリーに応じた復帰処理を行ってもよい。
【0103】
以上、図面(図1図11B)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 :制御部
11 :通信部
100 :画像形成装置
A :第1のカテゴリー
B :第2のカテゴリー
C :第3のカテゴリー
MS1~MS4 :故障信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B