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特許7435126空調装置の保守支援システムおよび保守端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】空調装置の保守支援システムおよび保守端末
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240214BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20240214BHJP
   F24F 11/526 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/50
F24F11/526
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020054898
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156454
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翼
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-193292(JP,A)
【文献】特開2000-283532(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105004(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内機を有する空調装置において前記複数の室内機のうちの第1室内機に設けられ、保守員が所持する保守端末との間で無線通信を行う第1通信部と、
前記第1室内機に異常が発生した場合において、前記第1室内機を含む予め設定された案内範囲に前記保守端末が入ったことを前記第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記複数の室内機のうち異常が発生した室内機が前記第1室内機であることを前記保守員に知らせる無線信号を前記第1通信部から前記保守端末に出力させる案内部と、
を備える空調装置の保守支援システム。
【請求項2】
前記案内部は、前記第1通信部と前記保守端末との間の無線通信の信号強度に基づいて前記保守端末が前記案内範囲に入ったことを検知する
請求項1に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項3】
前記案内部は、前記第1室内機に異常が発生した場合に、前記第1室内機において異常が発生したことを表す無線信号を前記第1通信部に、前記案内範囲を含み前記案内範囲より広い範囲に出力させる
請求項1または請求項2に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項4】
前記案内部は、前記複数の室内機のうちの第2室内機に異常が発生した場合において、前記第1室内機の前記案内範囲に前記保守端末が入ったことを前記第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記第2室内機の位置情報を前記第1通信部から前記保守端末に無線通信によって通知させる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項5】
前記第1室内機に異常が発生した場合において、前記案内範囲に前記保守端末が入ったことを前記第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記案内部は、前記複数の室内機のうち異常が発生した室内機が前記第1室内機であることを前記保守員に知らせる案内動作を前記第1室内機に行わせる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項6】
前記案内部は、前記案内動作として予め設定された動作を前記第1室内機のルーバーに行わせる
請求項5に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項7】
前記第1室内機に異常が発生した場合において、前記案内範囲に前記保守端末が入ったことを前記第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記案内部は、前記複数の室内機のうち異常が発生した室内機が前記第1室内機であることを前記保守員に知らせる案内動作を行う
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項8】
前記案内部は、発光する発光部を有し、前記案内動作として前記発光部を発光させる
請求項7に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項9】
前記案内部は、音を発する報知部を有し、前記案内動作として前記報知部から音声を発する
請求項7または請求項8に記載の空調装置の保守支援システム。
【請求項10】
複数の室内機を有する空調装置の保守作業を行う保守員に所持される保守端末であって、
前記複数の室内機のうちの第1室内機に異常が発生した場合において前記第1室内機を含む予め設定された案内範囲に前記保守端末が入ったことを前記第1室内機に設けられた第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記第1通信部から出力され前記複数の室内機のうち異常が発生した室内機が前記第1室内機であることを前記保守員に知らせる無線信号を受信する第2通信部と、
前記第2通信部が受信した無線信号の内容を表示する表示部と、
を備える空調装置の保守支援システムの保守端末。
【請求項11】
前記第2通信部は、前記複数の室内機のうちの第2室内機に異常が発生した場合において、前記第1室内機の前記案内範囲に前記第2通信部が入ったことを前記第1通信部が無線通信によって検知したときに、前記第1通信部から出力され前記第2室内機の位置情報を表す無線信号を受信し、
前記表示部は、前記第2通信部が受信した無線信号に基づいて前記第2室内機の位置情報を表示する
請求項10に記載の空調装置の保守支援システムの保守端末。
【請求項12】
前記表示部は、前記第2室内機の位置情報として前記第2室内機の方向を表示する
請求項11に記載の空調装置の保守支援システムの保守端末。
【請求項13】
前記表示部は、前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信の信号強度を表示する
請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の空調装置の保守支援システムの保守端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調装置の保守支援システムおよび保守端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空調装置の保守を支援するシステムの例を開示する。当該システムにおいて、空調装置の室内機に異常などの不具合が発生するときに、当該不具合に対する作業手順が保守端末に送信される。保守員に所持される保守端末は、送信された作業手順を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-133294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムにおいて、作業の対象となる異常が発生した室内機を識別する識別情報が保守端末に送信される。しかしながら、異常が発生した室内機の識別情報と当該室内機の位置とを対応付ける情報を予め入手できない場合などにおいて、作業対象となる当該室内機の位置の特定が難しい場合がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、空調装置の複数の室内機のうち異常が発生した室内機の位置を特定しやすい保守支援システムおよび保守端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る空調装置の保守支援システムは、複数の室内機を有する空調装置において複数の室内機のうちの第1室内機に設けられ、保守員が所持する保守端末との間で無線通信を行う第1通信部と、第1室内機に異常が発生した場合において、第1室内機を含む予め設定された案内範囲に保守端末が入ったことを第1通信部が無線通信によって検知したときに、複数の室内機のうち異常が発生した室内機が第1室内機であることを保守員に知らせる無線信号を第1通信部から保守端末に出力させる案内部と、を備える。
【0009】
本開示に係る空調装置の保守支援システムの保守端末は、複数の室内機を有する空調装置の保守作業を行う保守員に所持される保守端末であって、複数の室内機のうちの第1室内機に異常が発生した場合において第1室内機を含む予め設定された案内範囲に保守端末が入ったことを第1室内機に設けられた第1通信部が無線通信によって検知したときに、第1通信部から出力され複数の室内機のうち異常が発生した室内機が第1室内機であることを保守員に知らせる無線信号を受信する第2通信部と、第2通信部が受信した無線信号の内容を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る保守支援システムおよび保守端末であれば、空調装置の複数の室内機のうち異常が発生した室内機の位置を特定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る空調装置の構成図である。
図2】実施の形態1に係る保守支援システムの構成図である。
図3】実施の形態1に係る保守端末の表示の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る保守端末の表示の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る保守支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る保守支援システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空調装置の構成図である。
【0014】
空調装置1は、例えば建物に適用される。空調装置1は、例えば建物の室内における空気調和を行う装置である。空調装置1は、複数の室内機2と、室外機3と、リモートコントローラ4と、中央制御装置5と、を備える。
【0015】
各々の室内機2は、例えば建物の室内の天井に設けられる。各々の室内機2は、例えば図示されない冷媒配管によって室外機3に接続される。各々の室内機2は、室内の空気と熱交換を行う図示されない室内熱交換器を本体6に搭載する。各々の室内機2は、例えば室内熱交換器において熱交換された空気を室内に吐出する図示されないファンを本体6に搭載する。各々の室内機2は、ファンが吐出する空気の風向を制御するルーバー7を本体6に搭載する。ルーバー7は、ルーバー7の向きを調整する図示されないモーターを有する。各々の室内機2の室内熱交換器において交換された熱は、冷媒配管を通る冷媒によって室外機3に運ばれる。室外機3は、建物の室外に設けられる。室外機3は、冷媒によって運ばれた熱を屋外の空気との間で交換する図示されない室外熱交換器を搭載する。冷媒配管を通る冷媒は、室外機3において交換された熱を室内機2に運んでもよい。
【0016】
リモートコントローラ4は、空調装置1が空気調和を行う室内に設けられる。リモートコントローラ4は、空調装置1の利用者からの操作を受け付ける装置である。利用者による操作は、例えば冷房または暖房の切り替え、室内の温度の設定、室内機2から吐出される風量の設定などを含む。
【0017】
中央制御装置5は、空調装置1の動作を制御する装置である。空調装置1の動作は、例えば各々の室内機2の動作、室外機3の動作などを含む。室内機2の動作は、例えばリモートコントローラ4において設定された温度または風量などに応じて制御される。
【0018】
保守支援システム8は、空調装置1に適用される。保守支援システム8は、空調装置1の保守作業を支援するシステムである。空調装置1の保守作業は、例えば空調装置1に異常が発生した場合の復旧作業などを含む。保守支援システム8は、保守端末9と、複数の案内装置10と、を備える。
【0019】
保守端末9は、保守員が所持する端末装置である。保守端末9は、例えば可搬な情報端末である。保守端末9は、例えばスマートフォンまたはタブレットコンピュータなどであってもよい。保守端末9は、例えばインストールされているプログラムに基づいて動作する。当該プログラムは、例えば汎用の情報端末である保守端末9にインストールされるアプリケーションプログラムであってもよい。保守端末9は、無線通信の機能を搭載する。
【0020】
各々の案内装置10は、いずれかの室内機2に対応する。各々の案内装置10は、対応する室内機2に設けられる。案内装置10は、例えば対応する室内機2のコーナーパネルに設けられる。各々の案内装置10は、無線通信の機能を搭載する。各々の案内装置10は、例えばIEEE802.15.1などの規格の無線通信によって保守端末9と通信を行う。各々の案内装置10は、例えばIEEE802.15.1などの規格の無線通信によって互いに通信を行ってもよい。
【0021】
各々の室内機2について、案内範囲が予め設定される。各々の室内機2の案内範囲は、当該室内機2に対応する案内装置10の無線通信の通信範囲に含まれる範囲である。案内範囲は、例えば半径が3mから5m程度の範囲である。各々の室内機2の案内範囲は、例えば当該室内機2に対応する案内装置10の通信範囲より狭い範囲である。各々の室内機2の案内範囲は、例えば当該室内機2に対応する案内装置10が保守端末9から受信する無線信号の信号強度が予め設定された閾値より大きくなる範囲である。信号強度は、例えば無線通信の電波強度、またはRSSI値(RSSI:Received Signal Strength Indication)などであってもよい。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る保守支援システムの構成図である。
【0023】
各々の室内機2は、本体6に制御部11を有する。制御部11は、室内機2の動作を制御する部分である。室内機2の動作は、例えばファンの起動および停止、ルーバー7の向きの調整などを含む。制御部11は、室内機2における異常の発生を検出する。制御部11は、例えば室内機2に設けられるセンサーなどから出力される信号などに基づいて、当該室内機2の異常を検出してもよい。制御部11は、室内機2の異常を検出するときに検出信号を出力する。この例において、各々の室内機2の制御部11は、当該室内機2を識別する識別情報を記憶している。
【0024】
各々の案内装置10は、案内部12と、第1通信部13と、を備える。
【0025】
案内部12は、いずれかの室内機2に異常が発生するときに、当該室内機2まで保守員を案内する部分である。案内部12は、LEDランプ14(LED:Light Emitting Diode)と、スピーカー15と、を備える。LEDランプ14は、可視光を発する発光部の例である。LEDランプ14は、空気調和が行われる室内に露出している。スピーカー15は、可聴音を発する報知部の例である。案内部12による保守員を案内する案内動作は、例えばLEDランプ14の点灯もしくは点滅、またはスピーカー15によるブザー音などの発報を含む。
【0026】
案内部12は、動作モードに基づいて動作する。案内部12の動作モードは、例えば待機モードまたは案内モードを含む。案内部12の動作モードは、通常時において待機モードに設定される。待機モードにおいて、案内部12は、案内動作を行わない。案内動作は、案内部12の動作モードが案内モードであるときに行われる。案内部12の動作モードは、例えば制御部11が室内機2の異常を検出するときに出力される検出信号の入力などによって待機モードから案内モードに切り替えられる。案内部12は、制御部11に制御信号を出力することで、保守員を案内する案内動作を対応する室内機2にさせてもよい。
【0027】
この例において、各々の室内機2に対応する案内装置10の案内部12は、各々の室内機2の位置情報を記憶している。各々の室内機2に対応する案内装置10の案内部12は、例えば位置情報として当該室内機2を基準とした他の室内機2の方角の情報を他の室内機2の識別情報に関連付けて記憶する。
【0028】
第1通信部13は、無線通信を行う部分である。第1通信部13は、案内部12の動作モードが待機モードのときに、保守端末9との間で無線通信を行わない。第1通信部13は、案内部12の動作モードが案内モードに切り替えられるときに、無線通信を開始する。
【0029】
保守端末9は、表示部16と、第2通信部17と、を備える。表示部16は、保守端末9を所持している保守員に情報を表示する部分である。表示部16は、例えば液晶ディスプレイまたはタッチパネルなどである。第2通信部17は、無線通信を行う部分である。
【0030】
引き続き図2を用いて、保守支援システム8を利用した保守作業の例を説明する。
ここで、複数の室内機2のうちの室内機2bにおいて異常が発生する場合を例として説明する。異常が発生する室内機2bは、第1室内機の例である。複数の室内機2のうち第1室内機の他の室内機2aは、第2室内機の例である。
【0031】
室内機2bにおいて異常が発生したときに、室内機2bの制御部11は、発生した異常を検出する。制御部11は、室内機2bに対応する案内装置10bの案内部12に検出信号を出力する。制御部11は、中央管理装置に検出信号を出力する。検出信号は、室内機2bの識別情報を含んでいてもよい。中央管理装置は、リモートコントローラ4に室内機2bの識別情報を通知する。リモートコントローラ4は、室内機2bの識別情報を表示する。
【0032】
室内機2bの制御部11から検出信号の入力をうけた案内装置10bの案内部12は、動作モードを待機モードから案内モードに切り替える。案内装置10bの第1通信部13は、保守端末9との無線通信が可能な状態に移行する。案内装置10bの第1通信部13は、室内機2bの他の室内機2に対応する案内装置10の第1通信部13に、室内機2bにおいて異常が発生したことを表す無線信号を出力する。案内装置10bの第1通信部13は、例えば室内機2aに対応する案内装置10aの第1通信部13に無線信号を出力する。この例において、案内装置10bの第1通信部13は、室内機2bに異常が発生したことを他の案内装置10に中央制御装置5を介さずに通知する。案内装置10bの第1通信部13から出力される無線信号は、室内機2bの識別情報を含んでいてもよい。
【0033】
案内装置10aの案内部12は、第1通信部13に入力された無線信号に基づいて、動作モードを待機モードから案内モードに切り替える。案内部12は、第1通信部13に入力された信号が含む識別情報に基づいて、異常が発生した室内機2bを特定する。案内部12は、特定した室内機2bの識別情報に関連付けて記憶している室内機2bの位置情報を、異常が発生した室内機2の位置情報として読み込む。
【0034】
空調装置1において発生した異常の復旧作業を行う保守員は、異常が発生した室内機2bの特定を試みる。例えば各々の室内機2の識別情報と当該室内機2の位置とを対応付ける情報を予め入手できる場合に、保守員は、予め入手した情報とリモートコントローラ4に表示される識別情報とに基づいて、異常が発生した室内機2bの位置を特定する。一方、各々の室内機2の識別情報と当該室内機2の位置とを対応付ける情報を予め入手できない場合に、保守員は、保守支援システム8を利用して異常が発生した室内機2bの位置を例えば次のように特定する。
【0035】
保守員は、保守端末9を持って室内を歩く。保守端末9の第2通信部17は、例えば予め設定された周期で保守端末9の位置を示すための無線信号を発信する。各々の案内装置10の第1通信部13は、保守端末9から発信された無線信号に基づいて、対応する室内機2の案内範囲に保守端末9が入ったことの検出を試みる。
【0036】
保守員が所持する保守端末9は、例えば、異常が発生していない室内機2aの案内範囲に入る。このとき、案内範囲に入った保守端末9の第2通信部17は、保守端末9の位置を示すための無線信号を例えば予め設定された周期で発信している。
【0037】
案内装置10aの案内部12は、第1通信部13が受信する保守端末9からの無線信号の信号強度に基づいて、室内機2aの案内範囲に保守端末9が入ったことを検出する。このとき、案内装置10aの案内部12は、異常が発生した室内機2bの位置情報を表す無線信号を第1通信部13に出力させる。室内機2bの位置情報は、例えば室内機2aを基準とした室内機2aの方角を表す情報である。
【0038】
保守端末9の第2通信部17は、案内装置10aの第1通信部13から出力された無線信号を受信する。保守端末9の表示部16は、第2通信部17が受信した無線信号に基づいて、室内機2aの位置情報を表示する。保守員は、表示された情報に基づいて、室内機2aの位置に向かって移動する。
【0039】
保守員が所持する保守端末9は、例えば、異常が発生した室内機2bの案内範囲に入る。このとき、案内範囲に入った保守端末9の第2通信部17は、保守端末9の位置を示すための無線信号を例えば予め設定された周期で発信している。
【0040】
案内装置10bの案内部12は、第1通信部13が受信する保守端末9からの無線信号の信号強度に基づいて、室内機2bの案内範囲に保守端末9が入ったことを検出する。このとき、案内装置10bの案内部12は、異常が発生したのは室内機2bであることを保守員に知らせる無線信号を第1通信部13に出力させる。案内装置10bの案内部12は、案内動作を行わせる制御信号を室内機2bの制御部11に出力する。案内装置10bの案内部12は、異常が発生したのは室内機2bであることを保守員に知らせる案内動作を行う。
【0041】
保守端末9の第2通信部17は、案内装置10bの第1通信部13から出力された無線信号を受信する。保守端末9の表示部16は、第2通信部17が受信した無線信号に基づいて、室内機2bにおいて異常が発生したことを表示する。保守端末9は室内機2bの案内範囲にあるので、保守員は、室内機2bの周辺にいる。このため、保守員は、周辺の室内機2を確認することで、異常が発生した室内機2bの位置を特定できる。
【0042】
室内機2bは、案内装置10bから制御部11に入力された制御信号に基づいて、案内動作を行う。室内機2bの制御部11は、案内動作として予め設定された動作をルーバー7に行わせる。ルーバー7による案内動作は、例えばルーバー7の向きを周期的に振る動きである。あるいは、ルーバー7による案内動作は、ルーバー7を天井に対して垂直に立てるような動きである。ルーバー7による案内動作は、保守員の注意を惹くように通常運転時において行われることの少ない動作であればよく、ここで例示した動きに限定されない。
【0043】
案内装置10bの案内部12は、例えばLEDランプ14およびスピーカー15によって案内動作を行う。案内部12は、例えば点灯または点滅するようにLEDランプ14を発光させる。案内部12は、例えばブザー音をスピーカー15から発生させる。案内装置10bによる案内動作は、保守員の注意を惹くような動作であればよく、ここで例示した動作に限定されない。
【0044】
室内機2bまたは案内装置10bによる案内動作によって、保守員は、室内機2bに注意を向ける。保守員は、室内機2bまたは案内装置10bにおいて案内動作が行われていることを確認する。これにより、保守員は、異常が発生した室内機2bの位置を特定できる。
【0045】
続いて、図3および図4を用いて、表示部16の表示の例を説明する。
図3および図4は、実施の形態1に係る保守端末の表示の例を示す図である。
【0046】
図3において、異常が発生していない室内機2aに対応する案内装置10aから受信された無線信号に基づく表示の例が示される。
【0047】
表示部16は、異常が発生した室内機2bの位置情報として、例えば矢印などによって室内機2bの方向を表示する。このとき、例えば自身が向く方角を計測する方角センサーを保守端末9が搭載している場合に、表示部16は、保守端末9が向く方角と室内機2bの方角とに基づいて矢印を表示してもよい。保守端末9は、例えば加速度センサーまたはジャイロセンサーなどの保守端末9の運動を計測するセンサーの計測結果などに基づいて、保守端末9が向く方角を計測してもよい。
【0048】
図4において、異常が発生した室内機2bに対応する案内装置10bからの受信された無線信号に基づく表示の例が示される。
【0049】
表示部16は、無線信号に基づいて、室内機2bにおいて異常が発生したことを表示する。表示部16は、例えば方向性のない丸印などの表示によって、保守端末9の周辺にある室内機2bにおいて異常が発生したことを表示してもよい。表示部16は、文字情報によって室内機2bを特定する情報を表示してもよい。表示部16は、室内機2bの識別情報を表示してもよい。
【0050】
続いて、図5を用いて保守支援システム8の動作の例を説明する。
図5は、実施の形態1に係る保守支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【0051】
図5において、保守支援システム8における案内装置10の動作の例が示される。
【0052】
ステップS1において、案内部12は、対応する室内機2の制御部11が異常の発生を検出したかを判定する。判定結果がYesの場合に、案内部12は、動作モードを待機モードから案内モードに切り替える。その後、案内装置10の動作は、ステップS2に進む。一方、判定結果がNoの場合に、案内装置10の動作は、ステップS5に進む。
【0053】
ステップS2において、案内部12は、保守端末9が対応する室内機2の案内範囲にあるかを判定する。判定結果がNoの場合に、案内装置10の動作は、ふたたびステップS2に進む。一方、判定結果がYesの場合に、案内装置10の動作は、ステップS3に進む。
【0054】
ステップS3において、案内部12は、異常が発生したのは案内装置10が対応する室内機2であることを保守員に知らせる無線信号を第1通信部13に出力させる。その後、案内装置10の動作は、ステップS4に進む。
【0055】
ステップS4において、案内部12は、異常が発生したのは案内装置10が対応する室内機2であることを保守員に知らせる案内動作を行う。案内部12は、対応する室内機2に案内動作を行わせる。その後、案内装置10の動作は、ステップS2に進む。
【0056】
ステップS5において、案内部12は、例えば他の案内装置10から入力される信号に基づいて、他の室内機2において異常の発生が検出されたかを判定する。判定結果がYesの場合に、案内部12は、動作モードを待機モードから案内モードに切り替える。その後、案内装置10の動作は、ステップS6に進む。一方、判定結果がNoの場合に、案内装置10の動作は、ステップS1に進む。
【0057】
ステップS6において、案内部12は、異常が発生した室内機2を特定する。その後、案内装置10の動作は、ステップS7に進む。
【0058】
ステップS7において、案内部12は、保守端末9が対応する室内機2の案内範囲にあるかを判定する。判定結果がNoの場合に、案内装置10の動作は、ふたたびステップS7に進む。一方、判定結果がYesの場合に、案内装置10の動作は、ステップS8に進む。
【0059】
ステップS8において、案内部12は、異常が発生した室内機2の位置情報を表す無線信号を第1通信部13に出力させる。その後、案内装置10の動作は、ステップS7に進む。
【0060】
以上に説明したように、実施の形態1に係る保守支援システム8は、第1通信部13と、案内部12と、を備える。第1通信部13は、複数の室内機2を有する空調装置1において複数の室内機2のうちの第1室内機に設けられる。第1通信部13は、保守員が所持する保守端末9との間で無線通信を行う。案内部12は、第1室内機に異常が発生した場合において、案内範囲に保守端末9が入ったことを第1通信部13が無線通信によって検知したときに、案内動作を第1室内機に行わせる。案内範囲は、第1室内機を含む予め設定された範囲である。案内動作は、複数の室内機2のうち異常が発生した室内機2が第1室内機であることを保守員に知らせる動作である。
また、案内部12は、第1室内機に異常が発生した場合において、案内範囲に保守端末9が入ったことを第1通信部13が無線通信によって検知したときに、案内動作を行う。
また、案内部12は、第1室内機に異常が発生した場合において、案内範囲に保守端末9が入ったことを第1通信部13が無線通信によって検知したときに、無線信号を第1通信部13から保守端末9に出力させる。当該無線信号は、複数の室内機2のうち異常が発生した室内機2が第1室内機であることを保守員に知らせる信号である。
実施の形態1に係る保守端末9は、空調装置1の保守作業を行う保守員に所持される。保守端末9は、第2通信部17と、表示部16と、を備える。第2通信部17は、複数の室内機2のうちの第1室内機に異常が発生した場合において案内範囲に保守端末9が入ったことを第1室内機に設けられた第1通信部13が無線通信によって検知したときに、第1通信部13から出力される無線信号を受信する。当該無線信号は、複数の室内機2のうち異常が発生した室内機2が第1室内機であることを保守員に知らせる信号である。表示部16は、第2通信部17が受信した無線信号の内容を表示する。
【0061】
保守員は、異常が発生した室内機2に接近したときに、案内動作などによって当該室内機2を特定できる。これにより、空調装置1の複数の室内機2のうち異常が発生した室内機2の位置を特定しやすくなる。このとき、異常が発生した室内機2の識別情報と当該室内機2の位置とを対応付ける情報などを保守員が入手する必要がない。このような情報を空調装置1の利用者または管理者自身が把握していないことなどにより当該情報が速やかに入手できない場合においても、空調設備の担当外の保守員であっても異常が発生した室内機2を特定できる。また、空調装置1において、室内機2の本体6が天井裏に隠ぺいされて吐出口のみが室内に露出している場合がある。このような場合においても、例えば保守端末9の表示などによって、保守員は、室内から目視確認できない室内機2の本体6の位置を確認できる。これにより、空調装置1の保守作業の効率性が高くなる。また、案内動作などは、室内機2に異常が発生した場合に、保守端末9が接近してから行われるので、空調装置1が設けられる利用の妨げとなりにくい。また、保守員が接近してから案内動作は開始されるので、保守員の注意を惹きやすい。このため、保守員は、異常が発生した室内機2の位置を特定しやすくなる。
【0062】
また、案内部12は、案内動作として予め設定された動作を第1室内機のルーバー7に行わせる。
また、案内部12は、発光する発光部を有する。案内部12は、案内動作として発光部を発光させる。
【0063】
これにより、保守員は、異常が発生した室内機2を目視で確認することができる。このため、異常が発生した室内機2の位置をより特定しやすくなる。
【0064】
また、案内部12は、音を発する報知部を有する。案内部12は、案内動作として報知部から音声を発する。
【0065】
これにより、保守員は、異常が発生した室内機2を音声によって確認することができる。このため、異常が発生した室内機2が目視できない場合においても、当該室内機2の位置を特定しやすくなる。
【0066】
また、案内部12は、第1通信部13と保守端末9との間の無線通信の信号強度に基づいて保守端末9が案内範囲に入ったことを検知する。
【0067】
これにより、案内部12は、保守員が接近したことを容易に検知できる。
【0068】
また、複数の室内機2のうちの第2室内機に異常が発生した場合において、第1室内機の案内範囲に保守端末9が入ったことを第1通信部13が無線通信によって検知することがある。このときに、案内部12は、第2室内機の位置情報を第1通信部13から保守端末9に無線通信によって通知させる。
また、このときに、第2通信部17は、第1通信部13から出力される第2室内機の位置情報を表す無線信号を受信する。表示部16は、第2通信部17が受信した無線信号に基づいて第2室内機の位置情報を表示する。
また、表示部16は、第2室内機の位置情報として第2室内機の方向を表示する。
【0069】
これにより、保守支援システム8は、異常が発生した室内機2まで保守員を誘導できる。保守員は、異常が発生した室内機2の位置をより特定しやすくなる。
【0070】
なお、案内部12は、第1室内機に異常が発生した場合に、案内範囲を含み案内範囲より広い範囲に、第1室内機において異常が発生したことを表す無線信号を第1通信部13に出力させてもよい。このとき無線信号が出力される範囲は、例えば第1通信部13の通信範囲の全体であってもよい。第1通信部13の通信範囲は、室内機2が設けられる階床の全部または一部にわたる範囲であってもよい。
また、表示部16は、第1通信部13と第2通信部17との間の無線通信の信号強度を表示してもよい。
【0071】
これにより、保守員は、通信強度が近くなる方向に移動することで、異常が発生した室内機2に向かって移動することができる。このため、保守端末9が保守端末9自身の位置または方向などの情報を取得する機能を搭載していない場合においても、保守支援システム8は、異常が発生した室内機2まで保守員を誘導できる。
【0072】
なお、案内装置10は、対応する室内機2の本体6に内蔵されていてもよい。また、案内装置10の一部または全部の機能は、対応する室内機2の本体6の機能として搭載されていてもよい。
【0073】
また、案内装置10は、既設の室内機2に取り付けられる装置であってもよい。
【0074】
また、案内部12は、各々の室内機2の位置情報を記憶していなくてもよい。案内部12は、異常が発生した室内機2に対応する案内装置10の位置情報を、無線通信の通信強度などに基づいて導出してもよい。例えば、異常が発生した室内機2から出力される無線信号の各々の案内装置10における通信強度の情報は、各々の案内装置10において互いに共有される。案内部12は、共有される通信強度の情報に基づいて、異常が発生した室内機2の位置情報を導出してもよい。
【0075】
また、各々の案内装置10は、有線の通信によって互いに接続されていてもよい。
【0076】
続いて、図6を用いて、保守支援システム8のハードウェア構成の例について説明する。
図6は、実施の形態1に係る保守支援システムの主要部のハードウェア構成図である。
【0077】
保守支援システム8の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路により実現し得る保守支援システム8の各機能は、例えば案内装置10の各機能、または保守端末9の各機能を含む。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ200aと少なくとも1つのメモリ200bとを備える。処理回路は、プロセッサ200aおよびメモリ200bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア100を備えてもよい。
【0078】
処理回路がプロセッサ200aとメモリ200bとを備える場合、保守支援システム8の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ200bに格納される。プロセッサ200aは、メモリ200bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、保守支援システム8の各機能を実現する。
【0079】
プロセッサ200aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ200bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0080】
処理回路が専用のハードウェア100を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0081】
保守支援システム8の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、保守支援システム8の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。保守支援システム8の各機能について、一部を専用のハードウェア100で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア100、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで保守支援システム8の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0082】
1 空調装置、 2、2a、2b 室内機、 3 室外機、 4 リモートコントローラ、 5 中央制御装置、 6 本体、 7 ルーバー、 8 保守支援システム、 9 保守端末、 10、10a、10b 案内装置、 11 制御部、 12 案内部、 13 第1通信部、 14 LEDランプ、 15 スピーカー、 16 表示部、 17 第2通信部、 100 専用のハードウェア、 200a プロセッサ、 200b メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6