(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】表示装置及び遊技機
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20240214BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240214BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20240214BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240214BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20240214BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240214BHJP
【FI】
G09F13/18 N
F21S2/00 435
A63F7/02 304D
F21Y115:10
F21Y105:00
F21Y113:13
(21)【出願番号】P 2020042366
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】奥田 満
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107048(JP,A)
【文献】国際公開第2009/013930(WO,A1)
【文献】特開2016-122162(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0009454(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/18
F21S 2/00
A63F 7/02
F21Y 115/10
F21Y 105/00
F21Y 113/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な部材でシート状に形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、側面の一つに形成される入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向し、かつ、前記入射面の長手方向に沿って配置される複数の光源とを有し、
前記導光板は、当該導光板の一方の面に、前記パターンに沿って配列され、前記複数の光源の何れかから発して前記入射面から前記導光板内に入射した光を前記導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、
前記複数のプリズムのうち、前記パターンに含まれる第1のサブパターンに沿って配置される第1のプリズムの前記反射面
は、前記一方の面の法線方向から見て平面形状となり、一方、前記複数のプリズムのうち、前記パターンに含まれる、前記第1のサブパターンと異なる第2のサブパターンに沿って配置される第2のプリズムの
前記反射面は、前記一方の面の法線方向から見て前記入射面に対して凸となる曲面形状となるように、前記複数のプリズムが形成される、
表示装置。
【請求項2】
前記複数の光源のうちの第1の光源と第2の光源とは互いに異なる色を持つ光を発し、前記第1のプリズムの前記反射面が前記第1の光源に対して正対するように前記第1のプリズムは配置され、前記第2のプリズムの前記反射面は前記第1の光源と前記第2の光源のそれぞれからの光を前記他方の面側の同じ方向へ向けて反射するように配置される、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
遊技機本体と、
前記遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有し、
前記表示装置は、
透明な部材でシート状に形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、側面の一つに形成される入射面を有する導光板と、
前記入射面と対向し、かつ、前記入射面の長手方向に沿って配置される複数の光源とを有し、
前記導光板は、当該導光板の一方の面に、前記パターンに沿って配列され、前記複数の光源の何れかから発して前記入射面から前記導光板内に入射した光を前記導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、
前記複数のプリズムのうち、前記パターンに含まれる第1のサブパターンに沿って配置される第1のプリズムの前記反射面
は、前記一方の面の法線方向から見て平面形状となり、一方、前記複数のプリズムのうち、前記パターンに含まれる、前記第1のサブパターンと異なる第2のサブパターンに沿って配置される第2のプリズムの
前記反射面は、前記一方の面の法線方向から見て前記入射面に対して凸となる曲面形状となるように、前記複数のプリズムが形成される、
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を用いてパターンを表示可能な表示装置、及び、そのような表示装置を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の光源のうちの点灯する光源に応じて表示させるパターンを動的に切り替えることを可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された表示装置は、複数のパターンを表示可能な導光板と、導光板の側壁の一辺に沿って並べて配置される複数の光源と、点灯順序情報に従って複数の光源の点灯及び消灯を制御する制御部とを有する。導光板は、その一方の面において、パターンごとに、そのパターンに沿って配列され、複数の光源のうち、そのパターンに対応する光源から発して導光板の入射面から導光板内に入射した可視光を導光板の他方の面へ向けて反射する複数のプリズムを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、表示されるパターンに奥行き感を持たせることは想定されていない。
【0006】
そこで、本発明は、表示されるパターンに奥行き感を持たせることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態として、表示装置が提供される。この表示装置は、透明な部材でシート状に形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、側面の一つに形成される入射面を有する導光板と、導光板の入射面と対向し、かつ、入射面の長手方向に沿って配置される複数の光源とを有する。そして導光板は、その一方の面に、少なくとも一つのパターンに沿って配列され、複数の光源の何れかから発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、複数のプリズムのうち、少なくとも一つのパターンに含まれる第1のサブパターンに沿って配置される第1のプリズムの反射面の導光板の一方の面に沿った曲率と、複数のプリズムのうち、少なくとも一つのパターンに含まれる、第1のサブパターンと異なる第2のサブパターンに沿って配置される第2のプリズムの導光板の一方の面に沿った曲率とが互いに異なるように、複数のプリズムが形成される。
係る構成を有することにより、この表示装置は、表示されるパターンに奥行き感を持たせることができる。
【0008】
この表示装置において、第1のサブパターンに沿って配置される第1のプリズムの反射面は、導光板の一方の面に沿って平面形状となるように形成され、一方、第2のサブパターンに沿って配置される第2のプリズムの反射面は、導光板の一方の面に沿って入射面に対して凸となる曲面形状となるように形成されることが好ましい。
これにより、この表示装置は、第1のサブパターンを第2のサブパターンよりもシャープに見せることができるので、表示されるパターンの奥行き感をより強調することができる。
【0009】
この場合において、複数の光源のうちの第1の光源と第2の光源とは互いに異なる色を持つ光を発し、第1のプリズムの反射面が第1の光源に対して正対するように第1のプリズムは配置され、第2のプリズムの反射面は第1の光源と第2の光源のそれぞれからの光を導光板の他方の面側の同じ方向へ向けて反射するように配置されることがさらに好ましい。
これにより、この表示装置は、第1のサブパターンについては第1の光源からの光の色で光っているように見せることができ、一方、第2のサブパターンについては、第1の光源からの光の色と第2の光源からの光の色とが加法混色された色で光っているように見せることができるので、表示されるパターンの奥行き感をより強調することができる。
【0010】
また、本発明の他の形態によれば、遊技機本体と、遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた表示装置とを有する遊技機が提供される。この遊技機において、表示装置は、透明な部材でシート状に形成され、少なくとも一つのパターンを表示可能であり、かつ、側面の一つに形成される入射面を有する導光板と、導光板の入射面と対向し、かつ、入射面の長手方向に沿って配置される複数の光源とを有する。そして導光板は、その一方の面に、少なくとも一つのパターンに沿って配列され、複数の光源の何れかから発して入射面から導光板内に入射した光を導光板の他方の出射面から出射させるように反射する反射面を有する複数のプリズムを有し、複数のプリズムのうち、少なくとも一つのパターンに含まれる第1のサブパターンに沿って配置される第1のプリズムの反射面の導光板の一方の面に沿った曲率と、複数のプリズムのうち、少なくとも一つのパターンに含まれる、第1のサブパターンと異なる第2のサブパターンに沿って配置される第2のプリズムの導光板の一方の面に沿った曲率とが互いに異なるように、複数のプリズムが形成される。
係る構成を有することにより、この遊技機は、表示されるパターンに奥行き感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【
図2】表示装置が有する導光板の概略正面図である。
【
図3】
図2の矢印AA’で示される線における導光板の概略側面断面図である。
【
図4】(a)は、第1のサブパターンに沿って配列されるプリズムの概略正面図であり、(b)は、(a)に示されるプリズムの概略側面図である。
【
図5】(a)は、第2のサブパターンに沿って配列されるプリズムの概略斜視図であり、(b)は、(a)の矢印BB’で示される線における、プリズムの概略側面断面図である。
【
図6】第1のサブパターンを形成するプリズムによる、各光源からの光の反射方向と、第2のサブパターンを形成するプリズムによる、各光源からの光の反射方向の違いを説明するための模式図である。
【
図7】(a)及び(b)は、一つの変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。また、(c)及び(d)は、他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。
【
図8】(a)及び(b)は、さらに他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。また、(c)及び(d)も、さらに他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。
【
図9】実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による表示装置を、図を参照しつつ説明する。この表示装置は、複数の光源が発する光に対して透明な材料をシート状に形成した導光板を有し、その導光板の一方の面が観察者に面する出射面として形成される。さらに、導光板の出射面を囲う周囲の側面の何れかが、複数の光源と対向する入射面として形成される。出射面と対向する導光板の他方の面(以下、背面と呼ぶ)には、複数の光源の何れかから発し、導光板内に入射した光を出射面へ向けて反射する複数のプリズムが形成される。複数のプリズムのそれぞれは、表示装置が表示させる少なくとも一つのパターンに沿って配列される。そしてこの表示装置では、パターンに含まれる第1のサブパターンに沿って配列される第1のプリズムの導光板の背面に沿った曲率と、パターンに含まれる第2のサブパターンに沿って配列される第2のプリズムの導光板の背面に沿った曲率とを互いに異ならせる。これにより、観察者が導光板の背面と反対側の面(以下、この観察者と対向する方の面を正面と呼ぶ)側の所定の視点からパターンを見たときに、複数の光源のうち、第1のプリズムにより反射されて所定の視点へ光が向かう光源の数と、複数の光源のうち、第2のプリズムにより反射されて所定の視点へ光が向かう光源の数とが異なることになる。そして所定の視点へ光が向かう光源の数が多いプリズムを含むサブパターンほど、広い範囲からの光が所定の視点に届くことになるので、観察者からはボケて見えることになる。さらに、第1のプリズムの曲率と第2のプリズムの曲率が互いに異なるため、所定の視点から第1のプリズムを介して見た各光源の像の位置と、所定の視点から第2のプリズムを介して見た各光源の像の位置が互いに異なることになる。そのため、観察者は、第1のサブパターンと第2のサブパターンとでボケて見える度合いが異なり、その結果として、パターンに奥行き感が生じる。
【0013】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る表示装置の概略構成図である。表示装置1は、導光板2と、複数の光源3-1~3-n(nは2以上の整数)と、記憶部4と、制御部5とを有する。
【0014】
導光板2は、光源3-1~3-nから発する光に対して透明なシート状に形成された部材である。導光板2は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーといった、可視光に対して透明な樹脂を成型することで形成される。そして導光板2には、光源3-1~3-nの点灯によって表示可能なパターン21が設けられる。ただし、導光板2に設けられる表示可能なパターンの数は一つに限られず、また、パターンの図柄も
図1に示される例に限られない。導光板2は、光源3-1~3-nが点灯している間、光源3-1~3-nからの光をその内部で伝搬させるとともに、背面側に形成された、パターン21を形成するように配列された複数のプリズム(詳細は後述)によりその光を導光板2の正面側に位置する観察者へ向けて反射させる。これにより、観察者は、発光するパターン21を視認できるようになる。
なお、導光板2の詳細については後述する。
【0015】
複数の光源3-1~3-nは、それぞれ、可視光を発する少なくとも一つの発光素子を有する。本実施形態では、光源3-1~3-nは、それぞれ、導光板2の側面のうちの一つである入射面2aの長手方向に沿って一列に、かつ等間隔に配置される。なお、光源3-1~3-nのうちの隣接する二つの光源間の間隔は、その二つの光源の組ごとに異なっていてもよい。
【0016】
光源3-1~3-nは、それぞれ、制御部5からの制御信号に応じて点灯または消灯する。制御部5が光源3-1~3-nを点灯させている間、光源3-1~3-nから発した光は、入射面2aを介して導光板2内に入射する。入射した光は、導光板2内を全反射されながら伝搬した後に、導光板2の背面に設けられた、パターン21を形成する複数のプリズムで反射されて正面側の出射面から出射する。
【0017】
なお、光源3-1~3-nが有する発光素子は、例えば、発光ダイオードである。そして各光源の発光色は同じであってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0018】
記憶部4は、例えば、揮発性あるいは不揮発性のメモリ回路を有する。そして記憶部4は、光源3-1~3-nの点灯順序、すなわち、それらの光源の点灯及び消灯のタイミングを表す点灯制御情報などを記憶する。
【0019】
制御部5は、例えば、プロセッサと、光源3-1~3-nを駆動するための駆動回路とを有する。そして制御部5は、点灯制御情報に従って、光源3-1~3-nの点灯及び消灯を制御する。
【0020】
制御部5は、例えば、導光板2の正面側において、導光板2の出射面側に位置する観察者からパターン21が見えるようにする場合には、光源3-1~3-nを点灯させる。また、観察者からパターン21が見えないようにする場合には、制御部5は、光源3-1~3-nを消灯させる。また、制御部5は、パターン21の一部のみが観察者から見えるようにするために、光源3-1~3-nのうちの一部の光源を点灯させ、他の光源を消灯させてもよい。さらに、制御部5は、パターン21のうちの観察者から視認可能な部分を動的に変化させるために、点灯制御情報に従って、光源3-1~3-nのうち、点灯する光源の組み合わせを順次変更してもよい。なお、パターン21を常時視認可能とする場合には、制御部5は、点灯制御情報を参照せず、表示装置1が動作している間、常に各光源を点灯させてもよい。
【0021】
以下、導光板2の詳細について説明する。
【0022】
図2は、導光板2の概略正面図である。また
図3は、
図2の矢印AA’で示される線における、導光板2の概略側面断面図である。
図2及び
図3に示されるように、導光板2の側面の一つは、光源3-1~3-nと対向する入射面2aとして形成される。上記のように、光源3-1~3-nから発した光は入射面2aから導光板2の内部に入射する。そして導光板2の内部を伝搬した、光源3-1~3-nからの光は、導光板2の背面2bに形成された、パターン21に沿って配列される複数のプリズムのそれぞれにて全反射された後、導光板2の正面側に位置し、かつ、背面2bと対向する出射面2cから出射する。
【0023】
本実施形態では、パターン21には、第1のサブパターン21-1と第2のサブパターン21-2とが含まれる。なお、パターン21に含まれる各サブパターンは、互いに隣接するように設けられてもよく、あるいは、互いに離れるように設けられてもよい。また、各サブパターンの形状及びサイズは、互いに同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0024】
また、本実施形態では、第1のサブパターン21-1を形成するように、第1のサブパターン21-1に沿って、複数のプリズム11が、例えば、格子状、ライン状、あるいは、千鳥足状に配列される。一方、第2のサブパターン21-2を形成するように、第2のサブパターン21-2に沿って、複数のプリズム12が、例えば、格子状、ライン状、あるいは、千鳥足状に配列される。なお、複数のプリズム11のそれぞれは、第1のプリズムの一例であり、複数のプリズム12のそれぞれは、第2のプリズムの一例である。したがって、観察者は、光源3-1~3-nが点灯している間、発光して見える第1のサブパターン21-1及び第2のサブパターン21-2を含むパターン21を観察できる。なお、
図2及び
図3において、図の見易さの向上のために、各プリズムのサイズ及び導光板2の厚さは誇張されている点に留意されたい。
【0025】
図4(a)は、第1のサブパターン21-1に沿って配列されるプリズム11の概略正面図であり、
図4(b)は、プリズム11の概略側面図である。プリズム11は、導光板の背面2bにおいて所定の長さを持つ三角柱状の溝として形成される。そしてプリズム11の二つの斜面の一方が、光源3-1~3-nからの光を出射面2cへ向けて反射する反射面11aとして形成される。例えば、反射面11aは、導光板2へ入射した光源3-1~3-nの何れかからの光を全反射させて、出射面2cへ向ける角度、例えば、背面2bに対して40°~50°をなすように設けられる。また、反射面11aは、例えば、光源3-1~3-nの何れかと正対するように向けられる。さらに、所定の長さは、第1のサブパターン21-1内に複数のプリズム11を配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0026】
本実施形態では、プリズム11の反射面11aは平面状に形成される。すなわち、反射面11aの背面2bに沿った曲率は0(すなわち、曲率半径は∞)である。したがって、光源3-1~3-nのそれぞれから発して導光板2内に入射した光は、反射面11aによって互いに異なる方向へ向けて反射される。そのため、導光板2の正面側に位置する観察者は、プリズム11を介して光源3-1~3-nの何れか一つを見ることになる。したがって、観察者からは、第1のサブパターン21-1はシャープに見える。
【0027】
図5(a)は、第2のサブパターン21-2に沿って配列されるプリズム12の概略斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の矢印BB’で示される線における、プリズム12の概略側面断面図である。プリズム12は、導光板の背面2bにおいて所定の長さを持ち、かつ、中心の幅が広く、端に近付くほど幅が狭くなる形状の溝として形成される。そしてプリズム12の二つの斜面の一方が、光源3-1~3-nからの光を出射面2cへ向けて反射する反射面12aとして形成される。また、プリズム12は、プリズム11と同様に、背面2b及び反射面12aと直交する面における断面形状が略三角形状となるように形成される。例えば、反射面12aは、導光板2へ入射した光源3-1~3-nからの光を全反射させて、出射面2cへ向ける角度、例えば、背面2bに対して40°~50°をなすように設けられる。また、反射面12aが光源3-1~3-n側を向くようにプリズム12は配列される。さらに、所定の長さは、第2のサブパターン21-2内に複数のプリズム12を配置できる程度の長さ、例えば、100μm~数mm程度に設定される。
【0028】
本実施形態では、プリズム12の反射面12aの形状は、入射面2aに対して凸となる曲面形状(例えば、円筒状、球面状あるいは放物面状)となるように形成される。すなわち、背面2bに沿った反射面12aの形状が、入射面2aに対して凸となる曲線形状(例えば、円弧状あるいは放物線状)となり、その曲率(なお、反射面12aが放物面状に形成される場合には、反射面12aの頂点における曲率)は正の値(すなわち、曲率半径は正の有限な値)となる。したがって、反射面12aは、光源3-1~3-nのうちの2以上の光源から発して導光板2内に入射した光を、出射面2cを介して導光板2の正面側へ向けて出射するよう反射することができる。そのため、導光板2の正面側に位置する観察者は、プリズム12を介して、光源3-1~3-nのうちの二つ以上を見ることになる。このように、観察者からは、プリズム12を介して見える光源の数が、プリズム11を介して見える光源の数よりも多い、すなわち、プリズム12を介する方がプリズム11を介するよりもより広い範囲にわたって光って見えるため、第2のサブパターン21-2は、第1のサブパターン21-1よりもボケて見える。
【0029】
図6は、プリズム11による、各光源からの光の反射方向と、プリズム12による、各光源からの光の反射方向の違いを説明するための模式図である。矢印601~矢印604で示されるように、光源3-1~3-nのうちの互いに異なる光源(例えば、光源3-kと光源3-m)からの光は、第1のサブパターン21-1を形成するよう配列されるプリズム11の反射面11aの法線方向に対して互いに異なる角度で入射する。そのために、互いに異なる光源からの光は、プリズム11にて互いに異なる方向へ向けて反射される。したがって、導光板2の正面側の所定の視点に対して、プリズム11により、光源3-1~3-nのうちの何れか一つの光源からの光のみが達することになる。
【0030】
これに対して、第2のサブパターン21-2を形成するよう配列されるプリズム12の反射面12aは、背面2bに沿って入射面2aに対して凸となる曲面状に形成されているため、光源3-1~3-nのうちの二つ以上の光源(例えば、光源3-pと光源3-q)に対して反射面12aの何れかの位置が正対する。そのため、矢印611~矢印614で示されるように、光源3-1~3-nのうちの二つ以上の光源からの光が、第2のサブパターン21-2を形成するよう配列されるプリズム12の反射面12aに対して垂直に入射する。したがって、それら二つ以上の光源からの光がプリズム12にて出射面2c側の同じ方向へ向けて反射されることとなり、導光板2の正面側の所定の視点に対して、プリズム12により、光源3-1~3-nのうちの二つ以上の光源からの光が達することになる。
【0031】
さらに、プリズム11の反射面11aは、光源3-1~3-nに対して平面鏡として機能し、一方、プリズム12の反射面12aは、光源3-1~3-nに対して凸面鏡として機能する。そのため、導光板2の正面側に位置する観察者にとって、プリズム11を介して見える光源3-1~3-nの像の奥行き方向(すなわち、導光板2の出射面2cの法線方向)における位置と、プリズム12を介して見える光源3-1~3-nの像の奥行き方向の位置とは互いに異なる。そのため、奥行き方向に関して、プリズム11により形成される第1のサブパターン21-1の位置と、プリズム12により形成される第2のサブパターン21-2の位置とは異なるように見える。
【0032】
このように、パターン21に含まれるサブパターンごとに、ボケ度合い及び見える位置が異なるため、表示装置1は、パターン21に奥行き感があるように、パターン21を表示することができる。
【0033】
なお、プリズム12の形状は、
図5(a)及び
図5(b)に示される形状に限られない。
【0034】
図7(a)及び
図7(b)は、一つの変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。また、
図7(c)及び
図7(d)は、他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。
【0035】
図7(a)及び
図7(b)に示されるプリズム13も、プリズム12と同様に、光源3-1~3-nと対向する側の斜面である反射面13aが、導光板2の背面2bに沿って入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。一方、プリズム13は、プリズム12と比較して、光源3-1~3-nと対向しない方の斜面13bが平面
状に形成される点で相違する。また、
図7(c)及び
図7(d)に示されるプリズム14も、プリズム12と同様に、光源3-1~3-nと対向する側の斜面である反射面14aが、背面2bに沿って入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。一方、プリズム14は、は、プリズム12と比較して、光源3-1~3-nと対向しない方の斜面14bが背面2bに沿って反射面14aと同心円状になるように形成される点で相違する。なお、プリズム13及びプリズム14は、プリズム12と同様に、背面2b及び反射面と直交する面における反射面の断面形状が平面形状となるように形成される。
【0036】
これらの変形例によるプリズムでも、導光板2の背面2bに沿った、反射面の形状は、導光板2の入射面2aに対して、すなわち、光源3-1~3-nに対して凸となる曲面形状となる。そのため、これらの変形例によるプリズム13及びプリズム14も、プリズム12と同様の機能及び効果を生じさせることができる。
【0037】
図8(a)及び
図8(b)は、さらに他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。また、
図8(c)及び
図8(d)も、さらに他の変形例によるプリズムの形状を示す概略斜視図及び概略断面図である。
【0038】
図8(a)及び
図8(b)に示されるプリズム15も、プリズム12と同様に、光源3-1~3-nと対向する側の斜面である反射面15aが、導光板2の背面2bに沿って、入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。さらに、反射面15aは、背面2b及び反射面15aと直交する断面方向についても、入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。同様に、
図8(c)及び
図8(d)に示されるプリズム16も、プリズム12と同様に、光源3-1~3-nと対向する側の斜面である反射面16aが、導光板2の背面2bに沿って入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。さらに、反射面16aは、背面2b及び反射面16aと直交する断面方向についても、入射面2aに対して凸となる曲面形状となるように形成される。なお、プリズム16は、その断面方向における断面形状が半円形状となるように形成される。これらの変形例によるプリズムは、プリズム12と同様に、導光板2の正面側に位置する観察者から光源3-1~3-nのうちの二つ以上からの光を見えるようにして、これらのプリズムにより形成されるサブパターンをボケて見えるようにすることができる。さらに、これらの変形例によるプリズムは、光源3-1~3-nのそれぞれと反射面とを結ぶ線に沿っても、それら光源からの光を拡げる。そのため、これらの変形例によるプリズムは、サブパターンをよりボケて見えるようにすることができる。
【0039】
以上に説明してきたように、この表示装置の導光板には、表示されるパターンに含まれるサブパターンごとに、そのサブパターンを形成するように複数のプリズムが配列され、各光源から発して導光板内に入射した光をそれらのプリズムにより正面側へ向けて反射することで、パターンが表示される。そしてこの表示装置では、サブパターンごとに、そのサブパターンを形成するプリズムの導光板の背面に沿った反射面の曲率が互いに異なるように、各プリズムが形成される。これにより、導光板の正面側に位置する観察者からは、サブパターンごとに、そのサブパターンを形成するプリズムを介して見える光源の数が異なることとなり、その結果として、サブパターンごとにボケ度合いが異なることになる。そのため、この表示装置は、表示されるパターンに奥行き感を持たせることができる。
【0040】
変形例によれば、第1のサブパターン21-1を形成するよう配列されるプリズム11の反射面も、導光板2の背面2bに沿って曲面形状となるように形成されてもよい。この場合でも、プリズム11の反射面の背面2bに沿った曲率と、第2のサブパターン21-2を形成するよう配列されるプリズム12~15の反射面の導光板2の背面2bに沿った曲率とが互いに異なるように、各プリズムは形成されればよい。この変形例による表示装置も、パターンに含まれるサブパターンごとのボケ度合いを異ならせることができるので、表示されるパターンに奥行き感を持たせることができる。
【0041】
また他の変形例によれば、パターンに含まれる何れかのサブパターンを形成するよう配列されるプリズムの反射面は、導光板2の入射面2aに対して、すなわち、光源3-1~3-nに対して凹となる曲面形状に形成されてもよい。例えば、何れかのサブパターンについて、
図7(c)及び
図7(d)に示されるプリズム14の斜面14bが光源3-1~3-nと対向するように、プリズム14が配列されてもよい。この場合でも、表示装置は、上記の実施形態または変形例と同様に、パターンに含まれるサブパターンごとのボケ度合いを異ならせることができるので、表示されるパターンに奥行き感を持たせることができる。
【0042】
さらに他の変形例によれば、パターンに含まれるサブパターンの数は3個以上であってもよい。この場合も、サブパターンごとに、そのサブパターンを形成するプリズムの導光板の背面に沿った反射面の曲率が互いに異なるように、各プリズムが形成されればよい。
【0043】
さらに他の変形例によれば、光源3-1~3-nのうちの幾つかは、互いに異なる色の光を発してもよい。特に、光源3-1~3-nのうちの互いに隣接する2以上の光源について、互いに異なる色の光を発することが好ましい。また、第1のサブパターン21-1を形成する各プリズム11は、光源3-1~3-nのうち、同じ色の光を発する第1の光源の何れか(例えば、
図6に示される光源3-k)に対して正対するように配置されることが好ましい。一方、第2のサブパターン21-2を形成する各プリズム12は、光源3-1~3-nのうち、互いに異なる色の光を発する二つ以上の光源(すなわち、第1の光源及び第2の光源、例えば、
図6に示される光源3-pと光源3-q)からの光を導光板2の正面側の同じ位置へ向けて反射するように配置されることが好ましい。
【0044】
上記のように、サブパターンごとに、そのサブパターンを形成するプリズムを介して見える光源の数が異なる。そのため、導光板2の正面側の所定の視点に位置する観察者からは、例えば、第1のサブパターン21-1については、プリズム11を介して、光源3-1~3-nのうちのその視点に光が達する一つの光源の発光色で光っているように見える。一方、第2のサブパターン21-2については、プリズム12を介して、光源3-1~3-nのうちのその視点に光が達する二つ以上の光源のそれぞれの発光色が加法混色された色で光っているように見える。したがって、この変形例によれば、表示装置は、サブパターンごとに観察者から見えるそのサブパターンの色を異ならせることができる。また、二つ以上の光源のそれぞれの発光色が加法混色された色で光っているように見えるサブパターンについては、よりボケて見えるようになるため、パターンの奥行き感がより強調される。
【0045】
上記の実施形態または変形例による表示装置は、弾球遊技機または回胴遊技機といった遊技機に搭載されてもよい。
図9は、上記の実施形態または変形例による表示装置を有する弾球遊技機を遊技者側から見た、その弾球遊技機の概略斜視図である。
図9に示すように、弾球遊技機100は、上部から中央部の大部分の領域に設けられ、遊技機本体である遊技盤101と、遊技盤101の下方に配設された球受け部102と、ハンドルを備えた操作部103と、遊技盤101の略中央に設けられた液晶ディスプレイ104と、液晶ディスプレイ104の前面に配置された、表示装置105とを有する。
【0046】
また弾球遊技機100は、遊技の演出のために、遊技盤101の前面において遊技盤101の下方または表示装置105の周囲に配置された役物106を有する。また遊技盤101の側方にはレール107が配設されている。また遊技盤101上には多数の障害釘(図示せず)及び少なくとも一つの入賞装置108が設けられている。
【0047】
操作部103は、遊技者の操作によるハンドルの回動量に応じて図示しない発射装置より所定の力で遊技球を発射する。発射された遊技球は、レール107に沿って上方へ移動し、多数の障害釘の間を落下する。そして遊技球が何れかの入賞装置108に入ったことを、図示しないセンサにより検知すると、遊技盤101の背面に設けられた主制御回路(図示せず)は、遊技球が入った入賞装置108に応じた所定個の遊技球を、玉払い出し装置(図示せず)を介して球受け部102へ払い出す。さらに主制御回路は、遊技盤101の背面に設けられた演出用CPU(図示せず)を介して液晶ディスプレイ104及び表示装置105を駆動する。そして演出用CPUは、遊技の状態に応じた点灯制御情報を含む制御信号を表示装置105へ送信する。
【0048】
表示装置105は、上記の実施形態または変形例による表示装置の一例であり、導光板の出射面が遊技者へ向くように遊技盤101に取り付けられる。そして表示装置105の制御部は、演出用CPUからの制御信号に含まれる点灯制御情報に従って、各光源を点灯させることで、遊技者が、液晶ディスプレイ104に表示された映像とともに、パターンを視認できるようにする。あるいは、制御部は、点灯制御情報に従って、全ての光源を消灯して、遊技者が、導光板を介して液晶ディスプレイ104に表示された映像のみを観察できるようにしてもよい。
【0049】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 表示装置
2 導光板
2a 入射面
2b 背面
2c 出射面
3-1~3-n 光源
11-16 プリズム
11a、12a、13a、14a、15a、16a 反射面
13b、14b 斜面
21 パターン
21-1 第1のサブパターン
21-2 第2のサブパターン
4 記憶部
5 制御部
100 弾球遊技機
101 遊技盤
102 球受け部
103 操作部
104 液晶ディスプレイ
105 表示装置
106 役物
107 レール
108 入賞装置