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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】理化学用保存容器
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/00 20060101AFI20240214BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20240214BHJP
   B65D 53/02 20060101ALI20240214BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B01L3/00
B65D41/04 100
B65D53/02
G01N1/04 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020045229
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021146225
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】田中 速雄
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-274576(JP,A)
【文献】特開2018-134830(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105605(WO,A1)
【文献】特開2019-182503(JP,A)
【文献】特開2017-083238(JP,A)
【文献】特開2019-184564(JP,A)
【文献】特開2013-040788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
G01N 1/00-1/44
G01N33/48-33/98
C12M 1/00-3/10
B65D35/44-35/54,39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と上端開口とを有する樹脂製の管状本体と、
前記管状本体の上端部に対して着脱可能に螺合して前記上端開口を気密に閉止するキャップと、
前記キャップによる閉止時に前記キャップと前記管状本体との間で圧縮状態で保持されることによって気密を保つシール部材と、
を備え、
前記キャップを前記管状本体に対して相対的に開方向に回す開操作によって、前記キャップは前記管状本体から離間する方向に螺進し、前記キャップを前記管状本体から取り外すことが可能であり、
前記開操作に伴って、前記シール部材は前記圧縮状態から徐々に解放され弾性復元し、自然状態に弾性復元した前記シール部材から前記キャップが離間することによって気密が破れるように構成されており、
前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、回し始めの際にクリック感が生じるように構成されており、
前記キャップには第1突起部が形成されており、
前記管状本体の前記上端部には前記第1突起部に対して係合する第2突起部が形成されており、
前記開操作に伴って、前記第1突起部は前記第2突起部に対して前記キャップの螺進方向に相対移動するように構成されており、
前記クリック感は、前記第1突起部が前記第2突起部に対して乗り上げた状態から、前記第1突起部が前記第2突起部を乗り越えた状態に移行する際に、前記第1突起部及び前記第2突起部の各々が弾性復元することによって生じる抵抗と振動とのいずれか一方又は両方であり、
前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、
前記第1突起部が前記第2突起部を乗り越えるまでの間は、前記シール部材が前記圧縮状態に維持され、
前記第1突起部が前記第2突起部を乗り越えた後且つ前記第1突起部と前記第2突起部とが互いに接触しているタイミングで、前記シール部材が前記圧縮状態から前記自然状態に弾性復元する理化学用保存容器。
【請求項2】
前記管状本体に対する前記キャップの装着のときに、前記螺合の完了の際に前記クリック感が生じるように構成されている請求項1に記載の理化学用保存容器。
【請求項3】
前記管状本体に対する前記キャップの装着の際には、前記クリック感が生じた後、更に、前記キャップが前記管状本体の前記上端部に対して螺進可能である請求項に記載の理化学用保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理化学用保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上端開口(同文献には開口部と記載)と底部とを有した管状本体(同文献には容器(チューブ)本体と記載)と、この上端開口を閉塞するキャップ(同文献には蓋と記載)とを備え、キャップと管状本体とは、ねじ蓋機構により、互いに脱着可能である理化学用保存容器(同文献には保存容器と記載)について記載されている。
特許文献1の理化学用保存容器では、管状本体にキャップが装着されている状態において、キャップと管状本体との間が気密となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-029945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の検討によれば、キャップと管状本体との間の気密が破れたかどうかを容易に判別できる構造の理化学用保存容器についてニーズがあると考えられる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャップと管状本体との間の気密が破れたかどうかを容易に判別することが可能な構造の理化学用保存容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、底面と上端開口とを有する樹脂製の管状本体と、
前記管状本体の上端部に対して着脱可能に螺合して前記上端開口を気密に閉止するキャップと、
を備え、
前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、回し始めの際にクリック感が生じるように構成されている理化学用保存容器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャップと管状本体との間の気密が破れたかどうかを容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る理化学用保存容器の側断面図である。
図2】実施形態の管状本体の正面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は実施形態における管状本体からキャップを取り外す際の一連の流れを説明する図であり、このうち図3(a)は管状本体からのキャップの取り外しを開始する前の状態を示しており、図3(b)はクリック感が生じる直前の状態を示している。
図4図4(a)及び図4(b)は実施形態における管状本体からキャップを取り外す際の一連の流れを説明する図であり、このうち図4(a)はクリック感が生じた直後の状態を示しており、図4(b)はクリック感が生じた後にキャップが更に螺進した状態を示している。
図5図5(a)、図5(b)は実施形態における管状本体に対してキャップを装着する際の一連の流れを説明する図であり、このうち図5(a)はキャップとシール部材とが互いに離間している状態を示しており、図5(b)は、クリック感が生じる直前の状態を示している。
図6図6(a)、図6(b)は実施形態における管状本体に対してキャップを装着する際の一連の流れを説明する図であり、このうち図6(a)はクリック感が生じた直後の状態を示しており、図6(b)は、管状本体に対するキャップの装着が完了した状態を示している。
図7図3(b)のA-A線に沿った断面図である。
図8】変形例に係る理化学用保存容器の側断面図である。
図9図9(a)、図9(b)及び図9(c)は変形例における管状本体からキャップを取り外す際の一連の流れを説明する図であり、このうち図9(a)は管状本体からのキャップの取り外しを開始する前の状態を示しており、図9(b)はクリック感が生じる直前の状態を示しており、図9(c)はクリック感が生じた直後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1から図7を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。図1はキャップ20と管状本体10とが分離している状態を示している。また、図1において、理化学用保存容器100を管状本体10の軸方向に沿った断面で示している。また、図3(a)~図6(b)において、上端部14及びキャップ20を部分拡大の断面図で示している。
【0010】
図1から図7に示すように、本実施形態に係る理化学用保存容器100は、底面131と上端開口17とを有する樹脂製の管状本体10と、管状本体10の上端部14に対して着脱可能に螺合して上端開口17を気密に閉止するキャップ20と、を備え、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、回し始めの際にクリック感が生じるように構成されている。
また、理化学用保存容器100は、典型的には生物由来物質の凍結保存に用いられ、管状本体10の内部空間は、当該生物由来物質が収容される収容部となっている。
【0011】
なお、キャップ20が上端開口17を気密に閉止している状態において、管状本体10とキャップ20との間が気密となっており、管状本体10の内部空間が気密に保たれている。そして、キャップ20が管状本体10から取り外される際に、管状本体10とキャップ20との間の気密が破られることとなる。
【0012】
本実施形態によれば、回し始めの際に生じるクリック感によって、使用者は、管状本体10からのキャップ20の取り外しが開始されたことを明確に認識することができるので、管状本体10とキャップ20との間の気密が破れたかどうかを容易に判別することができる。
【0013】
本発明において、生物由来物質の種類は、特に限定されない。生物由来物質としては、例えば、受精卵、未受精卵、細胞、血清、微生物、ウイルス、DNA、RNA、抗体、酵素タンパク質、低分子化合物などが挙げられる。
【0014】
以下の説明では、図1における下方向が下方、上方向が上方であるものとする。
【0015】
管状本体10の形状は特に限定されないが、管状本体10は、例えば、胴部11と、胴部11の上側に配置されている円筒状の上端部14と、胴部11と上端部14との境界部である段差面12と、胴部11の下端を閉塞している底部13と、を有している(図1参照)。
胴部11は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されている。胴部11の内径及び外径の各々は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定である。
上端部14は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されており、胴部11と同軸に配置されている。
上端部14の内径は、例えば、胴部11の内径と同等の寸法に設定されている。
一方、上端部14の外径は、胴部11の外径よりも小さい寸法に設定されている。そして、段差面12は、胴部11の上端と胴部11の外周面との境界と、上端部14の外周面の下端と胴部11の上端との境界と、に亘って連続的に形成されている。
段差面12は、例えば、平面形状が環状に形成されている。
本実施形態の場合、上端部14の上端の開口が上端開口17を構成している。キャップ20は、上端部14に対して着脱可能に装着される。すなわち、キャップ20は、上端開口17に対して着脱可能に装着される。
上端部14の一部分は、外周面にネジ山が形成された雄ネジ部となっている。
図1に示すように、底部13は、例えば、胴部11の下端側の開口を閉塞している底面131と、胴部11の下縁から垂下しているスカート部132と、を含む。
底面131は、例えば、下方に向けて凸の半球形状に形成されている
底面131の外径は、例えば、胴部11の内径と同等に設定されている。
スカート部132は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されている。
スカート部132の外径は、胴部11の外径と同等に設定されており、スカート部132の内径は、胴部11の内径と同等に設定されている。
理化学用保存容器100は、例えば、自立可能に構成されていてもよい。
より詳細には、本実施形態の場合、スカート部132の下縁132aは、例えば、管状本体10の軸方向に対して直交する面を含む円環状に形成されている。そして、管状本体10は、スカート部132の下縁132aが水平な載置面上に載置された状態で自立可能となっている。
ただし、管状本体10の底面131の形状は特に限定されず、例えば、底面131は、下方に向けて凸の円錐状に形成されていてもよい。また、底部13は、例えば、スカート部132を有しておらず、代わりに底面131において、局所的に平坦に形成されているとともに水平に配置されている平坦部(不図示)を有しており、当該平坦部が水平な載置面上に載置された状態で自立可能となっていてもよい。
なお、本発明において、理化学用保存容器100は、例えば、自立可能に構成されていなくてもよい。
【0016】
管状本体10は、例えば、熱可塑性の樹脂材料によって、その全体が一体成形されている。熱可塑性の樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルテルペン(TPX)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などを挙げることができる。
【0017】
図1図2及び図3に示すように、キャップ20は、例えば、上端部14に対して着脱可能に装着される装着部22と、装着部22の上端を閉塞している閉塞部21と、を有する。
装着部22は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。
閉塞部21は、例えば、平坦な平板状に形成されている。閉塞部21の上面21a及び下面21bの各々は、平坦に形成されているとともに、水平に配置されている。閉塞部21の平面形状は、例えば、円形状である。
【0018】
キャップ20は、射出成形によってその全体が一体成形されている。
キャップ20は、例えば、熱可塑性の樹脂材料によって構成されている。熱可塑性の樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルテルペン(TPX)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などを挙げることができる。
なお、管状本体10とキャップ20とは、互いに同種の樹脂材料によってそれぞれ構成されていてもよいし、互いに異なる種類の樹脂材料によってそれぞれ構成されていてもよい。
本実施形態の場合、キャップ20の装着部22が、上端部14に対して着脱可能に装着される。より詳細には、装着部22の一部分は、内周面にネジ山が形成された雌ネジ部を構成している。雌ネジ部は、上端部14の雄ネジ部と螺合する部分である。これら雌ネジ部と雄ネジ部とを相互に螺合させることによって、装着部22を上端部14に装着することができる。
そして、上端部14に装着部22が装着されることによって、キャップ20の全体が管状本体10に装着されるとともに、キャップ20によって上端部14の上端開口17が閉塞される。
【0019】
より詳細には、例えば、キャップ20を管状本体10に対して相対的に開方向(図7に示す矢印Aの方向)に回転させる操作(以下、開操作)によって、キャップ20を管状本体10から取り外すことができる。開操作に伴って、図3(a)~図4(a)に示すように、キャップ20が管状本体10に対して開方向に回転しつつ上方に向けて螺進する。そして、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合が完全に解除されるまで開操作を行い、キャップ20を上端部14から抜去することによって、キャップ20の管状本体10からの取り外しが完了する。
なお、ここでいう開方向とは、図7における反時計回りの方向である。
また、例えば、キャップ20を管状本体10に対して相対的に閉方向(図7に示す矢印Bの方向)に回転させる操作(以下、閉操作)によって、管状本体10に対してキャップ20を装着することができる。図5(a)、図5(b)及び図6(a)に示すように、キャップ20は、閉操作に伴って、管状本体10に対して閉方向に回転しつつ下方に向けて螺進する。そして、図6(b)に示すように、上端部14の上端14aと閉塞部21の下面21bとが互いに当接し、キャップ20の更なる回転及び螺進(下降)が規制される状態となるまで閉操作が行われることによって、管状本体10に対するキャップ20の装着が完了する。
なお、ここでいう閉方向とは、図7における時計回りの方向である。
また、閉操作及び開操作におけるキャップ20の回転は、キャップ20の軸心を回転軸とした回転である。
【0020】
本実施形態の場合、図1に示すように、理化学用保存容器100は、例えば、キャップ20による閉止時にキャップ20と管状本体10との間で圧縮状態で保持されることによって気密を保つシール部材40を備えている。
シール部材40は、例えば、シリコーンゴムやエラストマー等の弾性材料によって構成されている。シール部材40は、例えば、環状に形成されている。シール部材40は、例えば、管状本体10の上端部14に対して外挿されており、段差面12によって、上端部14に対して相対的に下方に変位することが規制されている。
シール部材40は、上端部14の外周面に対して全周に亘って密着した状態で配置されている。
【0021】
図5(a)及び図5(b)に示すように、キャップ20を管状本体10に対して装着する際に、閉操作によってキャップ20が所定の位置まで螺進(下降)すると、キャップ20の下端20aがシール部材40に対して当接する。そして、キャップ20が上端部14に対して更に螺進すると、図6(a)及び図6(b)に示すように、シール部材40は、キャップ20の下端20aと段差面12とによって挟持されて、上下方向に圧縮されるとともに、例えば、キャップ20の径方向における外側に膨出した状態となる。すなわち、シール部材40は、キャップ20が所定の位置よりも更に下方に螺進するのに伴って、弾性変形しながら(圧縮状態となりながら)キャップ20の下端20aと段差面12とにそれぞれ全周に亘って密着した状態となる。これにより、シール部材40によって、キャップ20と管状本体10との間の気密が良好に保たれることとなる。
【0022】
キャップ20が管状本体10に対して装着されている状態から、開操作によってキャップ20が徐々に上方に向けて螺進すると、図3(a)から図4(b)に示すように、シール部材40は、上述のキャップ20の下端20aと段差面12とによる圧縮から徐々に開放されるのに伴って弾性復元する。そして、キャップ20が所定の位置まで螺進すると、シール部材40は、キャップ20の下端20aによる押圧状態から解放され、自然状態の形状(図1図4(a)及び図4(b)に示す形状)に復元する。この状態から更にキャップ20が上昇すると、キャップ20の下端20aがシール部材40から離間した状態となり、キャップ20と管状本体10との間の気密が破られることとなる。
したがって、本実施形態において、例えば、シール部材40がキャップ20の下端20a及び段差面12の各々に対して密着している状態において、キャップ20と管状本体10との間の気密が良好に保たれており、シール部材40とキャップ20の下端20aとが互いに離間している状態(図5(a)参照)において、キャップ20と管状本体10との間の気密が破られている状態となる。
【0023】
ここで、本実施形態の場合、一例として、キャップ20には第1係合部31が形成されており、管状本体10の上端部14には第1係合部31に対して係合する第2係合部35が形成されており、第1係合部31と第2係合部35とが係合して互いに乗り超えることによってクリック感が生じる。
これにより、理化学用保存容器100において、より簡素な構造でクリック感が生じる構成を実現することができる。しかも、第1係合部31と第2係合部35とが係合して互いに乗り超えることによってクリック感が生じるため、管状本体10に対するキャップ20の着脱が複数回行われたとしても、毎回クリック感が生じる構造となる。よって、理化学用保存容器100を良好に繰り返し使用することができる。
【0024】
本実施形態の場合、一例として、第1係合部31は第1突起部32であり、第2係合部35は第2突起部36である。
より詳細には、図7に示すように、第1突起部32は、例えば、装着部22の内周面において、周回状に形成されているリブである。また、第1突起部32は、例えば、装着部22の内周面において、雌ネジ部の形成領域よりも下側に配置されている。
また、図7に示すように、第2突起部36は、例えば、上端部14の外周面において、周方向に間欠的に配置された複数のリブによって構成されている。複数のリブは、それぞれ周方向に延在しているとともに、上端部14の周方向において等間隔(等角度間隔)に配置されている。なお、上端部14の周方向において間欠的に配置されているリブの数は、特に限定されないが、一例として、本実施形態の場合、4である。
第2突起部36は、例えば、上端部14の外周面において、雄ネジ部18の形成領域よりも下側に配置されている。
第1突起部32及び第2突起部36の各々の周方向に対して直交する断面形状(図1に示す断面形状)は、特に限定されないが、例えば、その突出方向における先端部(頂部)が面取り形状となっている。
また、上記において、第1突起部32は、装着部22の内周面において、雌ネジ部の形成領域よりも下側に配置されており、第2突起部36は、例えば、上端部14の外周面において、雄ネジ部の形成領域よりも下側に配置されている例を説明した。ただし、第1突起部32は、装着部22の内周面において、雌ネジ部の形成領域よりも上側に配置されており、各第2突起部36は、例えば、上端部14の外周面において、雄ネジ部18の形成領域よりも上側に配置されていてもよい。
【0025】
また、例えば、第1突起部32の突出長(図4(a)及び図5(b)に示すW1)は、装着部22に形成されている雌ネジ部のネジ山の突出長(図3(b)に示すW4)よりも小さい。
これにより、閉操作によってキャップ20が下降する際に、第1突起部32が上端部14に対して干渉してしまうことを抑制できる。
第2突起部36の突出長(図3(b)及び図6(a)に示すW2)は、例えば、上端部14に形成されている雄ネジ部のネジ山の突出長(図3(a)に示すW3)よりも大きい。
また、例えば、第1突起部32の突出長W1は、第2突起部36の突出長W2よりも小さいことが好ましい。このようにすることにより、よりスムーズに第1突起部32と第2突起部36とが係合して互いに乗り超えることができる。ただし、第1突起部32の突出長W1は、第2突起部36の突出長W2よりも大きい寸法に設定されていてもよいし、第1突起部32の突出長W1と第2突起部36の突出長W2とは互いに同等の寸法に設定されていてもよい。
なお、本実施形態の場合、第1突起部32の突出長W1は、例えば、第1突起部32の径方向内側の端面から、装着部22の内周面(ただし、ネジ山の形成領域を除く)までの、径方向における長さ寸法である。また、第2突起部36の突出長W2は、例えば、第2突起部36の径方向外側の端面から、上端部14の外周面(ただし、ネジ山の形成領域を除く)までの、径方向における長さ寸法である。
また、本実施形態の場合、雄ネジ部のネジ山の突出長W3は、例えば、雄ネジ部の突出長の径方向外側の端面から、上端部14の外周面(ただし、ネジ山の形成領域を除く)までの、径方向における長さ寸法である。また、雌ネジ部のネジ山の突出長W4は、例えば、雌ネジ部の径方向内側の端面から、装着部22の内周面(ただし、ネジ山の形成領域を除く)までの、径方向における長さ寸法である。
【0026】
本実施形態の場合、図7に示すように、キャップ20が管状本体10に対して装着されている状態において、例えば、第1突起部32の先端と上端部14の外周面との間には間隙が形成されている。一方、第2突起部36の先端は、例えば、周方向における全域に亘って、キャップ20の内周面に対して密着していてもよい。この場合、キャップ20の内周面と上端部14の外周面との間の間隙が第2突起部36によって閉塞されることとなるため、キャップ20と管状本体10との間をより良好に気密に閉止することができる。
【0027】
本実施形態の場合、一例として、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、回し始めの際に、第1突起部32と第2突起部36とが上下方向において互いに相対移動するとともに、第1突起部32が第2突起部36を径方向に乗り越えることによってクリック感が生じる。
より詳細には、本実施形態の場合、図3(a)及び図3(b)に示すように、開操作によってキャップ20が上端部14に対して螺進(上昇)すると、キャップ20の上昇に伴って第1突起部32も上昇し、先ず第1突起部32の上面と第2突起部36の下面とが互いに接触する。換言すると、理化学用保存容器100において、下側に第1突起部32が配置されており、上側に第2突起部36が配置されている状態で、第1突起部32が第2突起部36に対して係合する。
引き続き開操作が行われると、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げることとなる。この状態において、キャップ20では、第2突起部36(管状本体10)によって径方向外側に押圧されて、第1突起部32が圧縮状態となる(弾性変形する)か、又は、装着部22が拡径状態となる(弾性変形する)かの少なくともどちらか一方又はその両方生じている。また、管状本体10では、第1突起部32(キャップ20)によって径方向内側に押圧されて、第2突起部36が圧縮状態となる(弾性変形する)又は、上端部14が縮径状態となる(弾性変形する)かの少なくともどちらか一方又はその両方が生じている。これにより、使用者は管状本体10に対するキャップ20の抵抗を感じることとなる。
そして、更に開操作が行われると、上端部14にキャップ20の対する螺進(上昇)に伴って、図3(b)及び図4(a)に示すように、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げた状態から、第1突起部32が第2突起部36を乗り越えた状態に移行し、第1突起部32及び第2突起部36の各々は弾性復元する。この際に生じる抵抗又は振動がクリック感として使用者に伝わる。換言すると、本実施形態において、クリック感とは、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げる際、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げている状態又は、第1突起部32が第2突起部36を乗り越える際に、第1突起部32と第2突起部36との各々が弾性変形又は弾性復元することによって生じる抵抗や振動又はその両方である。クリック感が生じた直後の状態において、図4(a)に示すように、第1突起部32の下面と第2突起部36の上面とが互いに接触している。換言すると、上側に第1突起部32が配置されており、下側に第2突起部36が配置されている状態で、第2突起部36が第1突起部32に対して係止されている。
【0028】
上述のように、本実施形態の場合、第1突起部32及び第2突起部36の各々が弾性変形又は弾性復元することによってクリック感が生じる構成となっているため、より明確なクリック感が生じる構成を実現することができる。
【0029】
また、本実施形態の場合、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、クリック感が生じた後で気密が破れるように構成されていることが好ましい。
このようにすることにより、使用者は、クリック感の有無によって気密が破れたかどうかをより容易に判別することができる。
より詳細には、図4(a)及び図4(b)に示すように、本実施形態の場合、一例として、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、クリック感が生じた後に、キャップ20の下端20aとシール部材40とが互いに離間するように構成されている。これにより、クリック感が生じた後に、キャップ20と上端開口17との間の気密が破られることとなる。
【0030】
また、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、クリック感が生じるまでの間は、シール部材40が圧縮状態に維持されることが好ましい。
このようにすることにより、管状本体10からのキャップ20の取り外しの際に、クリック感が生じるまでの間は、上端開口17の気密が維持されることとなるので、クリック感が生じるよりも先に気密が破れてしまうことを抑制できる。
より詳細には、上述したように、クリック感が生じるまでの間は、シール部材40が、例えば、キャップ20の下端20aと段差面12とによって挟持されており、圧縮状態となりながらキャップ20の下端20aと段差面12とにそれぞれ全周に亘って密着している状態が維持されるように構成されている。このため、クリック感が生じるまでの間は、シール部材40が圧縮状態に維持されることとなる。
【0031】
ここで、本実施形態の場合、一例として、管状本体10に対するキャップ20の装着のときに、第1突起部32と第2突起部36とが上下方向において互いに相対移動するとともに、第1突起部32が第2突起部36を径方向に乗り越えることによってクリック感が生じる。
より詳細には、本実施形態の場合、図4(a)に示すように、閉操作によってキャップ20が上端部14に対して螺進(下降)すると、キャップ20の下降に伴って第1突起部32も下降し、先ず第1突起部32の下面と第2突起部36の上面とが互いに接触する。換言すると、上側に第1突起部32が配置されており、下側に第2突起部36が配置されている状態で、第1突起部32が第2突起部36に対して係合する。
引き続き閉操作が行われると、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げることとなる。この状態において、管状本体10では、第2突起部36(キャップ20)によって径方向内側に押圧されて、第1突起部32が圧縮状態となる(弾性変形する)か、又は、上端部14が縮径状態となる(弾性変形する)かの少なくともどちらか一方又はその両方生じている。また、キャップ20では、第1突起部32(管状本体10)によって径方向外側に押圧されて、第2突起部36が圧縮状態となる(弾性変形する)又は、装着部22が拡径状態となる(弾性変形する)かの少なくともどちらか一方又はその両方が生じている。これにより、使用者は管状本体10に対するキャップ20の抵抗を感じることとなる。
そして、更に閉操作が行われると、上端部14に対するキャップ20の更なる螺進(下降)に伴って、図5(b)及び図6(a)に示すように、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げた状態から、第1突起部32が第2突起部36を乗り越えた状態に移行し、第1突起部32及び第2突起部36の各々は弾性復元する。この際に生じる抵抗又は振動がクリック感として使用者に伝わる。クリック感が生じた直後の状態において、第1突起部32の上面と第2突起部36の下面とが互いに接触している。換言すると、下側に第1突起部32が配置されており、上側に第2突起部36が配置されている状態で、第2突起部36が第1突起部32に対して係合する。
【0032】
ここで、本実施形態の場合、管状本体10に対するキャップ20の装着のときに、螺合の完了の際にクリック感が生じるように構成されていることが好ましい。
更に、管状本体10に対するキャップ20の装着の際には、クリック感が生じた後、更に、キャップ20が管状本体10の上端部14に対して螺進可能であることが好ましい。
より詳細には、本実施形態において、螺合の完了の際とは、ある程度の時間的な幅を持つ概念であり、キャップ20が所定の位置(例えば、図5(b)に示す位置)まで螺進した状態から、管状本体10に対するキャップ20の更なる螺進が規制されている状態(図6(b)参照)までを含む。キャップ20が当該所定の位置まで螺進した状態において、シール部材40は、キャップ20の下端20aと段差面12との各々に押圧されて圧縮状態となっている。すなわち、螺合の完了の際に、管状本体10とキャップ20との間は気密となっている。
そして、キャップ20が上記所定の位置(図5(b)に示す位置)まで螺進し、管状本体10とキャップ20との間が気密となっている状態において、キャップ20が管状本体10の上端部14に対して更に螺進可能に構成されている。
より詳細には、管状本体10に対するキャップ20の装着の際に、クリック感が生じた後も、閉塞部21の下面21bと上端部14の上端14aとの間には間隙が形成されている(図5(b)及び図6(a)参照)とともに、キャップ20は更に螺進(下降)可能となっている。
そして、この状態から更にキャップ20に対する閉操作が行われると、図6(b)に示すように、閉塞部21の下面21bと上端部14の上端14aとが互いに当接し、管状本体10に対するキャップ20の更なる螺進(下降)が規制されている状態となり、管状本体10に対するキャップ20の装着が完了する。
【0033】
上述のように、螺合の完了の際にクリック感が生じるように構成されていることによって、使用者は、クリック感の有無によって、少なくとも管状本体10とキャップ20との間が気密となるまでキャップ20の閉操作が十分に行われたかを、明確に認識することができる。
また、上述のように、クリック感が生じた後、更に、キャップ20が管状本体10の上端部14に対して螺進可能に構成されていることによって、管状本体10に対するキャップ20の装着が完了している状態から気密を破るには、クリック感が生じるまでキャップ20に対する開操作を行うこととなる。換言すると、管状本体10に対するキャップ20の装着が完了している状態において、キャップ20を開方向に回転させたとしても、クリック感が生じるまでは気密状が良好に保たれることとなる。
【0034】
<実施形態の変形例>
次に、図8から図9(c)を用いて実施形態の変形例を説明する。なお、図8は、上端部14及びキャップ20を軸方向(キャップ20の軸方向)に沿った断面図で示している。また、図9(a)~図9(c)において、上端部14及びキャップ20を部分拡大の断面図で示している。
本実施形態の変形例に係る理化学用保存容器100は、以下に説明する点で、上記の実施形態及び変形例1に係る理化学用保存容器100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係る理化学用保存容器100及びその変形例1と同様に構成されている。
【0035】
図8に示すように、本変形例の場合、管状本体10は、例えば、胴部11と、胴部11の上端と連接されている円筒状の上端部14と、胴部11の下端を閉塞している底部13と、を有している。
胴部11は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されている。胴部11の内径及び外径の各々は、例えば、軸方向における位置にかかわらず一定である。
上端部14は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されており、胴部11と同軸に配置されている。また、胴部11の外径と上端部14の外径とは互いに同等の寸法に設定されており、胴部11の内径と上端部14の内径とも互いに同等の寸法に設定されている。
また、本変形例の場合、キャップ20は、例えば、上端部14に対して着脱可能に装着(嵌入)される中栓部51と、中栓部51の上端を閉塞している閉塞部21と、中栓部51の上側に配置されているとともに、閉塞部21によって下端が閉塞されている円筒部52と、中栓部51と円筒部52との境界部である段差面12と、を有する。
中栓部51は、例えば、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されている。中栓部51が上端部14の内腔に嵌入されることによって、中栓部51が上端部14に対して着脱可能に装着される。
より詳細には、本変形例の場合、中栓部51の一部分は、外周面にネジ山が形成された雄ネジ部を構成している。また、上端部14の一部分は、内周面にネジ山が形成された雌ネジ部となっている。雄ネジ部と雌ネジ部とを螺合させることによって、中栓部51は上端部14に装着される。
円筒部52は、例えば、閉塞部21の周縁部から上方に向けて突出した円筒状に形成されている。また、円筒部52は、中栓部51よりも大径であり、中栓部51と同軸に配置されている。そして、段差面12は、円筒部52の下端と閉塞部21の下面21bとの境界と、中栓部51の外周面の上端と閉塞部21の下面21bとの境界と、に亘って連続的に形成されている。
【0036】
本変形例の場合も、キャップ20には第1係合部31が形成されており、管状本体10の上端部14には第1係合部31に対して係合する第2係合部35が形成されており、第1係合部31と第2係合部35とが係合して互いに乗り超えることによってクリック感が生じるように構成されている。
より詳細には、実施形態と同様に、第1係合部31は第1突起部32であり、第2係合部35は第2突起部36である。
図8に示すように、第1突起部32は、例えば、中栓部51の外周面において、周回状に形成されているリブである。また、第1突起部32は、例えば、中栓部51の外周面において、雌ネジ部の形成領域よりも下側に配置されている。
また、第2突起部36は、例えば、上端部14の内周面において、周方向に間欠的に配置された複数のリブによって構成されている。複数のリブは、それぞれ上端部14の周方向に延在しているとともに、上端部14の周方向において等間隔(等角度間隔)に配置されている。各第2突起部36は、例えば、上端部14の外周面において、雄ネジ部の形成領域よりも下側に配置されている。
【0037】
そして、本変形例の場合も、一例として、管状本体10からのキャップ20の取り外しのときに、回し始めの際に、第1突起部32と第2突起部36とが上下方向において互いに相対移動するとともに、第1突起部32が第2突起部36を径方向に乗り越えることによってクリック感が生じる。
より詳細には、図9(a)及び図9(b)に示すように、開操作によってキャップ20が上端部14に対して螺進(上昇)すると、キャップ20の上昇に伴って第1突起部32も上昇し、先ず第1突起部32が第2突起部36に対して係合する。そして、引き続き開操作が行われると、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げることとなる。更に開操作が行われると、キャップ20の上端部14に対する螺進(上昇)に伴って、図9(b)及び図9(c)に示すように、第1突起部32が第2突起部36に対して乗り上げた状態から、第1突起部32が第2突起部36を乗り越えた状態に移行し、第1突起部32及び第2突起部36の各々は弾性復元する。この際に生じる抵抗又は振動がクリック感として使用者に伝わる。
【0038】
また、本変形例の場合、図8に示すように、シール部材40は、例えば、中栓部51に対して外挿されるとともに嵌合しており、中栓部51に対する脱落が規制されている。
図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示すように、キャップ20を管状本体10に対して装着する際に、閉操作によってキャップ20(中栓部51)が所定の位置まで螺進(下降)すると、シール部材40が上端部14の上端14aに対して当接する。そして、キャップ20(中栓部51)が上端部14に対して更に螺進すると、図9(a)及び図9(b)に示すように、シール部材40は、キャップ20の段差面12と上端部14の上端14aとによって挟持されて、上下方向に圧縮されるとともに、例えば、キャップ20の径方向における外側に膨出した状態となる。すなわち、シール部材40は、キャップ20が所定の位置よりも更に下方に螺進するのに伴って、弾性変形しながら(圧縮状態となりながら)キャップ20の段差面12と上端部14の上端14aとにそれぞれ全周に亘って密着した状態となる。これにより、シール部材40によって、キャップ20と管状本体10との間の気密が良好に保たれることとなる。
【0039】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0040】
例えば、上記においては、第1係合部31と第2係合部35とが係合して互いに乗り超えることによってクリック感が生じる例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、理化学用保存容器100において、キャップ20の下端20aと管状本体10の上端部14とを連結している連結部が形成されており、キャップ20の回し始めの際に、当該連結部が破断することによってクリック感が生じるように構成されていてもよい。
【0041】
また、上記においては、第1係合部31と第2係合部35とが上下方向に相対的に移動する際に、第1係合部31と第2係合部35とが径方向において互いに乗り超えることによってクリック感が生じる例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、理化学用保存容器100は、第1係合部31と第2係合部35とが周方向に相対的に移動する際に、第1係合部31と第2係合部35とが径方向において互いに乗り超えることによってクリック感が生じるように構成されていてもよい。
【0042】
また、上記においては、第1係合部31は第1突起部32であり、第2係合部35は第2突起部36である例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、第1係合部31と第2係合部35とのいずれか一方が凹部であり、第1係合部31と第2係合部35とのいずれか他方が突起部であってもよい。この場合、また、キャップ20を管状本体10に対して装着する際に、上記突起部が上記凹部に対して係合することによってクリック感が生じる。また、キャップ20を管状本体10から取り外すときに、上記突起部が上記凹部に対して係合している状態から離脱することによってクリック感が生じる。
【0043】
また、上記においては、第1係合部31がキャップ20の内周面(又は外周面)に形成されており、第2係合部35が上端部14の外周面(又は内周面)に形成されている例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、例えば、キャップ20の下端20aに第1係合部31が形成されており、段差面12に第2係合部35が形成されていてもよい。
この場合、第1係合部31と第2係合部35とのいずれか一方が凹部であり、第1係合部31と第2係合部35とのいずれか他方が突起部であることが好ましい。そして、キャップ20が管状本体10に対して装着されている状態において、上記突起部は上記凹部に対して係合しており、回し始めの際に、上記突起部が上記凹部に対して係合している状態から離脱することによってクリック感が生じる。
【0044】
また、上記においては、理化学用保存容器100は、シール部材40を備えており、シール部材40がキャップ20と管状本体10との間で圧縮状態で保持されることによって気密を保つ例を説明した。ただし、本発明は、この例に限らず、理化学用保存容器100がシール部材40を有していなくてもよい。
【0045】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)底面と上端開口とを有する樹脂製の管状本体と、
前記管状本体の上端部に対して着脱可能に螺合して前記上端開口を気密に閉止するキャップと、
を備え、
前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、回し始めの際にクリック感が生じるように構成されている理化学用保存容器。
(2)前記キャップには第1係合部が形成されており、
前記管状本体の前記上端部には前記第1係合部に対して係合する第2係合部が形成されており、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合して互いに乗り超えることによって前記クリック感が生じる(1)に記載の理化学用保存容器。
(3)前記第1係合部は第1突起部であり、
前記第2係合部は第2突起部である(2)に記載の理化学用保存容器。
(4)前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、前記クリック感が生じた後で気密が破れるように構成されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の理化学用保存容器。
(5)前記キャップによる閉止時に前記キャップと前記管状本体との間で圧縮状態で保持されることによって気密を保つシール部材を備え、
前記管状本体からの前記キャップの取り外しのときに、前記クリック感が生じるまでの間は、前記シール部材が前記圧縮状態に維持される(4)に記載の理化学用保存容器。
(6)前記管状本体に対する前記キャップの装着のときに、前記螺合の完了の際に前記クリック感が生じるように構成されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の理化学用保存容器。
(7)前記管状本体に対する前記キャップの装着の際には、前記クリック感が生じた後、更に、前記キャップが前記管状本体の前記上端部に対して螺進可能である(6)に記載の理化学用保存容器。
【符号の説明】
【0046】
10 管状本体
11 胴部
12 段差面
13 底部
14 上端部
14a 上端
131 底面
132 スカート部
132a 下縁
17 上端開口
20 キャップ
20a 下端
21 閉塞部
21a 上面
21b 下面
22 装着部
31 第1係合部
32 第1突起部
35 第2係合部
36 第2突起部
40 シール部材
51 中栓部
52 円筒部
53 雄ネジ部
100 理化学用保存容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9