(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コンデンサユニットおよび電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H01G 4/32 20060101AFI20240214BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240214BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240214BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240214BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20240214BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240214BHJP
【FI】
H01G4/32 540
H01G2/10 C
H01G4/38 A
H01G4/40 304A
H01G4/40 321A
H02M3/00 Y
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020049641
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 礼斗史
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220789(JP,A)
【文献】特開2007-035526(JP,A)
【文献】特開2020-017669(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204065(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02-2/06
H01G 2/10
H01G 4/00-4/10
H01G 4/14-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
H02M 3/00
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に電極が設けられたフィルムコンデンサ素子(21,22)と、
前記フィルムコンデンサ素子を収容するものであり、前記電極間に連なる側壁に対向するハウジング壁面(s1)に、ワイヤを保持するクランプ部(30)が設けられたハウジング(10)と、を備え、
前記ハウジング壁面には、前記ワイヤに接続されたコネクタを保持するコネクタ保持部(11)が設けられており、
前記クランプ部は、前記ハウジング壁面において、前記クランプ部の中心が、前記フィルムコンデンサ素子の前記電極間の中心である素子中心からずれた位置
、かつ、前記素子中心よりも、前記コネクタ保持部に近い位置に設けられているコンデンサユニット。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ハウジング壁面と連なる面(s2)に、周辺よりも突出した突部(13)が設けられており、
前記クランプ部は、前記突部と一体的に設けられている請求項
1に記載のコンデンサユニット。
【請求項3】
前記クランプ部は、前記フィルムコンデンサ素子の長手方向に沿う前記側壁に対向する前記ハウジング壁面に設けられている請求項1
または2に記載のコンデンサユニット。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のコンデンサユニットと、
前記フィルムコンデンサ素子と電気的に接続された半導体装置(310)と、
前記フィルムコンデンサ素子と電気的に接続されたリアクトル(320)と、
を備えている電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサユニット、およびコンデンサユニットを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、コンデンサケースと、コンデンサケースに収容されたコンデンサ素子と、ワイヤを保持するホルダを備えたコンデンサユニットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンデンサユニットは、コンデンサ素子としてフィルムコンデンサを用いることが考えられる。この場合、コンデンサユニットは、コンデンサ素子への電荷の出し入れに伴って、コンデンサ素子の側壁が変形する。そして、コンデンサユニットは、コンデンサ素子への電荷の出し入れが繰り返されることで、コンデンサ素子の側壁が振動する。
【0005】
また、コンデンサユニットは、コンデンサ素子が振動に応じて、コンデンサケースおよびホルダも振動することがある。このため、コンデンサユニットは、コンデンサ素子の振動がコンデンサケースおよびホルダを介してワイヤに伝達され、ワイヤが振動するという問題がある。
【0006】
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、ワイヤの揺れを抑制できるコンデンサユニットおよび電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示は、
両端に電極が設けられたフィルムコンデンサ素子(21,22)と、
フィルムコンデンサ素子を収容するものであり、電極間に連なる側壁に対向するハウジング壁面(s1)に、ワイヤを保持するクランプ部(30)が設けられたハウジング(10)と、を備え、
ハウジング壁面には、ワイヤに接続されたコネクタを保持するコネクタ保持部(11)が設けられており、
クランプ部は、ハウジング壁面において、クランプ部の中心が、フィルムコンデンサ素子の電極間の中心である素子中心からずれた位置、かつ、素子中心よりも、コネクタ保持部に近い位置に設けられているコンデンサユニット。
【0008】
本開示は、ハウジング壁面において、クランプ部の中心がフィルムコンデンサ素子の電極間の素子中心からずれた位置に、クランプ部が設けられている。これによって、本開示は、クランプ部をフィルムコンデンサ素子の振動の腹からずらすことができる。よって、本開示は、クランプ部に保持されるワイヤの揺れを抑制できる。
【0009】
本開示の他のひとつは、
コンデンサユニットと、
フィルムコンデンサ素子と電気的に接続された半導体装置(310)と、
フィルムコンデンサ素子と電気的に接続されたリアクトル(320)と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
なお、特許請求の範囲、および、この項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態におけるコンデンサユニットの概略構成を示す平面図である。
【
図2】実施形態におけるワイヤクランプ部の概略構成を示す拡大図である。
【
図3】実施形態におけるコンデンサユニットのワイヤを保持した状態を示す平面図である。
【
図4】実施形態におけるコンデンサユニットの概略構成を示す背面図である。
【
図5】実施形態におけるコンデンサユニットの概略構成を示す側面図である。
【
図6】実施形態におけるコンデンサユニットの概略構成を示す上面図である。
【
図7】実施形態におけるコンデンサユニットの概略構成を示す底面図である。
【
図8】変形例1におけるコンデンサユニットの概略構成を示す側面図である。
【
図9】変形例2におけるコンデンサユニットの概略構成を示す側面図である。
【
図10】変形例3における電力変換装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0013】
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面、Y方向とZ方向とによって規定される平面をYZ平面と示す。
【0014】
(実施形態)
図1~
図7を用いて、本実施形態のコンデンサユニット100に関して説明する。
【0015】
まず、
図1、
図2、3を用いて、ワイヤ210,220が取り付けられていない状態のコンデンサユニット100に関して説明する。コンデンサユニット100は、ハウジング10と、コンデンサ装置20とを備えている。コンデンサユニット100は、ワイヤ210,220を保持可能に構成されている。
【0016】
ハウジング10は、樹脂を主成分として構成されている。よって、ハウジング10は、樹脂ケースともいえる。ハウジング10は、コネクタ保持部11、ワイヤクランプ部30などを有している。また、ハウジング10は、複数のバスバ端子41~44が取り付けられる部位を有している。バスバ端子41~44に関しては、後ほど説明する。
【0017】
コネクタ保持部11は、ワイヤ210,220の端部に設けられた第1コネクタ51、第3コネクタ53を保持する部位である。コネクタ保持部11は、ハウジング側壁s1から突出した部位である。コネクタ保持部11は、ハウジング10のハウジング側壁s1の上端に設けられている。また、本実施形態では、ハウジング10のハウジング側壁s1から、ハウジング側壁s1に連なる面にわたって設けられたコネクタ保持部11を採用している。
【0018】
ハウジング側壁s1は、ハウジング壁面に相当する。ハウジング側壁s1は、後ほど説明する収容部12に、コンデンサ素子21,22が収容された状態で、コンデンサ素子21,22の電極間に連なる側壁に対向する面である。
【0019】
収容部12は、コンデンサ装置20を収容する部位である。つまり、ハウジング10は、コンデンサ素子21,22を収容するものである。収容部12は、周辺よりも窪んだ部位である。本実施形態では、Y方向に窪んだ収容部12を採用している。収容部12は、コンデンサ装置20の外径よりも大きい収容空間を有している。これは、コンデンサ素子21,22を封止樹脂23で封止するためである。
【0020】
コンデンサ装置20は、第1コンデンサ素子21、第2コンデンサ素子22を有している。各コンデンサ素子21,22は、フィルムコンデンサ素子に相当する。各コンデンサ素子21,22は、両端に電極が設けられている。
図1では、第1コンデンサ素子21の一方の電極である第1電極21aと、第2コンデンサ素子22の一方の電極である第2電極22aのみを図示している。第1コンデンサ素子21は、第1電極21aと他方の電極が対向配置されている。第2コンデンサ素子22は、第2電極22aと他方の電極が対向配置されている。
【0021】
コンデンサ素子21,22は、XZ平面において、角部が丸められた長方形をなしている。このため、コンデンサ素子21,22は、Z方向が長手方向であり、X方向が短手方向となる。また、コンデンサ素子21,22は、Y方向に厚みを有している。なお、コンデンサ素子21,22は、XZ平面において俵形状をなしているともいえる。しかしながら、本開示におけるコンデンサ素子21,22の形状は、これに限定されない。
【0022】
第1コンデンサ素子21は、第1電極21aと他方の電極に連なる側壁が環状に設けられている。第1コンデンサ素子21は、長手方向に沿う側壁がYZ平面と平行に設けられており、短手方向に沿う側壁がXY平面に平行に設けられている。第2コンデンサ素子22も同様に側壁が設けられている。
【0023】
コンデンサ装置20は、各コンデンサ素子21,22の一方の電極21a,22aが収容部12の開口端側に配置され、他方の電極が収容部12の底に配置されるように収容される。よって、各コンデンサ素子21,22は、収容部12に収容された状態で、第1電極21aと第2電極22aが露出した状態となる。つまり、コンデンサ素子21,22は、収容部12に縦置きに配置されているといえる。
【0024】
また、
図3に示すように、コンデンサユニット100は、収容部12に各コンデンサ素子21,22が収容された状態で、収容部12に封止樹脂23が挿入される。封止樹脂23は、ポッティング材である。各コンデンサ素子21,22は、封止樹脂23で封止されている。各コンデンサ素子21,22は、第1電極21aや第2電極22aなどの各電極がバスバ端子41~44と電気的に接続されている。各バスバ端子41~44は、一部が封止樹脂23で覆われており、他の部位が封止樹脂23から露出している。これによって、各コンデンサ素子21,22は、封止樹脂23で覆われつつ、外部装置と電気的に接続可能となる。
【0025】
なお、本実施形態では、二個のコンデンサ素子21,22を収容可能なハウジング10を作用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、コンデンサ素子を一個のみを収容可能なハウジングや、三個以上のコンデンサ素子を収容可能なハウジングであっても採用できる。
【0026】
ワイヤクランプ部30は、クランプ部に相当する。ワイヤクランプ部30は、ハウジング10におけるハウジング側壁s1に設けられている。本実施形態では、一例として、コンデンサ素子21,22の長手方向における側壁に対向するハウジング側壁s1に設けられたワイヤクランプ部30を採用している。ワイヤクランプ部30は、ワイヤ210,220を保持する部位である。なお、ワイヤ210,220は、コンデンサ素子21,22と電気的に接続されていてもよい。
【0027】
図2に示すように、ワイヤクランプ部30は、ハウジング側壁s1からX方向に突出して設けられている。本実施形態では、一例として、第1爪部31、第2爪部32、第3爪部33、第4爪部34を有するワイヤクランプ部30を採用している。各爪部31~34は、弾性体である。ワイヤクランプ部30は、隣り合う各爪部31~34同士でワイヤ210,220を挟み込むことで、ワイヤ210,220を保持する。本実施形態では、第2爪部32と第3爪部33とで第1ワイヤ210を保持し、第3爪部33と第4爪部34で第2ワイヤ220を保持するワイヤクランプ部30を採用している。
【0028】
隣り合う爪部31~34との間隔は、先端側が奥側よりも狭く形成されている。また、各爪部31~34は、ワイヤ210,220の外径に沿うように曲面形状の保持部を有している。保持部は、隣り合う爪部31~34と対向する部位に設けられている。隣り合う爪部31~34との間隔は、保持部が形成されることで、先端側が奥側よりも狭く形成されているといえる。
【0029】
ワイヤクランプ部30は、隣り合う爪部31~34の保持部間にワイヤ210,220を保持する。例えば、ワイヤクランプ部30は、第2爪部32の保持部と、第3爪部33の保持部との間に第1ワイヤ210を保持する。なお、先端側は、ハウジング側壁s1から最も遠い側がである。奥側は、先端よりもハウジング側壁s1に近い側である。
【0030】
例えば、ワイヤクランプ部30は、第2爪部32と第3爪部33との間に、先端側から第1ワイヤ210を押し込む。第2爪部32と第3爪部33は、第1ワイヤ210が押し込まれることで弾性変形して、第2爪部32と第3爪部33との間隔が広がる。このとき、第2爪部32と第3爪部33は、特に、先端側の間隔が広がる。
【0031】
そして、第2爪部32と第3爪部33は、さらに第1ワイヤ210が押し込まれることで、第2爪部32の保持部と第3爪部33の保持部との間に第1ワイヤ210が配置される。第1ワイヤ210は、第2爪部32と第3爪部33の復元力によって保持される。なお、ワイヤクランプ部30は、第2ワイヤ220に関しても同様に保持される。
【0032】
図1に示すように、ワイヤクランプ部30は、ハウジング側壁s1において、ワイヤクランプ部30の中心が、コンデンサ素子21,22の電極間の中心である素子中心からずれた位置に設けられている。
図1における符号c1は、素子中心を通る仮想直線であるコンデンサ中心線である。一方、符号c2は、ワイヤクランプ部30の中心を通る仮想直線であるクランプ中心線である。特に、コンデンサ中心線c1は、各コンデンサ素子21,22のZ方向における中心を通る仮想直線である。また、クランプ中心線c2は、ワイヤクランプ部30のZ方向における中心を仮想直線である。これら両中心線c1,c2は、ハウジング側壁s1に直交する仮想直線である。
【0033】
ワイヤクランプ部30は、少なくともZ方向において、コンデンサ素子21,22の電極間の中心に対してずれていればよい。また、コンデンサ中心線c1は、各コンデンサ素子21,22が電荷の出し入れで振動した場合の振動の腹を通る仮想直線ともいえる。
【0034】
ここで、
図3~
図7を用いて、ハウジング10にワイヤ210,220が取り付けられた状態のコンデンサユニット100に関して説明する。
【0035】
コンデンサユニット100は、ワイヤクランプ部30で第1ワイヤ210と第2ワイヤ220を保持している。第1ワイヤ210は、一方の端部に第1コネクタ51が設けられており、他方の端部に第2コネクタ52が設けられている。第2ワイヤ220は、一方の端部に第3コネクタ53が設けられている。各コネクタ51~53は、コンデンサユニット100の外部に設けられた外部装置と電気的に接続される。
【0036】
図3、
図5、
図6、
図7に示すように、コンデンサユニット100は、第2爪部32と第3爪部33とで第1ワイヤ210を保持し、且つ、コネクタ保持部11で第1コネクタ51を保持している。
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、コンデンサユニット100は、第3爪部33と第4爪部34とで第2ワイヤ220を保持し、且つ、コネクタ保持部11で第3コネクタ53を保持している。
【0037】
図3に示すように、コンデンサユニット100は、Z方向において、ハウジング10の一方側に第1バスバ端子41と第3バスバ端子43が取り付けられており、他方側に第2バスバ端子42と第4バスバ端子44が取り付けられている。第1バスバ端子41と第3バスバ端子43は、コネクタ保持部11に隣り合う位置に取り付けられている。
【0038】
以上のように、コンデンサユニット100は、ハウジング10におけるハウジング側壁s1において、ワイヤクランプ部30の中心がコンデンサ素子21,22の電極間の素子中心からずれた位置に、ワイヤクランプ部30が設けられている。つまり、ワイヤクランプ部30は、自身の中心がコンデンサ素子21,22の電極間の素子中心からずれた状態でハウジング10に設けられている。これによって、コンデンサユニット100は、ワイヤクランプ部30をコンデンサ素子21,22の振動の腹からずらすことができる。よって、コンデンサユニット100は、ワイヤクランプ部30に保持されるワイヤ210,220の揺れを抑制できる。
【0039】
また、コンデンサユニット100は、ワイヤ210,220の揺れを抑制できるため、各コネクタ51~53の接続信頼性を向上することができる。言い換えると、コンデンサユニット100は、ワイヤ210,220が揺れることで、各コネクタ51~53と外部装置との接続信頼性が低下することを抑制できる。
【0040】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例に関して説明する。上記実施形態および変形例は、夫々単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0041】
(変形例1)
図8を用いて、各種変形例に関して説明する。
図8は、コンデンサユニット100をハウジング側壁s1側見た場合の図面である。なお、
図8では、簡略化して図示している。各変形例a~dは、ワイヤクランプ部30の位置が上記実施形態と異なる。それ以外のハウジング10およびワイヤクランプ部30の形状は、上記実施形態と同様である。
【0042】
第1コンデンサ中心線c11と第2コンデンサ中心線c12は、コンデンサ中心線c1と直交する仮想直線である。第1コンデンサ中心線c11は、Z方向におけるコンデンサ素子21,22の中心を通る仮想直線である。第2コンデンサ中心線c12は、Y方向におけるコンデンサ素子21,22の中心を通る仮想直線である。ハウジング10のハウジング側壁s1は、第1コンデンサ中心線c11と第2コンデンサ中心線c12とで四つの領域に区画される。
【0043】
第1クランプ中心線c21と第2クランプ中心線c22は、クランプ中心線c2と直交する仮想直線である。第1クランプ中心線c21は、Z方向におけるワイヤクランプ部30の中心を通る仮想直線である。第2クランプ中心線c22は、Y方向におけるワイヤクランプ部30の中心を通る仮想直線である。
【0044】
変形例aは、ワイヤクランプ部30が四つの領域の右下に設けられている。変形例bは、ワイヤクランプ部30が四つの領域の右上に設けられている。変形例cは、ワイヤクランプ部30が四つの領域の左下に設けられている。変形例dは、ワイヤクランプ部30が四つの領域の左下に設けられている。なお、ワイヤクランプ部30は、全体が各領域に設けられていなくてもよい。例えば、変形例aの場合、ワイヤクランプ部30は、大部分が四つの領域の右下に設けられている。
【0045】
変形例a,dのワイヤクランプ部30は、ハウジング側壁s1において、素子中心よりも、コネクタ保持部11から離れた位置に設けられている。これによって、コンデンサユニット100は、コネクタ保持部11とワイヤクランプ部30との距離を離すことができる。つまり、変形例a,dは、変形例b,cよりも、ワイヤクランプ部30とコネクタ保持部11との距離を離すことができる。よって、コンデンサユニット100は、ハウジング10に対するワイヤ210,220の取付性(組付性)を向上できる。
【0046】
一方、変形例b,cのワイヤクランプ部30は、ハウジング側壁s1において、素子中心よりも、コネクタ保持部11に近い位置に設けられている。これによって、コンデンサユニット100は、コネクタ保持部11とワイヤクランプ部30との距離を近づけることができる。つまり、変形例b,cは、変形例a,dよりも、ワイヤクランプ部30とコネクタ保持部11との距離を近づけることができる。よって、コンデンサユニット100は、コネクタ保持部11の振動を抑制することができる。
【0047】
なお、各変形例a~eのコンデンサユニット100は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0048】
(変形例2)
図9を用いて、変形例2に関して説明する。
図9は、
図8の各変形例と同様の図面である。
【0049】
変形例2のハウジング10は、ハウジング側壁s1からハウジング底壁s2にわたってリブ13が設けられている。リブ13は、周辺よりも突出した部位である。ハウジング10は、リブ13によって、ハウジング側壁s1とハウジング底壁s2とが補強されている。ハウジング側壁s1とハウジング底壁s2は、リブ13が設けられていない面よりも剛性が高い面といえる。ワイヤクランプ部30は、リブ13と一体的に設けられている。なお、リブ13は、突部に相当する。ハウジング底壁s2は、ハウジング側壁s1に連なる面に相当する。
【0050】
このように、コンデンサユニット100は、ワイヤクランプ部30と、剛性が高いハウジング底壁s2とが連続的に設けられている。このため、コンデンサユニット100は、ワイヤクランプ部30の揺れを抑え、ワイヤ210,220の振動をより一層低減できる。なお、各変形例a~eのコンデンサユニット100は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
(変形例3)
図10を用いて、変形例3に関して説明する。
【0052】
電力変換装置300は、コンデンサユニット100と、半導体装置310と、リアクトル320とを備えている。また、電力変換装置300は、第1回路基板331と、第2回路基板332とを備えている。さらに、電力変換装置300は、これらの構成要素が取り付けられた第1ハウジング341と第2ハウジング342とを備えている。
【0053】
コンデンサユニット100は、上記実施形態、変形例1、変形例2で説明したものを採用できる。コンデンサユニット100に保持された第1ワイヤ210は、第1回路基板331と第2回路基板332との電気的に接続されている。詳述すると、第1コネクタ51は、第1回路基板331と電気的に接続されている。第2コネクタ52は、第2回路基板332と電気的に接続されている。
【0054】
半導体装置310は、MOSFETやIGBTなどのスイッチング素子を有するパワーカード311と、パワーカード311を冷却するための冷却器とが一体化されたものである。半導体装置310は、複数のパワーカード311を備えている。各スイッチング素子は、コンデンサ素子21,22と電気的に接続されている。
【0055】
パワーカード311は、スイッチング素子を樹脂封止した本体部から、スイッチング素子と電気的に接続された第1端子312および第2端子313とが突出して設けられている。第1端子312は、第1回路基板331と電気的に接続されている。ここでは、一例として、七個のパワーカード311を備えた半導体装置310を採用している。
【0056】
冷却器は、複数の冷却水路314と、冷却水路314に流れる冷却水の出入口である水路口315とを備えている。つまり、冷却器は、冷却水の入口と出口としての二つの水路口315を備えている。冷却器は、二つの冷却水路314でひとつのパワーカード311を挟み込むように構成されている。冷却器は、冷却水路314に冷却水が流れることで、パワーカード311を冷却している。
【0057】
リアクトル320は、各コンデンサ素子21,22と電気的に接続されている。第1回路基板331および第2回路基板332は、電気絶縁性の基板に配線が形成され、基板に回路素子が実装されたものである。回路素子は、配線と電気的に接続されている。
【0058】
電力変換装置300は、コンデンサ素子21,22と、スイッチング素子と、リアクトル320とが電気的に接続されてコンバータを構成している。また、スイッチング素子は、回路基板331,332からの電気信号によってオンとオフが制御される。
【0059】
電力変換装置300は、コンデンサユニット100を備えている。このため、電力変換装置300は、ワイヤ210,220の揺れを抑制できる。また、電力変換装置300は、ワイヤ210,220の揺れを抑制できるため、第1コネクタ51と第1回路基板331との接続信頼性、第2コネクタ52と第2回路基板332との接続信頼性を向上できる。
【0060】
なお、コンデンサユニット100は、インバータを備えた電力変換装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0061】
10…ハウジング、11…コネクタ保持部、12…収容部、13…リブ、20…コンデンサ装置、21…第1コンデンサ素子、21a…第1電極、22…第2コンデンサ素子、22a…第2電極、23…封止樹脂、30…ワイヤクランプ、31…第1爪部、32…第2爪部、33…第3爪部、34…第4爪部、41…第1バスバ端子、42…第2バスバ端子、43…第3バスバ端子、44…第4バスバ端子、51…第1コネクタ、52…第2コネクタ、53…第3コネクタ、100…コンデンサユニット、210…第1ワイヤ、220…第2ワイヤ、300…電力変換装置、310…半導体装置、311…パワーカード、312…第1端子、313…第2端子、314…冷却水路、315…水路口、320…リアクトル、331…第1回路基板、332…第2回路基板、341…第1ハウジング、342…第2ハウジング、s1…側面、s2…底面、c1…コンデンサ中心線、c11…第1コンデンサ中心線、c12…第2コンデンサ中心線、c2…クランプ中心線、c21…第1クランプ中心線、c22…第2クランプ中心線