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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】回転操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H01H19/00 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020045710
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150036
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】泉 龍一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佳博
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-182671(JP,A)
【文献】特開2013-191058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 - 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、
前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、
第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、
前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、
前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され
前記ツマミが、前記凹部を有し、前記回転軸の第一端部に取り付けられる導電性のツマミ本体と、前記凹部の底面に重ねて配された状態で前記ツマミ本体に固定される導電性のプレート部材と、を備え、
前記弾性体及び前記プレート部材は、金属製部材からなり、
前記ツマミ本体が、樹脂製部材の表面に導電性のメッキを施して形成されている回転操作装置。
【請求項2】
前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、
前記弾性体の第二端は、前記タッチセンサーを含み、前記回転軸の第二端部側に設けられたベース部に固定される請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項3】
回転軸と、
軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、
前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、
第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、
前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、
前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され
前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、
前記弾性体の第二端は、前記タッチセンサーを含み、前記回転軸の第二端部側に設けられたベース部に固定される回転操作装置。
【請求項4】
前記弾性体は、前記回転軸の外側を囲むコイルばねであり、
前記弾性体の第二端は、前記ベース部に半田付けによって固定される請求項2又は請求項3に記載の回転操作装置。
【請求項5】
前記回転軸の軸方向において前記ベース部と前記ツマミとの間に配されて前記ベース部を覆うカバー部材を有する、請求項2から請求項4いずれか1項に記載の回転操作装置。
【請求項6】
前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、
前記弾性体の第一端の径寸法は、前記弾性体の第二端の径寸法よりも大きい請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回転操作装置。
【請求項7】
回転軸と、
軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、
前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、
第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、
前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、
前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され
前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、
前記弾性体の第一端の径寸法は、前記弾性体の第二端の径寸法よりも大きい回転操作装置。
【請求項8】
前記回転軸の第二端部側に設けられ、前記回転軸の回転位置を検出する回転位置検出部をさらに備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転操作装置。
【請求項9】
前記回転軸は非導電性である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の回転操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸(操作軸)と、回転軸の上端部に取り付けられたツマミと、を備える回転操作装置が開示されている。特許文献1の回転操作装置では、操作者の手指がツマミに触れたことを検出できるように、回転軸及びツマミが導電性を有すると共に、ツマミへの接触を検出するタッチセンサーの電極と回転軸の下端部との間に導電性の弾性体(コイルばね)が介在している。これにより、ツマミとタッチセンサーとが、回転軸及び弾性体を介して電気的に接続される。特許文献1の回転操作装置において回転軸が回転する際には、回転軸の下端部と弾性体とが擦れ合い、また、弾性体とタッチセンサーの電極とが擦れ合う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3847684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の回転操作装置では、互いに擦れ合う弾性体と回転軸との接点に塵埃や水滴が付着しやすい。当該接点に塵埃や水滴が付着すると、ツマミとタッチセンサーとの電気的な接続に不良が発生しやすくなる、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ツマミとタッチセンサーとの電気的な接続不良を抑制できる回転操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、回転軸と、軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され、前記ツマミが、前記凹部を有し、前記回転軸の第一端部に取り付けられる導電性のツマミ本体と、前記凹部の底面に重ねて配された状態で前記ツマミ本体に固定される導電性のプレート部材と、を備え、前記弾性体及び前記プレート部材は、金属製部材からなり、前記ツマミ本体が、樹脂製部材の表面に導電性のメッキを施して形成されている回転操作装置である。
本発明の他の態様は、回転軸と、軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され、前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、前記弾性体の第二端は、前記タッチセンサーを含み、前記回転軸の第二端部側に設けられたベース部に固定される回転操作装置である。
本発明の他の態様は、回転軸と、軸方向における前記回転軸の第一端部に設けられて前記回転軸を回転させる導電性のツマミと、前記回転軸の第二端部側に設けられて前記ツマミへの接触を検出するタッチセンサーと、第一端が前記ツマミに接続され、第二端が前記タッチセンサーに接続される導電性の弾性体と、を備え、前記ツマミには、前記回転軸の軸方向において前記回転軸の第二端部側に向く面から前記軸方向に窪む凹部が形成され、前記弾性体の第一端側の部位は、前記凹部に挿入され、前記弾性体は、筒状に形成されて、前記回転軸の外側を囲むように配され、前記弾性体の第一端の径寸法は、前記弾性体の第二端の径寸法よりも大きい回転操作装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ツマミとタッチセンサーとの電気的な接続不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る回転操作装置を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る回転操作装置を示す断面図である。
図3図1,2の回転操作装置のツマミを示す分解斜視図である。
図4図1,2の回転操作装置の弾性体を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る回転操作装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1~5を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2,5に示すように、本実施形態に係る回転操作装置1は、回転軸2と、ツマミ3と、タッチセンサー41と、弾性体5と、を備える。本実施形態の回転操作装置1は、タッチセンサー41を含むベース部4を備える。
【0010】
図1,2に示すように、回転軸2は、軸方向(図1,2において上下方向)に延びる棒状に形成されている。回転軸2は、ベース部4に対して回転軸2の軸周りに回転可能に取り付けられている。回転軸2は、ベース部4から軸方向の一方側に延びている。言い換えれば、回転軸2の軸方向の基端部22(第二端部)側に、ベース部4が設けられている。本実施形態の回転軸2は、非導電性である。具体的に、回転軸2は、プラスチック等のように電気的な絶縁性を有する樹脂製部材からなる。なお、回転軸2は、例えば金属などの導電性を有する材料によって構成されてもよい。
【0011】
ツマミ3は、回転軸2を回転させるために回転操作装置1の操作者が手指で摘まむ部材であり、導電性を有する。図1~3に示すように、本実施形態のツマミ3は、導電性のツマミ本体31及びプレート部材32を備える。
ツマミ本体31は、回転軸2の軸方向から見て回転軸2よりも大きい。ツマミ本体31は、回転軸2の軸方向の先端部21(第一端部)に設けられる。具体的に、ツマミ本体31には挿入孔33が形成されている。挿入孔33は、回転軸2の基端部22側(ベース部4側)に向くツマミ本体31の端面31aから窪む有底の孔である。回転軸2の先端部21がツマミ本体31の挿入孔33に挿入されることで、ツマミ本体31が回転軸2の先端部21に取り付けられる。回転軸2に取り付けられたツマミ本体31は、回転軸2に固定され、回転軸2と共に回転軸2の軸周りに回転可能となる。
【0012】
ツマミ本体31には、ツマミ本体31の端面31aから窪む凹部34が形成されている。凹部34は、挿入孔33(回転軸2)の軸方向から見て挿入孔33の外側を囲む環状に形成されている。ツマミ本体31には、凹部34の内周面から窪む複数(図示例では二つ)の係止溝35が形成されている。複数の係止溝35は、それぞれツマミ本体31の端面31aに開口し、凹部34の周方向に間隔をあけて並んでいる。
ツマミ本体31は、例えば金属製部材であってもよいが、本実施形態ではプラスチック等の樹脂製部材の表面に導電性のメッキを施して形成されている。
【0013】
プレート部材32は、ツマミ本体31の凹部34の底面34aに重ねて配された状態でツマミ本体31に固定される。本実施形態のプレート部材32は、平板部36と、平板部36から延びる複数(図示例では二つ)の係止片37と、を有する。平板部36は、凹部34の底面34aに対応する環状に形成され、凹部34の底面34aに重ねて配される。平板部36の厚さ方向は、凹部34の底面34aに対して平板部36が重なる方向である。複数の係止片37は、それぞれ平板部36の外縁から平板部36の厚さ方向の一方側に延び、平板部36の周方向に間隔をあけて並ぶ。複数の係止片37は、それぞれ平板部36に対してその径方向に弾性的に変位可能である。
プレート部材32は、金属製部材からなる。本実施形態のプレート部材32は、リン青銅からなる部材の表面にニッケルメッキを施して形成されている。
【0014】
プレート部材32は、ツマミ本体31の凹部34に挿入されることでツマミ本体31に取り付けられる。プレート部材32をツマミ本体31に取り付けた状態では、平板部36が凹部34の底面34aに重なり、複数の係止片37がそれぞれ複数の係止溝35に挿入される。この状態では、複数の係止片37が、係止片37の弾性力によって凹部34の内周面をなす係止溝35の内面に押し付けられる。これにより、プレート部材32がツマミ本体31の凹部34内に保持され、プレート部材32の平板部36が凹部34の底面34aに対して擦れるように動くことを防止できる。
【0015】
図5に示すタッチセンサー41は、ツマミ3に対する操作者の手指(人体)の接触の有無を検出する。本実施形態のタッチセンサー41は、信号生成部411と、検出部412と、を備える。信号生成部411は、タッチセンス信号を生成する。タッチセンス信号は、例えば所定の時間間隔で生成されるパルス信号である。信号生成部411は、タッチセンス信号を検出部412に出力する。検出部412は、後述する弾性体5を介してツマミ3と電気的に接続される。検出部412は、タッチセンス信号に対してツマミ3と人体との間に生じる静電容量に応じて出力される信号に基づいて、ツマミ3への接触の有無を検出する。
図示しないが、タッチセンサー41は回転軸2の基端部22側に設けられる。本実施形態において、タッチセンサー41は、回転軸2の基端部22側に取り付けられたベース部4に含まれることで、回転軸2の基端部22側に位置する(図1,2参照)。
【0016】
図1,2に示すように、回転軸2の基端部22側に取り付けられるベース部4は、上記したタッチセンサー41の他に、回路基板42と、回転位置検出部43と、を備える。図示しないが、タッチセンサー41(特に検出部412)は、回路基板42に実装され、回路基板42の配線(不図示)に接続されている。
【0017】
回転位置検出部43は、タッチセンサー41と同様に、回路基板42に実装され、回路基板42の配線に接続されている。回転位置検出部43は、回転軸2の基端部22側に設けられており、回転軸2の回転位置(あるいは回転角度)を検出する。回転位置検出部43は、例えば光学的な原理や、磁気的な原理を利用したものであってよい。
【0018】
弾性体5は、導電性を有する。本実施形態の弾性体5は、金属製部材からなる。弾性体5は、例えばベリリウム鋼からなる。
図4に示すように、本実施形態の弾性体5は、筒状に形成されたコイルばねである。軸方向における弾性体5の第一端51の径寸法D1は、弾性体5の第二端52の径寸法D2よりも大きい。弾性体5の径寸法は、その軸方向において第一端51から第二端52に向かうにしたがって徐々に小さくなる。なお、弾性体5の径寸法は、例えば弾性体5の径方向において一定であってもよい。
本実施形態の弾性体5は、その第二端52から軸方向に延びる延長線部53を有する。本実施形態において、延長線部53は弾性体5の第二端52に含まれるものとする。
【0019】
図1,2に示すように、弾性体5は、弾性体5の第一端51がツマミ3に接続されるように、かつ、弾性体5の第二端52がタッチセンサー41の検出部412に接続されるように配される。すなわち、弾性体5は、ツマミ3とタッチセンサー41とを電気的に接続する。
【0020】
具体的に、弾性体5は、回転軸2の外側を囲むように配され、回転軸2の先端部21に設けられたツマミ3と、回転軸2の基端部22側に設けられたベース部4の回転位置検出部43との間に挟まれる。この状態において、弾性体5の第一端51側の部位は、ツマミ3の凹部34に挿入される。また、弾性体5の第一端51は、弾性体5の弾性力によってツマミ本体31の凹部34の底面34aに重なるプレート部材32の平板部36に押し付けられ、ツマミ3に接続される。一方、弾性体5の第二端52は、弾性体5の弾性力によって回転位置検出部43に押し付けられる。また、弾性体5の第二端52をなす延長線部53が、回転位置検出部43から回路基板42まで延び、回路基板42に半田付けによって固定される。これにより、弾性体5の第二端52が、回路基板42の配線を介してタッチセンサー41の検出部412に接続される。
以上のことから、ツマミ本体31とタッチセンサー41の検出部412とが、プレート部材32、弾性体5及び回路基板42の配線を介して電気的に接続される。
【0021】
本実施形態の回転操作装置1は、カバー部材6をさらに備える。カバー部材6は、回転軸2の軸方向においてベース部4とツマミ3との間に配されてベース部4を覆う。カバー部材6には、回転軸2及び弾性体5を挿通させる挿通孔61が形成されている。回転軸2の軸方向から見た挿通孔61の大きさは、回転軸2や弾性体5よりも大きく、かつ、ツマミ3よりも小さい。すなわち、カバー部材6の挿通孔61はツマミ3によって覆われる。カバー部材6は、例えばベース部4を収容するケースを構成してもよい。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の回転操作装置1によれば、弾性体5が回転軸2を介さずにツマミ3に直接接続されている。すなわち、互いに擦れ合うツマミ3と弾性体5の第一端51との接点が、カバー部材6の外側で回転軸2の先端部21側に位置する。また、ツマミ3と弾性体5の第一端51との接点は、ツマミ3の凹部34の底面34aに位置するため、ツマミ3の外側に露出しない。これにより、塵埃や水滴がツマミ3の凹部34に入り難くなる。図2に例示するように、ツマミ3の凹部34が下方に向けられている場合、また、凹部34が開口するツマミ3の端面31aがカバー部材6に対向し、かつ、ツマミ3の端面31aとカバー部材6との間隔が小さい場合には、塵埃や水滴が特にツマミ3の凹部34に入り難くなる。このため、塵埃や水滴は、ツマミ3と弾性体5の第一端51との接点に付着し難くなる。したがって、ツマミ3とタッチセンサー41との電気的な接続不良が発生することを抑制できる。
【0023】
また、本実施形態の回転操作装置1では、ツマミ3が、凹部34を有する導電性のツマミ本体31と、凹部34の底面34aに重ねて配された状態でツマミ本体31に固定された導電性のプレート部材32と、を備える。このため、ツマミ3を回転させた際には、凹部34に挿入された弾性体5の第一端51とプレート部材32とが擦れ合い、ツマミ3のうちプレート部材32だけが摩耗する。したがって、ツマミ3の摩耗に基づくツマミ3と弾性体5との電気的な接続不良が発生しても、ツマミ3のうちプレート部材32だけを交換して、ツマミ3と弾性体5との電気的な接続不良を安価かつ簡単に解消することができる。
【0024】
また、本実施形態の回転操作装置1では、弾性体5及びプレート部材32が金属製部材からなる。このため、弾性体5の第一端51とプレート部材32とが擦れ合って摩耗しても、弾性体5とプレート部材32との電気的な接続を確保することができる。なお、弾性体5やプレート部材32が樹脂製部材に導電性のメッキを施して形成される場合には、弾性体5とプレート部材32とが擦れ合うことでメッキが剥がれやすくなるため、弾性体5とツマミ3との電気的な接続の確保が難しい。
ツマミ本体31は樹脂製部材の表面に導電性のメッキを施して形成されているが、ツマミ本体31の凹部34の底面34aには、金属製部材からなるプレート部材32が重ねて固定されている。このため、ツマミ3を回転させてもプレート部材32がツマミ本体31の表面(特に凹部34の底面34a)に対して擦れることがない。このため、ツマミ本体31に施されたメッキが剥がれることを抑制又は防止して、ツマミ本体31とプレート部材32との電気的な接続を確保することができる。
以上のことから、ツマミ3(特にツマミ本体31)と弾性体5との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0025】
また、本実施形態の回転操作装置1では、ツマミ本体31が樹脂製部材の表面に導電性のメッキを施して形成されている。このため、ツマミ本体31を金属製部材で形成する場合と比較してツマミ3を安価に製造することができ、また、ツマミ3の軽量化も図ることができる。ツマミ3の軽量化を図ることで、ツマミ3をより小さな力で回転させることができる。
【0026】
また、本実施形態の回転操作装置1では、プレート部材32がリン青銅からなる部材の表面にニッケルメッキを施して形成されている。すなわち、プレート部材32は、金属製部材の表面に当該金属製部材とは別の金属材料のメッキを施して形成されているため、当該メッキは剥がれにくい。また、弾性体5は、ニッケルよりも硬度の低いベリリウム鋼からなる。このため、弾性体5の第一端51とプレート部材32とが擦れ合っても、プレート部材32のニッケルメッキが剥がれることを抑制できる。
【0027】
また、本実施形態の回転操作装置1では、筒状の弾性体5が回転軸2の外側を囲むように配され、弾性体5の第二端52がベース部4に固定される。このため、回転軸2及びツマミ3を回転させた際には、弾性体5の第一端51だけがツマミ3に対して擦れ、弾性体5の第二端52がベース部4に対して擦れることはない。弾性体5の擦れる箇所が減ることで、回転操作装置1の保守点検(例えばツマミ3とタッチセンサー41との接続不良を解消するための修理)を簡単に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態の回転操作装置1では、弾性体5の第二端52が回路基板42(ベース部4)に半田付けによって固定されている。このため、弾性体5の第二端52を簡単かつ確実に回路基板42に固定することができる。また、弾性体5の第二端52がタッチセンサー41に接続された回路基板42の配線に半田付けされることで、弾性体5とタッチセンサー41との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
【0029】
また、本実施形態の回転操作装置1では、ツマミ3側に位置する弾性体5の第一端51の径寸法D1が、ベース部4側に位置する弾性体5の第二端52の径寸法D2よりも大きい。このため、環状とされた凹部34の底面34aに対する弾性体5の第一端51の接触面積をより大きくすることができる。これにより、ツマミ3と弾性体5との電気的な接続の信頼性を向上することができる。
また、回転軸2の外側を囲むように筒状の弾性体5を配した状態では、弾性体5の第二端52側の部位を回転軸2の外周に触れさせることで、弾性体5を回転軸2に対して位置決めしながら、弾性体5の第一端51側の部位が回転軸2の外周に触れることを抑制又は防止することができる。
【0030】
また、本実施形態の回転操作装置1では、回転位置検出部43が回転軸2の基端部22側に設けられている。このため、回転位置検出部43が回転軸2の先端部21側(ツマミ3側)に設けられる場合と比較して、ツマミ3の小型軽量化を図ることができる。
【0031】
また、本実施形態の回転操作装置1では、回転軸2が非導電性である。このため、弾性体5が回転軸2に触れても、タッチセンサー41による検出の誤動作が発生することを抑制することができる。例えば回転軸2が導電性である場合には、弾性体5と回転軸2とが断続的に接触して電気的に接続されると、タッチセンサー41による誤動作が発生しやすくなる。
また、本実施形態の回転操作装置1では、回転軸2が金属製部材よりも軽量な樹脂製部材からなる。このため、回転軸2の軽量化を図って回転軸2をより小さな力で回転させることができる。
【0032】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0033】
本発明の回転操作装置において、ツマミ3は、例えばツマミ本体31のみによって構成されてもよい。すなわち、弾性体5の第一端51は、ツマミ本体31の凹部34の底面34aに直接押し付けられてもよい。
【0034】
本発明の回転操作装置において、弾性体5の第二端52は、例えばベース部4に固定されなくてもよい。
【0035】
本発明の回転操作装置において、弾性体5は、回転軸2の外側を囲むように配置されることに限らず、例えば回転軸2の隣に配置されてもよい。この場合、弾性体5の第一端51側の部位が挿入されるツマミ3の凹部34は、挿入孔33(回転軸2)に対して間隔をあけて位置してよい。
【0036】
本発明の回転操作装置1において、弾性体5は、少なくともツマミ3とタッチセンサー41とを電気的に接続するための導電性、及び、弾性体5をツマミ3に押し付けるための弾性を有していればよく、例えば導電性を有するゴムなどであってもよい。
【0037】
本発明の回転操作装置1は、例えば、回転軸2をベース部4側に押し込む押しボタンスイッチの機能を有してもよい。すなわち、回転軸2がベース部4に対して回転軸2の軸方向に移動可能であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…回転操作装置、2…回転軸、21…先端部(第一端部)、22…基端部(第二端部)、3…ツマミ、31…ツマミ本体、31a…端面、32…プレート部材、34…凹部、34a…底面、4…ベース部、41…タッチセンサー、43…回転位置検出部、5…弾性体、51…第一端、52…第二端、D1…第一端51の径寸法、D2…第二端52の径寸法
図1
図2
図3
図4
図5