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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240214BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240214BHJP
【FI】
G05B23/02 301Y
G06Q50/06
G05B23/02 302R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020038649
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021140540
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小関 由明
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165721(JP,A)
【文献】国際公開第2018/073960(WO,A1)
【文献】特開2016-081482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/418
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計測項目にそれぞれ対応し、前記複数の計測項目のそれぞれの複数の物理量をそれぞれ計測し、前記複数の物理量の計測値をそれぞれ出力する複数の計測器と、
前記複数の計測器によってそれぞれ出力された前記複数の計測値を所定周期で取得して、前記計測項目ごとに前記複数の計測値を時系列で記憶装置に収集する収集手段と、
前記収集手段による前記複数の計測値の取得の度に、前記記憶装置に収集された前記複数の計測値の時系列に基づいて1つの乖離度と前記計測項目ごとの寄与度を算出する多変量解析手段と、
前記多変量解析手段による算出の度に、前記複数の計測項目の前記寄与度の中で最大の寄与度をとる計測項目を抽出する抽出手段と、
前記多変量解析手段による算出の度に、前記多変量解析手段によって算出された前記乖離度と、前記抽出手段によって抽出された前記最大の寄与度の前記計測項目とを相互に対応付けて、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互対応を時系列で前記記憶装置に収集する記録手段と、
前記記憶装置に収集された前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係の時系列を読み込み、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係を表示装置に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段が、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係をグラフで前記表示装置に表示させ、
前記グラフは前記乖離度と前記計測項目との相互関係ごとの点がプロットされた円座標系の散布グラフであり、前記乖離度が前記点の径方向における位置で表され、前記最大の寄与度の前記計測項目が前記点の周方向における位置で表されている情報管理装置。
【請求項2】
前記記憶装置に収集された前記乖離度の時系列と前記最大の寄与度の前記計測項目との相互関係の時系列を読み込み、前記乖離度の時系列を前記表示装置に表示させる第2表示制御手段を更に備える請求項1に記載の情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野で、機器及び設備に設けられた多数の計測センサの計測値の監視及び収集が行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、業務用ビルにおける使用エネルギーの削減と二酸化炭素の排出量の削減を目的として、BEMS(Building and Energy Management System)と呼ばれるエネルギー管理システムが業務用ビルに採用されている。BEMSは、業務用ビル内の配電設備、空調設備、照明設備、換気設備及びOA機器等の消費電力量の監視及び制御を行う管理システムである。このような監視及び制御を行うために多数の計測センサが計測項目ごとに業務用ビル内の機器及び設備等に設置され、これら計測センサによる計測値が管理コンピュータによって一元的に管理される。例えば、計測項目ごとの計測センサの計測値が管理コンピュータに収集され、計測項目ごとの計測値の変化が管理コンピュータに表示され、ユーザがそれを見て業務用ビル全体の状況を把握することができる。また、計測項目ごとの計測値が管理コンピュータによって閾値と比較され、計測値が閾値を超えた場合にエラー通知が管理コンピュータによって行われ、ユーザがその通知によりエラーを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-5393号公報
【文献】特許第5973096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の管理システムでは、計測項目ごとに計測センサの計測値の変化が表示され、計測項目ごとに計測センサの計測値の異常の有無が判定されているため、ユーザにとっては監視対象が多すぎて、ユーザの負担が大きい。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの監視負担を軽減することができる情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、複数の計測項目にそれぞれ対応し、前記複数の計測項目のそれぞれの複数の物理量をそれぞれ計測し、前記複数の物理量の計測値をそれぞれ出力する複数の計測器と、前記複数の計測器によってそれぞれ出力された前記複数の計測値を所定周期で取得して、前記計測項目ごとに前記複数の計測値を時系列で記憶装置に収集する収集手段と、前記収集手段による前記複数の計測値の取得の度に、前記記憶装置に収集された前記複数の計測値の時系列に基づいて1つの乖離度と前記計測項目ごとの寄与度を算出する多変量解析手段と、前記多変量解析手段による算出の度に、前記複数の計測項目の前記寄与度の中で最大の寄与度をとる計測項目を抽出する抽出手段と、前記多変量解析手段による算出の度に、前記多変量解析手段によって算出された前記乖離度と、前記抽出手段によって抽出された前記最大の寄与度の前記計測項目とを相互に対応付けて、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互対応を時系列で前記記憶装置に収集する記録手段と、前記記憶装置に収集された前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係の時系列を読み込み、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備える情報管理装置が提供される。
【0007】
以上によれば、最大の寄与度の計測項目と乖離度との相互関係が表示装置によって表示されるため、ユーザが相互関係を見れば、どの計測項目が乖離度に最も大きく影響を及ぼしているかを一目で理解することができる。よって、ユーザの監視負担が軽減される。
ここで、乖離度とは、各計測項目の計測値の時系列からなる多変量データを評価するための尺度又は指標である。寄与度とは、計測項目の計測値が乖離度にどの程度寄与しているかを示したものである。
【0008】
好ましくは、前記表示制御手段が、前記最大の寄与度の前記計測項目と前記乖離度との相互関係をグラフで前記表示装置に表示させる。
【0009】
以上によれば、最大の寄与度の計測項目と乖離度との相互関係がグラフで表示されるため、ユーザは、乖離度に最も大きな影響を及ぼした計測項目及び乖離度を一目で理解できる。よって、ユーザの監視負担が軽減される。
【0010】
好ましくは、前記グラフは前記乖離度と前記計測項目との相互関係ごとの点がプロットされた円座標系の散布グラフであり、前記乖離度が前記点の径方向における位置で表され、前記最大の寄与度の前記計測項目が前記点の周方向における位置で表されている。
【0011】
以上によれば、ユーザは、乖離度に最も大きな影響を及ぼした計測項目及び乖離度を一目で理解できるため、ユーザの監視負担が軽減される。
【0012】
好ましくは、前記情報管理装置が、前記記憶装置に収集された前記乖離度の時系列と前記最大の寄与度の前記計測項目との相互関係の時系列を読み込み、前記乖離度の時系列を前記表示装置に表示させる第2表示制御手段を更に備える。
【0013】
以上によれば、ユーザは複数の計測値の時系列から算出された乖離度の変化を一目で理解できる。
また、ユーザが監視する対象は、計測項目ごとの計測値の時系列ではなく、計測項目ごとの計測値の時系列から算出された1つの乖離度の変化であるため、ユーザの監視負担が軽減される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザの監視負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報管理装置のブロック図である。
図2】計測値の時系列データの一例を表したデータテーブルである。
図3】乖離度及び最大寄与度項目固有情報の時系列データの一例を表したデータテーブルである。
図4】寄与度の時系列データの一例を表したデータテーブルである。
図5】乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応関係を表現した円座標系の散布グラフである。
図6】乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応関係を表現した表である。
図7】計測時刻と乖離度の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフである。
図8】計測時刻と乖離度の相互対応関係を表現した表である。
図9】計測時刻と計測値の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフである。
図10】計測時刻と計測値の相互対応関係を表現した表である。
図11】計測時刻と寄与度の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフである。
図12】計測時刻と寄与度の相互対応関係を表現した表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
〔1. 情報管理装置の構成〕
図1は、情報管理装置10のブロック図である。
情報管理装置10は、BEMSに利用される。BEMSとは、建築物(例えば、業務用ビル)に設置された空調設備、照明設備、換気設備、電気設備及びOA機器等の設備を制御して、建築物で使用されるエネルギーを管理するシステムをいう。BEMSは各種センサから情報を収集して可視化する情報管理機能と、設備を制御する制御機能とに大別できるところ、情報管理装置10はBEMSの情報管理機能を担う。
【0018】
情報管理装置10は、コンピュータ11、表示装置12、入力装置13、通信機14、ストレージ15及びn(nは2以上の正数である。)個の計測器16を備える。
【0019】
コンピュータ11は、CPU、GPU、ROM、RAM、バス及びハードウェアインタフェース等を有する。このコンピュータ11には、表示装置12、入力装置13、通信機14、ストレージ15及びn個の計測器16が接続されている。
【0020】
表示装置12は例えば液晶ディスプレイデバイス、有機ELディスプレイデバイス又は投影装置である。コンピュータ11が表示装置12に映像信号を出力すると、映像信号に従った映像が表示装置12によって表示される。
【0021】
入力装置13は例えばキーボード、マウス、ボタン若しくはタッチパネル又はこれらの組み合わせである。ユーザが入力装置13を操作すると、操作内容に従った操作信号が入力装置13からコンピュータ11に転送される。
【0022】
通信機14は無線又は有線で通信回線に接続することで、コンピュータ11がインターネット又はプライベートネットワークに接続して、インターネットネット又はプライベートネットワークを介して通信可能となる。
【0023】
計測器16は、建築物自体又は各種設備に設置されている。計測器16は、複数の計測項目(例えば外気温、外気湿度、単位面積日射量、所定の部屋の温度、所定の部屋の湿度、所定の設備の消費電力量、所定の設備の水温、所定の設備の発熱量、所定の設備の電流、所定の設備の電圧、所定の機器の消費電力量、所定の設備の流入水の流量、所定の設備の流出水の流量等)にそれぞれ対応して設けられている。計測器16は、複数の計測項目のそれぞれの物理量(例えば、温度、熱量、湿度、電流、電圧、電力量、流量、光量又はエネルギー)をそれぞれ計測して、コンピュータ11に物理量の計測値をそれぞれ出力する。計測器16は例えば温度センサ、湿度センサ、光センサ、日射計、電力量計、電流計、電圧計、熱量計又は流量計である。
【0024】
ストレージ15は半導体記憶装置又は磁気記憶装置である。ストレージ15には、コンピュータ11にとって読取可能且つ実行可能なプログラム20が格納されている。コンピュータ11がプログラム20を実行すると、コンピュータ11が以下のような手段として機能する。
【0025】
〔2. コンピュータの機能〕
〔2-1. 収集手段〕
コンピュータ11は、所定周期(例えば、1時間周期)で、計測器16によって出力された計測値を計測器16毎に取得する。そして、コンピュータ11は、計測器16から計測値を取得した時刻(以下、計測時刻という。時刻は例えば年月日時で表されている。)をその計測値に対応付けて、計測時刻及び計測値をストレージ15に記録する。計測器16による計測値が所定周期でコンピュータ11によってストレージ15に計測器16毎に蓄積されることによって、計測器16毎の計測値の時系列データDがストレージ15に収集されるところ、時系列データDの数はnである。図2には、何れかの時系列データDの一例を表したデータテーブルが示されている。図2に示すように、各計測時刻に計測値が対応付けられており、これら計測値が時系列で配列されている。時系列データDは、計測器16による計測値を変数とするとともに、変数としての計測時刻に依存して計測値を決める関数とも言える。
【0026】
ここで、コンピュータ11は、多少の時間的な誤差はあるものの同時刻に各計測器16による計測値を記録する。また、コンピュータ11は、計測器16ごとの時系列データDの収集に際して、時系列データDのそれぞれに固有情報を付す。固有情報とは、各計測項目に固有の情報であって、各計測項目に割り振られる一意の値である。例えば計測項目の名称若しくは識別番号又はこれらの両方が固有情報として用いられる。
【0027】
〔2-2. 多変量解析手段〕
コンピュータ11は、上述のようにn個の計測器16から計測値を取得する度に、その時から所定期間前までのm個(mは2以上且つn以下の正数である。)の時系列データDに基づいて1つの乖離度と計測項目ごと(つまり、時系列データDごと)の寄与度とをMT(マハラノビス・タグチ)法又はそれに類する多変量解析手法(例えば、AIを用いた手法)により算出する。この乖離度は、各計測項目の計測値の時系列からなる多変量データの評価尺度又は評価指標である。乖離度は、マハラノビス距離又はマハラノビス汎距離ともいう。各計測項目の寄与度は、各計測項目の計測値が乖離度にどの程度寄与しているかを示したものである。寄与度は、貢献度又はSN比ともいう。
【0028】
m個の計測器16の計測値が乖離度に一元的に集約される。
【0029】
〔2-3. 最大乖離度の計測項目の固有情報の抽出手段〕
コンピュータ11は、上述のように1つの乖離度と計測項目ごとの寄与度を算出する度に、複数の計測項目の寄与度の中で最大の寄与度を取る計測項目の固有情報(以下、最大寄与度項目固有情報という。)を抽出する。
【0030】
〔2-4. 第1記録手段〕
コンピュータ11は、上述のように1つの乖離度と計測項目ごとの寄与度を算出する度に、計測時刻に乖離度及び最大寄与度項目固有情報を対応付けて、計測時刻、乖離度及び最大寄与度項目固有情報をストレージ15に記録する。乖離度及び最大寄与度項目固有情報が前記所定周期でコンピュータ11によってストレージ15に蓄積されることによって、乖離度及び最大寄与度項目固有情報の時系列データMDがストレージ15に収集される。図3には、時系列データMDの一例を表したデータテーブルが示されている。図3に示すように、各計測時刻に乖離度及び最大寄与度項目固有情報が対応付けられており、これら乖離度及び最大寄与度項目固有情報が時系列で配列されている。
【0031】
〔2-5. 第2記録手段〕
コンピュータ11は、上述のように1つの乖離度と計測項目ごとの寄与度を算出する度に、計測項目ごとの寄与度に計測時刻を対応付けて、計測時刻及び寄与度を計測項目ごとにストレージ15に記録する。計測項目ごとの寄与度が前記所定周期でコンピュータ11に蓄積されることによって、計測項目ごとの寄与度の時系列データTDがストレージに収集される。時系列データTDは、m個の計測器16のそれぞれによる計測値の寄与度の時系列データである。図4には、何れかの時系列データTDの一例を表したデータテーブルが示されている。図4に示すように、各計測時刻に寄与度が対応付けられており、これら寄与度が時系列で配列されている。
また、コンピュータ11は、時系列データTDの収集に際して、時系列データTDのそれぞれに固有情報を付す。
【0032】
〔2-6. 比較手段〕
コンピュータ11は、上述のように1つの乖離度と計測項目ごとの寄与度を算出する度に、乖離度を所定閾値と比較する。
【0033】
〔2-7. 警報手段〕
前述の比較の結果、乖離度が所定閾値以上であれば、コンピュータ11がエラー画面の映像信号を生成して、その映像信号を表示装置12に出力する。そうすると、エラー画面が表示装置12によって表示されるため、ユーザが複数の計測項目のうち何れかの計測項目の計測値に異常又はその予兆が発生したことを認識できる。また、ユーザが時系列データMDにおける最大寄与度項目固有情報を確認することによって、最大の寄与度を取る計測項目を認識することができる。
【0034】
なお、コンピュータ11が警告電子メールを生成して、警告電子メールを送信してもよい。ユーザが電子メールソフトによりその警告電子メールを閲覧すると、ユーザが複数の計測項目のうち何れかの計測項目の計測値に異常又はその予兆が発生したことを認識できる。
【0035】
〔2-8. 他の乖離度〕
上述のようにm個の計測器16の計測値(m個の時系列データD)に基づいて1つの時系列データMDとm個の時系列データTDが収集され、1つの乖離度が算出される。同様にして、複数の乖離度がコンピュータ11によって算出され、乖離度ごとに上述のような比較及び警報が行われる。ここで、コンピュータ11によって算出される乖離度の総数をjとし、i番目(iは1からjまでの任意の正数)の乖離度の算出に関与する計測器16の数をmiとした場合、時系列データMDの総数はjであり、時系列データTDの総数は次式で示されるkである。
【0036】
【数1】
【0037】
〔2-9. 第1表示制御手段〕
所定のタイミングで、例えばユーザが入力装置13を操作することによって多変量解析結果表示指令がコンピュータ11に与えられたタイミングで、コンピュータ11がストレージ15から所定期間の時系列データMDを読み込む。その後、コンピュータ11は、同じ計測時刻に対応付けられた乖離度と最大寄与度項目固有情報を相互に対応付けして、乖離度と最大寄与度項目固有情報と必要に応じて計測時刻の相互対応を表した画面の映像信号を生成する。そして、コンピュータ11は、その映像信号を表示装置12に出力する。これにより、乖離度と最大寄与度項目固有情報と必要に応じて計測時刻の相互対応を表した画面が表示装置12によって表示される。乖離度と最大寄与度項目固有情報と必要に応じて計測時刻の対応関係は例えばグラフ又は表によって表現される。以下に、図5及び図6を参照して、表示装置12に表示されるグラフ及び表について説明する。
【0038】
図5には、乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応関係を表現した円座標系の散布グラフが示されている。図5に示すように、乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応ごとの点が円座標系の散布グラフにプロットされている。点の径座標つまり、径方向における点の位置(中心から点までの距離)が乖離度を表し、点の中心角座標、つまり周方向における点の位置が最大乖離度項目情報を表す。ここで、類似した計測項目は、周方向における位置が近くにある。
【0039】
図6には、計測時刻と乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応関係を表現した表が示されている。図6に示すように、計測時刻と乖離度と最大寄与度項目固有情報が対応付けられている。
【0040】
〔2-10. 第2表示制御手段〕
所定のタイミングで、例えばユーザが入力装置13を操作することによって乖離度の時系列の表示指令がコンピュータに与えられたタイミングで、コンピュータ11が時系列データMDを読み込む。その後、コンピュータ11は、計測時刻と乖離度を相互対応付けして、計測時刻と乖離度の相互対応を表した画面の映像信号を生成する。そして、コンピュータ11は、その映像信号を表示装置12に出力する。これにより、計測時刻と乖離度の相互対応を表した画面が表示装置12によって表示される。計測時刻と乖離度の対応関係は例えばグラフ又は表によって表現される。以下に、図7及び図8を参照して、表示装置12に表示されるグラフ及び表について説明する。
【0041】
図7には、計測時刻と乖離度の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフが示されている。図7に示すように、計測時刻と乖離度の相互対応ごとの点が直交座標系の散布グラフにプロットされている。点の横座標が計測時刻を表し、点の縦座標が乖離度を表す。
【0042】
図8には、計測時刻と乖離度の相互対応関係を表現した表が示されている。図8に示すように、計測時刻と乖離度が対応付けられている。
【0043】
〔2-11. 第3表示制御手段〕
所定のタイミングで、例えばユーザが入力装置13を操作することによって所定の計測項目の計測値の時系列の表示指令がコンピュータに与えられたタイミングで、コンピュータ11がm個の時系列データDのうち前記所定の計測項目の時系列データDa(時系列データDaは、選択された計測項目に相当するものである。)を読み込む。その後、コンピュータ11は、計測時刻と計測値を相互に対応付けして、計測時刻と計測値の相互対応を表した画面の映像信号を生成する。そして、コンピュータ11は、その映像信号を表示装置12に出力する。これにより、計測時刻と計測値の相互対応を表した画面が表示装置12によって表示される。計測時刻と計測値の対応関係は例えばグラフ又は表によって表現される。以下に、図9及び図10を参照して、表示装置12に表示されるグラフ及び表について説明する。
【0044】
図9には、計測時刻と計測値の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフが示されている。図9に示すように、計測時刻と計測値の相互対応ごとの点が直交座標系の散布グラフにプロットされている。点の横座標が計測時刻を表し、点の縦座標が計測値を表す。縦軸の目盛りの横には、計測項目の名称が表示されている。
【0045】
図10には、計測時刻と計測値の相互対応関係を表現した表が示されている。図10に示すように、計測時刻と計測値が対応付けられている。また、識別番号及び計測項目の名称が表に添えて表示されている。
【0046】
〔2-12. 第4表示制御手段〕
所定のタイミングで、例えばユーザが入力装置13を操作することによって所定の計測項目の寄与度の時系列の表示指令がコンピュータに与えられたタイミングで、コンピュータ11がm個の時系列データTDのうち前記所定の計測項目の時系列データTDb(時系列データTDbは、ユーザが選択された計測項目に相当するものである。)を読み込む。その後、コンピュータ11は、計測時刻と寄与度を相互に対応付けして、計測時刻と寄与度の相互対応を表した画面の映像信号を生成する。そして、コンピュータ11は、その映像信号を表示装置12に出力する。これにより、計測時刻と寄与度の相互対応を表した画面が表示装置12によって表示される。計測時刻と寄与度の対応関係は例えばグラフ又は表によって表現される。以下に、図11及び図12を参照して、表示装置12に表示されるグラフ及び表について説明する。
【0047】
図11には、計測時刻と寄与度の相互対応関係を表現した直交座標系の散布グラフが示されている。図11に示すように、計測時刻と寄与度の相互対応ごとの点が直交座標系の散布グラフにプロットされている。点の横座標が計測時刻を表し、点の縦座標が寄与度を表す。また、識別番号及び計測項目の名称がグラフに添えて表示されている。
【0048】
図12には、計測時刻と寄与度の相互対応関係を表現した表が示されている。図12に示すように、計測時刻と寄与度が対応付けられている。また、識別番号及び計測項目の名称が表に添えて表示されている。
【0049】
〔3. 有利な効果〕
(1) 多数、つまりm個の計測器16の計測値が乖離度に一元的に集約され、図7又は図8に示すように乖離度の時系列が表示される。そのため、計測項目ごとに計測値の時系列が表示される場合よりも、表示されるグラフ又は表のグラフが少なくても済む上、ユーザの監視負担も軽減される。
【0050】
(2) m個の計測器16の計測値が乖離度に一元的に集約され、乖離度が閾値と比較されるため、複数の計測項目について計測値を閾値と比較する場合よりもコンピュータ11の処理負担が軽減される。
【0051】
(3) 計測項目ごとの寄与度が算出される。乖離度が大きくなった場合、大きな寄与度を取る計測項目の計測値を監視すれば、乖離度に大きな影響を及ぼす計測項目を把握することができる。従って、全ての計測項目について計測値を監視する必要がなくなり、ユーザの監視負担が軽減され、作業効率が向上する。
【0052】
(4) 図5又は図6に示すように乖離度と最大寄与度項目固有情報の相互対応が表示される。相互対応を見れば、一定期間の間にどの計測項目が乖離度に最も大きく影響を及ぼしているかを一目で理解することができる。これは、建築物の管理業務の高度化・省力化に大きく貢献するとともに、ユーザの監視負担の軽減に繋がる。
【0053】
〔4. 変形例〕
(1) ユーザが入力装置13を操作することによって図5のグラフの中の何れかの点を選択した場合、2番目及び/又は3番目に大きな寄与度を取る計測項目の固有情報が表示されてもよい。
【0054】
(2) 図5のグラフの中に、2番目に大きな寄与度を取る計測項目の固有情報と乖離度との相互関係を表した点がプロットされてもよい。この場合、1番目に大きな寄与度を取る計測項目の固有情報と乖離度との相互関係を表した点と、2番目に大きな寄与度を取る計測項目の固有情報と乖離度との相互関係を表した点は異なる色で表示されることが好ましい。
同様に、3番目に大きな寄与度を取る計測項目の固有情報と乖離度との相互関係を表した点がプロットされてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…情報管理装置
11…コンピュータ
12…表示装置
13…入力装置
14…通信機
15…ストレージ(記憶手段)
16…計測器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12